IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 比奈鉄工株式会社の特許一覧 ▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図1
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図2
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図3
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図4
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図5
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図6
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図7
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図8
  • 特許-ログ押さえ機構を備えた巻取機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】ログ押さえ機構を備えた巻取機
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/16 20060101AFI20230125BHJP
   B65H 18/04 20060101ALI20230125BHJP
   B65H 18/20 20060101ALI20230125BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65H23/16
B65H18/04
B65H18/20
A47K10/16 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021154962
(22)【出願日】2021-09-23
【審査請求日】2021-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】510152585
【氏名又は名称】比奈鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆
(72)【発明者】
【氏名】西家 昌邦
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-070253(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200506(JP,U)
【文献】特開2014-133625(JP,A)
【文献】特開昭50-107374(JP,A)
【文献】特開平5-186115(JP,A)
【文献】実開昭62-59646(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/16
B65H 18/00-19/30
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反ロールから巻き出して抄紙を巻き取る巻取機において、
巻き取った前記抄紙で構成されるログを保持するロール保持部と、
前記ログの浮き上がりを押さえるライダーローラーと、
前記ログを支持する一対の支持ローラーと、を備え、
回動可能に保持された支持アームの、一端に前記ライダーローラーが回転可能に保持され、他端に前記支持アームを回動させる駆動機構を備えるとともに、
前記支持アームの回転中心は前記ライダーローラーの上昇端よりも低い位置に配置され、
前記ログに挿入される巻取軸と、
該巻取軸を回動可能に軸支する巻取軸受と、
該巻取軸受を保持する昇降機構と、を備え、
前記昇降機構に前記支持アームが回動可能に保持されていること、
を特徴とする巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取機についての技術に関する。詳しくは、紙製品の巻き取りを行う巻取機のログを押さえる機構についての技術である。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーロールやキッチンペーパーロールなどの紙製品は、パルパーを用いて溶解した紙繊維を、抄紙機を用いてシート状にし、原反ロールと呼ばれる巨大な巻回体が最初に作られる。この原反ロールをワインダーに載置して巻き出し、ログと呼ばれるより小径の巻回体に巻き直し、ログカッターによって幅方向に切断して最終製品へと姿が変えられる。
【0003】
特許文献1には、トイレットロールの製品の製造方法及びトイレットロール製品に関する技術が開示されている。抄紙設備で製造した一次原反ロールをプライマシンにて薬液が付与された二次原反ロールとし、二次原反ロールを用いてワインダーにて二次原反ロールから薬液が付与された二次連続シートを巻き出している。
【0004】
特許文献2には、トイレットロールの製造方法及びトイレトロール製品に関する技術が開示されている。抄紙設備で製造した複数の一次原反ロールを、ワインダーにて積層した後、薬液付与、エンボス付与、製品径への巻き取りを行い、ログと呼ばれる小径のロールを製造し、この後の工程で幅方向のカットを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-170659号公報
【文献】特開2013-70954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される製造方法を用いる場合には一次原反ロールを加工して二次原反ロールとするにあたって、巻き締める方法に関して記載されていない。二次原反ロールの直径は1000mm~5000mmとなるが、必要なテンションをかけて巻かれる必要があり、これをコントロールする方法について言及されていない。また、特許文献2ではログの巻回についても、言及されていない。
【0007】
従来は、この二次原反ロール或いはログの巻回にあたって、上方から押さえつけるような構成を採用しているが、こういったログの上方から押さえつける構成を採用すると、ログを排出する時には上方に押さえつける機構を待避させる必要があり、ログの巻き終わり径に比例してそのスペースは大きくなる。つまり、装置の大型化を招いてしまう。しかし、天井の高い工場を建設することはコストが必要であることから、こういった部分の改善を求められていた。
【0008】
そこで、本発明はこの様な課題を解決し、コンパクトなログの押さえつけ機構を備えた巻取機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による巻取機は、以下のような特徴を有する。
【0010】
(1)原反ロールから巻き出して抄紙を巻き取る巻取機において、
巻き取った前記抄紙で構成されるログを保持するロール保持部と、
前記ログの浮き上がりを押さえるライダーローラーと、
前記ログを支持する一対の支持ローラーと、を備え、
回動可能に保持された支持アームの、一端に前記ライダーローラーが回転可能に保持され、他端に前記支持アームを回動させる駆動機構を備えるとともに、
前記支持アームの回転中心は前記ライダーローラーの上昇端よりも低い位置に配置されていること、
を特徴とする。
【0011】
上記(1)に記載の態様により、ログの浮き上がりを押さえるライダーローラーの昇降が、回転軸に支持された支持アームによってなされるため、全体的な装置の高さを抑えることが可能となる。これは、支持アームの回転によってログの浮き上がりを押さえることができる構造とすることで、装置の高さを抑えることを可能としたためである。この結果、装置の重心を低くする結果となり、装置の設置の他に搬送時にもメリットが得られる。
【0012】
(2)(1)に記載の巻取機において、
前記ログに挿入される巻取軸と、
該巻取軸を回動可能に軸支する巻取軸受と、
該巻取軸受を保持する昇降機構と、を備え、
前記昇降機構に前記支持アームが回動可能に保持されていること、
が好ましい。
【0013】
(2)に記載の態様によって、支持アームの長さを短く、全体の大きさをコンパクトにすることが可能となる。ログの回転中心には巻取軸を配置して回転させる場合、これを昇降させる必要がある。この昇降機構に支持アームの回転中心を支持させることで、ライダーローラーの可動域を広く採りつつ、支持アームの長さを短くすることが可能となる。この結果、装置全体の小型化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の、巻取機に関する模式図である。
図2】本実施形態の、スリッターの側面図である。
図3】本実施形態の、スリッターの断面図である。
図4】本実施形態の、スリッターの正面図である。
図5】本実施形態の、キャンセラでの巻回途中の様子を示す説明図である。
図6】本実施形態の、キャンセラでの巻回終了の様子を示す説明図である。
図7】本実施形態の、キャンセラでの払い出しの様子を示す説明図である。
図8】本実施形態の、ログを巻回する様子を示す説明図である。
図9】本実施形態の、ワインダーで原反ロールをセットする様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の実施形態について、図面を用いて説明を行う。図1に、本実施形態の、巻取機300に関する模式図を示す。図2に、スリッター100の側面図を示す。巻取機300は、スリッター100とワインダー200よりなり、スリッター100には、キャンセラ110と、軸支持機構部120、押さえ機構部130、そしてスリット機構部140を備えている。巻取機300は、ワインダー200にセットした原反ロールR1に巻かれた抄紙S1を巻き出し、キャンセラ110で抄紙S1を巻き取ってログR2を形成する装置である。
【0016】
ワインダー200は図1に示すように、第1ワインダー200Aと第2ワインダー200Bの2基からなる。そして、第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bには、それぞれに原反ロールR1がセットされる。そして、原反ロールR1から抄紙S1は重ねられて2プライ(いわゆるダブル)にしてスリッター100に搬送される。なお、ワインダー200は2つではなく3つ用意することで抄紙S1を3プライ(いわゆるトリプル)とすることも可能であるし、ワインダー200を1つだけ用意して抄紙S1を1プライ(いわゆるシングル)とすることも可能である。
【0017】
図3に、スリッター100の断面図を示す。図3図2の第1側板105Aを外して見せた筐体150の内側の様子を示す図となっている。図4に、スリッター100の正面図を示す。
【0018】
キャンセラ110には、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bが回動可能に駆動側支持板112A及び側面支持板112Bに支持されている。駆動側支持板112A及び側面支持板112Bは、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bの幅方向両端側に1枚ずつ設けられる板材であり、ベース101に固定された支持マウント102にそれぞれ回動可能に支持されている。
【0019】
駆動側支持板112A及び側面支持板112Bは棒状の連結部材113によって連結されている。同径とされた第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bは駆動側支持板112A及び側面支持板112Bに固定された支持ローラー軸受114によって回転可能に保持されている。ログR2は、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bによって下面を支持される構造となる。
【0020】
第1支持ローラー111Aの駆動側支持板112Aに保持された側の端部には、第1従動プーリーP2が固定され、第2支持ローラー111Bの駆動側支持板112Aに保持された側には、第2従動プーリーP3が固定される。駆動側支持板112Aに固定されている駆動モータ103の軸に取り付けられた駆動プーリーP1と、駆動側支持板112Aに回動可能に保持されるアイドラープーリーP4とテンショナープーリーP5、及び前述した第1従動プーリーP2と第2従動プーリーP3に駆動ベルト115が巻き掛けられる。この駆動ベルト115によって駆動モータ103からの駆動力が伝達される。このため、第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bは、同じ速度で同方向に回転する。
【0021】
軸支持機構部120は、ログR2を軸支持する目的で設けられた巻取軸121と、それを回動可能に支持する中心軸受122及び中心軸受122が固定される第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bよりなる。第1昇降ガイド板123Aと第2昇降ガイド板123Bは板状の部材であり、中心軸受122及び中心軸受122の間に配置される支持柱124によって接続されて支持されている。
【0022】
軸支持機構部120は、キャンセラ110に隣接して配置される筐体150に昇降可能に保持される。筐体150は、第1側板105Aと第2側板105Bの2枚の板状部材とその間を繋ぐ2本の梁106によって構成される。第1側板105Aと第2側板105Bの下端はベース101に接して位置決めされて固定される。上部は平行に配置された梁106によって連結される。
【0023】
この筐体150には、第1リニアガイド107及び第2リニアガイド108がそれぞれ垂直方向に設置されて、第1昇降ガイド板123Aと第2昇降ガイド板123Bをガイドしている。第1リニアガイド107は、筐体150に隣接して配置されているキャンセラ110側の第1昇降ガイド板123Aと第2昇降ガイド板123Bの側面に固定され、第2リニアガイド108は、筐体150の内側に配置されるように第1側板105Aと第2側板105Bの表面に固定される。したがって、軸支持機構部120は、2本の第1リニアガイド107と2本の第2リニアガイド108の合計4本のリニアガイドによってガイドされ、筐体150の内部を昇降する。
【0024】
第1側板105A及び第2側板105Bの外側には、それぞれ昇降シリンダ104のヘッド側端部が支持されており、第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bに、それぞれ昇降シリンダ104のロッド側端部が支持されている。つまり、第1昇降ガイド板123Aは、第1側板105Aに端部が支持された昇降シリンダ104によって、第2昇降ガイド板123Bは、第2側板105Bに端部が支持された昇降シリンダ104によって、昇降される。すなわち2本の昇降シリンダ104によって軸支持機構部120が昇降される。
【0025】
巻取軸121は、図4に示すように第2側板105Bの側に張り出して支持されている軸外し機構126によって、取り外しが可能である。軸把持ブラケット128によって巻取軸121の端部を保持した状態で、ガイド付きシリンダ127を作動させることで、ログR2からその中心を貫通する巻取軸121を取り外すことができる。この際に、巻取軸121の両端を保持している中心軸受122からは巻取軸121が取り外されている。
【0026】
押さえ機構部130は、ライダーローラー131と、ライダーローラー131を支持する左右に備えられたライダーアーム132を備えている。ライダーローラー131は図示しない軸受けなどを介して2枚のライダーアーム132の先端側に回転可能に支持されており、ライダーアーム132は左右に備える第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bにライダーアーム132の中央辺りで回転可能に保持されている。
【0027】
また、2枚のライダーアーム132の間には、アーム支持柱134が備えられている。ライダーアーム132の後端部には、アーム回動シリンダ125のロッド側端部が回動可能に固定され、一方で、第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bにアーム回動シリンダ125のヘッド側端部が回動可能に固定されている。つまり、ライダーアーム132の一端側にアーム回動シリンダ125のロッド側先端が接続され、他端側にライダーローラー131が保持されているので、アーム回動シリンダ125を伸縮することで、ライダーアーム132を回動させ、ライダーローラー131を昇降させることができる。この結果、ライダーローラー131でログR2の上面を押さえるように機能させる。
【0028】
キャンセラ110と、筐体150を構成する第1側板105A及び第2側板105Bとは、傾斜シリンダ109で接続されている。第1側板105A及び第2側板105Bには、傾斜シリンダ109のヘッド側端部が回動可能に支持されて、キャンセラ110を構成する駆動側支持板112A及び側面支持板112Bには、傾斜シリンダ109のロッド側端部が回動可能に支持されている。
【0029】
筐体150には、テンションコントロール機構151とグリップ機構152が備えられていて、テンションコントロール機構151の働きによって抄紙S1の巻き取りをコントロールしている。詳細は割愛するが、テンションコントロール機構151は第1側板105Aと第2側板105Bに保持されているローラーを備えて抄紙S1に負荷をかけることでテンションをコントロールしており、グリップ機構152はログR2を巻き終えた際に、抄紙S1を保持しておくために抄紙S1を上下から挟み込むことが可能な構成となっている。ログR2が巻き終わった段階で抄紙S1を挟み込み、ログR2の端部でカットする。
【0030】
本実施形態の巻取機300は上記構成であるため、以下に説明するように動作する。図5は、キャンセラ110での巻回途中の様子を示している。図6は、キャンセラ110での巻回終了時の様子を示している。図7は、キャンセラ110でのログR2の払い出しの様子を示している。図8は、抄紙S1を巻き取ってログR2が成長する様子を示す。図8は側面からの断面図となっている。図9は、ワインダー200に原反ロールR1をセットする様子を説明図に示す。
【0031】
原反ロールR1は図示しない抄紙機で作られた抄紙S1が大径に巻き取られたものであり、作業者が持ち上げることが困難なので、図9に示すように天井クレーンなどを用いて第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bにセットする。この際に、第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bの幅方向両側に配置されるV字プレート201の、対向して略V字状に形成される斜面部201aに原反ロールR1の軸部がガイドされる。斜面01aが略V字状に形成されて原反ロールR1の軸をガイドする。
【0032】
原反ロールR1から抄紙S1を引き出して、スリッター100に通して行く。本実施形態では、第1ワインダー200A及び第2ワインダー200Bにそれぞれ原反ロールF1をセットして、原反ロールR1に巻かれた抄紙S1を引き出し、2枚重ねて2プライにして、軸支持機構部120に支持される巻取軸121に固定する。
【0033】
そして、キャンセラ110に備えた第1支持ローラー111Aと第2支持ローラー111Bを、駆動モータ103を回転させることで駆動し、図5及び図6に示すようにログR2を形成する。ログR2は、駆動モータ103の回転速度にもよるが数分で巻き終わる。ログR2は、図8に示すように上部からライダーローラー131によって押さえられながら形成される。ライダーローラー131のログR2に対する負荷は、アーム回動シリンダ125によって制御されている。
【0034】
ログR2が出来上がった段階で、巻取軸121を中心軸受122から外して軸外し機構126を用いて巻取軸121をログR2から取り外す。そして、ライダーローラー131をアーム回動シリンダ125によって持ち上げた状態で、傾斜シリンダ109を用いてキャンセラ110を傾けることで、ログR2を図示しない荷台に払い出す。
【0035】
本実施形態のログ押さえ機構を備えた巻取機300は上記構成であるため、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0036】
まず、本実施形態の巻取機300によって、コンパクトなログR2の押さえつけ機構を備えた巻取機300の提供が可能となる。これは、原反ロールR1から巻き出して抄紙S1を巻き取る巻取機300において、巻き取った抄紙S1で構成されるログR2を保持するロール保持部(スリッター100)と、ログR2の浮き上がりを押さえるライダーローラー131と、ログR2を支持する一対の支持ローラー(第1支持ローラー111A及び第2支持ローラー111B)を備え、回動可能に保持された支持アーム(ライダーアーム132)の、一端にライダーローラー131が回転可能に保持され、他端にライダーアーム132を回動させる駆動機構(アーム回動シリンダ125)を備え、ライダーアーム132の回転中心はライダーローラー131の上昇端よりも低い位置に配置されているためである。
【0037】
また、ログR2に挿入される巻取軸121と、巻取軸121を回動可能に軸支する巻取軸受(中心軸受122)と、中心軸受122を保持する昇降機構(軸支持機構部120)と、を備え、軸支持機構部120にライダーアーム132が回動可能に保持されていることで、アーム回動シリンダ125のストローク長さを短くすることが可能となる。
【0038】
つまり、図8に示すように、ライダーアーム132の先端に備えるライダーローラー131はログR2の成長に従って高い位置を採るように移動している。ログR2の直上からログR2を押さえる構成にした場合、ログR2の直径分はストロークが必要となるため、シリンダなどを用いる場合にはこのストロークに加えて待避する分の高さを要する。そうすると、5mを越えるようなストロークを必要とすることになって、その分、スリッター100の高さが高くなってしまうという問題があった。
【0039】
しかしながら、2本のライダーアーム132を用いてライダーアーム132を第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bにそれぞれ回動可能に支持する構造とすることで、スリッター100の高さを抑えることが可能となった。更に、第1昇降ガイド板123A及び第2昇降ガイド板123Bが筐体150に昇降可能に保持されている。具体的には、第1側板105Aと第2側板105Bに、第1リニアガイド107及び第2リニアガイド108が設けられていて、この第1リニアガイド107及び第2リニアガイド108にガイドされ、昇降シリンダ104によって昇降する構成になっているので、ライダーアーム132の支持位置が図8に示すように変化することになる。このため、結果的にライダーアーム132の回動角度を減らすことができ、つまりアーム回動シリンダ125のストロークが短くて済むことになる。
【0040】
したがって、ライダーアーム132や軸支持機構部120の昇降機能を設けることで、スリッター100の筐体150の高さを低くすることが可能となる。この結果、スリッター100或いは巻取機300の装置高さを低くすることで、搬送時や設置時におけるメリットが得られる。搬送時のメリットについては、装置搬送は道路交通法の制限を受けるために、背の高い装置は分解して搬送する必要がある。このため分割数を少なくした方が搬送する車両の数を減らすことができるし、設置時の工数を減らすことにも繋がる。
【0041】
また、図7に示すように、傾斜シリンダ109を用いてキャンセラ110を傾斜させログR2を排出するにあたって、ライダーアーム132をアーム回動シリンダ125の働きによって待避させることが容易となる点もポイントである。これは、ログR2の排出方向とは反対側にアーム回動シリンダ125が備えられており、アーム回動シリンダ125を前進させてライダーアーム132を回動させると、ライダーアーム132の先端に保持されているライダーローラー131は、ライダーアーム132の回転に従って後方に待避する結果となる。
【0042】
したがって、ログR2の排出方向とは反対方向にライダーローラー131が移動することになるので、ライダーローラー131を大きく待避させる必要が無くなり移動量を最低限にすることが可能となる。この結果、アーム回動シリンダ125のストロークを最小限に抑えることに繋がって、スリッター100の高さを抑えることに寄与する。
【0043】
以上、本発明に係る巻取機300に関する説明をしたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、本実施形態で示した機械の構造に関して、別の機能で置き換えることを妨げない。具体的には、筐体150の外側に設けられた昇降シリンダ104をモータなどの駆動装置を用いる方式にするなど、駆動方式の変更などが考えられる。
【符号の説明】
【0044】
100 スリッター
110 キャンセラ
111A 第1支持ローラー
111B 第2支持ローラー
130 押さえ機構部
131 ライダーローラー
300 巻取機
R1 原反ロール
R2 ログ
【要約】
【課題】コンパクトなログの押さえつけ機構を備えた巻取機の提供。
【解決手段】原反ロールR1から巻き出して抄紙S1を巻き取る巻取機300において、巻き取った抄紙S1で構成されるログR2を保持するスリッター100と、ログR2の浮き上がりを押さえるライダーローラー131と、ログR2を支持する一対の第1支持ローラー111A及び第2支持ローラー111Bと、を備え、回動可能に保持されたライダーアーム132の、一端にライダーローラー131が回転可能に保持され、他端にライダーアーム132を回動させるアーム回動シリンダ125を備えるとともに、ライダーアーム132の回転中心はライダーローラー131の上昇端よりも低い位置に配置される。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9