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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】フォトニック結晶面発光レーザ構造
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/11 20210101AFI20230125BHJP
   H01S 5/185 20210101ALN20230125BHJP
【FI】
H01S5/11
H01S5/185
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021157954
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】202110909231.4
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518382946
【氏名又は名称】業成科技(成都)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518426930
【氏名又は名称】業成光電(深セン)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521106407
【氏名又は名称】業成光電(無錫)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】518382968
【氏名又は名称】英特盛科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】盧 廷昌
(72)【発明者】
【氏名】洪 國彬
(72)【発明者】
【氏名】陳 立人
(72)【発明者】
【氏名】趙 天行
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-114553(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015633(WO,A1)
【文献】特開2002-141603(JP,A)
【文献】特開2016-178293(JP,A)
【文献】特開2006-332595(JP,A)
【文献】特開2008-118037(JP,A)
【文献】特開2000-106471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0190235(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0044365(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板に設けられるN型クラッド層と、
前記N型クラッド層に設けられる活性層と、
前記活性層を取り囲むように前記N型クラッド層に設けられ、電気的に絶縁され、前記活性層からの光を透過させ、且つ、その等価屈折率と前記活性層の等価屈折率とが実質的に同じである屈折率整合層と、
前記活性層及び前記屈折率整合層に設けられるフォトニック結晶構造と、
を備えるフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項2】
前記活性層の横方向長さは、前記フォトニック結晶構造の横方向長さよりも小さい請求項1に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項3】
前記活性層の断面積は、前記フォトニック結晶構造の断面積よりも小さい請求項1または2に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項4】
前記活性層は、前記フォトニック結晶構造の前記N型クラッド層への垂直投影領域内に位置する請求項1~の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項5】
前記屈折率整合層は、少なくとも一部が前記フォトニック結晶構造の前記N型クラッド層への垂直投影領域内に位置する請求項1~の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項6】
前記活性層の横方向長さは、6~10マイクロメートルである請求項1、3~5の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項7】
前記屈折率整合層は、前記活性層の側面に接触する請求項1~の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項8】
前記活性層は、前記フォトニック結晶構造に向かう頂面と、前記N型クラッド層に向かう底面と、を更に有し、前記側面は、前記頂面と前記底面との間に接続され、前記屈折率整合層は、前記活性層の前記頂面及び前記底面と離隔している請求項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項9】
前記活性層は、実質的に円柱体である請求項1~の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項10】
前記活性層及び前記屈折率整合層を覆う電子閉じ込め層を更に備える請求項1~の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項11】
前記フォトニック結晶構造に設けられるP型クラッド層と、前記P型クラッド層に設けられる第2の基板と、を更に備える請求項1~10の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項12】
前記第2の基板の前記P型クラッド層から離れた側に設けられるとともに、前記第2の基板の前記P型クラッド層から離れた表面に接触する金属電極を更に備える請求項11に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項13】
前記フォトニック結晶構造に設けられる透明導電層を更に備える請求項1~10の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項14】
前記透明導電層の前記フォトニック結晶構造から離れた側に設けられるとともに、前記透明導電層の前記フォトニック結晶構造から離れた表面に接触する金属電極を更に備える請求項13に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項15】
前記第1の基板の前記N型クラッド層から離れた側に設けられるとともに、前記第1の基板の前記N型クラッド層から離れた表面に接触する金属電極を更に備える請求項1~11及び13の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項16】
前記フォトニック結晶構造は、複数の周期的なホールを含む請求項1~15の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項17】
前記第1の基板、前記N型クラッド層及び前記活性層は、1つの方向に沿って配列され、前記周期的なホールは、前記方向に垂直である平面に沿って配列される請求項16に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項18】
前記周期的なホールの断面形状は、円形、四角形又は六角形である請求項16又は17に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【請求項19】
前記活性層は、量子井戸を含む請求項1~18の何れか一項に記載のフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォトニック結晶面発光レーザ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、医療、光通信及び工業加工等の分野で広く適用される。従来のレーザ構造では、発散角(divergence angle)が大き過ぎ、且つ閾値電流が大き過ぎるという問題が存在し、まだ解決されていない。
【発明の概要】
【0003】
これに鑑みて、本開示の目的の一つは、発散角が小さく閾値電流が小さいフォトニック結晶面発光レーザ構造を提案することである。
【0004】
上記の目的を達成するために、本開示のいくつかの実施形態によれば、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、第1の基板と、第1の基板に設けられるN型クラッド層と、N型クラッド層に設けられる活性層と、活性層を取り囲むようにN型クラッド層に設けられ、電気的に絶縁され、且つ、その等価屈折率と活性層の等価屈折率とが実質的に同じである屈折率整合層と、活性層及び屈折率整合層に設けられるフォトニック結晶構造と、を備える。
【0005】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、屈折率整合層は、活性層からの光を透過させる。
【0006】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層の横方向長さは、フォトニック結晶構造の横方向長さよりも小さい。
【0007】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層の断面積は、フォトニック結晶構造の断面積よりも小さい。
【0008】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層は、フォトニック結晶構造のN型クラッド層への垂直投影領域内に位置する。
【0009】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、屈折率整合層は、少なくとも一部がフォトニック結晶構造のN型クラッド層への垂直投影領域内に位置する。
【0010】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層の横方向長さは、6~10マイクロメートルである。
【0011】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、屈折率整合層は、活性層の側面に接触する。
【0012】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層は、フォトニック結晶構造に向かう頂面と、N型クラッド層に向かう底面と、を更に有し、活性層の側面は、頂面と底面との間に接続され、屈折率整合層は、活性層の頂面及び底面と離隔している。
【0013】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層は、実質的に円柱体である。
【0014】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、活性層及び屈折率整合層を覆う電子閉じ込め層を更に備える。
【0015】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、フォトニック結晶構造に設けられるP型クラッド層と、P型クラッド層に設けられる第2の基板と、を更に備える。
【0016】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、第2の基板のP型クラッド層から離れた側に設けられるとともに、第2の基板のP型クラッド層から離れた表面に接触する金属電極を更に備える。
【0017】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、フォトニック結晶構造に設けられる透明導電層を更に備える。
【0018】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、透明導電層のフォトニック結晶構造から離れた側に設けられるとともに、透明導電層のフォトニック結晶構造から離れた表面に接触する金属電極を更に備える。
【0019】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造は、第1の基板のN型クラッド層から離れた側に設けられるとともに、第1の基板のN型クラッド層から離れた表面に接触する金属電極を更に備える。
【0020】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、フォトニック結晶構造は、複数の周期的なホールを含む。
【0021】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、周期的なホールは、第1の基板、N型クラッド層及び活性層の配列方向に垂直である平面に沿って配列される。
【0022】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、周期的なホールの断面形状は、円形、四角形又は六角形である。
【0023】
本開示の1つ又は複数の実施形態において、活性層は、量子井戸を含む。
【0024】
以上を纏めると、本開示のフォトニック結晶面発光レーザ構造は、活性層を取り囲んで設けられた屈折率整合層を備え、屈折率整合層が電気的に絶縁され、且つ、屈折率整合層の等価屈折率と活性層の等価屈折率とが実質的に同じである。上記の構造配置によれば、レーザの発散角及び閾値電流を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
下記の添付図面についての説明は、本開示の上記及び他の目的、特徴、メリット並びに実施形態をより明らかで分かりやすくするためのものである。
図1A】本開示の一実施形態によるフォトニック結晶面発光レーザ構造を示す上面図である。
図1B図1Aに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の領域M内での拡大透視図である。
図1C図1Aに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の線分1-1’に沿う断面図である。
図2図1Cに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の各製造段階における断面図である。
図3図1Cに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の各製造段階における断面図である。
図4図1Cに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の各製造段階における断面図である。
図5図1Cに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の各製造段階における断面図である。
図6図1Cに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造の各製造段階における断面図である。
図7】本開示の別の実施形態によるフォトニック結晶面発光レーザ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面及び下記に示す各種の実施形態を参照することにより、本開示の説明をより詳しく完備にすることができる。図面における各素子は、縮尺通りに描いておらず、本開示を説明するために提供されるものに過ぎない。以下に説明される多くの実際的な細部は、本開示を全面的に理解するためのものであり、当業者であれば、1つ又は複数の実際的な細部がなくても本開示を実施できることを理解できるはずである。従って、これらの細部は、本開示を限定するものとすべきではない。
【0027】
図1A図1Cを参照されたい。図1Aは、本開示の一実施形態によるフォトニック結晶面発光レーザ構造100を示す上面図であり、図1Bは、図1Aに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造100の領域M内での拡大透視図であり、図1Cは、図1Aに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造100の線分1-1’に沿う断面図である。フォトニック結晶面発光レーザ構造100は、第1の方向Yに沿って積み重ねられた第1の基板110、N型クラッド層120、活性層130、屈折率整合層140、フォトニック結晶構造150、P型クラッド層160及び第2の基板170を備える。第1の基板110は、例えば、半導体基板であり、ヒ化ガリウム(GaAs)又は他の適切な半導体材料を含んでよい。N型クラッド層120は、第1の基板110に設けられる。活性層130及び屈折率整合層140は、何れもN型クラッド層120に設けられる。いくつかの実施形態において、活性層130は、量子井戸を含み、フォトニック結晶面発光レーザ構造100に通電する時に発光するように配置される。
【0028】
いくつかの実施形態において、N型クラッド層120は、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、リン化ヒ化インジウムガリウム(InGaAsP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、ヒ化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInAs)、リン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、ヒ化窒化インジウムガリウム(InGaNAs)、ヒ化ガリウムアンチモン(GaAsSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化アルミニウム(AlP)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)、他の適切な半導体材料又は上記材料の任意の組み合わせを含む。
【0029】
図1A図1Cに示すように、フォトニック結晶構造150は、活性層130及び屈折率整合層140に設けられる。活性層130からの光は、フォトニック結晶構造150において共振してレーザビームLBを生じ、レーザビームLBを第1の方向Yに沿ってフォトニック結晶面発光レーザ構造100の頂部から出射させる。
【0030】
図1A図1Cに示すように、いくつかの実施形態において、フォトニック結晶構造150は、ベース151及び複数の周期的なホール152を含む。ベース151は、ヒ化ガリウム(GaAs)又は他の適切な半導体材料を含んでよいが、周期的なホール152は、ベース151の活性層130及び屈折率整合層140から離れた側に形成され、且つ、第1の方向Yに実質的に垂直である第2の方向Xに沿って配列される。いくつかの実施形態において、周期的なホール152は、第1の方向Yに垂直である平面に沿って配列される。いくつかの実施形態において、周期的なホール152の断面形状は、円形、四角形又は六角形であってよい。
【0031】
図1A図1Cに示すように、P型クラッド層160は、フォトニック結晶構造150に設けられるが、第2の基板170は、P型クラッド層160に設けられる。第2の基板170は、例えば、P-GaAsのようなP型半導体材料を含んでよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、P型クラッド層160は、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、リン化ヒ化インジウムガリウム(InGaAsP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、ヒ化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInAs)、リン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、ヒ化窒化インジウムガリウム(InGaNAs)、ヒ化ガリウムアンチモン(GaAsSb)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化アルミニウム(AlP)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)、他の適切な半導体材料又は上記材料の任意の組み合わせを含む。
【0033】
図1A図1Cに示すように、屈折率整合層140は、活性層130を取り囲んで設けられる。活性層130は、例えば、円柱体であり、上面視で円形となる。屈折率整合層140は、活性層130の底面(即ち、活性層130のN型クラッド層120に向かう表面)及び頂面(即ち、活性層130のフォトニック結晶構造150に向かう表面)と離隔し、活性層130の側面(即ち、活性層130の頂面と底面との間に接続される表面)に接触する。屈折率整合層140は、電気的に絶縁されるため、フォトニック結晶面発光レーザ構造100に通電する時に、電流が活性層130のみを通る。屈折率整合層140は、能動的に発光しないし、光を吸収することもない。なお、屈折率整合層140の等価屈折率と活性層130の等価屈折率とは実質的に同じである。上記の構造配置によれば、レーザの発散角及び閾値電流を小さくすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、屈折率整合層140は、誘電材料又は非導電又は高インピーダンスの半導体材料(例えば、アンドープ半導体材料、又は、ドープ半導体材料、例えば、GaNにFeをドープしたもの)を含む。いくつかの実施形態において、屈折率整合層140は、活性層130からの光を透過させる。
【0035】
図1A図1Cに示すように、いくつかの実施形態において、活性層130の横断面(即ち、活性層130の第1の方向Yに垂直である断面)の面積は、フォトニック結晶構造150の横断面(即ち、フォトニック結晶構造150の第1の方向Yに垂直である断面)の面積よりも小さい。フォトニック結晶面発光レーザ構造100に通電する時に、電流が範囲の小さい活性層130に注入されるが、発光領域が範囲の大きいフォトニック結晶構造150まで広がることができる。いくつかの実施形態において、屈折率整合層140の断面積と活性層130の断面積との比は、1.5~100の範囲内にある。
【0036】
図1A図1Cに示すように、いくつかの実施形態において、活性層130の横方向長さW1は、フォトニック結晶構造150の横方向長さW2よりも小さく、横方向長さは、第2の方向Xにおける長さを示す。いくつかの実施形態において、活性層130の横方向長さW1は、6~10マイクロメートルである。活性層130が円柱体である実施形態において、横方向長さW1は、活性層130の直径に相当する。
【0037】
図1A図1Cに示すように、いくつかの実施形態において、活性層130は、フォトニック結晶構造150のN型クラッド層120への垂直投影領域内に位置し、垂直投影領域は、第1の方向Yの逆方向に沿って投影した領域を示す。いくつかの実施形態において、活性層130を取り囲んで設けられた屈折率整合層140は、少なくとも一部がフォトニック結晶構造150のN型クラッド層120への垂直投影領域内に位置する。
【0038】
図1A図1Cに示すように、いくつかの実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造100は、活性層130及び屈折率整合層140を覆うとともに、フォトニック結晶構造150と活性層130及び屈折率整合層140との間に位置する電子閉じ込め層180を更に備える。
【0039】
図1A図1Cに示すように、いくつかの実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造100は、第1の電極101及び第2の電極102を更に備える。第1の電極101は、第1の基板110のN型クラッド層120から離れた側に設けられるとともに、第1の基板110のN型クラッド層120から離れた表面に接触する。第2の電極102は、第2の基板170のP型クラッド層160から離れた側に設けられるとともに、第2の基板170のP型クラッド層160から離れた表面に接触する。いくつかの実施形態において、第1の電極101及び第2の電極102は、金属電極である。いくつかの実施形態において、第2の電極102は、環状構造を含み、その中心に、レーザビームLBが通る開口を有する。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1の電極101及び第2の電極102は、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、銀(Ag)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ベリリウム金(AuBe)、ベリリウムゲルマニウム(BeGe)、ニッケル(Ni)、鉛スズ(PbSn)、クロム(Cr)、金亜鉛(AuZn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、他の適切な導電材料又は上記材料の任意の組み合わせを含む。
【0041】
以下、フォトニック結晶面発光レーザ構造100の製造方法について説明する。
【0042】
図2図6を参照されたく、図2図6は、図1Cに示すフォトニック結晶面発光レーザ構造100の各製造段階における断面図である。フォトニック結晶面発光レーザ構造100の製造方法は、ステップS1~ステップS11を含む。
【0043】
図2に示すように、まず、ステップS1において、積み重ねて設けられる第1の基板110、N型クラッド層120及び活性層130を形成する。第1の基板110、N型クラッド層120及び活性層130は、第1の方向Yに沿って配列され、且つ、活性層130は、N型クラッド層120の上面を覆う。いくつかの実施形態において、ステップS1は、エピタキシャル成長により、積み重ねて設けられる第1の基板110、N型クラッド層120及び活性層130を形成することを含む。
【0044】
図3に示すように、続いて、ステップS3において、活性層130を取り囲んで設けられる屈折率整合層140を形成する。いくつかの実施形態において、ステップS3は、ステップS2で形成された活性層130の外縁をエッチングしてから、エピタキシャル成長により、活性層130の全周に屈折率整合層140を形成することを含む。いくつかの実施形態において、ステップS3は、屈折率整合層140を形成するように、活性層130に量子井戸混合(quantum well intermixing)を実行することを含む。
【0045】
図4に示すように、続いて、ステップS5において、活性層130及び屈折率整合層140に、積み重ねて設けられる電子閉じ込め層180及び半導体層150A(例えば、P-GaAs)を形成する。電子閉じ込め層180及び半導体層150Aは、第1の方向Yに沿って配列され、且つ、半導体層150Aは、電子閉じ込め層180の上面を覆う。いくつかの実施形態において、ステップS5は、エピタキシャル成長により、活性層130及び屈折率整合層140に、積み重ねて設けられる電子閉じ込め層180及び半導体層150Aを形成することを含む。
【0046】
図5に示すように、続いて、ステップS7において、半導体層150A内にフォトニック結晶構造150を形成する。いくつかの実施形態において、ステップS7は、一部の半導体層150Aを除去してフォトニック結晶構造150の周期的なホール152を形成することを含む。残された半導体層150Aは、フォトニック結晶構造150のベース151とされる。いくつかの実施形態において、ステップS7は、エッチング又はフォトリソグラフィにより、一部の半導体層150Aを除去してフォトニック結晶構造150の周期的なホール152を形成することを含む。
【0047】
図6に示すように、続いて、ステップS9において、フォトニック結晶構造150に、積み重ねて設けられるP型クラッド層160及び第2の基板170(例えば、P-GaAs)を形成する。P型クラッド層160及び第2の基板170は、第1の方向Yに沿って配列され、且つ、第2の基板170は、P型クラッド層160の上面を覆う。いくつかの実施形態において、ステップS9は、エピタキシャル成長により、フォトニック結晶構造150に、積み重ねて設けられるP型クラッド層160及び第2の基板170を形成することを含む。
【0048】
再び図1Cを参照されたく、最後に、ステップS11において、第1の電極101及び第2の電極102を形成し、第1の電極101は、第1の基板110のN型クラッド層120から離れた側に設けられるとともに、第1の基板110のN型クラッド層120から離れた表面に接触する。第2の電極102は、第2の基板170のP型クラッド層160から離れた側に設けられるとともに、第2の基板170のP型クラッド層160から離れた表面に接触する。いくつかの実施形態において、ステップS11は、堆積により、第1の基板110のN型クラッド層120から離れた表面に第1の電極101を形成し、且つ第2の基板170のP型クラッド層160から離れた表面に第2の電極102を形成することを含む。
【0049】
図7を参照されたく、図7は、本開示の別の実施形態によるフォトニック結晶面発光レーザ構造200を示す断面図である。本実施形態と図1Cに示す実施形態との相違点は、フォトニック結晶面発光レーザ構造200がP型クラッド層160及び第2の基板170の代わりに透明導電層290を備えることにある。透明導電層290は、フォトニック結晶構造150の活性層130から離れた側を覆い、第2の電極102は、透明導電層290に設けられるとともに、透明導電層290のフォトニック結晶構造150から離れた表面に接触する。
【0050】
いくつかの実施形態において、フォトニック結晶面発光レーザ構造200の製造方法は、フォトニック結晶構造150を形成した後に、フォトニック結晶構造150の前記活性層130から離れた側に透明導電層290をメッキすることを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、透明導電層290は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウムガリウムインジウムスズ(AlGaInSnO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化亜鉛スズ(SnZnO)、グラフェン(Graphene)、他の適切な透明導電材料又は上記材料の任意の組み合わせを含む。上記材料は、可視光波長域及び赤外光波長域で優れた透過率を有し、レーザビームLBを発することに寄与する。
【0052】
以上を纏めると、本開示のフォトニック結晶面発光レーザ構造は、活性層を取り囲んで設けられた屈折率整合層を備え、屈折率整合層が電気的に絶縁され、且つ、屈折率整合層の等価屈折率と活性層の等価屈折率とが実質的に同じである。上記の構造配置によれば、レーザの発散角及び閾値電流を小さくすることができる。
【0053】
本開示は実施形態を前述の通りに開示したが、上記の実施形態は本開示を限定するものではなく、当業者であれば、本開示の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0054】
100、200 フォトニック結晶面発光レーザ構造
101 第1の電極
102 第2の電極
110 第1の基板
120 N型クラッド層
130 活性層
140 屈折率整合層
150 フォトニック結晶構造
150A 半導体層
151 ベース
152 周期的なホール
160 P型クラッド層
170 第2の基板
180 電子閉じ込め層
290 透明導電層
LB レーザビーム
M 領域
W1、W2 横方向長さ
X 第2の方向
Y 第1の方向
【要約】
【課題】フォトニック結晶面発光レーザ構造を提供する。
【解決手段】基板と、基板に設けられるN型クラッド層と、N型クラッド層に設けられる活性層と、活性層を取り囲むようにN型クラッド層に設けられ、電気的に絶縁され、且つ、その等価屈折率と活性層の等価屈折率とが実質的に同じである屈折率整合層と、活性層及び屈折率整合層に設けられるフォトニック結晶構造と、を備えるフォトニック結晶面発光レーザ構造。
【選択図】図1C
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7