(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
B65D 41/26 20060101AFI20230125BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20230125BHJP
B65D 1/32 20060101ALI20230125BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65D41/26
B65D47/20 220
B65D1/32
B65D23/00 C
(21)【出願番号】P 2021203427
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2022-04-19
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(72)【発明者】
【氏名】荒木 謙一郎
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227193(JP,A)
【文献】特開2018-090279(JP,A)
【文献】特開2003-040309(JP,A)
【文献】特開2017-149476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0008919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/26
B65D 47/20
B65D 1/32
B65D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧搾操作による容器本体の弾性変形に伴いノズルから液状の内容物を注出可能な容器と、
前記内容物を収容可能なカップとを具備し、
前記ノズルの先端が前記カップの開口側から内側底面に接近するように前記容器を移動させたときに、前記ノズルの先端が前記カップの内側底面に到達するまでの間に、前記容器又は前記カップの何れか一方に設けた、他方に向かって
棒状に突出する柱の先端面に形成される当接部を、他方に設けた被当接部に当接させると、この当接により、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離が一定に維持されるように構成し、
前記被当接部は相互に異なる高さ位置に複数設けられてい
て、
前記容器は前記柱を有し、
前記カップの内側又は外側に、その上面が前記被当接部となり、相互に高さの異なる複数の段を設けてある計量装置。
【請求項2】
前記容器又は前記カップの少なくとも一方に、維持される前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離に対応する前記内容物の収容量を表示してある請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記柱は前記ノズルを挟む位置に該ノズルと略平行に延びるように一対設けられ、前記ノズルと前記一対の柱とは柱よりも薄い補強壁によって連結してある請求項1又は2に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液状の薬品(水薬、うがい薬等)、調味料、洗剤等の液体の計量に用いて好適な計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に入った液体を所定量使用する場合、目盛入りの計量カップを用いて計量することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の方法では、正確に計量するには、計量カップを平らなところに置き、計量カップに注入した液体の液面に目の高さを合わせる必要があるが、大抵の場合、そのためには中腰にならなければならず負担が掛かる。そこで、この負担を避けるために、例えば計量カップを平らなところに置かずに手に持ったまま計量すると、計量カップが水平にならずに誤差が発生し易い。しかも、中腰になる負担を厭わずに計量を行う場合であっても、容器から計量カップに注入した液体の液位が所定の目盛線の位置にあるか否かを目視しながらその注入量を調整する必要があるこの計量作業の性質上、液体の過不足が生じ易く、計量について万全の正確さを期そうとするとかなりの労力が掛かることは避けられない。また、特に、この計量作業を行う者の視力が疲労や病気等によって低下している場合、なおさら計量に手間や労力が掛かったり誤差が発生したりし易くなる。
【0005】
そこで、容器の弾性圧搾により容器内の液体がその上方にある定量カップにまで上昇するようにし、このようにして定量カップ内に至った液体は所定量のみがその場に残留し、余剰の液体は容器内に流下する、所謂オーバーフロー型の計量装置が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この種の計量装置は総じて構造が複雑であり、製造コストが高く、かつ、洗浄し難い傾向にある。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、正確な計量を簡便に行え、構成の簡素化を図ることも容易な計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る計量装置は、圧搾操作による容器本体の弾性変形に伴いノズルから液状の内容物を注出可能な容器と、前記内容物を収容可能なカップとを具備し、前記ノズルの先端が前記カップの開口側から内側底面に接近するように前記容器を移動させたときに、前記ノズルの先端が前記カップの内側底面に到達するまでの間に、前記容器又は前記カップの何れか一方に設けた、他方に向かって棒状に突出する柱の先端面に形成される当接部を、他方に設けた被当接部に当接させると、この当接により、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離が一定に維持されるように構成し、前記被当接部は相互に異なる高さ位置に複数設けられていて、前記容器は前記柱を有し、前記カップの内側又は外側に、その上面が前記被当接部となり、相互に高さの異なる複数の段を設けてある(請求項1)。
【0008】
上記計量装置において、前記容器又は前記カップの少なくとも一方に、維持される前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離に対応する前記内容物の収容量を表示してあってもよい(請求項2)。
【0009】
上記計量装置において、前記柱は前記ノズルを挟む位置に該ノズルと略平行に延びるように一対設けられ、前記ノズルと前記一対の柱とは柱よりも薄い補強壁によって連結してあってもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、正確な計量を簡便に行え、構成の簡素化を図ることも容易な計量装置が得られる。
【0011】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の計量装置では、例えば平らなところに置いたカップに対してノズルの先端が下を向くように保持した容器をその上方から近づける際、当接部を被当接部に当接させると、この当接により、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離が一定に維持される。この状態で容器本体を圧搾操作して、ノズルからカップ内に液状の内容物を注入し、必要に応じてこの圧搾操作を繰り返すことにより、カップ内の内容物の液位がノズルの先端までくれば、カップ内に所定量(この量を所望の量とするには、当接部及び被当接部の位置関係を適宜設定するだけでよい)の内容物が収容されたことになり、計量が完了する。内容物をカップ内に注入し過ぎた場合も、圧搾操作によって弾性変形している容器本体への圧搾力の付加を解除すれば、容器本体は弾性復元しようとし、これに伴い、容器本体内は減圧状態となるので、ノズル先端よりも上側にある内容物はノズルから容器本体内に吸引され、カップ内には所定量の内容物のみが残留することになる。このように、本発明の計量装置では、正確な計量を極めて簡便に行える。
【0012】
しかも、本発明の計量装置では、容器、カップに設ける当接部、被当接部に複雑な構造を持たせる必要は無いので、構成の簡素化を図ることも容易であり、ひいては、製造コストの低減や洗浄性の向上を図ることも可能である。
【0013】
請求項1に係る発明の計量装置では、被当接部を相互に異なる高さ位置に複数設けてあり、当接部を当接させる被当接部を変えることにより、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離を複数に変更可能となり、つまりは計量容量を可変とすることができる。
【0014】
請求項2に係る発明の計量装置では、容器又はカップに設けた内容物の収容量の表示を目視して、計量容量を直ちに把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)は本発明の一実施の形態に係る計量装置の斜視図であり、(A)では計量装置の容器とカップとが離間し、(B)では接近している。(C)は(B)の状態の計量装置の要部の縦断面図である。
【
図2】(A)は前記計量装置の試作品の写真、(B)及び(C)は1ml計量時及び2ml計量時の前記試作品の要部の写真、(D)は前記試作品の要部の写真、(E)は前記試作品の要部にオーバーキャップを被せた状態を示す写真、(F)は前記試作品の要部の写真に説明等を記入したものである。
【
図3】(A)は前記カップの内側面の展開図、(B)~(F)はそれぞれ異なる被当接部に当接部を当接させた状態の計量装置の要部の説明図である。
【
図4】(A)~(C)は前記計量装置の変形例の説明図である。
【
図5】(A)及び(B)は前記計量装置の他の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0017】
図1(A)~(C)に示す計量装置は、容器1内に収容した液体(液状の内容物)A(
図3(B)参照)をカップ2に注入する際に、同時にその液体Aの計量作業をも行えるようにしたものである。
【0018】
図1(A)に示すように、容器1は、容器本体3と、この容器本体3の開口(図示していない)を閉塞する蓋体4とを具備する。
【0019】
容器本体3は、圧搾力を付加する圧搾操作によりその体積が減少するように弾性変形し、圧搾力の付加を解除すると弾性復元する(元の形状に戻る)スクイズボトルであり、可撓性材料によって構成してある。
【0020】
蓋体4は、その先端面から突出するノズル5と一対の柱6とを有する(
図1(C)、
図2(A)、(D)、
図3(B)も参照)。ノズル5は、圧搾操作による容器本体3の弾性変形に伴い容器本体3内の液体Aを外部に注出可能に構成してある。一対の柱6は、ノズル5を挟む位置においてノズル5と略平行に延びており、ノズル5よりも短い。また、ノズル5と一対の柱6とは、柱6よりも薄い補強壁7によって連結してある。
【0021】
一方、カップ2は、
図1(A)及び(C)に示すように、略円筒状の外壁8と、この外壁8の内周面上部から内方に向かって延びる天壁9と、この天壁9の内側端から下方に向かって延びる略筒状の内壁10と、この内壁10の下端を塞ぐように延びる平面視略円形の底壁11とを有する。
【0022】
図3(A)に示すように、天壁9は外壁8の周方向に階段状に延び、その半周の間に、最も高い段9aから最も低い段9eに向かってその高さが徐々に下がり(本例では5段階に高さが変わる)、各段9a~9eの対向する位置には同じ高さの段9a~9eが位置するように構成してある。すなわち、天壁9を複数対(本例では5対)の段9a~9eによって構成してある。
【0023】
以下、本例の計量装置の構成のより詳細な説明も兼ねて、この計量装置を用いた計量方法について説明する。この計量方法は、下の工程(1)~(3)を実行するものである。
【0024】
(1)まず、天壁9で囲まれる開口が上を向くように(底壁11が下側にくるように)平らなところに置いたカップ2に対してノズル5の先端が下を向くように保持した容器1をその上方から近づける(
図1(A)、(B)参照)。
【0025】
(2)そして、一対の柱6の先端面(当接部の一例)を天壁9の例えば一対の段9aの上面(被当接部の一例)に当接(面接触)させると、この当接により、カップ2の内側底面(底壁11の上面)からノズル5の先端までの距離が一定に維持される(
図3(B)参照)。なお、上記当接は、ノズル5の先端がカップ2の内側底面に到達するまでの間に行われるように構成する。
【0026】
(3)この状態で容器本体3を圧搾操作して、ノズル5からカップ2内に液体Aを注入し、必要に応じてこの圧搾操作を繰り返すことにより、カップ2内の液体Aの液位がノズル5の先端までくれば、カップ2内に所定量の液体Aが収容されたことになり、計量が完了する。液体Aをカップ2内に注入し過ぎた場合も、圧搾操作によって弾性変形している容器本体3への圧搾力の付加を解除すれば、容器本体3は弾性復元しようとし、これに伴い、容器本体3内は減圧状態となるので、ノズル5先端よりも上側にある液体Aはノズル5から容器本体3内に吸引され、カップ2内には所定量の液体Aのみが残留することになる。
【0027】
ここで、上述のように、天壁9は複数対の段9a~9eによって構成してあり、上記工程(2)において、一対の柱6の先端面をどの段9a~9eの上面に当接させるかにより、カップ2の内側底面(底壁11の上面)からノズル5の先端までの距離は変わり(
図3(B)~(F)参照)、計量容量(カップ2に収容される液体Aの容量)も変わる。そして、本例での計量容量は、最も高い段9aに当接させたときに3ml、2番目に高い段9bに当接させたときに2.5ml、3番目に高い段9cに当接させたときに2ml(
図2(C)も参照)、4番目に高い段9dに当接させたときに1.5ml、最も低い段9eに当接させたときに1ml(
図2(B)も参照)となるように構成してあり、外壁8の外周面における各段9a~9eに対応する位置に、各段9a~9eに対応する液体Aの収容量を表示してある(
図1(A)及び(B)参照)。なお、このように、各段9a~9eに対応する計量容量を所望の量とするには、一対の柱6の長さ及び各段9a~9eの高さを適宜設定すればよい。
【0028】
上記のように、本例の計量装置では、正確な計量を極めて簡便に行える。
【0029】
しかも、本例の計量装置では、容器1に設ける柱6、カップ2に設ける段9a~9e等に複雑な構造を持たせる必要は無いので、構成の簡素化を図ることも容易であり、ひいては、製造コストの低減や洗浄性の向上を図ることも可能である。
【0030】
さらに、本例の計量装置では、カップ2の外面に設けた収容量の表示を目視して、計量容量を直ちに把握することができる。
【0031】
以下、本例の計量装置のより具体的な構成の説明ないし補足説明を行う。
【0032】
図1(A)に示すように、蓋体4の外周面には雄ねじ4aを設けてあり、これに螺合する雌ねじを有するオーバーキャップ12を蓋体4に着脱自在としてある(
図2(D)及び(E)参照)。オーバーキャップ12は、蓋体4全体を覆うように装着され、また、その外周面には計量用の目盛りを設けてある。なお、計量用の目盛りを、容器本体3に設けるようにしてもよい。
【0033】
本例では、
図1(A)に示すようにノズル5の先端が下を向くように容器1を保持した際、ノズル5から液体Aが垂れ難い構造としてある。具体的には、
図3(F)に示すように、ノズル5を、長さが例えば10~15mmの円筒部13と、この円筒部13の先端側に連なり円筒部13よりも小径かつ短い半球状の口部14とで構成し、円筒部13内の空気(水の張力で塞がれる空気)を押し出す力である重力(液圧)と容器1内の負圧の均衡がとれ、液体Aが滴下し難くしてある(
図2(F)参照)。
【0034】
ここで、円筒部13の外周面は、根元側から先端側に向けて先細となっている。また、円筒部13及び口部14の内部には、これらを軸方向(上下方向)に貫き、液体Aの通路となる貫通孔を設けてあり、円筒部13における通路の内径(例えば3~6mm)より口部14における通路の内径(例えば0.5~2.5mm)の方が小さくなるようにしてある。なお、円筒部13及び口部14内の上記各通路は、ノズル5の根元側から先端側に向かって先細となっていてもよいし、全体にわたって均一となっていてもよい。
【0035】
ノズル5は理想的には容器本体1の圧搾操作時のみに液体Aを注出する機能を有するものであればよく、ノズル5に、そうした機能を有する種々の公知の構成を採用可能である。
【0036】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0037】
上記実施の形態では、カップ2に段9a~9eを設け、計量容量を5段階に調整可能としてあるが、これに限らず、例えば段9a~9eを増減し、6段階以上または4段階以下の調整が可能となるようにしてもよい。
【0038】
上記実施の形態では、一対の柱6を一対の段9a~9eに当接(面接触)させるように構成してあり、当接状態の安定性を高めてあるが、これに限らず、例えば、柱6を一対ではなく一つのみ設け、いずれかの段9a~9eに当接(面接触)させるようにしてもよく、あるいは柱6及び段9a~9eをそれぞれ三つ以上一組として設けるようにしてもよい。
【0039】
上記実施の形態では、カップ2の内側に各段9a~9eを設けてあるが、これに限らず、例えば
図4(A)に示すように、カップ2の外側に相互に高さの異なる複数の段9a~9eを設けるようにしてもよい。この場合も、
図4(B)及び(C)に示すように、一対の柱6を当接させる段9a~9eを変更することにより、計量容量を変えることができる。なお、この場合、
図3(A)に示す補強壁7を設けると、カップ2に対するノズル5の挿入の邪魔になる場合には、補強壁7の全部又は一部を無くすようにしてもよい。
【0040】
上記実施の形態では、柱6を容器1側に、段9a~9eをカップ2側に設けてあるが、これに限らず、例えば
図5(A)及び(B)に示すように、柱6をカップ2側に、段9a~9eを容器1側に設けるようにしてもよい。この場合、計量容量の表示をカップ2ではなく容器1側に設けるようにすることが考えられる。
【0041】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 容器
2 カップ
3 容器本体
4 蓋体
4a 雄ねじ
5 ノズル
6 柱
7 補強壁
8 外壁
9 天壁
9a~9e 段
10 内壁
11 底壁
12 オーバーキャップ
12a 雌ねじ
13 円筒部
14 口部
A 液体
【要約】
【課題】正確な計量を簡便に行え、構成の簡素化を図ることも容易な計量装置を提供すること。
【解決手段】圧搾操作による容器本体3の弾性変形に伴いノズル5から液状の内容物を注出可能な容器1と、前記内容物を収容可能なカップ2とを具備し、前記ノズル5の先端が前記カップ2の開口側からその内側底面に接近するように前記容器1を移動させたときに、前記ノズル5の先端が前記カップ2の内側底面に到達するまでの間に、前記容器1又は前記カップ2の何れか一方に設けた当接部6と、他方に設けた被当接部9a~9eとを当接させると、この当接により、前記カップ2の内側底面から前記ノズル5の先端までの距離が一定に維持されるように構成した。
【選択図】
図1