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  • 特許-化粧品物質を人の皮膚に塗布する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】化粧品物質を人の皮膚に塗布する方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/04 20060101AFI20230125BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230125BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B05D1/04 K
B05D3/00 D
B05D7/00 K
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021522961
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019078958
(87)【国際公開番号】W WO2020084025
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】102018126568.9
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】318011417
【氏名又は名称】ジェイ. ワグナー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティン ランゲン
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-279322(JP,A)
【文献】特開2008-264728(JP,A)
【文献】特許第6140877(JP,B2)
【文献】米国特許第9814297(US,B1)
【文献】特表2017-529319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
A45D 34/00-34/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品物質(S)を静電噴霧するデバイス(10)を使用して、前記化粧品物質(S)を人(P)の皮膚(H)に塗布する方法であって、前記化粧品物質(S)を静電噴霧するために、噴霧される前記化粧品物質(S)の粒子または液滴が、高電圧電極によって帯電され、電界力によって、処置される前記人(P)の皮膚(H)上に方向付けられ、前記皮膚(H)が前記デバイス(10)に対して接地され、
前記デバイス(10)が、
前記化粧品物質(S)の容器(20)と、
前記化粧品物質(S)を噴霧するノズル構成(30)と、
前記化粧品物質(S)を前記容器(20)から前記ノズル構成(30)へと搬送する搬送装置(40)と、
少なくとも1つの高電圧電極を有する高電圧源(50)と、
測定値および/または基準値を処理するプロセッサ(70)と、
前記測定値を測定するための少なくとも1つのセンサ(60)と、
前記測定値および/または基準値を格納するメモリ(80)と、
前記測定値および/または基準値を外部データ処理装置(100)に伝送する、かつ/または他の測定値、前記人(P)の個人データ、外部データおよび/または他の基準値を前記外部データ処理装置(100)から受信する送受信ユニット(90)と、
を備え、
前記方法が、
a)前記測定値、基準値、他の測定値、前記人(P)の個人データ、外部データおよび/または他の基準値が、獲得および/または確定され、前記プロセッサ(70)に送信されるステップと、
b)前記プロセッサ(70)が、前記測定値、前記基準値、前記他の測定値、前記人(P)の前記個人データ、前記外部データおよび/または前記他の基準値を処理して、少なくとも1つの結果を作成するステップと、
c)前記プロセッサ(70)が、前記搬送装置(40)を調整することによって、および/または前記高電圧源(50)を調整することによって、前記結果を、前記デバイス(10)から噴霧される前記化粧品物質(S)の出力量を変更する基準とするステップと、
を有し、
前記測定値が、前記デバイス(10)が人(P)によって保持されて動かされている間の前記デバイス(10)の速度、加速、減速および/または傾斜である方法。
【請求項2】
前記プロセッサ(70)が、前記ノズル構成(30)に影響を及ぼすことによって、噴霧される前記化粧品物質(S)の出力量を変更し、前記ノズル構成(30)に影響を及ぼすことは、ノズル断面、ノズル構成、ノズルの向き、または係合されるノズルの数を変化させることである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
噴霧される前記化粧品物質(S)の出力量がリアルタイムの前記結果に基づいて変更される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
記測定値が、前記化粧品物質(S)を前記人(P)の前記皮膚(H)に塗布する間に、前記少なくとも1つのセンサ(60)によって獲得される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ(60)が、前記デバイス(10)が人(P)によって保持されて動かされている間に、前記デバイス(10)の速度、加速、減速および/または傾斜を獲得する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサ(60)が、前記デバイス(10)の前記高電圧源(50)で電圧を獲得する請求項4に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの更なるセンサ(66)が前記他の測定値を獲得する請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサ(70)が、前記少なくとも1つの結果を計算する際、前記他の測定値を考慮に入れる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プロセッサ(70)が、前記少なくとも1つの結果を計算する際、前記人(P)の前記個人データを考慮に入れる請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記人(P)の前記個人データが、前記外部データ処理装置(100)に入力され、かつ/あるいはデータベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、前記外部データ処理装置によって確定される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセッサ(70)が、前記少なくとも1つの結果を計算する際、前記外部データを考慮に入れる請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
記外部データが、前記外部データ処理装置(100)に入力されるか、または、データベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、前記外部データ処理装置によって確定される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセッサ(70)が、前記少なくとも1つの結果を計算する際、前記測定値、前記他の測定値、前記人(P)の前記個人データおよび/または前記外部データを前記基準値と比較する請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイス(10)および/または前記人(P)の運動プロファイルが、請求項4に記載の前記少なくとも1つのセンサ(60)の前記測定値、請求項7に記載の前記少なくとも1つの更なるセンサ(66)の前記他の測定値、前記人(P)の前記個人データ、前記外部データおよび/または前記プロセッサによって確定された前記結果から確定され、各運動プロファイルが人(P)に割り当てられる請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
在確定されているかまたは計算された前記運動プロファイルが格納された運動プロファイルと比較され、前記格納された運動プロファイルと少なくとも部分的に一致した場合に、前記デバイス(10)から噴霧される前記化粧品物質(S)の出力量が適応または変更される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記人(P)の皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルに関する情報が、前記測定値、前記他の測定値、前記人(E)の前記個人データ、前記外部データ、前記プロセッサによって計算された前記結果、および/または前記デバイス(10)の、請求項14に記載の前記運動プロファイルから生成される請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記人(P)に適した日焼け防止指数に関する情報が、前記測定値、前記他の測定値、前記人(P)の前記個人データ、前記外部データ、前記プロセッサによって計算された前記結果、および/または前記デバイス(10)の、請求項14に記載の前記運動プロファイルから生成される請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記人(P)に適した化粧品物質(S)に関する情報が、前記測定値、前記他の測定値、前記人(P)の前記個人データ、前記外部データ、前記プロセッサによって計算された前記結果、および/または前記デバイス(10)の、請求項14に記載の前記運動プロファイルから生成される請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記人(P)に関する時間情報が、前記測定値、前記他の測定値、前記人(P)の前記個人データ、前記外部データ、前記プロセッサによって計算された前記結果、および/または前記デバイス(10)の、請求項14に記載の前記運動プロファイルから生成され、前記時間情報は、前記デバイスおよび/または前記外部データ処理装置によって、前記デバイスを使用していた人(P)に化粧品物質(S)の再塗布または繰り返しの塗布を思い出させるために用いられる請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記人(P)の、請求項16に記載の前記皮膚タイプおよび/もしくは請求項16に記載の前記皮膚プロファイルに関する前記情報、個人情報、適切な日焼け防止指数、適切な化粧品物質(S)および/または請求項19に記載の前記時間情報が、前記デバイス(10)の前記送受信ユニット(90)を用いて前記外部データ処理装置(100)から前記プロセッサ(70)に送信され、前記人(P)の前記個人データおよび/または前記外部データに追加される請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記人(P)が、前記デバイス(10)を使用した後、前記外部データ処理装置(100)に質問に対する応答を入力しなければならない請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記人(P)の前記応答が、前記外部データ処理装置(100)によって分析および/または評価され、更なる個人情報を作成するように処理され、前記更なる個人情報が、前記デバイス(10)の前記送受信ユニット(90)を用いて前記外部データ処理装置(100)から前記プロセッサ(70)に送信され、前記人(P)の前記個人データに追加される請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、化粧品物質を人の皮膚に塗布する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア製品、ローション、日焼け止め、セルフタンニングクリームなどの化粧品物質は、通常、手で人の皮膚に塗布される。かかる方法は、特に皮膚の広い範囲を処置する必要がある場合、時間がかかり、物質の相当部分が手で失われる。
【0003】
人が塗布することによる化粧品物質との接触を最小限に抑え、物質の改善された分布を得るため、化粧品物質を収容し、推進剤を使用してそれを霧化し噴霧する、ポンプスプレーまたは加圧式エアロゾル容器が販売されている。しかしながら、これの不利な点は、大部分の物質が皮膚に付くのではなくそのすぐ周りに行くことであり、それは望ましくない。
【0004】
より目標を定めて化粧品物質を人の皮膚に塗布するため、静電霧化をもたらす噴霧デバイスも設計されてきた。この場合、噴霧される物質の粒子または液滴は、高電圧電極を使用して帯電され、電界力に基づいて、処置される人の皮膚上に方向付けられ、皮膚は噴霧デバイスに対して接地される。
【0005】
本発明の文脈の中で、静電霧化は、高電圧の働きの効果を使用して物質を霧化または噴霧化する、全ての霧化または噴霧化プロセスを包含する。特に、電気流体力学的効果および界面動電効果も、このタイプの霧化の概念に包含される。本発明の文脈の中で、電気流体力学による霧化は静電霧化と見なすこともできる。
【0006】
この種の静電噴霧デバイスは、例えば、特許文献1に開示されているように、噴霧される製品の容器と、通常は容器内部のピストンまたは供給ポンプを動作させるための駆動部を有する搬送装置と、製品を分配するノズルと、物質またはその粒子および液滴を静電的に帯電させるため、関連する高電圧電極を有する高電圧源とを有する。
【0007】
列挙した塗布方法は全て、化粧品物質が皮膚に不均一に塗布される場合が多いという不利な点を有する。手による塗布は不正確な付与および制御しかできない。利用可能な噴霧デバイスは、実質的に一定の出力量で物質を送達するが、容器が皮膚の一部分に対して不均一に動かされるかまたは不正確に向き付けられた場合、同様に物質の分布が不均一になる。結果として、皮膚上に、塗布された物質が多すぎる、少なすぎる、または更には物質が塗布されない範囲が生じる。したがって、特に適正な用量が重要である場合、物質が最適な状態で働くことができない。
【0008】
化粧品物質を塗布するとき、特に日焼け止め製品、セルフタンニングクリーム、虫除け剤、ローションなどの場合、製品が比較的高価なので、更に材料が、意識的にまたは無意識に節約される場合が多い。規則的間隔で、または治癒もしくは保護作用を維持するのに、繰り返し塗布する必要がある物質の場合、繰り返しの塗布を順守することが忘れられる場合が多い。化粧品物質を人の皮膚に塗布する際の個人適応は不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2002/055211号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の不利な点を克服し、化粧品物質をできるだけ均一に、個々の人にとって最適な形で塗布するのを可能にする、化粧品物質を人の皮膚に塗布する方法を開発することである。方法は更に、個人適応を行い個人の必要性を満たすことができるものと考えられる。単純な設計であり、安価で実現されることが意図される。
【0011】
本発明の主な特徴は請求項1で指定される。改良は請求項2~24の主題である。
【0012】
解決策として、本発明は、化粧品物質を人の皮膚に塗布する方法であって、化粧品物質を静電噴霧するデバイスを使用して実施される方法を提案する。
【0013】
デバイスは、化粧品物質の容器と、化粧品物質を噴霧するノズル構成と、化粧品物質を容器からノズル構成へと搬送する搬送装置と、少なくとも1つの高電圧電極を有する高電圧源と、測定値および/または基準値を処理するプロセッサと、測定値を測定するための少なくとも1つのセンサと、測定値および/または基準値を格納するメモリと、測定値および/または基準値を外部データ処理装置に伝送する、かつ/あるいは他の測定値、人の個人データ、外部データおよび/または他の基準値を外部データ処理装置から受信する送受信ユニットとを有する。
【0014】
方法は以下のステップを含み、測定値が、デバイスが人によって保持されて動かされている間のデバイスの速度、加速、減速および/または傾斜である
・測定値、基準値、他の測定値、人の個人データ、外部データ、および/または他の基準値が、獲得および/または確定され、プロセッサに送信されるステップと、
・プロセッサが、測定値、基準値、他の測定値、人の個人データ、外部データ、および/または他の基準値を処理して、少なくとも1つの結果を作成するステップと、
・プロセッサが、搬送装置を調整することによって、および/または高電圧源を調整することによって、結果を、デバイスから噴霧される化粧品物質の出力量を変更する基準とするステップ。
【0015】
したがって、デバイスを使用して、個々の人にとって最適である、化粧品物質のほぼ均一な塗布を達成することが可能である。処置される皮膚の全ての範囲を完全に、常に十分かつ均一な量の化粧品物質で被覆することができ、その結果として、物質は所望のまたは意図される効果を最適な形でもたらすことができる。方法は、単純な構造を有し、単純な手段を使用して安価に実現することができる。
【0016】
プロセッサは、有利には、搬送装置を調整することによって、噴霧される化粧品物質の出力量を変更する。前記搬送装置は、搬送ポンプの形態であり、例えば、より高速またはより低速で動作させることができる。搬送装置が、化粧品物質の容器内のピストンを駆動する場合、前記ピストンをより高速またはより低速で移動させることができる。
【0017】
それに加えて、またはその代わりに、プロセッサは、高電圧源を調整することによって、噴霧される化粧品物質の出力量を変更することができる。これによってまた、噴霧される化粧品物質中の液滴径および分布を適応させることが可能になる。
【0018】
本発明による方法の更なる改良は、ノズル構成に影響を及ぼすことによって、噴霧される化粧品物質の出力量をプロセッサに変更させる。これは、例えば、ノズル断面、ノズル構成、ノズルの向き、または係合されるノズルの数を修正することによって行うことができる。
【0019】
化粧品物質の塗布に対する更なる改善は、噴霧される化粧品物質の出力量をリアルタイムの結果に基づいて変更することによって達成される。測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データおよび/または基準値の変化は、すぐに考慮に入れられ、出力量が適宜適応される。
【0020】
好ましい一実施形態では、デバイスは少なくとも1つのセンサを有し、測定値は、化粧品物質を人の皮膚に塗布する間に、少なくとも1つのセンサによって獲得される。これによって、化粧品物質の出力量を、デバイスを使用する人の個々の状況および必要性に適応させることも可能になる。
【0021】
便宜上、少なくとも1つのセンサは、デバイスの速度、加速、減速および/または傾斜を獲得する。
【0022】
例として、本発明の1つの設計では、噴霧される化粧品物質の出力量はデバイスの速度に基づいて変更され、速度が上昇すると、噴霧される化粧品物質の出力量は増加され、速度が低下すると、噴霧される化粧品物質の出力量は減少される。
【0023】
噴霧デバイスの移動速度は、結果として、1つまたは複数の設置されたセンサを用いて獲得される。確定された測定値はプロセッサに転送され、プロセッサは測定値を処理し、運動データを計算する。これらの運動データは、最適な噴霧量を変更する基準として用いられ、速度の変化にも、好ましくはリアルタイムで用いられる。
【0024】
本発明の代替のまたは更なる改良例では、噴霧される化粧品物質の出力量は、デバイスの加速および/または減速に基づいて変更される。この場合、デバイスの加速に対して、噴霧される化粧品物質の出力量が増加され、デバイスの減速に対して、噴霧される化粧品物質の出力量が減少される。
【0025】
本発明の更なる実施形態では、噴霧される化粧品物質の出力量は、基準点に対するデバイスの傾斜に基づいて変更され、基準点は、水平線、垂直線、または人の位置もしくはその上の基準点である。この場合、便宜的に、基準点に対するデバイスの傾斜が大きくなると、噴霧される化粧品物質の出力量が増加され、基準点に対するデバイスの傾斜が小さくなると、噴霧される化粧品物質の出力量が減少される。
【0026】
3つ全ての変形例において、個別または組み合わせのどちらであるかにかかわらず、デバイスを使用する人の皮膚は常に、塗布される化粧品物質の適正な層厚を有する。前記化粧品物質は、例えば日焼け止めであってもよい。皮膚は常に、適正な日焼け防止指数によって最適な形で保護される。
【0027】
本発明による方法の有利な発展例では、少なくとも1つのセンサは、デバイスの高電圧源で電圧を獲得することができる。
【0028】
好ましくは、各タイプの測定値に対して別個のセンサが提供され、複数のセンサを用いて、その測定値を組み合わせて1つの情報が作成され、それを1つの測定値に使用することもできる。
【0029】
更なる測定値を獲得する場合、プロセッサが、少なくとも1つの結果を計算する際、更なる測定値を考慮に入れることができるように、少なくとも1つの更なるセンサが提供されてもよい。
【0030】
少なくとも1つの更なるセンサは、例えば、気温、相対湿度、気圧、標高、デバイスの地理的位置などを獲得する。
【0031】
少なくとも1つの更なるセンサは、デバイス自体に受容されてもよい。しかしながら、外部データ処理装置に割り当てられ、そこに設置されてもよい。その場合、更なる測定値は、デバイスの送受信ユニットを用いて外部データ処理装置からプロセッサに送信される。
【0032】
本発明の1つの発展例は、プロセッサが、少なくとも1つの結果を計算する際、人の個人データを考慮に入れる。これによって、化粧品物質を塗布する方法を更に個人化し、人の個々の必要性に適応させることが可能になる。
【0033】
人の個人データは、好ましくは、適切なソフトウェアを備えた、外部データ処理装置、例えばコンピュータ、タブレットまたはスマートフォンに入力される。しかしながら、個人データは、データベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、外部データ処理装置によって確定することもできる。
【0034】
人の個人データは、デバイスの送受信ユニットを用いて外部データ処理装置からプロセッサに送信され、その結果として、前記プロセッサは、必要な場合、デバイスから噴霧される化粧品物質の出力量を適応させるかまたは変更することができる。
【0035】
人の個人データは、例えば、性別、年齢、身長、体重、肌のタイプ、肌の色、肌の分類、肌の敏感さ、国籍、自己保護時間(紅斑時間)などに関連することができる。
【0036】
本発明の更に別の実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つの結果を計算する際、更なる外部データを考慮に入れることもできる。
【0037】
更なる外部データは、外部データ処理装置に入力されるか、またはデータベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、前記外部データ処理装置によって確定され、その後、デバイスの送受信ユニットを用いて外部データ処理装置からプロセッサに送信される。
【0038】
更なる外部データは、季節、時刻、時間、日にち、その人がいる国、その人がいる地理的位置、気温、相対湿度、気圧、標高、UV指数、局部的なUV暴露などであることができる。
【0039】
UV指数値は、一般利用可能なデータベースから得ることができる。しかしながら、値は、デバイスの内蔵UVセンサから確定することもできる。
【0040】
本発明による方法の更なる重要な実施形態では、プロセッサは、少なくとも1つの結果を計算する際、測定値、更なる測定値、個人データ、および/または更なる外部データを基準値と比較する。前記基準値は、例えば、限界値として構成することができ、その結果として、特定のパラメータを上回るかまたは下回ることがなく、化粧品物質の出力量を適宜適応させることができる。
【0041】
基準値は、好ましくはメモリにファイリングされる。
【0042】
しかしながら、基準値は、それに加えてまたはその代わりに、外部データ処理装置に入力するか、あるいはデータベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、前記外部データ処理装置によって確定することもできる。
【0043】
基準値は、デバイスの送受信ユニットを用いて外部データ処理装置からプロセッサに送信される。
【0044】
方法の有利な変形例では、デバイスおよび/またはデバイスを保持する人の運動プロファイルは、少なくとも1つのセンサの測定値、少なくとも1つの更なるセンサの更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、および/またはプロセッサによって確定された結果から確定される。
【0045】
この運動プロファイルは、好ましくはプロセッサによって計算される。しかしながら、外部データ処理装置によって計算し、続いてデバイスおよびプロセッサに送信することもできる。
【0046】
各運動プロファイルは、便宜上、人または人のグループに割り当てられ、割当ては、個人データに基づいて、および/または外部データに基づいて行われる。
【0047】
各運動プロファイルもしくは選択された運動プロファイル、および/または人に対する運動プロファイルの割当ては、メモリにファイリングされる。しかしながら、プロファイルは、外部データ処理装置に外部から格納することもできる。
【0048】
このように、人、つまりデバイスのユーザを識別し、化粧品物質の出力量を適宜調節するかまたは適応させることが可能である。
【0049】
したがって、本発明による方法の重要な発展例は、現在確定されているかまたは計算された運動プロファイルを格納された運動プロファイルと比較すること、ならびに格納された運動プロファイルと少なくとも部分的に一致した場合に、デバイスから噴霧される化粧品物質の出力量を適応させるかまたは変更することを提供する。
【0050】
運動プロファイルの比較はプロセッサによって、および/または外部データ処理装置によって実施されるが、確定された運動プロファイルが格納された運動プロファイルと一致する必要がある程度または範囲を規定する必要がある。
【0051】
本発明の有利な発展例は、人の皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルに関する情報を、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、プロセッサによって計算された結果、および/またはデバイスの運動プロファイルから生成することを提供する。
【0052】
このように、化粧品物質の個々に最適な出力量を確定し実現することが可能なだけではない。それよりもむしろ、デバイスを使用したい人に、化粧品物質の選択に関して個々に推奨を提供することが可能である。
【0053】
人は、皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルを決定する目的で、更なる情報または詳細を外部データ処理装置に入力することができる。この目的のため、前記外部データ処理装置は適切なソフトウェアまたは適切なアプリを備える。更なる情報は、人の画像、人の顔の画像または人の皮膚の部分の画像を含むこともでき、それらは外部データ処理装置にロードされる。
【0054】
人からの情報および詳細は、外部データ処理装置によって分析および/または評価され、処理されて個人情報が作成される。
【0055】
したがって、化粧品物質の出力量の個人適応が可能なだけではない。方法は、データ処理装置またはデバイス自体を使用して、デバイスを使用する人または使用したい人に情報を送達することができる。この情報は、化粧品物質に関連することができ、またはデバイスが使用される手法、もしくはそれぞれの化粧品物質とともにデバイスを使用する頻度および間隔に関連することができる。
【0056】
本発明の更なる実施形態は、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、プロセッサによって計算された結果、および/またはデバイスの運動プロファイルから生成される、人に適した日焼け防止指数に関する情報を提供する。
【0057】
本発明の更に別の実施形態は、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、プロセッサによって計算された結果、および/またはデバイスの運動プロファイルから生成される、人に適した化粧品物質に関する情報を提供する。
【0058】
本発明の発展例はまた、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、プロセッサによって計算された結果、および/またはデバイスの運動プロファイルから生成される、人に関する時間情報を提供する。
【0059】
したがって、デバイスおよび/またはデータ処理装置は、デバイスを使用していた人にアプリケーションを更新するかまたは繰り返すことを思い出させ、その結果、化粧品物質を常に最適な手法で塗布し、最適な手法で働かせることができる。
【0060】
人の皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルに関する情報、個人情報、適切な日焼け防止指数、適切な化粧品物質ならびに/または時間情報は、好ましくは、プロセッサおよび/または外部データ処理装置によって決定される。
【0061】
特に有利には、人の皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルに関する情報、個人情報、適切な日焼け防止指数、適切な化粧品物質ならびに/または時間情報はまた、デバイスの送受信ユニットを用いて外部データ処理装置からプロセッサに送信され、人の個人データおよび/または更なる外部データに追加される。
【0062】
結果として、本発明による方法は、いずれの場合も、デバイスを使用して、自己学習診断を行い、人に最適な形で化粧品物質の出力量を常に適応させることができる。したがって、これは反復的に学習する方法である。
【0063】
したがって、本発明の更なる有利な設計は、デバイスが使用されている間、人の皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルに関する情報、個人情報、適切な日焼け防止指数、適切な化粧品物質に関する情報ならびに/または時間情報を、デバイスから噴霧される化粧品物質の出力量を適応させるかまたは変更する基礎として用いる、プロセッサを提供する。
【0064】
化粧品物質の使用および塗布を更に個別化、個人化および/または最適化するために、本発明による方法は、デバイスを使用した後、質問に対する応答を人によって外部データ処理装置に入力させる。
【0065】
人の応答は、外部データ処理装置によって分析および/または評価され、更なる個人情報を作成するように処理され、更なる個人情報は、デバイスの送受信ユニットを用いて外部データ処理装置からプロセッサに送信され、人の個人データに追加される。外部データ処理装置はまた、この目的のためにインストールされた、適切なソフトウェアまたは適切なアプリを有する。
【0066】
本発明の更なる設計は、デバイスをオンに切り替えてACパルスを生成させ、人から反射された信号をセンサまたは更なるセンサによって獲得させる。
【0067】
これによって、デバイスを、一人を超える人が、例えば家族内または友人同士で使用することが可能になる。人がデバイスを手に取り、スイッチをオンにするとすぐに、ACパルスがトリガされる。その「エコー」が人からデバイスに返信され、それが適切なセンサによって獲得される。この情報は、例えば、場合によっては更なる個人データを使用することによって、人を識別する基礎として用いることができる、身体の体積を計算するのに使用することができる。人が認識されるとすぐに、例えば使用アラームをリセットするために、使用データを自動的に適正に割り当てることができる。
【0068】
デバイスは、便宜上、化粧品物質の容器と、化粧品物質を噴霧するノズル構成と、化粧品物質を容器からノズル構成へと搬送する搬送装置と、高電圧源と、測定値、データおよび/または基準値を処理するプロセッサと、測定値、データおよび/または基準値を格納するメモリと、測定値、データおよび/または基準値を外部データ処理装置に伝送する、かつ/あるいは更なる測定値、データおよび/または基準値を外部データ処理装置から受信する送受信ユニットとを受容する、ハウジングを有する。
【0069】
プロセッサ、メモリおよび/または少なくとも1つの更なるセンサは、それに加えてまたはその代わりに、外部データ処理装置に受容されてもよい。これにより、デバイスを全体的によりコンパクトに設計することが可能になるであろう。
【0070】
外部データ処理装置は、好ましくは、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、コンソールなどである。
【0071】
本発明による方法の更に別の実施形態では、外部データ処理装置は、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、プロセッサによって計算された少なくとも1つの結果、および/またはデバイスの運動プロファイルを、データベースにファイリングする。前記データベースはクラウドに格納されてもよい。
【0072】
これらのデータから、方法は、例えば、多数の同等の(例えば、同じ皮膚タイプを有する、同じ位置にいる、同等のUV暴露下にある)人に、十分なクリームが塗布されていないことを検出することができる。この情報は次に、学習機能としてグループ全体の人に渡され、それぞれのデバイスは、測定値、更なる測定値、個人データ、更なる外部データおよび/または基準値を考慮に入れて、個々の人にしたがって使用され、即ちそれぞれの人に最適な化粧品物質の出力量が生成される。
【0073】
本発明の更なる特徴、詳細、および利点は、特許請求の範囲の文言から、ならびに図面を参照した以下の例示的実施形態の記載から明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明による方法を実施するデバイスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
デバイス10は、図1に概略的にのみ示されており、化粧品物質Sを人P(より詳細には図示なし)の皮膚Hに塗布することが意図される。化粧品物質Sは、例えば、スキンケア製品、ローション、日焼け止め、セルフタンニングクリーム、虫除け剤などであってもよい。人は、年齢にかかわらず、男性、女性、子どもである。
【0076】
デバイス10は静電噴霧デバイスの形態である。ハウジング12内には、化粧品物質Sの容器20、化粧品物質Sを噴霧するノズル構成30、化粧品物質Sを容器20からノズル構成30へと搬送する搬送装置40、および高電圧源50を有する。容器20、搬送装置40およびノズル構成30は、それらの間に配置されたホースシステム22、42を有する。高電圧源50は、ノズル構成30内で静電霧化するための1つまたは複数の電極(より詳細には図示なし)を有する。
【0077】
ハウジングはまた、測定値、データおよび/または基準値を処理するプロセッサ70と、測定値、データおよび/または基準値を格納するメモリ80と、測定値、データおよび/または基準値を外部データ処理装置100に伝送する、かつ/あるいは更なる測定値、データおよび/または基準値を外部データ処理装置100から受信する送受信ユニット90とを収容する。
【0078】
外部データ処理装置は、好ましくは、無線リンク102を用いてデバイス10の送受信ユニット90に接続される、コンピュータ、タブレット、スマートフォン、コンソールなどである。
【0079】
デバイス10はまた、電源55、例えば交換式電池または蓄電池を有し、蓄電池は、必要な場合、外部充電器(図示なし)を用いて充電することができる。電源55は、搬送装置40、高電圧源50、およびプロセッサ70に電力を供給する。
【0080】
少なくとも1つのスイッチまたは押しボタンスイッチ(図示なし)を使用して、デバイス10を始動させることができる。可聴および/または視覚信号発生器は、同様に図示されないが、必要な場合、デバイス10の動作状態に関する情報および容器20内の充填レベルに関する情報を提供する。必要であれば、デバイス10はディスプレイ(同様に図示なし)を備えてもよい。
【0081】
一実施形態では、本発明による方法は、獲得および/または確定され、プロセッサ70に送信される、測定値を提供する。続いて、プロセッサ70は、適切なソフトウェアを使用して、測定値を処理して少なくとも1つの結果を作成する。この結果に基づいて、プロセッサ70は、デバイス10から噴霧される化粧品物質Sの出力量を変更する。出力量は、プロセッサ70が搬送装置40を調整することによって、例えば搬送装置40が、より多いまたは少ない化粧品物質を容器20からノズル構成30へと搬送することによって、変更することができる。好ましくは、搬送速度は調整される。しかしながら、搬送量も変化または適応させることができる。
【0082】
プロセッサ70は、それに加えてまたはその代わりに、高電圧源50を調整することによって、例えば、電極に印加される高電圧を修正することによって、噴霧される化粧品物質Sの出力量を変更することができる。
【0083】
プロセッサ70が、ノズル構成30を修正することによって、噴霧される化粧品物質Sの出力量を変更することも想到できる。例として、ノズル断面が影響を受ける場合があり、または個々のノズルが係合もしくは係脱される。噴霧角度に影響を及ぼすことも想到できる。
【0084】
噴霧される化粧品物質Sの出力量が、プロセッサがリアルタイムで計算した結果に基づいて変更されることが有利である。このように、確定された測定値の変化がすぐに考慮に入れられ、出力量が適宜適応され、それには人Pの皮膚Hにおける化粧品物質の分布に対して有益な効果がある。
【0085】
デバイス10は、少なくとも1つの結果を計算する際、測定値以外に、更なる測定値、人Pの個人データ、更なる外部データ、および/または基準値も考慮に入れられるように設計されてもよい。
【0086】
デバイス10には、測定値を獲得する少なくとも1つのセンサ60が提供されてもよい。前記センサは、本発明による方法によって、化粧品物質Sを人Pの皮膚Hに塗布する間、測定値が獲得されるようにして用いられる。
【0087】
例として、デバイス10が人Pによって動かされている間、センサ60は速度を獲得する。これらの測定値は、プロセッサ70に送信され評価される。このように、デバイス10の速度に基づいて、噴霧される化粧品物質Sの出力量を変更することが可能であり、即ち、出力量は、人Pによるデバイス10の動きに対して適応される。出力量は、速度が上昇すると、プロセッサ70を用いて増加させることができ、速度が低下すると、噴霧される化粧品物質Sの出力量は減少する。
【0088】
速度はセンサ60を用いて獲得することができる。しかしながら、3つの空間的方向全てにおいてデバイス10の速度を獲得することができるように、複数のセンサ、好ましくは3つのセンサ60を用いることもできる。確定された測定値はプロセッサ70に転送され、プロセッサ70は測定値を処理し、運動データ(結果)を計算する。これらの運動データに基づいて、最適な噴霧量が計算され、好ましくはリアルタイムで、出力量が適宜変更される。
【0089】
したがって、運動に依存した化粧品物質Sの可変の出力量を生成して、所望の層厚を達成することが可能である。
【0090】
例えば、日焼け止めの場合、個々の人Pに対する適正な保護は、最初に、化粧品物質S中の適正なUVフィルタ含量を前提条件とし、前記適正なUVフィルタ含量を次に、適正な層厚で皮膚Hに塗布する必要がある。日焼け保護が低すぎると太陽からの保護が「薄まる」(例:日焼け止め指数SPF50を有する日焼け止めは、塗布が薄すぎると、日焼け防止指数SPF30を有する日焼け止めと同程度の保護しかもたらさない)。その上、消費者は、平均して80~90%が、皮膚に塗布する日焼け止めが少なすぎるので、このことも、太陽からの最適な保護が確保されないことを意味する。
【0091】
手持ち型のデバイスの場合、噴霧デバイスを使用して適正な層厚を塗布するには、デバイスを保持する手の動きの速度と出力量との正確な組み合わせを要する。現在の噴霧デバイスは一定の出力量しか有さない。しかしながら、日焼け止めを塗布する人Pの腕の動きの速度は常に異なるので、また噴霧プロセス中の人Pの動きの運動機能も異なるので、一定の出力量は異なる層厚につながる。
【0092】
対照的に、本発明による方法は、設置されたセンサ60を用いてデバイス10の動きの速度を獲得する。確定された測定値はプロセッサ70に送信され、プロセッサは測定値を分析し、運動データを計算する。これらの結果に基づいて、即ちデバイス10の動きの速度に基づいて、化粧品物質Sの出力量が変更され、その結果として、物質Sの最適量が常に人Pの皮膚Hの各部分に塗布される。出力量は、プロセッサ70を使用して、搬送装置40、高電圧源50、ならびに/あるいはノズル構成30を調整および/または修正することによって、変更することができる。
【0093】
方法の代替のまたは更なる改良例では、噴霧される化粧品物質Sの出力量は、デバイス10の加速および/または減速に基づいて変更される。例として、デバイス10が加速すると出力量は増加され、デバイス10が減速すると出力量は減少される。
【0094】
噴霧される化粧品物質Sの出力量は、基準点に対するデバイス10の傾斜に基づいて変更することも可能であり、基準点は、水平線、垂直線、または人Pの位置もしくはその上の基準点である。例として、便宜的に、基準点に対するデバイス10の傾斜が大きくなると、出力量が増加され、基準点に対するデバイス10の傾斜が小さくなると、出力量が減少される。
【0095】
人Pの皮膚Hは個々に異なり、消費者の地理的位置が異なることがあるので、日焼け防止指数の理想値も消費者ごとに異なる。したがって、固定された特定の日焼け防止指数を所与として、任意のユーザに対する保護は異なる程度までしか十分ではない。
【0096】
本発明による方法は、更なる測定値、人Pの個人データ、更なる外部データおよび/または基準値が、獲得および/または確定され、プロセッサ70に送信されることによって、様々な出力量を、したがって化粧品物質Sの様々な層厚を使用して、多種多様な人Pに対する塗布を個々に適応させる機会を提供する。
【0097】
例えば、これにより、例えば日焼け止め指数50を有する日焼け止めを少なすぎる量で意図的に塗布することによって、実際に塗布された日焼け止めの日焼け防止指数を個人化された形で制御すること、即ち、日焼け防止指数50を30に「薄める」ことが可能になる。
【0098】
したがって、人の個々の理想的な出力量は、学習した個人診断データを用いて、また標的の層厚を用いて決定することができる。しかしながら、このため、例えば、単一のタイプの日焼け止めしかデバイス内に保持することができず、その日焼け止めが多種多様な人Pに使用される。例として、デバイス10には、日焼け防止指数50を有する日焼け止めが充填される。本発明による方法は、この物質Sを異なる日焼け防止指数に「伸ばし」、したがってマスパーソナライゼーションを受け入れるように使用することができる。
【0099】
更なる測定値を獲得する場合、プロセッサ70が少なくとも1つの結果を計算するときに更なる測定値を考慮に入れることができるように、少なくとも1つの更なるセンサ66を提供することができる。
【0100】
少なくとも1つの更なるセンサ66は、例えば、気温、相対湿度、気圧、標高、デバイス10の地理的位置などを獲得する。
【0101】
少なくとも1つの更なるセンサは、デバイス10自体に収容されてもよい。しかしながら、外部データ処理装置100に割り当てられ、そこに設置されてもよい。その場合、更なる測定値は、デバイス10の送受信ユニット90を用いて、外部データ処理装置100からプロセッサ70に送信される。
【0102】
プロセッサ70は、少なくとも1つの結果を計算する際、人Pの個人データを考慮に入れることもできる。前記個人データは、好ましくは、適切なソフトウェアを備え、無線リンク102を用いてデバイス10に接続される、外部データ処理装置100、例えばコンピュータ、タブレット、またはスマートフォンに入力される。しかしながら、個人データは、データベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、外部データ処理装置100によって確定することもできる。
【0103】
人の個人データは、デバイス10の送受信ユニット90を用いて外部データ処理装置100からプロセッサ70に送信され、その結果として、前記プロセッサは、必要な場合、デバイス10から噴霧される化粧品物質Sの出力量を適応させるかまたは変更することができる。
【0104】
人の個人データは、例えば、性別、年齢、身長、体重、肌のタイプ、肌の色、肌の分類、肌の敏感さ、国籍、自己保護時間(紅斑時間)などに関連する。
【0105】
方法の更なる適応、デバイス10を使用する人Pに対する更なる個別化、またしたがって出力量の更に正確な適応および個人化は、プロセッサ70が、少なくとも1つの結果を計算するときに更なる外部データを考慮に入れた場合に達成される。
【0106】
更なる外部データは、好ましくは、外部データ処理装置100に入力されるか、またはデータベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、前記外部データ処理装置によって確定される。続いて、データは、デバイス10の送受信ユニット90を用いて、外部データ処理装置100からプロセッサ72に送信される。
【0107】
更なる外部データは、季節、時刻、時間、日にち、その人がいる国、その人がいる地理的位置、気温、相対湿度、気圧、標高、UV指数、局部的なUV暴露などであることができる。
【0108】
人Pによる使用中のデバイス10からの化粧品物質Sの出力量の更なる個別化および最適化に関して、プロセッサ70は、少なくとも1つの結果を計算する際、測定値、更なる測定値、個人データ、および/または更なる外部データを基準値と比較することができる。
【0109】
これらの基準値は、好ましくは、1つまたは他のパラメータの上限および/または下限を定める限界値であり、その結果、予め規定された値がそれを上回るかまたは下回ることがない。このように、例えば、化粧品物質Sの出力量を適宜適応させることができるように、温度範囲または時刻を規定することが可能である。
【0110】
基準値は、好ましくはメモリにファイリングされる。しかしながら、それらは、外部データ処理装置100に入力されるか、またはデータベース、インターネット、別のデータソースなどに基づいて、前記外部データ処理装置によって確定されることも可能である。基準値を規定した後、前記基準値は、送受信ユニット90を用いて、外部データ処理装置100からデバイス10に、またはプロセッサ70に送信される。
【0111】
本発明による方法の設計により、多種多様な塗布を実現することが可能になる。
【0112】
例えば、ユーザ、即ち人Pを識別し、認識した人にしたがって、デバイス10の出力量を適応させるかまたは変更することが可能である。
【0113】
これは、デバイス10が一人の人Pを超える人によって(例えば、家族内、グループ内、または友達同士で)使用される場合に必要である。結果として、例えば、出力量を適応させ、化粧品物質S(例えば、日焼け止め)を繰り返し塗布するための時間アラームをトリガするために、または容器の、即ち物質Sの交換に関するリマインダを発行するために、使用データを個々のユーザPに自動で適正に割り当てるタスクが生じる。使用データの手動割当て(例えば、噴霧プロセスの前または後)は実用的ではなく、いずれにしても忘れられる場合が多いであろう。
【0114】
方法の有利な変形例では、したがって、デバイス10および/またはデバイス10を保持する人Pの運動プロファイルは、少なくとも1つのセンサ60の測定値、少なくとも1つの更なるセンサ66の更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、および/またはプロセッサによって確定された結果から確定される。この運動プロファイルは、好ましくはプロセッサ70によって計算される。しかしながら、外部データ処理装置100によって計算し、続いてデバイス10およびプロセッサ70に送信することもできる。
【0115】
各運動プロファイルは、便宜上、人Pまたは人のグループに割り当てられ、割当ては、個人データに基づいて、および/または外部データに基づいて行われる。
【0116】
したがって、デバイス10は、例えばクリームを塗布するプロセス中、指紋の形で人Pの固有の動きの運動機能を獲得し識別することができる。例えば、二人の人Pの身長が異なる場合、デバイス10は、噴霧中のそれらの人それぞれに対して空間の異なる距離を網羅する。更に、デバイスは異なるように保持され、即ち加速および傾斜も異なることがある。したがって、人はそれぞれ、噴霧の際にデバイス10を身体の下の方に動かしていき、その動きは身体の輪郭に沿う。この運動プロファイルを(速度、傾斜、および加速を用いて)獲得することによって、体形を検出することができ、それによって人の識別が可能になる。人Pがより高頻度で噴霧を行うほど、デバイスがより正確に体形および運動機能プロファイルを検出するようになり、その結果、デバイス10が「訓練」された後、常に信頼できるユーザ認識が可能になる。
【0117】
これにより、識別されたユーザがデバイス10を動かすと、または自分の個人データを入力もしくは検索するとすぐに、前記ユーザに使用データを自動的に割り当てることができるようになる。
【0118】
各運動プロファイルもしくは選択された運動プロファイル、および/または人に対する運動プロファイルの割当ては、メモリ80にファイリングされる。しかしながら、プロファイルは、外部データ処理装置100に外部から格納することもできる。このように、運動プロファイルを比較することができ、即ち、人が噴霧を始めるとき、プロセッサ70は人を認識することができる。
【0119】
更なる改良例では、デバイス10は、人Pがデバイス10を持ち、スイッチを入れるとすぐに、ACパルスをトリガすることができる。人から反射される信号によって、身体の体積を計算することが可能になる。二人の人Pが異なる身長および体重を有する場合、エコーも異なる信号を生成する。次に、これらの信号をデバイス10が使用して、人Pを区別することができる。
【0120】
本発明による方法はまた、例えば特定の日焼け止め指数を有する日焼け止めの選択に関して、診断の性能および化粧品物質Sの個人推奨を可能にする。エンドユーザは、どの日焼け防止指数が自分にとって理想的であるか知らない場合が多い。一般的に、上から二番目の日焼け防止指数、または常に同じ使い慣れた日焼け防止指数を選ぶ。日焼けの発生は、エンドユーザがこの選択で誤っていることを示す。
【0121】
日焼け防止指数の適正な選択は様々なパラメータを組み込む。
【0122】
第一に、インサイチュでの特定のUV暴露を組み込まなければならない。エンドユーザは、(やはりスマートフォンを介して)公共機関からUV暴露を確実に見つけ出すことができる。しかしながら、これらは通常、UV指数が広い範囲にわたって確定されていない(例えば、独国の場合、連邦国家で一回のみである)ので、非常に不正確である。
【0123】
考慮に入れる必要がある更なるパラメータは、個々の皮膚の非常に個別的な自己保護時間または紅斑時間である。自己保護時間は、検査を用いて自身を5つの皮膚タイプクラスの1つに割り当てることによって、エンドユーザによって推定することができる。これらの皮膚タイプは非常に単純であるが、いずれの場合も、基準から外れた自己保護時間(例えば、皮膚の色は濃いが皮膚が非常に敏感である)は許容しない。同時に、実際のUV暴露および自己保護時間が線形的関係を有さないものと仮定しなければならない。
【0124】
最後に、日焼け防止指数自体はおおよその値でしかない。公式化の目的で、規定数の被検体において日焼け保護を伴う日焼け時間を決定することによって、標準的方法を使用することが確定されている。次に結果は重み付けされ、日焼け防止指数の値に変換される。平均化するだけで、また均質な塗布が一般に困難なことは、この値が決して正確ではないことを意味する。
【0125】
本発明による方法は、この場合の改善策を提供する。
【0126】
更なる測定値、人Pの個人データ、更なる外部データ、および/または基準値が考慮に入れられ、入力される結果として、デバイス10を使用して、好ましくは外部データ処理装置100で、それにインストールされたソフトウェア(アプリ)を使用して、個人の皮膚のプロファイルの個々の決定を実施することができる。
【0127】
デバイス10が使用される前に、例えば、このソフトウェアは、人Pが応答する必要がある質問を問うことができる。質問は、人の画像によって、例えば顔写真または皮膚の選択された敏感な範囲の写真によって補足することができる。ソフトウェアは、入力された応答および画像を分析し、そこから個人データを作成し、それが続いて、送受信ユニット90を用いて、外部データ処理装置100からデバイス10に、したがってプロセッサ70に送信される。
【0128】
個人データは、例えば、公衆利用可能なデータから、またはデバイス10に統合されたUVセンサ(図示なし)から、UV指数値を取得することによって補足することができる。
【0129】
プロセッサは、全ての測定値、更なる測定値、個人データ、および外部データを処理し、結果を計算し、その結果が日焼け防止指数の理想値を推奨するのに使用される。この値は、デバイス自体によって、または外部データ処理装置100によって表示することができる。
【0130】
プロセッサはまた、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データを、人Pの皮膚タイプおよび/または皮膚プロファイルに関する情報を生成する基礎とすることができ、またそれに基づいて、化粧品物質Sの出力量を適宜変更することができる。
【0131】
したがって、化粧品物質Sの個々に最適な出力量を確定し実現することが可能なだけではない。それよりもむしろ、デバイス10を使用したい人Pに、化粧品物質Sの選択に関して個々に推奨を提供することが可能である。物質Sが理想的に塗布されるべき時間窓を予め規定することができる。リマインダ信号を生成して、人Pに物質Sを再び塗布するように思い出させることができる。
【0132】
本発明による方法の更なる改良例では、デバイス10は、自己学習診断を行い、いずれの場合も、デバイス10を使用して、人Pに最適な形で化粧品物質Sの出力量を常に適応させることができる。したがって、これは反復的に学習する方法である。
【0133】
別の変形例は、デバイス10が使用されている間、人Pの皮膚タイプおよび/もしくは皮膚プロファイルに関する情報、個人情報、適切な日焼け防止指数、適切な化粧品物質Sに関する情報および/または時間情報を、デバイスから噴霧される化粧品物質の出力量を適応させるか、または変更する基礎として用いるプロセッサ70を提供する。
【0134】
したがって、デバイス10は、利用可能な測定値、情報およびデータを、クリームを塗布する必要がある適正なとき、サングラスを付ける必要があるとき、太陽を全く浴びないようにする必要があるときなど、人Pに思い出させるための基礎として用いることができる。
【0135】
更なる変更例では、デバイス10は、例えば、動いたり水を浴びたりした結果として太陽からの保護が一般的に劣化することにより、人Pが化粧品物質を再び塗布する必要があるときに関するリマインダを発行することもできる。日焼け保護アラームの正確な時間は、測定値、情報、およびデバイス10またはプロセッサ70に送信されているデータによって決定される。そのため、個人情報は、運動プロファイル(スポーツ活動の場合)または更なる個人データ(例えば、発汗挙動)に関するデータも含むことができる。
【0136】
このように、デバイス10は、本発明による方法を使用して、日焼けが効果的に回避されることを確保する。デバイスは、人が常に、適正な日焼け防止指数を使用し、とりわけ適正な量の化粧品物質Sを適正な時間に塗布することを確保する。運動プロファイルは更に、皮膚の1つもしくは他の範囲にクリームが十分にまたは全く塗布されていないかどうかを識別するのに使用することができる。
【0137】
化粧品物質Sの使用および塗布を更に個別化、個人化、および/または最適化するために、本発明による方法は、デバイス10を使用した後、質問に対する応答を人Pによって外部データ処理装置100に入力させる。
【0138】
人の応答は、外部データ処理装置100によって分析および/または評価され、更なる個人情報を作成するように処理され、更なる個人情報は、デバイス10の送受信ユニット90を用いて、外部データ処理装置100からプロセッサに送信され、人の個人データに追加される。
【0139】
本発明による方法の更に別の実施形態では、外部データ処理装置は、測定値、更なる測定値、人の個人データ、更なる外部データ、プロセッサによって計算された少なくとも1つの結果、および/またはデバイスの運動プロファイルを、データベースにファイリングする。前記データベースはクラウドに格納されてもよい。
【0140】
これらのデータから、方法は、例えば、多数の同等の(例えば、同じ皮膚タイプを有する、同じ位置にいる、同等のUV暴露下にある)人に、十分なクリームが塗布されていないことを検出することができる。この情報は次に、学習機能としてグループ全体の人に渡され、それぞれのデバイスは、測定値、更なる測定値、個人データ、更なる外部データおよび/または基準値を考慮に入れて、個々の人にしたがって使用され、即ちそれぞれの人に最適な化粧品物質の出力量が生成される。
【0141】
全てのデバイス10に関するこれらの使用データの獲得を使用して、ユーザグループを識別し、個々のユーザに関する推奨を同様のユーザグループの挙動から導き出すことができる。
【0142】
本発明は、上述した実施形態の1つに限定されず、それよりもむしろ、多種多様な手法で修正することができる。
【0143】
そのため、デバイス10の加速および傾斜を獲得するのに、2つまたは3つのセンサを使用することもできる。
【0144】
好ましくは、各タイプの測定値に対して別個のセンサが提供され、複数のセンサを用いて、その測定値を組み合わせて1つの情報が作成され、それを1つの測定値に使用することもできる。
【0145】
本発明による方法の発展例では、少なくとも1つのセンサは、デバイスの高電圧源で電圧を獲得することができ、この情報をプロセッサに転送することができる。
【0146】
また、使用される化粧品物質を表示するか、物質の塗布に関するリマインダを発行するか、またはデバイスを使用する人に他の情報を提供する、視覚もしくは可聴信号発生器をデバイス内で直接使用することも想到可能である。
【0147】
本発明は、化粧品物質Sを静電噴霧するデバイス10を使用して、化粧品物質Sを人Pの皮膚Hに塗布する方法に関する。デバイス10は、容器20と、ノズル構成30と、搬送装置40と、高電圧源50と、測定値、データ、および/または基準値を処理するプロセッサ70と、メモリ80と、測定値、データ、および/または基準値を外部データ処理装置100に伝送する、ならびに/あるいは測定値、データ、および/または基準値を外部データ処理装置100から更に受信する送受信ユニット90とを有する。方法は、獲得および/または確定され、プロセッサ70に送信される、測定値と、場合によっては更なる測定値、人Pの個人データ、更なる外部データ、および/または基準値とを提供し、プロセッサ70は、測定値、更なる測定値、個人データ、更なる外部データ、および/または基準値を処理して、少なくとも1つの結果を作成し、それらの結果を、デバイス10から噴霧される化粧品物質Sの出力量を変更する基礎とする。
【0148】
特許請求の範囲、明細書、および図面から派生する全ての特徴および利点は、構造的詳細、空間配置、および方法ステップを含めて、それら自体および多種多様な組み合わせの両方で、本発明に必須のものであってもよい。
図1