IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アウディ アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7216833燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両
<>
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図1
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図2
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図3
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図4
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図5
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図6
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図7
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図8
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図9
  • 特許-燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】燃料電池用のバイポーラプレート、そのようなバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0228 20160101AFI20230125BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20230125BHJP
   H01M 8/0213 20160101ALI20230125BHJP
   H01M 8/0221 20160101ALI20230125BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20230125BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20230125BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20230125BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230125BHJP
【FI】
H01M8/0228
H01M8/0206
H01M8/0213
H01M8/0221
H01M8/0247
H01M8/0258
B60L50/72
H01M8/10 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021544733
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020057720
(87)【国際公開番号】W WO2020207754
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】102019205069.7
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジラーニ,アデル
(72)【発明者】
【氏名】クマール,サンジヴ
(72)【発明者】
【氏名】ブラディーン,ラドゥ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フォークト,セバスティアン
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-039650(JP,A)
【文献】特表2006-527903(JP,A)
【文献】特開2013-097982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0159164(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード側(31)および冷却剤側(32)を有するアノードプレート(30)であって、アノード流れ場(34)を形成するための第1の構造(33)がアノード側(31)に形成されたアノードプレート(30)と、カソード側(41)および冷却剤側(42)を有するカソードプレート(40)であって、カソード流れ場(44)を形成するための第2の構造(43)がカソード側(41)に形成されたカソードプレート(40)と、を備え、アノードプレート(30)およびカソードプレート(40)の各々の冷却剤側(32,42)と接触する複数の構造要素(51)が、アノードプレート(30)とカソードプレート(40)との間に配置されて、冷却剤流れ場(50)を形成し、
構造要素(51)が弾性材料からなり、
構造要素(51)が、アノードプレート(30)またはカソードプレート(40)に隣接して配置されたキャリアプレート(53)上に形成され、前記キャリアプレート(53)が、アノードプレート(30)またはカソードプレート(40)に固定されており、
前記キャリアプレート(53)が、構造要素(51)と一体的に製造された、燃料電池用のバイポーラプレート(12)。
【請求項2】
アノードプレート(30)およびカソードプレート(40)が、金属または導電性炭素ベースの材料からなり、前記導電性炭素ベースの材料が、グラファイト、またはグラファイトと炭素の複合材料であることを特徴とする、請求項1に記載のバイポーラプレート(12)。
【請求項3】
構造要素(51)が弾性ポリマからなり、少なくとも1つの構造要素が導電性であることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(12)。
【請求項4】
構造要素(51)が柱状であり、長方形または楕円形の断面を有しており、かつ互いに間隔を置いて配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(12)。
【請求項5】
アノードプレート(30)の第1の構造(33)およびカソードプレート(40)の第2の構造(43)が、積層方向(S)に互いに上下に配置されるともに、構造要素(51)の断面積と少なくとも部分的に重なっていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(12)。
【請求項6】
構造要素(51)が流路(52)を形成しながら規則的または不規則に配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(12)。
【請求項7】
アノードプレート(30)および/またはカソードプレート(40)の構造(33,43)が柱状であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(12)。
【請求項8】
2つのエンドプレート(18)の間に交互に配置された、膜電極アセンブリ(10)と、請求項1~のいずれか一項に記載のバイポーラプレート(12)と、のスタックを備えた、燃料電池スタック(100)。
【請求項9】
請求項に記載の燃料電池スタック(100)を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用のバイポーラプレートに関し、アノード側および冷却剤側を有するアノードプレートであって、アノード流れ場を形成するための第1の構造がアノード側に形成されたアノードプレートと、カソード側および冷却剤側を有するカソードプレートであって、カソード流れ場を形成するための第2の構造がカソード側に形成されたカソードプレートと、を備え、アノードプレートおよびカソードプレートの各々の冷却剤側と接触する複数の構造要素が、冷却剤流れ場を形成するように、アノードプレートとカソードプレートとの間に配置された、バイポーラプレートに関する。本発明はまた、そのようなバイポーラプレートを有する燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電気エネルギーを生成するように、燃料と酸素の化学反応を利用して、水を形成する。この目的のために、燃料電池はコアコンポーネントとして所謂、膜電極アセンブリ(MEA)を含み、これは、イオン伝導性(主にプロトン伝導性)膜と、膜の両側に配置された触媒電極(アノードとカソード)との構造である。後者は主に、担持された貴金属、特に白金を備える。さらに、ガス拡散層(GDL)が、膜電極アセンブリの両側における電極の、膜とは反対側に面する側に配置される。原則として、燃料電池は、スタックに配置された多数のMEAによって形成され、その電圧が加算される。バイポーラプレート(流れ場またはセパレータープレートとも呼ばれる)は通常、個々の膜電極アセンブリの間に配置され、それらのバイポーラプレートは、個々のセルに作動媒体、つまり反応物が供給されることを保証し、通常は冷却にも役立つ。さらに、バイポーラプレートは膜電極アセンブリとの導電性接触を保証する。
【0003】
燃料電池が作動しているとき、燃料(アノード作動媒体)、特に水素H2または水素含有ガス混合物は、アノード側に開いたバイポーラプレートの流れ場を介してアノードに供給され、そこでH2のプロトンH+への電気化学的酸化が行われて、電子が放出される(H2→2H++2e-)。アノードチャンバからカソードチャンバへのプロトンの(水結合のまたは水を含まない)輸送は、反応チャンバを気密に互いに分離し、かつそれらを電気的に絶縁する電解質または膜を介して行われる。アノードで提供された電子は、電線を介してカソードに供給される。カソード作動媒体としての酸素または酸素含有ガス混合物(例えば空気)は、バイポーラプレートのカソード側に開いた流れ場を介してカソードに供給され、電子を吸収しながらO2からO2-への還元が行なわれる(1/2O2+2e-→O2-)。同時に、カソードチャンバ内の酸素アニオンは、膜を横切って輸送されたプロトンと反応して水を形成する(O2-+2H+→H2O)。
【0004】
燃料電池スタックは、その作動媒体、すなわち、アノード作動ガス(例えば、水素)、カソード作動ガス(例えば、空気)、および冷却剤を、主供給チャネルを介して供給し、それらの主供給チャネルは、スタックをその積層方向に貫通するとともに、作動媒体を、それらの主供給チャネルからバイポーラプレートを介して個々のセルへと供給する。各作動媒体には、少なくとも2つのそのような主供給チャネルがある。つまり、1つはそれぞれの作動媒体の供給用であり、もう1つは排出用である。
【0005】
通常、バイポーラプレートは、互いに接続されるとともに、その両側が構造化された2つのハーフプレートからなる。作動媒体を輸送するための構造は、互いに反対側を向いている側に要求され、冷却剤を輸送するための構造は、互いに向かい合っている側に要求される。2つのハーフプレートを使用して3つの別々の輸送ルートを提供する必要があるため、ハーフパネルは互いに調整する必要がある。これは、バイポーラプレートの設計の柔軟性を低下させるさらなる境界条件をもたらす。一般的な設計では、既知のバイポーラプレートのハーフプレートがプロファイルされ、それらのプロファイルが連結されるか、入れ子状(nested)にされる。
【0006】
燃料電池スタックは、その両側のスタック端部に、通常、張力システムの一部としてのクランプ装置によって互いに接続されたエンドプレートを有する。クランプ装置は、エンドプレートを互いに向かって引っ張る引張力を伝達し、それらの間に配置された個々のセルを圧縮する、すなわち、それらを互いに押圧する。圧縮ばねはまた、スタックに均等に負荷をかけ、スタックへの損傷を避けるための張力システムの一部である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある目的は、圧縮ばねに関連してバイポーラプレートが有する欠点を少なくとも部分的に改善する、バイポーラプレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴を有するバイポーラプレート、燃料電池スタック、およびそのような燃料電池スタックを備えた車両によって達成される。
【0009】
バイポーラプレートが、アノード側および冷却剤側を有するアノードプレートを備え、アノード流れ場を形成するための第1の構造がアノード側に形成される。バイポーラプレートはさらに、カソード側および冷却剤側を有するカソードプレートを備え、カソード流れ場を形成するための第2の構造がカソード側に形成される。アノードプレートおよびカソードプレートの各々の冷却剤側と接触する複数の構造要素が、アノードプレートとカソードプレートとの間に配置されて、冷却剤流れ場を形成する。本発明によれば、構造要素は弾性材料から形成される。
【0010】
これらの構造要素は、とりわけ、本発明によるバイポーラプレートを備えた燃料電池スタックに埋め込まれたばねとして機能し、構造的堅牢性を高めながら圧縮を最適化する。
【0011】
さらに、通常使用される圧縮ばねを排除することができるので、従来技術と比較して燃料電池スタックのスタック高さを小さくすることができる。従来技術によるこれらの圧縮ばねはまた、バイポーラプレートの活性表面上の接触圧力の良好な制御を提供せず、結果として生じる不均一なスタック圧縮が板の破損をもたらす可能性がある。これは、本発明によるバイポーラプレートによって防止される。さらに、圧縮ばねをなくすことで軽量化される。エンドプレートの屈曲も最小限に抑えられる。また、GDL/MEA浸透の影響を最小限に抑えることができることも特に有利である。
【0012】
さらに、プレート製造のコスト削減は、例えば、圧縮ばねを排除し、大規模生産にフォーム・イン・プレイス(form-in-place, FIP)工程を使用する選択肢によって達成することができる。
【0013】
本発明によるバイポーラプレートは、構造要素とは別に、好ましくは導電性材料、好ましくは炭素ベースの材料、特に好ましくはグラファイトまたはグラファイトと炭素の複合材料からなる。金属の使用も意図される。
【0014】
本発明により提供される構造要素は、好ましくは、燃料電池動作の温度範囲で安定している弾性導電性ポリマからなり、好ましくは、少なくとも1つの構造要素が導電性である。好ましくはシリコーンまたはシロキサンが使用され、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
【0015】
ポリマは好ましくは、100S/cmより大きい電気伝導率を有する。電気抵抗は好ましくは0.0008Ωcmであり、体積弾性係数(compression modulus)は好ましくは5MPaである。
【0016】
構造要素が、アノードプレートとカソードプレートとの間に互いに距離を置いて配置され、その結果、冷却剤は、可能な限り低い圧力損失でバイポーラプレートの冷却剤流れ場を通流することができる。
【0017】
この目的のために、構造要素は柱状に設計され、好ましくは個々の構造要素の全長にわたって一定の断面を有するか、または長さにわたって変化する断面、例えば構造要素の中央の断面が減少する断面を有する。
【0018】
構造要素は、バイポーラプレートの異なる領域におけるスプリング力の異なる要件を満たすために、バイポーラプレートの領域全体に亘って分散された異なるサイズの断面積を有することができる。
【0019】
構造要素は、非常に簡単な製造が可能であるように、好ましくは長方形または正方形の断面を有する。1つまたは2つの対称軸を有する円形または楕円形の断面も可能である。
【0020】
本発明によるバイポーラプレートの特に好ましい実施形態によれば、アノードプレートおよびカソードプレートの構造は、アノードプレートおよびカソードプレートのそれぞれの反対側にある構造要素の少なくとも接触面が、スタックの高さ全体に亘って圧力を分散させるように、それらの構造によってカバーされるように設計される。
【0021】
したがって、アノード側の第1の構造およびカソードプレートの第2の構造ならびに構造要素は、バイポーラプレートの積層方向のすぐ上下に配置される。このようにして、バイポーラプレートへの損傷を有利に防ぐことができる。
【0022】
流れの状態を最適化するために、アノードプレートとカソードプレートの構造の追加の空間構成が容易に実行可能である。構造要素の構成と同等の構成が好ましくは提供される。
【0023】
本発明により、構造要素を異なる断面と組み合わせることも可能である。
【0024】
構造要素は、圧力損失を防ぎ、必要に応じて必要なスプリング力を使用するために、冷却剤の流れ場に規則的または不規則に配置することができ、それにより流れ領域を形成する。構造要素、および任意選択的に構造は、均一に配置されている場合、好ましくはグリッドパターンを形成する。
【0025】
構造要素は、好ましくは、例えば接着により、少なくともアノードプレートまたはカソードプレートに固定され、片側だけの固定は、バイポーラプレートの組み立てを容易にすることができ、一般に十分である。ここでは、酸化剤を運ぶカソードプレートへの接着が好ましい。
【0026】
本発明によるバイポーラプレートの特に好ましい実施形態によれば、構造要素は、キャリアプレート上に配置されて提供される。このキャリアプレートは、好ましくは、構造要素と同じ材料で作られ、好ましくは、構造要素と一体的に製造される。
【0027】
キャリアプレートは、アノードプレートまたはカソードプレートのいずれかに隣接して配置することができる。この有利な実施形態により、本発明によるバイポーラプレートの著しく単純化された組み立てが可能となる。この実施形態においても、少なくともアノードプレートおよびカソードプレートは、個々の構造要素に類似した方法で接着することができる。
【0028】
上記の仕様とは別に、アノードプレートとカソードプレートの流れ場、および冷却剤流れ場は、互いに別々に個別に構成することができる。
【0029】
本発明の別の態様は、2つのエンドプレートの間に交互に配置された膜電極アセンブリと本発明によるバイポーラプレートとのスタックを備えた燃料電池スタックに関する。
【0030】
本発明はまた、本発明による燃料電池スタックを備えた燃料電池システムを有する車両に関する。その車両は、好ましくは、燃料電池システムによって生成された電気エネルギーを電動機および/またはトラクションバッテリに供給するために使用する、電気自動車である。
【0031】
本発明のその他の有利な実施形態は、従属請求項に起因する。
【0032】
本出願で言及される本発明の様々な実施形態は、個々の場合において特段の記載がない限り、互いに有利に組み合わせることができる。
【0033】
本発明は、関連する図面を参照しながら例示的な実施形態に基づいて以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】燃料電池システムの概略図である。
図2】本発明によるバイポーラプレートの詳細の斜視図である。
図3図2のバイポーラプレートの詳細を下から見た斜視図である。
図4図2および図3によるバイポーラプレートの詳細の断面図である。
図5】構造要素を備えたカソードプレートの詳細の斜視図である。
図6】第2の実施形態による本発明のバイポーラプレートの詳細の断面図である。
図7】キャリアプレート上に配置された構造要素を備えたカソードプレートの詳細の斜視図である。
図8】第2の実施形態による、キャリアプレート上に配置された構造要素を備えたカソードプレートの詳細の斜視図である。
図9】キャリアプレート上の楕円形の断面を有する構造要素の平面図である。
図10】第2の実施形態による、キャリアプレート上の楕円形の断面を有する構造要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、全体として100で示される、本発明による燃料電池スタックの概略図を示す。燃料電池スタック100は、車両(詳細には示されていない)の一部であり、特に、燃料電池スタック100によって電気エネルギーが供給される電動機を有する燃料電池車の一部である。
【0036】
燃料電池スタック100は、それらの平坦な面で交互に並べられた(積層された)、複数の膜電極アセンブリ10と、バイポーラプレート12とを備える。全体として、複数の積層された個々のセル11は、燃料電池スタック100を形成し、ここで、個々のセル11および燃料電池スタック100の両方が、一般に、燃料電池と呼ばれる。燃料電池スタック100は、両端にエンドプレート18を有する。円周方向シール20によって画定されるアノードおよびカソード空間(図示せず)は、バイポーラプレート12と対応する膜電極アセンブリ10との間に配置される。とりわけ、燃料電池スタック100は、シール20のシール機能を達成するために、張力システムにより積層方向Sに一斉に押圧(圧縮)される。
【0037】
張力システムは、外部張力装置22と、ここでは見えない弾性構造要素とを備え、それらはバイポーラプレート12の冷却剤領域に配置されている。それらについては、以下でより詳細に説明する。
【0038】
燃料電池スタック100内の構造要素に伝達される外部張力を構築するために、外部張力装置22の細長い引張体24は、2つのエンドプレート18の間に引張力を伝達し、その結果、エンドプレート18は、引張体24により互いに向かって引き付けられる。この目的のために、引張体24は、燃料電池スタック100の積層方向Sに延在する。
【0039】
図2~4は、第1の実施形態による本発明のバイポーラプレート12の異なる図を示す。バイポーラプレート12の詳細は、それぞれの場合に示される。
【0040】
バイポーラプレート12は、2つの個別のプレート、アノードプレート30およびカソードプレート40を備える。アノードプレート30は、アノード側31と、カソードプレート40に面する冷却剤側32と、を有する。カソードプレート40は、カソード側41と、アノードプレート30に面する冷却剤側42と、を有する。それぞれの冷却剤側32,42でアノードプレート30およびカソードプレート40に接触する構造要素51は、アノードプレート30とカソードプレート40との間に配置されて、冷却剤流れ場50を形成する。構造要素51は、柱状であり、正方形の断面を有する。これらは均一に分布し、したがって、冷却剤がバイポーラプレート12の主軸に対して長手方向および横方向に流れることができるグリッドネットワークの形態で流路52を形成する。
【0041】
第1の構造33および第2の構造43が、それぞれ、冷却剤流れ場50とは反対側に面するアノード側31およびカソード側41に提供され、それらは両方とも、冷却剤流れ場50の構造要素51と同様に設計されて、アノード流れ場34およびカソード流れ場44を形成する。これは、それらが正方形の断面を有する柱状であることを意味する。さらに、それらは2つの反応媒体のための流路35,45を形成し、それらは、図2~4の積層方向Sの構造要素51と一致している。
【0042】
図5はまた、図2~4による実施形態を示しているが、アノードプレート30が示されていないという違いがある。縁部上のものとは対照的に、カソードプレート40の中央の構造要素51の異なる寸法は、示されている断面にのみ属するものであり、技術的重要性はないが、もちろん原理的に構造要素を異なる寸法にして、それらを不均一に分散させることが可能である。バイポーラプレート12の組み立てを単純化するために、構造要素51は、少なくともカソードプレート40の冷却剤側42に固定または接着される。
【0043】
図6は、第2の実施形態によるバイポーラプレート12の詳細を再び断面で示している。この実施形態では、構造要素51は、キャリアプレート53と一体に形成され、その平坦側が、カソードプレート40の冷却側42上にある。構造要素51を備えたキャリアプレート53が配置された後、アノードプレート30(図示せず)が、バイポーラプレート12を完成させるためにカソードプレート40に適用される。このキャリアプレート53の使用により、バイポーラプレート12の組み立てが遥かに容易となる。この変形例においても、キャリアプレート53または構造要素51を接着することができる。
【0044】
キャリアプレート53の構造要素51を支持する側がカソードプレート40の冷却剤側42に配置された別の変形例が、図8に示されている。この変形例は、それ以外は図7に示すものに対応する。
【0045】
図9および10はそれぞれ、構造要素51が適用されたキャリアプレート53を示しており、構造要素51は、2つの対称軸を有する楕円形の断面(図9)および1つの対称軸を有する楕円形の断面(図10)を有する。それらの実施形態は、冷却剤の流動条件を最適化するために使用される。これらの断面はまた、第1の構造33および/または第2の構造43として選択することができる。
【0046】
明確に記載されていない限り、これらの記載は全ての実施形態に等しく適用される。
【符号の説明】
【0047】
100…燃料電池スタック
10…膜電極アセンブリ
11…個々のセル
12…バイポーラプレート
18…エンドプレート
20…シール
21…ばね装置
22…張力装置
24…細長い引張体
30…アノードプレート
31…アノード側
32…冷却剤側
33…第1の構造
34…アノード流れ場
35…流路
40…カソードプレート
41…カソード側
42…冷却剤側
43…第2の構造
44…カソード流れ場
45…流路
50…冷却剤流れ場
51…構造要素
52…流路
53…キャリアプレート
S…積層方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10