(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システム
(51)【国際特許分類】
B64D 5/00 20060101AFI20230125BHJP
B64C 27/26 20060101ALI20230125BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230125BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B64D5/00
B64C27/26
B64C27/08
B64C39/02
(21)【出願番号】P 2021572546
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 US2020036492
(87)【国際公開番号】W WO2020247870
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-01-26
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521532499
【氏名又は名称】カイト ダイナミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウスマン,イルファン-ウル-ラブ
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007636(JP,A)
【文献】特開2019-085104(JP,A)
【文献】米国特許第04267987(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0152391(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0314871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 5/00
B64C 27/26
B64C 27/08
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ式空中車両システムであって、
母船であって、前記母船は、前記母船が
前記母船のスラスターを介して推力を生成することによって垂直離着陸を可能にするような回転翼航空機である、母船と、
空中車両であって、前記空中車両は、前記空中車両が
前記空中車両のスラスターを介して推力を生成することによって垂直離着陸を可能にし、支持線によって前記母船に物理的に接続された回転翼航空機であり、前記支持線は、前記支持線の長さを調整するように作動することができるウインチシステムの一部である、空中車両と、
前記空中車両への風の状態を検出し、風への応答を判定するように構成されたコントローラと、を備え、
風への応答を判定することは、前記
空中車両のスラスターの揚力の大きさおよび方向を調整すること、前記支持線の長さおよび角度を調整すること、を組み合わせて協調させることを含み、
前記支持線の前記長さおよび角度を調整することは、前記支持線内の張力を
調整させるために前記支持線を
巻き付けるように前記ウインチシステムに指示することを含み、
前記
空中車両のスラスターの揚力の大きさおよび方向を調整することは、前記風の状態によって生成される力を打ち消すために非垂直推力を生成するように前記
空中車両のスラスターに指示することを含む、吊り下げ式空中車両システム。
【請求項2】
前記母船は、(i)固定翼航空機
の揚力面および固定翼航空機
のプロペラと、(ii)回転翼航空機
のローターと、双方を有する、請求項1に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項3】
前記コントローラはさらに非垂直軸における
推力の利用可能性を
可変させるように構成された、請求項1に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項4】
前記母船は、前記支持線を介して前記空中車両の重量を支持する、請求項1に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記
空中車両のスラスターの揚力の大きさおよび方向と、前記支持線の長さおよび角度との間で協調を行い、エンベロープ内の任意の点に前記空中車両を配置し、前記エンベロープは前記支持線の最大長で前記ウインチシステムを囲む球である、請求項1に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項6】
前記母船に物理的に接続された第2の空中車両をさらに備える、請求項1に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項7】
前記空中車両は、固定された基準点に対して静止位置を維持
するように構成されている、請求項1に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項8】
前記固定された基準点は、前記母船上に位置する、請求項7に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項9】
前記母船と、前記空中車両と、前記ウインチシステムとを協調させることは、前記空中車両に搭載されたスラスターによって生成される推力の特性を変化させること、前記支持線の長さを変化させること、前記母船の飛行パターンを管理すること、を含む、請求項8に記載の吊り下げ式空中車両システム。
【請求項10】
吊り下げ式空中車両システムを制御するシステムであって、
空中車両への風の状態に関する情報を受け取ることであって、前記空中車両は、前記空中車両が
前記空中車両のスラスターを介して推力を生成する回転翼航空機である、情報を受け取ること、
前記空中車両の風への応答を判定すること、
支持線の張力を調整するために、前記空中車両に取り付けられた前記支持線の長さに対して行われる必要のある調整を判定すること、
非垂直推力を生成するために前記空中車両の
前記スラスターに対して行われる必要のある調整を判定することであって、調整は、
前記空中車両の前記スラスターの揚力の大きさと方向とを含み、前記揚力方向は、前記支持線に対して
前記空中車両の前記スラスターの角度を作動させることによって調整される、調整を判定すること、
前記空中車両の位置に対する風の状態の影響を打ち消すために、機械装置による前記支持線の操作と前記スラスターの操作とを組み合わせて協調させること、をするように構成されたコントローラとを備える吊り下げ式空中車両システムを制御するシステム。
【請求項11】
前記風への応答は連続的に判定される、請求項10に記載の吊り下げ式空中車両システムを制御するシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記空中車両の前記スラスターの揚力の大きさおよび方向と、前記支持線の長さおよび角度との間で協調を行い、エンベロープ内の任意の点に前記空中車両を配置するように構成され、前記エンベロープは、前記支持線の最大長で前記機械装置を囲む球である、請求項10に記載の吊り下げ式空中車両システムを制御するシステム。
【請求項13】
前記空中車両は、前記支持線を介して母船に接続されている、請求項10に記載の吊り下げ式空中車両システムを制御するシステム。
【請求項14】
前記母船は、
前記母船のスラスターを介して推力を生成することにより垂直離着陸を可能にする回転翼航空機である、請求項13に記載の吊り下げ式空中車両システムを制御するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年6月7日に出願された米国仮出願第62/858,330の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本開示の一態様は、空中車両に関し、詳細には、支持線とスラスタ安定化とを協調させる空中車両に関する。他の態様も記載される。
【背景技術】
【0003】
バッテリーの近年の革新、およびプロセッサなどの複雑な電子機器の小型化は、航空電子工学に大きな利益をもたらしている。愛好家および専門家の使用の双方で最も拡大している分野の1つの区分は、一般にドローンとして知られている小型無人空中車両である。この新たに出現した技術によって、写真、軍事、野生生物保護、および建設など、様々な分野で創造的な用途が見出されている。
【0004】
ドローン技術への将来の用途が開発され、かつ、調査されている一方で、解決する必要がある開発上の課題が残っている。例えば、ドローンの移動距離には、寸法、バッテリーコスト、およびノイズの発生などの要因間のトレードオフが引き続き関連している。これらの考慮すべき事項は、ドローンが密集した都市環境を移動する、または、荷物の配達などで長距離に渡って重い荷物を運ぶ可能性がある用途では重要である。これらの要因は、開発されたシステムが実行可能で、かつ安全であることを規制当局に納得させる場合に特に関連がある。従来の解決策は、距離、寸法、および操作性の間の妥協点の管理に焦点を当て続けている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、接続された支持線によって推力能力が増強された空中車両に関する。スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムは、設置面積を削減し、かつ、従来のドローン製品よりも長い飛行時間、高い耐荷重などの他の利点を提供する、ドローン分野における現在の課題に対する多様な解決策を提供する。
【0006】
一実施形態では、支持線は、空中車両の荷重点に取り付けられている。支持線は、空中車両の重量を支持することができ、かつ、その空中車両の重量を該空中車両の外側に位置する「接地された」アンカーポイントに分配することができるように構成され得る。例えば、支持線は、該支持線に巻き付くことが可能なウインチシステムに接続することができ、それゆえ、支持線内の張力を増加させ、場合によっては空中車両をウインチシステムへ引っ張ることができる。
【0007】
空中車両は、ローターなどの方向性推力生成の形態を有する場合がある。例えば、空中車両は「クワッドコプター」構成であり得る。コントローラは、支持線を巻く、あるいは、引き出すウインチシステムと、発生する力の大きさ、ならびに、発生する推力の支持線に対する角度を変化させるスラスタの協調動作を介して空中車両の位置を操作し得る。この協調は、コントローラが、重力に対抗するために必要であった可能性のある推力が支持線によって相殺され得るため、空中車両を移動させる、または、その位置を維持するために必要なエネルギー出力を最適化することを可能にする。より少ない出力がスラスタから必要である場合は、スラスタ、ならびにバッテリーなどの支持構造物を小型化し得、その一方で、空中車両は飛行時間および積載量などの面で同等以上の能力を維持することができる。空中車両内のスラスタおよび支持構造物が小さいほど、空中車両の設置面積および騒音プロファイルが小さくなり、空中車両の操縦性が向上する。
【0008】
ウインチシステムとスラスタとの間の協調により、他の利点が得られる場合がある。例えば、重力または風の荷重などの環境的な力に対抗するためにスラスタの必要性を迂回させる支持線の能力により、スラスタを用いて効率的に空中車両を配向し得る。例えば、空中車両は、支持線内の張力を最大にすることで、重力方向に直交して配向された状態で静止位置を維持し得る。
【0009】
一実施形態では、空中車両は、支持線によって別の車両に接続され得る。例えば、車両は、「母船」構成の空中車両であり得る。この場合、この母船によって、空中車両の重量の少なくとも一部が支えられる。母船は長時間の飛行効率を高める特性を有し得、それにより、大規模な空中車両のシステム上の利点を提供する一方で、小型空中車両が提供するアクセス性の良さも維持する。
【0010】
システムは、特定の機能用に構成され得る。例えば、空中車両は、ペイロードへの取り付け、遠隔地の表面の清掃、兵器の解体、またはシステムによって提供される利点によって可能になる様々な機能の何れかを行うことが可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】スラスタ安定化を有する例示的な吊り下げ式空中車両システムを示す。
【
図2】外面に接続された、スラスタ安定化を有する例示的な吊り下げ式空中車両システムを示す。
【
図3】スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図4】静止領域に対する、スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図5】静止領域に対する、スラスタ安定化を有する複数の吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図6】アンカーポイントの位置を平行移動可能なシステムに固定された、スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図7】例示的な飛行経路上でのスラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの位置を示す。
【
図8】母船を含む、スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図9】母船に接続された複数の空中車両を含む、スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図10】母船が待機状態にあるときのスラスタ安定化を有する例示的な吊り下げ式空中車両システムを示す。
【
図11】複数の母船を有する、スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図12】スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの電子的構成要素の例示的な概略図を示す。
【
図13】スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムを操作する例示的な方法を示す。
【
図14】ペイロードアタッチメントを有する、スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図15】特定の機能利用を伴うスラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図16】太陽光発電アレイシステムを清掃する状態でのスラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムの例示的な構成を示す。
【
図17】スラスタ安定化を有する吊り下げ式空中車両システムのペイロード移動のための例示的な方法を示す。
【
図18】ペイロード移動中のスラスタ安定化を有する例示的な吊り下げ式空中車両システムを示す。
【0012】
本明細書での開示のいくつかの態様は、限定事項ではなく例として添付図面の図に示される。図において、同様の参照が同様の要素を示している。本開示における「1つの(an)」または「1つの(one)」態様への言及は、必ずしも同じ態様を指すわけではなく、それらは少なくとも1つを意味することに留意されたい。また、簡潔にし、図の総数を減らすために、所与の図を用いて、本開示の2つ以上の態様の特徴を説明することができ、図のすべての要素が所与の態様に必要とされるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して、本開示のいくつかの態様を説明する。記載されている部品の形状、相対位置および他の態様が明示的に定義されていない場合は常に、本発明の範囲は、単に例示を目的として示されている部品のみに限定されない。また、多くの詳細が述べられているが、開示のいくつかの態様は、これらの詳細なしで実施され得ることが理解されよう。他の例では、この説明の理解を曖昧にしないように、よく知られた回路、構造、および技術は詳細に示されていない。
【0014】
本開示の実施形態は、とりわけ、スラスタで安定化された吊り下げ式空中車両システムを対象としている。スラスタで安定化された吊り下げ式空中車両システムは、支持線に接続された空中車両を含み得、この支持線はアンカーポイントに遠隔で固定され得る。例示的な実施形態では、空中車両システムは、無人空中車両(UAV)を含み得、このUAVは、該UAVをアンカーポイントに接続する支持線に取り付けられ、それにより支持線の第1の端部がUAVに接続される。本開示は、空中車両に人間のパイロットが搭乗していない用途について考察しているが、本開示の態様では、空中車両には、本発明の概念から逸脱することなく、パイロットまたは人間のユーザを搭乗させ得ると考えられる。アンカーポイントは、配備される支持線、すなわちウインチ線の長さの変更を操作可能なウインチシステムを含み得る。ウインチシステムが取り付けられているアンカーポイントは、用途によって異なり得る。例えば、アンカーポイントは、建物の最上部などの安定した表面、または、第2の空中車両などの移動可能な表面であり得る。
【0015】
ウインチシステムの形態でUAVに垂直方向に持ち上げる力を与えると、UAVの望ましい特性が拡大され、UAVを幅広い用途における理想的な解決策とし、その一方でUAVのいくつかの主要な欠陥を解決する。ウインチシステムは、UAVが望ましい高度を維持するために生成する必要のある推力の量が減少または排除されるため、UAVによるエネルギー消費の削減を可能にする。UAV自体の設置面積は、十分な揚力を生み出すために必要なスラスタの寸法を低減することによって、ならびに、必須であり、かつ支持線を介して接続可能である、バッテリーおよびコントローラなどのUAV構成要素から除去することによって、低減することもできる。さらに、UAVは垂直方向に完全に自立している必要がないため、他の軸(横方向および姿勢制御)で利用可能な推力/動力が大幅に増加する。
【0016】
さらに、様々な種類のアンカーポイントおよびUAV機能を提供し得るシステムの汎用性により、多くの用途が可能になる。例えば、ウインチシステムにより、UAVが従来と異なる方向に推力を発生させ得る。UAVがウインチシステムによって能動的に吊り下げられている場合、UAVの高さを維持するための揚力をUAVのスラスタに与える必要がない場合がある。スラスタは、重力に垂直な方向に力を提供するために使用し得る。例えば、UAVが超高層ビルの外部窓の指定された配置ポイントにステッカーを配置する用途で使用された場合、ウインチシステムは配置ポイントの上に固定され得る。所望の高さでUAVを支持するウインチシステムにより、UAVのスラスタは、ステッカーを窓に貼り付けるのに十分な、窓に向けられた推力を生成し得る。さらに、ウインチシステムは、重力に直交する平面内のUAVの横断を可能にするために、支持線の長さを動的に調整し得る。
【0017】
UAVは、狭い空域を効率的に航行するUAVの機能によって可能になるサービスを実行するように構成され得る。例えば、UAVは荷物をバルコニーに配達することが可能であり、潜在的に、突出部およびくびれのある囲いを迂回する音が可能であり得る。この機能により、UAVは都市部の密集した制限的な環境での配達を可能にする。このような手段で配達される荷物の例としては、本、衣類、または電子用品など、倉庫、フルフィルメントセンター、またはウェイステーションからの消費財が挙げられ得る。他の例には、食品、医療機器、および医薬品などのポイントツーポイントの配達が挙げられ得る。これらの例は非限定的であり、UAVは、システムによって達成可能な拡張された寸法と重量のしきい値内に収まる任意の貨物を集荷および配達することが可能であり得る。
【0018】
本明細書において、「無人空中車両」および「UAV」という用語は、物理的に存在する人間のパイロットなしでいくつかの機能を実行することができる任意の自律または半自律車両を指す。飛行関連機能の例には、とりわけ、その環境を感知すること、オペレータからの入力を必要とせずに空中で動作すること、が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。
【0019】
UAVは自律型または半自律型であり得る。例えば、いくつかの機能は遠隔の人間の操作者によって制御され得るが、その一方で他の機能は自律的に実行される。さらに、UAVは、そうでなければUAVによって自律的に制御され得る機能を遠隔の操作者が引き継ぐことが可能なように構成され得る。さらに、所与の形式の機能は、ある抽象化レベルで遠隔で制御され、別の抽象化レベルで自律的に実行され得る。例えば、遠隔の操作者は、UAVが場所を変更するように指定するなどして、UAVの高レベルのナビゲーション決定を制御し得、一方では、UAVのナビゲーションシステムは、ルート選択、障害物回避などのよりきめ細かいナビゲーション決定を自律的に制御する。他の例も可能である。
【0020】
UAVは、様々な形態を採り得る。例えば、UAVは、ヘリコプターまたはマルチコプターなどの回転翼航空機、固定翼航空機、ジェット機、ダクトファン機、飛行船もしくは操縦式気球などの軽量飛翔体、テールシッター機、グライダー機、および/またはオーニソプターなどの形態を採ることができる。さらに、「ドローン」、「無人空中車両システム(UAVS)」または「無人空中車両システム(UAS)」という用語は、UAVを指すために使用されることもある。
【0021】
図1は、本明細書では吊り下げ式空中車両システムと呼ばれる、スラスタで安定化された吊り下げ式空中車両システムの例示的な態様を示している。吊り下げ式空中車両システムは、UAV104と、支持線107とを含み得る。この図では、UAV104はマルチコプターの形態を採り、これは4つのローター109を利用するスラスタアセンブリ105を含むが、5つ以上のローター、4つ未満のローター、ならびにローターと回転翼航空機に対するローター推力を調整するために用いられるアクチュエータとの組み合わせでの他の例も可能である。前で考察されるように、UAV104は、推力生成のためのローターに依存しない、すなわち、ローターのみに依存しない空中車両の形態を採ることができると考えられる。例えば、UAV104は、方向的に配向可能なスラスタを含み得る。スラスタには、スラスタから噴出して力を発揮する物質をスラスタに供給可能なタンクまたはホースが接続され得る。いくつかの例は、ガス形式のスラスタ、化学推進剤、および指向性気流ブロワーである。また、UAV104は燃焼式モーターを利用して推力を与え得ると考えられる。本発明の概念から逸脱することなく、方向的に集束された推力を生成することが可能なスラスタの他の例を考えることが可能である。したがって、スラスタアセンブリ105は、本開示の一実施形態を示すが、本明細書で使用される「スラスタ」および「推力エンジン」という用語は、当技術分野で既知である任意の形態の方向的に配向可能な推力発生システムを指し得る。
【0022】
UAV104は、該UAV104のピッチ、ロール、ヨー、および/または高度が様々な手段を介して調整され得るような操縦能力を有し得る。例えば、ローター109は、UAV104に推力および操縦性を与える。より具体的には、各ローター109は、モーターに取り付けられたブレード111を含む。そのように構成されたローター109によって、UAV104は垂直に離着陸し、任意の方向に機動し、かつ/またはホバリングすることが可能である。さらに、ブレード111のピッチは、グループとしておよび/または差動的に調整され得、ピッチによりUAV104が、とりわけ、逆さホバリング、連続尾翼下げ「ティックトック」、ループ、ピルエットを伴うループ、ピルエットを伴うストールターン、ナイフエッジ、イメルマン、スラッパー、および走行反転などの三次元空中機動を行うことを可能にし得る。すべてのブレード111のピッチがそのような空中機動を行うように調整される場合、これはUAV104の「集合ピッチ」の調整と呼ばれることがある。さらに、または、代替的に、UAV104は、機動するために、集合的または差動的にローター109の回転速度を調整し得る。例えば、3つのローター109の一定速度を維持し、第4のローターの速度を低下させることにより、UAV104は、減速のために選択されたローター109に応じて、右にロール、左にロール、前方にピッチ、または後方にピッチすることができる。具体的には、UAV104は、減速されたローター109の方向にロールすることができる。別の例として、すべてのローター109が同時に加速または減速させて、UAV104の高度をそれぞれ上昇または下降させることができる。さらに別の例として、同じ方向に回転しているローター109が加速または減速させて、UAV104は左または右にヨーイングを実行させることができる。これらは、RPMおよび/またはローター109が回転している方向を別個に、または、一括に調整することによって達成され得る様々な種類の動作のほんの数例である。推力にローターを利用しない実施形態では、同様の機動が考えられ得る。
【0023】
また、UAV104は、筐体112を含み得る。筐体112は、ローター109を含み、かつ/または接続し得、他の必要な、または所望の構成要素、例えば、他の可能性の中で、モーター、慣性測定装置(IMU)および/または電子速度コントローラなどの制御電子機器、バッテリー、他のセンサ、および/またはペイロードを搭載し得る。図示されるUAV104は、2つの筐体112を含み、各筐体112は2つのローター109を含むように構成され、筐体112は車軸117によって接続されている。しかしながら、単一の筐体112が、UAV104のすべてのローター109を搭載し得ることが企図される。代替的に、3つ以上の筐体112が使用され得、各筐体112は少なくとも1つのローター109を搭載し、かつ、各筐体112はUAV104の一部を形成するように接続される。
【0024】
車軸117は、該車軸117に接続された各筐体112の独立した回転を許容し得、その結果、車軸117の近位端にある第1の筐体は第1の方向に回転し得、車軸117の遠位端にある第2の筐体は第2の方向に回転しこと。さらに、車軸117は、第1の筐体が同じ方向であるが、第2の筐体が回転されるのとは異なる程度または異なる速度で回転可能にし得る。また、車軸117は第2の筐体が第1の筐体に対して回転し得る間に、第1の筐体が静的な配向に留まることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、UAV104は、複数の車軸117を利用し得る。例えば、車軸は直交して接続され得、各車軸は他の車軸から独立して回転することができ、その結果、第1の車軸に接続されたローターは、第2の車軸に接続されたローターから独立した配向を維持し得る。
【0025】
さらなる態様では、UAV104は、ロータープロテクタ122を含む。そのようなロータープロテクタ122は、ローター109を損傷から保護すること、UAV104構造を損傷から保護すること、近くの物体をローター109による損傷から保護すること、などの複数の目的に役立つことができる。さらに、ロータープロテクタ122は、ローター109の高速回転によって生ずる音を軽減するためのノイズダンパーとして機能し得る。ロータープロテクタ122を含まない実施形態も可能であることを理解されたい。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる形状、寸法、および機能のロータープロテクタ122が可能である。
【0026】
さらなる態様では、UAV104は、1つ以上の通信システムを含む。通信システムは、UAV104が1つ以上のネットワークを介して通信することを可能にする、1つ以上の無線インターフェースおよび/または1つ以上の有線インターフェースを含み得る。そのような無線インターフェースは、ブルートゥース、WiFi(例えば、IEEE802.11プロトコル)、ロングタームエボリューション(LTE)、WiMAX(例えば、IEEE802.16標準)、無線周波数ID(RFID)プロトコル、近距離無線通信(NFC)、および/または他の無線通信プロトコルなどの1つ以上の無線通信プロトコル下の通信を提供し得る。このような有線インターフェースには、イーサネットインターフェース、USBインターフェース、または、電線、ツイストペアの銅線、同軸ケーブル、光リンク、光ファイバーリンク、または他の物理接続を介して有線ネットワークへ通信する同様のインターフェースが含まれ得る。
【0027】
例示的な実施形態では、UAV104は、短距離通信および長距離通信の双方を可能にする通信システムを含み得る。例えば、UAV104は、ブルートゥースを使用する短距離通信、および、CDMAプロトコルの下での長距離通信のために構成され得る。そのような実施形態では、UAV104は「ホットスポット」として、換言すると、リモートサポート装置と1つ以上のデータネットワーク(セルラーネットワークおよび/またはインターネットなど)の間のゲートウェイまたはプロキシとして機能するように構成され得る。そのように構成されたUAV104は、そうでなければリモートサポート装置がそれ自体では実行することが不可能であろうデータ通信を容易にし得る。
【0028】
例えば、UAV104はリモート装置へのWiFi接続を提供し、UAV104が例えばLTEまたは5Gプロトコルに準拠して接続し得るセルラーサービスプロバイダーのデータネットワークへのプロキシまたはゲートウェイとして機能し得る。また、UAV104は、高度バルーンネットワーク、衛星ネットワーク、またはこれらのネットワークの組み合わせなど、リモート装置が他の方法ではアクセスすることが可能ではない可能性のあるプロキシまたはゲートウェイとしても機能し得る。
【0029】
一態様は、UAV104に接続する支持線107に向けられる。支持線107は、該支持線107の第1の端部でUAV104に接続され得る。支持線107は、様々な材料から形成され得る。例えば、支持線107が可撓性であることが必要な場合、支持線107は、高引張強度のポリマー繊維、金属および/または合成ケーブル、ロープ、および十分な強度および柔軟性を示す他の材料を含み得る。別の態様では、支持線107は剛性であり得、その場合は、支持線107の第1の端部と支持線107の第2の端部との間の距離が実質的に一定となる。さらに別の態様では、支持線107は、チェーン構成または伸縮式のロッド構成などで、複数の剛性部材を含み得る。
【0030】
支持線107は、UAV104の重量の一部または全部を支持線107へ分配されるように設計されたUAV104上のポイントに接続され得る。例えば、支持線107は、車軸117またはスラスタアセンブリ105などのUAV104の要素に直接接続され得る。支持線107は、該支持線107の第1の端部にスナップリンクを含み得、これは、UAV104の要素に取り付けられるUボルト接続部と結合し得る。しかしながら、同様の取り付け手段が本発明の概念から逸脱することなく考えられ得る。代替的に、支持線107は、UAV104上のポイントに接続されているか、または、UAV104に接続されている別の1つまたは複数の部材に接続されている特別に設計された支持線アタッチメント機構に接続され得る。支持線107は、吊り下げ式空中車両システムの重力および慣性負荷の一部または全部を引き受ける能力を維持しながら、スラスタアセンブリ105に対して自由な回転自由度を可能にするような方法でUAV104に取り付けられ得る。例えば、図示のように、支持線107は、車軸117上にある回転ベアリング138に接続され得る。
【0031】
支持線107は、UAV104を電源またはデータの供給源に接続する導管を含み得る。例えば、電力分配システムの少なくとも一部がUAV104に「搭載」されていない実施形態では、導管は、支持線107の第2の端部など、UAV104の外部に位置する電力源からUAV104に電力を伝達し得る。この場合、導管は、支持線107の第2の端部にあるバッテリーをUAV104上の車載配電システムに接続する電気ケーブルを含み得る。エネルギー貯蔵部は、車載配電システム内に位置することができると考えられ、その場合には、導管内の電力ケーブルを用いて、バッテリーなどの車載エネルギー貯蔵装置を充電し得る。別の例では、導管は、(例えば、データ符号化電気信号を伝達するための)導電性材料、および/または、(例えば、データ符号化光信号を伝達するため)光ファイバー線で形成されたデータ伝送ワイヤを有し得る。支持線107の第2の端部に位置し得る中央コントローラおよび/または操作者は、信号ケーブルを介してオンボードプロセッサを有することができるUAV104に命令を送信することによって、UAV104の動作を遠隔制御し得る。同様に、UAV104は、信号ケーブルを用いて、センサデータを中央コントローラおよび/または操作者に返送し得る。
【0032】
図2は、支持線107の第2の端部が、UAV104の外側に位置したアンカーポイント203に実質的に接続され得る、本実施形態の一態様を示している。アンカーポイント203は、建物の柱または屋根などの外面に固定し得、その場合は、アンカーポイント203は、該アンカーポイント203が取り付けられている外面に対して独立して位置を変更することができない。支持線107の第2の端部は、アンカーポイント203に取り付けられ得る。例えば、アンカーポイント203は、外面にボルトで固定されるフックであり得、その一方では、支持線107の第2の端部がそのフックに固定され得る。
【0033】
アンカーポイント203は機械装置を含み、それにより、支持線107の第1の端部と支持線107の第2の端部との間の支持線107の長さまたは張力を変化させることを可能にし得る。そのような機械装置の例は、ウインチシステムであり、そのウインチシステムは、スプールがモーターによって作動されるときに支持線107をスプールに引き込む(巻き上げる)または引き出す(巻き出す)ためのウインチ207を含み得る。その例としては、スナビングウインチ、ウェイクスケートウインチ、グライダーウインチ、エアウインチがある。特定の実施形態が提供されているが、「ウインチシステム」という用語は、本発明の概念から逸脱することなく考えられ得る支持線107の長さを変えるための様々なシステムおよび手段の何れかを指し得る。
【0034】
アンカーポイント203がウインチシステムを含む実施形態では、ウインチ207は固定可能であり得る。例えば、ウインチシステムは、該ウインチシステムを外部表面にボルトで固定することによって、または、該ウインチシステムを外部表面に位置したペアリング機構と接続することによって、恒久的または一時的に、アンカーポイント203の近くまたは上の表面に取り付けられ得る。吊り下げ式空中車両システムが建物に隣接して使用される場合、ウインチ207は、その建物の上部または近くに取り付けられ得る。また、ウインチ207は伸縮ポールなどの可動支持体に接続され、これにより、アンカーポイント203の位置を移動可能にし得る。
【0035】
図3Aは、複数の支持線107を有する吊り下げ式空中車両システムを含む実施形態を示している。UAV104は、2つ以上の支持線107用の取り付けポイントを有し得る。2つ以上の支持線がUAV104に取り付けられている場合、その支持線は独立してまたは協調して操作され得る。例えば、第1の支持線は、UAV104の第1の端部に取り付けられ得、第2の支持線は、UAV104の第2の端部に取り付けられ得る。UAV104の第1の端部は、UAV104の第2の端部によって平衡にされ得る。例えば、UAV104を重力方向に対して平行に配向させるために、第1端の高さが第2端の高さと異なるようにUAV104を傾斜させることが望ましい場合、第1の支持線の長さは、第2の支持線の長さと協調して変更されて、それにより、UAV104の第1の端部を下げるか上げるかの何れかによってUAV104の第1の端部の高度を調整するために所望の操作が達成され得る。その一方で、第2の支持線は、UAV104の第1の端部に対するUAV104の第2の端部の高さを維持するために実質的に静止していてもよい。UAV104に取り付けられた3つの支持線は、UAV104の配向に対するより優れた制御を達成し得る。各支持線が1つ以上のUAVに接続されている複数の支持線は、
図3Bのように、単一のアンカーポイントに接続され得ると考えられる。すべての支持線を単一のウインチシステムで操作され得ると考えられる。
【0036】
図3Cは、ウインチ306がUAV104に「搭載」されるように、ウインチ306が支持線107の第1の端部に位置し得る例を示す。さらに、利用される複数のウインチシステムが存在する実施形態では、支持線107の第1の端部に、またはその近くに位置する第1のウインチ306と、支持線107の第2の端部に、またはその近くに位置する第2のウインチ307が存在し得ることが考えられる。一例では、第1のウインチ306は、支持線107の長さのより粗い調整を実施し得る第2のウインチ307と比較して、「より細かい」またはより繊細な長さ補正を実施し得る。本発明の概念から逸脱することなく、ウインチシステムおよび支持線の追加の構成を検討することも可能である。
【0037】
一態様では、アンカーポイント203は、一時的であり得るか、変更可能であり得るか、または鉤縄などによる吊り下げ式空中車両システムの動作中に確立され得る。
図4Aは、静止領域上に位置したアンカーポイント203を示している。
図4Bでは、アンカーポイント203は、静止領域に対して単一の軸に沿って移動可能な輸送部404上に位置している。例えば、輸送部404は、アンカーポイント203を所定の位置に移動可能な軌道に基づいた輸送システムであり得る。
図4Cでは、アンカーポイント203は、静止領域に対して複数の軸を横切って平行移動可能な輸送部404上に位置している。例えば、輸送部404は車両であり得、この車両は、2次元または3次元のコンコースを横断し、吊り下げ式空中車両システムを車両の範囲内の任意の場所に移動させ得る。別の例では、輸送部404は、ガントリーシステムなどの運動ステージであり得る。
図5に示されるように、複数の輸送部404が静止領域の近傍内で使用され得、その結果として輸送部404のそれぞれが同じ作業量の部分にアクセスし得、吊り下げ式空中車両システムのそれぞれは、
図4AからCに記載されている構成の何れか1つを有し得る。
【0038】
図6は、アンカーポイント203が、該アンカーポイント203の位置を平行移動可能なシステムに固定的に接続され得る、本開示の別の態様を示している。図示されているシステムは、回転ベース603と伸縮アーム607とを組み合わせることによってアンカーポイント203を再配置し得るクレーン602である。回転ベース603は、伸縮アーム607を最大360度までの任意の配向に回転させることができるが、回転ベース603の回転はその範囲内に制限され得、それにより、回転ベース603に回転の自由度を低下させ得る。伸縮アーム607は、調節可能な長さを有し得、その結果、アンカーポイント203は、長さが減少したときに回転ベース603の近くに平行移動し、伸縮アーム607の長さが増加したときに回転ベース603から遠くに平行移動し得る。
【0039】
支持線107がウインチシステムに接続されている実施形態では、UAV104の動きは、支持線107の長さを変更し、かつ、スラスタの推力特性を変更することによって、最大6自由度で調整され得る。
図7に見られるように、UAV104の可能な配置は「エンベロープ」によって規定され得、このエンベロープは、支持線107の端部がUAV104から最も遠くなるようにウインチシステムを取り囲む球の体積として定義される。ウインチまたはアンカーポイント203に接続され得る支持線107の端部は、その球の中心であり、該球の半径は支持線107の長さである。球の外側の境界は、支持線107がすべての方向に延在することができる最も遠いものである。一般に、支持線107の長さを変更すると、エンベロープ内のUAV104の垂直位置に影響を与える可能性がある。例えば、ウインチシステムが位置Aにあるとき、ウインチシステムはより多く支持線107をスプールに引き込むことができ、これにより、UAV104をアンカーポイント203に対して位置Bの高さに向かって移動させるように作用し得る。UAV104が位置Bにあるとき、ウインチシステムはより多く支持線をスプールから引き出し、UAV104は位置Aに向かって移動し得る。このように、UAV104の重量を支えるために積極的に使用されている支持線の量を増減することによって、ウインチシステムとUAV104との間の距離を増減することができ、UAV104の位置を垂直軸に沿って操作することが可能になる。UAV104の重量を支持するために積極的に使用されている支持線107の長さは、該支持線107の長さを変えるために線形アクチュエータを使用することなどによって、他の手段によって調整することができる。
【0040】
同様に、スラスタの推力特性を調整することにより、UAV104をエンベロープ内で移動させ得る。例えば、UAV104を位置Aから位置Cの方向に向かって動かすために、スラスタは、右に向かって推力を生成してUAV104を左に向かって推進するように配向され得る。
【0041】
また、
図7は、吊り下げ式空中車両システムが、UAV104に搭載されたスラスタによって生成される推力の特性の変化に応じて協調される支持線107の長さの変化に対して、エンベロープ内でUAV104の位置決めをどのように達成し得るかを示しており、ここで、エンベロープ内のUAV104の想定可能な位置には、エンベロープ内の3次元空間内の実質的にすべてのポイントが含まれる。一態様では、UAV104がエンベロープ内の第1の位置から第2の位置に移動することが望ましい場合がある。吊り下げ式空中車両システムは、ウインチシステムに支持線107の長さを巻き取るかまたは繰り出すように指示し得る。その一方で、吊り下げ式空中車両システムは、同時におよび/または同期間にUAV104を所望の場所に協調して移動するようにUAV104に対して方向および大きさで推力を発生させるようにスラスタに指示し得る。UAV104が位置Aから位置Bに移動すると、支持線107の長さが減少してUAV104を上方に引っ張る一方で、スラスタがUAV104を右方向に押す推力を生成し、UAV104が実質的に斜め上方および右方向に移動することを可能にするように、スラスタがUAV104を配向する。UAV104が位置Aから位置Cに位置する場合、支持線107の長さを延長する必要があるであろう。一方で、スラスタがUAV104を左方向に押す推力を生成し、UAV104が実質的に水平に移動可能にし、スラスタがUAV104を配向する。
【0042】
スラスタの大きさおよび揚力方向と支持線107の長さおよび角度との間のこの協調は、支持線107の荷重能力による非垂直軸における可変の推力の利用可能性と組み合わされ、それにより正確な位置決めが可能となる。例えば、支持線107の長さおよびスラスタの配向に対して協調された操作をすることにより、UAV104は、垂直位置を変更することなく、水平面内で平行移動することができる。これにより、吊り下げ式空中車両システムは、狭い進入窓を航行するなど、飛行中の一部またはすべてのポイントでのウインチシステムの位置に対して指定された位置にUAV104を配置することができる。UAV104のスラスタは、UAV104の配向を天底に対してある角度に調整し得、その一方で、UAV104が入口窓に近づくときに支持線107の長さが調整され、天底に対して支持線107を最適または所望の角度に維持され得る。
【0043】
図8は、アンカーポイント203が車両上に位置している本開示の一態様を示している。車両は、様々な陸上、海上、空中、および多モードの車両の何れかであり得る。図示される例では、車両は本明細書で「母船」と呼ばれる空中車両808であり得る。ここで、母船808は、該母船808が輸送中のときにUAV104の重量の一部または全部を支えるのに十分な大きさである。母船808は、純粋な固定翼航空機、回転翼航空機、および飛行を達成可能な他の任意の航空機であり得る。図示の母船808は、固定翼航空機特有の揚力面811およびプロペラ813と、回転翼航空機特有のスラスタ816との双方を有する複合/遷移型航空機である。図示されている母船808構成は、有利的には、回転翼航空機のホバリング機能と正確な位置特定機能を有する固定翼航空機の長距離巡航が可能である。母船808は、回転翼航空機対応の垂直離着陸(VTOL)機能も有し得る。
【0044】
この図では、アンカーポイント203は母船808の下側に位置しているが、アンカーポイント203は他の位置でも可能である。UAV104が「駐車」しているとき、すなわち、飛行中でないとき、UAV104は母船808にしっかりと取り付けられ得る。母船808は、UAV104が飛行していないときに駐在するドック(図示せず)を有し得る。ドックは、(UAV104が実質的に母船808内に格納されるように)内部、(UAV104が母船808の外面に取り付けられるように)外部、または、双方の組み合わせであり得る。ドックは、UAV104を所定の位置にしっかりと保持するクリップを有し得る。ドックは、UAV104が飛行の準備ができたときにUAV104を解放し、それにより、UAV104が母船808から出発するのを可能にし得る。支持線107の長さは、ウインチシステムによって延長され、それにより、UAV104を母船から下降させ得る。UAV104が母船808を出発すると、UAV104のスラスタが作動して、UAV104に対して単独でまたはウインチシステムと協調して飛行を指示し得る。UAV104が飛行を終えて駐車する準備ができると、UAV104は母船808に戻ってドックに取り付け得る。
【0045】
図9は、
図7に示されている方法と同様の方法でUAV104に搭載されているスラスタによって生成される推力の特性の変化に応じて協調される支持線107の長さの変化を通じて、エンベロープ内の母船808に対してUAV104の正確な位置決めを吊り下げ式空中車両システムがどのように達成し得るかを示している。ウインチシステムとスラスタとの協調により、UAV104は、様々な可能な軌道の何れかを介して、母船に対して位置Aから位置Bに再配置され得る。
【0046】
吊り下げ式空中車両システムによって可能になる本明細書に記載のUAV104の正確な位置決めによって、母船808が飛行パターン中に位置を変える間にUAV104が静止位置を維持可能であり得る。例えば、
図10は、UAV104が地面上の基準面などの固定された基準点に対して実質的に静止した位置を維持している間に、円形の保持パターンからなる飛行パターンを有し得る母船808を示している。推力エンジンとウインチシステムとの協調された変更により、UAV104が母船808に対して再配置され得る。例えば、母船808がUAV104の固定基準点とされ、それゆえ地面に対する母船808の動きが無視される場合、UAV104は母船808が図に示す保持パターンと同様の方法で母船808の下を旋回しているように見える。それにより、固定点に対する所望の位置を維持するために、UAV104が推力エンジンの推力ベクトルを連続的に調整し、同時にウインチシステムが支持線107の長さを連続的に調整し得ることを示めしている。UAV104の位置またはベクトルを連続的に調整するこのプロセスは、例えば、UAV104および母船808の双方が逆回転するように、母船808が動いている間に起こり得る。したがって、母船808が該母船808の飛行パターンの変更を必要とせずに移動するため、エンベロープが移動している間に、UAV104は該エンベロープ内の任意の位置を獲得することができる。UAV104が固定基準点に対して静止位置を維持している間に母船808が維持することができる保持パターンの最大円周は、支持線107の最大長によって規定され得る。
【0047】
図11は、単一のUAV104が複数の母船に接続され得る本開示の一態様を示している。この図では、UAV104は、第1の支持線808aおよび第2の支持線808bを介して、それぞれ第1の母船808aおよび第2の母船808bによって支持されている。支持線808aおよび支持線808bのそれぞれは、単一のウインチシステムまたは複数のウインチシステムによって操作され得る。第1の支持線808aおよび第2の支持線808bの長さは、吊り下げ式空中車両システムの動作中にUAV104のスラスタシステムと協調して、かつ、第1の母船808aおよび第2の母船808bの飛行パターンと協調して調整され得る。UAV104は、母船808aおよび母船808bのそれぞれのエンベロープ内の実質的に任意の位置を獲得可能であり得る。
【0048】
図12は、UAV104をエンベロープ内の所望の位置および/または配向に配置するために、支持線107および推力エンジン1207の操作を協調し得る制御システムのブロック図を示す。システムコントローラは、UAV104の所望の位置などの様々なコマンド入力を受信するコントローラ1203を含み得る。コントローラ1203は、UAV104を初期位置から所望の位置に移動させるために、ウインチ作動1212および推力エンジン1207を介して支持線107の長さに対して行われる必要がある必要な調整を判定し得る。コントローラ1203は、UAV104の任意の位置および配向を獲得するように推力エンジン1207内の個々のスラスタまたはスラスタアセンブリに対して望ましい方向および大きさで推力を生成するように指示し得る。その結果、第1のスラスタまたは第2のスラスタアセンブリは第1の方向および/または第1の大きさを有し得、第2のスラスタまたは第2のスラスタアセンブリは第2の方向および/または第2の大きさを有し得る。また、UAV104に対して推力エンジン1207によって生成されるスラストの配向は静的であり得ると考えられる。UAV104の配向は、UAV104上の個々のスラスタによって生成される推力を変化させることによって、ならびに、支持線107を通る張力を変化させることによって、または、支持線107をスプールすることと推力を変化させることの組み合わせによって変化され得る。支持線107内の張力を減少または増加させることは、他の目的にも役立つ可能性がある。例えば、UAV104が複雑なルートを移動している場合、UAV104とアンカーポイントの間に直接的な通視線がない場合がある。この場合、UAV104は、支持線107内により大きな「たるみ」を必要とする可能性があり、それゆえ、コントローラ1203は、支持線107内の張力を減少させ得る。
【0049】
吊り下げ式空中車両システムが母船808を含む一実施形態では、推力エンジン1207が母船808に搭載されたスラスタを含み得る。その場合、システムコントローラ1203がUAV104と母船808に搭載されたスラスタとを協調させて制御し得る。したがって、システムコントローラ1203は、母船の推力およびUAV104の推力の操作、ならびに支持線107の長さの変化を協調させ得る。システムコントローラ1203が支持線107の長さと、母船808の推力属性と、UAV104の推力属性との変動を協調させているとき、そのような協調は、システムコントローラ1203が、これらの属性の組み合わせを変化させないことが望ましいと判定した場合には、支持線107の長さ、母船808の推力属性、およびUAV104の推力属性に変更を加えないことも含み、さらに、UAV104および母船808の少なくとも一方から生成される推力がゼロとなることが望ましいシナリオ含むことは理解されるであろう。例えば、システムコントローラ1203は、支持線107の緊張を維持し、かつ、UAV104の痙動を防ぐために、UAV104の位置の変化に応じて支持線107の長さを動的に操作し得る。同時にまたは平行して、システムコントローラ1203は、母船および/またはUAV104の推力条件を動的に操作して、UAV104の所望の位置および配向を獲得し得る。
【0050】
システムコントローラ1203は、センサ1216からフィードバック(「センサデータ」)を受信し得る。センサデータは、吊り下げ式空中車両システムによって出力される総エネルギーを最適化し、UAV104を配置しながら閉ループ制御を実行するなど、いくつかの目的の何れかに役立ち得る。例えば、センサデータは、コントローラ1203が、使用される支持線107の長さ、あるいは/または、支持線107および/またはUAV104の相対的な配向の関数として、支持線107によって生じる揚力方向および大きさに対して推力エンジン1207によって生じ得る最適な揚力方向および大きさを計算することを可能にし得る。センサ1216は、支持線107の張力およびUAV104の力プロファイルおよび慣性の測定値など、UAV104および支持線107の属性を測定し得る。センサ1216は、母船808の飛行属性を測定し得る。母船808およびUAV104からのセンサフィードバックは、それらが支持線107によって接続されている間、母船808およびUAV104のそれぞれの飛行を協調させるために、吊り下げ式空中車両システムの動作中に使用され得る。これらの属性は、間接的に測定または推定され得ると考えられる。システムコントローラ1203は、様々な入力を用いて、最適な支持線107の角度、ならびに推力の角度および大きさを判定し得る。例えば、吊り下げ式空中車両システムは、突風の方向および大きさを計算する風センサを含み得る。システムコントローラ1203は、UAV104の位置における風の影響を実質的に打ち消すために逆推力を生成するように推力エンジン1207に指示し得る。支持線107は、推力エンジン1207が突風の荷重のために横方向の推力を生成することを可能にするために、UAV104の垂直荷重の大部分を担い得る。センサ1216は、ウインチアクチュエータ1212および推力エンジン1207に指示するためにコントローラ1203によって用いられ得るシステムの動作に関連する他のデータを提供し得る。例えば、光学センサは、飛行経路に障害物がないかどうかを判定し、ある場合にはどのような代替飛行経路が考えられるかを判定するために使用され得る。センサ1216は、単一のセンサまたは複数のセンサとして具現化され得、システム内、システムに隣接して、または、システムから離れて位置した状態で該システムの動作に関連する属性を測定し得る。
【0051】
図13は、UAV104を初期位置から所望の位置に再配置するときの吊り下げ式空中車両システムの動作のフローチャートを示している。ステップ1306において、コントローラ1203は、UAV104を初期位置から所望の位置に移動させるための飛行経路を判定し得る。コントローラ1203は、所望の位置を入力として受信し得る。また、コントローラ1203は、UAV104の初期位置を受信または判定し得る。飛行経路を判定することは、支持線104の最適な長さ、および、最適な推力の角度および大きさを判定することを含み得る。
【0052】
コントローラ1203は、ステップ1307で支持線107に調整するように指示し得、その一方で、コントローラ1203は、ステップ1309で支持線107の長さおよび推力エンジン1207が協調された方法で調整されように、推力エンジン1207に指示し得る。これは、ステップ1315でのスラスタの作動および1312での支持線の作動に関連する可能性があり、これもまた協調された方法で発生する可能性がある。
【0053】
ステップ1319において、コントローラ1203は、UAV104がいつ所望の位置に到達したかを判定し、支持線107および推力エンジン1207に、UAV104の位置を維持するように調整する指示をし得る。しかしながら、コントローラ1203は、ループを終了し得る。支持線107および推力エンジン1207の調整は、時間に基づいて行われ得、つまり、コントローラ1203は、穏やかな飛行体験を保証するため、または、複雑な飛行経路を航行するためなど、飛行経路に沿ったいくつかの点または実質的にすべての点で支持線107の最適長さ、ならびにスラスタの最適な角度および大きさを判定し得る。
【0054】
ステップ1331は、コントローラ1203が、センサ1216などからのフィードバックをどのように受信し得るかを示している。コントローラ1203は、支持線107の最適な長さ、推力の角度および大きさを「リアルタイム」で判定し得る。すなわち、コントローラ1203は、システムからのフィードバックを定期的または継続的に用いて、吊り下げ式空中車両システムの動作を協調された方法で最適化し得る。例えば、コントローラ1203は、センサ1216からのデータを用いて、UAV104が輸送中であるときの最適な飛行を判定し得る。ステップ1335において、コントローラ1203は、UAV104が所望の位置に到達したとコントローラ1203が判定するまで、支持線107の長さならびに推力角度および大きさを連続的に調整するためにセンサ1216からのフィードバックを利用し得る。
【0055】
他の種類のフィードバックがステップ1331の間に受信され得、吊り下げ式空中車両システムの動作を指示している間にコントローラ1203によって利用され得る。フィードバックは、コマンドセンター、第2のドローン、およびトランシーバなど、コントローラ1203が通信することができる任意の数の有線または無線のソースから受信され得る。例えば、コントローラ1203は、吊り下げ式空中車両システムの飛行経路に影響を与える可能性がある気象データを受信され得る。コントローラ1203は、新しい飛行経路を開発する際に気象データを利用し得る。
【0056】
図13は、選択的ステップ1301に示されるように、母船808を含む吊り下げ式空中車両システムの動作のためのステップをさらに含む。コントローラ1203は、UAV104の所望の位置を入力として受信し得る。ステップ1302は、コントローラが母船808の接近位置を判定し得ることを示し、接近位置は、UAV104が配備されたときにUAV104が所望の位置に到達できることを可能にする母船808の位置である。コントローラ1203は、ステップ1303において、母船808を該母船808の初期位置から接近位置に移動させるために、母船808の飛行経路を判定し得る。また、コントローラ1203は母船808の初期位置を受信または判定し得る。母船808の飛行経路を判定することは、母船808の初期位置と接近位置との間の最適化された経路を判定することを含み得る。最適化されたルートによって、移動速度と、飛行時間と、長距離飛行装置および短距離飛行装置の使用と、障害物と、エネルギー効率と、望ましい進入角度と、母船の飛行に影響を与える他の要因とのバランスが取られ得る。コントローラ1203は、母船808が実質的に接近位置に到達したときに、母船にホバリングまたは旋回するように指示し得る。次に、コントローラ1203は、ステップ1304に示されるように、母船808から配備するようにUAV104に指示し得る。また、UAV104は母船808の通過中の任意の時点で母船808から配備され得る。配備されると、UAV104は、ここで概説されている方法を用いて目的の場所に到着し得る。
【0057】
図13に概説されているプロセスの様々な態様は、1人以上の人間のユーザによって実行され得る。例えば、遠隔操作者は、母船を遠隔から操作することなどによって、母船のルートを判定し、母船の飛行を協調させ得る。同様に、遠隔操作者は、UAV104の配備およびUAV104の飛行を制御して、ウインチシステムを操作することができ得る。
【0058】
システムコントローラ1203は、少なくとも部分的に、1つ以上の組み込みまたは汎用プロセッサ、コンピュータ、処理装置、またはメモリを有するコンピューティング装置として具現化され得る。また、システムコントローラ1203は本明細書に記載された実施形態の態様を実行するために実施または動作される様々な機能および/または論理(例えば、コンピュータ可読命令、コード、装置、回路、処理回路など)要素として部分的に具現化され得る。システムコントローラ1203は、吊り下げ式空中車両システムの任意の部材内に取り付けられ、かつ固定され得るか、または接続され得る。さらに、システムコントローラ1203は、システムから離れて位置し得、そうでなければ、システムと直接または間接的に通信し得る。
【0059】
システムコントローラ1203は、プロセッサと、メモリと、記憶装置と、入力/出力(I/O)装置とを含み得る。構成要素の一部またはすべては、システムバスを介して相互接続され得る。プロセッサはシングルスレッドまたはマルチスレッドであり得、1つ以上のコアを有し得る。プロセッサは、メモリおよび/または記憶装置に格納された命令などの命令を実行し得る。情報は、I/O装置のうちの1つ以上を用いて送受信され得る。
【0060】
メモリは、情報を格納し得、揮発性または不揮発性メモリなどのコンピュータ可読媒体であり得る。記憶装置は、コンピュータシステムに記憶部を提供し得、コンピュータ可読媒体であり得る。様々な実施形態では、記憶装置は、フラッシュメモリ装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、テープ装置、または任意の他の種類の記憶装置のうちの1つ以上であり得る。
【0061】
I/O装置は、コンピュータシステムに入出力動作を提供し得る。I/O装置は、キーボード、ポインティング装置、および/またはマイクロフォンを含み得る。I/O装置は、グラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイユニット、スピーカ、および/またはプリンタをさらに含み得る。外部データは、1つ以上のアクセス可能な外部データベースに格納され得る。
【0062】
本明細書で記載される本実施形態の特徴は、デジタル電子回路、および/またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせで実装され得る。本実施形態の特徴は、プログラム可能なプロセッサによって実行されるために、機械可読記憶装置などの情報キャリアに具体的に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または伝搬信号で実装され得る。本方法のステップの実施形態は、プログラム可能なプロセッサが命令プログラムを実行して、入力データで動作し、かつ、出力を生成することによって記載された実装の機能を実行することによって行われ得る。
【0063】
本明細書に記載された本実施形態の特徴は、データ記憶システムからデータおよび/または命令を受信し、データおよび/または命令を送信するように連結された少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含むプログラム可能なシステムで実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムで実装され得る。コンピュータプログラムは、特定の活動を実行するか、または特定の結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接的または間接的に使用され得る一連の命令を含み得る。コンピュータプログラムは、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書かれ得、スタンドアロンプログラムとして、あるいは、モジュールとして、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットを含む任意の形態で配備され得る。
【0064】
命令プログラムの実行に好適なプロセッサは、例えば、汎用プロセッサおよび専用プロセッサの双方、および/または任意の種類のコンピュータの単一のプロセッサ、あるいは複数のプロセッサのうちの1つを含み得る。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ(ROM)、またはランダムアクセスメモリ(RAM)、またはその双方から命令および/またはデータを受信し得る。そのようなコンピュータは、命令を実行するためのプロセッサと、命令および/またはデータを格納するための1つ以上のメモリとを含み得る。
【0065】
一般に、コンピュータはデータファイルを格納するための1つ以上の大容量記憶装置を含み得、あるいは該大容量記憶装置と通信するように動作可能に連結され得る。このような装置は、内蔵ハードディスクなどの磁気ディスク、および/または、リムーバブルディスク、光磁気ディスク、および/または光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令および/またはデータを具体的に具現化するのに好適な記憶装置は、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置などの半導体メモリ装置、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクなどのあらゆる形態の不揮発性メモリを含み得る。プロセッサおよびメモリは、1つ以上のASIC(特定用途向け集積回路)によって補完または組み込まれ得る。
【0066】
ユーザとの相互作用を提供するために、本実施形態の特徴は、ユーザに情報を表示するためのLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ装置を有するコンピュータ上で実装され得る。コンピュータは、キーボード、マウスまたはトラックボールなどのポインティング装置、および/またはユーザがコンピュータに入力を与えることができるタッチスクリーンをさらに含み得る。
【0067】
本実施形態の特徴は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含み、かつ/または、アプリケーションサーバまたはインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含み、かつ/または、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)および/もしくはインターネットブラウザ、またはこれらの任意の組み合わせを含むクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含んだコンピュータシステムで実装され得る。システムの構成要素は、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形態または媒体によって相互接続され得る。通信ネットワークの例は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、ならびに/またはインターネットを形成するコンピュータおよびネットワークを含み得る。
【0068】
コンピューティングシステムは、クライアントと、サーバと、を含み得る。クライアントとサーバとは、相互に遠隔であり得、本明細書で記載されているようなネットワークを介して相互作用し得る。クライアントとサーバとの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータで実行され、かつ、相互にクライアントとサーバとの関係を有することによって生じ得る。
【0069】
図14は、UAV104がペイロードアタッチメント機構1426を含み、それにより、UAV104がペイロードと接続可能な本開示の一態様を示している。図示される実施形態では、ペイロードアタッチメント機構1426は、ペイロードに固定され得るプラットフォーム1428を含む。ペイロードアタッチメント機構1426は、プラットフォーム1428に取り付けられ得る回転ベアリングまたはフレキシャなどのブラケット1433を含み得、それにより、車軸117がブラケット1433内で固定され、かつ、プラットフォーム1428に実質的に接続され得る。ブラケット1433によって、車軸117がプラットフォーム1428に対して単一軸または複数軸で回転可能であり得る。
【0070】
プラットフォーム1428は、ペイロードを把持し、次いで、信号に基づいて、または、他の解除インジケータに基づいて、指定された場所でペイロードを解除するための手段を含み得る。例えば、ユーザは、プラットフォーム1428に含まれるか、またはそれに接続される留め金(図示せず)を用いて、ペイロードをプラットフォーム1428にクリップ留めし得る。留め金は、UAV104が配達ポイントに到着したときにペイロードを解除し得る。ペイロードを把持する他の形態も可能である。例えば、プラットフォーム1428は、磁気アタッチメントシステムなどの非接触アタッチメント用手段を含み得る。
【0071】
プラットフォーム1428は、該プラットフォーム1428上の留め金がペイロード上のインターフェースと連動し得る連結システムを利用することができる。連結システムは遠隔で操作され得る。すなわち、パイロットは、UAV104がいつ配達ポイントに到着したかを判定し、留め金を引っ込めてペイロードがUAV104から分離されて配達ポイントに配置されるようにUAV104に指示し得る。連結システムは、自律的に、または人間の介入なしに動作し得る。例えば、UAV104は、該UAV104がGPSポジショニングまたはマシンビジョンなどから配信ポイントにあると判定し、ペイロードの留め金を解除して、ペイロードを配達ポイントに置き去り得る。同様に、UAV104を指定された場所に送ることによって、UAV104を用いてペイロードを検索し得る。ここで、プラットフォーム1428はこのペイロードを保護することが可能であり得る。一態様では、プラットフォーム1428は、飛行前にペイロードが筐体内に固定され得るように、筐体を含み得る。
【0072】
プラットフォーム1428は、UAV104の車軸117に接続され得、これにより、プラットフォーム1428は、UAV104とは独立して回転することができ得る。本開示の一態様では、ペイロードアタッチメント機構1426は、ペイロードの追加の回転、位置、および/または平行移動の自由度を達成するための手段をさらに含み得る。例えば、ペイロードアタッチメント機構1426は、プラットフォーム1428をペイロードに接続するジンバル機構1436を含み得る。また、ジンバル機構1436は、スライダー機構であり得る。プラットフォーム1428に対するペイロードの追加の自由度は、受動的または能動的に達成され得る。ペイロードアタッチメント機構1426は、プラットフォーム1428とUAV104とが直接接触しないように、プラットフォーム1428とUAV104とを接続するための手段を含み得る。例えば、第2の支持線は、プラットフォーム1428とUAV104を接続することができ、それにより、例えば、プラットフォーム1428は、UAV104の配向とは独立して吊り下げ可能となる。この図では、UAV104とペイロードの間のジンバルにより、アセンブリの正味推力ベクトルからペイロードを独立して位置合わせ可能となるため、UAV104を傾けながら、ペイロードがニュートラルな配向を維持し得るように、ペイロードを正確な位置付けを可能にする。
【0073】
本開示の一態様では、吊り下げ式空中車両システムは、特定の機能的利用のために装備され得る。UAV104は、吊り下げ式空中車両システムが特定のタスクまたはタスクの範囲に従事することを可能にするように設計された機能モジュールに取り付け得る。例えば、吊り下げ式空中車両システムを用いて、例えば、高層窓、風力タービンブレード、およびソーラーパネルなどのアクセスが困難な場所で清掃を実行することが望ましい場合がある。この場合、
図15によって示されるように、モジュールは、吊り下げ式空中車両システムが洗浄にアクセスして実行することを可能にし得るソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアを含み得る。例えば、洗浄モジュールは、石鹸貯蔵器、水貯蔵器、およびスキージなどの洗浄ハードウェア、または、圧力洗浄機構などの他の洗浄ツールを含み得る。また、洗浄モジュールは、選択的に作動される吸盤など、UAV104が表面との接触を維持することを可能にする機構を含み得る。UAV104は、動作中に支持線107およびスラスタの協調を通じて洗浄されることが望まれる表面の適切な高さに運ばれ得る。建物の最上部近くなど、所望の洗浄位置の上にあるアンカーポイント203を利用することが望ましい場合がある。図示されている例では、アンカーポイント203は、建物の上部に配置されている延長されたポールに固定されている。UAV104は、支持線がUAV104の重量のうちの必要な量を支えている間に、UAV104が窓洗浄モジュールと表面に接触することを可能にする方向に力を生成するようにスラスタに指示し得る。吊り下げ式空中車両システムは、洗浄モジュールを作動させて表面を清潔な状態にするために必要なタスクを実行し得る。
【0074】
機能モジュールの別の例は、解体廃棄モジュールである可能性がある。解体廃棄処理モジュールは、例えば、マシンビジョン対応カメラ、作動アーム、爆弾無効化手段など、爆発物除去ロボットが使用するツールを含み得る。UAV104は、疑わしい装置の上に降下し、その装置が脅威を構成するかどうかを判定し、そうであれば、その疑わしい装置を無力化し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、UAV104は、プラットフォームを含まなくてもよい。機能モジュールは、UAV104が交換可能な機能を提供するための手段を有するのではなく、特定の機能のために設計され得るように、UAV104の他の要素に直接接続され得る。例えば、吊り下げ式空中車両システムが火災に対処するように構成されている構成では、UAV104は、消火ホースへの直接および/または恒久的な接続を有し得る。
【0076】
図16は、空中車両システムが光起電アレイ(PV)システムを洗浄し、かつ/または、保守するように構成されている例を示している。母船808は、PVシステムの近くに到着し、待機パターンに入り得る。代替的に、アンカーポイント203が静止領域に固定されている場合など、吊り下げ式空中車両システムが母船808を搭載していない場合、吊り下げ式空中車両システムは、PVシステムの上に配置された固定されたアンカーポイント203を有し得る。UAV104は、第1のPVパネルに配備され得る。UAV104は、記載された窓洗浄モジュールと同様の機能モジュールなど、PVシステムを洗浄するための機能モジュールを含み得る。UAV104が第1のPVパネルを十分に洗浄し終えると、UAV104は第2のPVパネルに移動し、第2のPVパネルの洗浄を開始し得る。このプロセスは、PVアレイシステムが十分に洗浄されるまで続き得る。単一の母船またはアンカーポイント203を複数のUAVに取り付け得、その結果、多数のUAVの各々UAVが、PVアレイシステムの洗浄に従事され得る。これは、洗浄の効率を高め、同時に洗浄にかかる合計時間を短縮する効果がある。
【0077】
本開示の一態様では、
図17に示されるように、吊り下げられたプラットフォームがペイロードの配達に利用され得る。ペイロードはUAV104に取り付けられ得る。ペイロードは、手動または自律的に生ずる可能性があるプラットフォーム1428によって保護され得る。ペイロードは、起動ポイントでUAV104に取り付けられ得る。倉庫または物流の中継ポイントなどの、起動ポイントは、事前判定され得る。ペイロードは、UAV104が母船808にドッキングされている間に、地上のUAV104に取り付けることができる。母船808がペイロードと一緒に空中に存在するとき、母船808は、
図17Aに示されるように、ドロップオフポイントを含むルート上を巡航し得る。
【0078】
図17Bは、母船808がドロップオフポイントの近くにあるとき、母船808がUAV104を配備し得ることを示している。これには、母船808が飛行モードからホバリングモードに移行することが含まれる場合がある。
図17Cに示されるように、UAV104は、前に概説されたプロセスを用いてドロップオフポイントに飛行し、ペイロードとの係合を解除してペイロードをドロップオフポイントに置き去り得る。UAV104は、母船808に呼び戻され得る。
【0079】
図17DからFに示されるように、システムが回収ポイントからペイロードを回収するために送られるこのプロセスを逆に使用し得る。同様に、システムを用いて、回収ポイントからペイロードを取得し、ドロップオフポイントに配達し得る。
【0080】
ペイロードを配達しながら狭い空間を航行するUAV104の能力が
図18に示されている。この例では、吊り下げ式空中車両システムは、オーバーハングなどによって部分的または実質的に囲まれている可能性があるバルコニーにペイロードを配達するか、またはバルコニーからペイロードを回収することができる。吊り下げ式空中車両システムは、狭い空間からペイロードを配達し、かつ回収する機能を通じて、特定のペイロードサイトおよびパーセルロッカーなどのペイロード記憶装置に同様にアクセスし得る。ペイロードサイトおよびペイロード記憶装置は、自動システム、手動システム、静止システム、およびモバイルシステムに関連する特性の何れか、または、すべてであり得る。
【0081】
本明細書で提供される機能の前述の例は、限定を意図されていないことを理解すべきである。UAV104は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の種類の機能を提供するように構成され得る。
【0082】
特定の態様が添付の図面に記載され、かつ示されているが、これらは単に広範な発明を例示するものであって制限するものではなく、当業者には様々な他の変更が生じ得るので、本発明は図示および記載された特定の構造および配置に限定されないことが理解されるであろう。