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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-24
(45)【発行日】2023-02-01
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20230125BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20230125BHJP
【FI】
G06Q20/38
G06Q20/06 300
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022104618
(22)【出願日】2022-06-29
【審査請求日】2022-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/154331(WO,A1)
【文献】特開2001-175748(JP,A)
【文献】特開2010-39589(JP,A)
【文献】特開2016-13150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信する受信部と、
前記受信部が前記決済要求を受信したことを条件として、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する判定部と、
前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていないと判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限なし金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限なし金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力する第1指示出力部と、
前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力する第2指示出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第2指示出力部は、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位の少なくとも一部に前記有効期限が設定されていると判定された場合に、前記利用先ユーザから前記暗号資産を前記通貨に変換するための要求を受けることなく、前記第2指示を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2指示出力部は、前記決済金額のうち、前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位であって、前記有効期限までの時間が基準時間以内である一又は複数の資産単位に対応する金額を前記期限あり金額として、前記第2指示を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記利用先ユーザから前記基準時間の指定を受け付ける受付部をさらに有する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2指示出力部は、前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する金額が基準金額を超える場合に、前記基準金額を前記期限あり金額として、前記第2指示を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2指示出力部は、前記決済金額の少なくとも一部に対応する一又は複数の資産単位に前記有効期限が設定されている場合であって、前記決済金額と、前記第2暗号資産口座において既に管理されている前記暗号資産の保有金額と、の合計金額が基準金額以上である場合に、前記決済金額の少なくとも一部を前記第1暗号資産口座から減算し、前記保有金額の少なくとも一部を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額の少なくとも一部と前記保有金額の少なくとも一部とを加算した金額に対応する前記通貨の金額を前記通貨口座に加算するための前記第2指示を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2指示出力部は、前記決済金額と、前記第2暗号資産口座において既に管理されている前記暗号資産の保有金額と、の合計金額が基準金額以上である場合であって、前記保有金額の少なくとも一部に対応する一又は複数の資産単位に前記有効期限が設定されている場合に、前記決済金額の少なくとも一部を前記第1暗号資産口座から減算し、前記保有金額の少なくとも一部を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額の少なくとも一部と前記保有金額の少なくとも一部とを加算した金額に対応する前記通貨の金額を前記通貨口座に加算するための前記第2指示を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2指示出力部は、前記決済金額の少なくとも一部と、前記保有金額の少なくとも一部と、を加算した金額が前記基準金額と等しくなるように、前記第2指示を出力する、
請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2指示出力部は、前記決済金額の少なくとも一部と、前記保有金額の少なくとも一部と、を加算した金額が前記基準金額と等しくなるように、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位と、前記保有金額に対応する一又は複数の資産単位と、の中から前記有効期限までの時間が短い順に選択された一部の資産単位を用いて、前記第2指示を出力する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2指示出力部は、前記保有金額に対応する一又は複数の資産単位のうち、過去に決済に利用された一又は複数の資産単位を用いて、前記第2指示を出力する、
請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2指示出力部は、前記利用先ユーザが店舗であることを条件として、前記第2指示を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記暗号資産を用いた決済はブロックチェーンによって管理されており、
前記第1指示出力部は、前記ブロックチェーンにおいて前記期限なし金額に対応する一又は複数の資産単位の保有者を前記利用元ユーザから前記利用先ユーザに変更するための前記第1指示を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、前記通貨を用いた決済は、前記地域外の店舗において実行可能である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
プロセッサが実行する、
利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信するステップと、
前記受信するステップで前記決済要求を受信したことを条件として、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定するステップと、
前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていないと判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限なし金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限なし金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力するステップと、
前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項15】
利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信する受信部と、
前記受信部が前記決済要求を受信したことを条件として、前記決済金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力する第1指示出力部と、
前記第2暗号資産口座に前記決済金額が加算された後に、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する判定部と、
前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力する第2指示出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項16】
プロセッサが実行する、
利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信するステップと、
前記受信するステップで前記決済要求を受信したことを条件として、前記決済金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力するステップと、
前記第2暗号資産口座に前記決済金額が加算された後に、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定するステップと、
前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、暗号資産(仮想通貨ともいう)を預かる口座から、現金を預かる口座へ、暗号資産の価値に対応する金額を送金するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-77640公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地域内における経済循環を活性化させることを目的として、特定の地域における決済に利用可能な暗号資産(例えば、地域デジタル通貨)を発行することが行われている。暗号資産には、決済に利用可能な有効期限が設定されている場合がある。ユーザは、有効期限が設定されている暗号資産を日本円等の通貨に変換することで有効期限から解放されるという利益を得られるものの、暗号資産を通貨に変換する操作を行う手間が掛かる。一方、暗号資産を通貨に自動的に変換するようにすると、暗号資産が地域における決済に利用される割合が低下し、地域内における経済循環を活性化させる目的を達成できない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減しながら、暗号資産の決済への利用を促進できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信する受信部と、前記受信部が前記決済要求を受信したことを条件として、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する判定部と、前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていないと判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限なし金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限なし金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力する第1指示出力部と、前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力する第2指示出力部と、を有する。
【0007】
前記第2指示出力部は、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位の少なくとも一部に前記有効期限が設定されていると判定された場合に、前記利用先ユーザから前記暗号資産を前記通貨に変換するための要求を受けることなく、前記第2指示を出力してもよい。
【0008】
前記第2指示出力部は、前記決済金額のうち、前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位であって、前記有効期限までの時間が基準時間以内である一又は複数の資産単位に対応する金額を前記期限あり金額として、前記第2指示を出力してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記利用先ユーザから前記基準時間の指定を受け付ける受付部をさらに有してもよい。
【0010】
前記第2指示出力部は、前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する金額が基準金額を超える場合に、前記基準金額を前記期限あり金額として、前記第2指示を出力してもよい。
【0011】
前記第2指示出力部は、前記決済金額の少なくとも一部に対応する一又は複数の資産単位に前記有効期限が設定されている場合であって、前記決済金額と、前記第2暗号資産口座において既に管理されている前記暗号資産の保有金額と、の合計金額が基準金額以上である場合に、前記決済金額の少なくとも一部を前記第1暗号資産口座から減算し、前記保有金額の少なくとも一部を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額の少なくとも一部と前記保有金額の少なくとも一部とを加算した金額に対応する前記通貨の金額を前記通貨口座に加算するための前記第2指示を出力してもよい。
【0012】
前記第2指示出力部は、前記決済金額と、前記第2暗号資産口座において既に管理されている前記暗号資産の保有金額と、の合計金額が基準金額以上である場合であって、前記保有金額の少なくとも一部に対応する一又は複数の資産単位に前記有効期限が設定されている場合に、前記決済金額の少なくとも一部を前記第1暗号資産口座から減算し、前記保有金額の少なくとも一部を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額の少なくとも一部と前記保有金額の少なくとも一部とを加算した金額に対応する前記通貨の金額を前記通貨口座に加算するための前記第2指示を出力してもよい。
【0013】
前記第2指示出力部は、前記決済金額の少なくとも一部と、前記保有金額の少なくとも一部と、を加算した金額が前記基準金額と等しくなるように、前記第2指示を出力してもよい。
【0014】
前記第2指示出力部は、前記決済金額の少なくとも一部と、前記保有金額の少なくとも一部と、を加算した金額が前記基準金額と等しくなるように、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位と、前記保有金額に対応する一又は複数の資産単位と、の中から前記有効期限までの時間が短い順に選択された一部の資産単位を用いて、前記第2指示を出力してもよい。
【0015】
前記第2指示出力部は、前記保有金額に対応する一又は複数の資産単位のうち、過去に決済に利用された一又は複数の資産単位を用いて、前記第2指示を出力してもよい。
【0016】
前記第2指示出力部は、前記利用先ユーザが店舗であることを条件として、前記第2指示を出力してもよい。
【0017】
前記暗号資産を用いた決済はブロックチェーンによって管理されており、前記第1指示出力部は、前記ブロックチェーンにおいて前記期限なし金額に対応する一又は複数の資産単位の保有者を前記利用元ユーザから前記利用先ユーザに変更するための前記第1指示を出力してもよい。
【0018】
前記暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、前記通貨を用いた決済は、前記地域外の店舗において実行可能であってもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信するステップと、前記受信するステップで前記決済要求を受信したことを条件として、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定するステップと、前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていないと判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限なし金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限なし金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力するステップと、前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力するステップと、を有する。
【0020】
本発明の第3の態様の情報処理装置は、利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信する受信部と、前記受信部が前記決済要求を受信したことを条件として、前記決済金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力する第1指示出力部と、前記第2暗号資産口座に前記決済金額が加算された後に、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する判定部と、前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力する第2指示出力部と、を有する。
【0021】
本発明の第4の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、利用先ユーザに対する決済を行うための決済要求であって、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信するステップと、前記受信するステップで前記決済要求を受信したことを条件として、前記決済金額を前記第1暗号資産口座から減算するとともに、前記決済金額を前記利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力するステップと、前記第2暗号資産口座に前記決済金額が加算された後に、前記暗号資産が決済に利用される単位である資産単位であって、前記決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定するステップと、前記決済金額のうち前記有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する前記暗号資産の金額である期限あり金額を前記第2暗号資産口座から減算するとともに、前記期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を前記利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減しながら、暗号資産の決済への利用を促進できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図3】情報処理システムが暗号資産及び通貨を管理する方法を説明するための模式図である。
図4】暗号資産管理サーバが管理する例示的な暗号資産データの模式図である。
図5】利用先ユーザ端末が表示する画面の模式図である。
図6】判定部が基準時間に基づいて期限あり金額を特定する方法を説明するための模式図である。
図7】第1実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
図8】変形例において判定部が通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択する方法を説明するための模式図である。
図9】第2実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、暗号資産管理サーバ1と、決済サーバ2と、銀行サーバ3と、利用元ユーザ端末4と、利用先ユーザ端末5と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0025】
暗号資産管理サーバ1(情報処理装置)は、暗号資産に関する情報を管理するためのコンピュータである。暗号資産は、代金の決済等に利用可能であり、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、所定の変換比率で所定の通貨に変換可能である。暗号資産は、例えば記憶装置において当該暗号資産を保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際に顧客であるユーザから店舗であるユーザに移転される。
【0026】
暗号資産は、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。一方、暗号資産の変換先である所定の通貨(以下、単に通貨という)は、ブロックチェーンによって管理されない資産である。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産は、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0027】
本実施形態において、暗号資産は、例えば、所定の地域において利用可能な地域デジタル通貨である。地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、当該地域外の店舗において実行不可能である。また、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の所定の店舗(例えば、登録された店舗)のみにおいて実行可能であってもよい。一方、通貨を用いた決済は、当該地域外の店舗において実行可能である。通貨を用いた決済は、当該地域内及び当該地域外の両方の店舗において実行可能であってもよい。
【0028】
また、2人のユーザ間で商品の売買(例えば、個人間取引のWebサイトにおける売買)がなされる場合に、商品を販売するユーザ個人を店舗として扱ってもよい。この場合に、商品を販売するユーザの住所に基づいて、店舗が地域内にあるか否かの判定が行われる。
【0029】
暗号資産管理サーバ1は、各ユーザが保有する暗号資産を、当該ユーザに関連付けられた暗号資産口座において管理する。暗号資産管理サーバ1は、例えば、決済サーバ2から受信した決済要求に応じて、暗号資産の保有者をあるユーザから別のユーザに変更することにより、暗号資産をあるユーザの暗号資産口座から別のユーザの暗号資産口座に移転する。暗号資産管理サーバ1は、ネットワークを介して決済サーバ2、銀行サーバ3及び利用先ユーザ端末5と通信可能である。
【0030】
決済サーバ2は、暗号資産を用いて代金の決済を行うためのコンピュータである。決済サーバ2は、例えば、利用元ユーザ端末4から決済情報を受信したことに応じて、決済金額の決済を行うための決済要求を暗号資産管理サーバ1に送信する。決済サーバ2は、ネットワークを介して暗号資産管理サーバ1及び利用元ユーザ端末4と通信可能である。
【0031】
銀行サーバ3は、通貨に関する情報を管理するためのコンピュータである。銀行サーバ3は、各ユーザが保有する通貨を、当該ユーザに関連付けられた通貨口座において管理する。銀行サーバ3は、例えば、暗号資産管理サーバ1から送金指示を受信したことに応じて、通貨をあるユーザの通貨口座から別のユーザの通貨口座に送金する。銀行サーバ3は、ネットワークを介して暗号資産管理サーバ1と通信可能である。
【0032】
利用元ユーザ端末4は、利用元ユーザが利用するコンピュータである。利用元ユーザは、例えば、店舗である利用先ユーザに対して、商品(物品、サービス等)の代金を、暗号資産を利用して支払う顧客である。また、利用元ユーザは、他の店舗である利用先ユーザに対して、暗号資産を利用して代金を支払う店舗であってもよい。利用元ユーザ端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。利用元ユーザ端末4は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。利用元ユーザ端末4は、ネットワークを介して決済サーバ2と通信可能である。
【0033】
利用先ユーザ端末5は、利用先ユーザが利用するコンピュータである。利用先ユーザは、例えば、顧客又は店舗である利用元ユーザから、暗号資産を利用して代金の支払いを受ける店舗である。利用先ユーザ端末5は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。利用先ユーザ端末5は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。利用先ユーザ端末5は、ネットワークを介して暗号資産管理サーバ1と通信可能である。
【0034】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。利用元ユーザ端末4は、利用元ユーザによる操作に応じて、決済情報を決済サーバ2に送信する(1)。決済情報は、例えば、利用元ユーザを識別するための識別情報(ID:identification)と、利用先ユーザのIDと、暗号資産を利用して利用先ユーザに支払う金額である決済金額と、を示す情報である。
【0035】
決済サーバ2は、利用元ユーザ端末4から受信した決済情報が示す決済金額の決済を行うための決済要求を暗号資産管理サーバ1に送信する(2)。決済要求は、例えば、利用元ユーザのIDと、利用先ユーザのIDと、決済金額と、を示す情報である。
【0036】
暗号資産管理サーバ1は、決済サーバ2から受信した決済要求が示す決済金額に対応する一又は複数のコインそれぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する(3)。決済金額のうち、有効期限が設定されていないコインに対応する暗号資産の金額を期限なし金額といい、有効期限が設定されているコインに対応する暗号資産の金額を期限あり金額という。
【0037】
暗号資産管理サーバ1は、期限なし金額を、利用元ユーザの暗号資産口座から、利用先ユーザの暗号資産口座に移転する(4)。一方、暗号資産管理サーバ1は、所定の換算条件に従って、期限あり金額に対応する、所定の通貨の金額である通貨金額を算出する。暗号資産管理サーバ1は、期限あり金額を利用元ユーザの暗号資産口座から減算するとともに、期限あり金額に対応する通貨金額を利用先ユーザの通貨口座に加算するための送金指示を銀行サーバ3に送信する(5)。
【0038】
このように、情報処理システムSは、利用元ユーザが利用先ユーザに対して暗号資産を用いた決済を行う際に、有効期限が設定されている暗号資産を通貨に変換した上で利用先ユーザに提供し、有効期限が設定されていない暗号資産を暗号資産のまま利用先ユーザに提供する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減しながら、暗号資産の決済への利用を促進できる。
【0039】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0040】
暗号資産管理サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。暗号資産管理サーバ1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、暗号資産管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0041】
通信部11は、ネットワークを介して決済サーバ2、銀行サーバ3及び利用先ユーザ端末5との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、決済サーバ2又は利用先ユーザ端末5からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを銀行サーバ3又は利用先ユーザ端末5に送信する。
【0042】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、暗号資産を通貨に変換するための換算条件を予め記憶している。記憶部12は、暗号資産管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0043】
制御部13は、受付部131と、受信部132と、判定部133と、算出部134と、移転指示出力部135と、暗号資産処理部136と、送金指示出力部137と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、受信部132、判定部133、算出部134、移転指示出力部135、暗号資産処理部136及び送金指示出力部137として機能する。受付部131、受信部132、判定部133、算出部134、移転指示出力部135、暗号資産処理部136及び送金指示出力部137それぞれが行う処理については後述する。
【0044】
[口座の説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産及び通貨を管理する方法を説明する。図3は、情報処理システムSが暗号資産及び通貨を管理する方法を説明するための模式図である。
【0045】
暗号資産管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザのID(例えば、暗号資産口座のID)に関連付けられている。暗号資産管理サーバ1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で通貨を移転する。
【0046】
暗号資産管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。暗号資産管理サーバ1は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けた暗号資産データ(ブロック)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0047】
暗号資産管理サーバ1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けた暗号資産データを、暗号資産管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0048】
図4は、暗号資産管理サーバ1が管理する例示的な暗号資産データの模式図である。暗号資産データは、例えば、コインを識別するためのID(コインID)と、コインに設定された有効期限と、決済への利用によりコインが移転された日時と、コインの移転元のユーザ(移転元ユーザ)のIDと、コインの移転先のユーザ(移転先ユーザ)のIDと、を関連付けた情報である。コインには、有効期限が設定されなくてもよい。図4の例では、有効期限が設定されていないコインの有効期限は「-」として表されている。
【0049】
有効期限は、コインが決済に利用可能な期限である。有効期限を過ぎたコインは、暗号資産を用いた決済に利用されない。暗号資産管理サーバ1は、例えば、有効期限を過ぎたコインが無効であることを示すデータをブロックチェーン又はデータベースに記憶させることによって、当該コインを決済に利用できなくする。また、暗号資産管理サーバ1は、例えば、有効期限を過ぎたコインを、ユーザの暗号資産口座から所定の暗号資産口座(例えば、暗号資産の発行元である自治体又は会社の暗号資産口座)に移転させるためのデータをブロックチェーン又はデータベースに記憶させることによって、当該コインを決済に利用できなくしてもよい。また、コインには、決済に利用可能な有効期限に加えて、通貨への変換(換金)が可能な期限である換金期限が設定されてもよい。また、決済に利用可能な有効期限と換金期限とが同一であってもよい。
【0050】
図3に戻り、銀行サーバ3は、複数のユーザそれぞれが保有する通貨を、通貨口座において管理する。複数のユーザそれぞれの通貨口座は、当該ユーザのID(例えば、通貨口座のID)に関連付けられている。銀行サーバ3は、通貨の管理として、通貨口座に対して通貨を入金及び出金し、又は複数の通貨口座間で通貨を移転(送金)する。銀行サーバ3は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの通貨口座における一又は複数の取引の内容と、を関連付けたデータを、銀行サーバ3が有する記憶部上にデータベースとして記憶する。
【0051】
[決済処理の説明]
情報処理システムSが暗号資産を用いて決済する処理を実行するための構成を以下に説明する。利用先ユーザは、利用先ユーザ端末5において、暗号資産を通貨に自動的に変換する変換条件を予め設定する。
【0052】
図5は、利用先ユーザ端末5が表示する画面の模式図である。利用先ユーザ端末5は、利用先ユーザから、基準時間及び基準金額の指定を受け付ける。基準時間は、暗号資産を通貨に自動的に変換するための条件とする、有効期限までの時間(期間)である。例えば、有効期限までの時間が設定された基準時間以内である暗号資産は自動的に通貨に変換される。
【0053】
基準金額は、暗号資産を通貨に自動的に変換するための条件とする、暗号資産の金額である。例えば、決済に利用される暗号資産に対応する金額が基準金額以上である場合に、当該暗号資産が自動的に通貨に変換される。利用先ユーザ端末5は、利用先ユーザによる操作部の操作に応じて、指定された基準時間又は基準金額の少なくとも一方を示す情報を暗号資産管理サーバ1に送信する。
【0054】
暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、利用先ユーザ端末5において利用先ユーザが指定した基準時間又は基準金額の少なくとも一方を受け付ける。利用先ユーザ端末5において基準時間又は基準金額の少なくとも一方が指定されない場合に、受付部131は基準時間又は基準金額の少なくとも一方を受け付けなくてもよい。
【0055】
受付部131は、利用先ユーザから、所定の閾値(例えば、6か月)を超える基準時間の指定を受け付けなくてもよい。これにより、暗号資産管理サーバ1は、有効期限までの時間が短い暗号資産のみを自動的に通貨に変換するようにし、有効期限が長い暗号資産が通貨に変換されることを抑えることができる。
【0056】
利用元ユーザ端末4は、利用元ユーザによる操作に応じて、決済情報を決済サーバ2に送信する。決済情報は、例えば、利用元ユーザのIDと、利用先ユーザのIDと、暗号資産を利用して利用先ユーザに支払う金額である決済金額と、を示す。
【0057】
決済サーバ2は、利用元ユーザ端末4から受信した決済情報が示す決済金額の決済を行うための決済要求を暗号資産管理サーバ1に送信する。決済要求は、例えば、決済金額と、利用元ユーザのIDと、利用先ユーザのIDと、を示す。決済金額は、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である。
【0058】
暗号資産管理サーバ1において、受信部132は、決済サーバ2から決済要求を受信する。利用元ユーザが保有する一又は複数のコインに対応する金額が、決済要求が示す決済金額未満である場合に、暗号資産管理サーバ1は、以降の処理を行わずに処理を終了する。判定部133は、受信部132が決済要求を受信したことを条件として、決済要求が示す決済金額に対応する一又は複数のコインそれぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する。
【0059】
判定部133は、例えば、ブロックチェーンから、決済要求が示す利用元ユーザのIDに関連付けられた暗号資産データを取得する。判定部133は、取得した暗号資産データにおいて、利用元ユーザが保有する一又は複数のコインそれぞれに有効期限が設定されているか否かを判定する。
【0060】
判定部133は、利用元ユーザが保有する一又は複数のコインの中から、所定の条件に従って決済金額に対応する一又は複数のコインを選択する。判定部133は、例えば、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する金額が決済金額以上である場合に、有効期限までの時間が短い順に、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインの少なくとも一部を、決済金額に対応する一又は複数のコインとして選択する。
【0061】
一方、判定部133は、例えば、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する金額が決済金額未満である場合に、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインの全てと、有効期限が設定されていないと判定された一又は複数のコインの少なくとも一部と、を決済金額に対応する一又は複数のコインとして選択する。
【0062】
判定部133は、決済金額のうち、有効期限が設定されていないと判定された一又は複数のコインに対応する暗号資産の金額を、期限なし金額として特定するとともに、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する暗号資産の金額を、期限あり金額として特定する。
【0063】
また、判定部133は、受付部131が受け付けた基準金額に応じて、暗号資産を通貨に自動的に変換するか否かを切り替えてもよい。判定部133は、例えば、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する金額が、受付部131が受け付けた基準金額未満である場合に、利用元ユーザが保有する一又は複数のコインそれぞれに有効期限が設定されているか否かに関わらず、決済金額全てを期限なし金額として特定する。期限なし金額は後述の処理で通貨に自動的に変換されないため、暗号資産管理サーバ1は、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する金額がユーザにより指定された基準金額以上であることを条件として暗号資産を通貨に自動的に変換することができる。ユーザは、例えば所定金額以上の暗号資産をまとめて通貨に変換すると手数料が安くなる場合等に、利益を得ることができる。
【0064】
また、判定部133は、受付部131が受け付けた基準時間に基づいて、期限あり金額を特定してもよい。図6は、判定部133が基準時間に基づいて期限あり金額を特定する方法を説明するための模式図である。
【0065】
判定部133は、例えば、決済金額のうち、有効期限までの時間が基準時間以内である一又は複数のコインに対応する金額を、期限あり金額として特定する。図6の例は基準時間が6か月である状況を示している。図6の例において、判定部133は、有効期限まで6か月の25コインを期限あり金額として特定し、残りの75コインを期限なし金額として特定する。期限なし金額は後述の処理で通貨に自動的に変換されないため、暗号資産管理サーバ1は、ユーザによる指定に応じて有効期限までの時間が短い暗号資産のみを通貨に自動的に変換することができる。
【0066】
また、判定部133は、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する金額が、受付部131が受け付けた基準金額を超える場合に、基準金額を期限あり金額として特定してもよい。これにより、暗号資産管理サーバ1は、ユーザが指定した基準金額に対応する暗号資産のみを自動的に通貨に変換し、残りを暗号資産のまま残すことができる。
【0067】
算出部134は、所定の換算条件に従って、判定部133が特定した期限あり金額に対応する、所定の通貨として管理される金額である通貨金額を算出する。本実施形態において、通貨金額の通貨は日本の法定通貨である日本円であるが、その他の通貨であってもよい。換算条件は、例えば暗号資産を通貨に変換するための変換比率(レート)を示しており、記憶部12に予め記憶されている。算出部134は、例えば、記憶部12に記憶されている換算条件が示す変換比率を用いて、期限あり金額から通貨金額を算出する。
【0068】
移転指示出力部135(第1指示出力部)は、決済金額のうち期限なし金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算するとともに、当該期限なし金額を利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための移転指示(第1指示)を出力する。移転指示出力部135は、例えば、移転指示を暗号資産処理部136に通知する。
【0069】
暗号資産処理部136は、移転指示出力部135が出力した移転指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、期限なし金額に対応する一又は複数のコインの保有者を利用元ユーザから利用先ユーザに変更することを示すブロックを追加することにより、期限なし金額を利用元ユーザの第1暗号資産口座から減算して利用先ユーザの第2暗号資産口座に加算する。
【0070】
このように、暗号資産管理サーバ1は、有効期限が設定されていない暗号資産を暗号資産のまま利用先ユーザに提供するため、暗号資産がすぐに通貨に変換されることを抑え、暗号資産の決済への利用を促進できる。
【0071】
送金指示出力部137(第2指示出力部)は、決済金額のうち期限あり金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算するとともに、算出部134が算出した当該期限あり金額に対応する通貨金額を利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための送金指示(第2指示)を出力する。送金指示出力部137は、例えば、送金指示を、暗号資産処理部136に通知するとともに、ネットワークを介して銀行サーバ3に送信する。
【0072】
暗号資産処理部136は、送金指示出力部137が出力した送金指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、期限あり金額に対応する一又は複数のコインを利用元ユーザから剥奪することを示すブロックを追加することにより、利用元ユーザの第1暗号資産口座から期限あり金額を減算する。銀行サーバ3は、暗号資産管理サーバ1から受信した送金指示に従って、例えば、通貨金額に対応する通貨を、所定の通貨口座から利用先ユーザの通貨口座に送金する。送金元の通貨口座は、例えば、暗号資産の発行元であるユーザ(自治体、会社等)に関連付けられた通貨口座であり、暗号資産の原資が予め管理されている。
【0073】
このように、暗号資産管理サーバ1は、有効期限が設定されている暗号資産を通貨に変換した上で利用先ユーザに提供するため、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減できる。
【0074】
送金指示出力部137は、決済金額に対応する一又は複数のコインの少なくとも一部に有効期限が設定されていると判定された場合に、利用先ユーザから暗号資産を通貨に変換するための要求を受けることなく、送金指示を出力することが望ましい。これにより、暗号資産管理サーバ1は、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間をさらに削減できる。
【0075】
暗号資産は、店舗でないユーザ(例えば、顧客であるユーザ)と店舗であるユーザとの間だけでなく、店舗でないユーザ間でも授受が可能である。店舗でないユーザ間の暗号資産の授受において暗号資産を通貨に自動的に変換することは、地域内における経済循環を活性化させる観点から好ましくない可能性がある。そこで、送金指示出力部137は、利用先ユーザが店舗であることを条件として、送金指示を出力してもよい。
【0076】
この場合に、判定部133は、例えば、利用先ユーザが店舗であるか否かを判定し、利用先ユーザが店舗でないと判定した場合に決済金額全てを期限なし金額として特定する。移転指示出力部135は期限なし金額の移転指示のみを出力し、送金指示出力部137は期限あり金額の送金指示を出力しない。これにより、暗号資産管理サーバ1は、店舗でないユーザ間の暗号資産の授受では暗号資産を通貨に自動的に変換しないため、暗号資産の決済への利用を促進できる。
【0077】
[情報処理方法のシーケンス]
図7は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。利用元ユーザ端末4は、利用元ユーザによる操作に応じて、決済情報を決済サーバ2に送信する。決済サーバ2は、利用元ユーザ端末4から受信した決済情報が示す決済金額の決済を行うための決済要求を暗号資産管理サーバ1に送信する(S11)。
【0078】
暗号資産管理サーバ1において、受信部132は、決済サーバ2から決済要求を受信する。判定部133は、受信部132が決済要求を受信したことを条件として、決済要求が示す決済金額に対応する一又は複数のコインそれぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する(S12)。
【0079】
判定部133は、利用元ユーザが保有する一又は複数のコインの中から、所定の条件に従って決済金額に対応する一又は複数のコインを選択する(S13)。判定部133は、決済金額のうち、有効期限が設定されていないと判定された一又は複数のコインに対応する暗号資産の金額を、期限なし金額として特定するとともに、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する暗号資産の金額を、期限あり金額として特定する(S14)。
【0080】
算出部134は、所定の換算条件に従って、判定部133が特定した期限あり金額に対応する、所定の通貨として管理される金額である通貨金額を算出する(S15)。算出部134は、例えば、記憶部12に記憶されている換算条件が示す変換比率を用いて、期限あり金額から通貨金額を算出する。
【0081】
移転指示出力部135(第1指示出力部)は、決済金額のうち期限なし金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算するとともに、当該期限なし金額を利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための移転指示(第1指示)を出力する(S16)。暗号資産処理部136は、移転指示出力部135が出力した移転指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、期限なし金額に対応する一又は複数のコインの保有者を利用元ユーザから利用先ユーザに変更することを示すブロックを追加することにより、期限なし金額を利用元ユーザの第1暗号資産口座から減算して利用先ユーザの第2暗号資産口座に加算する。
【0082】
送金指示出力部137(第2指示出力部)は、決済金額のうち期限あり金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算するとともに、算出部134が算出した当該期限あり金額に対応する通貨金額を利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための送金指示(第2指示)を出力する(S17)。送金指示出力部137は、例えば、送金指示を、暗号資産処理部136に通知するとともに、ネットワークを介して銀行サーバ3に送信する。
【0083】
暗号資産処理部136は、送金指示出力部137が出力した送金指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、期限あり金額に対応する一又は複数のコインを利用元ユーザから剥奪することを示すブロックを追加することにより、利用元ユーザの第1暗号資産口座から期限あり金額を減算する。銀行サーバ3は、暗号資産管理サーバ1から受信した送金指示に従って、例えば、通貨金額に対応する通貨を、所定の通貨口座から利用先ユーザの通貨口座に送金する(S18)。
【0084】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、暗号資産管理サーバ1は、利用元ユーザが利用先ユーザに対して暗号資産を用いた決済を行う際に、有効期限が設定されている暗号資産を通貨に変換した上で利用先ユーザに提供し、有効期限が設定されていない暗号資産を暗号資産のまま利用先ユーザに提供する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減しながら、暗号資産の決済への利用を促進できる。
【0085】
<変形例>
本変形例において、暗号資産管理サーバ1は、決済に利用される暗号資産と、利用先ユーザが既に保有している暗号資産と、の中から、通貨に変換する暗号資産を選択する。以下、第1実施形態とは異なる部分を主に説明する。
【0086】
判定部133は、決済金額に対応する一又は複数のコインと、利用先ユーザの第2暗号資産口座において既に管理されている一又は複数のコインと、の中から、通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択する。利用先ユーザの第2暗号資産口座において既に管理されている一又は複数のコインに対応する金額を、保有金額という。
【0087】
図8(a)、図8(b)は、本変形例において判定部133が通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択する方法を説明するための模式図である。図8(a)の例は、決済金額の少なくとも一部に対応する一又は複数のコインに有効期限が設定されている場合であって、決済金額と保有金額との合計金額が、受付部131が受け付けた基準金額以上である場合を表している。
【0088】
このような場合に、判定部133は、例えば、決済金額に対応する一又は複数のコインと、保有金額に対応する一又は複数のコインと、の中から、有効期限までの時間が短い順に、通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択する。ここで判定部133は、決済金額の少なくとも一部と、保有金額の少なくとも一部と、を加算した金額が、受付部131が受け付けた基準金額と等しくなるように、通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択してもよい。
【0089】
決済金額に対応する一又は複数のコインと、保有金額に対応する一又は複数のコインと、の中で、有効期限が設定されている一又は複数のコインに対応する金額が基準金額未満である場合に、判定部133は、基準金額に達するように有効期限が設定されていない一又は複数のコインを選択してもよい。
【0090】
図8(a)の例では、判定部133は、決済金額に対応する有効期限まで6か月の5コインと、保有金額に対応する有効期限まで4か月の5コインと、を基準金額である10コインとして選択する。
【0091】
図8(b)の例は、決済金額と保有金額との合計金額が、受付部131が受け付けた基準金額以上である場合であって、保有金額の少なくとも一部に対応する一又は複数のコインに有効期限が設定されている場合(決済金額に対応する一又は複数のコインに有効期限が設定されていない場合)を表している。
【0092】
このような場合に、判定部133は、例えば、決済金額に対応する一又は複数のコインと、保有金額に対応する一又は複数のコインと、の中から、有効期限までの時間が短い順に、通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択する。ここで判定部133は、決済金額の少なくとも一部と、保有金額の少なくとも一部と、を加算した金額が、受付部131が受け付けた基準金額と等しくなるように、通貨への変換対象である一又は複数のコインを選択してもよい。
【0093】
決済金額に対応する一又は複数のコインと、保有金額に対応する一又は複数のコインと、の中で、有効期限が設定されている一又は複数のコインに対応する金額が基準金額未満である場合に、判定部133は、基準金額に達するように有効期限が設定されていない一又は複数のコインを選択してもよい。
【0094】
図8(b)の例では、判定部133は、決済金額に対応する有効期限が設定されていない5コインと、保有金額に対応する有効期限まで4か月の5コインと、を基準金額である10コインとして選択する。
【0095】
また、判定部133は、保有金額に対応する一又は複数のコインの中から、過去に決済に利用された一又は複数のコインを、通貨への変換対象である一又は複数のコインとして選択してもよい。この場合に、判定部133は、例えば、ブロックチェーンから取得した暗号資産データに基づいて、保有金額に対応する一又は複数のコインそれぞれが過去に決済に利用されたか否か(過去に店舗であるユーザに移転されたか否か)を判定し、過去に決済に利用されたと判定したコインを選択する。これにより、暗号資産管理サーバ1は、利用先ユーザが既に保有している暗号資産が過去に決済に利用されたことを条件として通貨への変換を可能にし、流通前の暗号資産が換金されることを抑えることができる。
【0096】
算出部134は、所定の換算条件に従って、判定部133が選択した通貨への変換対象である一又は複数のコインに対応する金額に対応する、所定の通貨として管理される金額である通貨金額を算出する。算出部134は、例えば、記憶部12に記憶されている換算条件が示す変換比率を用いて、通貨への変換対象である一又は複数のコインに対応する金額から通貨金額を算出する。
【0097】
移転指示出力部135(第1指示出力部)は、決済金額のうち判定部133が選択した通貨への変換対象でない一又は複数のコインに対応する金額を期限なし金額として、移転指示(第1指示)を出力する。暗号資産処理部136は、移転指示出力部135が出力した移転指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、期限なし金額に対応する一又は複数のコインの保有者を利用元ユーザから利用先ユーザに変更することを示すブロックを追加することにより、期限なし金額を利用元ユーザの第1暗号資産口座から減算して利用先ユーザの第2暗号資産口座に加算する。
【0098】
送金指示出力部137(第2指示出力部)は、決済金額のうち通貨への変換対象である一又は複数のコインに対応する金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算し、保有金額のうち通貨への変換対象である一又は複数のコインに対応する金額を利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座から減算するとともに、算出部134が算出した通貨金額を利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための送金指示(第2指示)を出力する。送金指示出力部137は、例えば、送金指示を、暗号資産処理部136に通知するとともに、ネットワークを介して銀行サーバ3に送信する。
【0099】
暗号資産処理部136は、送金指示出力部137が出力した送金指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、通貨への変換対象である一又は複数のコインを利用元ユーザ及び利用先ユーザから剥奪することを示すブロックを追加することにより、利用元ユーザ及び利用先ユーザの暗号資産口座から通貨への変換対象である一又は複数のコインの金額を減算する。銀行サーバ3は、暗号資産管理サーバ1から受信した送金指示に従って、例えば、通貨金額に対応する通貨を、所定の通貨口座から利用先ユーザの通貨口座に送金する。
【0100】
本変形例によれば、暗号資産管理サーバ1は、決済金額に対応する暗号資産と、利用先ユーザが既に保有している暗号資産と、を合わせて通貨に自動的に変換することができる。ユーザは、例えば所定金額以上の暗号資産をまとめて通貨に変換すると手数料が安くなる場合等に、利益を得ることができる。
【0101】
<第2実施形態>
第1実施形態に係る情報処理システムSは決済金額に対応する暗号資産を利用先ユーザに提供する前に当該暗号資産に有効期限が設定されているか否かを判定するのに対して、本実施形態に係る情報処理システムSは決済金額に対応する暗号資産を利用先ユーザに提供した後に当該暗号資産に有効期限が設定されているか否かを判定する。以下、第1実施形態とは異なる部分を主に説明する。
【0102】
図9は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、利用先ユーザ端末5において利用先ユーザが指定した基準時間又は基準金額の少なくとも一方を予め受け付ける。
【0103】
利用元ユーザ端末4は、利用元ユーザによる操作に応じて、決済情報を決済サーバ2に送信する。決済サーバ2は、利用元ユーザ端末4から受信した決済情報が示す決済金額の決済を行うための決済要求を暗号資産管理サーバ1に送信する(S21)。決済金額は、利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座において管理される暗号資産の金額である。
【0104】
暗号資産管理サーバ1において、受信部132は、決済サーバ2から決済要求を受信する。移転指示出力部135(第1指示出力部)は、受信部132が決済要求を受信したことを条件として、決済要求が示す決済金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算するとともに、当該決済金額を利用先ユーザに関連付けられた第2暗号資産口座に加算するための移転指示(第1指示)を出力する(S22)。移転指示出力部135は、例えば、移転指示を暗号資産処理部136に通知する。
【0105】
暗号資産処理部136は、移転指示出力部135が出力した移転指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、決済金額に対応する一又は複数のコインの保有者を利用元ユーザから利用先ユーザに変更することを示すブロックを追加することにより、決済金額を利用元ユーザの第1暗号資産口座から減算して利用先ユーザの第2暗号資産口座に加算する。
【0106】
判定部133は、第2暗号資産口座に決済金額が加算された後に、決済金額に対応する一又は複数のコインそれぞれに、決済に利用可能な期限を示す有効期限が設定されているか否かを判定する(S23)。
【0107】
判定部133は、例えば、ブロックチェーンから、決済金額に対応する一又は複数のコインのIDに関連付けられた暗号資産データを取得する。判定部133は、取得した暗号資産データにおいて、決済金額に対応する一又は複数のコインそれぞれに有効期限が設定されているか否かを判定する。
【0108】
決済金額に対応する一又は複数のコイン全てに有効期限が設定されていないと判定された場合に(S24のNO)、暗号資産管理サーバ1は暗号資産を通貨に変換することなく処理を終了する。
【0109】
決済金額に対応する一又は複数のコインの少なくとも一部に有効期限が設定されていると判定された場合に(S24のYES)、判定部133は、決済金額のうち、有効期限が設定されていると判定された一又は複数のコインに対応する暗号資産の金額を、期限あり金額として特定する(S25)。
【0110】
算出部134は、所定の換算条件に従って、判定部133が特定した期限あり金額に対応する、所定の通貨として管理される金額である通貨金額を算出する(S26)。算出部134は、例えば、記憶部12に記憶されている換算条件が示す変換比率を用いて、期限あり金額から通貨金額を算出する。
【0111】
送金指示出力部137(第2指示出力部)は、決済金額のうち期限あり金額を利用元ユーザに関連付けられた第1暗号資産口座から減算するとともに、算出部134が算出した当該期限あり金額に対応する通貨金額を利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための送金指示(第2指示)を出力する(S27)。送金指示出力部137は、例えば、送金指示を、暗号資産処理部136に通知するとともに、ネットワークを介して銀行サーバ3に送信する。
【0112】
暗号資産処理部136は、送金指示出力部137が出力した送金指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、期限あり金額に対応するコインを利用元ユーザから剥奪することを示すブロックを追加することにより、利用元ユーザの暗号資産口座から期限あり金額を減算する。銀行サーバ3は、暗号資産管理サーバ1から受信した送金指示に従って、例えば、通貨金額に対応する通貨を、所定の通貨口座から利用先ユーザの通貨口座に送金する(S28)。
【0113】
本実施形態に係る情報処理システムSは、第1実施形態と同様に、ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減しながら、暗号資産の決済への利用を促進できる。また、情報処理システムSは、決済金額に対応する暗号資産を利用先ユーザに提供した後に当該暗号資産に有効期限が設定されているか否かを判定することにより、暗号資産から通貨への変換を待たずに決済を完了できるため、決済に掛かる時間を短縮することができる。
【0114】
<第3実施形態>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では暗号資産管理サーバ1が暗号資産の有効期限を考慮して決済する処理を行う情報処理装置として機能しているが、決済サーバ2が暗号資産の有効期限を考慮して決済する処理を行う情報処理装置として機能してもよい。本変形実施形態において、決済サーバ2の制御部(プロセッサ)は、上述の受付部131、受信部132、判定部133、算出部134、移転指示出力部135、暗号資産処理部136及び送金指示出力部137として機能する。
【0115】
本実施形態によれば、決済サーバ2が暗号資産に設定された有効期限を考慮して決済する処理を実行できるため、装置間の通信による負荷や待ち時間を削減することができる。
【0116】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0117】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0118】
S 情報処理システム
1 暗号資産管理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 受信部
133 判定部
134 算出部
135 移転指示出力部
136 暗号資産処理部
137 送金指示出力部
2 決済サーバ
3 銀行サーバ
4 利用元ユーザ端末
5 利用先ユーザ端末

【要約】
【課題】ユーザが暗号資産を通貨に変換する手間を削減しながら、暗号資産の決済への利用を促進できる。
【解決手段】暗号資産管理サーバ1は、暗号資産の金額である決済金額を示す決済要求を受信する受信部132と、決済金額に対応する一又は複数の資産単位それぞれに有効期限が設定されているか否かを判定する判定部133と、決済金額のうち有効期限が設定されていないと判定された一又は複数の資産単位に対応する期限なし金額を第1暗号資産口座から減算するとともに、期限なし金額を第2暗号資産口座に加算するための第1指示を出力する移転指示出力部135と、決済金額のうち有効期限が設定されていると判定された一又は複数の資産単位に対応する期限あり金額を第1暗号資産口座から減算するとともに、期限あり金額に対応する通貨金額を利用先ユーザに関連付けられた通貨口座に加算するための第2指示を出力する送金指示出力部137と、を有する。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9