(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】スクリュープレス
(51)【国際特許分類】
B30B 9/16 20060101AFI20230126BHJP
F16H 1/10 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B30B9/16
F16H1/10
(21)【出願番号】P 2020094090
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博久
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119900(JP,A)
【文献】実開平5-9787(JP,U)
【文献】特開平3-297599(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1545681(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/16
F16H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直胴型のスクリュー軸2を有するスクリュープレスにおいて、
スクリュー軸2を分割した複数の軸ユニットと、
スクリュー軸2に内挿して一端を駆動機11に接続し、他端を回転自在に軸支した入力シャフト12と、
スクリュー軸2に内挿して両端を支持した出力シャフト13と、
入力シャフト12に固定して各軸ユニット内に排出側に向かって径が小さくなるように配置する入力ギヤ14と、
出力シャフト13に回転自在に挿通して各入力ギヤ14と噛合する出力ギヤ15と、
各軸ユニットの内周面に設けて出力ギヤ15と噛合するリングギヤ22と、
を備えた
ことを特徴とするスクリュープレス。
【請求項2】
前記出力ギヤ15を径の異なる複数のギヤを一体化した多段ギヤ16とした
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレス。
【請求項3】
前記軸ユニットの側面にシール部材25を有する凸状嵌め合い部23または、凹状嵌め合い部24を形成した
ことを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載のスクリュープレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向に分割した直胴型のスクリュー軸を回転自在に連結し、連結した個々の軸ユニットの回転数を汚泥の排出側に向かって減少させることで、汚泥の搬送速度がろ過室後段に向かって次第に低下することを特徴とするスクリュープレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、架台に立設したフロントフレーム及びリアフレームの間にろ過面を有する円筒状のスクリーンを支架し、スクリーン内に螺旋状のスクリュー羽根を巻き掛けたテーパー型スクリュー軸を配設したスクリュープレスは一般的に知られている。
【0003】
また、テーパー型スクリュー軸を軸方向に2分割し、分割された2つのスクリュー軸がスクリーンとの間に形成されたろ過室の濃縮ゾーンとろ過・脱水ゾーンで、それぞれ個別に回転できるように配設されたスクリュープレスが特許文献1に開示してある。
【0004】
そして、特許文献2には、スクリュー羽根を巻き掛けた直胴型のスクリュー軸をスクリーンに内設し、スクリュー羽根のピッチがスクリュー軸の下流側に向かって小さくなるように構成されたスクリュープレスが開示してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3775232号公報
【文献】特許第4465384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、スクリュープレスのスクリュー軸はテーパー状に構成されており、スクリーンとの間に形成されたろ過室の始端側に供給した汚泥をスクリュー軸の他端に向かってスクリュー羽根で搬送しながら圧搾するとともに、スクリーンで水分を分離している。
そして、スクリュー軸の他端に搬送された汚泥は、排出口に対設したプレッサーによる押圧を受けた後、排出口より排出する。このとき、汚泥はプレッサーによる押圧に加え、テーパー型スクリュー軸とスクリーンの間に形成されたろ過室の容積変化によって生じる押圧も受けるため、圧密が進行する。
このように、従来のスクリュープレスでは、テーパー型スクリュー軸を使用することで搬送中の汚泥に押圧力を与えているが、スクリュー軸をテーパー状に加工するには、軸径を始端側から終端側に向かって増大させる必要があり、加工に手間を要するため、製作に多くの時間や費用がかかる。
【0007】
また、特許文献1のスクリュープレスは、軸方向に2分割したテーパー型スクリュー軸をろ過室の濃縮ゾーンとろ過・脱水ゾーンにそれぞれ回転自在に配設し、各ゾーン内でスクリュー軸の回転数を個別に設定することで、ゾーンごとにスクリーンとスクリュー羽根先端に付設したスクレーパーとの摺接回数を調整できるものである。
しかし、分割したスクリュー軸を個別に回転させるには、分割したスクリュー軸それぞれに駆動装置を設けなければならないため、多くの動力源が必要となる。これに伴い、余分な設備費やランニングコスト等がかかる。
そのうえ、分割したテーパー型スクリュー軸に形成された複数の分割面は、軸径が異なるため、分割面を連結させる際、分割面に段差が生じて隙間から被処理物が漏れる。また、分割面ごとに径の異なるシール部材を設ける必要があり、シール加工に手間を要するという問題もある。
【0008】
さらに、特許文献2のスクリュープレスは、スクリュー羽根を巻き掛けた直胴型スクリュー軸をスクリーンに内設し、羽根のピッチを下流に向かって小さくしたものであるが、直胴型スクリュー軸とスクリーンとの間に形成されるろ過室の容積は一定であるため、容積変化による押圧力を汚泥に与えることができない。汚泥に押圧力を与えるためにスクリュー軸の下流側に向かって羽根のピッチを小さくしているが、羽根ピッチを漸減させただけでは汚泥に十分な押圧力を与えられない。
また、羽根ピッチをスクリュー軸の下流に向かって漸減することでろ過室後段に向かうにつれて汚泥の搬送速度が遅くなるため、汚泥が滞留し、スクリュー軸とスクリーンの供回りが発生するという課題も抱えている。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、軸方向に分割した直胴型のスクリュー軸を回転自在に連結し、連結した各軸ユニットの回転数を汚泥の排出側に向かって減少させることで、汚泥の搬送速度をろ過室後段に向かって低下させてケーキの脱水性を向上させるスクリュープレスである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、直胴型のスクリュー軸を有するスクリュープレスにおいて、スクリュー軸を分割した複数の軸ユニットと、スクリュー軸に内挿して一端を駆動機に接続し、他端を回転自在に軸支した入力シャフトと、スクリュー軸に内挿して両端を支持した出力シャフトと、入力シャフトに固定して各軸ユニット内に排出側に向かって径が小さくなるように配置する入力ギヤと、出力シャフトに回転自在に挿通して各入力ギヤと噛合する出力ギヤと、各軸ユニットの内周面に設けて出力ギヤと噛合するリングギヤとを備えたことで、スクリュー軸の回転速度が排出側に向かって低下する。これにより、汚泥の搬送速度が低下してろ過室後段で汚泥が滞留し、滞留した汚泥がろ過室前段から搬送されてきた搬送速度の速い汚泥によって後方へ押し込まれることで圧密が進行するため、ケーキの脱水性を高めることができる。
【0011】
出力ギヤを径の異なる複数のギヤを一体化した多段ギヤとしたことで、入力ギヤの動力をリングギヤに伝えることができる。
【0012】
軸ユニットの側面にシール部材を有する凸状嵌め合い部または、凹状嵌め合い部を形成したことで、連結時に各軸ユニットがシール部材を介してスムーズに摺動して回転できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、スクリュー軸を各軸ユニットに分割し、各軸ユニットの回転数を排出側に向かって減少させたことで、ろ過室後段へ向かうほど汚泥が圧密されるため、ケーキの含水率が低下する。そして、ろ過室前段の汚泥の搬送速度が速いことで始端側より供給した汚泥を効率よく終端側へ搬送できるため汚泥の処理量を増やすことができる。また、スクリュー軸が直胴型であり、軸径を始端側から終端側に向かって変化させる必要がないため、製作が容易であるうえ、連結面のシール加工や連結作業にも手間を要さない。さらに、共通の入力軸及び出力軸に設けた各ギヤでそれぞれの軸ユニットを回転させるため、動力源が1つで済み、余分な設備費やランニングコスト等が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る、スクリュープレスの縦断側面図である。
【
図2】本発明に係る、分割式スクリュー軸の縦断側面図である。
【
図3】本発明に係る、第5軸ユニットの縦断面図及び縦側面図である。
【
図4】本発明に係る、第4軸ユニットの縦断面図及び縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係るスクリュープレスの縦断側面図である。
符号1は、スクリュープレスであって、ろ過面を有する円筒状のスクリーン10が架台9に立設したフロントフレーム7及びリアフレーム8に支架されている。
このスクリーン10内部に螺旋状のスクリュー羽根3を巻き掛けた直胴型のスクリュー軸2を配設し、スクリュー軸2とスクリーン10の間にろ過室4を形成している。
スクリーン10の始端側上部には、汚泥を供給するためのホッパー5を設けており、ホッパー5よりろ過室4内に供給された汚泥は、スクリーン10で水分を分離されるとともに、スクリュー羽根3による搬送力を受けて押圧されながらスクリーン10の終端側へ搬送される。そして、終端側に位置する排出口に対設されたプレッサー6による押圧を受けて圧密された後、排出される。
【0016】
スクリュー羽根3を巻き掛けた直胴型のスクリュー軸2は、軸方向に分割した分割式スクリュー軸2であり、分割された複数の軸ユニットをそれぞれ回転自在に連結している。
各軸ユニットは、スクリュー羽根3の1ピッチごとにスクリュー羽根3とスクリュー軸2を回転軸と垂直方向に分割してある。1ピッチ分のスクリュー羽根3を巻き掛けた軸ユニットが1回転すると、汚泥はスクリュー羽根3により1ピッチ分だけ、つまり、軸ユニットの一端から他端まで搬送される。
【0017】
図2は、本発明に係る分割式スクリュー軸の縦断側面図である。
本実施例では、軸方向に5分割した直胴型のスクリュー軸2を回転自在に連結したものを分割式スクリュー軸2としており、分割式スクリュー軸2を構成している5つの軸ユニットは、一端から他端に向かって第1軸ユニット2a、第2軸ユニット2b、第3軸ユニット2c、第4軸ユニット2d、第5軸ユニット2eとしている。
連結された軸ユニットの連結面には、シール部材25を取り付けており、各軸ユニットがシール部材25を介して互いに摺動して回転できるようにしてある。
【0018】
連結したスクリュー軸2の内部には、軸芯と平行に入力シャフト12を挿通してある。入力シャフト12には、各軸ユニットに対応する入力ギヤ14を嵌挿しており、入力ギヤ14は、例えば、平歯車、はすば歯車等の動力伝達手段を用いることができる。
入力シャフト12の一端は、駆動機11に連結しており、駆動機11を駆動させることで入力シャフト12に固定された入力ギヤ14が回転するように構成している。なお、入力シャフト12の他端は、フレームあるいはスクリュー軸2に設けた軸受により回転自在に軸支する。
【0019】
スクリュー軸2の内部には、入力シャフト12と平行に出力シャフト13を挿通してある。出力シャフト13には、それぞれの入力ギヤ14と噛合する出力ギヤ15を回転自在に設けており、入力ギヤ14の回転に応じて出力ギヤ15が回転する。なお、出力シャフト13は、両端をフロントフレーム7及びリアフレーム8に支持する。
【0020】
また、各軸ユニットの内周面には、出力ギヤ15と噛合するリングギヤ22を設けており、リングギヤ22の回転により各軸ユニットが回転するようにしている。
詳しくは、駆動機11により入力ギヤ14を回転させたあと、出力ギヤ15が入力ギヤ14と噛合しながら回転する。そして、リングギヤ22が出力ギヤ15と噛合しながら回転するため、入力ギヤ14の動力が出力ギヤ15を介してリングギヤ22に伝達し、各軸ユニットが回転するようになっている。
【0021】
ギヤ比の関係により入力ギヤ14とリングギヤ22の間に出力ギヤ15が収まらない場合は、出力ギヤ15として、径の異なる2つ以上のギヤを並列させて一体化した多段ギヤ16を設けてもよい。
なお、本実施例では、第5軸ユニット2e内に設けられた入力ギヤ14とリングギヤ22の間に出力ギヤ15を配置し、第1軸ユニット2aから第4軸ユニット2dまでの軸ユニット内にそれぞれ設けられた入力ギヤ14とリングギヤ22の間に多段ギヤ16を配置している。配置された出力ギヤ15と多段ギヤ16は、入力ギヤ14及びリングギヤ22と噛合させてある。
【0022】
また、本実施例では、入力ギヤ14を第1軸ユニット2aから第5軸ユニット2eに向かって径が漸減するように各軸ユニット内に配置している。このような構成とすることで、各入力ギヤ14に対応する出力ギヤ15(もしくは、多段ギヤ16)及びリングギヤ22には、第1軸ユニット2aから第5軸ユニット2eに向かって回転数が減少するように動力が伝達される。つまり、回転自在に連結された各軸ユニットは、排出側に向かうにつれて回転速度を低下させる。
なお、スクリュー軸の分割数や羽根のピッチ等は設計条件に応じて適宜変更してもよい。
【0023】
図3は、第5軸ユニットの縦断面図及び縦側面図である。
第5軸ユニット2eは、軸方向に5分割された分割式スクリュー軸2の他端に設けた軸ユニットである。第5軸ユニット2e内部に軸芯と平行に入力シャフト12を挿通させており、入力シャフト12には、外周歯を連続させた入力ギヤ14を固定している。内部には入力シャフト12と平行に出力シャフト13を挿通させており、出力シャフト13に外周歯を連続させた出力ギヤ15を回転自在に挿通している。出力ギヤ15は、入力ギヤ14と噛合するように設けており、入力ギヤ14と噛合しながら回転する。
また、第5軸ユニット2e内周面に内周歯を連続させたリングギヤ22を設けており、出力ギヤ15と噛合しながら回転できるようにしている。
駆動機11により入力ギヤ14が回転すると、出力ギヤ15が入力ギヤ14と噛合しながら回転し、リングギヤ22が出力ギヤ15と噛合しながら回転する。つまり、入力ギヤ14を回転させることで、出力ギヤ15を介して入力ギヤの動力がリングギヤ22に伝達し、リングギヤ22が回転する。リングギヤ22は、第5軸ユニット2eの内周面に設けてあることからリングギヤ22の回転は、第5軸ユニット2eが回転することを意味する。従って、第5軸ユニット2eの回転数は、駆動機11の回転数及び入力ギヤ14の径を変更することで調整可能である。
【0024】
また、第5軸ユニット2eの一端には、隣接する第4軸ユニット2dとの連結面である凸状嵌め合い部23を形成している。凸状嵌め合い部23は、軸方向に突出した円筒形状であり、外周面にはOリング等のシール部材25を取り付けている。
第5軸ユニット2eの凸状嵌め合い部23を第4軸ユニット2dの他端に形成された凹状嵌め合い部24に挿入することで、各軸ユニットがシール部材25を介して互いに摺動して回転できる。
【0025】
図4は、第4軸ユニットの縦断面図及び縦断側面図である。
第4軸ユニット2dは、第5軸ユニット2eの上流側に隣接する軸ユニットである。第5軸ユニット2eと同様に、軸ユニット内部に軸芯と平行に入力シャフト12を挿通させており、入力シャフト12には入力ギヤ14を固定している。また、出力シャフト13を入力シャフト12と平行に挿通させている。
ここで、軸ユニットの回転速度が排出側に向かって低下するような回転数を設定するために、上流側に位置する第4軸ユニット2dの入力ギヤ14の径を第5軸ユニット2eよりも大きくして第4軸ユニット2dの回転数を第5軸ユニット2eよりも増加させる必要がある。これに伴い、第4軸ユニット2dの出力ギヤ15の径を第5軸ユニット2eよりも小さくする必要があるが、径を小さくすると、入力ギヤ14及びリングギヤ22に噛合させることができない。
そこで、第4軸ユニット2d内には、出力ギヤ15として、径の異なる2つ以上のギヤを並列させて一体化した多段ギヤ16を出力シャフト13に回転自在に挿通させてある。これにより、入力ギヤ14及びリングギヤ22と噛合できるため、入力ギヤ14の動力をリングギヤ22に伝達させることができる。
このように、ギヤ比の関係により入力ギヤ14とリングギヤ22の間に出力ギヤ15が収まらない場合には、出力ギヤ15として、多段ギヤ16を設けることで、入力ギヤ14の動力がリングギヤ22に伝達し、リングギヤ22を内周に有する軸ユニットが回転する。
【0026】
第4軸ユニット2dの一端には、周面にシール部材25を取り付けた凸状嵌め合い部23を形成しており、軸ユニット連結時には、隣接する第3軸ユニット2cの他端に形成された凹状嵌め合い部24に挿入する。また、第4軸ユニット2dの他端には、隣接する第5軸ユニット2eに形成された凸状嵌め合い部23との連結面である凹状嵌め合い部24を形成している。凹状嵌め合い部24は、円筒形状の凸状嵌め合い部23を挿入するために、軸方向に円筒形状にくぼませている。
各軸ユニットに凸状嵌め合い部23、凹状嵌め合い部24、もしくはその両方を形成し、軸ユニット連結時に、一方の軸ユニットに形成されたシール部材25を有する凸状嵌め合い部23を、もう一方の軸ユニットに形成された凹状嵌め合い部24に挿入することで、各軸ユニットがシール部材25を介して互いに摺動して回転できるようになる。
また、隣接する軸ユニットが互いに摺動して回転できる構成であればよいため、嵌め合い部の構成はこれに限定しない。さらに、ギヤの径や形状等についても適宜設定可能とする。
【0027】
分割式スクリュー軸2を構成する、第3軸ユニット2c、第2軸ユニット2b、第1軸ユニット2aには、第4軸ユニット2dと同様に、それぞれ入力ギヤ14及び出力ギヤ15を設けるとともに、出力ギヤ15として多段ギヤ16を設けている。
また、軸ユニットの回転速度を排出側に向かって低下させるために入力ギヤ14の径を第1軸ユニット2aで最も大きくしており、第5軸ユニット2eに向かって漸減させている。反対に、出力ギヤ15の径を第1軸ユニット2aで最も小さくしており、第5軸ユニット2eに向かうにつれて漸増させている。
【実施例】
【0028】
本実施例におけるスクリュープレスの動作を詳述する。
スクリーン10の始端側上部に設けたホッパー5より汚泥を供給する。供給された汚泥は、スクリーン10で水分を分離されつつ第1軸ユニット2aのスクリュー羽根3の回転で第2軸ユニット2bに向かって搬送される。
第2軸ユニット2bに搬送された汚泥は、第1軸ユニット2aでの固液分離作用により容積が減少しているが、第2軸ユニット2bでの搬送速度が第1軸ユニット2aの搬送速度より遅いため、滞留時間が長く、搬送速度の速い第1軸ユニット2aからの汚泥搬入により、汚泥が圧密されて脱水効率が向上する。
第3軸ユニット2cに搬送された汚泥は、第2軸ユニット2bでの固液分離作用により容積が減少しているが、第3軸ユニット2cでの搬送速度が第2軸ユニット2bの搬送速度より遅いため、滞留時間が長く、搬送速度の速い第2軸ユニット2bからの汚泥搬入により、汚泥が圧密されて脱水効率が向上する。
第4軸ユニット2dに搬送された汚泥は、第3軸ユニット2cでの固液分離作用により容積が減少しているが、第4軸ユニット2dでの搬送速度が第3軸ユニット2cの搬送速度より遅いため、滞留時間が長く、搬送速度の速い第3軸ユニット2cからの汚泥搬入により、汚泥が圧密されて脱水効率が向上する。
第5軸ユニット2eは、第4軸ユニット2dよりも遅い速度で汚泥を搬送するため、搬送速度の速い第4軸ユニット2dからの汚泥搬入と、排出口のプレッサー6による汚泥圧密により脱水効率が向上する。その後、低含水率となった脱水ケーキは排出口より排出される。
このように、回転自在に連結された軸ユニットの回転数を、第1軸ユニット2aから第5軸ユニット2eに向かって減少するように設定したことで、汚泥の搬送速度が排出側に向かって低下する。そして、搬送速度の遅いろ過室4後段の汚泥が、搬送速度の速いろ過室4前段より搬送されてきた汚泥による押圧を受けて圧密されることで、移送中の汚泥の含水率が低下する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のスクリュープレスは、直胴型のスクリュー軸を軸方向に分割して形成された軸ユニットを回転自在に連結したものである。スクリュー軸を分割可能としたことで、摩耗や破損等によりスクリュー羽根やスクリュー軸の交換が必要となった場合、必要な軸ユニットのみ取り外すことができるため、補修や交換等の手間を減らすことができる。
また、軸ユニットごとに回転数を設定することで汚泥の搬送速度を調整できるため、性状の異なるあらゆる汚泥に対応できる。
【符号の説明】
【0030】
2 スクリュー軸
11 駆動機
12 入力シャフト
13 出力シャフト
14 入力ギヤ
15 出力ギヤ
22 リングギヤ
16 多段ギヤ
25 シール部材
23 凸状嵌め合い部
24 凹状嵌め合い部