(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 24/36 20060101AFI20230126BHJP
B01D 24/00 20060101ALI20230126BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20230126BHJP
【FI】
B01D29/08 510A
B01D29/08 520B
B01D29/08 540C
C02F1/00 L
(21)【出願番号】P 2020087509
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】520175950
【氏名又は名称】胡朝森
(73)【特許権者】
【識別番号】516014764
【氏名又は名称】胡鳴群
(74)【代理人】
【識別番号】100091269
【氏名又は名称】半田 昌男
(72)【発明者】
【氏名】胡鳴群
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-016987(JP,A)
【文献】特開2004-105880(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00139978(EP,A1)
【文献】特開平10-028817(JP,A)
【文献】特開2002-239308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04,35/08-37/08
C02F 11/00-11/20
C02F 1/20-1/26,1/30-1/38
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥水を濾過する泥水処理システムにおいて、
内部が前記泥水を濾過する処理が行われる泥水濾過室となる泥水濾過タンクと、
前記泥水濾過タンクの中央より下の所定箇所に設けられた、前記泥水を前記泥水濾過室に供給するための泥水給水管と、
前記泥水濾過タンクの中央より上の所定箇所に設けられた、前記泥水を濾過して得られた浄水を前記泥水濾過室から外部に排出するための浄水排水管と、
前記泥水濾過室に入れられ、前記泥水を前記泥水濾過室に供給したときに水の浮力を利用して前記泥水濾過室内で浮かべられて上方に集められる多量の軽質濾過砂と、
前記軽質濾過砂を洗浄する処理が行われる濾過砂洗浄タンクと、
一方の端部が前記濾過砂洗浄タンクに繋がれ、もう一方の端部が前記泥水濾過タンクの上部に繋がれた、前記泥水濾過室内の前記軽質濾過砂を前記泥水濾過室から前記濾過砂洗浄タンクに供給するための給砂管と、
一方の端部が前記濾過砂洗浄タンクに繋がれ、もう一方の端部が前記泥水濾過タンクに繋がれた、前記濾過砂洗浄タンクで洗浄された前記軽質濾過砂を前記濾過砂洗浄タンクから前記泥水濾過室に排出するための排砂管と、
前記泥水濾過室内の上部であって前記浄水排水管よりも上の位置に設けられた、逆洗用水を前記泥水濾過室に注入することによりその水圧で前記軽質濾過砂を前記給砂管を介して前記濾過砂洗浄タンクに移動させるための逆洗ノズル部と、
前記泥水濾過タンクの底部に設けられた、前記泥水の濾過処理時に前記泥水濾過室の下部に蓄積した泥を外部に排出する泥排出装置と、
を備え、
前記泥水濾過室に入れられる前記軽質濾過砂の量は、前記泥水を前記泥水濾過タンク内に供給したときに前記軽質濾過砂の最下部が前記浄水排水管よりも下に位置するようになる量であることを特徴とする
泥水処理システム。
【請求項2】
前記軽質濾過砂は、その比重が水の比重よりも小さな濾過顆粒であることを特徴とする請求項1記載の泥水処理システム。
【請求項3】
前記泥水給水管には前記泥水の流入を調整する第一バルブが設けられ、前記浄水排水管には前記浄水の流出を調整する第二バルブが設けられ、前記給砂管には前記軽質濾過砂の流入を調整する第三バルブが設けられ、前記排砂管には前記軽質濾過砂の流出を調整する第四バルブが設けられ、前記逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水給水管には前記逆洗用水の流入を調整する第五バルブが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の泥水処理システム。
【請求項4】
前記泥水濾過室内に引き込まれた前記
浄水排水管の管壁には、前記浄水は前記
浄水排水管内に流入できるが、前記軽質濾過砂の流入を防ぐことができる多数の孔が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の泥水処理システム。
【請求項5】
前記逆洗ノズル部には、前記逆洗用水は前記泥水濾過室に流入できるが、前記軽質濾過砂の流入を防ぐことができる多数の孔が形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の泥水処理システム。
【請求項6】
前記泥排出装置は、前記泥水濾過タンクの底部に設置された、前記泥水濾過室の底部に蓄積した泥を運び出す泥運送機と、前記泥運送機を介して前記泥水濾過室に繋がる、前記泥運送機によって運び出された泥を外部に排出するための泥排出管とを備えることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の泥水処理システム。
【請求項7】
前記泥水濾過タンクには前記泥水濾過室内の前記泥水の水位を示す水位計が設置されていることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の泥水処理システム。
【請求項8】
前記水位計は、前記泥水濾過室内の前記泥水の水位を目視できるように前記泥水濾過タンクの側面に形成された水位目視窓、又は、前記泥水濾過室内の前記泥水が自由に流通できるように前記泥水濾過タンクに連結された透明な水位管であることを特徴とする請求項7記載の泥水処理システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の泥水処理システムを用いた泥水処理方法は、
前記軽質濾過砂を利用して前記泥水を前記泥水濾過室で濾過し、浄水に変えて外部に排出する泥水濾過工程と、
前記軽質濾過砂を前記濾過砂洗浄タンクで洗浄する濾過砂洗浄工程と、
前記泥水濾過室の底部に蓄積された泥を前記泥排出装置を用いて外部に排出する泥排出工程と、
を有し、
前記泥水濾過工程は、
前記浄水排水管のバルブを開け、前記給砂管、前記排砂管、及び前記逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水給水管の各バルブを閉じる第一工程と、
前記泥水給水管のバルブを開けて、前記泥水を前記泥水濾過室に供給する処理を開始する第二工程と、
前記第二工程で前記泥水の供給を開始した後、引き続き前記泥水を前記泥水濾過室に供給することにより、前記泥水を前記泥水濾過室内で下から上に流し、前記軽質濾過砂を前記泥水の浮力によって前記泥水濾過室で浮かべてその上部に集め、前記軽質濾過砂が上に流れる前記泥水を濾過し、その濾過して得られた浄水を前記浄水排水管を介して外部に排出する第三工程と、
前記泥水の濾過処理が終了したときに、前記泥水給水管及び前記浄水排水管の各バルブを閉じる第四工程と、
を具備することを特徴とする泥水処理方法。
【請求項10】
前記濾過砂洗浄工程及び前記泥排出工程は、
前記給砂管のバルブを開ける第一工程と、
前記逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水給水管のバルブを開けて、前記逆洗用水を前記泥水濾過室内に入れる処理を開始する第二工程と、
前記第二工程で前記逆洗用水の供給を開始した後、引き続き前記逆洗用水を前記泥水濾過室内に供給することにより、前記逆洗用水の水圧を利用して前記軽質濾過砂を前記給砂管を介して前記濾過砂洗浄タンクに移動させる第三工程と、
前記濾過砂洗浄タンクに入れられた前記軽質濾過砂を洗浄する第四工程と、
前記給砂管及び前記逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水給水管の各バルブを閉じ、前記排砂管のバルブを開ける第五工程と、
前記第五工程で前記排砂管のバルブを開けた後、前記泥排出装置を駆動して前記泥水濾過室に蓄積された泥を外部に排出すると共に、その泥の排出の際、前記泥水濾過室が負圧状態になることを利用して前記濾過砂洗浄タンクに洗浄後蓄積されている前記軽質濾過砂を前記排砂管を介して前記泥水濾過室に戻す第六工程と、
前記第六工程で泥の排出処理及び前記軽質濾過砂を前記泥水濾過室へ戻す処理が終了した後、前記泥排出装置からの泥の排出を停止すると共に前記排砂管のバルブを閉じる第七工程と、
を具備することを特徴とする請求項9記載の泥水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥水を濾過する泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法、特に泥水を不純物沈殿方向と逆方向に流す逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現行の泥水処理システムは、ろ布(ろリーフ、ろ材)又は遠心式フィルターを用いて泥水を濾過するものや、濾過砂沈殿式又は加圧式で泥水を濾過するもの等がある。前述のろ布(ろリーフ、ろ材)濾過方法では泥水をろ布に通して下方に流し、泥水に含まれる不純物や有害物質をろ布(ろリーフ、ろ材)の表面に集める。その集められた不純物等は泥になる。一度、その表面の泥が厚くなった場合には、その泥は泥水処理システムの濾過効率に直接、影響を及ぼす。このため、常にろ布(ろリーフ、ろ材)を新しいものに交換又は、洗浄する必要があり、メンテナンス作業に手間がかかり、コストも高くなる。濾過砂沈殿式については沈殿槽の築造が必要になり、大きい面積の敷地が必要で、沈殿槽を築造するにも時間がかかるという欠点がある。更に沈殿を加速するため、大量の凝集剤を使用する。遠心式フィルター濾過法と加圧濾過法については動力設備が必要であり、設備の費用が高く、泥水処理の量も限られるので、コスト全体が高すぎるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら現行の泥水処理システムでは、どうしても泥水から取り除かれた不純物が泥として濾過材に沈殿してしまう。そして、濾過材の清掃と泥(不純物)の排除を頻繁に行う必要がある。濾過材の清掃と泥(不純物)排除を個別に行えるようにすること及びそれらを行う頻度をなるべく少なくすること、それが、本発明が積極的に解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した従来の手法と技術についての課題を考えたとき、本発明者は現行の泥水処理システムの不十分さを感じ、心を込めて研究開発を行った。そして、この産業に長年従事した経験により、逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法を発明するに至った。これにより、長時間濾過効率の維持、濾過材メンテナンス回数の減少、省エネルギー化、メンテナンス作業の簡素化、コスト減少を実現し、また泥を簡単に処理するという目的を達成したのである。
【0006】
本発明の主要目的は前述の課題を解決することができる逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法を提供することである。この逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムでは、主に泥水を泥水濾過タンクに通す際に、軽質濾過砂を用いて、泥水を不純物沈殿方向と逆方向に流し、不純物が濾過材に沈殿することを回避する。これにより、長時間濾過効率の維持、濾過材メンテナンス回数の減少、省エネルギー化、メンテナンス作業の簡素化、コストの減少を図り、さらに泥を簡単に処理することができる。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者は逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを提供する。本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムは、泥水を濾過し、浄水にする目的で使用されるものであって、以下を含む。:
一つの泥水濾過タンク。この泥水濾過タンクはその内部が泥水濾過室となる密閉容器である。泥水濾過タンクの中央より下の所定箇所には泥水を泥水濾過室に供給するための一つの泥水給水管が設けられている。泥水濾過タンクの中央より上の所定箇所には泥水を濾過して得られた浄水を泥水濾過室から外部に排出するための一つの浄水排水管が設けられている。;
多量の軽質濾過砂。多量の軽質濾過砂は泥水濾過室に入れられ、泥水を泥水濾過室に供給したときに水の浮力を利用して泥水濾過室内で浮かべられ上方に集められる。ここで、泥水濾過室に入れられる軽質濾過砂の量は、泥水を泥水濾過タンク内に供給したときに軽質濾過砂の最下部が浄水排水管よりも下に位置するようになる量である。本発明では、軽質濾過砂を泥水に浮かべ(フローティング)、泥水を不純物沈殿方向と逆方向(下から上)に流して軽質濾過砂の中に通すことにより、泥水濾過処理が行われる。;
一つの濾過砂洗浄タンク。この濾過砂洗浄タンクは給砂管を介して泥水濾過タンクの上部に繋がり、濾過砂洗浄タンクの底部は排砂管を介して泥水濾過タンクに繋がる。濾過砂洗浄タンクは軽質濾過砂をサイクル洗浄するために使われる。給砂管は泥水濾過室内の軽質濾過砂を泥水濾過室から濾過砂洗浄タンクに供給するためのものであり、排砂管は濾過砂洗浄タンクで洗浄された軽質濾過砂を濾過砂洗浄タンクから泥水濾過室に排出するためのものである。;
一つの逆洗ノズル部。この逆洗ノズル部は、泥水濾過室内の上部であって浄水排水管よりも上側の位置に配置される。逆洗ノズル部を通じて外部から逆洗用の水を泥水濾過室に注入し、この逆洗用水の流れによって軽質濾過砂に付着した汚れを落とすと共に、その逆洗用水の水圧を利用して軽質濾過砂を給砂管を介して濾過砂洗浄タンクに移動させる。;
一つの泥排出装置。この泥排出装置は泥水濾過タンクの底部に設置され、泥水濾過室に繋がっている。泥排出装置は泥水の濾過処理時に発生した泥の排出に使われる装置である。
【0008】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、軽質濾過砂は水より比重が小さい濾過顆粒である。
【0009】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、システムの自動制御を可能にするため、各管に電動のバルブを設けるようにしてもよい。この場合、具体的に、泥水給水管には泥水の流入を調整する第一バルブが設置される。浄水排水管には浄水の流出を調整する第二バルブが設置される。給砂管には軽質濾過砂の流入を調整する第三バルブが設置される。排砂管には軽質濾過砂の流出を調整する第四バルブが設置される。そして、逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水給水管には逆洗用水の流入を調整する第五バルブが設置される。
【0010】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、泥水濾過室内に引き込まれた浄水排水管の管壁には、浄水だけを通し、軽質砂の侵入を防止する多数の孔、例えばメッシュ孔が形成されていることが望ましい。
【0011】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、逆洗ノズル部には、水だけを通し、軽質砂の侵入を防止する多数の孔、例えばメッシュ孔が形成されていることが望ましい。
【0012】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、泥排出装置は以下を含むものであってもよい。すなわち、泥水濾過タンクの底部に設置された、泥水濾過室の底部に蓄積した泥を運び出すための泥運送機と、泥運送機を介して泥水濾過室に繋がる、泥運送機によって運び出された泥を外部に排出するための泥排出管とである。
【0013】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、泥水濾過タンクには泥水濾過室内の泥水の水位を示す水位計が設けられていることが望ましい。
【0014】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムにおいて、上記の水位計は、泥水濾過室内の泥水の水位を目視できるように泥水濾過タンクの側面に形成された水位目視窓、或いは、泥水濾過室内の泥水が自由に流通できるように泥水濾過タンクに連結された透明水位管であってもよい。
【0015】
前述の目的を達成するために、本発明者は上記の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法を提供する。本発明の泥水処理方法は、軽質濾過砂を利用して泥水を泥水濾過室で濾過し、浄水に変えて外部に排出する泥水濾過工程と、軽質濾過砂を濾過砂洗浄タンクで洗浄する濾過砂洗浄工程と、泥水濾過室の底部に蓄積された泥を泥排出装置を用いて外部に排出する泥排出工程とを有する。このうち、泥水濾過工程は、泥水濾過処理の手順として以下(a)-(e)に示す手順を含む。
(a)泥水濾過タンクに繋がる浄水排水管のバルブを開け、そして濾過砂洗浄タンクに繋がる給砂管及び排砂管の各バルブを閉め、逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水供給管のバルブを閉め、泥排出装置の排出口を閉める。
(b)泥水濾過タンクに繋がる泥水給水管のバルブを開け、外部の泥水をその泥水給水管を通して泥水濾過タンク内に入れる。
(c)泥水を泥水濾過タンク内に入れ続けることにより、泥水をその水圧で浄水排水管のある上方に流す。
(d)このとき、軽質濾過砂は泥水の浮力によって泥水濾過室の上部に集まり、軽質濾過砂を通して上方に流れる泥水はその軽質濾過砂により濾過されて、その泥水から固体不純物が分離される。その泥水を濾過して得られた浄水は浄水排水管を通して外部に排出される。一方、軽質濾過砂で捕捉された固体不純物が泥水濾過室の底に沈殿し、泥になる。
(e)泥水の濾過処理が終了したときに、泥水給水管及び浄水排水管の各バルブを閉める。
【0016】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法において、濾過砂洗浄工程及び泥排出工程は、以下(f)-(l)に示す手順を含む。
(f)泥水濾過タンクに繋がる泥水給水管と浄水排水管の各バルブを閉め、濾過砂洗浄タンクに繋がる排砂管のバルブを閉める。そして、濾過砂洗浄タンクに繋がる給砂管のバルブを開ける。
(g)逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水用供給管のバルブを開けて逆洗用水を泥水濾過室内に入れる。
(h)こうして逆洗用水の供給を開始した後、引き続き逆洗用水を泥水濾過室内に供給することにより、その逆洗用水で軽質濾過砂を洗浄する。また、逆洗用水の水圧で軽質濾過砂を上に向かって移動させ、給砂管を通して濾過砂洗浄タンクに入れる。
(i)濾過砂洗浄タンクで軽質濾過砂を洗浄する。
(j)濾過砂洗浄タンクに繋がる給砂管のバルブ及び逆洗ノズル部に繋がる逆洗用水供給管のバルブを閉じ、排砂管のバルブを開ける。
(k)排砂管のバルブを開けた後、泥排出装置を駆動して泥水濾過室の底部に沈殿した泥を排出する。その泥の排出の際、泥水濾過室が負圧状態になることを利用して濾過砂洗浄タンク内の軽質濾過砂を排砂管に通して泥水濾過室に戻す。
(l)こうして泥の排出処理及び軽質濾過砂を泥水濾過室へ戻す処理が終了した後、泥排出装置からの泥の排出を停止すると共に排砂管のバルブを閉める。
【発明の効果】
【0017】
本発明の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法は、以下(1)-(3)に示す効果を達成できる。
【0018】
(1)本発明では、軽質濾過砂を使用すると共に、逆方向泥水処理構造(すなわち、泥水を下から上に流す構造)を採用し、所定の泥水濾過処理の手順にしたがって泥水を濾過する。すなわち、軽質濾過砂の比重は水の比重より小さいので、軽質濾過砂を泥水濾過タンク内の上部に浮かべて集めることができ、下から上に流れる泥水をその軽質濾過砂で濾過できる。そして、泥水中の固体不純物の比重は水の比重より大きいので、その固体不純物と軽質濾過砂とを確実に分離でき、また固体不純物は自動的に泥水濾過タンク内の底へ沈殿するようになる。このように不純物が濾過材に沈殿するのを回避することができるので、長時間濾過効率の維持、濾過材のメンテナンス回数の減少という効果を達成できる。
【0019】
(2)本発明では、逆洗ノズル部、濾過砂洗浄タンクを設け、所定の濾過砂洗浄処理及び泥排出処理の手順にしたがって軽質濾過砂を洗浄する。すなわち、逆洗ノズル部から噴出する逆洗用水で軽質濾過砂を上方に移動させ、その軽質濾過砂を給砂管を通して濾過砂洗浄タンクに簡単に入れることができる。そして、軽質濾過砂を濾過砂洗浄タンクで洗浄することができる。また、泥排出装置で泥水濾過室の底部に沈殿した泥を排出することにより、泥水濾過室内を負圧状態にすることができる。このため、その負圧を利用すると、濾過砂洗浄タンク内に入っている軽質濾過砂を排砂管を通して自動的に濾過砂洗浄タンクから泥水濾過タンクに取り出すことができるため、軽質濾過砂をポンプ等で送り出す必要がない。これにより、省エネルギー化とメンテナンスコスト減少という効果を達成できる。
【0020】
(3)本発明では、泥排出装置を用いて、泥水濾過室内の底部に沈殿する泥を排出する。これにより、簡単に泥を処理することができるため、メンテナンス作業の簡素化の実現を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態である逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムの概略斜視図である。
【
図2】
図2は本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法における泥水濾過工程を説明するための概略断面図である。
【
図3】
図3は本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法における濾過砂洗浄工程及び泥排出工程を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の特徴、効果の充分な理解のため、添付する図面を参照し、以下の具体的な実施形態によって、本発明の内容を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態である逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムの概略斜視図である。ここで、
図1ではそのシステムの一部を切り欠いて示している。
【0023】
図1に示すように、本発明の一実施形態である逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムは、給水した泥水(原水)を濾過処理し、浄水(処理水)に変えて排出するために使用される。より具体的には、本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムは以下の構成要素を含む。すなわち、この逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムは、
図1に示すように、一つの泥水濾過タンク10と、多量の軽質濾過砂20と、一つの濾過砂洗浄タンク30と、一つの逆洗ノズル部40と、一つの泥排出装置50とを備えている。
【0024】
泥水濾過タンク10は、その内部に一つの泥水濾過室11がある密閉容器である。本実施形態では、泥水濾過タンク10の中央部は円筒形状に形成されており、泥水濾過タンク10はその中心軸が地面と垂直になるように配置されている。泥水濾過タンク10の頂部には、頂点が上側に位置する上円錐部12があり、この上円錐部12は泥水濾過タンク10の中央部の上に配設されている。泥水濾過タンク10の底部には、頂点が下側に位置する下円錐部13があり、この下円錐部13は泥水濾過タンク10の中央部の下に配設されている。泥水濾過タンク10の中央より下の所定箇所、例えばその中央部における下円錐部13に近いところには、泥水給水管14が取り付けられている。泥水濾過タンク10の中央より上の所定箇所、例えばその中央部における上円錐部12に近いところには、浄水排水管15が取り付けられている。この浄水排水管15の先端部は泥水濾過室11内に引き込まれている。泥水給水管14は泥水(原水)を泥水濾過室11に供給するためのものであり、浄水排水管15は泥水(原水)を濾過して得られた浄水(処理水)を泥水濾過室11から外部に排出するためのものである。
【0025】
軽質濾過砂20は、その比重が水の比重(≒1)より小さい軽質濾過顆粒(比重<1)である。多量の軽質濾過砂20は泥水濾過室11の中に入れられる。その入れられた軽質濾過砂20を水の浮力によって、泥水濾過室11内の上側に浮かべ集める。ここで、本実施形態では、泥水濾過室11に入れられる軽質濾過砂20の量は、泥水を泥水濾過タンク10内に供給したときに軽質濾過砂20の最下部が浄水排水管15よりも下に位置するようになる量である。すなわち、軽質濾過砂20を浮かべた状態では、軽質濾過砂20は泥水給水管14よりも上に集められるが、浄水排水管15を完全に覆っている。このように、軽質濾過砂20を泥水に浮かべ(フローティング)、泥水を不純物沈殿方向と逆方向(下から上)に流して軽質濾過砂20内に通すことにより、軽質濾過砂20は泥水を濾過し、その泥水からそれに含まれる不純物や有害物質を分離する。尚、軽質濾過砂20としては、例えば粒径が1mmより小さいものを用いることができる。
【0026】
濾過砂洗浄タンク30は、軽質濾過砂20を蓄えると共に、その軽質濾過砂20の洗浄を行うためのものである。濾過砂洗浄タンク30としては、軽質濾過砂20のすべてを収容することができるような容量を有するものを用いている。軽量濾過砂20はこの濾過砂洗浄タンク30の中で所定の方法で洗浄される。本実施形態では、この濾過砂洗浄タンク30は泥水濾過タンク10よりも高い位置に配置される。濾過砂洗浄タンク30の側部には給砂管31の一方の端部が繋がっており、その給砂管31のもう一方の端部は、泥水濾過タンク10の頂部、具体的には、泥水濾過タンク10の上円錐部12の頂点部に繋がっている。また、濾過砂洗浄タンク30の底部には排砂管32の一方の端部が繋がっており、その排砂管32のもう一方の端部は、泥水濾過タンク10の泥水濾過室11に繋がっている。給砂管31は泥水濾過室11内の軽質濾過砂20を泥水濾過室11から濾過砂洗浄タンク30に供給するためのものであり、排砂管32は濾過砂洗浄タンク30で洗浄された軽質濾過砂20を濾過砂洗浄タンク30から泥水濾過室11に排出するためのものである。軽質濾過砂20を給砂管31及び排砂管32を介して泥水濾過タンク10と濾過砂洗浄タンク30との間で移動させることにより、軽質濾過砂20を循環洗浄することができる。尚、本実施形態では、濾過砂洗浄タンク30を泥水濾過タンク10よりも高い位置に配置しているが、一般に、濾過砂洗浄タンク30は、泥水濾過タンク10よりも低い位置等、どこに配置してもよい。
【0027】
逆洗ノズル部40は、泥水濾過室11内の上部に設けられている。ここで、この逆洗ノズル部40は浄水排水管15の上側に配設される。逆洗ノズル部40は、外部から逆洗用の水を供給するための逆洗用水給水管に繋がれている。逆洗ノズル部40を介して逆洗用水を泥水濾過室11の中に送り、その送られた逆洗用水の流れによって軽質濾過砂20に付着した汚れを落とすと共に、その逆洗用水の水圧を利用して軽質濾過砂20を上方に移動させ、濾過砂洗浄タンク30に導くことができる。そして、軽質濾過砂20は濾過砂洗浄タンク30で洗浄される。
【0028】
そして、泥排出装置50は、泥水濾過タンク10の底部に設置され、泥水濾過室11に繋がっている。この泥排出装置50は、泥水濾過処理の際に泥水濾過室11の底に沈殿した泥80を排出するためのものである。
【0029】
また、
図1に示すように、泥水濾過処理と軽質濾過砂20の洗浄処理の自動制御を実現するために、本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムでは以下のような構成を採用している。すなわち、泥水濾過タンク10に繋がる泥水給水管14には泥水の流入を調整する第一バルブ16が設置され、浄水排水管15には浄水の流出を調整する第二バルブ17が設置される。また、濾過砂洗浄タンク30に繋がる給砂管31には軽質濾過砂20の流入を調整する第三バルブ33が設置され、排砂管32には軽質濾過砂20の流出を調整する第四バルブ34が設置される。更に、逆洗ノズル部40に繋がる逆洗用水給水管には逆洗用水の流入を調整する第五バルブ41が設置される。これら五つのバルブ16,17,33,34,41としては電動バルブが用いられる。このため、制御装置(不図示)からの信号により各バルブ16,17,33,34,41の栓路の開閉を自動で行うことができる。
【0030】
また、泥水濾過室11内に引き込まれた浄水排水管15の先端部の管壁には、軽質濾過砂20が管内に入り込むのを防止すると共に浄水だけが浄水排水管15に入り込むことができる多数の孔が形成されている。例えば、これら多数の孔としては、メッシュ孔151や網などの選別手段を用いることができる。同様に、逆洗ノズル部40にも軽質濾過砂20が管内に入り込むのを防止すると共に水だけが泥水濾過室11に出入りすることができる多数の孔が形成されている。この場合も、多数の孔としては、メッシュ孔42や網などの選別手段を用いることができる。特に、軽質濾過砂20の粒径が1mmより小さい場合には、上記多数の孔として、濾過素材を使用した選別手段を用いればよい。
【0031】
前述の泥排出装置50としては、次のような構成のものを用いることができる。すなわち、泥排出装置50は、泥水濾過タンク10の下円錐部13の頂点部に設置された、泥水濾過室11の底部に蓄積した泥を運び出す泥運送機51と、その泥運送機51を介して泥水濾過室11に繋がる、泥運送機51によって運び出された泥を外部に排出するための泥排出管52と、泥運送機51を駆動する電動モーター81とを備えている。具体的には、スクリューコンベヤー、ポンピングチューブコンベアーなど、泥80を外へ取り出すことができる機構を、泥運送機51に応用できる。後述する
図2及び
図3では、スクリューコンベヤーを用いた泥運送機51が示される。また、泥排出装置50と泥排出管52との間にある排出口は制御装置(不図示)からの信号により開閉可能であるように構成されている。ここで、この排出口は例えば5大気圧以上の水圧に耐え得ることができるように設計されている。
【0032】
なお、泥水濾過タンク10には、泥水濾過室11内の泥水の水位を示す水位計60を設置することができる。具体的に、水位計60としては、泥水濾過タンク10の側面に形成された、泥水濾過室11内の泥水の水位を目視できる水位目視窓、又は、泥水濾過室11内の泥水が自由に流通できるように泥水濾過タンク10に連結された透明水位管を用いることができる。ここで、透明水位管は、泥水濾過室11に繋がれて、泥水濾過室11の中の水位を示すものである。また、水位目視窓は、泥水濾過室11の中の水位だけでなく、軽質濾過砂20の高さを示すことにも使うことができる。本実施形態では、水位計60として水位目視窓61を用いた場合を考えることにする。
【0033】
次に、本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法について説明する。この泥水処理方法は、軽質濾過砂20を利用して泥水を泥水濾過室11で濾過し、浄水に変えて外部に排出する泥水濾過工程と、軽質濾過砂20を濾過砂洗浄タンク30で洗浄する濾過砂洗浄工程と、泥水濾過室11の底部に蓄積された泥を泥排出装置50を用いて外部に排出する泥排出工程とを含んでいる。
【0034】
最初に、本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法における泥水濾過工程の手順を説明する。
図2は本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法における泥水濾過工程を説明するための概略断面図である。具体的に、泥水濾過工程の手順は以下(a)-(e)に示す通りである。
【0035】
(a)まず、泥水濾過タンク10に繋がる浄水排水管15の第二バルブ17を開け、濾過砂洗浄タンク30に繋がる給砂管31の第三バルブ33と排砂管32の第四バルブ34とを閉じる。そして、逆洗ノズル部40に繋がる逆洗用水給水管の第五バルブ41を閉じ、泥排出装置50の排出口を閉じる。ここで、本実施形態では、これらのバルブ17,33,34,41及び泥排出装置50の排出口の開閉は制御装置(不図示)からの信号により自動でコントロールされる。
【0036】
(b)次に、泥水の供給を開始する。すなわち、泥水濾過タンク10に繋がる泥水給水管14の第一バルブ16を開け、外部の泥水を泥水給水管14を通して泥水濾過室11に入れる。
【0037】
(c)こうして泥水の供給を開始した後、引き続き泥水を泥水濾過室11に注入していくと、その注入する泥水の水圧によって、泥水は、
図2における実線矢印で示すように、泥水濾過室11内で下から上へ、浄水排水管15のある上方に流れ、泥水の水位が徐々に上がっていく。
【0038】
(d)また、このように泥水が泥水濾過室11に注入されると、軽質濾過砂20は泥水の浮力によって、泥水に浮かび、
図2に示すように、泥水濾過タンク10の上部に集まる。泥水が泥水濾過タンク10を満たした状態では、軽質濾過砂20は泥水濾過室11の上部に集められ、逆洗ノズル部40及び浄水排水管15は軽質濾過砂20の中に埋まるようになる。そして、軽質濾過砂20が、泥水濾過室11の下から上に向かって流れる泥水に含まれる不純物や有害物質を濾過浄化する。こうして泥水濾過室11の上部を流れる泥水は浄水になり、浄水排水管15を通して外へ排出される。
【0039】
一方、軽質濾過砂20が吸着した固体不純物70についてはその比重が水の比重より大きいので、
図2において点線矢印で示すように、泥水濾過室11の底に沈殿し、泥80になる。この泥80は、泥排出工程において前述した泥排出装置50を使用して排出されることになる。
【0040】
(e)こうして泥水の濾過処理が終了したときに、泥水給水管14の第一バルブ16及び浄水排水管15の第二バルブ17を閉じる。
【0041】
以上の通り、本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法では、軽質濾過砂20の比重が水の比重より小さいため、軽質濾過砂20を泥水濾過タンク10の上部に浮かべて集めることができ、下から軽質濾過砂20を通って上に流れる泥水を濾過することができる。また、泥水に含まれる固体不純物70の比重が水の比重より大きいので、固体不純物70は軽質濾過砂20から自然に分離し、泥水濾過タンク10の下方に沈殿するようになる。これにより、固体不純物70が濾過材に沈殿するのを回避することができるので、長時間濾過効率の維持、濾過材のメンテナンス回数の減少という効果を達成することができる。
【0042】
次に、本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法における濾過砂洗浄工程及び泥排出工程を説明する。
図3は本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを用いた泥水処理方法における濾過砂洗浄工程及び泥排出工程を説明するための概略断面図である。この濾過砂洗浄工程の作業は水を泥水濾過タンク10に満たした状態で行われる。具体的に、濾過砂洗浄工程及び泥排出工程は以下(f)-(l)に示す通りである。
【0043】
(f)まず、泥水濾過タンク10に繋がる泥水給水管14の第一バルブ16及び浄水排水管15の第二バルブ17、濾過砂洗浄タンク30に繋がる排砂管32の第四バルブ34を閉じ、濾過砂洗浄タンク30に繋がる給砂管31の第三バルブ33を開ける。ここで、本実施形態では、これらのバルブ16,17,33,34の開閉は制御装置(不図示)からの信号により自動でコントロールされる。
【0044】
(g)次に、逆洗用水の注入を開始する。すなわち、逆洗ノズル部40に繋がる逆洗用水給水管の第五バルブ41を開け、逆洗用水を逆洗ノズル部40を通して泥水濾過タンク10に入れる。
【0045】
(h)こうして逆洗用水の供給を開始した後、引き続き逆洗用水を泥水濾過室11内に供給することにより、その逆洗用水の流れによって泥水濾過室11で軽質濾過砂20に付着した汚れを落とすことができる。また、軽質濾過砂20の比重が水の比重より小さいので、軽質濾過砂20は逆洗用水の水圧によって上に向かって浮かんで行き、給砂管31を通して濾過砂洗浄タンク30に移動する。
【0046】
(i)この時点で、排砂管32の第四バルブ34は閉じている。この状態で、濾過砂洗浄タンク30においてその中に入れられた軽質濾過砂20を洗浄し、その洗浄された軽質濾過砂20を濾過砂洗浄タンク30に蓄えておく。
【0047】
(j)次に、泥水給水管14の第一バルブ16及び浄水排水管15の第二バルブ17を閉じたままにし、給砂管31の第三バルブ33及び逆洗ノズル部40に繋がる逆洗用水給水管の第五バルブ41を閉じる。そして、排砂管32の第四バルブ34及び泥排出装置50の排出口を開ける。
【0048】
(k)その後、泥排出装置50を駆動して泥水濾過室11の底部に溜まっている泥80を外部に排出する。この泥排出装置50が泥80を排出する作用によって、泥水濾過室11内は真空負圧状態になる。このため、濾過砂洗浄タンク30内に蓄えられている軽質濾過砂20は自ずから排砂管32を通して泥水濾過室11に入り込むようになる。
【0049】
(l)こうして泥の排出処理及び軽質濾過砂20を泥水濾過室11へ戻す処理が終了した後、泥排出装置50の駆動を停止して泥排出装置50の排出口を閉じると共に、排砂管32の第四バルブ34を閉じる。上記(f)-(l)の処理を所定回数、繰り返すことにより軽質濾過砂20全体の洗浄が行われる。
【0050】
本実施形態の逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムは、逆洗ノズル部40と、泥水濾過タンク10に連結された濾過砂洗浄タンク30と、泥水濾過タンク10の底部に設けられた泥排出装置50とを備えている。そして、本実施形態の泥水処理方法では、この逆洗可フローティング式逆方向泥水処理システムを利用することにより、濾過砂洗浄処理及び泥排出処理を簡単に行うことができる。すなわち、逆洗ノズル部40から噴出する逆洗用水で軽質濾過砂20を上方に移動させ、その軽質濾過砂20を給砂管31を通して濾過砂洗浄タンク30に入れて、洗浄することができる。このように、洗浄の過程で軽質濾過砂20を外に取り出す必要がなく、しかも、他のポンプを使用して軽質濾過砂20を吸い上げる必要もない。このため、省エネルギー化とメンテナンスコストの減少という効果を得ることができる。また、軽質濾過砂20の洗浄処理に際しては、泥排出装置50を用いて泥水濾過室11の底部に沈殿する泥80を排出する。この泥の排出処理を行うことによって泥水濾過室11内を負圧状態にすることができるので、濾過砂洗浄タンク30で洗浄されて蓄積されている軽質濾過砂20をその負圧を利用して泥水濾過室11に戻すことができる。これにより、省エネルギー化、泥排出処理の簡素化、メンテナンス作業の簡素化という効果を得ることができる。
【0051】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明の泥水処理システム及びそれを用いた泥水処理方法によれば、軽質濾過砂を泥水濾過タンク内の上部に浮かべて集め、下から上に流れる泥水をその軽質濾過砂で濾過することにより、泥水中の固体不純物と軽質濾過砂とを分離して、その固体不純物を泥水濾過室の底へ沈殿させることができるので、長時間濾過効率を維持し、濾過材のメンテナンス回数の減少を図ることができる。また、軽質濾過砂を洗浄する際に、逆洗ノズル部から噴出する逆洗用水で軽質濾過砂を上方に移動させることができるので、その軽質濾過砂を給砂管を通して濾過砂洗浄タンクに容易に入れることができる。更に、泥排出装置で泥水濾過室の底部に沈殿した泥を排出することにより泥水濾過室内を負圧状態にすることができることを利用し、濾過砂洗浄タンク内に入っている軽質濾過砂を排砂管を通して自動的に濾過砂洗浄タンクから泥水濾過タンクに取り出すことができるので、省エネルギー化及びメンテナンスコスト減少を図ることができる。したがって、本発明は、泥水を濾過する処理を行う際に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0053】
10 泥水濾過タンク
11 泥水濾過室
12 上円錐部
13 下円錐部
14 泥水給水管
15 浄水排水管
151 メッシュ孔
16 第一バルブ
17 第二バルブ
20 軽質濾過砂
30 濾過砂洗浄タンク
31 給砂管
32 排砂管
33 第三バルブ
34 第四バルブ
40 逆洗ノズル部
41 第五バルブ
42 メッシュ孔
50 泥排出装置
51 泥運送機
52 泥排出管
60 水位計
61 水位目視窓
70 固体不純物
80 泥
81 電動モーター