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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】スライド式化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
A45D33/00 640
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017048140
(22)【出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2018149146
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000160223
【氏名又は名称】吉田プラ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】増渕 智康
(72)【発明者】
【氏名】草間 忍
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】冨永 達朗
【審判官】窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-263188(JP,A)
【文献】特開2012-75724(JP,A)
【文献】特開昭49-121259(JP,A)
【文献】特表平7-506323(JP,A)
【文献】特開平11-9335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する容器本体が当該容器本体を収納可能な収納ケースに対しスライド方向にスライド移動自在に設けられているスライド式化粧料容器であって、
前記収納ケースは、少なくとも収納された前記容器本体の上面を覆う天板部と、該天板部の下面に、外周部分を僅かに残しほぼ全面に、下面が、当該天板部の下面と同一平面をなすように設けられた鏡もしくは金属板の平滑板材と、前記天板部における、スライド方向と交差する方向の両端部から各々垂設されたケース側板部とを備え、
前記容器本体は、下方に窪む化粧料収容部と、前記化粧料収容部を囲む弾性部材でなる環状パッキンと、前記収納ケース内に収納された状態で前記ケース側板部と各々対向する容器側壁部とを備え、
前記ケース側板部と前記容器側壁部とのうちのいずれか一方には、他方側に突出するスライド用レールが設けられ、いずれか他方には前記容器本体がスライド移動するときに前記スライド用レールが係合されるスライド用溝が設けられ、
前記スライド用レールは、前記環状パッキンが前記平滑板材に押圧され圧縮されて前記容器本体が前記収納ケース内に収納されたときに、前記環状パッキンが前記平滑板材に均一に接するように前記スライド用溝と係合し、
前記スライド用レールと前記スライド用溝とは、前記容器本体がスライド移動によって前記収納ケースから最も引き出された最大引出位置側から前記収納ケース内に収納される収納位置側に向かって上昇する傾斜を有し、
前記スライド用レールは、スライド方向において前記環状パッキンが設けられている領域にわたって設けられ、
前記スライド用レールは、前記環状パッキンが前記平滑板材に押圧されて前記容器本体が前記収納ケース内に収納されたときに、全長にわたって前記スライド用溝と係合し、
前記環状パッキンは、前記化粧料収容部を取り囲む周壁部の外側に該周壁部に沿って設けられた環状の凹部内に、当該周壁部より上方に突出させて設けられ、前記容器本体が前記収納ケース内に収納された状態で、該周壁部が前記平滑板材との間に隙間を有し、かつ該環状パッキンに囲まれた空間内が気密性を保持するように、圧縮され、該容器本体が引き出されるにつれて、圧縮量が小さくなることを特徴とするスライド式化粧料容器。
【請求項2】
前記容器本体と前記収納ケースとは、前記容器本体が前記収納ケース内に収納された収納状態で互いに係合して当該収納状態を維持するロック機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスライド式化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料収容部を有するスライド式化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料収容部を有するスライド式化粧料容器としては、例えば、化粧料収容部を有する皿体と該皿体の後端に螺番を介して開閉自在に螺着した蓋体とからなる容器本体が、枠体内にスライド移動可能に収納され、蓋体の閉止状態では、皿体の上面周縁部に設けた環状パッキンと該蓋体の下面周縁部に形成した筒状リブとが当接するスライド式コンパクト容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このスライド式コンパクト容器では、枠体の左右側壁の内面の前後に離れた位置に、固定用突起を形成すると共に、皿体の左右側壁の外面の前後に離れた位置に、固定用突起を形成し、容器本体を枠体内に押し込む最終段階において、枠体の固定用突起の上面と皿体の固定用突起の下面とを当接・摺動させることにより、皿体を上方に押し上げて環状パッキンと筒状リブとを圧接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5723565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のスライド式コンパクト容器は、皿体を上方に押し上げて環状パッキンと筒状リブとを圧接させるために当接・摺動させる、枠体の固定用突起及び皿体の固定用突起は、いずれも枠体及び皿体の左右側壁の前後に離れた位置に形成されている。このため、枠体の固定用突起及び皿体の固定用突起の近傍においては、高い圧接力が得られるが、枠体の固定用突起及び皿体の固定用突起から離れるにつれて圧接力が弱まり、環状パッキンと筒状リブとを均一に圧接することは難しく、高い気密性が得られにくいという課題がある。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、閉止状態において、化粧料収容部の高い気密性を実現することが可能なスライド式化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるスライド式化粧料容器は、化粧料を収容する容器本体が当該容器本体を収納可能な収納ケースに対しスライド方向にスライド移動自在に設けられているスライド式化粧料容器であって、前記収納ケースは、少なくとも収納された前記容器本体の上面を覆う天板部と、該天板部の下面に、外周部分を僅かに残しほぼ全面に、下面が、当該天板部の下面と同一平面をなすように設けられた鏡もしくは金属板の平滑板材と、前記天板部における、スライド方向と交差する方向の両端部から各々垂設されたケース側板部とを備え、前記容器本体は、下方に窪む化粧料収容部と、前記化粧料収容部を囲む弾性部材でなる環状パッキンと、前記収納ケース内に収納された状態で前記ケース側板部と各々対向する容器側壁部とを備え、前記ケース側板部と前記容器側壁部とのうちのいずれか一方には、他方側に突出するスライド用レールが設けられ、いずれか他方には前記容器本体がスライド移動するときに前記スライド用レールが係合されるスライド用溝が設けられ、前記スライド用レールは、前記環状パッキンが前記平滑板材に押圧され圧縮されて前記容器本体が前記収納ケース内に収納されたときに、前記環状パッキンが前記平滑板材に均一に接するように前記スライド用溝と係合し、前記スライド用レールと前記スライド用溝とは、前記容器本体がスライド移動によって前記収納ケースから最も引き出された最大引出位置側から前記収納ケース内に収納される収納位置側に向かって上昇する傾斜を有し、前記スライド用レールは、スライド方向において前記環状パッキンが設けられている領域にわたって設けられ、前記スライド用レールは、前記環状パッキンが前記平滑板材に押圧されて前記容器本体が前記収納ケース内に収納されたときに、全長にわたって前記スライド用溝と係合し、前記環状パッキンは、前記化粧料収容部を取り囲む周壁部の外側に該周壁部に沿って設けられた環状の凹部内に、当該周壁部より上方に突出させて設けられ、前記容器本体が前記収納ケース内に収納された状態で、該周壁部が前記平滑板材との間に隙間を有し、かつ該環状パッキンに囲まれた空間内が気密性を保持するように、圧縮され、該容器本体が引き出されるにつれて、圧縮量が小さくなることを特徴とする。
【0007】
前記容器本体と前記収納ケースとは、前記容器本体が前記収納ケース内に収納された収納状態で互いに係合して当該収納状態を維持するロック機構を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスライド式化粧料容器にあっては、快適な開閉操作性を確保しつつ、閉止状態における化粧料収容部の気密性を向上することができる。詳細には、容器本体がスライド移動するときに係合しているスライド用レールとスライド用溝とは、スライド移動する際に、広い範囲でスライド用レールとスライド用溝とが係合するので、容器本体を、常に安定した状態でスライド移動させることができる。これにより、快適な開閉操作性を確保することができる。スライド用レールとスライド用溝とは、環状パッキンが圧縮されている容器本体の収納状態で、環状パッキンが設けられている領域にわたって係合しているので、環状パッキンが圧縮されている反力をスライド用レール全体で受けることができる。このため、環状パッキンを全体にわたって均等に圧縮して、当該環状パッキン全体が天板部に均一に接することとなり、これにより、環状パッキンで囲まれた空間に対し、高い気密性を確保することができる。よって、閉止状態において、化粧料収容部の気密性を向上することができる。スライド用レールとスライド用溝とは、容器本体がスライド移動によって収納ケースから最も引き出された最大引出位置側から収納ケース内に収納される収納位置側に向かって上昇する傾斜を有しているので、収納位置において容器本体と、天板部との間隔が最も近づく。このため、収納位置では、環状パッキンが確実に圧縮され、引き出す際には漸次圧縮が弱まって、使用者が化粧料容器を開ける操作の負荷が低減されるので、操作性に優れていると共に環状パッキンの摩耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るスライド式化粧料容器の好適な一実施形態の外観を示す斜視図である。
図2図1に示したスライド式化粧料容器の容器本体を引き出した状態を示す斜視図である。
図3図1に示したスライド式化粧料容器の構成を示す分解斜視図である。
図4図1中、A-A線矢視断面図である。
図5図4中、D-D線矢視断面図である。
図6図1中、一部分を拡大して示した、B-B線矢視断面図である。
図7図2中、C-C線矢視断面図である。
図8図7中、E-E線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかるスライド式化粧料容器に好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態のスライド式化粧料容器(以下、単に化粧料容器という)1は、化粧料が収容されスライド移動自在に設けられた容器本体2と、容器本体2がスライド移動して収納される収納ケース3とを備え、容器本体2が収納ケース3に収納されると、高さが幅及び奥行き長さより低い、おおよそ扁平な直方体形状をなしている。
【0011】
以下の説明においては、化粧料容器1が使用可能な状態で平らに置かれたときに、上下となる方向を上下方向、容器本体2がスライド移動する方向を奥行き方向、奥行き方向と直交する方向を幅方向として示す。化粧料容器1の各部位についても、また、化粧料容器1を構成する各部材に関し単体の状態についても、使用可能に平らに置いた状態を基準として、上下方向、奥行き方向、幅方向の各方向で向きを特定して説明する。また、容器本体2がスライド移動するスライド方向において、容器本体2が引き出される側を手前側、容器本体2が収納される側を奥側とする。
【0012】
収納ケース3は、化粧料容器1の上面をなし容器本体2の上方を覆うほぼ矩形板状の天板部3aと、天板部3aの幅方向における両端から垂設されているケース側板部3bと、天板部3a及び2つのケース側板部3bにおける奥側の端部同士を連結する後壁部3cとが一体形成されている。天板部3aの下面には、外周部分を僅かに残しほぼ全面に、鏡や金属板などの平滑板材4が両面テープにより貼り付けられている。天板部3aの下面と平滑板材4の下面とは、ほぼ同一平面をなすように形成されている。ここで、平滑板材4は、カシメなどにより固定されていてもよい。また、後壁部3cは必ずしも設けられていなくとも構わない。
【0013】
ケース側板部3bには、互いに対向する内側に突出するスライド用レール3dが設けられている。スライド用レール3dは、収納ケース3の手前側から奥側に向かって高くなるように傾斜している。また、スライド用レール3dの最も手前側には、更に内側に突出する内突部3eが設けられている。スライド用レール3dと内突部3eとの詳細については後述する。
【0014】
容器本体2は、平面視ほぼ矩形状の直方体状をなしている。容器本体2には、奥行き方向及び幅方向のほぼ中央に、下方に窪み化粧料が収容される化粧料収容部2aが設けられている。化粧料収容部2aは、全体として、角部を円弧状としたほぼ矩形状をなし、その内側は、3つの領域に仕切られている。
【0015】
化粧料収容部2aの外周には、当該化粧料収容部2aを取り囲む周壁部2bを介して、その外側に周壁部2bに沿った環状の凹部2cが設けられている。凹部2c内には、周壁部2bより上方に突出させて、弾性部材でなる環状パッキン5が設けられている。ここで、スライド方向である奥行き方向において、環状パッキン5が設けられている領域Sは、化粧料収容部2aの手前側に位置している環状パッキン5の手前側部位5aから、化粧料収容部2aの奥側に位置している環状パッキン5の奥側部位5bまでの領域に相当する。
【0016】
容器本体2の手前側の端には、上方に突出した突起部2dが容器本体2の全幅に渡って設けられている。突起部2dの頂部と周壁部2bの頂部とは、ほぼ同じ高さをなしており、容器本体2の他の上面2eより僅かに高く形成されている。
【0017】
容器本体2の容器側壁部2fには、幅方向内側に窪むスライド用溝2gが設けられている。スライド用溝2gの高さ方向の幅は、収納ケース3に設けられているスライド用レール3d及び内突部3eの高さ方向の幅より僅かに広く形成されている。また、スライド用溝2gも、収納ケース3のスライド用レール3dと同様に、容器本体2の手前側から奥側に向かって高くなるように傾斜している。スライド用溝2gの傾斜角度は、スライド用レール3dの傾斜角度と同じである。
【0018】
スライド用溝2gは、容器側壁部2fの手前側の縁部2hを僅かに残し、容器側壁部2fのほぼ全域に設けられている。スライド用溝2g内には、収納ケース3に設けられている内突部3eの奥行き方向の幅とほぼ同じ間隔で、縁部2hから空けた位置と奥側の端部との双方に配置して、幅方向外側に突出する溝内突起2i、2jがそれぞれ設けられている。溝内突起2i、2jの突出量は、収納ケース3に設けられた内突部3eがスライド用レール3dから突出している突出量とほぼ同じである。また、手前側の溝内突起2iは、先端が円弧状をなし、奥側の溝内突起2jは、手前側に、スライド用溝2gの長手方向とほぼ直交する平面2kを有している。
【0019】
収納ケース3に設けられているスライド用レール3dは、収納ケース3の手前側の端から、容器本体2の縁部2hの奥行き方向の幅だけ、奥の位置から設けられている。このため、容器本体2が収納ケース3に収納されると、収納ケース3のスライド用レール3d及び内突部3eの手前側の面に、容器本体2の縁部2hが当接されると共に、手前側の溝内突起2iが、収納ケース3の内突部3eの奥側に配置される。このとき、収納ケース3の手前側の端3fと容器本体2の手前側の面2lとは、ほぼ同一平面を形成する。
【0020】
スライド用レール3dは、容器本体2が収納ケース3に収納された状態で、環状パッキン5が設けられている領域Sにわたって設けられている。このため、収納ケース3は、奥側に、スライド用レール3dが設けられていない領域を有している。そして、容器本体2が収納ケース3に収納されたときに、スライド用レール3dが設けられていない領域に、容器本体2の奥側の溝内突起2jが配置される。
【0021】
この化粧料容器1では、容器本体2が収納ケース3に収納された収納状態で、化粧料収容部2aの外側に設けられた環状パッキン5は平滑板材4に押圧され、当該環状パッキン5が圧縮されている状態で保持されている。この状態は、環状パッキン5の内側に設けられている化粧料収容部2aと平滑板材4との間にて、環状パッキン5に囲まれた空間内が高い気密性を保持する化粧料容器1の閉止状態である。このとき、周壁部2b及び突起部2dは、天板部3aとの間に僅かに隙間を有しており、環状パッキン5が確実に圧縮されるように構成されている。
【0022】
容器本体2が収納ケース3に収納された収納状態では、収納ケース3の内突部3eは容器本体2の縁部2hと手前側の溝内突起2iとの間に保持されて、容器本体2の奥行き方向のスライド移動が規制されている。収納状態における容器本体2の位置が、収納位置に相当する。また、収納ケース3の内突部3eと、容器本体2の縁部2h及び手前側の溝内突起2iとが、化粧料容器1のロック機構に相当する。
【0023】
化粧料容器1の化粧料収容部2aを開く際に、容器本体2を収納ケース3から手前側に引くと、容器本体2に設けられた手前側の溝内突起2iが、収納ケース3の内突部3eに乗り上げ、手前側の溝内突起2iが内突部3eの容器本体2と対向する面を摺動しつつ、容器本体2が引き出される。このとき、溝内突起2iは内突部3eに乗り上げなければならないため、容器本体2を引き出すためには、所定以上の操作力が必要とされ、従って、操作されることなく自然に収納ケース3から容器本体2が抜け出ることを防止しており、また、溝内突起2iが内突部3eを摺動することにより、勢いよく容器本体2が引き出されてしまうことを防止している。
【0024】
また、容器本体2が収納ケース3から引き出されるときには、収納ケース3に設けられ手前側から奥側に向かって高くなるように傾斜しているスライド用レール3dが、容器本体2に設けられ手前側から奥側に向かって高くなるように傾斜しているスライド用溝2gに係合して案内される。これにより、容器本体2は、引き出されるにつれて、天板部3a及び平滑板材4から離れる方向、すなわち下方にも移動する。このため、容器本体2が引き出されるにつれて、環状パッキン5の圧縮量は小さくなる。
【0025】
化粧料容器1には、容器本体2のスライド用溝2gと収納ケース3のスライド用レール3dとがいずれも、容器本体2の奥行き方向の長さのほぼ全長にわたって設けられている。これにより、容器本体2を収納ケース3から引き出すときには、スライド用溝2gとスライド用レール3dとが、より長い範囲で係合しつつ容器本体2が引き出される。
【0026】
収納ケース3から引き出された容器本体2は、奥側の溝内突起2jが有する平面2kが収納ケース3の内突部3eに当接されて、引き出される方向へのスライド移動が規制される。この状態は、容器本体2が収納ケース3から最も引き出された最大引出状態となり、最大引出状態における容器本体2の位置が、開放位置に相当する。
【0027】
また、最大引出状態の容器本体2を収納ケース3に収納する際には、容器本体2を収納ケース3の奥側に押圧する。このとき、容器本体2は、スライド用溝2gがスライド用レール3dに係合して案内され、スライド用溝2gとスライド用レール3dとが有する傾斜に沿って、奥側にスライド移動しつつ漸次上昇し、天板部3a及び平滑板材4に近づく方向に移動する。
【0028】
奥側にスライド移動する容器本体2は、手前側の溝内突起2iが収納ケース3の内突部3eに乗り上げる際に負荷が大きくなり、使用者がより大きな操作力で押圧することにより、手前側の溝内突起2iが、内突部3eの容器本体2と対向する面を摺動しつつ、スライド移動する。
【0029】
容器本体2は、手前側の溝内突起2iが内突部3eを乗り越えて内突部3eの奥側に配置されるときに負荷が軽減し、収納ケース3のスライド用レール3d及び内突部3eの手前側の端に容器本体2の縁部2hが当接されることで、容器本体2は収納ケース3に収納される。このとき、化粧料収容部2aの外側に設けられた環状パッキン5が平滑板材4に最も押圧され、環状パッキン5が圧縮されている状態で保持される。負荷が軽減されると共に容器本体2の奥側へのスライド移動が規制されることにより、使用者は、化粧料収容部2aが密閉されたことを認識する。
【0030】
本実施形態に係るスライド式化粧料容器1によれば、容器本体2がスライド移動するときに係合しているスライド用レール3dとスライド用溝2gとは、容器本体2のほぼ全長にわたって設けられており、スライド移動する際に、より広い範囲でスライド用レール3dとスライド用溝2gとが係合するので、容器本体2を、常に安定した状態でスライド移動させることができる。これにより、快適な開閉操作性を確保することができる。また、スライド用レール3dとスライド用溝2gとは、環状パッキン5が圧縮されている容器本体2の収納状態で、奥行き方向へ環状パッキン5が設けられている領域Sの全域にわたって係合しているので、環状パッキン5が圧縮されている反力をスライド用レール3d全体で受けることができる。このため、環状パッキン5を全体にわたって均等に圧縮して、当該環状パッキン5全体が天板部3a(平滑板材4)に均一に接することとなり、これにより、環状パッキン5で囲まれた空間に対し、高い気密性を確保することができる。よって、閉止状態において、化粧料収容部2aの気密性を向上することができる。
【0031】
また、スライド用レール3dとスライド用溝2gとは、容器本体2がスライド移動によって収納ケース3から最も引き出された最大引出位置側から収納ケース3内に収納される収納位置側に向かって上昇する傾斜を有しているので、収納位置において容器本体2と、天板部3a及び平滑板材4との間隔が最も近づく。このため、収納位置では、環状パッキン5が確実に圧縮され、引き出す際には漸次圧縮が弱まって、使用者が化粧料容器1を開ける操作の負荷が低減されるので、操作性に優れていると共に環状パッキン5の摩耗を抑制することができる。
【0032】
また、スライド用レール3dとスライド用溝2gとは、容器本体2が収納ケース3内に収納された収納状態で、互いに係合されて収納状態を維持するロック機構をなす内突部3eと、縁部2h及び手前側の溝内突起2iとを備えているので、化粧料収容部2aと平滑板材4との間で環状パッキン5によって囲まれた空間内の、より高い気密性を維持することができる。
【0033】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 化粧料容器
2 容器本体
2a 化粧料収容部
2b 周壁部
2c 凹部
2d 突起部
2e 上面
2f 容器側壁部
2g スライド用溝
2h 縁部
2i 溝内突起
2j 溝内突起
2k 平面
2l 容器本体の手前側の面
3 収納ケース
3a 天板部
3b ケース側板部
3c 後壁部
3d スライド用レール
3e 内突部
3f ケースの手前側の端
4 平滑板材
5 環状パッキン
5a 環状パッキンの手前側部位
5b 環状パッキンの奥側部位
S 環状パッキンが設けられている領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8