(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】電流刺激装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2018138941
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591032518
【氏名又は名称】伊藤超短波株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【氏名又は名称】白川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100188134
【氏名又は名称】佐藤 武幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大悟
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 司
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 麻友子
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252386(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0099925(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0249587(US,A1)
【文献】実開昭56-166046(JP,U)
【文献】特開2016-202445(JP,A)
【文献】特表2013-501156(JP,A)
【文献】特開2007-054329(JP,A)
【文献】特開2014-188121(JP,A)
【文献】特開2009-119011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状又は帯状の本体と、
前記本体に配置された第1電極と第2電極と、
電気信号を出力する出力回路と、
前記電気信号を制御する制御部と、
前記出力回路及び前記制御部に対してバッテリやコンセントから電力を供給する電源部を有する、体全体に
緊張感の緩和を与える装置であって、
前記本体を使用者の手首に装着した時に前記第1電極は前記手首の手の甲側又は手のひら側に配置されると共に、
前記第2電極は前記第1電極に対して前記手首の反対側に配置されるものであって、前記電気信号を前記第1電極及び前記第2電極を使用して前記手首に供給可能とするものであり、
前記電気信号は、筋収縮を与えない電気信号であって前記使用者が感じない電気信号であると共に、
前記手首に供給することで体全体に
緊張感の緩和を与える電気信号であ
る、
複数のパルスから構成されるパルス群であって、徐々に振幅が大きくなる第1
のパルス群と一定の振幅が維持される第2
のパルス群と徐々に振幅が小さくなる第3のパルス群を含んで構成され、
前記第1のパルス群と前記第3のパルス群の継続時間がそれぞれ0.1秒以上、且つ0.8秒以下である
とともに前記第2のパルス群の出力が50μA以上100μA以下である第1の電気信号であって、
前記第1の電気信号を
前記第1電極および第2電極によって前記手首に供給する
ことにより、
体全体に
緊張感の緩和を付与する装置。
【請求項2】
前記第1の電気信号
の他に、第2の電気信号を付与する装置であって、
前記第2の電気信号は、
前記第1の電気信号において第2のパルス群の出力を500μA以上950μA以下とした電気信号であり、
前記第1の電気信号を前記手首に供給する場合に
、一時的に前記第1の電気信号に変えて前記第2の電気信号を
出力することにより前記使用者に対する通知を行う、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流による四肢の特に末梢部或いはその近傍に経皮刺激を行う電流刺激の為の電気信号の付与方法または電流刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体に電気信号を付与する技術が実用化されている。最も一般的には、電流による経皮刺激装置として、筋収縮をさせることで筋出力を向上させるEMSが知られている。EMSとは、Electrical Muscle Stimulationの略称であり、外部から電気的に運動神経を刺激することで、その神経に繋がる筋肉を収縮させたり収縮を解放させたりして、効率的な筋力トレーニングを行わせる装置である。筋組織に対し強度の負荷をかけ、筋繊維をミクロ的且つ一時的に破壊した後に破壊された筋繊維がより強い筋組織として修復されることで筋肉を肥大化し、筋出力を向上させることで身体の運動機能障害を回復させる装置である。一方、例えば特許文献1のように筋肉に特徴的な微弱電流を付加して、筋出力を一時的に向上または低下させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EMSは強い電流刺激により筋肉を収縮させて、効率的な筋力トレーニングを行わせ、筋肉を肥大化させるものである。その結果として筋出力が向上するものであり、筋が肥大化するまでは筋出力を向上させることはできない。さらに、筋肉を弛緩させることについては、筋肉の収縮と収縮の解放を繰り返すことによって結果的に筋肉の弛緩を得る方法しかなく、従来の電流刺激装置では直接筋肉の弛緩を行うことができなかった。
【0005】
一方、上記特許文献1では対象となる特定の筋肉に導子を貼り付けて、ランプアップまたはランプダウン時間を制御した電気刺激を付与することよって当該特定の筋肉の筋力向上と弛緩を行うことが可能であるが、一度に多数の筋肉に対して効果を得ることはできなかった。更に体全体にリラックス感やリフレッシュ感を与えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記した課題を解決するために本発明において以下のような手段を講じた。即ち本発明の電流刺激装置は、環状又は帯状の本体と、前記本体に配置された第1電極と第2電極と、電気信号を出力する出力回路と、前記電気信号を制御する制御部と、前記出力回路及び前記制御部に対してバッテリやコンセントから電力を供給する電源部を有する、体全体に緊張感の緩和を与える装置であって、前記本体を使用者の手首に装着した時に前記第1電極は前記手首の手の甲側又は手のひら側に配置されると共に、前記第2電極は前記第1電極に対して前記手首の反対側に配置されるものであって、前記電気信号を前記第1電極及び前記第2電極を使用して前記手首に供給可能とするものであり、前記電気信号は、筋収縮を与えない電気信号であって前記使用者が感じない電気信号であると共に、前記手首に供給することで体全体に緊張感の緩和を与える電気信号であり、複数のパルスから構成されるパルス群であって、徐々に振幅が大きくなる第1のパルス群と一定の振幅が維持される第2のパルス群と徐々に振幅が小さくなる第3のパルス群を含んで構成され、前記第1のパルス群と前記第3のパルス群の継続時間がそれぞれ0.1秒以上、且つ0.8秒以下であるとともに前記第2のパルス群の出力が50μA以上100μA以下である第1の電気信号であって、前記第1の電気信号を前記第1電極および第2電極によって前記手首に供給することにより、体全体にリラックス感を付与することを特徴としている。
【0007】
(2)さらに本発明の前記電気刺激装置では、前記第1の電気信号の他に、第2の電気信号を付与する装置であって、前記第2の電気信号は、前記第1の電気信号において第2のパルス群の出力が500μA以上950μA以下とした電気信号であり、前記第1の電気信号を前記手首に供給する場合に、一時的に前記第1の電気信号に変えて前記第2の電気信号を出力することにより前記使用者に対する通知を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、四肢の末梢部またはその近傍に微弱な電流刺激を与えることにより、体全体でリフレッシュ感やリラックス感を得ることができる電流刺激装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明にかかるコントローラのブロック図である。
【
図5】本発明にかかるコントローラのブロック図である。
【
図8】本発明にかかるコントローラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
図1(a)は本発明による電流刺激装置の本体A1の外観側面を示している。本体A1はベルト部A101、伸縮部A107、コントローラA104からなる。ベルト部A101には人体に接触する第1電極である電極A102と第2電極である電極B103が配置されていて、これらの電極はベルト部A101内部に配置されたハーネスA108によってコントローラA104に接続されている。ハーネスA108は外部からは見えないので点線でその位置のみを示している。同図(b)は本体A1を同図(a)の矢印Aの向きから見た正面図である。
【0011】
伸縮部A107は例えばシリコンゴムによって構成されていて伸縮が容易であり、伸縮部A107が伸縮することによって、本体部を四肢、例えば手首に装着する。装着状態では電極A102と電極B103は手首の皮膚に接触して後述の電気刺激を付与することができる。本体A1を装着する部位としては手首に限らず、足首であってもよく、末梢部またはその近傍への装着が望ましい。特に装着の容易さや外れにくさや、使用時の取り回しなど、手首若しくは足首への装着が容易である。本実施例においては、本体A1は手首に装着されるものとして説明する。伸縮部A107はシリコンゴムに限らず、天然ゴムやウレタンゴムとすることもできる。
【0012】
本体A1はコントローラA104が手首の手の甲の側となるように装着されて、電極A102が手首の手の甲側に、電極B103が手首の手のひら側に接触する。尚、これと逆にコントローラA104が手のひら側になるように装着されて、電極A102が手首の手のひら側に、電極B103が手首の手の甲側に接触してもよい。
【0013】
本体A1はベルト部A101と伸縮部A107によって環状に構成されるが、伸縮部A107に因らずベルト部をシリコンゴム或いは天然ゴム等で環状として、ベルト部全体の伸縮によって本体A1を手首等に装着できるような構成でも良い。ここで環状とは、円でなくてもよく、例えば楕円や三角形や矩形または多角形であってもよく、その他の形状であっても手首に適切に装着できればよい。
【0014】
ベルト部を無端状の環状ではなく帯状として、両端部に面ファスナーやボタン或いはホックなどの固定手段を取り付けてもよく、例えば手首等に巻きつけて面ファスナーで固定して環状とするような構成でも良い。または装着時に於いても無端状とならず解放端を有するような例えば弾性を有する板バネ等を使用して一部が解放端となる帯状のベルト部を構成して当該板バネの弾性によって装着を容易にすると共に電極と皮膚との当接を容易に且つ確実に行えるような構成でもよい。
【0015】
電極A102や電極B103は例えば導電性の高い或いは電気抵抗の低い固形ゲルで構成されている。但し、これに限定せず、本体A1を装着する部位に電極がフィットして適切に電気信号が皮膚に付与できればよく成型されたステンレス板等の金属であってもよく、或いは銀糸などを使用した導電性の布であってもよく、或いは導電性の塗料であってもよい。または導電性を有するゴムでもよく、例えばシリコンゴムやウレタンゴムを基材としてカーボン粉末に代表される導電性材料を混ぜて導電性を持たせた導電性ゴムが使用可能である。
【0016】
コントローラA104にはスイッチA105とLED-A106が配置されていて電極A102や電極B103に付与される電気信号の制御ができる。スイッチA105を押すと、LED-A106が点灯し、後述の電気刺激が電極A102と電極B103によって四肢の末梢部近傍に、本実施例では手首に供給される。
【0017】
図2は、コントローラA104のブロック図を示す。コントローラA104は、制御部A202、出力回路である波形生成部A204、タイマ207、ユーザーIF部201、電源部206、バッテリ203等の少なくとも一部又はすべてを含んで構成される。本実施例では、コントローラA104はこれらの総てから構成されるものとして説明する。
【0018】
制御部A202はCPUやメモリの他、各部と接続する為のインターフェース部を内蔵し、電流刺激を与える電気信号を生成する波形生成部A204、一定時間の出力を管理する為のタイマ207、スイッチA105やLED-A106に接続されたユーザーIF部201に接続されてこれらを制御する。
【0019】
バッテリ203から供給される電力は電源部206によって所定の一定電圧値、例えば5Vに制御されて制御部A202を介して各部に供給される。
【0020】
ユーザーが本体A1を手首に装着した後、スイッチA105を押すと、その情報はユーザーIF部201を介して制御部A202に送られ、制御部A202は後述する電気信号を出力するように波形生成部A204に指示を出す。または、制御部A202は波形生成部A204に対して電力を供給することによって波形生成部A204に電気信号の生成を開始させるような構成でも良い。
【0021】
制御部A202は生成する電気信号のパラメータを、制御部A202の一部を構成するメモリ、または制御部A202の外部に設けられたメモリから読みだして波形生成部A204に供給し、波形生成部A204は当該パラメータに従って電気信号を出力してもよい。
【0022】
波形生成部A204によって出力される電気信号は端子A208にハーネスA108によって接続されている電極A102と、端子B209にハーネスA108によって接続されている電極B103に供給される。波形生成部A204に対して出力を指示したことに同期してタイマ207に計時を指示し、タイマ207が所定時間、例えば15分や1時間の計測を開始する。タイマ207の計測に関する情報、例えば所定の時間が経過した情報は制御部A202にフィードバックされて、当該フィードバックにより、制御部A202は波形生成部A204へ電気信号の生成停止を指示することによって、或いは波形生成部A204への電力供給を停止することによって電気信号の出力が停止する。
【0023】
制御部A202は波形生成部A204への電力供給に合わせて、ユーザーIF部201にLED-A106を点灯するように指示を出し、ユーザーIF部201はLED-A106に電力を供給してLED-A106を点灯させる。逆に制御部A202は波形生成部A204への電力供給を停止するまたは電気信号の生成停止を指示するときは、ユーザーIF部201にLED-A106を消灯するように指示を出し、ユーザーIF部201はLED-A106への電力供給を停止してLED-A106を消灯させる。
【0024】
バッテリ203としては、本体A1は微弱な電流を使用するので比較的容量の小さなバッテリが使用可能で、例えばボタンタイプの電池であってもよい。或いはリチウムイオンバッテリのように充電によって繰り返し使用可能なバッテリでもよい。または、バッテリ203の代わりに家庭用コンセントを使用したDC電源に接続して使用できるような構成でも良い。
【0025】
図3は本発明によって四肢に供給される電気信号を模式的に示している。
図3では横軸は時間、縦方向は電流値を示している。複数のパルスの集合をパルス群と称すると
図3(a)のように本実施例では、一定振幅の複数のパルスからなる第2バルス群が使用され、電気信号が出力されない時間(T4)経過後に当該第2パルス群が再度出力され、これを繰り返す。尚、
図3において縦軸は電流値を示しており、本明細書において以後、振幅とは電流値の振幅を意味する文言として使用するが、本発明はこれに限定されず、振幅とはパルスに関する電流値や電圧値或いは電力の振幅も意味し、振幅は電流または電圧或いは電力の振幅に限定するものではない。
【0026】
尚、上記の第2パルス群は一例として、周波数50Hz、パルス幅200μsec、出力50μAで出力される。従って図に記載されたパルスよりも多くのパルスが実際は付与されているが、パルス群を明確に説明する為に及び簡単の為にその一部を使用して記載している。
【0027】
本実施例のパルスは人体が電気刺激を感知できない出力(以後、「無感の出力」と称する)が使用されている。一般に、電流値が20mAを超えると電流による痛みは発生し易くなる。EBM物理療法原著第2版(医歯薬出版株式会社)のP242、
図8-20から読み取れるように、筋収縮を起こさせるには20mA以上の出力が必要であり、逆に20mA以下であれば電気信号が付与されていることは感じるものの、筋収縮は発生しにくい。さらに本実施例のように50μA程度とすることで通常では筋収縮が起こらないだけでなく、特殊な条件が無い限り通常、人は電気信号が供給されていることも感じることはできず、もちろん電気信号による痛みも感じない。本実施例では上記のパラメータに設定した電気信号をただ一組の電極を使用して四肢の末梢部近傍に付与することにより、体全体で緊張感の緩和が得られて心地いいリラックス感を得ることができる。従って運動後の使用はより効率的なクールダウンが期待できて望ましく、或いは就寝前の使用も望ましい。
【実施例2】
【0028】
本実施例では電気刺激を四肢の末梢部分である手首に付与することに関しては上記の本体A1と同じであるが、付与する電気信号を異ならせて、具体的には、
図3(b)のような電気信号を使用する。この電気信号は複数のパルス群から構成される。特に本実施例における電気信号は出力が徐々に増加する第1パルス群と一定の出力が維持される第2パルス群と出力が徐々に低下する第3パルス群からなる。換言すると、第1パルス群は、パルス群を構成する各パルスの振幅が徐々に大きくなるパルス群である、または第1の出力の第1パルスと当該第1の出力よりも大きな出力により当該第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群、或いは第1の振幅の第1パルスと当該第1の振幅よりも小さくない振幅により当該第1パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群と言える。第2パルス群は、複数のパルス群の振幅が第2パルス群においては一定であるパルス群である、または第2の出力の複数のパルスで構成されるパルス群、或いは第2の振幅の複数のパルスで構成されるパルス群であると言える。第3パルス群は、パルス群を構成する各パルスの振幅が徐々に小さくなるパルス群である、または第3の出力の第3パルスと当該第3の出力よりも大きくない出力により当該第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群、或いは第3の振幅の第3パルスと当該第3の振幅よりも小さな振幅により当該第3パルスの後に出力されるパルスを少なくとも含むパルス群と言える。さらに、第1パルス群と第2パルス群と第3パルス群で構成されるパルス群を第4パルス群と称する。第4パルス群は所定時間の例えば1時間において一定の時間間隔で繰り返される。ここで、第1パルス群の継続時間をT1、第2パルス群の継続時間をT2、第3パルス群の継続時間をT3、第4パルス群の休止時間、即ち、第3パルス群の出力終了後に再度第1パルス群の出力が開始されるまでの時間間隔をT4とする。本実施例では第1パルス群と第3パルス群を併用することで前記実施例1とは別の用途に使用する。
【0029】
図4は本実施例における本体B2を示している。本体B2は本体A1と同じ外観であるので正面図は省略する。本体A1と同じ符号については本体A1と同じものが適用されるので説明を省略する。本体A1と本体B2の違いはコントローラB404が使用されていることである。
【0030】
図5はコントローラB404のブロック図である。コントローラB404はコントローラA104に対して波形生成部B504が異なるだけであるので、これ以外の説明は省略する。波形生成部B504は
図3(b)のような電気信号を出力する。本実施例においては、T1を1.8秒、T2を3秒、T3を1.8秒としている。これ以外の電気信号に関するパラメータである周波数やパルス幅や電流値等は本体A1と同じで良い。従って図に記載されたパルスよりも多くのパルスが実際は付与されているが、パルス群を明確に説明する為に及び簡単の為にその一部を使用して模式的に記載している。
【0031】
尚、各パルス群に対して一通りのパラメータを適用してもよいが、各パルス群に異なるパラメータを適用してもよい。例えば周波数やパルス幅を各パルス群で異なるように制御してもよい。或いは第4パルス群の単位でパラメータを、例えば周波数や振幅やパルス幅等を変更してもよい。
【0032】
本体B2では、T1とT3を1.5秒以上である1.8秒に設定している。このような電気刺激、即ちT1とT3を1秒以上、より安定的に効果が得られ始める1.2秒以上、望ましくは確実に効果がえられる傾向が高い1.5秒以上とする、例えば、T1とT3を1.8秒とするパルス群を四肢の末梢部またはその近傍に付与することにより、体全体において適度な緊張感が得られ、当該緊張感によって心地いいリフレッシュ感を得ることができる。従って朝の起床時や、疲労時や、運動開始前の使用が望ましい。
【0033】
本発明は上記の実施例に限定されるものではない。以下に他の実施例として上記の各実施例の変形例を示す。但し、本発明はこれらに限定されず、以下の変形例を上記の本体A1や本体B2と組み合わせて使用してもよいし、以下の変形例や上記実施例1や実施例2の中から少なくとも二つを組み合わせてもよい。
【0034】
図6は一つの変形例である本体C3を示す。上記実施例1や実施例2ではコントローラA104やコントローラB404は手首の手の甲側または手のひら側になるように装着されるので、電極A102と電極B103も手首の手のひら側や手首の手の甲側となるが、電極A102と電極B103は手首の甲側と手のひら側ではなく、
図6の本体C3のように手の甲や手のひらに向かって手首の右側と左側に配置してもよい、即ち手首を左右から挟むように配置してもよい。あるいは手首に並べて配置してもよい。例えばベルト部A101において手首の周方向に沿って電極A102と電極B103が隣り合うように並べて配置してもよいが、周方向と直角方向に隣り合うように並べて配置してもよいし、周方向に対して斜めに並べて配置してもよい。このように電極の配置については、本発明が電気信号による直接的な筋肉の収縮や特定のツボの刺激を目的としていないために、本発明は筋肉の方向やツボの位置と関係なく、或いは筋肉やツボの有無に関係なく、または電流路にそった筋肉の量に関係なく電極を配置することができる。
図6は、一例として本体B2の電極位置を変えた本体C3を示しているが、本体A1をはじめとした、電流を四肢の末梢部或いはその周辺に付与する本発明を施した機器において電極位置をこのような配置としてもよく、後述する各本体についても適用できる。
【0035】
他の変形例を示す。上記各実施例は一つの本体で、
図3(a)のような体全体で緊張感の緩和が得られる電気信号(以下、「第1信号」という)として第2パルス群か、
図3(b)のような全身に緊張感を与える電気信号(以下、「第2信号」という)として第4パルス群を付与できる構成であるが、これに限定されず、一つの本体で第1信号と第2信号の両方の電気信号を出力させるような構成でも良い。この場合は、例えばスイッチA105を最初に押すと、第1信号が出力され、スイッチA105を再度押すと第2信号が出力されるような構成とすることでもよく、さらにスイッチA105を押すことによって出力が停止されるような構成でもよい。即ちスイッチA105を押すたびに信号が順次切り替わり、或いは出力が停止される構成でもよい。
【0036】
スイッチA105を押すとは単に押すことにとどまらず、所謂ダブルクリックや長押しであってもよく、出力する信号の切り替え時はダブルクリックし、信号の出力開始や停止する場合は長押しする等、操作の方法を分けてもよい。このような構成ではスイッチA105に誤って触れた場合の装置の誤動作を回避できて望ましい。
【0037】
ここで、出力する信号を変更する場合は、スイッチA105を押すことによって例えば第1信号のパラメータが、再度スイッチA105を押すと例えば第2信号のパラメータが制御部A202から波形生成部A204他の出力回路に供給されて、出力回路がそれぞれのパラメータに従って第1信号や第2信号等の信号が出力できる構成でも良い。
【0038】
他の変形例を示す。上記において使用されるパルスの出力は50μAとしているがこれに限定されず、例えば70μAや100μA等であってもよい。或いは所望の効果が得られるように出力値を調整する、例えばボリューム機能をコントローラA104やコントローラB404等に持たせて出力を調整するようにしてもよい。上記のような効果は個人差がある場合があり、使用者が自分で出力の調整ができる方が望ましい。
【0039】
他の変形例を示す。上記において使用されるパルスの出力は、例えば第2パルス群に対して使用される出力は上記の如く50μAで一つの値が使用されていたが本発明はこれに限定されない。第1信号と第2信号における出力値を変更してもよい。例えば第1信号では50μAとするが、第2信号では100μAとしてもよい。或いは、第1信号や第2信号において、出力値を50μAから第4パルス群単位で変更してもよい。例えば、スイッチA105が押された直後は、即ち最初の第4パルス群における第2パルス群の出力は50μAであるが、次の第4パルス群における第2パルス群の出力は52μAとし、以後、第4パルス単位で徐々に出力値を変更してもよい。または出力値を上げたり下げたりするような構成でも良い。
【0040】
他の変形例を示す。上記において使用されるパルスの出力は、例えば第2パルス群に対して使用される出力は上記の如く50μAであって、人体が電気刺激を感知できない出力が使用されていたが、本発明はこれに限定されない。手首において電気刺激を感知できるような出力であって、且つ当該電気刺激によって筋肉の収縮が発生せず痛みも感じないような範囲の出力(以後、「有感の出力」と称する)、例えば950μA程度の出力としてもよい。さらに第1信号と第2信号の両方を有感の出力としてもよいが、少なくとも一方を有感の出力としてもよく、例えば第1信号は無感の出力とし、第2信号は有感の出力するような構成、或いはこの逆としても良い。この方が、使用者が第1信号と第2信号のどちらの信号を使用しているか容易に判断できる。上記のごとく、電気信号の電流値を20mA以下とすることで筋収縮は発生せず、数mA以下とすることにより痛みを感じることも少ない。もちろん痛みに対する感度は電気信号を供給する場所や個人差によるが上記のように950μAとすることで、手首に傷等が無ければ人は痛みを感じることは少ないと思われる。
【0041】
他の変形例を示す。上記において使用されるパルスの出力は、例えば第2パルス群に対して使用される出力は上記の如く一定の出力が使用されているが、本発明はこれに限定されない。出力開始直後は有感の出力、例えば500μAを第2パルス群の出力とし、出力開始から一定時間経過後、例えば出力開始から30秒経過後からは、第2パルス群の出力を無感の出力、例えば50μAに変更するような構成でも良い。当該出力の変更は、例えば有感の出力から無感の出力に、即ち500μAから50μAにいきなり変更してもよいし、500μAから400μA、300μA・・・と徐々に変化させて最終的に50μAとなるように制御してもよい。尚、有感の出力は上記のように痛みを感じない程度の非常に弱い電力であるので、第2信号として使用可能であり、当該500μAを使用した有感の出力を無感の出力と併用しても、当該有感の出力のようにその出力が比較的小さいまたは比較的短時間である場合には無感の出力と同様な効果がえられ、無感の出力による効果を阻害することはない。例えば有感の出力の使用が無感の出力の効果を低下させるなど、有感の出力を使用することによる不具合や弊害はない。従って有感の出力を一時的に使用することは次のように無感の出力による効果をより効果的に発揮させることにつながる。
【0042】
無感の出力を使用する場合は、使用者が出力を感知できず、スイッチA105を押し損ねた場合や、バッテリ203の残量が少ない場合など適切な出力がされていないことを知ることができず、それに使用者が気づかない不具合がある。ところが上記のように出力開始後に有感の出力を使用することで、使用者は電気信号が出力されていることを容易に知ることができ、逆に出力開始直後に有感の電気刺激が得られない場合に使用者は容易に出力がされていないことを知ることができ、当該不具合を容易に回避できる。例えばスイッチ操作を誤ったことやバッテリ切れに容易に気づいて操作をやり直したりバッテリ203の交換や充電を行ったり等の改善が容易に行える。さらに無感の出力のみが使用される場合では使用者が電気刺激を感じることができないので、本当に電気信号が出力されているか、即ち装置が正常に動作しているか疑問を抱く場合がある。ところが一時的な有感の電気刺激がある為に装置の正常な動作を使用者が容易に知ることができ、出力を実感することによって、その効果を向上させることができる。
【0043】
上記のような一時的な有感の出力は出力開始直後だけでなく、出力終了前にも使用することができる。例えば出力が終了する30秒前から無感の出力の代わりに有感の出力に切り替えることによって間もなく出力が終了することを使用者に知らせることができる。無感の出力が使用される場合は、いつ出力が終了したか使用者が知ることができないとう問題があったが、出力の終了間際に有感の出力が使用されるので使用者は容易にその終了を知ることができる。尚、無感の出力から有感の出力に、例えば無感の出力が50μAの場合は50μAから例えば500μAにいきなり変更してもよいし、50μAから200μA、300μA、400μAと徐々に変化させて最終的に500μAとなるように制御してもよい。
【0044】
上記のような一時的な有感の出力は出力の開始時または出力の終了時だけでなく、出力の開始時と終了時の両方で使用することもできる。或いは、定期的に一時的な有感の出力を使用することによって、使用者に装置が正常に動作していることと共に時間経過を知らせることもできる。例えば出力が5分継続されるたびに第1信号又は第2信号で有感の出力を使用してもよい。さらに出力が後続して行われる場合(時間経過を示す場合)に使用される有感の出力の継続時間を、出力が終了する場合に使用される有感の出力の継続時間と変えることで、使用者が有感刺激を感じた時に、出力が終了するのか単なる時間経過を示すのか容易に判断できるのでより望ましい。
【0045】
上記のような、出力開始時や終了時、或いは定期的な短時間の有感の出力の使用、即ち一時的に有感の出力を使用する構成は以下の点でより望ましい。有感の出力は、人に痛みを感じさせないとはいえ、長時間この刺激を感じることは必ずしも人にストレスを与えないとは限らない。従って有感の出力が痛みを感じさせないといえども有感の出力は短時間の使用や一時的な使用にとどめるのが望ましいく、このような有感の出力を無感の出力の代わりに一時的に使用することは使用者にストレスを与えないという点でより望ましい。以上のように、無感の出力を使用する場合、一時的に有感の出力を、電気信号の出力開始や終了、時間経過などの情報を使用者に伝える通知手段として使用することができる。
【0046】
他の変形例を示す。上記では第1信号は
図3(a)のように第2パルス群のみの出力であるが本発明はこれに限定されない。第1信号として同図(b)のような電気信号、即ち第4パルス群を使用することも可能である。但し、この場合はT1とT3を1秒以下、安定的に効果が得られはじめる0.8秒以下、より確実に効果が得られる傾向が高い0.5秒以下が望ましい。このように第4パルス群のT1とT3をそれぞれ1秒以下とすることによって体全体で緊張感の緩和が得られる電気信号である第1信号として第4パルス群を使用可能である。
【0047】
他の変形例を示す。本発明では第1信号としてT1とT3を1秒以下(例えば0.3秒)とした第4パルス群と、第2信号としてT1とT3を1秒以上(例えば1.8秒)とした第4パルス群を出力できる構成である本体F(本体Fの外観は本体A1や本体B2と同じであるので、本体Fの外観は
図1や
図4に図示されている)としてもよい。
【0048】
この場合は例えばスイッチA105を最初に押すと、T1とT3として0.3秒の第4パルス群が第1信号として出力され、スイッチA105を再度押すとT1とT3として1.8秒の第4パルス群が第2信号として出力されるような構成とすることでもよく、さらにスイッチA105を押すことによって出力が停止されるような構成でもよい。
【0049】
第1信号と第2信号を出力する場合は、両方を出力できる波形生成部F804を使用し、波形生成部F804を使用したコントローラF801を
図8に示す。波形生成部F804のように、T1とT3を例えば0.1秒や0.3秒とすることで第1信号の出力時においても第2信号を出力する出力回路と共通の回路構成とすることができる。即ち、一つの出力回路で第1信号と第2信号を両方とも出力できる。
【0050】
本来第1パルス群や第3パルス群は筋収縮を起こすほどの大きな電流が筋肉に流れることによる痛みや強い筋収縮による痛みを軽減する目的であるが、筋収縮がおきるわけもない微弱な電流であっても皮膚に怪我や炎症傷等がある場合、筋肉ではなく皮膚の怪我や炎症等の患部に電流が流れることによる痛みや不快感をも軽減することができる。
【0051】
或いは皮膚に傷や炎症がある場合は、無感の出力であっても痛みは感じないまでも与えられた電気刺激を感じて、無感の出力が有感の出力として作用しうる。既述のように痛みを感じない場合であっても長時間の有感刺激は使用者にトスレスを与え得る為に望ましくない。この場合は第1信号として上記の第4パルス群を使用することによって、使用者は傷や炎症が皮膚にある場合でも供給された電気刺激を感知しにくくなる。よって、第4パルス群を第1信号として使用する方が望ましく、この場合はT1やT3としては、0.8秒以下で0.1秒以上が現実的である。コントローラF801には制御部F802を配置して第1信号を使用する場合はT1やT3が例えば0.3秒であることを示す情報を、第1信号を使用する場合はT1やT3が例えば1.8秒であることを示す情報を、波形生成部F804に通知して第1信号や第2信号を波形生成部F804から出力するような構成でもよい。
【0052】
図7(a)は他の変形例である本体D4を示す。上記のような本体A1や本体B2に於いては、コントローラA104またはコントローラB404に内蔵されている各種回路部はベルト部A101に配置されている構成であるがこれに限定されず、ベルト部A101以外に設けられて例えばコントローラD705は本体D4とは別体として設けられているような構成でも良い。同図の矢印Bの方向から見た様子を同図(b)に示す。同図(a)ではコントローラD705は省略されているが、同図(b)に記載されている。この場合においては、別体のコントローラD705は例えばネックストラップによって首にかけて使用するような構成でも良く、或いはポケットに入れて使用するような構成でもよい。この場合、当該コントローラD705はベルト部A101に設けられたマウント部701の端子部A702と端子部B703にケーブル704とコネクタ708によって接続されることで電気信号は端子部A702につながっている電極A102と、端子部B702につながっている電極B103によって手首に供給できるような構成でもよい。尚、各端子部と電極はベルト部A101内のハーネスB709によって接続されている。コントローラD705にはスイッチB706とLED-B707が配置されており、スイッチA105及びLED-A106と同じように使用する。
【0053】
図9は他の変形例である本体H5を示す。上記の各例では手首装着することを想定しているが本発明はこれに限定されず例えば指輪形状としてもよく、一例としてリング901を有する場合を示している。リング901は、電極A102や電極B103に相当する電極C902と電極D903が配置され、電極C902はハーネスC908を介して端子部C904に接続され、電極D903はハーネスD909を介して端子部D905に接続され、端子部C904と端子部D905はコネクタH906によってケーブルH907に接続されて、コントローラが配置された本体H5に接続されている。コントローラは上記のいずれのコントローラであってもよく、同図(b)ではコントローラF801が使用されている場合を示しており、同図(C)のようにコントローラF801はブレスレット形状の本体H5に設けられており、本体H5を手首に装着し、リング901を指輪のように装着して使用する。
【0054】
リング901は例えば樹脂等の絶縁材料であればよく、ゴムやシリコン等であってもよい。同図は各部の構成を説明する概念図であるので(a)のリング901と(c)の本体H5を同じ大きさで示しているが両者が同じ大きさであることを表しているのではない。
【0055】
図10は
図9の変形例を示す。
図9ではリング901に2つの電極を配置した構成であるが、本発明では四肢の末端に、或いはその近傍に電流を付与する構成であればよく、これに限定されない、従って、例えば
図10のように、微弱電流を供給する為に使用する2つの電極のうち一つのみを指輪形状のリングJ1001に配置し、他方の電極を他の部分、例えば手首に装着するよう構成でも良い。
図10(a)では、
図9(a)と同様に指輪形状のリングJ1001を示している。但し、
図9(a)における電極C902とハーネス等はリングJ1001ではなく、本体J6に
図10(c)のように、電極A102、ハーネスE1008として配置される。本体J6はベルト部A101と伸縮部A107で構成されており、
図1と同様な構成である。電極D903はハーネスD909を介して端子部D905に接続され、端子部D905はコネクタJ1006によってケーブルJ1007に接続されて、コントローラに接続されている。本位J6を手首に装着し、リングJ1001を指輪のように装着して使用する。リングJ1001の構成としては、リング901のように絶縁材料を使用した場合を例として図示しているがこれに限定されず、リングを例えばプラチナや銀などの導体や導電性の高い材料等で構成して同図(d)のリングK1002のようにしてもよく、この場合は電極903やハーネスD909が不要となりより簡単な構成が可能で、同図(b)においてリングJ1001の代わりにリングK1002を使用できる。リングK1002はハーネスE1007と端子部D905によって本体J6に接続されている。
【0056】
図11は他の変形例を示している。上記の
図9や
図10では指輪状の、リング901やリングJ1001やリングK1002をただ一つのみ使用する例を示しているが本発明はこれに限定されず、例えばリングK1002を複数使用するような構成でも良い。
図11では、リングK1002を2つ使用する構成を示している。本図では、本体J6の代わりに複数のリングK1002を使用できる構成である本体K7を使用しており、ケーブルK1107によって電極として作用する2つのリングK1002が接続されている。
【0057】
図12は他の変形例を示している。上記では手首や指に装着することを想定しているが本発明はこれに限定されず例えばサポータ形状としてもよく、一例として本体L8を示している。本体L8はサポータ1201を有し、電極A102や電極B103に相当する電極E1202と電極F1203が配置され、電極E1202と電極F1203はハーネスF1208を介してコントローラに接続されている。図では電極E1202と電極F1203は手の甲に接触するように配置されていており、ハーネスF1208もサポータ1201内部に設けられているので、外部から直接見ることが出来ず、点線によってその位置を示している。コントローラは上記のいずれのコントローラであってもよく、同図(a)ではコントローラF801が使用されている場合を示しており、
図12のように本体L8を装着して使用する。サポータ1201は絶縁材料であればよく、例えば木綿等の布製であっても革やゴムやシリコン等であってもよい。
【0058】
図12では電極E1202と電極F1202を同図(a)の位置に配置しているが本発明はこれに限定されない。電極を配置する位置しては、同図(b)と(c)の点線で囲んだ複数の領域が、確実に電極が皮膚に接触できるので望ましく、以後これらの電極を配置するのに望ましい領域のそれぞれを電極領域というと、これらの電極領域の中から2つの電極領域を選んでそれぞれ一つずつの電極を配置するか、或いはこれらの電極の一つの領域に2つの電極を配置する。例えば、電極を親指の付け根の位置と、小指の付け根と手首の間の位置に配置するような構成でも良い。同図(b)は手の甲側の電極領域を示し、同図(c)は手のひら側の電極領域を示している。
【0059】
図13は他の変形例を示している。
図12はサポータ1201に電極を配置する構成であるが、本発明はこれに限定されず、電極の一つとしてリングJ1001やリングK1002を使用する本体M9としてもよく、
図13は
図12における電極E1202の代わりにリングK1002を使用した場合を示しているが、電極F1203の代わりにリングK1002を使用してもよい。
【0060】
図14は他の変形例を示している。
図11や
図12では手首に使用するサポータ形状の例を示しているが、本発明はこれに限定されず
図14のように手袋形状とする例を示している。上記では手首や指に装着することを想定しているが本発明はこれに限定されず例えば手袋形状としてもよく、一例として本体N10を示している。本体N10は手袋1401を有し、電極A102や電極B103に相当する電極E1202と電極F1203が配置され、電極E1202と電極F1203はハーネスM1402を介してコントローラに接続されている。コントローラは上記のいずれのコントローラであってもよく、同図ではコントローラF801が使用されている場合を示しており、本体N10は図のように装着して使用する。手袋1401はサポータ1201と同様に絶縁材料であればよく、木綿等の布製であっても革やゴムやシリコン等であってもよい。
図14のような手袋状の本体を使用する場合は、
図12の示した電極が配置できる電極領域は、手袋で覆われる各指の表面にも及び、各指にも電極が配置できるが、指輪形状のリング901やリングJ1001やリングK1002が不要となるので、電極の装着が簡単となる。
【0061】
上記の各実施例や変形例はいずれも本体や電極を、四肢の末端やその近傍、例えば手首や指に配置する例を示しているが本発明はこれに限定されない。電極や本体を四肢の末端やその近傍には装着せず、四肢の末梢やその近傍部位が接触する機器に配置するような構成でも良い。例えばパーソナルコンピュータを使用する際のキーボードやマウス、バイクや自動車を運転する際に使用するハンドルやアクセルまたはブレーキ、その他、ペン、スマートフォンにも電極や本体を配置してもよい。
【0062】
図15はこれらの一例を示している。同図(a)はマウスに使用する場合を示している。マウス1501は左クリック1502と右クリック1503と手のひらが接触するボディ部1504を有し、ボディ部1504に電極G1505と電極H1506を配置してもよい。コントローラとしては上記のいずれのコントローラであってもよく、例えばコントローラF801がボディ部1504に配置され、電極G1505や電極H1506と接続されていてもよい。電極の配置としては図のように親指がふれる部粉と手のひらの手首に近い部分が接触する位置であるボディ部1504の近位端に電極を配置してもよいし、電極G1505を小指が接触するボディ部1504の右側面に配置して電極G1505と親指側に配置した電極H1506によって親指と小指に電流が流れるような構成でもよい。或いはボディ部1504の近位端に電極G1505と電極H1506を配置してもよい。
【0063】
電極G1505の代わりに左クリック1502又は右クリック1503を導電性部材で構成するか、左クリック1502又は右クリック1503に電極G1505を配置して、親指と人差し指や中指で電流が流れるような構成でも良く、左クリック1502又は右クリック1503とボディ部1504に配置された電極H1506によって手のひらと指に上記の第1信号電流や第2信号を供給するような構成でも良い。左クリック1502に電極H1506を配置するか左クリック1502の少なくとも表面を導体とし、右クリック1503に電極G1505を配置するか右クリック1503の少なくとも表面を導体として人差し指と中指に第1信号や第2信号が流れるような構成としてもよい。さらにスイッチA105とLED-A106が例えば図のように配置されていてもよい。
【0064】
図15(b)はノートパソコンに本発明を施した場合の例である。図のようにパソコン1511はキーボードエリア1512の手前の、マウスポインタを操作するタッチパットエリア1513の左側に電極J1514と電極K1515を配置し、パソコン1511内部に配置されたコントローラと接続されている。コントローラとしては上記のいずれのコントローラであってもよく、例えばコントローラF801がパソコン1511内部に配置され、電極J1514や電極K1515と接続されていてもよい。図では電極はタッチパットエリア1513の左側に配置されているがこれに限定されず、右側に配置しても、或いはタッチパットエリア1513の両側に配置して、両手の手のひらのそれぞれに上記の第1信号電流や第2信号を供給するような構成でも良い。電極J1514や電極K1515を介して供給される電気信号は、パソコン1511内部にインスールされたアプリケーションによって制御されてもよい。
【0065】
図15(c)は車のハンドルに本発明を施した場合の例である。図のようにハンドル1521には電極L1522と電極M1523を配置し、ハンドル1521内部に配置されたコントローラと接続されている。さらにスイッチA105とLED-A106が例えば図のように配置されていてもよい。コントローラとしては上記のいずれのコントローラであってもよく、例えばコントローラF801がハンドル1521に配置され、電極L1522と電極M1523と接続されていてもよい。電極L1522と電極M1523はハンドルの右側に設けられているが本発明はこれに限定されず、左側に設けられていても両方に設けられていてもよい。また、電極L1522と電極M1523はハンドルの正面側に設けられているが本発明はこれに限定されず、側面に設けられていてもどちらか一方を正面に他方を側面に設けてもよい。
【0066】
図15(d)は携帯端末に本発明を施した場合の例である。図のようにスマートフォン1531の筐体1532又は表示部分1535の両側に電極P1533と電極Q1534を配置し、筐体1532内部に配置されたコントローラと接続されている。コントローラとしては上記のいずれのコントローラであってもよく、例えばコントローラF801が筐体1532内部に配置され、電極P1533と電極Q1534と接続されていてもよい。電極P1533と電極Q1534は筐体1532の両側の下半分に配置されているがこれに限定されず、上半分に配置することも、右側や左側の一方の上側と下側に配置してもよい。電極P1533と電極Q1534を介して供給される電気信号は、スマートフォン1531にインスールされたアプリケーションによって制御されてもよい。
【0067】
図15の例において、コントローラと電極をそれぞれ別体として設けてもよい。例えば、マウスの場合はコントローラをマウスが接続されたパソコンに配置して、パソコン内にインストールされたアプリケーションを使用して電極を介して四肢又はその近傍に供給する電気信号の制御を行ってもよい。ハンドルの場合はハンドルではなく、例えばインパネ等に配置してもよく、例えばカーナビゲーションシステムのユーザインターフェース等を使用して人体に供給する電気信号の制御を行ってもよい。
【0068】
上記の
図9乃至
図15では、供給する電気信号として微弱な、無感の電流が使用されるので、使用者に痛みや不快感を与えることがなく、電流が供給されていることも感じない為に、使用者が例えば運転中、事務作業中、或いは、細かな手作業を行っていても、供給する電気信号の影響を全く受けることも無く、電気信号を供給しながらでもこれらの作業を容易に無理なく、電気信号によるストレスをなんら受けることもなく継続することができる。
【0069】
さらに、これらの作業中においても第1信号や第2信号を利用して、常にリフレッシュしながら或いはリラックスしながら作業を継続できるので作業効率が上がるだけでなく安全な作業が継続できる。例えば運転が長時間に及ぶ場合や夜間では第2信号を使用して常にリフレッシュしながら運転し、渋滞中では第1信号によってリラックスしながら運転を行うことができ、安全運転を継続できる。パソコンの使用が長時間に及ぶ場合や夜間では第2信号を使用して常にリフレッシュしながら作業し、或いは第1信号によってリラックスしながら業務を行うことができるのでミスのない作業を継続して無理なく行うことが出来る。
【0070】
上記の各実施例や各種変形例においては、使用する電気信号は矩形波を使用するパルス群を使用しているが本発明はこれに限定されない。例えば矩形波の代わりに三角波を使用してもよいし、複数のインパルスを使用したインパルス列であっても、パルス群の代わりに正弦波であってもよい。さらには正負の振幅を有する電気信号であってもよいし、正の振幅或いは負の振幅のみの単極性波形であってもよい。または正負の振幅が等しい電気信号に限らず、正負の振幅を異ならしめたり、正負の波形の形状を変えたり、或いはオフセットした波形であってもよい。
【0071】
上記の例はいずれも人体に使用した場合の例であるが、本発明は人体以外の他の生体(以下、単に「生体」という)についても適用可能である。生体の例として例えば、ライオンやキリンのように動物園で飼われている生体であってもよく、犬や猫のようにペットとして一般家庭で飼われている生体であってもよく、牛、馬、豚、鶏、山羊や羊のような家畜についても本発明を適用できる。ここでは、家畜を例に説明する。家畜は比較的狭い場所、例えば牛の場合は牛舎内で飼育される場合が多く、運動不足や狭い場所に閉じ込められていること、またはその他の要因によるストレスによって、或いはその他の要因による緊張が長期間継続すれことで、発育や健康状態、乳牛の場合は乳の量や質に、肉牛の場合は肉質に大きな影響を受ける。
【0072】
そこで本発明を施した機器を生体、例えば牛に使用することにより、ストレスや緊張を緩和して乳質や肉質の改善が可能となる。この場合に使用する機器は上記の例で使用した本体Aや本体B及びこれらの変形例等を使用可能である。但し、生体に合わせて、例えば牛の足先に使用できるようにベルト部A101のサイズの変更や強度を上げるための材質の変更は必要である。
【0073】
上記で説明したような本体は特に大きな回路構成やバッテリは必要なく、大きさやその重さに関するストレスを生体が感じることはない。装着されたことによる新たなストレスはすぐに解消されるだけでなく、上記のような無感の出力は生体に於いても感知することができないので、電気刺激を与えられている意識はなく、本発明を施した機器が使用されることによる更なるストレスはない。
【0074】
ただ、装着当初は生体にとっては見慣れない機器が装着されていて気になるので、なめたり噛んだりする場合が想定され、意図せずスイッチ類が押されたり破壊されることを想定して、スイッチ類をカバーで覆うことやコントローラやベルト部の強度を大きくする工夫は必要と考えられる。或いは本体からスイッチを廃止して、外部から無線によるリモートコントロールを行うような構成は、生体がなめたり噛んだりすることによる、意図しないスイッチ類の操作やスイッチ類の破損を回避できてさらに好適である。
【0075】
本発明の装置を生体に対して使用する場合は、使用する電極、例えば上記の電極A102や電極B103はこのままでは使用に適さない場合がある。生体の四肢は通常体毛で覆われているために四肢に十分に電流が供給されない。従って電極A102や電極B103としては導電性の樹脂や金属による電極を使用するのではなく、弾力性の強い弾性体、例えば導電性のゴムや導電性の繊維を使用して、電極からの電流が四肢に十分に供給されるようにするのが望ましい。或いは、電極A102や電極B103の表面に導電性の粘度の高いゲルを塗布して、生体の四肢に十分に電流が供給できるようにすることでも良い。
【0076】
本発明の装置を生体に対して使用することにより、次のような効果が期待できる。以下に挙げる効果はそれぞれが単独で期待できるだけでなく、同時に複数の効果として期待できる。効果の一つは緊張の緩和である。緊張の理由としては特定の理由に限定されず、例えば、狭いオリや室内に閉じ込められていることによるストレスによる緊張が挙げられる。この他に、異常低温や高温等、台風や強風、長雨や乾燥などの天候起因のストレスや、近所で実施される工事などによる警戒心に起因する緊張等もある。或いは体調不良や妊娠等に伴う体調の変化に起因する緊張も挙げられる。
【0077】
上記のような緊張緩和に対して、本体A1や本体E或いは本体Fを使用して或いはこれらと同等のパルスを出力できる機能を有する機器により、第1信号を生体の四肢に供給することにより、生体の緊張を緩和して、ストレスから解放し、生体の健康状態の改善や維持などの生体の体調維持や管理に使用できる。或いは緊張の発生を予想して、或いは緊張しやすい個体に事前にこれらの第1信号を生体の四肢に供給することが有効である。さらに過活動の個体について第1信号を供給して活動を抑えることも有効である。一例として怪我や病気の個体について第1信号を供給して、活動を抑えて、怪我や病気の治癒を早めるような効果も期待できる。
【0078】
本発明の装置を生体に対して使用することにより、他の効果が期待できる。他の効果とは活動の促進である。例えば、高齢の生体は活動そのものが低下し、運動不足となり運動不足に起因する筋肉の衰えや関節障害や内臓疾患を誘発する。動物園の生体も同様でオリの中にその活動が制限され、また定期的にえさが容易に取得できので、運動する機会が減り、運動不足となる。運動不足となると疾病や怪我を誘発する可能性が高くなる。そこで、本発明を施した電流刺激装置を使用して或いはこれらと同等のパルスを出力できる機能を有する機器により、第2信号を生体の四肢に供給することにより、生体にリフレッシュ感を与えて生体の活動や活性を高めて、運動不足を解消し生体の体調維持や管理に使用できる。例えば牛、豚、羊やヤギなどの場合では、肉質の維持・管理や、乳質や乳量の改善や維持・管理も可能となる。活性や活動の低下している生体に第2信号を供給して活性を上げることにより、例えば高齢の生体の筋肉の低下を防いで強い筋肉を維持させることにより、或いは運動不足を改善することにより、高齢であっても怪我や病気の予防が可能となって健康維持ができる。
【0079】
本発明の装置により、第1信号と第2信号を使用して生体の健康管理を行うだけでなく、家畜の場合は品質のコントロールを行うことができる。例えば肉牛に対して第2信号を使用して肉牛の活動量を増やし所謂赤身の割合を増やしたり、或いは第1信号を多用して肉牛の活動量を制限して肉の硬さや脂質を調整して肉質をコントロールする、例えば肉質の柔らかく所謂霜降りの割合を多くしたり制御することも可能である。この場合は強制的に家畜の運動を制限することもと、運動を強制することもないので家畜に一切のストレスを与えることがない。
また、本発明の電流刺激装置は、環状又は帯状の本体と、前記本体に配置された第1電極と第2電極と、電気信号を出力する出力回路と、前記電気信号を制御する制御部と、前記出力回路及び前記制御部に対してバッテリやコンセントから電力を供給する電源部を有する、体全体にリラックス感を与える装置であって、前記本体を使用者の手首に装着した時に前記第1電極は前記手首の手の甲側又は手のひら側に配置されると共に、前記第2電極は前記第1電極に対して前記手首の反対側に配置されるものであって、前記電気信号を前記第1電極及び前記第2電極を使用して前記手首に供給可能とするものであり、前記出力回路から出力される電気信号として、筋収縮を与えない電気信号であって前記使用者が感じない電気信号であると共に、前記手首に供給することで体全体にリラックス感を与える電気信号であり、複数のパルスから構成されるパルス群であって、徐々に振幅が大きくなる第1パルス群と一定の振幅が維持される第2パルス群と徐々に振幅が小さくなる第3のパルス群を含んで構成され、前記第1のパルス群と前記第3のパルス群の継続時間がそれぞれ0.1秒以上、且つ0.8秒以下である、第1の電気信号を前記手首に供給する、ことを特徴としている。さらに本発明の前記電気刺激装置では、前記第1の電気信号に加えて、第2の電気信号を付与する装置であって、前記第2の電気信号は、筋収縮を与えない電気信号であって前記使用者が痛みを感じないが電気信号を付与されたことを感じることができる電気信号であり、前記第1の電気信号を前記手首に供給する場合に前記第2の電気信号を使用して前記使用者に対する通知を行う、ことを特徴としている。
【符号の説明】
【0080】
1 本体A
2 本体B
3 本体C
4 本体D
5 本体H
6 本体J
7 本体K
8 本体L
9 本体M
10 本体N
101 ベルトA
102 電極A
103 電極B
104 コントローラA
105 スイッチA
106 LED-A
107 伸縮部A
108 ハーネスA
201 ユーザーIF部
202 制御部A
203 バッテリ
204 波形生成部A
206 電源部
207 タイマ
208 端子A
209 端子B
404 コントローラB
504 波形生成部B
701 マウント部
702 端子部A
703 端子部B
704 ケーブル
705 コントローラD
706 スイッチB
707 LED-B
708 コネクタ
709 ハーネスB
801 コントローラF
802 制御部F
804 波形生成部F
901 リング
902 電極C
903 電極D
904 端子部C
905 端子部D
906 コネクタH
907 ケーブルH
908 ハーネスC
909 ハーネスD
1001 リングJ
1002 リングK
1006 コネクタJ
1007 ケーブルJ
1008 ハーネスE
1107 ケーブルK
1201 サポータ
1202 電極E
1203 電極F
1208 ハーネスF
1401 手袋
1402 ハーネスM
1501 マウス
1502 左クリック
1503 右クリック
1504 ボディ部
1505 電極G
1506 電極H
1511 パソコン
1512 キーボードエリア
1513 タッチパットエリア
1514 電極J
1515 電極K
1521 ハンドル
1522 電極L
1523 電極M
1531 スマートフォン
1532 筐体
1533 電極P
1534 電極Q
1535 表示部分