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特許7216947内容物放出操作構造ならびにこの内容物放出操作構造を備えたエアゾール式製品およびポンプ式製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】内容物放出操作構造ならびにこの内容物放出操作構造を備えたエアゾール式製品およびポンプ式製品
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/04 20060101AFI20230126BHJP
   B65D 83/22 20060101ALI20230126BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230126BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230126BHJP
【FI】
B05B9/04
B65D83/22
B65D83/00 K
B05B11/00 102E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018196021
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020062607
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】上澤 和也
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-196189(JP,A)
【文献】特開2006-240638(JP,A)
【文献】特開2002-153783(JP,A)
【文献】特開2009-039648(JP,A)
【文献】特開2006-205033(JP,A)
【文献】特開2016-209790(JP,A)
【文献】特開平10-028907(JP,A)
【文献】特開2014-001001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 9/04
B65D 83/22
B65D 83/00
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誤動作防止用ストッパーが着脱され、利用者の内容物放出操作に基づいて容器の内容物を外部空間域に放出するための内容物放出操作構造において、
前記容器に一体化された上カバーと、
前記内容物放出操作の対象であって、前記上カバーに対する下方向への移動により、前記内容物が放出されない静止モードから内容物放出状態の作動モードへシフトさせる放出操作部と、
前記放出操作部と連動して前記内容物に対する弁作用部を前記静止モードから前記作動モードに移行させ、かつ、前記弁作用部から流入する内容物の外部空間域への放出通路として作用するノズルとを備え、
前記誤動作防止用ストッパーは、
前記上カバーに保持される一対のウイング状部と、
これらウイング状部間の下方側に上開口の曲面態様で連続形成されて、前記ノズルの前端側外周面の回りの前後方向スペースに前記ノズルの前方側からその後側へと入れられることにより前記静止モードの前記ノズルの下側外周面を下支えして、前記操作部の前記作動モードへの移動を阻止する曲面状の中央凹み部と、からなる、
ことを特徴とする内容物放出操作構造。
【請求項2】
請求項1記載の内容物放出操作構造を備え、かつ、内容物および内容物放出用ガスを収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【請求項3】
請求項1記載の内容物放出操作構造を備え、かつ、内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物放出操作構造としての例えば回動タイプのトリガレバー、およびこれと連動して放出操作なしの静止モードから放出操作にともなう作動モードへシフトする内容物放出用のノズルを備えた内容物放出機構の誤動作防止用ストッパー(以下、必要に応じて単に「誤動作防止用ストッパー」という。)に関する。
【0002】
本発明においては内容物の放出口の側を「前」と記載し、これとは反対側を「後」と記載する。すなわち図1図4および図5などの左側が「前」、右側が「後」である。
【0003】
また、図示上下方向を「縦」、上述の前後方向を「横」と記載し、これら「縦」および「横」の各方向と直交する方向(図1図4図5の紙面垂直方向や図2の紙面横方向)を「左右」と記載する。
【0004】
本発明の誤動作防止用ストッパーは、左右一対でそれぞれトリガレバーの上カバー部分に保持されるウイング状部と、これらの間の下方側に配設されてノズルを下支えしその静止モードから作動モードへのシフト動作を直接に阻止する中央凹み部と、からなる。
【0005】
すなわち、左右一対のウイング状部がそれぞれトリガレバーに対する左右の上カバー部分に保持された状態で、その間の中央凹み部がノズルを下側から支えて、これによりノズル自体およびこれの駆動源としてのトリガレバーの下動がともに阻止される。
【0006】
誤動作防止用ストッパーを取り付けた状態のロックモードでトリガレバーが不用意な操作やシフトなどにより回動しようとしても、そもそもこれと連動関係にたつノズル自体が前記ストッパーで止められているので、その回動操作は確実に阻止される。
【0007】
このように本発明の誤動作防止用ストッパーは、トリガレバーや押下げ式などの内容物放出操作部と連動する放出用ノズル(例えばL字状ノズル)をその静止モード位置に保持して、前記ノズルが不用意に作動モード位置へ移行しないようにしたものである。
【0008】
また、中央凹み部およびその左右両側のウイング状部からなる誤動作防止用ストッパーの全体を、中央凹み部の前後方向を中心とした左右対称形状に設定している。
【背景技術】
【0009】
本件出願人は、トリガレバーおよびこれと連動する内容物通路用のL字状ノズルを備えた内容物放出機構において、誤動作防止用ストッパーを、ノズル上流側縦部分に側方から入れてこのノズル縦部分の上端側とカバーとの間に配設することを提案済みである(特許文献1参照)。
【0010】
この誤動作防止用ストッパーは略C形横断面からなる縦方向部材であって、その内周面(C字状部分)がL字状ノズルの上流側縦部分の外周面に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2011-25139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この提案済みの誤動作防止用ストッパーはトリガレバーと連動するノズルを直接の下動阻止対象とした部材であり、静止モードのトリガレバーおよびノズルを一体化した状態でその位置へ確実に保持するといった利点を備えたものである。
【0013】
本発明は、このような特徴を持つ誤動作防止用ストッパーについて新タイプのものを提供し、内容物放出機構の誤動作防止技術の豊富化を図ることを目的とする。
【0014】
また、誤動作防止用ストッパーを、トリガレバーと、その切欠状部に設定されたノズルとの間の前後方向スペースにその前方の内容物放出口側から入れていく態様とし、「側面カバーあり」のトリガレバーに対しても誤動作防止の実効化を図ることを目的とする。
【0015】
また、左右一対のウイング状部からなる誤動作防止用ストッパーの全体を単純な左右対称形状(図2図3参照)とし、その金型加工,管理,輸送などでの効率化,簡単化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を次のようにして達成する。
誤動作防止用ストッパー(例えば後述の誤動作防止用ストッパー1)が着脱され、利用者の内容物放出操作に基づいて容器(例えば後述のエアゾール容器5)の内容物を外部空間域に放出するための内容物放出操作構造において、
前記容器に一体化された上カバー(例えば後述の上カバー4a)と、
前記内容物放出操作の対象であって、前記上カバーに対する下方向への移動により、前記内容物が放出されない静止モードから内容物放出状態の作動モードへシフトさせる放出操作部(例えば後述のトリガレバー2)と、
前記放出操作部と連動して前記内容物に対する弁作用部を前記静止モードから前記作動モードに移行させ、かつ、前記弁作用部から流入する内容物の外部空間域への放出通路として作用するノズル(例えば後述のL字状ノズル3)とを備え、
前記誤動作防止用ストッパーは、
前記上カバーに保持される一対のウイング状部(例えば後述のウイング状部1b)と、
これらウイング状部間の下方側に上開口の曲面態様で連続形成されて、前記ノズルの前端側外周面の回りの前後方向スペース(例えば後述の前後方向スペースS)に前記ノズルの前方側からその後側へと入れられることにより前記静止モードの前記ノズルの下側外周面(例えば後述のノズルピース3cの下側外周面)を下支えして、前記操作部の前記作動モードへの移動を阻止する曲面状の中央凹み部と(例えば後述の中央凹み部1a)と、からなる、
構成態様のものを用いる。
【0017】
本発明は、以上の構成からなる内容物放出操作構造ならびにこの内容物放出操作構造を備えたエアゾール式製品およびポンプ式製品を対象としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上の構成をとることにより、
(11)誤動作防止用ストッパーが、内容物通路としてのノズルの前端側外周面の回りの前後方向スペースに前方の内容物放出口側から入れられていくので、側面カバーありの放出操作部に対しても誤動作を防止でき、内容物放出操作の誤動作防止技術の豊富化を図り、
(12)誤動作防止用ストッパーの全体が単純な対称形状(図2図3参照)に設定されるので、その金型加工,管理,輸送などでの効率化,簡単化を図る、
ことなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】トリガレバータイプの内容物放出操作構造に誤動作防止用ストッパーが取り付けられて内容物放出操作が不能なロックモードの断面を示す説明図である。
図2図1のロックモードの正面視を示す説明図である。
図3】誤動作防止用ストッパーを上カバーに取り付けて、L字状ノズルの前端側部分を下支え状態(=図1図2のロックモード)に設定する態様を示す説明図である。
図4】誤動作防止用ストッパーを上カバーから取り外してトリガレバーの回動操作が可能な静止モードを示す説明図である。
図5図4のトリガレバーを回動操作して内容物が外部空間域に放出される作動モードを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述したように、本発明の誤動作防止用ストッパーを用いる内容物放出操作構造はエアゾール式製品およびポンプ式製品の双方へ適用されえるものであるが、以下の記載では単なる説明の便宜上、必要に応じてエアゾール式製品を前提とする。
【0021】
図1図5を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0022】
なお、以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば中央凹み部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば誤動作防止用ストッパー1)の一部であることを示している。
【0023】
図1図5において、
1は図2および図3などで示すように左右のシンメトリー形状からなる誤動作防止用ストッパー,
1aは誤動作防止用ストッパー1の構成要素であって、自前後方向と直交する左右縦断面がU字形状でその内側に後述の横通路部3bおよびノズルピース3cの下外面部分を下支えする曲板状の中央凹み部(図2図3参照),
1bは中央凹み部1aの左右両側の連続部分であって、ロックモードのときそれぞれ後述の上カバー4aの傾斜面4bに個々に載置保持される平面状で左右一対のウイング状部,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
2は作動モード設定用の回動操作式の放出操作部としてのトリガレバー,
2aはトリガレバー前側部分を構成する縦方向の回動操作部,
2bはトリガレバー後側部分を構成する横方向の天板状部,
2cは回動操作部2aの上端側から天板状部2bの前端側にわたり連続形成されて後述のL字状ノズル3のノズルピース3cを外部空間域への露出状態に設定する切欠状部,
2dはトリガレバー2および後述の上カバー4aそれぞれの後端部分の間に弾性復帰態様で形成されてトリガレバー回動中心作用を呈する回動基部,
2eは後述のL字状ノズル3を回動可能な態様で保持する一対の前後方向側面,
2fは前後方向側面2eの対向部分にそれぞれ形成されて後述のノズル回動軸3dを保持する上円弧状態様の一対の上半円状凹部,
をそれぞれ示している。
【0025】
また、
3は後述のステム8の内容物流出側に取り付けられて、外部空間域への内容物放出通路部として作用するL字状ノズル,
3aはステム8に直結された縦通路部,
3bは縦通路部3aの上端部分から前方向に延びる横通路部,
3cは外部空間域への内容物放出口を有し、横通路部3bの前端部分に前記横通路部自体より上方向,左右方向などのそれぞれに大きな縦断面態様で形成された内容物放出作動用のノズルピース,
3dは縦通路部3aと横通路部3bとの境界上側外面部分に左右方向態様で形成されて、トリガレバー2の上半円状凹部2fそれぞれとの間で、移動可能な係合保持作用を呈する円柱状のノズル回動軸,
Sはトリガレバー2の切欠状部2cと、その中に配設されたL字状ノズル3のノズルピース3cとの間の前後方向に縦断面U字状の態様で設定されて、誤動作防止用ストッパー1の中央凹み部1aがL字状ノズル3の前方側から後方へと入れられる前後方向スペース,
それぞれ示している。
【0026】
また、
4はトリガレバー2およびL字状ノズル3などの保護作用を呈するカバー(上カバー4a+側面カバー4e),
4aは前開口で上面視U字状の上カバー,
4bは上カバー4aの前端側上部分に形成されてロックモードのとき誤動作防止用ストッパー1のウイング状部1bそれぞれの載置対象となる後下がりで一対の傾斜面,
4cは上カバー4aの後端側部分(回動基部2dの直後部分)に形成されて後述の天井端面4hと係合・一体化する垂下片部,
4dは垂下片部4cの後面部分に形成されて後述の天井端面4hと係合し、これにより上カバー4aと側面カバー4eとを一体化する上向きの外側段部,
4eは上カバー4aとの係合作用によりこれと一体化した前高・後低態様で上広がり円錐台状の側面カバー,
4fは側面カバー4eの高い方の前側上縁部分から下縦方向に形成されてトリガレバー2の移動域を確保する縦開口部,
4gは上カバー4aの垂下片部4cの部分を上方から下方に通過させて入れ込むための縦貫通態様のガイド部,
4hはガイド部4gの上端側周方向に形成され、カバーの上カバー4aの外側段部4dとの係合にともないカバー4(上カバー4a+側面カバー4e)を組み立てて一体化する天井端面,
4jは側面カバー4eの底面中央部に形成されて後述のステム8の上下動におけるガイド作用を呈する底面筒状部,
4kは側面カバー4eの下端側を構成して後述のマウンティングカップ6に嵌合保持される下端側筒状部,
をそれぞれ示している。
【0027】
また、
5は噴射対象としての内容物および噴射剤としての液化ガス,圧縮ガスなどを収容した周知のエアゾール容器,
6はエアゾール容器の上開口部に取り付けられた周知のマウンティングカップ,
7はマウンティングカップ6に嵌合固定された内容物貯留・通過用の周知のハウジング,
8は下側部分がハウジング7の内部に配設されてトリガレバー2の回動操作にともない上下動し、周知の弁作用を呈するステム,
をそれぞれ示している。
【0028】
ここで、誤動作防止用ストッパー1,トリガレバー2,L字状ノズル3,カバー4およびハウジング7は例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0029】
また、エアゾール容器5およびステム8はプラスチック製,金属製のものである。マウンティングカップ6は金属性のものである。
【0030】
図示の誤動作防止用ストッパーを用いた内容物放出操作構造の基本的特徴は、
(21)誤動作防止用ストッパー1として、上カバー4aの各傾斜面4bに載置される左右一対のウイング状部1bと、これらのウイング状部間の下方側に配設されて静止モード位置のL字状ノズル3を下支えし(図1図2参照)その作動モードへの移動を阻止する中央凹み部1aと、を備えたものを用い、
(22)この中央凹み部1aを、ノズルピース3cの外周面部分とその回りのトリガレバー2の切欠状部2cとの間の前後方向スペースSに、その前方から後方に入れ、かつ、ウイング状部1bを上カバー4aの上面側後方にそれぞれ移動させ(図3参照)、
(23)この移動後の誤動作防止用ストッパー1は、ノズルピース3cや横通路部3bの外周面下側部分を中央凹み部1aで下支えしえるとともに、左右一対のウイング状部1bがそれぞれ上カバー4aの傾斜面4bに保持され(図1図2参照)、
(24)この誤動作防止用ストッパー1が上カバー4aの傾斜面4bに保持されることにより、ステム8のいわば駆動源としてのL字状ノズル3はロックモードの被下支え位置から下方に移動しえない、すなわち弁作用を呈するステム8は作動モード位置に移動できない、
ことである。
【0031】
ここで、トリガレバー2およびL字状ノズル3は、上述したようにノズル回動軸3dが上半円状凹部2fにノズル当接してこれに倣いながら移動する態様で設定されている。
【0032】
図4の静止モードでは、トリガレバー2は回動操作されていず、L字状ノズル3のノズル回動軸3dが一対の上半円状凹部2fそれぞれの最上部分に当接している。なお、L字状ノズル3と一体のステム8は周知のコイルスプリング(図示省略)の弾性作用で上方向に付勢されている。
【0033】
静止モードのトリガレバー2を図示反時計方向に回動操作することにより、図5の作動モードに移行する。
【0034】
作動モードへの移行に際して、トリガレバー2はその回動基部2dを中心に図示反時計方向に回動し、L字状ノズル3が、ノズル回動軸3dの上半円状凹部2fとの当接部分をその最上部分から図示右側部分へとシフトさせながら全体として下方に移動する。
【0035】
L字状ノズル3の下方への移動にともない、内容物放出の弁作用を呈するステム8も下動して周知の弁作用部(図示省略)がそれまでの閉状態から開状態に移行する。これによりエアゾール容器5の内容物が「ハウジング7-ステム8-L字状ノズル3」を経て外部空間域に放出される。
【0036】
図示の誤動作防止用ストッパー1は、このL字状ノズル3が下方へ移動することを阻止するためのストッパーである。
【0037】
上述したように誤動作防止用ストッパー1は、左右一対のウイング状部1bおよびそれらの間の中央凹み部1aで形成されている。そして誤動作防止用ストッパー1の全体は単純な左右対称形状(図2図3参照)となっている。
【0038】
ウイング状部1bで誤動作防止用ストッパー1を上カバー4aに保持し、中央凹み部1aの内下側部分で、トリガレバー2およびこれと下方向に連動するL字状ノズル3(ノズルピース3c,横通路部3b)の前端側下外面部分を下支えしている。
【0039】
このように上カバー4aにいわば固定保持された状態の誤動作防止用ストッパー1でL字状ノズル3を下支えすることにより、利用者がトリガレバー2を回動操作しようとしてもノズル回動軸3dが下動しえないといった図1図2のロックモードに設定される。
【0040】
図3に示すように、誤動作防止用ストッパー1をトリガレバー2の切欠状部2cや上カバー4aの上面側に組み込んで取り付けるには、
(31)中央凹み部1aを、ノズルピース3cの外周面部分とその回りのトリガレバー2の切欠状部2cとの間の前後方向スペースSに、その前方から後方に入れ、
(32)かつ、ウイング状部1bを上カバー4aの上面側を後方に移動させればよい。
【0041】
この誤動作防止用ストッパー1の上カバー4aへの組込み後には、ウイング状部1bが上カバー4aの傾斜面4bに略当接保持された状態に設定される。
【0042】
誤動作防止用ストッパー1は、トリガレバー2やL字状ノズル3の前方から後方へと入れてセットされるので、図示のように側面カバー4eが設けられたタイプの内容物放出操作構造にも効果的に適用される。
【0043】
本発明の誤動作防止用ストッパーはトリガレバー以外の押下げ式などの内容物放出操作部の場合にも適用可能である。
【0044】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,栄養補助食品(ビタミンなど)医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0045】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0046】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0047】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0048】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0049】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0050】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0051】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0052】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0053】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0054】
1:誤動作防止用ストッパー
1a:中央凹み部
1b:一対のウイング状部
【0055】
2:トリガレバー
2a:回動操作部
2b:天板状部
2c:切欠状部
2d:回動基部
2e:一対の前後方向側面
2f:一対の上半円状凹部
【0056】
3:L字状ノズル
3a:縦通路部
3b:横通路部
3c:ノズルピース
3d:ノズル回動軸
S:前後方向スペース
【0057】
4:カバー(上カバー4a+側面カバー4e)
4a:上カバー
4b:一対の傾斜面
4c:垂下片部
4d:外側段部
4e:側面カバー
4f:縦開口部
4g:ガイド部
4h:天井端面
4j:底面筒状部
4k:下端側筒状部
【0058】
5:エアゾール容器
6:マウンティングカップ
7:ハウジング
8:ステム
図1
図2
図3
図4
図5