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特許7216956柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法
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  • 特許-柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法 図1
  • 特許-柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法 図2
  • 特許-柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法 図3
  • 特許-柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/20 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
E02D5/20 101
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019019354
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020125648
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000179915
【氏名又は名称】ジェコス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519043408
【氏名又は名称】株式会社篠原建機
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 孟
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 伸一
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-193460(JP,A)
【文献】特開2015-232224(JP,A)
【文献】特開2009-068331(JP,A)
【文献】特開2015-124478(JP,A)
【文献】特開昭62-215713(JP,A)
【文献】特開平11-256161(JP,A)
【文献】特開2002-167753(JP,A)
【文献】特開2009-235676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/00- 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上より注入したセメント系固化材を原位置土と攪拌・混合して地中に複数のソイルセメント柱列体をラップさせながら施工し、かつその中に芯材を建て込んでソイルセメント柱列壁を造成するソイルセメント柱列壁工法において、前記原位置土100重量部に対し前記セメント系固化材を20~70重量部配合し、かつ前記ソイルセメント柱列体の中に前記芯材を、振動機能を備えた杭打ち機が設置されたリーダに沿わせ、前記杭打ち機に設置されたチャッキング装置によって把持し、かつ前記杭打ち機によって振動を付与しながら圧入することを特徴とする振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法。
【請求項2】
請求項1記載の振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法において、2軸から5軸の撹拌ロッドを用いて、地上より注入したセメント系固化材を原位置土と攪拌・混合して地中に複数のソイルセメント柱列体をラップさせながら施工することを特徴とする振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法。
【請求項3】
請求項1または2記載の振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法において、前記セメント系固化材の一部または全部をマグネシア系固化材に置き換えて用いることを特徴とする振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法に関し、ソイルセメント柱列体の中にH形鋼などからなる芯材を圧入、または振動を付与しながら圧入することにより、芯材の設置を効率的に行えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図4(a)~(c)に図示するように、ソイルセメント柱列壁工法は、杭打機6に装着したオーガーモーター2に、例えば3軸の攪拌ロッド3を接続し、回転・圧入させながら攪拌ロッド3の先端からスラリー状のセメント系固化材を注入・噴射して、原位置土と強制的に攪拌・混合することにより、複数のソイルセメント柱列体aを一部ラップさせながら造成して地中に連続壁を形成する工法であり、地中止水壁や山留壁の施工で広く実施されている。
【0003】
また、ソイルセメント柱列体aの中には、通常、土圧や水圧に備えてH形鋼や鋼矢板、或はコンクリート二次製品などからなる芯材Bが挿入されている。
【0004】
また、セメント系固化材は水セメント比(W/C)が大きく、スラリー状に製造され、また、一般に原位置土に対して60~100%と大量に注入されるため、当該セメント系固化材と原位置土とを撹拌・混合することにより製造されるソイルセメントは、施工直後、非常に柔らかくほぼ泥状をなしている。
【0005】
また、芯材Bは、クレーン等で吊ってソイルセメント柱列体aの中に、単に吊り込むようにして容易に設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-235676号公報
【文献】特開2004-225361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
施工直後のソイルセメントが泥状をなしていることで、芯材Bは、ソイルセメント柱列体aの中にクレーン等で吊って容易に建て込むことはできるものの、産業廃棄物として処理される残土が大量に発生し、その処理に多大なコストがかかるという課題があった。また、セメント系固化材を大量に注入する必要があるため、きわめて不経済な施工になりやすいという課題もあった。
【0008】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、ソイルセメント柱列体の中にH形鋼などからなる芯材を容易に設置することができ、かつ産業廃棄物として処理される残土の排出量を低減できるようにした柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、セメント系固化材と原位置土とを攪拌・混合して地中にソイルセメント柱列体を施工し、その中にH形鋼などからなる芯材を圧入して地中連続壁を造成する柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法の発明であり、特にソイルセメントの水セメント比が小さく、ソイルセメントが少々固い場合であっても、ソイルセメント柱列体の中に芯材を圧入または振動を付与しながら圧入することにより、ソイルセメント柱列体の中に芯材をきわめて効率的に設置することができる。
【0010】
また、セメント系固化材は、原位置土100重量部に対して20~70重量部程度を配合するのが経済的で望ましく、また、産業廃棄物として処理される残土の排出量を低減することができる。
【0011】
また、セメント系固化材の一部または全部をマグネシア系固化材とすることにより、ソイルセメントの流動性を高めることができ、これにより固化材の水セメント比を小さくして残土の排出量をさらに低減することができる。マグネシア系固化材には、炭酸マグネシウムや酸化マグネシウム等を用いることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地上より注入されるセメント系固化材と原位置土を攪拌・混合して地中にソイルセメント柱列体を施工し、その中にH形鋼などからなる芯材を設置するソイルセメント柱列壁工法において、施工直後のソイルセメント柱列体の中に芯材を圧入、または振動を付与しながら圧入することにより、ソイルセメントが少々硬めでであっても芯材を容易に設置することができる。
【0013】
また、これによりセメント系固化材の注入量を少なくすることができるため、産業廃棄物として処理される残土の排出量を低減することができる。
【0014】
さらに、セメント系固化材の一部または全部をマグネシア系固化剤に置き換えることで、ソイルセメントの流動性を高められ、その分、固化材の水セメント比を小さくして残土の排出量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)~(e)は、ソイルセメント柱列壁の施工手順を示す説明図である。
図2図2(a)~(e)は、ソイルセメント柱列体の中に芯材を設置する施工手順を示す説明図である。
図3】ソイルセメント柱列体およびソイルセメント柱列壁の平面図である。
図4図4(a)~(c)は、ソイルセメント柱列壁工法の従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の柱状改良工法と芯材圧入及び振動圧入を用いたソイルセメント柱列壁工法は、ソイルセメント柱列壁の施工方法(図1(a)~(e))と芯材の設置方法(図2(a)~(e))の二つの施工方法からなる。
【0017】
以下、ソイルセメント柱列壁の施工方法(図1(a)~(e))と芯材の建て込み工法(図2(a)~(e))について説明する。
【0018】
(1)ソイルセメント柱列壁の施工
地盤上に立設されたリーダ1に据え付けられたオーガーモーター2に2軸から5軸の攪拌ロッド3を接続する。そして、オーガーモーター2によって攪拌ロッド3を回転させながら、かつ自重により地盤内に圧入させながら、攪拌ロッド3の先端からスラリー状のセメント系固化材を注入・噴射して、原位置土と攪拌・混合することによりソイルセメント柱列体aを施工する(図3参照)。
【0019】
ソイルセメント柱列体aは、所定長ラップさせながら複数施工することにより、複数のソイルセメント柱列体aからなるソイルセメント柱列壁Aを施工する(図3参照)。
【0020】
なお、セメント系固化材に炭酸マグネシウムを配合することにより、ソイルセメントの流動性を大幅に改善させることができ、これによりセメント系固化材の水セメント比を小さくすることができるため、産業廃棄物として排出される掘削残土の排出量を大幅に少なくすることができる。
【0021】
(2)芯材の設置
掘削および杭打ち用のベースマシン4のリーダ5に振動機能を備えた杭打ち機6を設置する。また、リーダ5に添わせて芯材Bを鉛直に建て付け、杭打ち機6に据え付けられたチャッキング装置(図省略)によって把持する。
【0022】
そして、芯材Bを杭打ち機6によって圧入、または振動を付与しながら圧入することにより、固化前のソイルセメント柱列体a内に等間隔に設置する。その際、地中に注入されるセメント系固化材に炭酸マグネシウムが配合されていることで、ソイルセメントの流動性がよく、このため芯材Bはソイルセメント柱列体a内に容易に建て込むことができる。なお、芯材BにはH形鋼や鋼矢板、或いはコンクリートの2次製品などを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ソイルセメント柱列体の中にH形鋼などからなる芯材を圧入、または振動を付与しながら圧入することにより、芯材の設置を容易に行うことができ、また、セメント固化材の注入量を少なくして産業廃棄物として処理される残土の排出量を低減することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 リーダ
2 オーガーモーター
3 攪拌ロッド
4 ベースマシン
5 リーダ
6 杭打ち機
A ソイルセメント柱列壁
B 芯材
a ソイルセメント柱列体
図1
図2
図3
図4