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特許7216969無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 37/00 20060101AFI20230126BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20230126BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20230126BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230126BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20230126BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B64C37/00
B64C13/18 Z
B64C27/08
B64C39/02
B64D27/24
B64D47/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021117288
(22)【出願日】2021-07-15
(62)【分割の表示】P 2020512977の分割
【原出願日】2018-04-10
(65)【公開番号】P2021165142
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】515100042
【氏名又は名称】株式会社ACSL
(73)【特許権者】
【識別番号】501054551
【氏名又は名称】株式会社NJS
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 賢司
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔介
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕亮
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-211878(JP,A)
【文献】特開2017-061298(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101491898(CN,A)
【文献】特開2006-051841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0369166(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107207087(CN,A)
【文献】中国実用新案第204507256(CN,U)
【文献】国際公開第2017/183219(WO,A1)
【文献】特開2017-136914(JP,A)
【文献】中国実用新案第205499350(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0012194(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0012136(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 37/00
B64C 13/18
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/24
B64D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の先行衝突部材と、第2の先行衝突部材と、
前記第1及び第2の先行衝突部材を離間して無人航空機の機体上方に保持し、機体内又は機体上の所定位置を中心に機体の側方側へと回動することにより機体に対して傾斜可能な保持部材であって、該第1及び第2の先行衝突部材の一方が境界面に衝突したことに応じて回動する保持部材と
を備え、
前記第1の先行衝突部材と前記第2の先行衝突部材とは、一つの前記保持部材上に、機体の幅方向に離間して直線上に位置しており、
前記保持部材は、前記第1及び第2の先行衝突部材の一方が境界面に衝突したことに応じて該境界面から働く力により回動し、機体の上昇に応じて該第1及び第2の先行衝突部材の両方を該境界面に接触させるよう構成された、
無人航空機の飛行制御機構、
、前記保持部材における前記側方側への回動の方向とは異なる方向で前後に離間して複数備え、
前記機体は、複数の前記飛行制御機構における前記保持部材の各々に対応して固定の保持部材用軸部を各々別個に有し、該保持部材の各々が、該機体に対し、自己に対応する該保持部材用軸部を回動軸として回動可能に取り付けられることにより、該保持部材の各々は互いに独立して回動可能であり、
各々の飛行制御機構における前記第1及び第2の先行衝突部材を前記境界面に接触させた状態で飛行することにより、該境界面に沿って飛行するよう構成された、
無人航空機。
【請求項2】
前記第1及び第2の先行衝突部材が回転部材であり、第1及び第2の該回転部材が前記境界面に接触した状態で前記無人航空機が飛行するときに該第1及び第2の回転部材が回転するよう構成された、
請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
少なくとも4つの回転翼と、
前記回転翼を駆動する駆動装置と、
前記駆動装置に前記回転翼を駆動させるための制御信号を生成する制御信号生成部と
を備えた、
請求項1に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記無人航空機は、前記少なくとも4つの回転翼として、左右に離間した2つの回転翼からなる回転翼の組を2組備え、
各々の組において、機体が傾斜していない状態で当該組に含まれる前記2つの回転翼の位置よりも下方に前記所定位置が位置するよう、該各々の組に対応して前記飛行制御機構を備えた、
請求項3に記載の無人航空機。
【請求項5】
前記制御信号が姿勢制御信号を含み、
前記姿勢制御信号により前記駆動装置に前記回転翼を駆動させ、前記無人航空機が傾斜した時に該回転翼の一部の回転数を減らすことにより該無人航空機の姿勢を制御するよう構成された、
請求項3又は4に記載の無人航空機。
【請求項6】
前記駆動装置が、各々の前記回転翼に各々が動力を与える複数のモータを備え、
各々の前記モータが、自己により動力を与えられる前記回転翼よりも重力ポテンシャルの高い位置において該回転翼に動力を与えるよう構成された、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項7】
推力発生プロペラを更に備え、
前記少なくとも4つの回転翼の回転により浮きつつ前記推力発生プロペラの回転により推進するよう構成された、
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項8】
撮影カメラを更に備え、
前記撮影カメラにより閉鎖性空間の内部で撮影をしつつ、前記回転翼を駆動して該閉鎖性空間の内部を飛行するよう構成された、
請求項3乃至7のいずれか一項に記載の無人航空機。
【請求項9】
進行方向撮影カメラと、進行方向撮影データ送信器とを更に備え、
前記進行方向撮影カメラにより進行方向を撮影し、得られた進行方向撮影データを前記進行方向撮影データ送信器から外部に送信しつつ飛行するよう構成された、
請求項8に記載の無人航空機。
【請求項10】
第1の先行衝突部材と、第2の先行衝突部材と、
前記第1及び第2の先行衝突部材を離間して無人航空機の機体上方に保持し、機体内又は機体上の所定位置を中心に機体の側方側へと回動することにより機体に対して傾斜可能な保持部材であって、該第1及び第2の先行衝突部材の一方が境界面に衝突したことに応じて該境界面から働く力により回動し、機体の上昇に応じて該第1及び第2の先行衝突部材の両方を該境界面に接触させる、保持部材と
を備え、
前記第1の先行衝突部材と前記第2の先行衝突部材とは、一つの前記保持部材上に、機体の幅方向に離間して直線上に位置している、
無人航空機の飛行制御機構
、前記保持部材における前記側方側への回動の方向とは異なる方向で前後に離間して複数備えた無人航空機であって、
前記機体は、複数の前記飛行制御機構における前記保持部材の各々に対応して固定の保持部材用軸部を各々別個に有し、該保持部材の各々が、該機体に対し、自己に対応する該保持部材用軸部を回動軸として回動可能に取り付けられることにより、該保持部材の各々は互いに独立して回動可能である、
無人航空機を、各々の飛行制御機構における前記第1及び第2の先行衝突部材を前記境界面に接触させた状態で飛行させることにより、該無人航空機を該境界面に沿って飛行させる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法に関する。より詳細には、本発明は、管状空間内部、矩形状空間内部等の閉鎖性空間内部を初めとして、何らかの境界面との衝突が起こり得る環境での無人航空機の飛行を制御するための飛行制御機構や、これを備えた無人航空機、及びこれらを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道管路の耐用年数はおよそ50年とされており、今後、耐用年数を迎える施設が飛躍的に増加すると想定されている。効率的な維持管理のためには、下水道管路状態の把握が不可欠である。
【0003】
従来、下水道管路状態の調査方法は、調査員が管内に潜行して直接目視により調査する方法、地上とケーブル接続されたテレビカメラを管内に配置して撮影する方法、地上とケーブル接続されたテレビカメラを自走式車両に搭載して管内に配置し、走行しつつ撮影する方法等が用いられていた。しかしながら、調査員の直接目視による方法においては、下水道管路内に有毒ガスが発生して人体に影響を及ぼす危険性や急な降雨時の浸水による危険性等、さまざまな問題があり、またテレビカメラを管内に配置する方法においても、十分な調査速度が得られなかったり、下水道管路内の水位が上昇した時に車両の制御が困難になったりする等の問題がある。
【0004】
また下水道管路に限らず、壁面や天井等、何らかの境界面との衝突が起こり得る環境で無人飛行機を飛行させるに際しては、当該境界面との衝突により無人航空機の制御可能性が損なわれたり、場合によっては機体に損傷が生じたりする恐れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-087917号公報(日本)
【文献】特開2017-226259号公報(日本)
【文献】特開2018-001967号公報(日本)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、境界面との衝突を制御することにより無人航空機の飛行を制御するための飛行制御機構、当該機構を備えた無人航空機、及びこれらを用いる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本発明は、第1の先行衝突部材と、第2の先行衝突部材と、第1及び第2の先行衝突部材を離間して無人航空機の機体上方に保持し、機体内又は機体上の所定位置を中心に機体の側方側へと回転することにより機体に対して傾斜可能な保持部材であって、第1及び第2の先行衝突部材の一方が境界面に衝突したことに応じて回転する保持部材とを備えた、無人航空機の飛行制御機構を提供する。
【0008】
上記保持部材は、第1及び第2の先行衝突部材の一方が境界面に衝突したことに応じて回転し、機体の上昇に応じて第1及び第2の先行衝突部材の両方を境界面に接触させるよう構成された飛行制御機構であってよい。
【0009】
上記飛行制御機構において、第1及び第2の先行衝突部材は回転部材であってよく、第1及び第2の回転部材が境界面に接触した状態で無人航空機が飛行するときに第1及び第2の回転部材が回転するよう、飛行制御機構を構成することができる。
【0010】
また本発明は、上記飛行制御機構を前後に離間して複数備え、各々の飛行制御機構における第1及び第2の先行衝突部材を境界面に接触させた状態で飛行することにより、境界面に沿って飛行するよう構成された無人航空機を提供する。
【0011】
上記無人航空機は、少なくとも4つの回転翼と、回転翼を駆動する駆動装置と、駆動装置に回転翼を駆動させるための制御信号を生成する制御信号生成部とを備えた無人航空機として構成することができる。
【0012】
上記無人航空機は、少なくとも4つの回転翼として、左右に離間した2つの回転翼からなる回転翼の組を2組備え、各々の組において、機体が傾斜していない状態で当組に含まれる2つの回転翼の位置よりも下方に所定位置が位置するよう、各々の組に対応して飛行制御機構を備えた、無人航空機であってよい。
【0013】
上記制御信号は姿勢制御信号を含んでよく、上記無人航空機は、姿勢制御信号により駆動装置に回転翼を駆動させ、無人航空機が傾斜した時に回転翼の一部の回転数を減らすことにより無人航空機の姿勢を制御するよう構成された無人航空機であってよい。
【0014】
上記無人航空機において、上記駆動装置は、各々の回転翼に各々が動力を与える複数のモータを備えていてよく、各々のモータは、自己により動力を与えられる回転翼よりも重力ポテンシャルの高い位置において回転翼に動力を与えるよう構成されていてよい。
【0015】
上記無人航空機は、推力発生プロペラを更に備えていてよく、少なくとも4つの回転翼の回転により浮きつつ推力発生プロペラの回転により推進するよう構成されていてよい。
【0016】
上記無人航空機は撮影カメラを更に備えていてよく、撮影カメラにより閉鎖性空間の内部で撮影をしつつ、回転翼を駆動して閉鎖性空間の内部を飛行するよう構成されていてよい。
【0017】
上記無人航空機は、進行方向撮影カメラと、進行方向撮影データ送信器とを更に備えていてよく、進行方向撮影カメラにより進行方向を撮影し、得られた進行方向撮影データを進行方向撮影データ送信器から外部に送信しつつ飛行するよう構成されていてよい。
【0018】
また本発明は、第1の先行衝突部材と、第2の先行衝突部材と、第1及び第2の先行衝突部材を離間して無人航空機の機体上方に保持し、機体内又は機体上の所定位置を中心に機体の側方側へと回転することにより機体に対して傾斜可能な保持部材であって、第1及び第2の先行衝突部材の一方が境界面に衝突したことに応じて回転し、機体の上昇に応じて第1及び第2の先行衝突部材の両方を境界面に接触させる、保持部材とを備えた、無人航空機の飛行制御機構を前後に離間して複数備えた無人航空機を、各々の飛行制御機構における第1及び第2の先行衝突部材を境界面に接触させた状態で飛行させることにより、無人航空機を境界面に沿って飛行させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従って無人航空機の飛行を制御することにより、境界面との衝突が起こり得る環境で無人航空機を飛行させる際の、衝突に伴う機体の損傷や制御可能性の低下などのリスクが少なくとも低減される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の一実施形態である無人航空機の斜視図。
図1B図1Aの無人航空機をzの正方向から見た図。
図1C図1Aの無人航空機をyの正方向から見た図。
図1D図1Aの無人航空機を進行方向の後方側から見た斜視図。
図1E図1Aの無人航空機をzの負方向側から見た斜視図。
図1F図1Aの無人航空機をzの負方向側、且つ図1Eとは異なる方向から見た斜視図。
図2】先行衝突部材(車輪、ローラー等の回転部材)を保持する保持部材と、保持部材が取り付けられる保持部材取付部材を示す図。
図3A】先行衝突部材を取り外した状態の保持部材を示す図。
図3B図3A中のAで示す矢印方向で見たときの保持部材、保持部材に取り付けられる先行衝突部材(車輪、ローラー等の回転部材)、及び先行衝突部材用軸部を示す図。
図4】車輪、ローラー等の回転部材以外の先行衝突部材を取り付けた保持部材を示す図。
図5A】保持部材が対応するロータの組よりも低い位置を中心に回転するよう機体に取り付けられた時の位置関係を示す図。
図5B図5Aに示す保持部材が機体に対して傾斜した時の位置関係を示す図。
図5C】飛行中に図5Bに示す傾斜が起こった時に各ロータに作用する力と、それに起因して生じる機体の回転方向を示す図。
図5D図5Cに示すロータへの力の作用により機体が傾斜した時の位置関係を示す図。
図5E図5A図5Dを用いて説明した機体の傾斜の原理を示す概念図。
図6A】保持部材が対応するロータの組よりも高い位置を中心に回転するよう機体に取り付けられた時の位置関係を示す図。
図6B図6Aに示す保持部材が機体に対して傾斜した時の位置関係を示す図。
図6C】飛行中に図6Bに示す傾斜が起こった時に各ロータに作用する力と、それに起因して生じる機体の回転方向を示す図。
図6D図6Cに示すロータへの力の作用により機体が傾斜した時の位置関係を示す図。
図6E図6A図6Dを用いて説明した機体の傾斜の原理を示す概念図。
図7A】比較例におけるロータとモータ部材の位置関係を示す斜視図。
図7B図7Aのロータとモータ部材をxの正方向から見た図。
図7C図7A中のモータ部材を図7B中のA-A面で切断した断面、及び各々のモータ部材を示す図。
図8】本実施形態におけるロータとモータ部材の位置関係を示す斜視図。
図9図1Aの無人航空機の機能構成を示すブロック図。
図10図1Aの無人航空機を飛行させることができる下水道管路施設の構造を示す図。
図11図10の下水道管路施設内の管状空間の内部を飛行する、図1Aの無人航空機を示す図。
図12A図11で示す飛行中に先行衝突部材が下水道管路の内壁に衝突する様子を示す図。
図12B図12Aに示す衝突に応じて保持部材が回転し、機体の上昇に応じて当該保持部材が保持する別の先行衝突部材も内壁に衝突する様子を示す図。
図12C図12Bに示す保持部材の傾斜後、機体が傾斜する様子を示す図。
図13A図11で示す飛行中に先行衝突部材が下水道管路の内壁に(図12Aで示す衝突位置とは異なる位置において)衝突する様子を示す図。
図13B図13Aに示す衝突に応じて保持部材が回転し、機体の上昇に応じて当該保持部材が保持する別の先行衝突部材も内壁に衝突する様子を示す図。
図14図1Aの無人航空機がx軸周りに回転(ロール回転)して傾斜した様子を示す図。
図15】前方カメラにより撮影される下水道管路内の画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態である無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法を、図面を参照しつつ説明する。ただし本発明による無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法が以下に説明する具体的態様に限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能であることに留意する。例えば、本発明に係る無人航空機は自律飛行型の無人航空機である必要はなく、無人航空機の機能構成も、図9に示されるものに限らず同様の動作が可能であれば任意であり、例えば通信部の機能を主演算部に統合する等、複数の構成要素が実行すべき動作を単独の構成要素により実行してもよいし、あるいは主演算部の機能を複数の演算部に分散する等、図示される単独の構成要素の実行すべき動作を複数の構成要素により実行してもよい。無人航空機の自律制御プログラムは、ハードディスクドライブ等の記録デバイスに記録されて主演算部により読み出されて実行されるものであってもよいし(図示される自律制御プログラムが複数のプログラムモジュールに分解されてもよいし、その他の任意のプログラムが主演算部等により実行されてもよい。)、マイコン等を用いた組み込み型のシステムによって同様の動作が実行されてもよい。以下の実施形態で示される全ての構成要素を本発明に係る無人航空機、無人航空機の飛行制御機構が備える必要はなく(例えば、図1B中のロータ13~16の制御により無人航空機の推進を制御する場合、推力発生プロペラ25を備える必要はないし、自律制御を行わずに完全に外部からの制御で無人航空機を飛行させるならば自律制御プログラムや各種データベースを備える必要もない。)、また示される方法ステップの全てを本発明に係る方法が備える必要もない。無人航空機を浮揚させるための回転翼も、図1B等で示されるような4つのロータ13~16に限らず4以上の任意の回転翼であってよい。推力を発生させるためのプロペラも、図1D等に示す推力発生プロペラ25に限らず任意のプロペラであってよい。また本発明に係る無人航空機の飛行制御機構は、回転翼機、固定翼機等、任意の無人航空機を制御するために用いることができるのであり、本発明に係る無人航空機も回転翼機に限られない。無人航空機の機体サイズも任意である。以下の実施例においては無人航空機が閉鎖性空間内を撮影飛行する一例を示すが、閉鎖性空間に限らず任意の環境で、そして任意の目的で本発明の無人航空機を飛行させることができるのであり、飛行制御機構も閉鎖性空間内に限らず任意の環境で使用可能である。なお、閉鎖性空間が完全に閉鎖されている必要はなく、少なくとも部分的に閉鎖された、無人航空機の飛行が少なくとも一部制約される空間であればよい。例えば、以下の実施形態に示すようにマンホールを介して外部と接続されている下水道管路内の管状空間も閉鎖性空間であるし、高速道路のトンネルも閉鎖性空間である。保持部材によって保持される先行衝突部材の数も2に限らず任意であるし、機体に取り付けられる飛行制御機構の数も任意である。なお、保持部材は、例えば金属、プラスチック等から形成することができるが、保持部材としての機能が発揮できるならば弾性体等、任意の材料から形成されたものであっても構わない。その他の部材や構成要素も、本発明の機能を発揮できるならば任意の材料からなるものであってよい。
【0022】
無人航空機の構成
図1Aから図1Fに、本発明の一実施形態である無人航空機の外観を示す。図1Aは斜視図であり、図1B図1Aのzの正方向から見た図であり、図1Cはyの正方向から見た図であり、図1Dは進行方向の後方側から見た斜視図であり、図1E図1F図1Aのzの負方向側(ただし互いに異なる方向)から見た斜視図である。無人航空機1は、一例においては口径400mm程度の閉鎖性空間内を飛行できるよう、全幅(図1A中、y方向の幅)約250mm、全長(図1A中、x方向の幅)約550mmのサイズで設計されており、本体部2(防水ケース3に収納されている。)と、本体部2からの制御信号により駆動する5つのモータ17~21(図9参照。)と、モータ17~20の各々の駆動により回転して無人航空機1を浮揚させる4つのロータ(回転翼)13~16と(ロータ13,16はzの正方向から見て時計回りに回転し、ロータ14,15はzの正方向から見て反時計回りに回転する等、隣り合うロータ同士は逆向きに回転する。)、モータ21の駆動により回転して無人航空機1の推力を発生させる推力発生プロペラ25と、調査カメラ22と、前方カメラ23と、超音波センサ24とを備えており、各構成要素はフレーム4を用いて統合されている。
【0023】
無人航空機1は更に、先行衝突部材(車輪、ローラー等の回転部材)5,6を離間して無人航空機1の機体上方(z軸の正方向)に保持し、機体内又は機体上の所定位置を中心に機体の側方側(yの正方向側、または負方向側。ただしy方向に完全に平行である必要はなく、x方向に対して交差する方向であればよい。)へと回転することにより機体に対して傾斜可能な保持部材9と、同様に先行衝突部材(車輪、ローラー等の回転部材)7,8を保持して同様に機体に対して傾斜可能な保持部材10とを前後(図1Aのxの正方向を前方とする。また図1Aのyの正方向を左方向とし、yの負方向を右方向とする。)に離間して備えている。保持部材9は、図1Eに示すとおり保持部材取付部材11によって防水ケース3に取り付けられており(図1E)、保持部材10も同様に、保持部材取付部材12によって防水ケース3に取り付けられている(図1F)。なお、機体に対して取り付ける保持部材の数は任意であり、例えば保持部材9、10のうち一方を取り外しても構わないし、機体の重心26付近に保持部材を1つのみ取り付けて用いてもよいし、あるいは保持部材を3以上取り付けて用いても構わない。なお、本実施例においては図1Aに示す無人航空機1の構成要素のうち、保持部9,10及びこれらにより保持される先行衝突部材5~8、そして先行衝突部材5~8が車輪、ローラー等の回転部材である場合には先行衝突部材用軸部5A~8Aや先行衝突部材取付部材9B-1,9B-2,10B-1,10B-2を除いたものを「機体」と称する。
【0024】
図2に、先行衝突部材5,6を保持する保持部材9と、保持部材9が取り付けられる保持部材取付部材11を示す。先行衝突部材7,8を保持する保持部材10と、保持部材10が取り付けられる保持部材取付部材12の構成も同様であってよい。図1E図1Fに示すとおり、保持部材取付部材11,12は防水ケース3に対して固定されている。保持部材9には孔9Aが設けられており、この孔9Aに保持部材取付部材11の保持部材用軸部11Aを挿入することにより(図1E参照。図2において保持部材用軸部11Aは紙面に沿って伸びているが、これが紙面垂直方向へと伸びている状態で、当該軸部11Aを孔9Aに挿入する。)、機体に保持部材9が取り付けられる。保持部材9は、保持部材用軸部11Aを回転軸(固定軸)として、孔9Aの位置を中心に機体の側方側へと回転することにより機体に対して傾斜することができる。保持部材9が保持部材取付部材11から離脱することを防止するためには、保持部材9を取り付けた後、保持部材用軸部11Aに対してさらに離脱防止用の部材(キャップ等)を嵌めるなどしてもよい。なお、ここにおける「回転」とは一方向側への回転に限らず双方向側(一例においては図1Aのy方向の正負方向側。)の回転であってよく、また360度の完全な回転でなくてもよい(以降の「回転」についても同様。)。図1Eに示すとおり、保持部材9は保持部材取付部材11によって防水ケース3に取り付けられつつ、図1Aに示すとおりフレーム4に設けられた孔から機体上方(zの正方向)へと露出しているが、孔の側方側の境界位置(回転停止位置4A,4B)において回転運動が阻止されるので、保持部材9の回転運動は所定の最大角度までの回転へと制限される。保持部材10についても、同様に保持部材取付部材12によって防水ケース3に取り付けられつつ、フレーム4に設けられた孔から機体上方(zの正方向)へと露出しており、孔の側方側の境界位置(回転停止位置4C,4D。図1D参照)において回転運動が阻止されるので、保持部材10の回転運動も所定の最大角度までの回転へと制限される(保持部材9,10の回転の最大角度はそれぞれ異なっていてよい。)。
【0025】
先行衝突部材5,6を取り外した状態の保持部材9を図3Aに示す。先行衝突部材7,8を取り外した状態の保持部材10も同様であってよい。保持部材9には先行衝突部材取付部材9B-1,9B-2が設けられている。図3A中のAで示す矢印方向で見たときの保持部材9、保持部材9に取り付けられる先行衝突部材5、及び先行衝突部材用軸部5Aを図3Bに示す。ここにおいては車輪、ローラー等の回転部材である先行衝突部材5は先行衝突部材用軸部5Aに固定されており、先行衝突部材用軸部5Aを保持部材9の先行衝突部材取付部材9B-1に設けられた孔9C-1に挿入する(図2に示すとおり貫通させてもよい。上述の孔9Aへの保持部材用軸部11Aの挿入においても同様)ことにより(図3Bにおいて先行衝突部材用軸部5Aは紙面に沿って伸びているが、これが紙面垂直方向へと伸びている状態で、当該軸部5Aを孔9C-1に挿入する。)、保持部材9により保持される。なお、ここでいう「保持」とは保持部材9に対して先行衝突部材5が完全に固定されていることを要求するものではなく、先行衝突部材5が保持部材9から完全に離脱して自由に移動することを防止していればよい(他の保持部材や他の先行衝突部材においても同様。)。図3Bの構成においては、先行衝突部材(回転部材)5と先行衝突部材用軸部5Aが一体となって、先行衝突部材用軸部5Aを回転軸として、保持部材9に保持された状態で回転することができる。先行衝突部材5が保持部材9から離脱することを防止するためには、先行衝突部材5を上記のとおり保持部材9に取り付けた後、先行衝突部材用軸部5Aに対してさらに離脱防止用の部材(キャップ等)を嵌めるなどしてもよい。保持部材9が先行衝突部材6を保持する態様や、保持部材10が先行衝突部材7,8を保持する態様も同様であってよい。
【0026】
なお、先行衝突部材5~8としては車輪、ローラー等の回転部材以外の部材を用いてもよい。一例として、保持部材に対して固定された先行衝突部材を用いる例を図4に示す。図4において、先行衝突部材5,6は保持部材9に対して固定された部材として構成されており、低摩擦プラスチック材等によって形成されている。このような構成の先行衝突部材、保持部材を用いても、後述するような無人航空機の飛行制御は可能である。ただし、車輪、ローラー等の回転部材を用いる場合とは異なり、先行衝突部材が境界面上を滑りながら(例えばそりのように)進行することになるため、先行衝突部材は境界面との間の摩擦が小さい素材により形成することが好ましい。保持部材10が先行衝突部材7,8を保持する態様においても同様であってよい。境界面と接触した状態で滑りながら進行することにより先行衝突部材5~8がすり減った場合は先行衝突部材5~8を新たなものへと交換するのが好ましい。
【0027】
調査カメラ22は、無人航空機1による閉鎖性空間の内部の飛行中に静止画、又は動画を撮影するためのカメラであり、一例においてはGoPro session(タジマモーターコーポレーション)等の市販カメラを用いることができる。前方カメラ23は、無人航空機1による閉鎖性空間の内部の飛行中に進行方向の静止画、又は動画を撮影するためのカメラであり、撮影された静止画又は動画のデータは随時外部装置(ディスプレイを備えたコンピュータ等)に送信され、操縦者はこれを確認しながら無人航空機1を操縦することができる。超音波センサ24は前方の障害物等を検出するためのセンサであり、無人航空機1による閉鎖性空間の内部の飛行中に進行方向へ超音波を発信し、反射波を受信することで障害物等との距離を測定することができる。調査カメラ22と前方カメラ23は、赤外線カメラや紫外線カメラ等のカメラであってもよい。
【0028】
保持部材9,10における、上述の回転中心位置は、機体が傾斜していない状態で各々の保持部材に対応するロータの組の位置よりも下方(図1Aのzの負方向)にあることが好ましい。以下、図5A図5Eを用いてその理由を説明する。なお、説明を簡略化する目的で、以降においては保持部材9(10)の回転中心位置とロータ13(15),14(16)の回転中心位置が同一平面(図1Aのyz平面)にある(図1Aのx座標が等しい)としたモデルを用いて説明する(図6A図6Eの比較例においても同様)が、そうでない場合でも基本的には同様の原理で動作を説明できる。
【0029】
機体が傾斜していない状態で保持部材が対応するロータの組よりも低い(図1Aのzの負方向側)位置を中心に回転可能に取り付けられた時の位置関係を図5Aに示す(図1Aのxの正方向から見ている。)。以下、保持部材9と、これに対応するロータ13,14の組とを用いて説明するが、保持部材10と、これに対応するロータ15,16の組においても同様の原理で動作を説明できる。以下では機体に対して傾斜していない状態での保持部材の中心線と、対応する組の2つのロータそれぞれの中心線と、の間のそれぞれの距離が等しい(図5A中、1(エル))ものとし、また保持部材9(10)の分岐箇所から両側の先行衝突部材5(7),6(8)までの距離も等しい(図5A中、d)とするが、それぞれの距離が等しくない場合でも、基本的には同様の原理で動作を説明できる。
【0030】
図5Bに示すとおり、何らかの理由により保持部材9が機体に対して側方側へと傾斜したとする。この状態でロータ13,14が回転を続けると、図5Cに矢印で示すとおりロータ13,14に対して力fが作用する(働く)。なお図5Cにおいては、説明の便宜上図5Bに示す構成全体を傾けて描いているが、保持部材9と機体との間の相対的な傾斜は図5Bの構成から変わらない。また、簡略化のためロータ13,14に働く力はそれぞれ等しいとしたが、回転数の違い等によりロータ13,14に作用する力が異なる場合でも、基本的には同様の原理で動作を説明できる。
【0031】
この時、ロータ14と保持部材9の中心線との「距離」(ロータ14の回転中心と保持部材9の中心線との間の、当該中心線に垂直な方向の距離)がbであるのに対し、ロータ13と保持部材9の中心線との「距離」(ロータ13の回転中心と保持部材9の中心線との間の、当該中心線に垂直な方向の距離)がaであり、bよりもaが大きいため(図5Aにおける保持部材9の回転中心である保持部材取付部材11上の位置から、ロータ13,14のそれぞれの回転中心までの距離、角度の大きさが等しいとした。そのような構成から外れた構成であっても、基本的には同様の原理で動作を説明できる。)、機体に対しては全体として図5C中のRで示す矢印方向に回転させようとする力(トルク)が働く。この力は、機体に対する保持部材9の傾斜を打ち消す方向に働く力であり、図5Dに示すとおり、保持部材9の傾斜と同様の方向に機体が傾斜することにより、保持部材9と機体との間の相対的な傾斜が少なくとも一部解消される。保持部材9とロータ13,14との位置関係を、保持部材9の取り付け位置(保持部材取付部材11の位置)も含めて概念的に描けば図5Eのようになり、上述の相対的傾斜が少なくとも一部解消される原理が理解できる。保持部材10においても、対応するロータ15,16の組の位置よりも低い(図1Aのzの負方向側)位置を中心に回転可能に取り付けることにより、保持部材10と機体との間の相対的傾斜を同様の原理で少なくとも一部解消することができる。
【0032】
次に比較例として、機体が傾斜していない状態で保持部材が対応するロータの組よりも高い(図1Aのzの正方向側)位置を中心に回転可能に取り付けられた時の位置関係を図6Aに示す(図1Aのxの正方向から見ている。)。以下、保持部材9と、これに対応するロータ13,14の組とを用いて説明するが、保持部材10と、これに対応するロータ15,16の組においても同様の原理で動作を説明できる。以下では機体に対して傾斜していない状態での保持部材の中心線と、対応する組の2つのロータそれぞれの中心線と、の間のそれぞれの距離が等しい(図6A中、1(エル))ものとするが、それぞれの距離が等しくない場合でも、基本的には同様の原理で動作を説明できる。
【0033】
図6Bに示すとおり、何らかの理由により保持部材9が機体に対して側方側へと傾斜したとする。この状態でロータ13,14が回転を続けると、図6Cに矢印で示すとおりロータ13,14に対して力fが作用する(働く)。なお図6Cにおいては、説明の便宜上図6Bに示す構成全体を傾けて描いているが、保持部材9と機体との間の相対的な傾斜は図6Bの構成から変わらない。また、簡略化のためロータ13,14に働く力はそれぞれ等しいとしたが、回転数の違い等によりロータ13,14に作用する力が異なる場合でも、基本的には同様の原理で動作を説明できる。
【0034】
この時、ロータ14と保持部材9の中心線との「距離」(ロータ14の回転中心と保持部材9の中心線との間の、当該中心線に垂直な方向の距離)がcであるのに対し、ロータ13と保持部材9の中心線との「距離」(ロータ13の回転中心と保持部材9の中心線との間の、当該中心線に垂直な方向の距離)がdであり、dよりもcが大きいため(図6Aにおける保持部材9の回転中心である保持部材取付部材11上の位置から、ロータ13,14のそれぞれの回転中心までの距離、角度の大きさが等しいとした。そのような構成から外れた構成であっても、基本的には同様の原理で動作を説明できる。)、機体に対しては全体として図6C中のRで示す矢印方向に回転させようとする力(トルク)が働く。この力は、機体に対する保持部材9の傾斜を増大させる方向に働く力であり、図6Dに示すとおり、保持部材9の傾斜と逆の方向に機体が傾斜することにより、保持部材9と機体との間の相対的な傾斜が増大する。保持部材9とロータ13,14との位置関係を、保持部材9の取り付け位置(保持部材取付部材11の位置)も含めて概念的に描けば図6Eのようになり、上述の相対的傾斜が増大する原理が理解できる。保持部材10においても、対応するロータ15,16の組の位置よりも高い(図1Aのzの正方向側)位置を中心に回転可能に機体に取り付けることにより、保持部材10と機体との間の相対的傾斜が同様の原理で増大する。相対的傾斜を解消するためには図5Aに対応する構成を採ることが好ましいが、本発明は図6Aに対応する構成を採っても実施可能であることに留意すべきである。
【0035】
図1Cに示すとおり、モータ17,19はそれぞれロータ13,15の上に位置して(重力ポテンシャルの高い位置において)、ロータ13,15をそれぞれ駆動するよう構成されている。モータ18,20(図9参照。)も、同様にそれぞれロータ14,16の上に位置してこれらロータをそれぞれ駆動するよう構成されている。このような構成を採る利点を、図7A図7Cに示す、モータがロータの下に位置する比較例と比較しつつ説明する。ただし、本発明に係る無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法は当該比較例のようなロータとモータの位置関係を採っても実施可能であることに留意する。
【0036】
図7Aは比較例におけるロータとモータ部材の位置関係を示す斜視図であり、図7B図7Aのロータとモータ部材を図7A中のxの正方向から見た図であり、図7C図7A中のモータ部材を図7B中のA-A面で切断した断面、及び各々のモータ部材を示す図である。ロータ13,14,15,16はモータ部材27Aの棒状突起部(図7C参照。)に固定され(図7B参照。)、棒状突起部を回転軸として回転する。ロータ13,14,15,16は、回転することにより図7A中の矢印方向(zの正方向)に力を受け、モータ部材27Aを同方向に引っ張る。図7Cに示すとおり、モータ部材27Aとモータ部材27Bとは互いに嵌め合わされており、両者が接着されているわけではない。したがって、モータ部材27Aがzの正方向に引っ張られた場合、モータ部材27Bから脱離する恐れがある。この脱離を防止するため、比較例の構成においては留め具としてモータ部材27Cが用いられる(図7B図7C参照。)。図7Cに示すとおり、モータ部材27Aに設けられた溝部27A-1に(モータ部材27Aとモータ部材27Bとを嵌め合せた後に)モータ部材27Cを嵌めることで、モータ部材27Aがモータ部材27Bから脱離することを防止できるが、モータのメンテナンスの際にはモータ部材27Cを外す必要がある。
【0037】
本実施形態におけるロータとモータ部材の位置関係を、図8の斜視図に示す。ロータ13,14,15,16がモータ部材27A,27Bの下に位置している点と、モータ部材27Cを用いていない点とが比較例と異なり、それ以外の構成は比較例と同様である。ロータ13,14,15,16はモータ部材27Aの棒状突起部(図7C参照。)に固定され(図7B参照。)、棒状突起部を回転軸として回転する。ロータ13,14,15,16は、回転することにより図8中の矢印方向(zの正方向)に力を受け、モータ部材27Aを同方向に押す。これによりモータ部材27Aはモータ部材27Bに押し付けられるため、モータ部材27Aがモータ部材27Bから脱離することを防止する必要はない。したがって図8の構成においてはモータ部材27Cが不要となり、モータのメンテナンスが容易となる。
【0038】
図9は、図1Aの無人航空機の機能構成を示すブロック図である。無人航空機1の本体部2は、プロセッサ、一時メモリ等から構成されて各種演算を行う主演算部28aと、主演算部28aによる演算で得られた制御指令値データをパルス信号(PWM:Pulse Width Modulation信号)に変換する等の処理を担う、プロセッサ、一時メモリ等から構成される信号変換部28bと(主演算部28a、信号変換部28bを含む演算部を制御信号生成部29と称する。)、制御信号生成部29により生成されたパルス信号をモータ17~21への駆動電流へと変換するスピードコントローラ(ESC:Electric Speed Controller)30~34と、外部との各種データ信号の送受信を担う通信アンテナ35及び通信部(プロセッサ、一時メモリ等から構成される)36と、GPS(Global Positioning System)センサ、姿勢センサ、高度センサ、方位センサ等の各種センサを含むセンサ部37と、自律飛行プログラム38a、各種データベース38b等を記録するハードディスクドライブ等の記録デバイスから構成される記録装置39と、リチウムポリマーバッテリやリチウムイオンバッテリ等のバッテリデバイスや各要素への配電系を含む電源系40とを備えている。
【0039】
その他に、無人航空機1は機能用途に応じて任意の機能部、情報等を備えていてよい。一例として、無人航空機1が飛行計画に従って自律飛行する場合には、飛行の開始位置、目的位置、開始位置から出発して目的位置に到達するまでに経由すべきチェックポイント位置(緯度、経度、高度)の集合である飛行計画経路や、速度制限、高度制限等、飛行中に従うべき何らかの規則である飛行計画を示すデータである飛行計画情報が記録装置39に記録され、主演算部28aが飛行計画情報を読み込んで自律制御プログラム38aを実行することにより、飛行計画に従って無人航空機1が飛行する。具体的には、センサ部37の各種センサから得られる情報により無人航空機1の現在位置、速度等を決定し、飛行計画で定められた飛行計画経路、速度制限、高度制限等の目標値と比較することにより主演算部28aでロータ13~16、推力発生プロペラ25に対する制御指令値を演算し、制御指令値を示すデータを信号変換部28bでパルス信号に変換して(制御信号の生成)スピードコントローラ30~34に送信し、スピードコントローラ30~34がそれぞれパルス信号を駆動電流へと変換してモータ17~21にそれぞれ出力し、モータ17~21の駆動を制御してロータ13~16,推力発生プロペラ25の回転速度等を制御することにより無人航空機1の飛行が制御される。一例として、無人航空機1の高度を上げる制御指令に対してはロータ13~16の回転数が増加し(高度を下げる場合には減少)、無人航空機1を前進方向(図1Aのxの正方向)に加速する制御指令に対しては推力発生プロペラ25の回転数が増加し(減速の場合には減少)、無人航空機1に図1Aのx軸周りのロール回転(xの正方向から見て反時計回り)による傾斜をさせる制御指令に対しては、ロータ14,16の回転数を減らしてロータ13,15の回転数を維持する等の制御が行われる。なお、無人航空機1の前進方向の加速(減速)は、ロータ13,14の回転数を減らしてロータ15,16の回転数を増やす(減速であれば逆の制御)等、ロータ13~16の回転数を制御することでも可能であり、推力発生プロペラ25を用いずに無人航空機1を飛行させることも可能である。なお、ロータ13~16の回転数を全て等しくして(4つのロータ13~16全ての回転数を等しく増減させるのみの制御を行う)無人航空機1を浮揚、着陸(あるいは着水)させ、推力発生プロペラ25の回転数を制御することにより前進方向(図1Aのxの正方向)の速度を制御する等、単純化された制御も可能である。無人航空機1が実際に飛行した飛行経路(各時刻における無人航空機1の機体位置等)や各種センサデータ等の飛行記録情報は、飛行中に随時各種データベース38bに記録される。
【0040】
自律飛行型無人航空機の一例としては、ミニサーベイヤーACSL-PF1(株式会社自律制御システム研究所)、Snap(Vantage Robotics社)、AR.Drone2.0(Parrot社)、Bebop Drone(Parrot社)等が市販されている。
【0041】
なお、無人航空機1が外部からの制御で飛行する場合、無人航空機1は、操縦者のコントローラ装置等から受信される、制御指令値を示すデータを通信アンテナ35及び通信部36により受信し、このデータを信号変換部28bでパルス信号に変換して(制御信号の生成)、以下同様に、スピードコントローラ30~34、モータ17~21を用いてロータ13~16、推力発生プロペラ25の回転速度を制御して飛行制御を行う。この場合であっても、センサ部37の各種センサ中、姿勢センサ(ジャイロセンサ、磁気センサ)から得られる無人航空機1の姿勢情報を示すデータを主演算部28aが読み込んで自律制御プログラム38aを実行することにより、姿勢センサからのデータと姿勢の目標値を比較する等して姿勢制御の指令値を演算して姿勢制御を行う等(この場合、外部コントローラ装置等から受信された制御指令値を示すデータと、姿勢制御の指令値を示すデータとから、主演算部28aが自律制御プログラム38aを実行することにより最終的な制御指令値を演算する。制御指令値を示すデータを信号変換部28bでパルス信号に変換することで、姿勢制御信号を含む制御信号が生成される。)、部分的な自律制御と外部からの制御とを組み合わせることもできる。以下に説明する撮影飛行において無人航空機1は基本的に外部コントローラ装置等からの制御信号により飛行し、姿勢のみが自律制御されるものとするが、完全自律制御飛行や完全外部制御飛行をする無人航空機1によっても同様の撮影飛行が可能である。
【0042】
無人航空機による閉鎖性空間内部での撮影飛行
以下、無人航空機1による閉鎖性空間内部での撮影飛行の一例として、下水道管路内の撮影飛行を図10から図14を用いて説明する。ただし、既に述べたとおり本発明の無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法の用途がそのような撮影飛行に限られるわけではなく、任意の環境で、そして任意の目的で、本発明の無人航空機、無人航空機の飛行制御機構、及びこれらを用いる方法を用いることができる。
【0043】
図1Aの無人航空機を飛行させることができる下水道管路施設の構造を図10に示す。地表面41に設けられたマンホール42aは下水道管路43に通じており、下水道管路43を図5中の右方向に進むことで別のマンホール42bに到達する(図10中では下水道管路43が途中の2箇所で切断されて描かれているが、これは便宜上の表現であり実際には図示されるよりも長い連続した下水道管路43として形成されている。)。下水道管路43の内壁44により閉鎖性空間の境界面が規定されており、また下水道管路43内には図10中の右方向、所定距離ごとに接続部45が存在する。
【0044】
無人航空機1により下水道管路43の撮影飛行を行うにあたり、まずは無人航空機1をマンホール42aに進入させて下水道管路43の深さまで降下させる。一例においては、マンホール42a,42bの深さと同程度の長さを有するポールの先端に保持台を設け、保持台に無人航空機1を載せてポールをマンホール42aに差し込むことにより無人航空機1を降下させる。自律飛行型の無人航空機1を用いる場合、あらかじめ飛行計画経路としてマンホール42aの位置や下水道管路43の深さ等を記録装置39に記録しておき、主演算部28aが飛行計画経路のデータを含む飛行計画情報を読み込んで自律制御プログラム38aを実行することにより無人航空機1を自律飛行させて下水道管路43の一端(図10中、下水道管路43における左側の端。以下、撮影飛行の開始位置S。)に導いてもよいし、あるいは外部コントローラ装置から無人航空機1に制御信号を送信して操縦することにより無人航空機1を撮影飛行の開始位置Sに導いてもよい。
【0045】
無人航空機1は、撮影飛行の開始位置から図10中の右方向に向かって(当該方向を図1A中のxの正方向、すなわち進行方向として)撮影飛行を開始する(図11)。外部コントローラからの操縦者によるマニュアル制御の場合、無人航空機1は前進を指示する制御信号を受信して進行方向に飛行しつつ、調査カメラ22と前方カメラ23により下水道管路43内で静止画又は動画を撮影する。なお、下水道管路43内には通常は水46が存在し、その水位は随時変動しているが、ロータ13~16の回転に伴う水面効果により浮揚力を得ることも可能である(水46がない場合でも、内壁44から同様の効果を得ることは可能。)。
【0046】
調査カメラ22により撮影された静止画又は動画のデータは調査カメラ22の内蔵メモリに記録され、前方カメラ23により撮影された静止画又は動画のデータは、前方カメラ23の内蔵メモリに記録された上で通信部36により通信アンテナ35から操縦者の外部コンピュータに随時送信される。操縦者は、受信したデータを用いて外部コンピュータの備えるディスプレイに前方カメラ23の撮影した静止画又は動画を表示し、これを確認しながら外部コントローラによる無人航空機1の操縦を行う(外部コントローラと通信アンテナ35との間の通信品質が充分でない場合は、予め下水道管路43内に無線中継局を設置する等しておくことが好ましい。GPS信号の受信も、同様に無線中継局等を介して行うことができる。)。一例においては、表示された静止画又は動画に映っている接続部45を目印として、無人航空機1の進行した距離を把握しつつ操縦を行う。
【0047】
撮影飛行中、外部コントローラによるマニュアル制御の精度上の問題や、姿勢の自律制御の精度上の問題等、何らかの理由により無人航空機1が過度に上昇して下水道管路43の内壁44に衝突することがある。このときの様子を図12Aに示す。下水道管路43と内壁44との境界面47に、無人航空機1の保持部材9により保持される先行衝突部材6(車輪、ローラー等の回転部材とする。)が接触しており、先行衝突部材6に対しては図12A中にFで示す矢印方向の力が内壁44から働く。この力は、図12A中にRで示す矢印方向に保持部材9を(保持部材用軸部11Aを固定の回転軸として)回転させる力として作用する。
【0048】
保持部材9が上記のとおり回転し、機体が更に上昇すると、図12Bに示すとおり、保持部材9により保持される回転部材5,6の両方が境界面47に接触する。保持部材10により保持される回転部材7,8も同様の原理で境界面47に接触する(境界面の形状によっては、一部の回転部材が境界面47に接触しないこともある。)。ここで、機体が傾斜していない状態で保持部材9が対応するロータの組13,14よりも低い(図1Aのzの負方向側)位置を中心に回転可能に取り付けられており、同じく機体が傾斜していない状態で保持部材10が対応するロータの組15,16よりも低い(図1Aのzの負方向側)位置を中心に回転可能に取り付けられているとすると、図5A図5Eを用いて説明したとおり、機体が保持部材9,10の傾斜と同様の方向に傾斜する(図12C)。この状態で、例えば無人航空機1を図12C中のx方向に飛行させれば(本明細書における「飛行」とは、このように無人航空機の構成要素が境界面に接触した状態で当該無人航空機が浮きつつ移動することも含む。)、回転部材5~8のうち境界面47に接触している回転部材が回転しつつ(図3B参照)、無人航空機1が境界面47に沿って飛行することとなる。ただし、図12Cに示すように機体を傾けることは必須ではなく、機体が傾かない状態でも無人航空機1が境界面47に沿って飛行することは可能であるし、或いは、図6A図6Eを用いて説明したとおり機体が逆方向に傾いたとしても、無人航空機1は境界面47に沿って飛行することができる。先行衝突部材5~8が車輪、ローラー等の回転部材ではなく、例えば図4を用いて説明したとおり保持部材に対して固定された部材であれば、先行衝突部材5~8のうち境界面47に接触している部材が滑りながら、無人航空機1が境界面47に沿って飛行することとなる。
【0049】
なお、図12A図12Cの例においては、先行衝突部材が衝突する領域で境界面47が一方向に傾いていることを仮定して説明を行ったが、境界面47上の平らな領域や、双方向に対称に傾斜した領域等に先行衝突部材が衝突したとしても、基本的には同様の原理で無人航空機1を境界面47に沿って飛行させることができる。一例として、図13Aに示す境界面47上の領域に先行衝突部材5が接触した時には、先行衝突部材5に対して図13A中のFで示す矢印方向に内壁44から力が働き、図13A中のRで示す矢印方向に保持部材9が回転し、機体が更に上昇すると、図13Bに示すとおり、保持部材9により保持される先行衝突部材5,6の両方が境界面47に接触する。保持部材10により保持される先行衝突部材7,8も同様の原理で境界面47に接触する(境界面の形状によっては、一部の回転部材が境界面47に接触しないこともある。)。以降、同様の原理で無人航空機1は境界面47に沿って飛行することができる。先行衝突部材が車輪、ローラー等の回転部材であれば、境界面47に接触した回転部材を回転させながら無人航空機1は境界面47に沿って飛行し、図4を用いて説明した部材であれば、境界面47上で当該部材を滑らせつつ、無人航空機1は境界面47に沿って飛行する。
【0050】
なお、上述のとおり先行衝突部材が境界面47に衝突した場合に加えて、それ以外の場合においても、撮影飛行中、マニュアル制御や姿勢の自律制御の精度の問題等、何らかの理由により無人航空機1が傾斜することがある。一例として、無人航空機1が図1Aのx軸周りに回転(ロール回転)して傾斜した様子を図14に示す。先行衝突部材が境界面47に接触していない場合等に、機体の姿勢を水平へと回復させるためには、ロータ13,15の回転数を増やすことにより機体の低い側(yの正方向側)を上昇させることが考えられるが、この場合には機体が上昇して無人航空機1が内壁44上面に衝突する恐れがある。図12A図13Bを用いて説明したとおり、無人航空機1を内壁44との境界面47に沿って飛行させるならば特段衝突を防止する必要はないが、境界面47への接触を避けつつ無人航空機1を飛行させたい場合には、ロータ14,16の回転数を減らすことにより機体の高い側(yの負方向側)を下降させて姿勢を水平へと回復させることが好ましい。このような姿勢制御は、典型的には上述のとおり姿勢センサから得られる無人航空機1の姿勢情報を示すデータを主演算部28aが読み込んで自律制御プログラム38aを実行することにより行われるが、外部コントローラ装置から姿勢の制御指令値を示す制御信号(図14の傾斜とは逆方向のロール回転を指示する姿勢制御信号を含む制御信号)を送信し、当該制御信号を無人航空機1が受信し、主演算部28aで自律制御プログラム38aを実行することにより行ってもよい。y軸周り(ピッチ)、z軸周り(ヨー)の回転等、任意の回転による無人航空機1の傾斜に対しても、同様に一部のロータの回転数を減らすことにより姿勢を回復させることができる。
【0051】
無人航空機1が下水道管路43の他端(図10中、下水道管路43における右側の端。以下、撮影飛行の終了位置G。)に到達することで撮影飛行は終了する。先端に保持台を設けたポールをマンホール42bに差し込み、保持台に無人航空機1を載せて引き揚げる等して無人航空機1を回収する。撮影飛行の開始位置Sへの導入と同様に自律飛行により無人航空機1を終了位置Gから引き揚げてもよい。回収された無人航空機1から調査カメラ22を取り外し、そのメモリに記録された静止画、又は動画を見ることにより、下水道管路43や内壁44等の状態を確認することができる。
【0052】
図15に、前方カメラで撮影される下水道管路内の画像の一例を示す。前方カメラ23を搭載した無人航空機1の撮影飛行により同様の画像が得られると考えられる。操縦者は、図15に示すような前方カメラ23が撮影した一人称視点での静止画、又は動画を見ながら外部コントローラ装置により無人航空機1を操縦することができる。撮影飛行後、回収された無人航空機1から調査カメラ22を取り外して、メモリに記録された静止画、又は動画を見ることにより、内壁44のクラックや接続部45におけるパッキンのずれ等、下水道管路43の状態を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、上水道管路内、下水道管路内、排水路内、高速道路のトンネル内、高速道路の排水管内、洞道内、ダクト内、パイプシャフト内、ガス管路内等、任意の閉鎖性空間における撮影調査に利用することができる。また閉鎖性空間に限らず任意の空間において任意の目的で無人航空機を飛行させる際にも利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 無人航空機
2 本体部
3 防水ケース
4 フレーム
4A~4D 回転停止位置
5~8 先行衝突部材
5A~8A 先行衝突部材用軸部
9,10 保持部材
9A,10A 孔
9B-1,9B-2,10B-1,10B-2
先行衝突部材取付部材
9C-1,9C-2,10C-1,10C-2

11,12 保持部材取付部材
11A,12A 保持部材用軸部
13~16 ロータ
17~21 モータ
22 調査カメラ
23 前方カメラ
24 超音波センサ
25 推力発生プロペラ
26 重心
27A モータ部材
27B モータ部材
27C モータ部材
27A-1 溝
28A 主演算部
28b 信号変換部
29 制御信号生成部
30~34 スピードコントローラ
35 通信アンテナ
36 通信部
37 各種センサ
38a 自律制御プログラム
38b 各種データベース
39 記録装置
40 電源系
41 地表面
42a,42b マンホール
43 下水道管路
44 内壁
45 接続部
46 水
47 境界面
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14
図15