(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成表示システム及び画像生成方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20230126BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20230126BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20230126BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G05B23/02 301Y
G05B19/18 X
G06F30/10
G06T1/00 315
(21)【出願番号】P 2018158171
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】514085056
【氏名又は名称】有限会社藤川樹脂
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】藤川 勝也
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-107043(JP,A)
【文献】特開2003-295939(JP,A)
【文献】特開2012-168799(JP,A)
【文献】特開2018-97494(JP,A)
【文献】特開2018-92428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/18
G06F 30/10
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を含む機械装置に配設される複数の異常センサーに接続する通信手段と、該通信手段に接続する処理手段と、該処理手段に接続する記憶手段とを備え、
前記記憶手段は、前記各異常センサーが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶し、
前記処理手段は、前記通信手段が前記異常信号を受信する際、前記行列データに基づき当該異常信号と関係する前記異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定するとともに、前記異常部品CADデータに基づく異常部品三次元モデル画像を生成し、
前記異常部品三次元モデル画像と、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータに基づく正常部品三次元モデル画像とが重ね合わされた複合三次元モデル画像を生成し、
前記複合三次元モデル画像から切断三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記ネットワークデータベースは、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納し、
前記処理手段は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記三次元CADデータに基づき、前記各部品のうち任意に範囲が指定される一又は複数の三次元領域の表示及び非表示を選択して前記異常部品三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
複数の部品を含む機械装置に配設された複数の異常センサー、該複数の異常センサーに接続する通信手段、該通信手段に接続する処理手段及び該処理手段に接続する記憶手段を備える画像生成サーバ装置と、前記通信手段に通信回線を介して接続され、かつ、端末表示処理手段を備える外部端末装置とを含む画像生成表示システムであって、
前記記憶手段は、前記各異常センサーが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶し、
前記処理手段は、前記通信手段が前記異常信号を受信する際、前記行列データに基づき当該異常信号と関係する前記異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定するとともに、前記異常部品CADデータに基づく異常部品三次元モデル画像を生成し、
前記異常部品三次元モデル画像と、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータに基づく正常部品三次元モデル画像とが重ね合わされた複合三次元モデル画像を生成し、
前記複合三次元モデル画像から切断三次元モデル画像を生成し、
前記端末表示処理手段は、前記外部端末装置が前記画像生成サーバ装置から受信する前記異常部品三次元モデル画像を表示する
ことを特徴とする画像生成表示システム。
【請求項5】
前記ネットワークデータベースは、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納し、
前記処理手段は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像生成
システム。
【請求項6】
前記三次元CADデータに基づき、前記各部品のうち任意に範囲が指定される一又は複数の三次元領域の表示及び非表示を選択して前記異常部品三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の画像生成表示システム。
【請求項7】
画像生成装置が備える記憶手段が、複数の部品を含む機械装置に配設された複数の異常センサーが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶するデータベース記憶工程と、
前記画像生成装置が備える通信手段が、前記異常センサーから前記異常信号を受信する異常信号受信工程と、
前記記憶手段及び前記通信手段に接続する処理手段が、前記行列データに基づき当該異常信号と関係する前記異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定するとともに、前記異常部品CADデータに基づく異常部品三次元モデル画像を生成する異常部品三次元モデル画像生成工程と、
前記異常部品三次元モデル画像と、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータに基づく正常部品三次元モデル画像とが重ね合わされた複合三次元モデル画像を生成する複合三次元モデル画像生成工程と、
前記複合三次元モデル画像から切断三次元モデル画像を生成する切断三次元モデル画像生成工程とを含む
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項8】
前記データベース記憶工程は、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースを記憶する工程を含み、
前記異常部品三次元モデル画像生成工程は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成する工程を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の画像生成方法。
【請求項9】
前記各部品のうち一又は複数の三次元領域の範囲を任意に指定する範囲指定工程と、前記指定された範囲の表示及び非表示を選択する表示非表示選択工程とを含む
ことを特徴とする請求項7または8に記載の画像生成方法。
【請求項10】
複数の部品を含む機械装置と、
該機械装置に配設される複数の監視センサーと、
該監視センサーに接続する通信手段、人工知能を有するとともに、前記通信手段に接続する処理手段及び該処理手段に接続するとともに、前記機械装置の稼働情報を時刻とともにログデータにより格納するログデータベースを記憶する記憶手段を有する画像生成装置とを備え、
前記各監視センサーは、前記機械装置の異常稼働状態を検知する時に異常信号を発し、
前記稼働情報は、前記機械装置を稼働させる稼働回ごとの前記機械装置を操作するオペレーターの識別情報と、前記各監視センサーが発する前記機械装置の稼働状態を表す稼働状態情報と、前記異常信号を含む異常稼働状態情報とを含み、
前記処理手段は、前記人工知能を学習させ、かつ、該学習によって得られる学習モデルに基づいて、前記異常信号が発生するまでの残り時間を推定するとともに、当該発生が推定される異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像を生成し、
前記異常部品三次元モデル画像と、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータに基づく正常部品三次元モデル画像とが重ね合わされた複合三次元モデル画像を生成し、
前記複合三次元モデル画像から切断三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする画像生成表示システム。
【請求項11】
複数の部品を含む機械装置と、
該機械装置に配設される複数の監視センサーと、
該監視センサーに接続する通信手段、多層式のニューラルネットを学習させるニューラルネット学習部を有するとともに前記通信手段に接続する処理手段、ならびに、該処理手段に接続するとともに、前記機械装置の稼働情報を時刻と共にログデータにより格納するログデータベース及び前記ニューラルネットを記憶する記憶手段を有する画像生成装置とを備え、
前記各監視センサーは、前記機械装置の異常稼働状態を検知する時に異常信号を発し、
前記稼働情報は、前記機械装置を稼働させる稼働回ごとの前記機械装置を操作するオペレーターの識別情報と、前記各監視センサーが発する前記機械装置の稼働状態を表す稼働
状態情報と、前記異常信号を含む異常稼働状態情報とを含み、
前記処理手段は、前記ニューラルネットに基づいて、前記異常信号が発生するまでの残り時間を推定するとともに、当該発生が推定される異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像を生成し、
前記記憶手段は、前記異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶し、
前記処理手段は、前記行列データに基づき前記発生が推定される異常信号と関係する異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定し、
前記異常部品三次元モデル画像は、前記異常部品CADデータに基づき、
前記ネットワークデータベースは、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納し、
前記処理手段は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成し、
前記異常部品三次元モデル画像と、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータに基づく正常部品三次元モデル画像とが重ね合わされた複合三次元モデル画像を生成し、
前記複合三次元モデル画像から切断三次元モデル画像を生成する
ことを特徴とする画像生成表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元モデル画像を生成する画像生成装置、画像生成表示システム及び画像生成方法に関し、詳細には異常部品三次元モデル画像を生成することのできる画像生成装置、画像生成システム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械装置における異常を検出する際に、当該機械装置の部品レイアウト上に、その異常が発生した部品に相当する箇所をハイライト表示させた画像を生成することにより、異常発生のアラーム画面を表示することのできる画像生成装置がある(特許文献1)。
【0003】
前記の従来の画像生成装置において、機械装置の部品レイアウトは、当該機械装置を設計する際に作成された、部品の取り付け位置及び向きや部品間の配線に関わる情報を含むCADデータを流用して作成するため、前記のアラーム画面を容易に表示することができる。
【0004】
そして、従来の画像生成装置が部品レイアウト上でこうした異常箇所をハイライト表示することにより、作業者は図面を参照することなく容易に異常の発生している位置を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の画像生成装置は、機械装置の部品レイアウト上で異常発生箇所をハイライト表示させたアラーム画面を表示する。
【0007】
ところで、機械装置の構造が複雑となり、数多くの立体的な部品や部材が組み合わさって当該機械装置を構成するとき、単に部品のレイアウトや配線を示す情報だけでは、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を特定し、または、表示することが困難である。
【0008】
また、こうした部品や部材が重層的に組み合わさるとき、組み合わさった外側からでは異常の発生した箇所の特定及び表示が殊更に困難である。あるいは、例えば部品が円筒形状であり、異常箇所が内周面側に位置するときなどは、たとえ部品同士が組み合わさった状態でなくとも、その異常箇所を特定し、または、表示することが困難である。
【0009】
さらに、従来の前記アラーム画面が前記画像生成装置が備える表示処理手段によって表示されるため、前記画像生成装置が前記機械装置に付属して設置されているとき、操作者は、前記異常発生箇所を知るために前記機械装置の傍らに位置しなければならない。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑み、異常の発生する箇所や範囲を容易に特定し、かつ、表示することができ、しかも、前記アラーム画面を前記機械装置よりも遠く離れた遠隔地において見ることができる画像生成装置、画像生成表示システム及び画像生成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は複数の部品を含む機械装置に配設される複数の異常センサーに接続する通信手段と、該通信手段に接続する処理手段と、該処理装置に接続する記憶手段とを備え、前記記憶手段は、前記各異常センサーが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶し、前記処理手段は、前記通信手段が前記異常信号を受信する際、前記行列データに基づき当該異常信号と関係する前記異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定するとともに、前記異常部品CADデータに基づく異常部品三次元モデル画像を生成することを特徴とする画像生成装置を提供するものである。
【0012】
すなわち、本発明の画像生成装置は、前記各部品の三次元CADデータを格納するとともに、前記行列データに基づいて前記異常部品の三次元CADデータを特定するため、異常の発生する箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。
【0013】
しかも、本発明の画像生成装置は、異常信号の受信時に表示する画像として、前記三次元CADデータに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常の発生する部品の縦、横及び奥行きから成る三次元的なモデル画像を表示させることができる。
【0014】
(2)また、前記ネットワークデータベースは、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納し、前記処理手段は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成してもよい。
【0015】
すなわち、前記異常信号と、前記異常部品のうち縦、横及び奥行きからなる三次元的な領域である三次元領域の前記異常原因領域との関係性を格納するため、前記異常原因領域の三次元的な位置や範囲を容易に特定することができ、かつ、三次元的なモデル画像を表示させることができる。
【0016】
(3)また、前記三次元CADデータに基づき、前記各部品のうち任意に範囲が指定される一又は複数の三次元領域の表示及び非表示を選択して前記異常部品三次元モデル画像を生成してもよい。
【0017】
すなわち、前記部品が重層的に組み合わさるときでも、前記異常部品以外の、一若しくは複数の部品又は縦、横及び奥行きから成る三次元的な領域である三次元領域を任意に非表示とすることにより、異常の発生する箇所や範囲の特定及び表示を容易に行うことができる。
【0018】
さらに、前記異常部品の一部の三次元領域を非表示とすることによっても、異常の発生した箇所や範囲の特定及び表示を容易に行うことができる。例えば異常部品が円筒形状であり、異常原因領域が内周面側に位置するときでも、前記円筒形状の中心軸方向のスリットを形成するように当該異常部品の一部の三次元領域を非表示とすることによって、隠れて見えなかった異常原因領域を容易に特定及び表示することができる。
【0019】
(4)本発明は複数の部品を含む機械装置に配設された複数の異常センサー、該複数の異常センサーに接続する通信手段、該通信手段に接続する処理手段及び該処理装置に接続する記憶手段を備える画像生成サーバ装置と、前記通信手段に通信回線を介して接続され、かつ、端末表示処理手段を備える外部端末装置とを含む画像生成表示システムであって、前記記憶手段は、前記各異常センサーが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶し、前記処理手段は、前記通信手段が前記異常信号を受信する際、前記行列データに基づき当該異常信号と関係する前記異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定するとともに、前記異常部品CADデータに基づく異常部品三次元モデル画像を生成し、前記端末表示処理手段は、前記外部端末装置が前記画像生成サーバ装置から受信する前記異常部品三次元モデル画像を表示することを特徴とする画像生成表示システムを提供するものである。
【0020】
すなわち、本発明の画像生成表示システムは、前記各部品の三次元CADデータを格納するとともに、前記行列データに基づいて前記異常部品の三次元CADデータを特定するため、異常の発生する箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。しかも、異常信号の受信時に、前記三次元CADデータに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常の発生する部品の縦、横及び奥行きから成る三次元的なモデル画像を表示することができる。
【0021】
さらに、前記異常部品三次元モデル画像が、前記画像生成サーバ装置と通信回線を介して接続される前記外部端末装置に表示されるため、操作者は、このような異常部品三次元モデル画像を前記機械装置の傍らで見る必要がなく、前記外部端末装置により前記機械装置から遠く離れた遠隔地において見ることができる。
【0022】
例えば、操作者が前記機械装置を設置してある工場の中央制御室や事務棟、その工場の外などに位置している時でも、手元の前記外部端末装置によって前記異常部品三次元モデル画像を容易に見ることができる。
【0023】
(5)また、前記ネットワークデータベースは、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納し、前記処理手段は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成してもよい。
【0024】
すなわち、前記異常信号と、前記異常部品のうち縦、横及び奥行きからなる三次元的な領域である三次元領域の前記異常原因領域との関係性を格納するため、前記異常原因領域の三次元的な位置や範囲を容易に特定することができ、かつ、三次元的なモデル画像を遠隔地において表示させることができる。
【0025】
(6)また、前記三次元CADデータに基づき、前記各部品のうち任意に範囲が指定される一又は複数の三次元領域の表示及び非表示を選択して前記異常部品三次元モデル画像を生成してもよい。
【0026】
すなわち、前記部品が重層的に組み合わさるときでも、前記異常部品以外の、一若しくは複数の部品又は縦、横及び奥行きから成る三次元的な領域である三次元領域を任意に非表示とすることにより、異常の発生する箇所や範囲の特定及び表示を容易に行うことができる。
【0027】
さらに、前記異常部品の一部の三次元領域を非表示とすることによっても、異常の発生する箇所や範囲の特定及び表示を容易に行うことができる。
【0028】
(7)本発明は画像生成装置が備える記憶手段が、複数の部品を含む機械装置に配設された複数の異常センサーが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶するデータベース記憶工程と、前記画像生成装置が備える通信手段が、前記異常センサーから前記異常信号を受信する異常信号受信工程と、前記記憶手段及び前記通信手段に接続する処理手段が、前記行列データに基づき当該異常信号と関係する前記異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定するとともに、前記異常部品CADデータに基づく異常部品三次元モデル画像を生成する異常部品三次元モデル画像生成工程とを含むことを特徴とする画像生成方法を提供するものである。
【0029】
すなわち、本発明の画像生成方法により、前記各部品の三次元CADデータを格納するとともに、前記行列データに基づいて前記異常部品の三次元CADデータを特定するため、異常の発生する箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。しかも、異常信号の受信時に、前記三次元CADデータに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常の発生する部品の縦、横及び奥行きから成る三次元的なモデル画像を表示させることができる。
【0030】
(8)また、前記データベース記憶工程は、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースを記憶する工程を含み、前記異常部品三次元モデル画像生成工程は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成する工程を含んでもよい。
【0031】
すなわち、前記異常信号と、前記異常部品のうち縦、横及び奥行きからなる三次元的な領域である三次元領域の前記異常原因領域との関係性を格納するため、前記異常原因領域の三次元的な位置や範囲を容易に特定することができ、かつ、三次元的なモデル画像を表示させることができる。
【0032】
(9)また、前記各部品のうち一又は複数の三次元領域の範囲を任意に指定する範囲指定工程と、前記指定された範囲の表示及び非表示を選択する表示非表示選択工程とを含んでもよい。
【0033】
すなわち、前記部品が重層的に組み合わさるときでも、前記異常部品以外の、一若しくは複数の部品又は縦、横及び奥行きから成る三次元的な領域である三次元領域を任意に非表示とすることにより、異常の発生する箇所や範囲の特定及び表示を容易に行うことができる。
【0034】
さらに、前記異常部品の一部の三次元領域を非表示とすることによっても、異常の発生する箇所や範囲の特定及び表示を容易に行うことができる。
【0035】
(10)本発明は複数の部品を含む機械装置と、該機械装置に配設される複数の監視センサーと、該監視センサーに接続する通信手段、人工知能を有するとともに、前記通信手段に接続する処理手段及び該処理装置に接続するとともに、前記機械装置の稼働情報を時刻とともにログデータにより格納するログデータベースを記憶する記憶手段を有する画像生成装置とを備え、前記各監視センサーは、前記機械装置の異常稼働状態を検知する時に異常信号を発し、前記稼働情報は、前記機械装置を稼働させる稼働回ごとの前記機械装置を操作するオペレーターの識別情報と、前記各監視センサーが発する前記機械装置の稼働状態を表す稼働状態情報と、前記異常信号を含む異常稼働状態情報とを含み、前記処理手段は、前記人工知能を学習させ、かつ、該学習によって得られる学習モデルに基づいて、前記異常信号が発生するまでの残り時間を推定するとともに、当該発生が推定される異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像を生成することを特徴とする画像生成表示システムを提供するものである。
【0036】
すなわち、本発明の画像生成表示システムにより、前記異常信号が発生するまでの残り時間が推定されるため、前記機械装置、前記画像生成装置、または、前記機械装置及び前記画像生成装置を保有する企業、機関等は、これから発生する異常に備えて交換用の部品を準備しておくなどの事前の対策を講じることができる。人工知能とは、「JIS X 0028 情報処理用語―人工知能―基本概念及びエキスパートシステム」により、一般に人間の知性と結び付けて考えられる、推論、学習などの機能を遂行する、機能単位の能力と定義される。
【0037】
その上で、当該異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像が生成されるため、異常の発生する箇所や範囲を容易に特定し、かつ、表示することができる。
【0038】
(11)本発明は複数の部品を含む機械装置と、該機械装置に配設される複数の監視センサーと、該監視センサーに接続する通信手段、多層式のニューラルネットを学習させるニューラルネット学習部を有するとともに前記通信手段に接続する処理手段、ならびに、該処理装置に接続するとともに、前記機械装置の稼働情報を時刻と共にログデータにより格納するログデータベース及び前記ニューラルネットを記憶する記憶手段を有する画像生成装置とを備え、前記各監視センサーは、前記機械装置の異常稼働状態を検知する時に異常信号を発し、前記稼働情報は、前記機械装置を稼働させる稼働回ごとの前記機械装置を操作するオペレーターの識別情報と、前記各監視センサーが発する前記機械装置の稼働状態を表す稼働状態情報と、前記異常信号を含む異常稼働状態情報とを含み、前記処理手段は、前記ニューラルネットに基づいて、前記異常信号が発生するまでの残り時間を推定するとともに、当該発生が推定される異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像を生成することを特徴とする画像生成表示システムを提供するものである。
【0039】
すなわち、本発明の画像生成表示システムにより、前記異常信号が発生するまでの残り時間が推定されるため、前記機械装置、前記画像生成装置、または、前記機械装置及び前記画像生成装置を保有する企業、機関等は、これから発生する異常に備えて交換用の部品を準備しておくなどの事前の対策を講じることができる。ニューラルネットワーク又はニューラルネットとは、「JIS X 0028 情報処理用語―人工知能―基本概念及びエキスパートシステム」により、原始的な処理要素が調整可能な重み付きリンクで結合されたネットワークであり、各要素が、複数のリンクからの入力値に非線形関数を適用して値を生成し、それを他の要素へ送信し、又は出力として提供するものと定義される。
【0040】
その上で、当該異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像が生成されるため、異常の発生する箇所や範囲を容易に特定し、かつ、表示することができる。
【0041】
(12)また、前記記憶手段は、前記異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の前記部品である異常部品との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するネットワークデータベースと、前記各部品の三次元CADデータを格納する三次元CADデータベースとを記憶し、前記処理手段は、前記行列データに基づき前記発生が推定される異常信号と関係する異常部品の三次元CADデータである異常部品CADデータを特定し、前記異常部品三次元モデル画像は、前記異常部品CADデータに基づいてもよい。
【0042】
すなわち、前記各部品の三次元CADデータを格納するとともに、前記行列データに基づいて前記異常部品の三次元CADデータを特定するため、異常の発生する箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。
【0043】
しかも、異常信号の受信時に表示する画像として、前記三次元CADデータに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常の発生する部品の縦、横及び奥行きから成る三次元的なモデル画像を表示させることができる。
【0044】
(13)また、前記ネットワークデータベースは、前記異常信号と、前記異常部品のうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域との関係性である第2の関係性を行列データにより格納し、前記処理手段は、前記異常部品のうち前記異常原因領域と前記異常原因領域でない三次元領域である正常領域とが区別して表示される前記異常部品三次元モデル画像を生成してもよい。
【0045】
すなわち、前記異常信号と、前記異常部品のうち縦、横及び奥行きからなる三次元的な領域である三次元領域の前記異常原因領域との関係性を格納するため、前記異常原因領域の三次元的な位置や範囲を容易に特定することができ、かつ、三次元的なモデル画像を表示させることができる。
【発明の効果】
【0046】
このように、本発明の画像生成装置、画像生成表示システム又は画像生成方法により、異常の発生する箇所や範囲を容易に特定し、かつ、表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の第1の実施形態における機能構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態におけるネットワークデータベースNDB1である。
【
図3】本発明の第1の実施形態におけるフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施形態におけるネットワークデータベースNDB2である。
【
図5】本発明の第3の実施形態におけるネットワークデータベースNDB3である。
【
図6】本発明の第3の実施形態における異常部品P01を表す画像である。
【
図7】本発明の第3の実施形態における正常部品及び異常部品P02を表す画像である。
【
図8】本発明の第3の実施形態における異常部品P02を表す画像である。
【
図9】本発明の第3の実施形態におけるフローチャートである(1/2)。
【
図10】本発明の第3の実施形態におけるフローチャートである(1/2)。
【
図11】本発明の第4の実施形態におけるネットワークデータベースNDB4である。
【
図12】本発明の第5の実施形態におけるネットワークデータベースNDB5である。
【
図13】本発明の第6の実施形態における機能構成図である。
【
図14】本発明の第7の実施形態における機能構成図である。(a)は各機械装置Ma~Mcが画像生成装置22の近くに所在する場合の機能構成図であり、(b)は各機械装置Ma~Mc及び画像生成装置22が互いに離れて所在する場合の機能構成図である。
【
図15】本発明の第7の実施形態におけるネットワークデータベースNDB6である。
【
図16】本発明の第7の実施形態におけるログデータベースLDBである。
【
図17】本発明の第7の実施形態における第1のニューラルネットNN1である。
【
図18】本発明の第7の実施形態における異常部品P11を表す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1~
図3は本発明の第1の実施形態を例示している。
図1における1が画像生成表示システムである。
【0049】
画像生成表示システム1は、
図1の機能構成図が示すように画像生成装置2を有する。
【0050】
画像生成装置2は、複数の部品を含む機械装置Mに配設される複数の異常センサーSに接続する通信手段3と、通信手段3に接続する処理手段4と、処理手段4に接続する記憶手段5と、表示処理手段6とを備える。
【0051】
ここで、機械装置Mはさまざまな種類の機械装置でよく、例えば、内閣府が機械受注統計調査において用いる大分類に従えば、原動機、重電機、電子・通信機械、産業機械、工作機械、鉄道車両、道路車両、航空機及び船舶を含む。以下においては、一例として、合成樹脂加工機械をはじめとする産業機械の場合について説明する。
【0052】
また、各部品はさまざまな種類の部品でよく、機械装置Mを構成する部分品であれば、機械部品や電子部品に限らず、構造の部分をなす材である部材、構造の外面をなす板である外板などをも含む。
【0053】
さらに、各異常センサーSはさまざまな種類のセンサーでよく、温度、圧力、流量、光、磁気、音、振動、速度、加速度、電流、電圧などの物理量やそれらの変化量を検出する素子を含む。こうした異常センサーSによって閾値やその閾値に達するまでの経過時間、その閾値に達した回数のような所定の物理量、変化量、時間、回数等が検出されるときに発生される信号を異常信号という。このとき、一つの異常センサーが二種類以上の物理量、変化量、時間、回数等を検出してもよく、また、これに伴い二種類以上の異常信号を発生させてもよい。
【0054】
通信手段3は、各異常センサーSと接続しこれらの異常信号を受信する。このとき、各異常センサーSから常に物理量、変化量等の信号を受信してもよく、また、各異常センサーSから発生される異常信号だけを受信してもよい。さらに、機械装置Mに、通信手段3が常に物理量、変化量等の信号を受信する異常センサーSと、異常信号のみを受信する異常センサーSとが併存して配設されていてもよい。
【0055】
常に物理量、変化量等の信号を受信する異常センサーSが配設されるときは、通信手段3が異常信号判別部3aを有する。異常信号判別部3aは、異常センサーSから受け取る物理量、変化量等の全ての信号から上で述べた異常信号に該当する信号を判別する。
【0056】
通信手段3が異常信号判別部3aを有するとき、通信手段3はネットワークデータベースNDBに書き込まれた異常信号を構成する閾値、その閾値に達するまでの経過時間、その閾値に達した回数の値等を次で述べる処理手段4から受け取る。そして、異常信号判別部3aは異常センサーSから受け取る信号と、これらのネットワークデータベースNDBに書き込まれた値とを対比して異常信号に該当する信号を判別する。
【0057】
処理手段4は、三次元CADデータ特定部4aと三次元モデル画像生成部4bとを有する。
【0058】
三次元CADデータ特定部4aは、通信手段3が異常信号を受信する際、その異常信号と、以下で述べる記憶手段5から読み出すネットワークデータベースNDBとにより、当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の部品である異常部品Pを特定する。
【0059】
三次元モデル画像生成部4bは、このように特定された異常部品Pを表すための三次元CADデータである異常部品CADデータDpに基づく異常部品三次元モデル画像Ipを生成する。また、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータDrに基づく正常部品三次元モデル画像Ir及び機械装置M全体を表すための三次元CADデータである全体CADデータDmに基づく全体三次元モデル画像Imを生成することができる。さらに、これらのうちの二以上の三次元モデル画像が重ね合わせられた複合三次元モデル画像Iiを生成する。
【0060】
ここで、三次元CADデータとは、縦、横及び奥行きから成る三次元の座標情報で構成されたCADデータをいう。
【0061】
また、三次元モデルとは、三次元形状を表現した形状モデルをいう。日本工業規格JISB3401-1993『CAD用語』によれば、三次元モデルは、体積情報によるソリッドモデル、面情報によるサーフェスモデル、線情報によるワイヤーフレームモデルに分類できる。そして、三次元モデル画像とは、こうした三次元モデルが一定の表示面上に表された画像をいう。
【0062】
記憶手段5は、ネットワークデータベース記憶部5aと三次元CADデータベース記憶部5bとを有する。
【0063】
ネットワークデータベース記憶部5aは、各異常センサーSが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常部品Pとの関係性である第1の関係性を
図2に示す行列データにより格納するネットワークデータベースNDB1を記憶する。
【0064】
図2のネットワークデータベースNDB1は、左端の列が示す4つの異常センサーS01~S04と、中の列が示す、各異常センサーS01~S04が発する異常信号と、右端の列が示すこれらの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01,P02との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するデータベースである。
【0065】
異常センサーS01及びS02は温度を検出する素子を含むセンサーである。また、異常センサーS03及びS04は圧力を検出する素子を含むセンサーである。そして、各異常信号は、それぞれが検出されるときの閾値によって表される。
【0066】
例えば、ネットワークデータベースNDB1は、異常センサーS01が閾値である1000℃以上の温度を検出するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる部品が異常部品P01であることの関係性である第1の関係性を格納している。同様に、異常センサーS02~S04がそれぞれの閾値を検出するとき、各異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる部品が、それぞれ異常部品P01、異常部品P01及び異常部品P02であることの関係性である第1の関係性を格納している。
【0067】
これらの第1の関係性により、画像生成装置2は、異常稼働状態毎に異常部品P01,P02を特定することができる。
【0068】
三次元CADデータベース記憶部5bは、機械装置M全体の三次元CADデータと各部品のそれぞれの三次元CADデータとを格納する三次元CADデータベースTDB1を記憶する。
【0069】
三次元CADデータベースTDB1に格納される各部品の三次元CADデータは、その座標情報の基準となる縦方向、横方向及び奥行き方向のそれぞれの座標軸が全体CADデータDmの同じく座標軸と一致し、かつ、その座標情報が機械装置Mに組付けられた状態の座標情報と一致する。
【0070】
そのため、一の三次元CADデータの座標情報と他の三次元CADデータの座標情報との関係は、縦方向、横方向及び奥行き方向のそれぞれの座標軸に対する実在の部品と機械装置Mとの、または、実在の部品どうしの相対的な位置関係を示す。例えば、異常部品P01,P02を表すための三次元CADデータである異常部品CADデータDp01,Dp02の座標情報と全体CADデータDmの座標情報との関係は、座標軸に対する実在の異常部品P01,P02と機械装置Mとの位置関係を示す。
【0071】
これにより三次元モデル画像生成部4bは、異常部品三次元モデル画像Ip01,Ip02を、正常部品三次元モデル画像Ir、他の異常部品三次元モデル画像Ip又は全体三次元モデル画像Imに重ね合わせる際、これらの位置関係を、実在の異常部品P01,P02と、正常部品、他の異常部品P又は機械装置Mとの位置関係と一致させることができる。その結果、三次元モデル画像生成部4bは、あたかも異常部品P01,P02が実在の異常部品P01,P02の組付け位置に組付けられているかのように表される複合三次元モデル画像Iiを生成することができる。
【0072】
なお、三次元CADデータベースTDBには、必ずしも全体CADデータDmが格納されている必要がなく、その場合は、各部品の三次元CADデータの座標情報の基準となる座標軸が一致していればよい。
【0073】
以下において、正常部品三次元モデル画像Ir、異常部品三次元モデル画像Ip、全体三次元モデル画像Im及び複合三次元モデル画像Iiを総称して、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irという。
【0074】
さらに、三次元モデル画像生成部4bは、各三次元CADデータに基づき、機械装置Mに含まれる任意の一又は複数の部品の表示及び非表示を選択して三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを生成することができる。
【0075】
これらの三次元CADデータとして、機械装置M及び各部品を製作、組立て、または、製作及び組立てする際に作成するCADデータを用いることができる。
【0076】
こうして、画像生成装置2は、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。また、異常信号の受信時に表示する画像として、三次元CADデータDm,Dp,Drに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常の発生した部品を含む縦、横及び奥行きから成る三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示させることができる。
【0077】
また、画像生成装置2は、機械装置M全体の一部を構成する、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。さらに、異常信号の受信時に表示する画像として、三次元CADデータDm,Dp,Drに基づく三次元モデル画像を生成するため、機械装置M全体の一部として、異常の発生した部品を含む縦、横及び奥行きから成る三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示させることができる。
【0078】
表示処理手段6は、表示面6aとアラーム部6bとを有する。表示処理手段6は、表示面6aが露出するように操作パネル(図示せず)に組み込まれる。この操作パネルは、操作者の目線の高さに配置されるとともに、機械装置Mと一体に構成される。
【0079】
表示処理手段6は、通信手段3が異常信号を受信する時、処理手段4が生成する三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示面6aに表示する。また、アラーム部6bによってアラーム音を鳴らして操作者の注意を喚起する。
【0080】
さらに、表示処理手段6は操作部6cを有する。操作者は操作部6cにより機械装置Mの操作、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irの加工などを行う。
【0081】
操作部6cは、操作者が手指を用いて操作することができれば操作パネル上のキーボードやマウス、トラックボールでよく、また、表示面6a上のタッチパネルでもよい。
【0082】
このとき操作者は、複合三次元モデル画像Iiにおいて例えば異常部品三次元モデル画像Ip01が正常な部品の陰に隠れて見え難いとき、この正常な部品を表すための正常部品三次元CADデータDrに基づく正常部品三次元モデル画像Irの範囲を任意に指定する操作を行い、かつ、表示及び非表示のうちこの正常な部品を非表示とする選択を行う。
【0083】
これらにより操作者は、表示面6a上において異常部品三次元モデル画像Ip01を容易に観察することができ、かつ、機械装置M全体に占める異常部品P01の位置や範囲を容易に把握することができる。
【0084】
なお、画像生成装置2は機械装置Mと一体に構成されるだけでなく、別体に構成されていてもよい。さらに、記憶手段5、表示処理手段6、記憶手段5及び表示処理手段6、または、これらの一部が画像生成装置2の他の部分から離れて配置されていてもよい。
【0085】
ここで、操作者が機械装置Mの操作を開始した後に異常稼働状態が発生し、その異常稼働状態を解消するための処置を開始するまでの概略の流れを、
図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0086】
図3に示すフローチャートは、本実施形態の画像生成方法S100を示し、データベース記憶工程S110と異常信号受信工程S120と三次元モデル画像生成工程S130と三次元モデル画像表示工程S140とを含む。ここで、三次元モデル画像生成工程S130を、異常部品三次元モデル画像生成工程と呼んでもよい。
【0087】
操作者が機械装置Mの操作を開始し、データベース記憶工程S110においてネットワークデータベースNDB1及び三次元CADデータベースTDB1が記憶手段5に記憶される。このとき、ネットワークデータベースNDB1は第1の関係性を行列データにより格納する。すなわち、データベース記憶工程S110は、第1の関係性を格納するネットワークデータベースNDB1の記憶工程S111を含んでいる。
【0088】
データベース記憶工程S110の後、機械装置Mの運転が開始される。その後、機械装置Mの異常稼働状態が発生する。
【0089】
異常稼働状態の発生に伴い異常センサーS01~S04が異常信号を発し、異常信号受信工程S120において通信手段3がこの異常信号を受信する。
【0090】
通信手段3による異常信号の受信の後、三次元モデル画像生成工程S130において処理手段4により異常部品三次元モデル画像Ipをはじめとする三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irが生成される。
【0091】
三次元モデル画像生成工程S130の後、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irは三次元モデル画像表示工程S140において表示処理手段6によって表示される。このとき、アラーム工程S141においてアラーム音が鳴らされて操作者の注意が喚起される。すなわち、三次元モデル画像表示工程S140はアラーム工程S141を含んでいる。
【0092】
またこのとき、範囲指定工程S142において、一部の部品の三次元モデル画像の範囲を任意に指定する操作を行うことができる。すわなち、三次元モデル画像表示工程S140は範囲指定工程S142を含んでいる。
【0093】
さらに表示非表示選択工程S143において、この一部の部品を表示又は非表示とする選択を行うことができる。すわなち、三次元モデル画像表示工程S140は表示非表示選択工程S143を含んでいる。
【0094】
三次元モデル画像表示工程S140の後、操作者は三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを見た上で機械装置Mの該当する異常稼働状態を解消するための処置を開始する。例えば、機械装置Mの運転を停止して表示処理手段6に表示されている三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを観察するとともに、表示されている異常部品三次元モデル画像Ip01,Ip02に相当する異常部品P01,P02を交換する。
【0095】
上で述べた三次元モデル画像生成工程S130においては、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。また、異常信号の受信時に表示する画像として、三次元CADデータDm,Dp,Drに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常の発生した部品を含む縦、横及び奥行きから成る三次元的なモデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示させることができる。
【0096】
また、三次元モデル画像生成工程S130においては、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。さらに、異常信号の受信時に表示する画像として、三次元CADデータDm,Dp,Drに基づく三次元モデル画像を生成するため、機械装置M全体の一部として、異常の発生した部品を含む縦、横及び奥行きから成る三次元的なモデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示させることができる。
【0097】
これによって、例えば部品交換のため、異常部品P01,P02に関わる立体的な異常稼働状態を容易に把握し、また、異常部品P01,P02の三次元的な位置や範囲を容易に確認することができる。
【0098】
さらに、一部非表示化工程S142においては、他の部品などの陰に隠れて見え難い異常部品P01,P02の異常部品三次元モデル画像Ip01,Ip02が容易に観察されるため、例えば部品交換のために、より確実に異常部品P01,P02の三次元的な位置や範囲を確認することができる。
【0099】
【0100】
各異常センサーSが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常部品Pとの関係性である第1の関係性を
図4に示す行列データにより格納するネットワークデータベースNDB2は、ネットワークデータベース記憶部5aに記憶される。
【0101】
図4に示すネットワークデータベースNDB2は、左端の列が示す第1の異常センサーS01と、その右側の列が示す、第1の異常センサーS01が発する第1の異常信号と、中の列が示す第2の異常センサーS05と、その右側の列が示す、第2の異常センサーS05が発する第2の異常信号と、右端の列が示す、第1の異常信号及び第2の異常信号とを同時に生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01,P03との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するデータベースである。
【0102】
異常センサーS05は圧力を検出する素子を含むセンサーである。以上で述べた以外の構成は、第1の実施形態と共通とする。
【0103】
ネットワークNDB2は、第1の異常センサーS01が閾値である1000℃以上の温度を検出し、かつ、第2の異常センサーS05が閾値である1MPa以上の圧力を検出するとき、それらの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる部品が異常部品P01及び異常部品P03であることの関係性である第1の関係性を格納している。
【0104】
このように、異常稼働状態が第1の異常センサーの発する異常信号及び第2の異常センサーの発する異常信号のような二以上の異常信号が同時に発せられることによって把握されるため、より正確且つ詳細に異常稼働状態の原因となる異常部品Pを特定することができる。
【0105】
なお、
図4には示されていないが、第1の異常信号と第2の異常信号とが、例えば一定未満の秒数の間隔又は一定以上の秒数の間隔を空けて発せられる場合に所定の異常稼働状態が把握されるような第1の関係性を規定してもよい。このように時間の経過をも要件に加えることによって、さらに正確且つ詳細に異常稼働状態の原因となる異常部品Pを特定することができる。
【0106】
図5~
図10は本発明の第3の実施形態を例示している。
【0107】
本実施形態において三次元CADデータ特定部4aは、通信手段3が異常信号を受信する際、その異常信号と、以下で述べる記憶手段5から読み出すネットワークデータベースNDBとにより、当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の部品である異常部品Pと、この異常部品Pのうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の三次元領域である異常原因領域Aとを特定する。
【0108】
三次元モデル画像生成部4bは、当該異常部品Pを表すための三次元CADデータである異常部品CADデータDpに基づき、異常部品Pのうち、上記のように特定された異常原因領域Aと、異常原因領域Aでない三次元領域である正常領域Rとが区別して表示される三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを生成する。
【0109】
また、三次元モデル画像生成部4bは、各三次元CADデータDp,Dr,Dmに基づき、異常原因領域A又は正常領域Rの別に関わりなく、機械装置M全体、異常部品P又は正常部品のうち、一又は複数の三次元領域を任意に指定し、その三次元領域の表示・非表示を選択して三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを生成することができる。
【0110】
ネットワークデータベース記憶部5aは、各異常センサーSが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常部品Pとの関係性である第1の関係性と、この異常部品Pのうち当該異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常原因領域Aとの関係性である第2の関係性とを
図5に示す行列データにより格納するネットワークデータベースNDB3を記憶する。
【0111】
図5のネットワークデータベースNDB3は、各異常センサーS01~S04が発する異常信号と、これらの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01,P02との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するとともに、同じく各異常センサーS01~S04が発する異常信号と、右端から二番目の列が示す、異常部品P01,P02のうちこれらの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常原因領域A011,A012,A013,A021,A022との関係性である第2の関係性を行列データにより格納するデータベースである。
【0112】
例えば、ネットワークデータベースNDB3は、異常センサーS01が閾値である1000℃以上の温度を検出するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる部品が異常部品P01であることの関係性である第1の関係性を格納している。同様に、異常センサーS02~S04がそれぞれの閾値を検出するとき、各異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる部品が、それぞれ異常部品P01、異常部品P01及び異常部品P02であることの関係性である第1の関係性を格納している。
【0113】
また、ネットワークデータベースNDB3は、異常センサーS02が第1の閾値である100℃以上の温度を検出するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる三次元領域が異常部品P01のうちの異常原因領域A013であることの関係性である第2の関係性と、第2の閾値である300℃以上の温度を検出するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる三次元領域が異常部品P01のうちの異常原因領域A012及び異常原因領域A013であることの関係性である第2の関係性とを格納している。
【0114】
同様に、異常センサーS01,S03,S04がそれぞれの閾値を検出するとき、各異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる三次元領域が、異常部品P01又は異常部品P02のうちのそれぞれ異常原因領域A011,異常原因領域A013,異常原因領域A021及び異常原因領域A022であることの関係性である第2の関係性を格納している。
【0115】
一例として、機械装置Mに含まれる円筒状の異常部品P01に、
図6に示す画像例のような異常センサーS01及び異常センサーS02が配設されることとする。また、異常部品P01は、これらの異常センサーS01,S02の配設位置を含む縦断面に示されるような異常原因領域A011,A012,A013を含むこととする。
【0116】
このとき、ネットワークデータベースNDB3は、例えば異常センサーS02が第1の閾値である100℃以上の温度を検出し、かつ、その温度が300℃未満であるとき、異常稼働状態の原因となる三次元領域が異常原因領域A013だけであり、その一方で、例えば異常センサーS02が第2の閾値である300℃以上の温度を検出するとき、異常稼働状態の原因となる三次元領域が異常原因領域A013だけでなく異常原因領域A012にまで及ぶという第2の関係性を格納している。
【0117】
このような第2の関係性により、画像生成装置2は、異常稼働状態毎に異常原因領域A011,A012,A013,A021,A022を特定することができる。
【0118】
そして三次元モデル画像生成部4bは、それぞれの異常部品P01,P02のうち、各異常原因領域A011,A012,A013,A021,A022及び正常領域Rが領域毎に区切られて表される三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを生成することができる。あるいは、あたかも異常部品P01,P02が実在の異常部品P01,P02の機械装置Mにおける組付け位置に組付けられているかのように表すことができる。以上で述べた以外の構成は、第1の実施形態と共通とする。
【0119】
また、上記の画像例とは異なる例として、
図7(a)に示す画像例のように、異常部品CADデータDpに基づく異常部品P02の異常部品三次元モデル画像Ip02と、異常部品P02に外嵌する円筒状の正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータDrに基づく正常部品三次元モデル画像Irとが重ね合わされた複合三次元モデル画像I01が生成されたとき、中心線Cと直交する断面を境に画像の左側を表示し、かつ、右側を非表示とする選択を行い、新たに切断画像の複合三次元モデル画像である切断三次元モデル画像I02を生成することができる。切断三次元モデル画像I02を
図7(b)の画像例に示す。
【0120】
このとき、
図5のネットワークデータベースNDB3に示すように、異常センサーS04が第1の閾値である500kPa以上の圧力を検出し、この異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる三次元領域である異常原因領域A021が異常部品P02のうちに存在することが分かっていても、切断三次元モデル画像I02からでは、異常原因領域A021の占める位置や範囲を把握できない。
【0121】
そこで操作者は、異常部品P02を表示し、かつ、正常部品を非表示とする選択を行い、異常部品P02のみの切断画像である異常部品切断三次元モデル画像I03を生成することができる。異常部品切断三次元モデル画像I03を
図8(a)の画像例に示す。
【0122】
しかし、このような異常部品切断三次元モデル画像I03からも、異常原因領域A021の占める位置や範囲を把握できないため、操作者は、異常部品P02のうち中心線C方向のスリットに相当する範囲の三次元領域を指定し、このスリット状の三次元領域を非表示とし、かつ、スリット状以外の範囲の三次元領域を表示する選択を行って、部分的に三次元領域を非表示とする部分非表示三次元モデル画像I04を生成することができる。部分非表示三次元モデル画像I04を
図8(b)の画像例に示す。
【0123】
これによって、これまで隠れて見えなかった異常原因領域A021を容易に観察することができ、かつ、機械装置M全体や異常部品P02に占める位置や範囲を容易に把握することができる。
【0124】
図9及び
図10に示すフローチャートは、本実施形態の画像生成方法S200の例を示し、データベース記憶工程S210と異常信号受信工程S220と三次元モデル画像生成工程S230と三次元モデル画像表示工程S240とを含む。ここで、三次元モデル画像生成工程S230を、異常部品三次元モデル画像生成工程と呼んでもよい。
【0125】
データベース記憶工程S210においてネットワークデータベースNDB3及び三次元CADデータベースTDB1が記憶手段5に記憶される。このとき、ネットワークデータベースNDB3は第1の関係性及び第2の関係性を行列データにより格納する。すなわち、データベース記憶工程S210は、第1の関係性及び第2の関係性を格納するネットワークデータベースNDB3の記憶工程S211を含んでいる。
【0126】
機械装置Mの異常稼働状態が発生した後、異常信号受信工程S220を経て、三次元モデル画像生成工程S230に至る。ここでは、正常領域R及び異常原因領域Aが区切られて表示される三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを生成することができる。すなわち、三次元モデル画像生成工程S230は正常領域および異常原因領域が区切られて表示される三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irの生成工程S231を含んでいる。
【0127】
三次元モデル画像生成工程S230の後、三次元モデル画像表示工程S240に至る。三次元モデル画像表示工程S240に含まれる範囲指定工程S242においては、一部の部品の三次元モデル画像の範囲を任意に指定する操作を行うことができるだけでなく、各部品のうちでも、一部の三次元領域を任意に指定する操作を行うことができる。
【0128】
また、三次元モデル画像表示工程S240に含まれる表示非表示選択工程S243においては、部品全体を表示又は非表示とする選択を行うことができるだけでなく、各部品のうちでも、指定された一部の三次元領域を表示又は非表示とする選択を行うことができる。
【0129】
複合三次元モデル画像表示工程S240の後、操作者は三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを見た上で機械装置Mの該当する異常稼働状態を解消するための処置を開始する。例えば、機械装置Mの運転を停止して表示処理手段6に表示されている三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを観察するとともに、正常領域Rと区別して表示される異常原因領域A011,A012,A013,A021,A022を含む異常部品P01,P02を修理又は交換する。
【0130】
上で述べた三次元モデル画像生成工程S230においては、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。また、異常信号の受信時に表示する画像として、三次元CADデータDm,Dp,Drに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常原因領域Aを含む縦、横及び奥行きから成る三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示させることができる。
【0131】
また、三次元モデル画像生成工程S230においては、機械装置M全体の一部を構成する、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を容易に特定することができる。さらに、異常信号の受信時に表示する画像として、三次元CADデータDm,Dp,Drに基づく三次元モデル画像を生成するため、異常原因領域Aを含む縦、横及び奥行きから成る三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを表示させることができる。
【0132】
これによって、例えば異常部品P01の異常稼働状態を解消するため、
図6の場合のように、異常原因領域A011,A012,A013に関わる立体的な異常稼働状態を容易に把握し、また、異常原因領域A011,A012,A013の三次元的な位置や範囲を容易に確認することができる。
【0133】
さらに一部非表示化工程S242においては、
図7及び
図8の場合のように、例えば正常部品の陰に隠れて見難く、かつ、異常部品P02の別の三次元領域の陰に隠れて見難い異常原因領域A021が容易に観察されるため、異常部品P02の修理又は交換のために、より確実に異常原因領域A021の三次元的な位置や範囲を確認することができる。
【0134】
【0135】
ネットワークデータベース記憶部5aは、各異常センサーSが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常部品Pとの関係性である第1の関係性と、その異常信号とこの異常部品Pのうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常原因領域Aとの関係性である第2の関係性とを
図11に示す行列データにより格納するネットワークデータベースNDB4を記憶する。
【0136】
図11のネットワークデータベースNDB4は、異常センサーS01が発する異常信号と、この異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するとともに、同じく異常センサーS01が発する異常信号と、異常部品P01のうちこの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常原因領域A011,A014との関係性である第2の関係性を行列データにより格納するデータベースである。以上で述べた以外の構成は第3の実施形態と共通とする。
【0137】
例えば、温度センサーである異常センサーS01が運転開始後60分以内に800℃以上の温度を検出するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01との関係性である第1の関係性を格納している。
【0138】
また、異常センサーS01が運転開始後60分以内に800℃以上の温度を検出するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる三次元領域が異常部品P01のうちの異常原因領域A011及び異常原因領域A014であることの関係性である第2の関係性を格納している。
【0139】
このように、異常信号が運転開始後の経過時間のような時間の経過を要因に含むことによって、より正確且つ詳細に異常稼働状態の原因となる異常部品P及び異常原因領域Aを特定することができる。
【0140】
【0141】
ネットワークデータベース記憶部5aは、各異常センサーSが発する異常信号とその異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常部品Pとの関係性である第1の関係性と、その異常信号とこの異常部品Pのうち当該異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる一又は複数の異常原因領域Aとの関係性である第2の関係性とを
図12に示す行列データにより格納するネットワークデータベースNDB5を記憶する。
【0142】
図12のネットワークデータベースNDB5は、異常センサーS01が発する異常信号と、この異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するとともに、同じく異常センサーS01が発する異常信号と、異常部品P01のうちこの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常原因領域A011との関係性である第2の関係性を行列データにより格納するデータベースである。以上で述べた以外の構成は第3の実施形態と共通とする。
【0143】
例えば、異常センサーS01が500℃以上の温度を検出し、かつ、その検出状態が60秒以上継続しない場合であり、このような場合が3回以上生じるとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01との関係性である第1の関係性と、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常原因領域A011との関係性である第2の関係性とを格納している。
【0144】
また、異常センサーS01が500℃以上の温度を検出し、かつ、その検出状態が60秒以上継続するとき、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P01との関係性である第1の関係性と、その異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常原因領域A011との関係性である第2の関係性とを格納している。
【0145】
このように、異常信号が1回の継続時間のような時間の経過や生じる回数を要因に含むことによって、より正確且つ詳細に異常稼働状態の原因となる異常部品P及び異常原因領域Aを特定することができる。
【0146】
以上で述べた実施形態により、こうした異常信号、異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常原因領域A及び同じく異常部品Pの履歴である異常履歴を残すことが可能となる。異常履歴を蓄積することにより、その機械装置Mに生じがちな異常稼働状態や、その機械装置Mを特定の操作員が操作するときに生じがちな異常稼働状態を分析し、機械装置Mの改良、操作員の訓練などに生かすことが可能である。
【0147】
また、異常センサーSの配置、個数、種類等や、経過時間、継続時間、回数などの異常信号の要因を見直し、より正確且つ詳細な異常稼働状態の把握のための最適化を図ることが可能である。
【0148】
図13は本発明の第6の実施形態を例示している。
図13における11が画像生成表示システムである。
【0149】
画像生成表示システム11は、画像生成サーバ装置12と、画像生成サーバ装置12にインターネット、無線、電話回線等の通信回線を介して接続する外部端末装置17とを備える。外部端末装置17は、専用端末、PC(Personal Computer)、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理端末装置である。
【0150】
画像生成サーバ装置12は、複数の部品を含む機械装置Mに配設される複数の異常センサーSに接続する通信手段13と、通信手段13に接続する処理手段14と、処理手段14に接続する記憶手段15と、表示処理手段6とを備える。
【0151】
通信手段13は受信部13rと送信部13dとを有する。
【0152】
外部端末装置17は、受信部13r及び送信部13dとの間で通信回線を介してデータを送受信する端末受信部17r及び端末送信部17dと、端末受信部17r及び端末送信部17dに接続する端末処理手段18と、端末処理手段18に接続する端末表示処理手段19とを有する。
【0153】
端末表示処理手段19は、端末表示面19aと端末アラーム部19bとを有する。
【0154】
端末表示処理手段19は、通信手段13が異常センサーSから異常信号を受信する時、処理手段14が生成する三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを通信手段13を介して受け取り、端末表示面19aに表示する。また、端末アラーム部19bによってアラーム音を鳴らして操作者の注意を喚起する。
【0155】
このとき、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irが画像生成サーバ装置12の表示面16aと外部端末装置17の端末表示面19aとの両方に表示されるだけでなく、端末表示面19aにだけ表示されてもよい。また、アラーム音は端末アラーム部19bによってだけ鳴らされてもよい。
【0156】
さらに、端末表示処理手段19は端末操作部19cを有する。操作者は端末操作部19cにより機械装置Mの操作、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irの加工などを行う。
【0157】
このとき、機械装置Mの操作や三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irの加工が画像生成サーバ装置12の操作部16cと外部端末装置の端末操作部19cとの両方から行うことが可能なだけでなく、端末操作部19cから行うことだけが可能であってもよい。
【0158】
端末操作部19cはタッチパネルにより構成される。また、操作者が手指を用いて操作することができればキーボードやマウス、トラックボールでもよい。以上で述べた以外の構成は第3の実施形態、第4の実施形態又は第5の実施形態と共通とする。
【0159】
このとき操作者は、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irにおいて例えば
図7及び
図8の場合のように、異常原因領域A021が正常部品や異常部品P02の別の三次元領域の陰に隠れて見え難いとき、この異常原因領域A021を見え易くするための正常部品三次元CADデータDrに基づく正常部品三次元モデル画像Irを非表示とする選択を行い、また、異常部品P02のうち任意の範囲の三次元領域を指定するとともに、この三次元領域を非表示とする選択を行うことができる。
【0160】
これらにより操作者は、端末表示面19a上において異常原因領域A021を容易に観察することができ、かつ、異常部品P02又は機械装置M全体に占める異常原因領域A021の位置や範囲を容易に把握することができる。
【0161】
このように、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irが画像生成サーバ装置12と通信回線を介して接続される外部端末装置17に表示されるため、操作者は、三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを機械装置Mの傍らで見る必要がなく、外部端末装置17により機械装置Mから遠く離れた遠隔地において見ることができる。
【0162】
例えば、操作者が機械装置Mを設置してある工場の中央制御室や事務棟、その工場の外などに位置している時でも、手元の外部端末装置17によって三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irを容易に見ることができる。このような用途のため、外部端末装置17はインターネットに接続されたタブレット型端末やノート型PCのような携帯端末でもよく、また、インターネットに接続され、かつ、事務棟に置かれたデスクトップ型PCのような固定端末でもよい。
【0163】
また、操作者は三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irにおける部品や三次元領域の指定、表示又は非表示の選択などの操作を機械装置Mの傍らで行う必要がなく、外部端末装置17により機械装置Mから遠く離れた遠隔地において行うことができる。そして、このような遠隔地において異常部品Pや異常原因領域Aの位置や範囲を把握した後に、機械装置Mの下に駆けつけて異常部品Pの修理又は交換のような機械装置Mの異常稼働状態の解消のための処置を行うことが可能となる。
【0164】
さらに、機械装置Mの異常稼働状態の種類によって、高温、高圧、発煙、蒸気の噴出、放射能汚染などの理由により直ぐに機械装置Mに近づくことが困難な場合であっても、操作者は、外部端末装置17を通じて、機械装置Mから離れた遠隔地において観察や操作を行うことが可能となる。
【0165】
図14~
図18は本発明の第7の実施形態を例示している。
図14(a)における21が画像生成表示システムである。
【0166】
画像生成表示システム21は、複数の部品を含む三基の機械装置Ma~Mcと画像生成装置22とを有する。各機械装置Ma~Mcは画像生成装置22の近くに所在し、例えば、同一の工場内に所在する。
【0167】
各機械装置Ma~Mcには、第1の監視センサーS21,S31,S41、第2の監視センサーS22,S32,S42、第6の監視センサーS26,S36,S46、第7の監視センサーS27,S37,S47及び第8の監視センサーS28,S38,S48が配設されている。なお、第1の監視センサー及び第2の監視センサーは、それぞれ第1の異常センサー及び第2の異常センサーと呼んでもよい。
【0168】
さらに、各監視センサーSはさまざまな種類のセンサーでよく、温度、圧力、流量、光、磁気、音、振動、速度、加速度、電流、電圧などの物理量やそれらの変化量を検出する素子を含む。こうした監視センサーSによって閾値やその閾値に達するまでの経過時間、その閾値に達した回数のような所定の物理量、変化量、時間、回数等が検出されるときに発生される信号を稼働状態信号又は異常信号という。このとき、一つの監視センサーが二種類以上の物理量、変化量、時間、回数等を検出してもよく、また、これに伴い二種類以上の稼働状態信号又は異常信号を発生させてもよい。
【0169】
画像生成装置22は、各監視センサーS21~S48に接続する通信手段23と、三次元CADデータ特定部24a、三次元モデル画像生成部24b及び多層式のニューラルネットNNを学習させるニューラルネット学習部24cを有するとともに、通信手段23に接続する処理手段24とを備える。
【0170】
このとき、各機械装置Ma~Mc及び画像生成装置22は互いに離れて所在してもよく、
図14(b)に示すように通信手段23が受信部23rを有し、各監視センサーS21~S48と受信部23rとがインターネット、無線、電話回線等の通信回線を介して接続してもよい。
【0171】
また画像生成装置22は、処理手段24に接続するとともに、ニューラルネットNNと、各機械装置Ma~Mcの稼働情報H,Sr,Siを時刻と共にログデータにより格納するログデータベースLDBとを記憶する記憶手段25を備える。記憶手段25は、ネットワークデータベース記憶部25aと三次元CADデータベース記憶部25bとログデータ記憶部25cと学習モデル記憶部25dとを有し、ログデータ記憶部25cがログデータベースLDBを記憶し、学習モデル記憶部25dがニューラルネットNNを記憶する。
【0172】
ところで、機械装置Mを保有する企業、機関等は、特開2017-68324号公報が公開する先行技術によって、異常が発生した後に異常発生のアラーム画面を表示することが可能であるのに対し、こうした異常の発生を予め推定し、これから発生する異常に備えて、交換用の部品を準備しておくなどの事前の対策を講じることができない。
【0173】
しかも、機械装置Mの構造が複雑となり、数多くの立体的な部品や部材が組み合わさって当該機械装置を構成するとき、上記の先行技術によって単に部品のレイアウトや配線を示す情報だけでは、異常の発生した箇所の縦、横及び奥行きから成る三次元的な位置や範囲を特定し、または、表示することが困難である。
【0174】
さらに、こうした部品や部材が重層的に組み合わさるとき、組み合わさった外側からでは異常の発生した箇所の特定及び表示が殊更に困難である。あるいは、例えば部品が円筒形状であり、異常箇所が内周面側に位置するときなどは、たとえ部品同士が組み合わさった状態でなくとも、その異常箇所を特定し、または、表示することが困難である。
【0175】
本実施形態は、こうした問題に鑑み、異常信号が発生するまでの残り時間を推定し、かつ、当該異常信号と関係する異常部品の三次元モデル画像である異常部品三次元モデル画像が生成されることにより、異常の発生する箇所や範囲を容易に特定し、かつ、表示することができる画像生成システムの提供を目的とする。
【0176】
図15のネットワークデータベースNDB6は、左端の列が示す2つの異常センサー(監視センサー)S21,S22と、中の列が示す、各異常センサーS21,S22が発する異常信号と、右端の列が示すこれらの異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P11との関係性である第1の関係性を行列データにより格納するデータベースである。
【0177】
図16に示すログデータベースLDBの例であるログデータベースLDB1は、左端から右端の列にかけて、順に機械装置名、稼働回、オペレーター識別情報H、日時、稼働状態情報Sr及び異常稼働状態情報Siを示す。
図16には、機械装置MaについてのログデータベースLDBが示されている。
【0178】
移動状態情報Srの欄には、それぞれの日時における機械装置Maの稼働状態を表すために、各監視センサーS26~S28と、それぞれの監視センサーS26~S28が発する稼働状態信号とが示される。また、異常稼働状態情報Siの欄には、同じく機械装置Maの異常稼働状態を表すために、その異常稼働状態を検知した第1の異常センサー(監視センサー)S21と、第1の異常センサーS21が発する異常信号とが示される。
【0179】
例えば、稼働回第1回目において、第1のオペレーターH01が2018年7月20日の9時5分に機械装置Maの図示しないメインスイッチを入れたため、第6の監視センサーS26がそれを検知し、稼働状態信号「ON」を発した。次に、9時8分30秒に図示しない第1の駆動装置のスイッチを入れ、かつ、時速10mの速度で駆動させたため、第7の監視センサーS27がそれらを検知し、稼働状態信号「ON 10m/h」を発した。さらに、9時9分に図示しない第2の駆動装置のスイッチを入れ、かつ、時速10mの速度で駆動させたため、第8の監視センサーS28がそれらを検知し、稼働状態信号「ON 10m/h」を発した。
【0180】
その後、9時14分に至った時、第1の異常センサーS21が1000℃以上の温度を検知したため、異常信号「1000℃以上」を発した。
【0181】
そして、9時15分に第1の駆動装置のスイッチと第2の駆動装置のスイッチとを切ったため、第7及び第8の監視センサーS27,S28がそれらを検知し、何れも稼働状態信号「OFF」を発した。さらに、9時15分30秒にメインスイッチを切ったため、第6の監視センサーS26がそれを検知し、稼働状態信号「OFF」を発した。
【0182】
11時30分以降については、第2のオペレーターH02による機械装置Maの操作により各監視センサーS26~S28がそれぞれの稼働状態信号を発した。
【0183】
ニューラルネット学習部24cはニューラルネットNNを学習させる。その上で、ニューラルネットNNを学習モデル記憶部25dに記憶させる。
【0184】
ニューラルネットNNの例を
図17に示す。ニューラルネット学習部24cは、例えば機械装置Maについて、
図16のログデータベースLDB1からオペレーター識別情報Hが第1のオペレーターH01であるログデータを、
図17に示す第1のニューラルネットNN1に入力する。
【0185】
第1のニューラルネットNN1は、階層構造を有するネットワークであり、
図17の左側から順に入力層、中間層及び出力層の3つに分かれている。
【0186】
中間層がn層から成り、第1のニューラルネットNN1はこの中間層に入力層及び出力層を加えたn+2層から成る多層式のニューラルネットである。
【0187】
入力層へは、例えば
図17の上から順に、第6の監視センサーS26が「ON」を発してから第7の監視センサーS27が「ON」を発するまでの秒単位の時間である第1の入力値x1と、第7の監視センサーS27が発するm/h単位の速度である第2の入力値x2と、第6の監視センサーS26が「ON」を発してから第8の監視センサーS28が「ON」を発するまでの秒単位の時間である第3の入力値x3と、第8の監視センサーS28が発するm/h単位の速度である第4の入力値x4とが入力される。
【0188】
中間層においては、これらの4つの入力値の例に対して、
図17の最も左上に位置する中間層ニューロンである中間層ニューロン01aにおいて、第1~第4の入力値x1~x4のそれぞれに対応する4つの結合係数w1~w4が設定される。中間層ニューロン01aは、出力値yaを出力する。出力値yaは連続値でもよく、また、0若しくは1でもよい。
【0189】
中間層ニューロン01aの一段下側に位置する中間層ニューロンである中間層ニューロン01bにおいても、中間層ニューロン01aと同様に第1~第4の入力値x1~x4のそれぞれに対応する4つの結合係数wが設定され、その出力値ybが出力される。その下側にも同様の中間層ニューロンが続く。
【0190】
第1列目の各中間層ニューロン01mの一列前側に位置する中間層ニューロンである第2列目の中間層ニューロン02mにおいては、第1列目の各中間層ニューロン01mから出力される各出力値ymのそれぞれに対応する結合係数wが設定される。さらにその前側へ第n列まで同様の中間層ニューロンが配置される。
【0191】
こうして、縦横に配置される各中間層ニューロンによって中間層が形成される。
【0192】
出力層からは、例えば第6の監視センサーS26が「ON」を発してから第1の異常センサーS21が1000℃以上の温度を検知して異常信号を発するまでの秒単位の時間である第1の出力値z1が出力される。
【0193】
第1のニューラルネットNN1の学習は、ニューラルネット学習部24cが例えば前向き演算と後向き演算とを繰り返すことにより行う。ニューラルネット学習部24cは、機械装置Maの場合にログデータベースLDB1からオペレーターH01が操作するときの第1~第4の入力値x1~x4と第1の出力値z1を第1のニューラルネットNN1に入力する。例えば、稼働回第1回目については、第1の入力値x1として210を、第2の入力値x2として10を、第3の入力値x3として240を、第4の入力値x4として10を、第1の出力値z1として540をそれぞれ入力する。稼働回第1回目後についても、第1のオペレーターH01が操作するときの入力値及び出力値x1~x4,z1を入力する。
【0194】
また、他の機械装置Mb,McがMaと同型機種の場合、機械装置Mb及び機械装置Mcの場合の第1のオペレーターH01が操作するときの入力値及び出力値x1~x4,z1をも全て第1のニューラルネットNN1に入力する。
【0195】
このとき、上で述べたような、第1のオペレーターH01による機械装置Maの稼働回第1回目における第1の出力値z1である540は、同じく稼働回第1回目における各入力値x1~x4に対応する教師出力である。そして、第1の出力値z1が540となるように各結合係数wを決定する。こうして決定された結合係数wを用いる前向き演算により入力値から出力値を求める。
【0196】
また、後向き演算により、前向き演算による出力値と教師出力との間の誤差が小さくなるように結合係数を修正する。例えば、前向き演算により得られた出力値と稼働回第1回目後の教師出力との差の2乗(2乗誤差E)が小さくなるように各結合係数wを繰り返し修正する。
【0197】
こうして学習された第1のニューラルネットNN1が学習モデル記憶部25dに記憶される。
【0198】
また、オペレーター識別情報Hが第2のオペレーターH02のログデータを図示しない第2のニューラルネットNN2に入力し、ニューラルネット学習部24cは、第1のニューラルネットNN1と同様に第2のニューラルネットNN2を学習する。こうして第2のニューラルネットNN2は学習された後、学習モデル記憶部25dに記憶される。
【0199】
三次元CADデータ特定部24aは、例えば第1のオペレーターH01が機械装置Maのメインスイッチを入れた後、記憶手段25の学習モデル記憶部25dに記憶されている第1のニューラルネットNN1の入力層に、各監視センサーS26,S27,S28が発する稼働状態信号に基づく第1~第4の入力値x1~x4を入力する。
【0200】
また、三次元CADデータ特定部24aは、第1のニューラルネットNN1を用いて出力された第1の出力値z1に従い、例えば第6の監視センサーS26が「ON」を発してから第1の異常センサーS21が1000℃以上の温度を検知して異常信号を発するまでの秒単位の時間を推定する。そして、第6の監視センサーS26が「ON」を発してから既に経過している秒単位の時間を差し引いて、推定時から第1の異常センサーS21が異常信号を発するまでの残りの秒単位の時間を計算して推定する。
【0201】
例えば、第6の監視センサーS26が「ON」を発してから第1の異常センサーS21が異常信号を発するまでの時間が540秒と推定され、かつ、同じく「ON」を発してから既に300秒が経過しているときは、残りの時間が240秒と推定される。
【0202】
さらに、三次元CADデータ特定部24aは、第1の異常センサーS21が異常信号を発することが推定される際、その異常信号と、
図15に示すネットワークデータベースNDB6とにより、当該発生が推定される異常信号を生じせしめる異常稼働状態の原因となる異常部品P11を特定する。以上で述べた以外の構成は、第3の実施形態と共通とする。
【0203】
三次元モデル画像生成部24bは、このように特定された異常部品Pを表すための三次元CADデータである異常部品CADデータDpに基づく異常部品三次元モデル画像Ipを生成する。また、正常部品を表すための三次元CADデータである正常部品CADデータDrに基づく正常部品三次元モデル画像Ir及び機械装置M全体を表すための三次元CADデータである全体CADデータDmに基づく全体三次元モデル画像Imを生成することができる。さらに、これらのうちの二以上の三次元モデル画像が重ね合わせられた複合三次元モデル画像Iiを生成することができる。
【0204】
図18は、三次元モデル画像生成部24bによって生成される、発生が推定される異常信号と関係する異常部品P11を表すための三次元CADデータである異常部品CADデータDp11に基づく異常部品三次元モデル画像Ip11の画像例を示す。このとき、
図18のように異常部品三次元モデル画像Ip11だけが表されるのでなく、正常部品三次元モデル画像Ir、他の異常部品三次元モデル画像Ip又は全体三次元モデル画像Imと重ね合わせられる複合三次元モデル画像Iiが表されてもよい。
【0205】
図18の画像例では、異常部品三次元モデル画像Ip11が、三次元CADデータ特定部24aによって推定される第1の異常センサーS21が異常信号を発するまでの残りの時間についての「今から240秒後に異常信号が生じます。」という表示と共に示されている。
【0206】
また、操作者は、異常部品P11のうち中心線C方向のスリットに相当する範囲の三次元領域を指定し、このスリット状の三次元領域を非表示とし、かつ、スリット状以外の範囲の三次元領域を表示する選択を行って、部分的に三次元領域を非表示とする部分非表示三次元モデル画像を生成することができる。これによって、
図18の画像例では見えなかった異常原因領域を容易に観察することができ、また、機械装置Ma全体や異常部品P11に占める位置や範囲を容易に把握することができる。
【0207】
このように、異常信号が発生するまでの残り時間が推定され、異常部品三次元モデル画像Ip11と共に
図18の画像例のように表示されることによって、機械装置Ma、画像生成装置22、または、機械装置Ma及び画像生成装置22を保有する企業、機関等は異常部品P11の交換用の部品を準備しておくなどの事前の対策を講じることができる。
【0208】
また、異常信号の発生が推定される異常部品三次元モデル画像Ip11が、正常部品三次元モデル画像Ir、他の異常部品三次元モデル画像Ip又は全体三次元モデル画像Imと重ね合わせられて表されることや、異常原因領域が表されることにより、後に修理や交換を必要とする三次元的な位置や範囲を早期に把握することができる。
【0209】
さらに、異常信号が発生するまでの残り時間が推定され、表示されることによって、オペレーターHが駆動装置の駆動速度を落とす、作業を中断して機械装置Mのメインスイッチを切るなどによって異常信号の発生を未然に避けることができる場合もある。しかも、オペレーターHは異常信号が発生しないように稼働状態を調整する、稼働状態情報Srや異常稼働状態情報Siの履歴から異常信号が発生する原因を追究する、余裕をもって交換用の部品を準備するなどといった対策を講じることができる。
【0210】
ニューラルネットNNは、オペレーターHごとに学習され、記憶されるため、異なるオペレーターHのログデータの影響を受けることなく、特定のオペレーターHの場合の異常信号が発生するまでの残り時間をより正確に推定することができる。
【0211】
企業、機関等が同型の機械装置Mを複数保有している場合、それらの機械装置Ma,Mb,Mcの入力値及び出力値x1~x4,z1をも一つのニューラルネットNNに入力して学習させることができるため、結合係数wを修正する機会をより多く得ることができる。
【0212】
図14(b)のように各機械装置Ma~Mb及び画像生成装置22が離れて所在する場合は、各機械装置Ma~Mcを画像生成装置22を保有する企業、機関等とは異なる企業、機関等が保有してもよい。
【0213】
なお、画像生成表示システム21が有する機械装置Mの基数は、
図14の機能構成図の例に示す基数である三基に限られず、一基若しくは二基でもよく、かつ、四基以上でもよい。
【0214】
また、オペレーターHの人数は、
図16のログデータベースLDBの例に示す人数である二人に限られず、これより多くても、また、これよりも少なくてもよい。
図16のログデータベースLDBの例には機械装置Maのログデータだけが入力されているが、機械装置Ma以外の機械装置Mのログデータが入力されていてもよい。
【0215】
さらに、三次元CADデータ特定部24aは、第1の出力値z1に従い、残りの時間を240秒と推定しているが、推定時間を一つに絞らずに、複数の推定値についての確率を示してもよい。この場合、三次元モデル画像生成部24bは、例えば「今から240秒後に異常信号が生じる確率は70%です。」のような表示を含む画像を生成してもよい。
【0216】
これらの表示とともに、アラーム部26bがアラーム音を鳴らして操作者の注意を喚起してもよい。
【0217】
画像生成表示システム21が
図13に示すような外部端末装置を有し、上で述べたような操作、表示、アラーム等がこの外部端末装置の端末表示処理手段によって行われてもよい。
【0218】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々の変更が可能である。
【0219】
例えば、機械装置Mは産業機械や工作機械のような単独の機械装置である必要はなく、複数の部品を含むものであれば、建築物や構造物を構成し、または、建築物や構造物に付属する機械装置であってもよい。
【0220】
また、異常センサーSは温度、圧力等の物理量やそれらの変化量を検出する素子を含むセンサーである必要はなく、異常稼働状態によって異常信号を発するものであれば、例えば部品や部品の一部分の欠損を検知するセンサーでもよい。
【0221】
配設される異常センサーSの数は各実施形態において例示した数に限られることがなく、これらよりも多くてもよく、また、これらよりも少なくてもよい。第7の実施形態における監視センサーSの数についても同様である。
【0222】
さらに、アラーム部6b,16b,26b又は端末アラーム部19bがアラーム音を鳴らす必要はなく、例えば、表示面6a,16a,26a又は端末表示面19aに表される三次元モデル画像Ii,Im,Ip,Irの点滅、色変化などにより操作者の注意を喚起する構成であってもよい。また、これらとアラーム音との組み合わせでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本発明は、異常部品三次元モデル画像を生成する画像生成装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0224】
1,11,21 画像生成表示システム
2 画像生成装置,12 画像生成サーバ装置,22 画像生成装置
3,13,23 通信手段
4,14,24 処理手段
5,15,25 記憶手段
6,16,26 表示処理手段
17 外部端末装置
18 端末処理手段
19 端末表示処理手段
M,Ma~Mc 機械装置
S,S01~S15 異常センサー
S21,S22,S31,S32,S41,S42 監視センサー(異常センサー)
S26~S28,S36~S38,S46~S48 監視センサー
P,P01,P02,P11 異常部品
A,A011~A022 異常原因領域
LDB,LDB1 ログデータベース
NDB,NDB1~NDB6 ネットワークデータベース
NN,NN1 ニューラルネット
Dp,Dp01,Dp02 異常部品CADデータ(三次元CADデータ)
Dr 正常部品CADデータ(三次元CADデータ)
Dm 全体CADデータ(三次元CADデータ)
Ii 複合三次元モデル画像(三次元モデル画像)
Ip,Ip01,Ip02,Ip11 異常部品三次元モデル画像(三次元モデル画像)
Ir 正常部品三次元モデル画像(三次元モデル画像)
Im 全体三次元モデル画像(三次元モデル画像)
S100,S200 画像生成方法
S110,S210 データベース記憶工程
S120,S220 異常信号受信工程
S130,S230 三次元モデル画像生成工程(異常部品三次元モデル画像生成工程)
S140,S240 三次元モデル画像表示工程