(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】現況測量図作成システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 7/04 20060101AFI20230126BHJP
G01C 11/04 20060101ALI20230126BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230126BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230126BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G01C7/04
G01C11/04
G09B29/00 Z
G06T7/00 650Z
G06T3/00 760
(21)【出願番号】P 2018210885
(22)【出願日】2018-11-08
【審査請求日】2021-11-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518398420
【氏名又は名称】片岡 一廣
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 一廣
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-165402(JP,A)
【文献】特開2016-085100(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134943(WO,A1)
【文献】特開2000-276045(JP,A)
【文献】特開2005-24370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 7/04
G01C 11/04
G09B 29/00
G06T 7/00
G06T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンにより撮影された画像に基づいて現況測量図を作成する現況測量図作成システムであって、
トラバー網図に基づいて、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得する画像取得手段と、
前記画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から
四則演算により補正率を算出して、
当該補正率に応じて、前記トラバー網図に設けたマス目に合うように、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行う縮率補正手段と、
前記縮率補正された各領域の画像を、
前記マス目に貼り付けて、現況測量図を作成する作成手段と、
を備える現況測量図作成システム。
【請求項2】
前記画像取得手段によって取得した画像の中から、前記基準点が中心になる画像を選択する画像選択手段と、
を備え、
前記縮率補正手段は、選択された画像の縮率補正を行うことを特徴とする請求項1記載の現況測量図作成システム。
【請求項3】
測定対象中に前記基準点が複数含まれており、
前記画像選択手段は、複数の基準点の各々が中心となる画像を選択することを特徴とする請求項2記載の現況測量図作成システム。
【請求項4】
ドローンにより撮影された画像に基づいて現況測量図を作成する現況測量図作成方法であって、
トラバー網図に基づいて、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得するステップと、
前記画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から
四則演算により補正率を算出して、
当該補正率に応じて、前記トラバー網図に設けたマス目に合うように、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行うステップと、
前記縮率補正された各領域の画像を、
前記マス目に貼り付けて、現況測量図を作成するステップと、
を備える現況測量図作成方法。
【請求項5】
コンピュータに、ドローンにより撮影された画像に基づいて現況測量図を作成する現況測量図作成処理を実行させるためのプログラムであって、
トラバー網図に基づいて、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得するステップと、
前記画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から
四則演算により補正率を算出して、
当該補正率に応じて、前記トラバー網図に設けたマス目に合うように、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行うステップと、
前記縮率補正された各領域の画像を、
前記マス目に貼り付けて、現況測量図を作成するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現況測量図作成システム、方法及びプログラムに関し、更に具体的には、ドローンを活用した現況測量図作成システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、現況測量図は、複数の基準点の高さを測量して作成することが知られている。この場合、測量対象に道路や川を含む場合、湾曲した形状や高低差がある箇所ごとに、多くの箇所を測量する必要があった。しかし、例えば、災害があった場所で測量を行う場合には、測量ができない箇所が多く、現況測量図が適切に作成できなかった。
【0003】
そこで、現在、ドローンを活用し、レーザによる標高の測定を行い、データを3次元化することによって、地表面の地図を作成することが知られている。例えば、下記特許文献1には、移動体を用いたレーザ測量における誤差補正に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような移動体及びレーザを用いた測量では、解析するソフトウェアが高価であり、仕組みも複雑である。そこで、ドローンを活かした簡易な手法で、現況測量図を作成することが望まれている。
【0006】
本発明は、以上の課題に鑑み、ドローンを活用して簡易に現況測量図を作成することができる現況測量図作成システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ドローンにより撮影された画像に基づいて現況測量図を作成する現況測量図作成システムであって、トラバー網図に基づいて、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得する画像取得手段と、前記画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から四則演算により補正率を算出して、当該補正率に応じて、前記トラバー網図に設けたマス目に合うように、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行う縮率補正手段と、前記縮率補正された各領域の画像を、前記マス目に貼り付けて、現況測量図を作成する作成手段と、を備える現況測量図作成システムを提供する。
【0008】
また、本発明は、ドローンにより撮影された画像に基づいて現況測量図を作成する現況測量図作成方法であって、トラバー網図に基づいて、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得するステップと、前記画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から四則演算により補正率を算出して、当該補正率に応じて、前記トラバー網図に設けたマス目に合うように、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行うステップと、前記縮率補正された各領域の画像を、前記マス目に貼り付けて、現況測量図を作成するステップと、を備える現況測量図作成方法を提供する。
【0009】
更に、本発明は、コンピュータに、ドローンにより撮影された画像に基づいて現況測量図を作成する現況測量図作成処理を実行させるためのプログラムであって、トラバー網図に基づいて、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得するステップと、前記画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から四則演算により補正率を算出して、当該補正率に応じて、前記トラバー網図に設けたマス目に合うように、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行うステップと、前記縮率補正された各領域の画像を、前記マス目に貼り付けて、現況測量図を作成するステップと、を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドローンによって撮影された測定対象の画像を、測量済みの基準点の標高に基づいて拡大又は縮小を行う縮率補正を行い、補正前の画像と入れ替えて2次元上に並べることで現況測量図を作成することとしたので、簡易な手法で、適切な現況測量図を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の現況測量図作成システムによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図2】前記実施形態の現況測量図作成システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】前記実施形態の現況測量図作成システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】前記実施形態の空撮測量のもととなるトラバー網図の一例である。
【
図5】前記トラバー網図に、ドローンの飛行位置を示す線を示した図である。
【
図6】前記ドローンの飛行ルートの確認資料となる仮現況写真図である。
【
図7】前記実施形態による全体写真構成図の作成手順の一例を示す模式図である。
【
図8】前記トラバー網図に、縮率補正した画像を貼り付ける単位となるマス目を設けた図である。
【
図9】縮率補正した画像を全マス目に貼り付けた完成型の現況測量図の一例である。
【
図10】前記実施形態における標高差による縮率補正処理の概念を示す模式図である。
【
図11】前記実施形態における標高差による縮率補正処理の概念を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ドローンによって撮影された測定対象の画像を、測量済みの基準点の標高に基づいて拡大又は縮小を行う縮率補正を行い、補正前の画像と入れ替えて2次元上に配置することで、現況測量図を作成するものである。以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【0013】
<実施形態の概要>・・・最初に、
図1を参照して、本実施形態の現況測量図作成システムの概要を説明する。
図1は、本実施形態の現況測量図作成システムによる処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、一定の高さを飛行するドローンによって測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得する(ステップS10)。測定対象には、複数の測量済みの基準点が含まれるものとする。取得する画像は、動画や連写された多数の静止画であってもよい。
【0014】
次に、取得した画像の中から、前記基準点に適した画像を選択して抽出する(ステップS12)。なお、本実施形態でいう「基準点に適した画像」とは、基準点を画像処理の基準として用いることができる画像である。例えば、所定幅(例えば10m)の直線状の領域の中央線上に基準点が位置する場合を意味する。このような画像の選択は、複数の基準点の各々について行われる。
【0015】
そして、抽出された画像の縮率補正処理を行う(ステップS14)。縮率補正は、前記ステップS12で選択された画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から補正率を算出して、画像を拡大又は縮小する縮率補正を行うものである。また、補正の必要がない場合には、補正率は1:1として、そのままの画像を次のステップS14で使用する。
【0016】
最後に、縮率補正された各領域の画像を、縮率補正前の画像を入れ替えて、2次元上に並べ、現況測量図(現況測量写真図)を作成する(ステップS16)。このとき、標高の高低差が大きい箇所については、高い場所と低い場所にそれぞれ前記基準点を設けて、各基準点を中心に縮率補正後の画像を配列することで、拡大・縮小の割合の誤差が小さい現況測量図が完成する。
【0017】
<システムのハードウェア構成>・・・次に、
図2を参照して、現況測量図作成システムのハードウェア構成を説明する。現況測量図作成システム(以下単に「本システム」とする)10は、プロセッサ12、メモリ14、ストレージ16、通信部18を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ14に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。前記メモリ14は、CPU12により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、
図3に示す各種手段が記憶されている。
【0018】
ストレージ16は、基準点データ16A、撮影画像16Bや、図示しない制御プログラムなどを記憶するものである。基準点データ16Aは、複数の基準点についてのX座標、Y座標、Z座標を、基準点ごとに記憶したものである。また、基準点データのほかに、後述する「単点」についての測量データもストレージ16に記憶しておく。撮影画像16Bは、ドローン80に搭載したカメラ82(
図10及び
図11参照)によって撮影された画像であって、動画でも静止画であってもよい。通信部18は、ネットワークを介して、ドローン80によって空撮された画像を取得するものである。
【0019】
<システムの機能構成>・・・次に、
図3を参照して、本システムの機能構成を説明する。システム100は、画像取得手段20と、画像選択手段2と、縮率補正手段24と、現況測量図作成手段26とを備える。
【0020】
画像取得手段20は、一定の高さ(例えば、基準標高高さから100mなど)を飛行するドローン80によって、測定対象を真下に捉えて空撮された画像を取得するものである。取得した画像は、ストレージ16に撮影画像16Bとして記憶される。
【0021】
画像選択手段22は、前記画像取得手段20によって取得した画像の中から、前記基準点に適した画像を選択するものである。「基準点に適した画像」とは、例えば10m幅の直線状の測定対象領域の中央線上に基準点が存在している画像である。選択される画像は、動画から一連の静止画にしたものであってもよいし、連続撮影された多数の静止画の中から抽出されたものであってもよい。
【0022】
縮率補正手段24は、前記画像選択手段22で選択された画像を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに、測量済みの基準点の標高から補正率を参照して、画像を拡大又は縮小する縮率補正処理を行うものである。例えば、測定対象が、標高差がある部分である場合、一定の高さで飛行するドローン80から撮影された画像は、地盤面が基本標高高さよりも高い地点での画像は拡大し、地盤面が基本標高高さよりも低い地点での画像は縮小されて撮影される。縮率補正手段24は、このような補正率を勘案して、撮影画像の縮率補正処理を行う。
【0023】
現況測量図作成手段26は、前記縮率補正された各領域の画像を、縮率補正前の領域の画像と入れ替えて2次元上に配列し、現況測量写真60(
図9参照)を作成する。基準点が複数ある場合には、各基準点を縮率補正の基準とする複数の画像を取得・選択し、これら複数の画像の各々について、画像を複数の領域に分割し、分割した各領域に上述した縮率補正後の画像を配置することで、現況測量図を作成する。
【0024】
<ドローンによる空撮>・・・次に、ドローン80のカメラ82による測定対象の空撮について説明する。なお、ドローンによる測定対象の撮影は、本形態では事前準備として行われるものである。
図4は、ドローンによる空撮測量のもととなるトラバー網
図30である。トラバー網
図30には、基準点32A、32B、・・・の複数の基準点が含まれる。このトラバー網
図30に基づいて現況測量図を作成するために、ドローン80の飛行位置を決める必要がある。
図5は、
図4のトラバー網
図30に、X軸方向に10m幅の縦線40を引き、当該縦線40を現場でドローン80を飛行させる位置とする。図示の例では、ドローン80を12回飛行させることとなる。
【0025】
実際に空撮動画撮影を行う場合には、
図6に示すような仮現況写真
図60を事前に作成する。
図6に示す仮現況写真
図60は、写真図に、
図5の縦線40を写したものである。現地でのドローン80による空撮の際には、この仮現況写真
図60を飛行ルート確認の資料として用いる。
【0026】
また、飛行ルートの確認や飛行方向の確認のため、現地のモニターで分かるような目標物を置くとよい。目標物としては、例えば、カラーコーンなどを、一列(ドローン80が一回の飛行で飛行する経路)に対して、2~3個程度配置する。なお、カラーコーン以外の目標物として、マット状の対空標識や、パラソル型の光源を有する対空標識や、反射対応型の対空標識や、高所に適した対空標識などを併用してもよい。
【0027】
<本システムによる現況測量図手順>・・・まず、
図7を参照して、本実施形態のシステム100における全体写真構成図の作成手順の一例を示す。
図7(A)には、測定対象中の複数の直線状の領域L1~L3が示されている。領域L1の中心線40上には基準点32Cがあり、領域L3の中心線40上には、別の基準点32Dが存在する。領域L2については、図示した範囲外の部分に、基準点が存在するものとする。
【0028】
システム100は、各領域L1~L3の中心線を直下に捉えてX軸方向に一定の高さで飛行するドローン80のカメラ82によって撮影された画像70を、画像取得手段20により取得する。そして、領域L1の中心線に沿って飛行するドローンで撮影された画像70Aから、
図7(B)に示すように、領域L1に相当する部分の画像を選択する。同じく、領域L2の中心線に沿って飛行するドローンから撮影された画像70Bから、領域L2に相当する部分の画像を選択する。同じく、領域L3の中心線に沿って飛行するドローンから撮影された画像70Cから、領域L3に相当する部分の画像を選択する。このような画像の選択は、画像選択手段22により行われる。
【0029】
このように、各領域L1~L3の中心線に沿って飛行するドローン80から測定対象の領域を真下に捉えた画像を取得し、取得した画像を、
図7(C)に示すように配列することで、全体写真構成図が作成される。なお、本実施例では、実際には12本の動画が撮影され、各動画から12本の静止画を得て配列する。
【0030】
図8には、前記トラバー網
図30に、縮率補正した画像を配列するマス目を設けた図が示されている。マス目Mは、例えば、縦線42と横線50により囲まれた正方形であって、一辺が10mのマス目である。このマス目Mごとに、縮率補正手段24が、測量済みの基準点との標高の高さを勘案した拡大又は縮小の縮率補正処理を行う。そして、現況測量図作成手段62が、縮率補正した画像を、縮率補正前の画像と入れ替えて、全てのマス目Mに貼り付けることで、現況測量図を作成する。
【0031】
ここで、
図10及び
図11を参照して、基準点の標高を基準とする画像の縮率補正処理の一例について説明する。
図10及び
図11に凹凸面で示された地盤面を測定対象として、一定の高さを飛行するドローン80のカメラ82によって、各マス目を直下に捉えた画像を撮影する。ドローン80の飛行高さは、例えば、基本標高に対して100m上空とする。なお、基本標高は、測量済みの基準点のZ座標に基づいて設定される。
【0032】
以上の設定の場合、
図10及び
図11における地盤面上の位置P1の補正前の元画像90は、基本標高よりも高い位置で撮影されているため、拡大画像となる。例えば、位置P1の標高が、基本標高よりも18m高い場合、写真補正対比率は、「100-18.00=82.00」を100で割り、0.82(1:0.82)となる。一方、写真図補正対比率は、位置P1を中心とする正方形の1辺が8.2mとすると、元画像90の面積が、8.20×8.20=67.24m
2であって、基本面100に形成されるマス目M一つの面積100m
2に対して0.67倍の面積になっている。ここで、縮率補正手段24は、前記元画像90をマス目Mの面積に合うように拡大処理(1辺につき1/0.82≒1.22倍)の処理を行う。面積としては、1.22×1.22=1.49倍(100÷0.67=149)となる。位置P1の標高点の算出方法は、公知のトラバー測量と同様に、プロット方式の地上測量で行う。以下の位置P2及びP3も含め、必要とされる箇所(単点)についても同様に測量を行い、計算に必要な標高点を得ておく。
【0033】
逆に、
図10及び
図11における地盤面上の位置P3の補正前の元画像94は、基本標高よりも低い位置で撮影されているため、縮小画像となる。例えば、位置P3の標高が、基本標高よりも15m低い場合、写真補正対比率は、「100+15.00=115.00」を100で割り、1.15(1:1.15)となる。一方、写真図補正対比率は、位置P3を中心とする正方形の1辺が11.5mとすると、元画像94の面積が、11.50×11.50=132.25m
2であって、基本面100に形成されるマス目M一つの面積100m
2に対して1.32倍の面積になっている。ここで、縮率補正手段24は、前記元画像94をマス目Mの面積に合うように縮小処理(1辺につき1/1.15≒0.87倍)の処理を行う。面積としては、0.87×0.87=0.76倍(100÷132.25=0.76)となる。
【0034】
一方、
図10及び
図11における地盤面上の位置P2の補正前の元画像92は、基本標高と同じ高さで撮影されているため、拡大・縮小のない画像となる。この場合、写真補正対比率は、1:1となる。また、写真図補正対比率は1.0倍となる。したがって、縮率補正手段24は、前記元画像92については、縮率補正を行わない。
【0035】
以上の手順で縮率補正された補正後画像90A、94Aと元画像92を、基本面100の各マス目に並べることで、
図9に示す現況測量図(現況測量写真図)60が作成される。なお、本実施形態において、高低差が極端に大きい箇所(例えば、石垣など)は、拡大・縮小の割合に誤差が生じにくいように、高い部分と低い部分のそれぞれ基準点を設けて、その周辺で画像を切り抜いて補正処理することによって、誤差の小さい画像を配列することができる。
【0036】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、ドローンによって撮影された測定対象の画像を、測量済みの基準点の標高に基づいて拡大又は縮小を行う縮率補正を行い、補正前の画像と入れ替えて2次元上に並べることで現況測量図を作成することとしたので、簡易な仕組みで適切な現況測量図を作成できる。
【0037】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、本発明は、サーバで実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された状態で提供されていてもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。また、本発明は、方法の発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、ドローンによって撮影された測定対象の画像を、測量済みの基準点の標高に基づいて拡大又は縮小を行う縮率補正を行い、補正前の画像と入れ替えて2次元上に並べることで現況測量図を作成することとしたので、現況測量図作成システムとして好適である。
【符号の説明】
【0039】
10:現況測量図作成システム
12:プロセッサ
14:メモリ
16:ストレージ
16A:基準点データ
16B:撮影画像
18:通信部
20:画像取得手段
22:画像選択手段
24:縮率補正手段
26:現況測量図作成手段
30:トラバー網図
32A~32D:基準点
40、42:縦線
44:仮現況写真図
50:横線
60:現況測量図
70A~70C:画像
80:ドローン
82:カメラ
90、92、94:元画像
90A、94A:補正後画像
100:基本面
H:基本標高高さ
L1~L3:領域
M:マス目
P1~P3:位置