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特許7217007排尿情報分析装置、排尿情報分析システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】排尿情報分析装置、排尿情報分析システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/20 20060101AFI20230126BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A61B5/20
A61B8/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019036574
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020137870
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519072187
【氏名又は名称】一般社団法人日本排尿デザイン研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松村 太陽
(72)【発明者】
【氏名】小野 隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悟
(72)【発明者】
【氏名】角 耀
(72)【発明者】
【氏名】吉村 美和子
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043274(JP,A)
【文献】国際公開第2005/099582(WO,A1)
【文献】特開2014-023813(JP,A)
【文献】特開2017-006597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/20
A61B 8/00 - 8/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した膀胱内尿量の時系列データに基づき、比較対象の前後の前記膀胱内尿量の差分を求め、求めた差分尿量が大きいものを排尿候補として複数選択する機能と、
その選択された複数の前記排尿候補に対し、それぞれその後の前記膀胱内尿量が増加する速さを求め、その速さが基準を超える場合、その基準を超える基となる前記排尿候補を削除する機能と、
その削除がされずに残った前記排尿候補に基づき排尿した時期を決定する機能
を備えることを特徴とする排尿情報分析装置。
【請求項2】
前記膀胱内尿量の時系列データを構成する各測定値がゼロのものを取り除き、その取り除いた後の前記膀胱内尿量の時系列データに対して、前記排尿候補を選択する処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の排尿情報分析装置。
【請求項3】
前記膀胱内尿量の時系列データを構成する各測定値が連続して下がっている区間では、下がり初めと下がり終わり以外の中間の前記各測定値を取り除き、その取り除いた後の前記膀胱内尿量の時系列データに対して、前記排尿候補を選択する処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の排尿情報分析装置。
【請求項4】
前記決定した排尿した時期の前記膀胱内尿量に基づきその排尿に伴う排尿量、その排尿の直後の残尿量、その排尿の直前の蓄尿量の少なくとも一つを求める機能を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の排尿情報分析装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の排尿情報分析装置に用いられる機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項6】
被測定者に一定期間取り付けた状態で定時で前記被測定者の膀胱内尿量を測定し、記録する測定器と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の排尿情報分析装置とを備え、
前記排尿情報分析装置が分析する前記膀胱内尿量の時系列データは、前記測定器で測定し、記録したデータであることを特徴とする排尿情報分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排尿情報分析装置、排尿情報分析システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレで自分で排泄することは、人間が人間らしく生活するための基本である。例えば、自分で排尿できずにおむつを装着するようになると認知症の程度が進み、おむつが取れてトイレで自分で排尿することができるようになることで認知症が改善されたりする現象を生じることがある。おむつを用いることなく自分で排尿するためには、自分の膀胱機能を知る必要がある。
【0003】
膀胱機能が正常か否かの判断を行う技術として、例えば特許文献1の段落番号[0002]には、「要介護者の膀胱機能が、正常であるのか否かの判断は、現実的にはこれまで、例えば1時間毎に、介護者である看護師等が、要介護者に着用させた使い捨ておむつに排尿しているか否かを確認し、排尿している場合には、失禁量を測定し、そして例えば超音波残尿測定専用器を用いて、要介護の残尿量を測定することを繰り返し、測定結果を蓄積して判断していた。そして正常でない場合には、要介護の膀胱機能に関して、蓄積した測定結果から、残尿量は少ないが、尿を溜めるべき蓄尿期に膀胱が勝手に収縮し、尿意切迫感、頻尿或いは切迫性尿失禁などの蓄尿症状が出現する過活動膀胱であるか、或いは、排尿時の膀胱収縮が障害されており、残尿量の多い低活動膀胱であるかを判断していた。」と記載されている。
【0004】
そして、この特許文献1に開示された発明は、ユーザが排尿を検知するセンサ素子の取り付けられた着用物(おむつ等)を装着し、実際に排尿したことを介護者等に通知し、介護者は、排尿したタイミングで着用物(おむつ等)の重量等を計測して失禁量を計測し、超音波残尿測定専用器を用いて、要介護者の残尿量を測定し、測定結果を例えば排尿日誌に記録することを繰り返し行う。そして、記録した排尿日誌に基づき、例えば医師が膀胱機能の状態を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-120261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した膀胱機能の判断を行うためのデータを蓄積するためには、対象となる要介護者が排尿する都度、おむつを外して失禁量を計測するとともに超音波残尿測定専用器を用いて残尿量を測定し記録する作業を行う必要があり、介護者・要介護者ともに作業が繁雑となる。例えば膀胱機能を判断する要介護者が施設に入居しており、係る要介護者が複数存在する場合、介護者の労力がさらに増加する。また、要介護者が頻尿の場合、一日に排尿する回数が多く、それに伴い記録するための作業回数も多くなるため、上述した煩雑さが増す。
【0007】
また、上述した従来のシステムでは、おむつや、排尿を検知するセンサ素子の装着が必須であり、例えば、自分でトイレで排尿できるユーザに対しては、適用できない。適用するためには、あえておむつを着用する必要があり、好ましくない。
【0008】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上述した課題を解決するために、本発明の排尿情報分析装置は、取得した膀胱内尿量の時系列データに基づき、比較対象の前後の前記膀胱内尿量の差分を求め、求めた差分尿量が大きいものを排尿候補として複数選択する機能と、その選択された複数の前記排尿候補に対し、それぞれその後の前記膀胱内尿量が増加する速さを求め、その速さが基準を超える場合、その基準を超える基となる前記排尿候補を削除する機能と、その削除がされずに残った前記排尿候補に基づき排尿した時期を決定する機能を備えて構成する。
【0010】
(2)前記膀胱内尿量の時系列データを構成する各測定値がゼロのものを取り除き、その取り除いた後の前記膀胱内尿量の時系列データに対して、前記排尿候補を選択する処理を行うようにするとよい。
【0011】
(3)前記膀胱内尿量の時系列データを構成する各測定値が連続して下がっている区間では、下がり初めと下がり終わり以外の中間の前記各測定値を取り除き、その取り除いた後の前記膀胱内尿量の時系列データに対して、前記排尿候補を選択する処理を行うようにするとよい。
【0012】
(4)前記決定した排尿した時期の前記膀胱内尿量に基づきその排尿に伴う排尿量、その排尿の直後の残尿量、その排尿の直前の蓄尿量の少なくとも一つを求める機能を備えるとよい。
【0013】
(5)本発明に係るプログラムは、(1)から(4)のいずれか1項に記載の排尿情報分析装置に用いられる機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとするとよい。
【0014】
(6)本発明に係る排尿情報分析システムは、被測定者に一定期間取り付けた状態で定時で前記被測定者の膀胱内尿量を測定し、記録する測定器と、(1)から(4)のいずれかに記載の排尿情報分析装置とを備え、前記排尿情報分析装置が分析する前記膀胱内尿量の時系列データは、前記測定器で測定し、記録したデータとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、被測定者に対し一定期間測定して得られた膀胱内尿量の時系列データに基づき、その被測定者が排尿した時期を決定することができる。このように排尿した時期を決定することで、例えば、一定期間(例えば一日)における排尿回数や、排尿した時期の前後の膀胱内尿量から排尿量や蓄尿量や残尿量などの情報が容易にわかる。
【0016】
本発明では、取得した膀胱内尿量の時系列データに基づき排尿した時期を決定するため、膀胱内尿量が計測できれば良く、従来のようにおむつの装着が必須ではなく、おむつ装着者・非装着者の何れにも適用できる。一定期間計測した膀胱内尿量の時系列データに基づいて排尿の時期を決定するので、排尿する都度、その直後にわざわざ残尿量を測定し記録する作業を行う必要もない。よって、例えば被測定者が複数存在したり、一日に排尿する回数が多かったりしても作業が増すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る排尿情報分析装置の好適な一実施形態を示す図である。
図2】膀胱内尿量の履歴データの一例を示すグラフである。
図3】分析処理アルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図4】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
図5】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
図6】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
図7】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
図8】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
図9】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
図10】分析処理アルゴリズムの機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の排尿情報分析装置10は、膀胱機能を判断する被測定者の腹部の所定位置に装着する残尿測定器1で測定した被測定者の残尿量の時系列データに基づき、排尿した時点を検知し、検知した排尿の前後の残尿量から排尿量を算出などの所定の情報を求め、求めた情報を記録出力する機能を備える。
【0020】
残尿測定器1は、図示省略するケース本体の表面に、接着シートなどの被測定者の身体(腹部)に取付けるための取付部を備える。ケース本体の内部には、超音波センサ3、制御部4、メモリカードスロット5、表示部6等を備える。
【0021】
超音波センサ3は、反射型のセンサであり、本形態では、被測定者の膀胱の体積を計測するためのものである。メモリカードスロット5は、SDメモリカード2を着脱自在に装着するためのもので、装着した状態でSDメモリカード2に対しデータの読み書きを行う。表示部6は、例えばケース本体の表面に配置され、例えば液晶ディスプレイからなり、測定結果等を表示する。
【0022】
制御部4は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、図1に示すように上述した各部と接続される。残尿測定器1における機能は、例えば制御部4に有するCPUが実行するファームウェアとして制御部4のNANDFlashメモリに格納され、これを制御部4に有するCPUが実行することで実現する。
【0023】
本形態では、制御部4は、設定されたサンプリングタイムごとに超音波センサ3を動作させてスキャンし、膀胱の体積を求める。サンプリングタイムは、例えば1分とすると良い。制御部4は、求めた体積に基づく残尿量を、日時データと関連付けてSDメモリカード2に記録する。日時データとの関連付けは、例えば、個々の残尿量のデータと日時データを紐付けても良いし、例えば定時に計測した残尿量のデータは当該定時日時データと紐付けし、その後の計測データは、時系列で記録することで、その後に定時から何番目のデータかに基づき日時が求められるようにしてもよい。
【0024】
また制御部4は、残尿量を求める都度、求めた残尿量を表示部6に出力する。これにより、被測定者等は、表示部6を見ることで現在の残尿量をリアルタイムで知ることができ、排尿時期が近いか否かなどを確認できる。また、制御部4は、表示部6に表示する残尿量を、次に残尿量を測定するまでホールドすると良い。
【0025】
上記の残尿測定器1を用いると、被測定者に装着し続けることで例えば24時間連続して残尿量の時系列データを取得することができ、数日間さらにはそれ以上の長期にわたっての連続した残尿量の履歴の記録も可能となる。このようにして求めた残尿量の時系列データは、SDメモリカード2に記録される。
【0026】
よって、例えばメモリカードスロット5からメモリカードを取り出し、本発明に係る排尿情報分析装置10に装着してデータを取り込み、排尿情報分析装置10にて分析することで、排尿支援に有用な各種の情報を抽出することができる。具体的には以下の通りである。
【0027】
本形態の排尿情報分析装置10は、制御部11、メモリカードスロット12、表示部13、記憶部14、入力部15等を備える。この排尿情報分析装置10は、例えばパーソナルコンピュータなどにより構成され、上記の各機器・処理部等のハードウェア構成は、パーソナルコンピュータが備える機器等で実現する。
【0028】
メモリカードスロット12は、SDメモリカード2を着脱自在に装着するためのもので、装着した状態でSDメモリカード2に対しデータの読み書きを行う。本形態のメモリカードスロット12は、例えば、残尿測定器1で測定した残尿量の時系列データを記録したSDメモリカード2を装着し、その記録した時系列データを読み込むために用いる。メモリカードスロット12は、パーソナルコンピュータに実装されたもの或いは当該パーソナルコンピュータ本体に外付けされるカードリーダ等により実現する。
【0029】
記憶部14は、SDメモリカード2から読み込んだ時系列データを記憶したり、その時系列データに基づき分析した結果等を記憶したりする。この記憶部14は、例えばパーソナルコンピュータの内部記憶装置や外付けの記憶装置等により実現する。
【0030】
表示部13は、例えば上述の読み込んだ時系列データや、分析結果などの情報を表示するものである。この表示部13は、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイモニタにより実現すると良い。
【0031】
入力部15は、制御部11に対して各種の指示等を入力するものである。この入力部15は、例えばパーソナルコンピュータのキーボードやディスプレイモニタにより実現すると良い。
【0032】
制御部11は、例えばパーソナルコンピュータのCPU,MPU等により実現され、排尿支援を行うための情報の収集・分析・出力等を行う。例えば、制御部11は、メモリカードスロット12の動作を制御し、上述したようにメモリカードスロット12に装着されたSDメモリカード2に記録された時系列データを読み込み、その読み込んだ時系列データを記憶部14に書き込む。また、制御部11は、所定の時系列データを取得し、所定の分析処理を実行し、排尿時期、回数、排尿量、残尿量などの排尿支援に有用な各種の情報を求める。そして制御部11は、求めた排尿支援のための情報を、表示部13に表示したり、記憶部14に記録したりするなどの各種の出力処理を実行する。制御部11が備える分析処理機能の一例を示すと、以下の通りである。
【0033】
図2は、残尿測定器1で求めた残尿量の時系列データの一例等をグラフ表示したものである。図中横軸は時刻であり、縦軸は膀胱内尿量(残尿量)である。残尿測定器1で測定・記録し、排尿情報分析装置10に転送した時系列データは、サンプリングタイムごとに測定した膀胱内尿量の値を時系列に記録したものであり、図2中の折れ線グラフ中のポイント(ドット)部分が当該測定したデータである。制御部11は、取得した時系列データを表示部13に表示するに際し、当該測定したデータに対応するグラフ中の座標位置にポイントを表示するとともに隣接するポイントを繋ぐように折れ線を描画する。また、図2は、後述する分析処理アルゴリズムを実行し、排尿時期(排尿直前・直後)を求めた結果を合わせて描画したグラフである。さらに、グラフの上方には、人手によるマニュアル作業で排尿時期を記録した排尿日誌の記録データに基づく排尿時期を示している。
【0034】
図2に示した例では、9時頃に排尿して膀胱内尿量が一旦低下し、その後徐々に増加する。その後15時前に排尿し残尿量が300ml弱あったものが0になる。以下同様の傾向を繰り返し、膀胱内尿量のグラフは、概略三角形が繰り返す三角波のような形状となる。そして、残尿測定器1は、皮膚につけているため、残尿測定器1が動いたり、体・体表面が動くことから超音波の照射位置がずれたりする。そして、膀胱の内壁には多数のひだが存在しているため、照射位置に多少のずれがあっても、超音波が当たるひだの位置が変わることで照射方向の深さの変動量が大きく、測定値の影響が大きくなる。これにより、測定値は図示するようにギザギザとなったり、急に0になったりする。
【0035】
実際の膀胱内尿量は、排尿しない限り一定或いは徐々に増加していて減少することはないので、図示するようにギザギザの態様は、測定誤差・ノイズの影響であり、また、排尿しないのに急に膀胱内尿量が0になったり、急激に減少したりすることも無いので、係る事象の発生は誤検出・測定エラーに基づくものである。
【0036】
制御部11に実装される分析処理アルゴリズムは、上述した測定誤差・ノイズや、誤検出・測定エラーの影響を除去し、排尿時期(排尿直前の時刻・排尿直後の時刻)を抽出し、その排尿直前の膀胱内尿量と排尿直後の膀胱内尿量を取得し、それらの膀胱内尿量から排尿量その他の排尿支援に有用な情報を抽出する。具体的には、制御部11が実行する分析処理アルゴリズムは、例えば、図3に示すフローチャートのようにするとよい。
【0037】
本形態の本分析処理アルゴリズムは、1日間の測定結果に対し排尿検知を行い、上述した各種の情報を抽出するようにしている。そのため、残尿測定器1で計測して記録する時系列データは、24時間ごとにSDメモリカード2を取り外し、排尿情報分析装置10にセットして時系列データを排尿情報分析装置10に取り込む運用とすると良い。また、残尿測定器1で24時間以上連続して時系列データを記録した場合、排尿情報分析装置10の制御部11は、取得した時系列データのうちの連続して24時間のデータに基づいて分析すると良い。
【0038】
まず、制御部11は、記憶部14にアクセスし、分析対象の膀胱内尿量(残尿量)の時系列データを取得する(S1)。取得する時系列データの特定は、例えば、入力部15から入力された指示に基づき制御部11が記憶部14に記録した時系列データのリストを表示部13に表示する。被測定者その他のユーザ等は、表示されたリストから分析対象の時系列データを見つけ、入力部15を用いて指定する。制御部11は、かかる入力部15から与えられる指定情報に基づき、分析対象の時系列データを特定すると良い。また、SDメモリカード2を介して排尿情報分析装置10に取り込む時系列データに被測定者を特定する情報を関連付けると良く、そのようにすると被測定者を検出キーして分析対象の時系列データを絞り込めるので良い。
【0039】
次に制御部11は、取得した時系列データから各種のノイズ等、分析に不要・悪影響を与えるデータを除去する。まず制御部11は、測定値が0mlの場合、それを取り除く(S2:図4参照)。例えば排尿をして膀胱内尿量(残尿量)が減少したとしても、一般に膀胱内尿量が0mlになることはなく、量の多少はあってもいくらかの尿は残っている。そのため、測定値が0mlの場合、正しい値ではないと判断できるため削除する処理を行うようにした。
【0040】
次に制御部11は、上記の処理後の時系列データ中から、測定値が連続して下がるものを抽出し、その間の値を取り除く(S3:図5参照)。すなわち、測定値が連続して低下している場合は、同一の排尿中に計測した測定値の可能性が高いため、取り除くようにした。この取り除き処理により、連続して低下している場合の低下開始時(排尿直前)の測定値と、低下終了時(排尿直後)の測定値が残り、その中間の測定値が削除される。このように中間の測定値のデータを削除することで、一回の排尿の前と直後の測定値が残り、その残った測定値は処理後の時系列のデータで前後に並んだ値となる。そして、かかる連続して低下した区間が、排尿をしている区間の場合、そのように前後に並んだ測定値の差分が、排尿量となる。
【0041】
そして上記の測定値が連続して下がっている区間の間の値を取り除く具体的な処理は、例えば以下のようにすると良い。制御部11は、時系列に並んだ各測定値を前後で比較し、例えば、はじめの値を(1)、次の値を(2)、その次の値を(3)としたとき、(2)が(1)未満で、(3)が(2)未満の場合に(2)の値を取り除く。これを繰り返し、最小になる値を求める。また測定した値のはじめの値から1つずつ順に行う。図5に示す例では、まず時系列に並んだ(1),(2),(3)の3つデータをそれぞれ比較し、上記の取り除きの条件を満たす(2)が取り除かれる。ついで、(1),(3),(4)の3つデータをそれぞれ比較し当該条件を満たす(3)が取り除かれる。これにより、(1)と(4)が残る。
【0042】
次に、制御部11は、処理ステップS3を実行して得られたデータ(取り除かれずに残ったデータ)に対し、ある回で得られた測定値と次の測定値の値の差分を求め差分尿量として記録する(S4)。比較対象の次の測定値は、処理ステップS3の実行により取り除かれたデータがある場合、残った次の測定値であり、取り除かれたデータが無い区間ではサンプリングタイムで計測した次の測定値である。
【0043】
なお、最終的に検出したい排尿した場合には、ある回で得られた測定値より次の測定値の方が小さく膀胱内尿量が低下するため、当該低下した関係にある前後の値の差分のみを求め、排尿されずに蓄尿されて次の測定値の方が大きいものは差分尿量を求めないようにしても良いが、蓄尿に伴う差分尿量は、排尿時の差分尿量と比較し非常に小さく、差分の大きさで排尿か否かを識別できる。そこで、本実施形態のように「次の測定値の方が小さいか否か」の判定処理を行うことなく順次差分を求めることで、アルゴリズムを簡易化し、高速処理できるのでより好ましい。
【0044】
次に制御部11は、処理ステップS4で得られた差分尿量が大きい順に番号を振り、設定された基準数までのものを排尿候補とする(S5)。基準数は、例えば10とすると良い。上述したようにノイズ等の影響から、排尿してから次の排尿までの区間でも、測定値は増減しながら上昇していくことがあり、ある回で得られた測定値より次の測定値の方が小さく処理ステップS4で差分尿量として抽出されることがある。一方、実際の排尿の前後の測定値に基づく差分尿量も抽出され、その差分は上記のノイズに基づくものに比べて十分に大きい。そこで差分尿量が大きい順に所定数をピックアップすることで、ノイズ等に基づく差分尿量が抽出されないようにし、ノイズ等の影響が出ないようにした。さらに、一般に頻尿と言われる人でも一日の排尿回数は10回に満たないため、基準数を10とすると、排尿に基づく差分尿量を確実に抽出すると共に、排尿以外に基づく差分尿量が抽出されるのを可及的に抑制することができるので良い。
【0045】
次に制御部11は、得られた排尿候補のうち、膀胱内尿量が溜まっていく蓄尿の速さに基づき排尿でないものを取り除く(S6)。すなわち、膀胱内尿量の増加が急激な場合、その直前の排尿候補を削除する。例えば、一般的な蓄尿量を考えると、一定時間における蓄尿量は2000ml/24hであると言われているので、その蓄尿の増加は1.39ml/minとなる。そのため、例えば排尿量を100mlとすると、排尿した分を蓄尿するのに要する時間は71.9分となる。よって、例えばあるときの測定値が400mlであり、次の値が10mlとなり、さらにその次の値が400mlとなった場合、数分間で390mlが蓄尿されることはないので、膀胱内尿量が400mlから10mlに低下(差分尿量が390ml)した排尿候補は、排尿ではないと決定する。具体的には、例えば、制御部11は、排尿直前時刻の候補の次の値の時刻から71.9分後までの各値が、蓄尿の傾きである1.39ml/minを基に算出した膀胱内尿量を、一度でも超えた場合、排尿候補から除く処理をする。
【0046】
この処理ステップS6の処理を実行後、残った排尿候補が、実際に排尿があったもの排尿時期に決定し(排尿検知がされる)、排尿直後時刻と排尿直前時刻を求め、排尿回数、排尿量、蓄尿量、排尿間隔等の排尿支援のための情報を求め、記憶部14に記録する(S7)。
【0047】
上述した分析処理アルゴリズムを具体例に従って説明する。図6は、処理ステップS1を実行して取得した分析対象の時系列データの一例である。図示の例では、説明の便宜上、一日(24時間)の時系列データの一部を表示している。この例では、例えば180~280分の区間で、膀胱内尿量が0mlの測定結果が多発し、その他の区間でも膀胱内尿量が0mlの測定結果が点在している(代表的な部分を枠で囲んでいる)。
【0048】
この時系列データに対し、制御部11が処理ステップS2を実行すると、膀胱内尿量が0mlのデータが取り除かれ、処理後の時系列データは、図7のようになる。次いで、制御部11は、図7に示す処理後の時系列データに対し処理ステップS3を実行すると、測定値が連続して下がっている部分(代表的な部分を枠で囲んでいる)を測定値の中間部分のデータが取り除かれ、処理後の時系列データは、図8に示すようになる。
【0049】
次に制御部11は、図8に示す処理後の時系列データに対し処理ステップS4の差分尿量の算出処理を実行すると、図9に示す差分尿量の時系列データが生成される。この差分尿量の時系列データは、例えば記憶部14に記録しても良いが、制御部11を構成するCPU内のメモリ等に記録してもよい。次いで制御部11は、差分尿量の時系列データに対し処理ステップS5を実行し、差分尿量が大きい順に10位まで番号を振り、図10中破線で示すように排尿候補が抽出される。
【0050】
さらに制御部11は、抽出された10個の排尿候補に対し、処理ステップS6を実行し、排尿候補の直後からの膀胱内尿量の増加が急激なものを抽出し取り除く。これにより、時系列に沿って「8」,「7」,「5」,「8」,「10」,「6」位の排尿候補が除去される。そして制御部11は、最終的に残った「2」,「3」,「1」,「4」位の4つの排尿候補が実際の排尿したものと検知され、排尿候補の時刻(排尿直前の時刻)の次の値の時刻が排尿直後の時刻とする(S7)。これにより、排尿時期と、排尿回数(この例では4回)が求まる。また、各排尿候補で求めた差分尿量が、それぞれの排尿時の排尿量となり、排尿直前時刻の膀胱内尿量が蓄尿量となり、排尿直後時刻から次の排尿直前時刻までが排尿間隔となる。
【0051】
また、分析対象の時系列データが相違するが、実際の時系列データに対して排尿情報分析装置で分析した結果、図2に示すような分析結果が得られた。この例では、排尿情報分析装置は6回の排尿を検知し、人が記録した排尿日誌で特定される実際の排尿回数5回とズレがあるものの、排尿情報分析装置が検知した5回の排尿時期は、実際の排尿時期と一致しており、蓄尿中の途中で排尿を1回検知したのは誤差の範囲内であり、十分有効に機能することが確認できる。
【0052】
また、上述した実施形態では、処理ステップS6で排尿候補の直後からの膀胱内尿量の増加が急激なものを抽出し取り除く際の判定基準の蓄尿量の変化量として、1.39ml/minを用いたが、本発明はこれに限ることはなく、適宜調整すると良い。調整は、例えば、1.3~1.4の範囲で行うと良く、この調整をすることで排尿検知をより精度良く行えるようになる。また、上記の1.3~1.4の範囲は、先に述べたとおり一定時間における蓄尿量が2000ml/24hを前提とし、多少のばらつき・変動を考慮したものである。従って、ユーザの蓄尿量が相違すると、変化量も相違する。一例を示すと、一定時間における蓄尿量が1200ml/24hの場合、判定基準の蓄尿量の変化量は約0.83となる。従って、当該判定基準の変化量は、例えば0.8~3程度の範囲内で調整・設定するとよい。
【0053】
また、この単位時間当りに蓄尿できる蓄尿量は、年齢・性別により異なることがあるので、設定により年齢・性別に怖じて判定基準を変更する機能を備えると良い。さらに単位時間当りに蓄尿できる蓄尿量は、ユーザの個人ごとによっても相違する。そのため、例えば使用開始時は、年齢性別等に基づく一般的な値を設定し、使用に伴いデータを蓄積し、そのユーザの単位時間当りに蓄尿できる蓄尿量を求め、求めた当該蓄尿量に基づきフィードバックして判定基準の蓄尿量の変化量を修正する機能を備えると良い。
【0054】
また、制御部11は、上述のようにして求めた排尿支援に要する情報(排尿時期、回数、排尿量、蓄尿量等)を、記憶部14に格納する。そして、被測定者や介護者・医療従事者等は、その記憶部14に格納された排尿支援に要する情報を確認することで、適切な排尿管理や、診断、治療を行うことができる。
【0055】
また、本排尿情報分析装置によれば、排尿時期、時刻、回数がわかるので、頻尿・頻尿傾向に有るか否かのおおよその目安をつけることができる。また、夜間に排尿しているか否かや、夜間の排尿回数も精度良く求めることができるので、夜間頻尿の診断等を行うのに有用な情報を収集できる。例えば夜間にトイレに行き排尿した場合、寝ぼけていて排尿前後の膀胱内尿量の測定・記録を忘れたり、そもそもトイレに行ったことを忘れてしまったりするおそれもあるが、本発明を用いることで確実に排尿を検知し、必要な情報を求めることができるので良い。
【0056】
排尿直前の膀胱内尿量から、最大に貯められる容量(最大膀胱容量)を知ることができる。例えば、通常一回の排尿量は一定ではなくばらつく。例えば、あるときの排尿直前の膀胱内尿量が100ml、200ml、400mlとばらついている場合、その人の最大膀胱容量は400mlとなる。膀胱の容量としては十分なので、100mlや200mlで早く排尿してしまう原因を究明し治療することができる。一方、毎回膀胱内尿量が100~200mlのところで排尿している場合、最大膀胱容量が小さいので、その原因を究明し治療することができる。
【0057】
毎回の排尿量が100~200mlの場合でも、例えば最大膀胱容量が400mlのように十分に大きさがあり排尿後の残尿量が多い場合、排尿するための筋力が弱いなどの原因がある。よって、同じ100~200mlで頻繁に排尿している状況でも最大膀胱容量が小さくて100から200で頻繁に排尿する人と異なる治療が必要となるが、本システムを利用することでその状況・原因が一目でわかるので良い。
【0058】
例えば過活動膀胱の治療薬を必要以上に継続し続けると尿が出なくなるおそれがある。そのため、過活動膀胱にあまり詳しくない医師が、途中で投薬をやめてしまい元に戻ってしまうおそれもある。今回のデータから被測定者・患者の状態を精度良く見つけることができ、投薬も適切に行える。
【0059】
また、最大膀胱容量を知ることで、例えば、介護が必要な人の場合に被介護者は現在の膀胱内尿量を確認することで、排尿に促すタイミングがわかり、被介護者も自然排尿の自立ができ、またおむつが必要な人にとってもおむつの交換時期ができるので良い。
【0060】
さらには、おむつが必要な人の場合、一回の排尿量の履歴から、適切なおむつのサイズ(大・中・小等)を知ることができ、不必要に大きく装着感が悪く資源の無駄使いをなくしたり、小さいサイズですべての排尿を吸収できず不快な感じにさせたりすることを可及的に抑制できるので良い。例えば、おむつの付け方が悪いためにおむつから尿が漏れることがあっても、それがわからず闇雲に大きいサイズを付けがちである。これに対し、本システムを利用し一回の排尿量がわかれば、おむつから漏れた場合にサイズが合っていないのか付け方が悪いのかがわかるので、適切な対応ができる。さらには、おむつが不要な可能性のある患者に対し、その旨の指導もできるのでよい。
【0061】
また、本システムを用いれば、上述したように、人手により排尿を確認しつつ排尿日誌を作成しなくても、精度良く排尿間隔、排尿回数、排尿直前の膀胱内尿量、残尿量、排尿量等を求めることができるので、例えば介護者等にとって排尿時に都度膀胱内尿量を計測し排尿日誌を作成する労力が削減できるのでよい。また、ノイズや誤検出のデータを含む膀胱内尿量の時系列データを見ても、医者のように医学的知識のない介護者等は、排尿時期や排尿量などの排尿支援に要する情報を読み取ることができないが、被測定者の状況を一目で理解できるのでよい。
【0062】
上述した実施形態では、膀胱内尿量の時系列データに対して測定値が0mlのデータを削除する処理(S2)と、連続して下がっている区間の中間のデータを削除する処理(S3)を行った後、差分尿量から排尿候補を求める処理(S4,S5)を行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、処理ステップS2とS3の一方または双方を省略しても良い。但し、両方の処理ステップを実行した方が、ノイズ等の影響を精度良く除去できるので好ましい。また、両方の処理ステップを実行する場合には、その実行順序は実施形態のようにするのがより好ましい。
【0063】
上述した実施形態では、残尿測定器1で計測したデータは、一旦着脱自在に装着したSDメモリカード2に記録し、そのSDメモリカード2を介してパーソナルコンピュータ等で実現される排尿情報分析装置10に取り込み分析等するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば残尿測定器1にBluetooth(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信機能を備え、測定データをリアルタイム或いは時系列データを、無線通信を用いて排尿情報分析装置10に送るようにしてもよい。
【0064】
上述した実施形態では、残尿測定器1は表示部6を備えていたが、必ずしも無くても良い。例えば、計測した測定値に関する情報を、医者が診て確認・診断等する場合、一定期間の時系列データを記録できれば良いので、表示器を設けずに製品の小型化・安価を図ると良い。
【0065】
一方、介護の世界では、残尿測定器1は、医療のように1日や2日といった短期間ではなく、比較的長期間にわたり継続して装着する。従って、残尿測定器1に表示部6があると、介護者が見て被測定者・被介護者の現在の残尿量を確認できるので良い。
【0066】
また、排尿情報分析装置で求めた情報を、残尿測定器1に送り、残尿測定器1は送られた情報と超音波センサ3の計測結果等に基づき報知をする機能を備えると良い。排尿情報分析装置で求めた情報を残尿測定器1に送る処理は、例えばSDメモリカードを用いたり、無線通信方式を用いたりすると良い。この場合に送る情報は、排尿情報分析装置で求めた情報の全てでも良いが、例えば、排尿直前の膀胱内尿量など一部の情報としても良い。排尿直前の膀胱内尿量の場合、被測定者の現在の膀胱内尿量が送られた排尿直前の膀胱内尿量と比較して所定の関係になった場合に、残尿測定器1は、排尿予想通知を報知するよい。介護者等は、係る排尿予想通知が報知された場合、被測定者(被介護者)のもとに行き、排尿の所定処理を行う。所定の処理は、例えば、排尿の有無を確認したり、排尿を促したり、被介護者がおむつ着用の場合で排尿している場合にはおむつの交換処理などがある。排尿予想通知を報知する基準は、例えば、現在の膀胱内尿量が取得した過去の排尿直前の膀胱内尿量より所定のマージンを取って低い値とし、そろそろ排尿する可能性があるタイミングで報知するようにしたり、現在の膀胱内尿量が取得した過去の排尿直前の膀胱内尿量より所定のマージンを取って高い値とし、そろそろ排尿をした可能性があるタイミングで報知するようにしたりするとよく、被介護者の状況に応じて基準を変更できる機能を備えると良い。このように排尿を通知する機能があると、特に寝たきりの人に対するおむつの交換時期がわかるので良い。
【0067】
また、上述した実施形態では、排尿情報分析装置はパーソナルコンピュータに実装した例を説明したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば専用のハードウェアで構成しても良いし、スマートフォンやタブレットのような携帯端末に実装しても良い。携帯端末に実装する場合、分析機能を実行する携帯端末用のアプリとして実現すると良い。さらには、係る分析機能を残尿測定器に組み込むようにしてもよい。
【0068】
アプリとして実現した場合、当該分析機能のアプリをスマートフォンにインストールし、残尿測定器から無線通信方式等を用いて適宜データを送り、取得したデータに基づきアプリが分析し、必要な情報を必要なタイミングで通知するとよい。
【0069】
残尿測定器に組み込んだ場合、排尿測定器はサンプリングタイム毎の定時処理として膀胱内尿量(残尿量)を計測し、時系列データを作成すると共に、適宜のタイミングで計測して得られたデータに基づき分析処理を行い排尿支援に必要な情報を求める。そしてより好ましくは、その求めた情報に基づき上述した報知を行う報知機能を備えると良い。
【0070】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0071】
1 :残尿測定器
2 :SDメモリカード
3 :超音波センサ
4 :制御部
5 :メモリカードスロット
6 :表示部
10 :排尿情報分析装置
11 :制御部
12 :メモリカードスロット
13 :表示部
14 :記憶部
15 :入力部
図1
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