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  • 特許-壁紙のジョイントカッター 図1
  • 特許-壁紙のジョイントカッター 図2
  • 特許-壁紙のジョイントカッター 図3
  • 特許-壁紙のジョイントカッター 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】壁紙のジョイントカッター
(51)【国際特許分類】
   B26B 3/08 20060101AFI20230126BHJP
   B26B 29/06 20060101ALI20230126BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20230126BHJP
   E04F 21/18 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B26B3/08
B26B29/06
E04F13/07 C
E04F21/18 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113498
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021191405
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522200203
【氏名又は名称】株式会社板橋匠屋本舗
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】前川 康宏
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-075559(JP,A)
【文献】特開平10-156060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 3/08
B26B 29/06
E04F 13/07
E04F 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッター刃又は筆記具を備える取り付け台、及びカッター刃又は筆記具を誘導する誘導台を備える器具であって、前記取り付け台及び誘導台が可動的に接続され、前記誘導台の底面に、前記器具を進行方向に進行させるためのローラーを備える、前記器具。
【請求項2】
前記ローラーが2つである、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記2つのローラーが連結されている、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
ネにより収納されているカッター刃又は筆記具が誘導台の底面より突出する構造である、請求項1~3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
カッター刃又は筆記具が取り付け台にホルダー固定ネジで固定されており、ホルダー固定ネジにより、カッター刃又は筆記具と取り付け台との固定をずらすことにより、カッター刃又は筆記具の誘導台の底面からの突出を調整する、請求項1~4のいずれか一項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁紙のジョイント施工時、直定規を使用せず真っ直ぐ切れるカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来壁紙のジョイント施工には重なった壁紙の切り合わせる部分に直定規を当てカッターナイフにより、真っ直ぐに切っていた。
【先行技術文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これは次のような欠点があった。従来、壁紙のジョイント部の切り合わせには必ず直定規とカッターナイフを使用するが、直定規には主に二つの役割が有る。一つ目がジョイントを真っ直ぐに切る為である。
【0005】
もう一つが壁紙を直定規で上から押さえる事で、カッターナイフでの壁紙切断時の壁紙が縒れたりシワになる事なく切る為である。しかし直定規とカッターナイフでのジョイントカットは両手が塞がる事で高所作業、特に天井の作業では危険な作業となる。
【0006】
又、直定規の長さより狭い所は直定規が入らず切る事が出来ない為、地ベラなどで代用して切るなどの不便さも有る。
【0007】
そして従来、力加減が強すぎて下地材の石膏ボード迄刃が入ってしまいボード表面材が切れて剥離しない様、下地材と壁紙の間に下敷きテープを入れていた。本発明は以上のような欠点をなくす為になされたものである。
【課題を解決する為の手段】
【0008】
誘導台と、カッターホルダーを取り付け固定できる取り付け台をシャフトで可動的に接続し、誘導台に上部から底面に通じる穴を設け、底面よりカッターホルダーに設けたカッター刃の先端を突出出来るようにする。その穴のそばに壁紙を押さえ、かつカッター刃を切断方向に移動する時に壁紙と誘導台との摩擦抵抗をなくし、切断方向に回転するローラーを設ける。さらに少し間隔を空けた所に、前記ローラー同様のローラーを設ける。
【0009】
前記2つローラーの軸をカッター刃の側面に対して直行方向に伸びた向きで固定させ、ローラーが壁紙と接触する部分を摩擦抵抗の高い表面処理又は、材質にする事でローラーは横滑りせず刃の切断方向が変わらない。前記、前後に設けたローラーの作用によりカッター刃は切断方向へ真っ直ぐ進む。
【0010】
又、切断作業時以外は誘導台内部へカッター刃が自動的に収納されるように誘導台と取り付け台の間にバネ材を設け、さらに誘導台底面より突出する刃の量を制御可能にする為の調整ネジを誘導台や取り付け台などに設ける。これにより土台底面より突出する刃の量を可変調整できる。
【発明の効果】
【0011】
前記のローラーは真っ直ぐカッター刃を切断方向へ誘導し、かつ少なくとも一つのローラーが常にカッター刃のそばに位置する事で壁紙を押さえてくれる為、直定規を使わなくても壁紙を引っ張ったり縒れたりする事なく真っ直ぐジョイントを切れる。
【0012】
又、刃の突出する量をネジの締め具合で無段階に可変できる事で、壁紙へ入る刃の深さを力加減に左右されず微調整でき、下地材となる石膏ボードを保護する下敷きテープを使用せず施工する事も可能となる。以上のように壁紙のジョイントの切り合わせ施工を、直定規を使用せずに片手で真っ直ぐ切れる事で、高所作業時なども空いた片手で身体を支える事が出来る。
【0013】
そして直定規が不用となれば直定規の長さより狭い所も片手で真っ直ぐきれいに切れる。又、下敷きテープが不用になれば大幅なコストを削減出来る。施工性の向上と、何よりも安全性の確保は建築業の大きな利益となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の斜視図である。
図2】本発明の分解斜視図である。
図3】環形によりローラー同士を連結した下方向からの斜視図である。
図4】誘導ローラーの向きが変化可能な下方向からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以上、図面を参照しながら本発明を実施する為の形態について説明する。なお本明細書面において同一の符号が付された構成要素は実質的に同一の構造または機能を有するものとする。
【0016】
図1は本発明にかかる壁紙のジョイントカッターの一例として構成を示す斜視図である。1は本体を構成する誘導台1で、上部から底部に向かってカッター刃2が通る穴4を設ける。穴4は誘導台1の進行方向の逆側端部に設ける事で施工時、壁際から壁紙を切る事が出来る。穴4は刃2が上部より底部へ抜ければ凹形状の隙間でも良い。
【0017】
ホルダー上部より力を加えた時穴4を通り、誘導台1の底部より突出する刃2のそばに、壁紙ジョイント切断時、壁紙が縒れないように壁紙を押さえるローラー5を少なくとも一つ設ける。この押えローラー5の軸7は刃2の側面に対して直交方向に伸びておりローラー5は切断方向に回転する。
【0018】
誘導台1に設けた押さえローラー5から少し離して、誘導ローラー6を設ける。この誘導ローラー6の軸8も前記軸7同様に刃の側面に直交した向きに伸ばし、かつローラー5とローラー6の表面を横滑りしない材質、又は表面処理する事で、刃2は直定規に添わせた時のように壁紙を縒れさせる事なく真っ直ぐ進む。傾斜ローラーを使用した時も進行方向に対して直角に軸を設ける事で刃2は真っ直ぐ進む。
【0019】
誘導台1の底面より突出する刃2の量を調整する為に、誘導台1と取り付け台10を可動的に接続する。誘導台1に設けた調整ネジ9を締めたり緩めたりする事で、ネジ先端と取り付け台10の接触する位置が変化し取り付け台10の可動範囲を調整できる。これにより、誘導台1底面からの刃1の突出量を、スライダー11では出来ない微調整が無段階で可能になり壁紙ジョイント施工時、下敷きテープを使用しなくても下地材を切らず、壁紙だけを切る事が出来る。カッターホルダー3を二重構造にし、ネジなどで内側と外側をずらす事でも同様の効果が得られる。収納バネ12により上部より力を加えていない切断時以外、刃2は誘導台1内部に全部又は多くが収納される。
【0020】
誘導台1など、本体の進行方向先端付近にレーザーポインター13を設け、ローラー5とローラー6により刃2が真っ直ぐ切断する延長線上を照射する。これにより直定規では届かない距離を一直線に結び切断する事が可能となる。この光は普通光などでもよくコヒーレントな光に限定されない。又、自然光をレンズや反射板などを使い進行方向を照らしてもよい。
【0021】
この構造の一部を変更する事での便利な利用方法として、誘導ローラー6を自転車のハンドルを回した時のタイヤのように、ローラーの向きを変えそして固定できるようにする。そうする事でローラーの進む向きに従いカッター刃も曲線を描きコンパスカッターを使用せず円を切れる。この構造は物理的にコンパスカッターでは切る事の出来ない大きな円弧や円を切れる。又、軸を支える回転台などに目盛りを付け、軸の角度を設定する事で定めた半径で弧を切れる。
【0022】
又、取り付け台10に設けたカッターナイフ3の代わりに、鉛筆などの筆記具をホルダー固定ネジ14で固定して使用できるようにする事で「切る」という使用方法に加え、線を「引く」という事が可能となる。誘導台1を透明度の高い素材にすると使用時、線引きする部分が見えて使いやすくなる。布などに使用する時は筆記具をルレットにすれば良い。
【0023】
以上の説明において取り付け台10とカッター刃2を有するカッターホルダー3を別構成としてホルダー固定ネジ14にて取り付け台10と一体化しているが、始めから一体化された物でも良い。又、連結穴19にシャフト18を通し誘導台と連結しているが、シャフト18による回転運動に限らず、誘導台1と取り付け台10にレールを設けスライドさせる形状にして刃2を突出させてもよい。
【0024】
又、押さえローラー5と誘導ローラー6とをOリング15などにより輪ゴムをかけるような形で連結してやると、より一層直進性が増す。これはローラー同士が引き合う事で、ガタ付きを抑える為である。
【0025】
又、ローラーの連結で生まれる効果として壁紙とローラーの接触する面積が格段に大きくなり横滑りしにくくなるだけでなく壁紙表面の凹凸の影響を受けにくくなる。それにより刃の突出量を定めた時、ローラー5とローラー6の壁紙との接触部分の沈み込みが大幅に軽減され、石膏ボードを切る事なく壁紙だけを切る事がより一層やりやすくなる。
【0026】
その他、ローラーは縦ならびでなく横ならびにしても両輪が軸に固定されて同じ回転数であれば直進性を得る事ができる。又1つのローラーでも幅を広くする事で同様の効果が得られる。
【0027】
以上図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述した形態に限定されない。すなわち特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、当業者が想到し得る形態または、各種の変更についても本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
【符号の説明】
【0028】
1 誘導台
2 刃
3 ホルダー
4 穴(隙間)
5 押さえローラー
6 誘導ローラー
7 押さえローラー軸
8 誘導ローラー軸
9 調整ネジ
10 取り付け台
11 スライダー
12 収納バネ
13 レーザーポインター
14 ホルダー固定ネジ
15 環形
16 回転台
17 目盛り
18 シャフト
19 連結穴
図1
図2
図3
図4