(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】水処理システム、及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20230126BHJP
【FI】
C02F1/00 D
C02F1/00 S
C02F1/00 T
(21)【出願番号】P 2021156218
(22)【出願日】2021-09-25
(62)【分割の表示】P 2019152591の分割
【原出願日】2019-08-23
【審査請求日】2022-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519259607
【氏名又は名称】オシュン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今橋 景人
(72)【発明者】
【氏名】石田 功
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-163411(JP,A)
【文献】特開平10-057941(JP,A)
【文献】特開2011-036840(JP,A)
【文献】特開2003-071432(JP,A)
【文献】特開2012-217975(JP,A)
【文献】特開2003-313917(JP,A)
【文献】特開2001-029973(JP,A)
【文献】特開2015-107464(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0878324(KR,B1)
【文献】実開昭58-094771(JP,U)
【文献】特開昭63-284328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
E03D 1/00 - 7/00
11/00 - 13/00
9/00 - 9/16
G05B 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系を含む発生源別に汚水を処理して循環使用水として貯える水処理システムであって、
前記発生源別に設けられた複数の汚水処理機と、
前記発生源別に設けられ、前記汚水処理機の処理水の水量及び水質を少なくとも検出し出力する複数のセンサと、
前記発生源別に設けられ、前記処理水を循環使用水として貯える複数のタンクと、
前記汚水処理機を駆動制御すると共に、前記センサからのセンサデータに基づいて各発生源の前記タンクの処理水の水量及び水質を管理する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記センサデータに基づいて、一の発生源の循環使用水に不足が生じていると判断した場合には、他の発生源の循環使用水により当該不足分を補給するよう制御し、
前記トイレ系及び前記調理系では前記循環使用水が余剰となり、前記洗濯系及び前記シャワー系では前記循環使用水が減少し、
前記制御装置は、
テーブルで、供給元として、時間帯別に、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系の発生源の優先順位を管理しており、前記優先順位により定まる供給元である前記トイレ系又は前記調理系のいずれかより前記供給元以外の発生源であって循環使用水に不足が生じた供給先である前記洗濯系又は前記シャワー系のいずれかに水を補給する
水処理システム。
【請求項2】
統括水処理機を更に備え、
前記トイレ系の前記タンクより、前記洗濯系又は前記シャワー系の前記タンクに不足分の水を補給する場合には、前記統括水処理機により、補給先の基準値に合った水質となるよう前記トイレ系の前記タンクからの水を処理した後、補給する
請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系を含む発生源別に汚水を処理して循環使用水として貯える水処理方法であって、
前記発生源別に、汚水処理機が汚水を処理し、センサが前記汚水処理機の処理水の水量及び水質を少なくとも検出し出力し、タンクが、前記処理水を循環使用水として貯え、
制御装置が、前記汚水処理機を駆動制御すると共に、前記センサからのセンサデータに基づいて各発生源の前記タンクの処理水の水量及び水質を管理し、前記センサデータに基づいて、一の発生源の循環使用水に不足が生じていると判断した場合には、他の発生源の循環使用水により当該不足分を補給し、
前記トイレ系及び前記調理系では前記循環使用水が余剰となり、前記洗濯系及び前記シャワー系では前記循環使用水が減少し、
前記制御装置は、
テーブルで、供給元として、時間帯別に、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系の発生源の優先順位を管理しており、前記優先順位により定まる供給元である前記トイレ系又は前記調理系のいずれかより前記供給元以外の発生源であって循環使用水に不足が生じた供給先である前記洗濯系又は前記シャワー系のいずれかに水を補給する
水処理方法。
【請求項4】
前記トイレ系の前記タンクより、前記洗濯系又は前記シャワー系の前記タンクに不足分の水を補給する場合には、統括水処理機が、補給先の基準値に合った水質となるよう前記トイレ系の前記タンクからの水を処理した後、補給する
請求項
3に記載の水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水を処理して再利用するもので、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系等に係る複数の設備間で使用水の再利用の循環をもたらす技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば一般家庭等で使用した上水の排水等を水洗トイレの洗浄水等として再利用することで、節水を図る排水再利用システム等が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、再利用流路の始端を連通連結すると共に、同再利用流路の終端に取水口を設け、上記再利用流路に、原水の濁度を検出し、検出した濁度に応じて再利用水と非再利用水とに選別する選別手段を有する排水再利用システムが開示されている。
【0004】
さらに、特許文献2では、排水装置のリザーバに水を供給する段階と、供給された水をリザーバ内に集める段階と、水をリザーバから少なくとも1つの水を消費するリザーバに案内する段階と、水質を観測する段階と、水質が許容レベルよりも下がれば排水装置のリザーバおよび/または水消費部のリザーバから下水ドレイン管に出水する段階とを備えた排水処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-19773号公報
【文献】特表2010-517775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2では、例えば、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系等といった複数の発生源間で使用水のやり取りを行い、各発生源で生まれた排水の再利用の循環をもたらす点については、何ら開示も示唆もされていない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、例えばトイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系等といった複数の装置間で水のやり取りを行い、各装置で生まれた処理水の再利用の循環をもたらすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の第1の態様に係る水処理システムは、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系を含む発生源別に汚水を処理して循環使用水として貯える水処理システムであって、前記発生源別に設けられた複数の汚水処理機と、前記発生源別に設けられ、前記汚水処理機の処理水の水量及び水質を少なくとも検出し出力する複数のセンサと、前記発生源別に設けられ、前記処理水を循環使用水として貯える複数のタンクと、前記汚水処理機を駆動制御すると共に、前記センサからのセンサデータに基づいて各発生源の前記タンクの処理水の水量及び水質を管理する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記センサデータに基づいて、一の発生源の循環使用水に不足が生じていると判断した場合には、他の発生源の循環使用水により当該不足分を補給するよう制御し、前記トイレ系及び前記調理系では前記循環使用水が余剰となり、前記洗濯系及び前記シャワー系では前記循環使用水が減少し、前記制御装置は、テーブルで、供給元として、時間帯別に、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系の発生源の優先順位を管理しており、前記優先順位により定まる供給元である前記トイレ系又は前記調理系のいずれかより前記供給元以外の発生源であって循環使用水に不足が生じた供給先である前記洗濯系又は前記シャワー系のいずれかに水を補給する。
【0009】
本発明の第2の態様に係る水処理方法は、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系を含む発生源別に汚水を処理して循環使用水として貯える水処理方法であって、前記発生源別に、汚水処理機が汚水を処理し、センサが前記汚水処理機の処理水の水量及び水質を少なくとも検出し出力し、タンクが、前記処理水を循環使用水として貯え、制御装置が、前記汚水処理機を駆動制御すると共に、前記センサからのセンサデータに基づいて各発生源の前記タンクの処理水の水量及び水質を管理し、前記センサデータに基づいて、一の発生源の循環使用水に不足が生じていると判断した場合には、他の発生源の循環使用水により当該不足分を補給し、前記トイレ系及び前記調理系では前記循環使用水が余剰となり、前記洗濯系及び前記シャワー系では前記循環使用水が減少し、前記制御装置は、テーブルで、供給元として、時間帯別に、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系の発生源の優先順位を管理しており、前記優先順位により定まる供給元である前記トイレ系又は前記調理系のいずれかより前記供給元以外の発生源であって循環使用水に不足が生じた供給先である前記洗濯系又は前記シャワー系のいずれかに水を補給する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系等といった複数の装置間で水のやり取りを行い、各装置で生まれた処理水の再利用の循環をもたらす技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る水処理システムによる水量調整に係る処理手順を詳細に説明するフローチャートである。
【
図5】供給元を定める優先順位を定義したテーブルの一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る水処理システムによる水量調整に係る他の処理手順を詳細に説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る水処理システムの構成図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る水処理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
【0014】
図1には、本発明の第1実施形態に係る水処理システムの構成を示し説明する。
【0015】
同図に示されるように、本水処理システム1は、全体の制御を司る制御装置2を備えており、当該制御装置2は、データベース3を一体又は別体に備えている。そして、発生源別に、トイレ系処理装置4、調理系処理装置5、洗濯系処理装置6、及びシャワー系処理装置7の少なくともいずれかを備えている。
【0016】
トイレ系処理装置4は、水循環トイレ汚水処理機4aと循環使用水タンク4bとを有しており、水循環トイレ汚水処理機4aにはセンサ4cも含まれている。調理系処理装置5は、水循環生活排水汚水処理機5aと循環使用水タンク5bとを有しており、水循環生活排水汚水処理機5aにはセンサ5cも含まれている。
【0017】
洗濯系処理装置6は、水循環生活排水汚水処理機6aと循環使用水タンク6bとを有しており、循環使用水タンク6bにはセンサ6cも含まれている。そして、シャワー系処理装置7は、水循環シャワー汚水処理機7aと循環使用水タンク7bとを有しており、水循環シャワー汚水処理機7aにはセンサ7cも含まれている。
【0018】
このように、各装置4乃至7が有する汚水処理機4a,5a,6a,7aには、循環させる水を貯める循環使用水タンク4b,5b,6b,7bが併設されており、必要な水量分に合致した規模のタンクを設置することができる。設備で処理される水質は、同じレベルで処理されるか、または、処理レベルに合わせ、処理途中であったとしても、水を分け与える装置の必要水質レベルに達した時点で、水の受け渡しを可能とする。
【0019】
飲料水とトイレ洗浄水とでは求められる部分は無菌であること以外は、BOD、色、臭気など求められる基準に違いがある。その為、緊急時など、急に必要な場合等に水のやり取りなどの対応が可能である。各装置4乃至7の処理水には、細菌など、人体に影響を与える、菌、ウイルス、不純物を含まない。処理過程で、各種滅菌、殺菌、添加手段(紫外線、塩素、オゾン、煮沸、膜処理、PH、硬度処理など)を、単体、複数、自由に組み合わせることができる。
【0020】
水処理システム1は、更に余剰水水槽、備蓄水槽8を備えており、各装置4乃至7の循環使用水タンク4b、5b、6b、7bは、相互に水のやりとりが可能なように水路を介して接続されると共に、この余剰水水槽、備蓄水槽8とも水のやりとりが可能なように水路を介して接続されている。
【0021】
各装置4乃至7での処理水のうち、余剰水として、余剰水水槽、備蓄水槽8に備蓄される水は、各処理機4a、5a、6a、7aの最終処理の処理方法(例えば、フィルタ処理等)を同じにするか、もしくは、余剰水水槽の手前で、所定のその処理装置を通過させることで、一定の処理状態を確保することができる。
【0022】
換言すれば、各汚水処理機4a,5a,6a,7aで処理された水は、一定の基準を満たした処理水となる。その場合に、例えば、同じ汚水処理機内の最終処理工程、配設するセンサ4c,5c,6c,7cを同じものとすることで、処理水の水質を一定に保つことができるので、常に同じ水質の水を使うことができる。
【0023】
また、循環使用水タンク4b,5b,6b,7bや余剰水水槽、備蓄水槽8には、溜まった水が腐敗しないような、不図示の殺菌装置を設置することで、水を衛生的に良好な状態で保つことができる。このほか、冷凍などの保存方法も可能である。
【0024】
余剰水水槽、備蓄水槽8は、不要な余剰水を蒸発させ噴霧し外部に放出する水分蒸発噴霧装置9に接続されている。また、トイレ系処理装置4の水循環トイレ汚水処理機4a及び調理系処理装置5の水循環生活排水汚水処理機5aは、固液分離、除去物固形化装置10に接続されている。固液分離除去物固形化装置10によれば、無機物、大型有機物、繊維など、固形物を水と分け、その固形物を、少量の水と混ぜた濃縮水、又は完全に水分を脱水し、水を含まない固形物として形を変え、装置外で処理することができる。
【0025】
また、完全な脱水については、遠心力、真空、熱、自然蒸発、風、マイクロウエーブなど、エネルギー量に合わせ各手段を適宜選択することができる。
【0026】
本実施形態では、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系等の発生源別に、その水質にあった汚水処理機を使用しているので、少なくとも処理速度、消費エネルギーの点で無駄がない。例えば、油入りの排水と、油を含まない排水とを比べると、水については同じ不純物が含まれているものとすれば、前者は油の除去と不純物の除去とで除去対象物が2種類、後者は除去対象物が1種類となる。従って、発生源別に、各発生源に好適な水循環汚水処理機を分けることで、必要最低限の処理プロセスを実現できる。
【0027】
また、本実施形態では、発生源に合わせ、生物処理水循環処理機、機械的水循環処理機を使い分けているので、生物処理に必要な有機物の量を管理し易い。全てを一つの処理機とした場合、シャワーであれば、界面活性剤の入った汚水だけである等、ユーザによる水の使い方によって、汚水レベルが常に変動してしまう為、生物処理で必要な微生物の栄養素の管理が難しい。例えば、トイレ系、調理系等での有機物を含む排水処理は、水循環処理機を発生源に合わせ個別に配置することが重要である。本実施形態では、水循環のために持ち込んだ水の水質、水量に対して、使う洗剤、調理添加物、食材、人体から排泄、流れ出るもの以外、使用する水が外部から、汚染されることがない。
【0028】
また、本実施形態では、膜処理など機械的、水循環処理の過程で発生する、有機物を含んだ濃縮水を、生物処理水を含む処理機と含まない処理機間でやりとりすることで、微生物処理を用いて処理することができる。汚水発生源に合わせた水循環処理機を複数設けることで、循環する水量の増加する装置、減少する装置を分けることができる。分けることで、増加分、減少分を把握することが安易であり、増加した循環水を余剰水として、備蓄し、減少する装置へ必要分補給することができる。
【0029】
このような構成において、発生源別に設けられた各装置4乃至7では、各汚水処理機4a,5a,6a,7aが、発生する汚水を浄化するなど処理し、処理水を循環水使用タンク4b,5b,6b,7bに送出し貯える。
【0030】
この過程で、各装置4乃至7のセンサ4c,5c,6c,7cは、各装置4乃至7の処理水の水量、及び水質(例えば、濁度、色度、PH、塩分濃度、窒素量、臭気、アンモニア量、不純物、味成分、除去すべきものなど、水処理に係る必要項目)を常時センシングし、センサデータを制御装置2に送出する。制御装置2は、センサデータを処理し、水質が基準値以内に収まっているかを判断する。そして、処理水の水質等が基準値に収まっていないなど状態が悪い場合には、当該処理水を処理機4a、5a、6a、7aに戻し、再度処理するように制御する。あるいは、固液分離除去物固形化装置10など、他の装置での処理が有効と判断した場合、そこへ処理水を送り、処理するように制御する。
【0031】
日常的な水の使用では、トイレ排水、又は調理などで持ち込まれた水分で循環水の水量が増加し、一方、洗濯、シャワーなどでは、蒸発、体への付着などにより水分の減少が生じるが、制御装置2により処理水の水量、水質を管理することで、各装置4乃至7間で水量の増加、減少のバランスを取ることができる。これにより、一定量の水を循環し続けるとともに、増えすぎた場合などは余剰水水槽、備蓄水槽8で貯蔵し、更に余剰な場合には水分蒸発噴霧装置9等により噴霧処理、蒸発処理で処理できる。
【0032】
また、水循環汚水処理機4a,5a,6a,7aを発生源別に配設し、制御装置2が各装置4乃至7の総水量をリアルタイムで把握しているので、必要最小限の水量で、ライフラインに頼らず、人の暮らしをサポートすることができる。また、循環水として持ち込んだもの以外の不純物がセンサ4c,5c,6c,7cで検知された場合、制御装置2がそれを検出し、外部装置(例えば、端末装置等)に異常を知らせることができるので、使用する水の安全を監視することが安易である。外部からの接続なく、水処理システム内で完結するループにより水を循環し、処理を続けることができるため、本システムは移設、増設も容易である。
【0033】
また、余剰水として余剰水水槽、備蓄水槽8に備蓄する前に、直接的に各装置4乃至7間で相互に補給し合うことも可能となる。その場合、装置4乃至7間で、必要な水のやりとりをし、制御装置2が全体の水量を把握することで、不足してきた場合の補充量、補充時期、余った時の放出、備蓄の量、時期を適宜把握できるようになる。
【0034】
各装置4乃至7の処理水の水量、水質、及び処理状態を、センサ4c,5c,6c,7cで検出し、検出結果をデータベース3に蓄積し、当該データを制御装置2が人工知能(AI)による機械学習等で学習することで、使用者(第三者、管理者を含む)に対して、メンテナンス時期の予測、使用可能水量、使用可能時間、処理完了時間、不足する設備、制限などを、事前/リアルタイムを問わず、正確に伝えることができるようになる。
【0035】
制御装置2が、各装置4乃至7に設置された処理機4a,5a,6a,7aの処理能力や、循環に必要な水量等を把握することで、使用人数、規模、頻度等に応じた組み合わせを自由に構築することができ、水処理機間での水のやりとりを制御できるため、規模に合った水処理システムを実現できる。一部の設備だけ、例えばトイレ系だけなどといった対応も可能となる。水質は、トイレだけの場合、無菌であるが色は多少あって良いなど、制御装置2が、センサデータに基づいて状況を把握し、処理状況を監視することで、適正且つ最短最適に処理できる。各処理機の処理能力、循環に必要な水量を把握することで、使う人数、規模、頻度に応じた組み合わせが自由に構築できる。
【0036】
このほか、本実施形態に係る水処理システムによれば、生活で使用する水を隔離することができる。換言すれば、完全に閉鎖された場所、閉鎖したい場所での生活を提供できることになる。
【0037】
図2には、水処理システムにおける制御装置の構成を示し説明する。
【0038】
同図に示されるように、制御装置2は、全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の制御部11を備えている。制御部11は、通信部12、操作部13、表示部14、及び記憶部15と接続されている。また、制御部11は、各装置4乃至7に配設されている各種センサ4c,5c,6c,7cと接続されている。
【0039】
通信部12は、外部機器と通信を行うための通信インタフェースである。例えば各装置4乃至7の汚水処理機4a,5a,6a,7aと無線又は有線での通信を実現する。操作部13はキーボード、マウス、操作スイッチ等で構成されている。表示部14は、液晶ディスプレイ等で構成されている。
【0040】
記憶部15は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを予め記憶している。また、記憶部15は、各装置4乃至7の循環水使用タンク4b,5b,6b,7bの水量及び水質を記憶している。その一例は、
図3に示される通りであり、センシングされた日時と水量、水質が少なくとも記憶されている。
【0041】
このような構成において、制御部11は、記憶部15のプログラムを読み出し実行することで、少なくとも、送信部11a、受信部11b、水量・水質管理部11c、水量調整部11d、処理機制御部11e、解析部11fとして機能する。
【0042】
送信部11aは、各汚水処理機4a,5a,6a,7aに、通信部12を介して、駆動制御信号を送出し、外部機器に、通信部12を介して、記憶部15のセンシングに係るログデータや、解析部11fによる解析結果に基づくアラートデータ等を送信する。受信部11bは、各装置4乃至7のセンサ4c,5c,6c,7cからのセンサデータ等を受信する。また、受信部11bは、外部機器からの駆動指示を受け付ける。水量・水質管理部11cは、記憶部15のセンサデータを適宜更新し、各装置4乃至7の水量、水質の状態を管理する。
【0043】
水量調整部11dは、センサデータに基づいて、各装置4乃至7の水量、水質が適正か否かを判断し、各装置4乃至7相互間で、あるいは余剰水水槽、備蓄水槽8から水量が不足している装置4乃至7へと、水の送出を行うことで水処理システム1全体の水量のバランスを調整する。処理機制御部11eは、各装置4乃至7内の汚水処理機4a,5a,6a,7aを駆動制御する。処理機制御部11eは、外部機器による駆動指示に基づいた駆動制御も行うことができる。解析部11fは、記憶部15に記憶されているセンサデータに基づいて、水量を調整するためのタイミング、補給する水量等を、例えば機械学習等により解析し、解析結果に基づく制御を行うことで、循環の好適なループを実現する。
【0044】
以下、
図4のフローチャートを参照して、本発明の第1実施形態に係る水処理システムによる水量調整に係る処理手順を詳細に説明する。
【0045】
受信部11bが、センサ4c,5c,6c,7cからのセンサデータを取得すると(S1)、水量・水質管理部11cが、記憶部15に記憶されているセンサデータを更新する(S2)。記憶部15では、先に
図3に示したようなテーブル形式で、センサデータ取得の日時と水量、水質が対応付けられて時系列に蓄積されていく。
【0046】
水量調整部11dは、センサデータを取得したタイミングで、あるいは予め定められたタイミングで、装置4乃至7の循環使用水タンク4b、5b、6b、7bの使用水に水量不足が生じているか否かを判断し(S3)、特に不足が生じていない場合には、ステップS1に戻り、上記処理を繰り返す。
【0047】
一方、水量に不足が生じている装置4乃至7がある場合には、水量調整部11dは、他の装置の循環水使用タンクの使用水により補給可能であるか否かを判断する(S4)。そして、他の装置で補給可能であると判断した場合は、水量調整部11dは、補給可能な装置4乃至7の循環使用水タンク4a、5a、6a、7aの使用水で水量不足の装置4乃至7の使用水を補給するよう制御する(S5)。
【0048】
これに対して、他の装置の循環使用水タンクの水で、水量不足を補給できないと判断した場合には、余剰水水槽、備蓄水槽8の水で、水量不足の装置4乃至7の使用水を補給する(S6)。そして、再びステップS1に戻り、上記処理を繰り返すことで、水処理システム1内で完結した循環ループを実現する。
【0049】
なお、ステップS4において、他の装置の循環使用水タンクの水で水量不足を補給できるか否かを判断するに際して、
図5に示されるように、時間帯毎に、補給元として優先すべき装置が定められている場合には、優先順位に従って、補給元を選定するようにしてもよい。この
図5の優先順位は、解析部11fにより機械学習により、データが蓄積されたビックデータが構築される中、最適化されるようにしてもよい。
【0050】
一般的に、トイレ系処理装置4ではトイレ排水により水量が増加し、調理系処理装置5では調理などで持ち込まれた水分で循環水の水量が増加する。一方、洗濯系処理装置6やシャワー系処理装置7では、蒸発、体への付着などにより水分の減少が生じる。前述したように、制御装置2により処理水の水量、水質を管理することで、各装置4乃至7間で水量の増加、減少のバランスを取ることができる。
【0051】
さらに、水量調整に際して、解析部11fの機械学習による解析結果を参照するようにすれば、制御装置2が全体の水量を把握しつつ、不足してきた場合の使用水の補充量、補充時期、余った時の放出、備蓄の量、時期等を予め予測できるようになる。
【0052】
次に、
図6のフローチャートを参照して、本発明の第1実施形態に係る水処理システムによる他の水量調整に係る処理手順を詳細に説明する。
【0053】
受信部11bが、センサ4c,5c,6c,7cからのセンサデータを取得すると(S11)、水量・水質管理部11cが、記憶部15に記憶されているセンサデータを更新する(S12)。記憶部15では、先に
図3に示したようなテーブル形式で、センサデータ取得の日時と水量、水質が対応付けられて時系列に蓄積されていく。
【0054】
水量調整部11dは、センサデータを取得したタイミングで、あるいは予め定められたタイミングで、装置4乃至7の循環使用水タンク4b、5b、6b、7bの使用水の水量が基準値より少ないか否かを判断する(S13)。ここでいう基準値とは、それ以上、水量が少なくなると、他の装置や余剰水水槽からの補給が必要となることが予見される値であって、装置ごとに、予め設定されている。水量が、基準値以上である場合には、ステップS11に戻り、上記処理を繰り返す。
【0055】
一方、水量が基準値より少ない場合には、処理機制御部11eが、水量が基準値より少なくなっている装置の汚水処理機の処理速度を上げるための制御信号を送信することで、汚水処理機を駆動制御する(S14)。汚水処理機は、この制御信号を受信すると、処理速度を向上させるので、通常よりも早い速度で、足りない循環使用水を補うことができるようになる。以上の処理によれば、水量不足となる事態を予見し、汚水処理機の処理速度を一時的に向上させることで、自装置により水量不足対策を行うことが可能となる。
【0056】
前述した
図4の処理と、
図6の処理とを併用してもよいことは勿論である。
【0057】
<第2実施形態>
【0058】
図7には、本発明の第2実施形態に係る水処理システムの構成を示し説明する。
【0059】
同図に示されるように、ユニット22では、便器22aより、汚物、紙等を含む汚水(以下、「原水」と称する)が発生する。原水に含まれる、固形物を粉砕機22bなどで細かく粉砕し、圧送ポンプ22cにて、センサ41を介して、ユニット23へと圧送する。センサ41では、ユニット23へと送られる水の水質、温度、混在菌類、水量を常時センシングし、センサデータを制御装置40に送出する。
【0060】
ユニット23は、固形分離槽23a、嫌気曝気槽23b、好気曝気槽23c、及び処理水水槽23dからなり、原水の前処理、原水に含まれる固形物、繊維のほか、排泄物に含まれる、有機物、無機物、菌類、アンモニア、窒素、及び繊維等の分離処理、及び分解処理を行う。処理後の処理水は、処理水水槽23dに蓄えられる。
【0061】
センサ42は、ユニット23の前処理状況と水量とをセンシングし、制御装置40にセンサデータを送出する。制御装置40は、色度、濁度、PH、原水中酸素濃度、BOD、Do、窒素量、臭気、温度、菌類数が一定基準を満たした時点、又はタンク内水量を満たした時点で、ユニット24の制御ポンプ24a、制御バルブ24bを制御して、前処理の終わった原水を、ユニット25へ送る。このセンサ42のセンサデータは、次のユニット25へ送られる前の原水の状態を示すものである。
【0062】
ユニット25は、土壌フィルタ25a、人工土壌フィルタ25b、フィルタ25c、及び膜処理部25d等からなり、ユニット23で前処理を行なった原水を、更に高度に処理する。より具体的には、土壌フィルタ処理、紫外線処理、膜処理、フィルタ処理などを行う。但し、処理内容は、これには限定されない。
【0063】
センサ43は、ユニット25内にて、処理状態の把握、例えば、土壌処理であれば、土壌の状態、微生物の活性化の監視、微生物生存適正温度の管理、フィルタ類では、目詰まりの監視、各装置の、運転状況、故障の検知を行い、制御装置40にセンサデータを送出している。ユニット25で処理された水質をセンサ43でセンシングすることで、不完全な処理の場合、ユニット26の制御ポンプ26a、制御バルブ26bによって、再度ユニット25へ送り込まれ、再処理することもできる。
【0064】
制御装置40は、センサ42、センサ43との間の水質状態を比べることで、原水より取り除きたいものが適正に取り除かれているかを検知することができる。両者の数値が変わらない場合、センサ間に介在するユニットの不具合を検知することができる。
【0065】
ユニット27は、蒸留処理部27a、イオン分解部27b、膜処理部27c、フィルタ27d等からなり、ユニット25では処理できないもの、又は更に高度な処理を行うユニットである。ユニット25も同様であるが、ユニット27で高度処理した際に発生する濃縮された除去物の混ざった処理水は、脱水装置48にて、固形物、水と分けることができる。発生した水は、ユニット23へと戻すことができる。ユニット25,27での処理回数、その度に濃縮された処理水の前段のユニットに戻す回数には、制限がない。ユニット25,27の膜処理等により発生する濃縮された有機物を含む水は、ユニット28の制御ポンプ28a、制御バルブ28bによって、ユニット23に戻すことで、再処理され、分解することができる。
【0066】
センサ44では、ユニット27の処理水の水質をセンシングし、基準値を満たした処理水はユニット28の制御ポンプ28a、制御バルブ28bにより循環水水槽29へと送られる、循環水水槽29には、殺菌除菌機が内蔵、もしくは併設されているので、槽内の水質の劣化を防止できる。センサ45は循環水水槽29の槽内の水質を検出し、センサデータを制御装置40へと送出する。制御装置40は、このセンサデータに基づいて槽内の水質を監視、管理する。
【0067】
ユニット30の制御ポンプ30a、制御バルブ30bの作用により、循環水圧送ポンプ31を介して、循環水水槽29の水が、殺菌除菌器32に貯蔵水が送られ、殺菌除菌器32を介してユニット22に水を戻すことで、一定量の水を循環させ、一定量の水で、汚物の処理、トイレを洗浄し続けることができる。ここまでが、循環式トイレ装置21の仕組みである。
【0068】
しかるに、循環式トイレ装置21では、人体から排泄される水分が加算され、余剰水として、循環させている水量が増えることになる。これに対して、シャワー、生活排水などの水処理装置39では、使用時の蒸発、体への付着などにより水量が減る傾向にある。調理系では、場合によっては、水量が増える場合もあり得るが、減る要素が大きい。
【0069】
本実施形態に係る水処理システムでは、以上の点に着目し、汚水発生源別、処理目的に合わせた水循環処理装置をトイレ汚水循環処理装置と分けて設置し、接続することで、トイレ汚水循環処理装置以外で不足する水分の補填をすることを可能とした。
【0070】
循環式トイレ装置21で処理された水の水量、循環処理範囲内での循環している水量をセンサ45で検知し、余った水は余剰水として、ユニット30の制御ポンプ30a、制御バルブ30bの作用により、余剰水として余剰水水槽35へ送る。この余剰水水槽35には、殺菌除菌機が内蔵、もしくは併設されているので、槽内の水質の劣化を防ぐことができる。
【0071】
センサ47は、余剰水水槽35に蓄積されている水の水量、水質をセンシングしセンサデータを制御装置40へと送出する。制御装置40は、センサ45、46からのセンサデータに基づいて、循環式トイレ装置21の中の水量、余剰水水槽35の中の水量を把握し、双方で水の出し入れを行うことで、循環式トイレ装置21の水量の蒸発などによる減少にも対応する。制御装置40は、更に余った水は、ユニット34の制御ポンプ34a、制御バルブ34bにより余剰水水槽35へと送る。余剰水水槽35には、殺菌除菌機が内蔵、もしくは併設されているので、槽内の水質の劣化を防ぐことができる。
【0072】
センサ47は、余剰水水槽35に蓄えられている水の水質、及び水量をセンシングし、センサデータを制御装置40へと送出する。制御装置40は、ユニット36の制御ポンプ36a、制御バルブ36bを駆動制御して、他の水循環処理装置であるユニット39の循環水水槽38へ水の不足分を供給する。
【0073】
さらに、水処理システム全体で水分が余った場合等においては、ユニット37にて、散布、噴霧、蒸発などによる処理、処分を行う。
【0074】
このように、本実施形態に係る水処理システムでは、制御装置40が、センサ受信器49を介して、各センサ41乃至47からのセンサデータに基づいて、水の流通過程における処理水や処理水水槽23d、循環水水槽29、循環水水槽33、余剰水水槽35、循環水水槽38に蓄えられている処理水の水量、水質を監視している。したがって、制御装置40の制御の下、処理水水槽23dや循環水水槽38に水量の不足が生じた場合には、水量に余裕のある水槽から不足が生じた水槽へと処理水の供給がなされるので、水処理システム全体として、過不足のない循環ループが形成され、他の水源に頼ることなく、トイレ系や調理系など、各種の用途に必要な水を提供することができる。
【0075】
さらに、トイレ系処理装置、その他の処理装置等の処理水の水量、水質、及び処理状態を、検出結果をデータベースに蓄積し、当該データをAIユニット50が機械学習等で学習することで、使用者(第三者、管理者を含む)に対して、メンテナンス時期の予測、使用可能水量、使用可能時間、処理完了時間、不足する設備、制限などを、事前/リアルタイムを問わず、正確に伝えることができるようになる。
【0076】
<第3実施形態>
【0077】
図8には、本発明の第3実施形態に係る水処理システムの構成を示し説明する。ここでは、
図1と同一構成については、同一符号を付し、重複した説明は省略し、異なる部分を中心に説明を進める。
【0078】
同図に示されるように、第3実施形態に係る水処理システムは、統括水処理機61を備えている。第1実施形態に係る水処理システムでは、各装置4乃至7で処理された循環使用水は、いずれの装置4乃至7で使用される場合でも、水質の点で、基準値を超える良好な水であることは補償されていたが、例えば、各装置4乃至7の中で循環するのに必要な水質の基準値が個別に設定されている場合には、各装置間で処理水を補給し合う場合、補給先の水質に合わせなければならない。このような観点から、本水処理システムでは、統括水処理機61を別途設けることとしたものである。
【0079】
余剰水が発生しやすい装置としては、トイレ系処理装置4と、調理系処理装置5とがあり、水分が不足しやすい装置としては、洗濯系処理装置6と、シャワー系処理装置7とがある。したがって、トイレ系処理装置4、調理系処理装置5から、洗濯系処理装置6、シャワー系処理装置7へと水を補給する状況が想定される。調理系処理装置5では、最も高い水質レベルが要求されるので、当該調理系処理装置5の循環使用水タンク5bの水はそのまま洗濯系処理装置6、シャワー系処理装置7へと補給できる。一方、トイレ系処理装置4の循環使用水タンク4bに蓄えられている水の水質は、洗濯系処理装置6、シャワー系処理装置7で用いられる循環水の水質レベルよりも低い場合がある。そこで、トイレ系処理装置4から洗濯系処理装置6、シャワー系処理装置7へと水を補給する際に、統括水処理機61で、各装置6,7の循環使用水に要求されるレベルまで、トイレ系処理装置4の循環使用水タンク4bの水を再処理して、供給するようにしたものである。
【0080】
この統括水処理機61も、制御装置2により駆動制御される。例えば、統括水処理機61は、内部が2系統に分かれており、洗濯系処理装置6に水を補給する場合と、シャワー系処理装置7に水を補給する場合とで、処理系統を使い分けるようにしてもよい。その場合、処理系統の切り替えは、制御装置2が制御する。
【0081】
以上のほか、本発明の第3実施形態に係る水処理システムでは、雨水等の自然資源62を蓄える自然資源用備蓄水槽63と自然資源用水処理機64とを備え、自然資源用備蓄水槽63の水を自然資源用水処理機64dで処理して、余剰水水槽8に蓄えるような構成も備えている。自然資源用水処理機64dは、備蓄水槽63の水質を維持するための処理も実行する。したがって、以上の場合も、自然資源を有効に活用した上で水の循環ループを構築することが可能となる。
【0082】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0083】
(1)本発明の実施形態によれば、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系の少なくともいずれかを含む発生源別に汚水を処理して循環使用水として貯える水処理システム1であって、発生源別に設けられた複数の汚水処理機4a,5a,6a,7aと、発生源別に設けられ、汚水処理機の処理水の水量及び水質を少なくとも検出し出力する複数のセンサ4c,5c,6c,7cと、発生源別に設けられ、処理水を循環使用水として貯えるタンク4b,5b,6b,7bと、タンクで生まれた余剰水を貯える余剰水水槽、備蓄水槽8と、汚水処理機を駆動制御すると共に、センサからのセンサデータに基づいて各発生源のタンクの処理水の水量及び水質を管理する制御装置2とを備え、制御装置は、センサデータに基づいて、一の発生源の循環使用水に不足が生じていると判断した場合には、他の発生源の循環使用水、又は前記余剰水水槽の余剰水により当該不足分を補給するよう制御する水処理システム1が提供される。したがって、外部水源からの水の供給に基本的に頼ることなく、システム全体として発生源別の特質を上手く利用して、使用水の循環ループを構築することが可能となる。
【0084】
(2)上記(1)に記載の水処理システムにおいて、トイレ系及び前記調理系では循環使用水が余剰となり、洗濯系及び前記シャワー系では循環使用水が減少し、制御装置2は洗濯系又は前記シャワー系での循環使用水に不足が生じた場合に、トイレ系又は調理系の循環使用水に余剰がある場合には、トイレ系又は調理系のタンク4b,5bより、洗濯系又はシャワー系の前記タンク6b,7bに不足分の水を補給するよう制御してもよい。従って、発生源別の特質に鑑みて、余剰水を無駄なくシステム全体で使用することが可能となる。
【0085】
(3)上記(1)又は(2)に記載の水処理システムにおいて、統括水処理機61を更に備え、トイレ系のタンク4bより、洗濯系又はシャワー系のタンク6b、7bに不足分の水を補給する場合には、統括水処理機により、補給先の基準値に合った水質となるようトイレ系のタンクからの水を処理した後、補給してもよい。従って、装置間で水のやりとりを行う場合でも、供給先で要求される水質レベルまで浄化した後、供給することが可能となるので、システム内の循環ループがより円滑になる。
【0086】
(4)上記(1)乃至(4)に記載の水処理システムにおいて、自然資源62からの水を備蓄する自然資源用備蓄水槽63と、自然資源用備蓄水槽の水を処理する自然資源用水処理機64とを有し、自然資源用水処理機により処理された水を余剰水水槽8に送るようにしてもよい。従って、自然資源から得られる水もシステムの循環ループの一部として活用することが可能となる。
【0087】
(5)上記(1)乃至(4)に記載の水処理システムにおいて、制御装置2は、センサデータに基づいて、処理水の水量及び水質の少なくともいずれかが基準値との関係で異常であると判断したときは、外部の端末装置に、所定の警告データを送信し、外部の端末装置による駆動指示を受け付けるようにしてもよい。したがって、遠隔地より外部装置により、水処理システム1の使用水の循環状況等を常時、確認、更には駆動指示することが可能となる。
【0088】
(6)一方、本発明の実施形態によれば、トイレ系、調理系、洗濯系、及びシャワー系の少なくともいずれかを含む発生源別に汚水を処理して循環使用水として貯える水処理方法あって、前記発生源別に、汚水処理機4a,5a,6a,7aが汚水を処理し、センサ4c,5c,6c,7cが汚水処理機の処理水の水量及び水質を少なくとも検出して出力し、タンク4b,5b,6b,7bが、処理水を循環使用水として貯え、余剰水水槽、備蓄水槽8が、タンクで生まれた余剰水を貯え、制御装置2が、汚水処理機を駆動制御すると共に、センサからのセンサデータに基づいて各発生源のタンクの処理水の水量及び水質を管理し、センサデータに基づいて、一の発生源の循環使用水に不足が生じていると判断した場合には、他の発生源の循環使用水、又は余剰水水槽の余剰水により当該不足分を補給する水処理方法が提供される。したがって、外部水源からの水の供給に基本的に頼ることなく、システム全体として発生源別の特質を上手く利用して、使用水の循環ループを構築することが可能となる。
【0089】
(7)上記(6)に記載の水処理方法において、トイレ系及び調理系では循環使用水が余剰となり、洗濯系及びシャワー系では循環使用水が減少し、制御装置2が、洗濯系又はシャワー系での循環使用水に不足が生じた場合に、トイレ系又は調理系の循環使用水に余剰がある場合には、トイレ系又は調理系のタンク4b,5bより、洗濯系又はシャワー系のタンク6b,7bに不足分の水を補給してもよい。従って、発生源別の特質に鑑みて余剰水を無駄なくシステム全体で使用することが可能となる。
【0090】
(8)上記(6)又は(7)に記載の水処理方法において、トイレ系のタンク4bより、洗濯系又はシャワー系のタンク6b、7bに不足分の水を補給する場合には、統括水処理機61が、補給先の基準値に合った水質となるようトイレ系のタンクからの水を処理した後、補給するようにしてもよい。従って、装置間で水のやりとりを行う場合でも、供給先で要求される水質レベルまで浄化した後、供給することが可能となるので、システム内の循環ループがより円滑になる。
【0091】
(9)上記(6)乃至(8)に記載の水処理方法において、自然資源用備蓄水槽63が、自然資源62からの水を備蓄し、自然資源用水処理機64が、自然資源用備蓄水槽63の水を処理し、自然資源用水処理機により処理された水を余剰水水槽8に送るようにしてもよい。従って、自然資源から得られる水もシステムの循環ループの一部として活用することが可能となる。
【0092】
(10)上記(6)乃至(9)に記載の水処理方法において、制御装置2が、センサデータに基づいて、処理水の水量及び水質の少なくともいずれかが基準値との関係で異常であると判断したときは、外部の端末装置に、所定の警告データを送信し、外部の端末装置による駆動指示を受け付けるようにしてもよい。したがって、遠隔地より外部装置により、水処理システム1の使用水の循環状況等を常時、確認、更には駆動指示することが可能となる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0094】
例えば、自然エネルギー発電システムと、蓄電池を搭載することで、外部からのエネルギー供給を不要とすることもできる。さらに、水源を自然からとした場合、(雨/川/池/海)水循環処理装置を通すことで、処理された、一定基準の水質の水となることができるため、場所や条件によっては、水の運搬がいらない。
【符号の説明】
【0095】
1…水処理システム、2…制御装置、3…データベース、4…トイレ系処理装置、4a…水循環トイレ汚水処理機、4b…循環使用水タンク、5…調理系処理装置、5a…水循環生活排水汚水処理機、5b…循環使用水タンク、6…洗濯系処理装置、6a…水循環生活排水汚水処理機、6b…循環使用水タンク、7…シャワー系処理装置、7…水循環シャワー汚水処理機、7b…循環使用水タンク、8…余剰水水槽、備蓄水槽、9…水分蒸発噴霧装置、10…固液分離除去物固形化装置、11…制御部、11a…送信部、11b…受信部、11c…水量・水質管理部、11d…水量調整部、11e…処理機制御部、11f…解析部、12…通信部、13…操作部、14…表示部、15…記憶部。