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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】海底近傍の磁気勾配測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/08 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
G01V3/08 Z
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179275
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】202111367741.X
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517455720
【氏名又は名称】青▲島▼海洋地▲質▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼源
(72)【発明者】
【氏名】周吉祥
(72)【発明者】
【氏名】李志▲トン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼慧敏
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼建▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲単▼瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼李▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼京
(72)【発明者】
【氏名】李▲陽▼
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-160420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0214694(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112346127(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114264986(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 3/00-3/40
G01V 1/38-1/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを備えた海底近傍の磁気勾配測定装置であって、油圧ウインチと、センサー投入機構とをさらに備え、油圧ウインチ及びセンサー投入機構はどちらもフレームに設けられ、油圧ウインチとセンサー投入機構との間を油入ケーブルで接続し、
前記センサー投入機構は、リミッターと、センサー投入チャンバーと、センサー押し出し用油圧シリンダーと、投入チャンバー掛け金とを備え、センサー投入チャンバーは円筒状を呈し、センサー投入チャンバーの先端部がセンサー投入端で、センサー投入端がラッパ状を呈し、センサー投入端に投入チャンバー掛け金も有し、センサー投入チャンバー内には軸方向に並べられた複数のセンサーが設けられ、センサーの頂部表面に複数のケーブル通し環が固定され、油入ケーブルは各センサー頂部のケーブル通し環を順次通し、油入ケーブルの末端に変位制限ブロックが固定され、変位制限ブロックのサイズはケーブル通し環の穴径よりも大きく、
前記センサー投入チャンバーの頂部表面には、軸方向に沿って長穴が設けられ、ケーブル通し環は長穴内に位置し、ケーブル通し環の下部が長穴内を摺動し、センサー投入チャンバーの外壁にセンサー押し出し用油圧シリンダーが固定され、センサー押し出し用油圧シリンダーのピストンロッドがセンサー投入チャンバーの後端に面し、センサー押し出し用油圧シリンダーの後端にプッシュロッドが固定され、プッシュロッドはセンサーの頂部に固定されたケーブル通し環の後側に位置し、
前記油入ケーブルに複数のリミッターが固定され、リミッターはロック部と、ロックピンと、リミッター本体とを備え、リミッター本体は円筒状を呈し、両端がロック部にそれぞれ固結され、リミッター本体内にロックピンが設けられ、
前記リミッター本体は、円筒状の固定スリーブを備え、固定スリーブの軸方向両端に油入ケーブルと結合するねじ込み継手がそれぞれ固定され、固定スリーブの軸方向両側端面には間隔をあけて複数の第2ねじ穴が設けられ、固定スリーブのサイズはケーブル通し環の穴径よりも小さく、
前記固定スリーブの中央には貫通孔が設けられ、貫通孔の両端は各々ねじ込み継手と連通し、固定スリーブ内に半径方向に沿って間隔をあけて複数のロックピン貫通孔が設けられ、ロックピンはロックピン貫通孔内に摺動可能に設けられ、ロックピン貫通孔の一端が貫通孔と連通し、他端が固定スリーブの環状外側壁の開口部と連通し、ロックピンの端部はロックピン貫通孔から突出し、ロックピンの端部が固定スリーブの外側壁より高い場合、両側にロックピンが突出している固定スリーブのサイズはケーブル通し環の穴径よりも大きい、
ことを特徴とする、海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項2】
前記ロックピンの貫通孔に面する側に押し板が固定され、押し板は貫通孔内の作動油と直接接触し、ロックピンの外側にバネが巻き付けられ、バネの一端が押し板と固結し、固定スリーブの環状外側壁上の開口部のサイズはロックピンの直径よりも大きく、バネの直径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項3】
前記油圧ウインチ及びセンサー投入チャンバーは、どちらもフレームの前端に固定され、フレームの後端に2つのガイドプーリーが設けられ、油圧ウインチ上の油入ケーブルは2つのガイドプーリーをそれぞれ通過した後センサー投入チャンバーと接続することを特徴とする、請求項1に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項4】
前記投入チャンバー掛け金は、棒状を呈し、一端が油圧シリンダーと連結し、他端がセンサー投入チャンバー内に延在することを特徴とする、請求項1に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項5】
センサー投入チャンバー内にn個のセンサーが設けられた場合、対応する油入ケーブルにはn-1個のリミッターが設けられ、各リミッターはそれぞれ2段センサーからn段センサーまで1対1で対応することを特徴とする、請求項1に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項6】
前記固定スリーブの軸方向端部のロック部は、2つのロックブロックの組み合わせによって形成され、ロックブロックに複数の第1ねじ穴が設けられ、ねじ込み継手は第1ねじ穴及び固定スリーブ端部の第2ねじ穴を順次挿通して、ロック部とリミッター本体との間の固結を実現し、ロックブロックの内部に固定溝及び油入ケーブル通し溝が設けられ、固定溝は油入ケーブル通し溝の外側に位置し、かつ油入ケーブル通し溝と連通し、2つのロックブロックを組み合わせた後、2つの固定溝が油圧油入ケーブルのロック端と嵌合する固定孔を形成し、2つの油入ケーブル通し溝が円筒状の油入ケーブル貫通孔を形成することを特徴とする、請求項1に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項7】
前記油圧ウインチは、円板と、油圧モータと、ケーブル繰出装置と、スリップリングとを備え、油圧ウインチのドラム両端にそれぞれ円板が固定され、一側の円板外側のブラケットに油圧モータが設けられ、他側の円板外側のブラケットにスリップリングが固定され、スリップリングに電子防水コネクタが設けられ、円板の前方にケーブル繰出装置が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【請求項8】
前記フレームの頂部に潜水機結合ポストが固定され、潜水機結合ポストは潜水機と連結し、フレームに油圧結合パネルも固定され、油圧モータは油圧ホースを介して油圧結合パネルと接続し、スリップリング上の油入ケーブル油圧ポートが油圧ホースを介して油圧結合パネルと接続し、センサー押し出し用油圧シリンダーが油圧ホースを介して油圧結合パネルと接続することを特徴とする、請求項7に記載の海底近傍の磁気勾配測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋磁気測定分野に関し、特に、深海潜水機に適した海底近傍の磁気勾配測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間における磁場の変化率を測定することは磁場勾配測定となり、製造現場で応用される垂直勾配測定と水平勾配測定の2種類があり、磁気勾配測定は一般的にマルチプローブの直列接続方式を用いて実施される。海洋磁気測定の多くは、台船曳航式測定を用い、船体機器の磁気機器への干渉を減らすため、曳航ケーブルの長さは一般的に船の長さの3~6倍である。
【0003】
現在、海底近傍の磁気測定は、主に定点式と航行中連続式の2つの測定方法を用い、定点式測定の多くは磁気の日変化観測潜水ブイや着底装置で、航行中連続式測定は潜水機に搭載する方式で実施される。しかし、水中の航行中連続式磁気測定の多くは、潜水機に固設される方法を用いており、例えば潜竜シリーズの潜水機においては、測定プローブを潜水機の尾部に設置する。この種の方式は、曳航式センサーに比べて潜水機に近く、測定時センサーへの潜水機の干渉が大きく、かつ従来の水中ウインチは複数のセンサーの投入と揚収を実現できないことで、複数のプローブの直列接続による勾配測定を実現できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術に存在する上記の欠陥を克服し、直列に接続した複数のセンサーの投入と揚収を実現し、センサーへの潜水機の干渉を大幅に減少させ、複数のセンサーの直列接続による勾配測定を実現し、海底近傍の磁力勾配測定の精度を向上させる海底近傍の磁気勾配測定装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的手段として、フレームを備えた海底近傍の磁気勾配測定装置であって、油圧ウインチと、センサー投入機構とをさらに備え、油圧ウインチ及びセンサー投入機構はどちらもフレームに設けられ、油圧ウインチとセンサー投入機構との間を油入ケーブル(油纜、オイルケーブル)で接続し、
前記センサー投入機構は、リミッターと、センサー投入チャンバーと、センサー押し出し用油圧シリンダーと、投入チャンバー掛け金とを備え、センサー投入チャンバーは円筒状を呈し、センサー投入チャンバーの先端部がセンサー投入端で、センサー投入端がラッパ状を呈し、センサー投入端に投入チャンバー掛け金も有し、センサー投入チャンバー内には軸方向に並べられた複数のセンサーが設けられ、センサーの頂部表面に少なくとも2つのケーブル通し環が間隔をあけて固定され、油入ケーブルは各センサー頂部のケーブル通し環を順次通し、油入ケーブルの末端に変位制限ブロックが固定され、変位制限ブロックのサイズはケーブル通し環の穴径よりも大きく、
前記センサー投入チャンバーの頂部表面には、軸方向に沿って長穴が設けられ、ケーブル通し環は長穴内に位置し、ケーブル通し環の下部が長穴内を摺動し、センサー投入チャンバーの外壁にセンサー押し出し用油圧シリンダーが固定され、センサー押し出し用油圧シリンダーのピストンロッドがセンサー投入チャンバーの後端に面し、センサー押し出し用油圧シリンダーの後端にプッシュロッドが固定され、プッシュロッドはセンサーの頂部に固定されたケーブル通し環の後側に位置し、
前記油入ケーブルに複数のリミッターが固定され、リミッターはロック部と、ロックピンと、リミッター本体とを備え、リミッター本体は円筒状を呈し、両端がロック部にそれぞれ固結され、リミッター本体内にロックピンが設けられ、
前記リミッター本体は、円筒状の固定スリーブを備え、固定スリーブの軸方向両端に油入ケーブルと結合するねじ込み継手がそれぞれ固定され、固定スリーブの軸方向両側端面には間隔をあけて複数の第2ねじ穴が設けられ、固定スリーブのサイズはケーブル通し環の穴径よりも小さく、
前記固定スリーブの中央には貫通孔が設けられ、貫通孔の両端は各々ねじ込み継手と連通し、固定スリーブ内に半径方向に沿って間隔をあけて複数のロックピン貫通孔が設けられ、ロックピンはロックピン貫通孔内に摺動可能に設けられ、ロックピン貫通孔の一端が貫通孔と連通し、他端が固定スリーブの環状外側壁の開口部と連通し、ロックピンの端部はロックピン貫通孔から突出し、ロックピンの端部が固定スリーブの外側壁より高い場合、両側にロックピンが突出している固定スリーブのサイズはケーブル通し環の穴径よりも大きい。
【0006】
本発明では、前記ロックピンの貫通孔に面する側に押し板が固定され、押し板は貫通孔内の作動油と直接接触し、ロックピンの外側にバネが巻き付けられ、バネの一端が押し板と固結し、固定スリーブの環状外側壁上の開口部のサイズはロックピンの直径よりも大きく、バネの直径よりも小さい。
【0007】
前記油圧ウインチ及びセンサー投入チャンバーは、どちらもフレームの前端に固定され、フレームの後端に2つのガイドプーリーが設けられ、油圧ウインチ上の油入ケーブルは2つのガイドプーリーをそれぞれ通過した後センサー投入チャンバーと接続し、ガイドプーリーがガイドの役割を果たす。
【0008】
前記投入チャンバー掛け金は、棒状を呈し、一端が油圧シリンダーと連結し、他端がセンサー投入チャンバー内に延在し、センサー投入チャンバー内のセンサーに対してブロックの役割を果たす。
【0009】
センサー投入チャンバー内にn個のセンサーが設けられた場合、対応する油入ケーブルにはn-1個のリミッターが設けられ、各リミッターはそれぞれ2段センサーからn段センサーまで1対1で対応する。
【0010】
前記固定スリーブの軸方向端部のロック部は、2つのロックブロックの組み合わせによって形成され、ロックブロックに複数の第1ねじ穴が設けられ、ねじ込み継手は第1ねじ穴及び固定スリーブ端部の第2ねじ穴を順次挿通して、ロック部とリミッター本体との間の固結を実現し、ロックブロックの内部に固定溝及び油入ケーブル通し溝が設けられ、固定溝は油入ケーブル通し溝の外側に位置し、かつ油入ケーブル通し溝と連通し、2つのロックブロックを組み合わせた後、2つの固定溝が油圧油入ケーブルのロック端と嵌合する固定孔を形成し、2つの油入ケーブル通し溝が円筒状の油入ケーブル貫通孔を形成する。
【0011】
前記油圧ウインチは、円板と、油圧モータと、ケーブル繰出装置と、スリップリングとを備え、油圧ウインチのドラム両端にそれぞれ円板が固定され、一側の円板外側のブラケットに油圧モータが設けられ、他側の円板外側のブラケットにスリップリングが固定され、スリップリングに電子防水コネクタが設けられ、円板の前方にケーブル繰出装置が設けられる。
【0012】
前記フレームの頂部に潜水機結合ポストが固定され、潜水機結合ポストは潜水機と連結し、フレームに油圧結合パネルも固定され、油圧モータは油圧ホースを介して油圧結合パネルと接続し、スリップリング上の油入ケーブル油圧ポートが油圧ホースを介して油圧結合パネルと接続し、センサー押し出し用油圧シリンダーが油圧ホースを介して油圧結合パネルと接続する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の有利な効果としては、
(1)油圧ウインチを介して、複数のセンサーによる勾配測定を実現し、油入ケーブルを介して各センサーを海底近傍の位置に投入するため、測定過程中で各センサーと潜水機との間の距離が大きく、センサーへの潜水の干渉を大幅に減少し、海底近傍の磁気勾配の測定精度を向上させ、
(2)センサー投入機構を介して、複数のセンサー間の直列接続による投入及び揚収を実現し、
(3)油入ケーブル内のオイルは、油入ケーブルの遮水保護の役割を果たすだけではなく、オイルの圧力を制御することによってリミッターの駆動を制御できるので、複数直列に接続するセンサーの投入を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の概略構成を示す立体図である。
図2】本発明の概略構成を示す上面図である。
図3】油圧ウインチの一側から見た概略構成図である。
図4】油圧ウインチの他側から見た概略構成図である。
図5】センサー投入機構の概略構成を示す立体図である。
図6】センサー投入チャンバーの概略構成図である。
図7】センサーの概略構成図である。
図8】本発明の概略構成図である。
図9】リミッター本体の概略構成図である。
図10】リミッター本体の内部構造を示す概略図である。
図11】ロックピンの概略構成図である。
図12】ロックブロックとリミッター本体の取付を示す概略構成図である。
図13】ロックブロックの概略構成を示す上面図である。
図14】ロックブロックの概略構成を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明白かつ理解しやすくするため、以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の具体的実施形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明を完全に理解するため、以下の描写では、具体的詳細を説明している。しかしながら、本発明は、本明細書に記載されたものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者は、本発明の概念から逸脱することなく類推することができる。したがって、本発明は、以下に開示される具体的実施形態によって限定されない。
【0017】
図1及び図2に示すように、本発明の海底近傍の磁気勾配測定装置は、フレーム1と、油圧ウインチ2と、センサー投入機構とを備え、油圧ウインチ2及びセンサー投入機構はどちらもフレーム1に設けられる。フレーム1の頂部に潜水機結合ポスト4が固定され、該装置は潜水機結合ポスト4を介して潜水機と連結する。フレーム1上には油圧結合パネル5が固定され、油圧結合パネル5を介して潜水機から該装置に油圧動力を供給する。油圧ウインチ2とセンサー投入機構との間は油入ケーブル10で接続される。
【0018】
図3及び図4に示すように、油圧ウインチ2は、円板201と、油圧モータ202と、ケーブル繰出装置203と、スリップリング204とを備え、油圧ウインチ2のドラム両端にそれぞれ円板201が固定され、一側の円板外側のブラケットに油圧モータ202が設けられ、油圧モータ202の油圧ホースが油圧結合パネル5と接続し、油圧モータ202は油圧結合パネル5を介して潜水機と連結し、潜水機から油圧モータに動力を供給する。他側の円板外側のブラケットにスリップリング204が固定され、スリップリング204上の油入ケーブル10の油圧ポート205は油圧ホースを介して油圧結合パネル5と接続し、潜水機から油入ケーブル10に作動油を供給し、スリップリング204には電子防水コネクタ206が設けられ、電子防水コネクタ206、ウインチスリップリング、及び油入ケーブル10を介してセンサーに通電し、センサーと潜水機との間の通信を実現する。この方法では、N段目である最後段のセンサーとのリアルタイム通信のみを実現でき、他のセンサーは油入ケーブル10における特定位置に無線通信アセンブリを増設するか、データの自己容量ストレージ方式で動作する。円板201の前方にケーブル繰出装置203が設けられ、ケーブル繰出装置203は、ケーブルの巻き取り方向を制御して、ケーブルをよりよく巻き取るための装置である。
【0019】
ケーブル繰出装置203は、両側の支持体と、ガイドロッドと、スクリューと、ケーブル繰出フレームとを備え、2つの支持体間はガイドロッド及びスクリューを介して連結し、スクリューはガイドロッドの上方に位置し、ケーブル繰出フレームの底端がガイドロッドに摺動可能に連結され、ケーブル繰出フレームの中央とスクリューとの間がねじ込み結合され、ケーブル繰出フレームの頂端にケーブルガイド穴が設けられ、油入ケーブル10は該ケーブルガイド穴を通過する。スクリューは、チェーンを介して円板に固結された歯車と動力伝達可能に連結する。油圧ウインチ2が作動した場合、油圧モータ202がドラム及び両端の円板201を回転させて、油入ケーブル10の繰り出し又は巻き上げを実現する。油入ケーブル10の巻き上げ・繰り出し過程で、円板とスクリューとの間の動力伝達可能な連結を介して、円板回転過程でスクリューを回転させ、ケーブル繰出フレームはスクリューとの連結により、かつガイドロッドのガイド作用において、スクリューの軸方向に沿って往復運動できるため、油入ケーブル10の巻き取り方向を制御する。
【0020】
図5図7に示すように、センサー投入機構は、リミッター3と、センサー投入チャンバー6と、センサー押し出し用油圧シリンダー7と、投入チャンバー掛け金8とを備える。センサー投入チャンバー6は、円筒状を呈し、フレーム1に固定される。本実施例において、油圧ウインチ2及びセンサー投入チャンバー6は、どちらもフレーム1の前端に位置し、フレーム1の後端に2つのガイドプーリー9が設けられ、油圧ウインチ上の油入ケーブル10は2つのガイドプーリー9をそれぞれ通過した後センサー投入チャンバーと接続し、ガイドプーリー9がガイドの役割を果たす。
【0021】
センサー投入チャンバー6の先端部はセンサー投入端で、センサー投入端がラッパ状を呈し、センサーの投入及び揚収が容易にする。センサー投入端に投入チャンバー掛け金8も有し、投入チャンバー掛け金8は、棒状を呈し、一端が油圧シリンダーと連結し、他端がセンサー投入チャンバー内に延在し、センサー投入チャンバー内のセンサーに対してブロックの役割を果たす。
【0022】
センサー投入チャンバー6内に軸方向に並べられた複数のセンサー14が設けられ、センサー投入端に近いセンサーは1段センサーで、その後のセンサーが順番通り2段センサー、3段センサー~n段センサーである。図7に示すように、センサー14の頂部表面に少なくとも2つのケーブル通し環11が間隔をあけて固定され、油入ケーブル10は各センサー14頂部のケーブル通し環11を順次通し、油入ケーブル10の末端に変位制限ブロック12が固定され、変位制限ブロック12のサイズはケーブル通し環11の穴径よりも大きいため、ケーブル通し環11が油入ケーブル10から脱落するのを防止し、ケーブル通し環が常に油入ケーブル10を外嵌できるようにする。
【0023】
センサー投入チャンバー5の頂部表面には、軸方向に沿って長穴13が設けられ、ケーブル通し環11は長穴13内に位置し、ケーブル通し環11の下部が長穴13内を摺動できる。ケーブル通し環11が長穴13内を移動する時、該ケーブル通し環と固定するセンサー14は、センサー投入チャンバー6内を移動する。センサー投入チャンバー6の外壁にセンサー押し出し用油圧シリンダー7が固定され、センサー押し出し用油圧シリンダー7のシリンダー本体がセンサー投入チャンバー6の外部と固結され、センサー押し出し用油圧シリンダー7のピストンロッド701がn段センサーに面する。ピストンロッド701の一端は、センサー押し出し用油圧シリンダーのシリンダー本体と連結し、他端にプッシュロッド702が固定され、プッシュロッド702はn段センサーの頂部に固定されたケーブル通し環の後側に位置する。ここでいう後側とは、センサーの運動方向から見たときの後側である。センサー押し出し用油圧シリンダー7は、油圧ホースを介して油圧結合パネル5と接続する。
【0024】
油入ケーブル10に複数のリミッター3が固定され、センサー投入チャンバー6内にn個のセンサーが設けられた場合、対応する油入ケーブル10にn-1個のリミッター3が設けられ、合理的に設けられたリミッターの位置を介して、各リミッターがそれぞれ2段センサー~n段センサーと1対1で対応することを確保する。図8図14に示すように、リミッター3は、ロック部301と、ロックピン306と、リミッター本体307とを備え、リミッター本体307は円筒状を呈し、両端がロック部301にそれぞれ固結され、リミッター本体307内にロックピン306が設けられる。
【0025】
リミッター本体307は、円筒状の固定スリーブ308を備え、固定スリーブ308の軸方向両端にそれぞれねじ込み継手310が固定され、ねじ込み継手310を介してリミッター本体307と油入ケーブル10との接続を実現し、かつ固定スリーブ308の軸方向両側端面には間隔をあけて複数の第2ねじ穴309が設けられ、第2ねじ穴309を介して固定スリーブ308とロックブロック305との固結を実現する。固定スリーブ308のサイズは、ケーブル通し環11の穴径よりも小さい。
【0026】
固定スリーブ308の中央には貫通孔が設けられ、貫通孔の両端はそれぞれねじ込み継手310と連通し、作動油が油入ケーブル10を介して一端の的ねじ込み継手から貫通孔内に入り、他端のねじ込み継手に流れ、該ねじ込み継手に接続された油入ケーブル10内から流れ出す。固定スリーブ308内に半径方向に沿って間隔をあけて複数のロックピン貫通孔312が設けられ、ロックピン306はロックピン貫通孔312内に摺動可能に設けられる。ロックピン貫通孔312の一端は固定スリーブ308の貫通孔と連通し、他端が固定スリーブ308の環状外側壁の開口部と連通する。本実施例において、固定スリーブ308内に2つのロックピン貫通孔312が設けられ、2つのロックピン貫通孔312は同一平面上にあり、2つのロックピン貫通孔312間は対称的に配置される。
【0027】
ロックピン306の貫通孔に面する側に押し板314が固定され、押し板314は貫通孔内の作動油と直接接触し、ロックピン306の外側にバネ313が巻き付けられ、バネ313の一端が押し板314と固結する。ロックピン306は、ロックピン貫通孔312内に摺動可能に設けられる。また、固定スリーブの環状外側壁上の開口部のサイズは、ロックピン306の直径よりも大きく、バネ313の直径よりも小さいことが保証されるべきである。リミッターが非動作状態にある時、ロックピン306は、ロックピン貫通孔312内にあり、固定スリーブ308のサイズはケーブル通し環11の穴径よりも小さいため、油入ケーブル10はリミッター3を各ケーブル通し環11間において移動させることができる。貫通孔内の作動油が加圧された場合、作動油は押し板314を押して半径方向外向きに移動させ、押し板314に固結されたロックピン306及びバネ313も外向きに運動し、バネ313は一端が固定スリーブの環状外側壁の開口部に接触するまで運動した時、外側に運動し続けることができず、押し板314がロックピン306を押して外向きに運動し続けて、ロックピン306の端部をロックピン貫通孔312から突出させ、固定スリーブ308の外側壁より高くなる。この時両側にロックピンが突出している固定スリーブのサイズは、ケーブル通し環のサイズより大きく、油入ケーブル10がリミッター3をケーブル通し環11まで移動させた時、リミッター3はケーブル通し環11を通過できなくなり、ケーブル通し環11及びケーブル通し環11に連結されたセンサー14を油入ケーブル10の運動方向に沿って移動するよう押すしかできない。バネ313は、押し板314の押し付け力の作用において圧縮状態にある。貫通孔内の油圧が低下した場合、バネ313の弾性力の作用において、ロックピン306は自動復帰され、再びロックピン貫通孔312内に戻る。
【0028】
固定スリーブ308の軸方向端部のロック部301は、2つのロックブロック305の組み合わせによって形成され、ロックブロック305に複数の第1ねじ穴304が設けられ、ねじ込み継手は第1ねじ穴304及び固定スリーブ端部の第2ねじ穴309を順次挿通して、ロック部301とリミッター本体307との間の固結を実現する。ロックブロック305の内部に固定溝302及び油入ケーブル通し溝303が設けられ、固定溝302は油入ケーブル通し溝303の外側に位置し、かつ油入ケーブル通し溝303と連通し、2つのロックブロック305を組み合わせた後、2つの固定溝302が六角形の固定孔を形成し、該孔は標準の油圧油入ケーブル10のロック端と嵌合し、油入ケーブル10の緩みを防止する。油入ケーブル10を簡単に通すため、2つの油入ケーブル通し溝303は円筒状の油入ケーブル貫通孔を形成する。また、ロック部301の外面のリミッター本体307に面する端は円筒状を呈し、他端は円錐台状を呈する。
【0029】
該装置の動作原理は、次の通りである。まず、投入チャンバー掛け金8を開け、センサー押し出し用油圧シリンダー7は作動し、プッシュロッド702が複数のセンサーをセンサー投入チャンバー6のセンサー投入端へ移動するよう押し、1段センサーをセンサー投入チャンバー6から押し出した時、投入チャンバー掛け金8を閉じると共にセンサー押し出し用油圧シリンダー7の作動が停止し、その他のセンサーをチャンバー内にブロックし、1段センサーは重力作用下で沈み続け、海底近傍の位置に着底して、磁気勾配測定を行い、1段センサーの沈み続ける過程でケーブル通し環によって油入ケーブル10を引っ張るため、油圧ウインチ2はケーブルを繰り出し続ける状態にある。次に、2段センサーに対応するリミッター3が2段センサーの頂部に固定された2つのケーブル通し環11の間まで移動した時、該リミッター3が動作し、この時該リミッター内の油圧が増加され、油圧のプッシュにおいて、リミッター内のロックピン306が固定スリーブ308から突出することで、固定スリーブ308の外形寸法が大きくなり、油圧ウインチ2がケーブルを繰り出し続けることにつれ、油入ケーブル10は該リミッター3を2段センサーに固結されたケーブル通し環11と接触するまで動かせた時、リミッター3が油入ケーブル10の引張作用において、該ケーブル通し環11及びケーブル通し環11に固結された2段センサーをセンサー投入チャンバー6から押し出すまでセンサー投入端に向けて押し続け、すなわち、2段センサーは、センサー押し出し用油圧シリンダーが作動することなく、リミッター3を介して油入ケーブル10とともにセンサー投入チャンバー6を出る。その後の数段のセンサー14もリミッター3を介して油入ケーブル10とともにセンサー投入チャンバー6を出て、複数直列に接続するセンサー14が海底に投入されることを実現し、同時にリミッター3を介して油入ケーブル10における各段センサー14の位置を制限し、各直列に接続するセンサー14の磁気勾配測定を実現する。センサー14を揚収する時、油圧ウインチ2はケーブルを巻き上げ、油入ケーブル10を介して各センサー14をセンサー投入チャンバー6内に戻させることができる。
【0030】
本発明では、各リミッターのトリガリング(始動)を多種多様な方法で実現できるため、複数のセンサーの投入を実現する。方法の1つは、リミッターに異なる圧力しきい値のリリーフバルブを追加し、油入ケーブル10内の圧力を制御することによって、複数のリミッターの順次出発を実現することである。2番目の方法は、油圧ウインチは、多回路型油圧スリップリングを用い、油入ケーブル10内に多回路の油圧回路を統合し、複数のリミッターの個別制御を実現する。
【0031】
以上、本発明により提供される海底近傍の磁気勾配測定装置を詳細に説明してきた。本明細書は、具体的実施例を使用して本発明の原理及び実施形態を描写し、以上の実施例の説明は本発明の方法及びこの中核の思想への理解を助けるためにのみ使用される。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対して様々な改良及び修正を行なうこともでき、かかる改良及び修正、改善も本発明の特許請求の保護範囲内に含まれることを指摘されたい。開示された実施例の上記の説明は、当業者に本発明を実施又は使用させることができる。これらの実施例に対する多種多様な修正は、当業者にとって自明であり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例で実施することができる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施例に限定されることはなく、本明細書に開示される原理及び新規特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0032】
10 ・・油入ケーブル
1 ・・フレーム
11 ・・ケーブル通し環
12 ・・変位制限ブロック
13 ・・長穴
14 ・・センサー
2 ・・油圧ウインチ
201 ・・円板
202 ・・油圧モータ
203 ・・ケーブル繰出装置
204 ・・スリップリング
205 ・・油入ケーブルの油圧ポート
206 ・・電子防水コネクタ
3 ・・リミッター
301 ・・ロック部
302 ・・固定溝
303 ・・油入ケーブル通し溝
304 ・・第1ねじ穴
305 ・・ロックブロック
306 ・・ロックピン
307 ・・リミッター本体
308 ・・固定スリーブ
309 ・・第2ねじ穴
310 ・・ねじ込み継手
311 ・・貫通孔
312 ・・ロックピン貫通孔
313 ・・バネ
314 ・・押し板
4 ・・潜水機結合ポスト
5 ・・油圧結合パネル
6 ・・センサー投入チャンバー
7 ・・センサー押し出し用油圧シリンダー
701 ・・ピストンロッド
702 ・・プッシュロッド
8 ・・投入チャンバー掛け金
9 ・・ガイドプーリー
【要約】
【課題】海底近傍の磁気勾配測定装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、海洋磁気測定分野に関し、特に、深海潜水機に適した海底近傍の磁気勾配測定装置に関する。油圧ウインチと、センサー投入機構とを備え、油圧ウインチとセンサー投入機構との間を油入ケーブルで接続し、前記センサー投入機構はリミッターと、センサー投入チャンバーとを備え、センサー投入チャンバーは円筒状を呈し、センサー投入チャンバーの先端部がセンサー投入端で、センサー投入端がラッパ状を呈し、センサー投入端に投入チャンバー掛け金も有し、センサー投入チャンバー内には軸方向に並べられた複数のセンサーが設けられ、センサーの頂部表面に少なくとも2つのケーブル通し環が間隔をあけて固定され、油入ケーブルは各センサー頂部のケーブル通し環を順次通し、油入ケーブルの末端に変位制限ブロックが固定され、変位制限ブロックのサイズはケーブル通し環の穴径よりも大きい。本発明は、直列に接続した複数のセンサーの投入と揚収を実現し、センサーへの潜水機の干渉を大幅に減少させ、複数のセンサーの直列接続による勾配測定を実現し、海底近傍の磁力勾配測定の精度を向上させる。
【選択図】 図1
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