(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】整髪用組成物および整髪方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20230126BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230126BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230126BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230126BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230126BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/81
A61Q5/06
A61K8/92
A61K8/36
(21)【出願番号】P 2017244699
(22)【出願日】2017-12-21
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101556(JP,A)
【文献】特開2010-254583(JP,A)
【文献】特開2016-69298(JP,A)
【文献】特開2016-69307(JP,A)
【文献】特開平7-258039(JP,A)
【文献】特開平3-74319(JP,A)
【文献】特開2015-101564(JP,A)
【文献】特開2007-51069(JP,A)
【文献】化粧品原料 パーソナル・ケア用,互応化学工業株式会社,2017年05月,1-10頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系整髪用高分子及びテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合さ
れたことを特徴とする整髪用組成物であって、
前記アクリル系整髪用高分子として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-1
8)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/ジア
セトンアクリルアミド)コポリマー及び(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コ
ポリマーAMPから選択される一種または二種以上が配合された整髪用組成物。
【請求項2】
剤型が液状である請求項1に記載の整髪用組成物。
【請求項3】
前記アクリル系整髪用高分子として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-1
8)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMPが配合された請求項1又
は2のいずれか1項に記載の整髪用組成物。
【請求項4】
前記テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットとして、酸化エチレンの平均付加
モル数が25以上75以下のものが配合された請求項1~
3のいずれか1項に記載の整髪
用組成物。
【請求項5】
ヒマシ油及び/又はイソステアリン酸が配合された請求項1~
4のいずれか1項に記載
の整髪用組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の整髪用組成物を使用する整髪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪用組成物及びこの組成物を使用する整髪方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
整髪用組成物に配合される整髪成分は、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーなどの整髪用高分子、マイクロクリスタリンワックスなどのロウが周知となっている。前者の整髪用高分子は、皮膜を形成する性質を有していることからしても、後者のロウよりも毛髪を固め易いのが一般的である。
【0003】
整髪用高分子を配合する整髪用組成物は数多くあり、例えば特許文献1には、整髪用高分子(整髪性ポリマー)、ジプロピレングリコールなどの特定の液状溶剤、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどの特定の液状非イオン界面活性剤、並びに、エタノール及び/又は水を含有する整髪用組成物(原液)を使用するエアゾール化粧料が開示されている。また、特許文献2には、ラウリン酸水添ヒマシ油などの特定の硬化ヒマシ油誘導体、テオブロマグランジフロルム種子脂、及び整髪用高分子(セット剤樹脂)を含むものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-145877号公報
【文献】特許第5661252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、整髪用高分子は、皮膜を形成する性質のためであると考えられるが、温水を使用した際にも整髪性高分子を洗い流し難い。そのため、温水を使用して整髪用組成物を洗い流す際において、整髪用高分子の除去効率を高めることが望まれる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、温水で除去する際の整髪用高分子の除去効率が高い整髪用組成物、及び、この組成物を使用する整髪方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討を行った結果、皮膜形成性を有するアクリル系整髪用高分子を配合する際に、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットも配合すれば、アクリル系整髪用高分子を温水で除去する効率に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る整髪用組成物は、アクリル系整髪用高分子及びテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合されたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る整髪用組成物の剤型は、例えば、液状である。この剤型の場合、整髪した際の毛髪のセット力は、整髪用高分子以外の整髪成分の配合量が多く設定されやすい他の剤型に比べて、アクリル系整髪用高分子に依存し易くなるので、当該高分子の優れた除去がより望まれる。
【0010】
本発明に係る整髪用組成物に配合される前記アクリル系整髪用高分子は、例えば、アニオン性アクリル系高分子及び/又はノニオン性アクリル系高分子である。
【0011】
本発明に係る整髪用組成物に配合される前記アクリル系整髪用高分子は、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー又は(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーである。
【0012】
本発明に係る整髪用組成物は、前記アクリル系整髪用高分子として、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMPが配合されたものが良い。当該高分子は、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットによる温水除去が優れる上に、耐水性に優れるので、湿度変化に伴う整髪持続性の低下の抑制を期待できる。
【0013】
本発明に係る整髪用組成物は、前記テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットとして、酸化エチレンの平均付加モル数が25以上75以下のものが配合されたものが良い。このようなテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合されていれば、上記の温水除去がより優れる。
【0014】
本発明に係る整髪用組成物は、ヒマシ油及び/又はイソステアリン酸が配合されたものが良い。イソステアリン酸、又は、ヒマシ油及びイソステアリン酸を配合すれば、毛髪に塗布してから数分後の整髪性が向上する。ヒマシ油の配合により、数分後の整髪性が向上するだけでなく、この向上に伴って生じやすい塗布後のべたつき及び塗布の毛髪の指通りの悪化を抑制できる。
【0015】
本発明に係る整髪方法は、本発明に係る整髪用組成物を使用するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る整髪用組成物によれば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合されるから、アクリル系整髪用高分子を温水で除去する効率に優れる。
【0017】
また、本発明に係る整髪方法によれば、アクリル系整髪用高分子と共にテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合された整髪用組成物で整髪するから、アクリル系整髪用高分子の温水除去が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1、比較例1の整髪用組成物のガラス上皮膜の浸漬前後を撮影した画像である(水浸漬)。
【
図2】実施例1、比較例1の整髪用組成物のガラス上皮膜の浸漬前後を撮影した画像である(温水浸漬)。
【
図3】実施例2a~2b、比較例2a~2dの整髪用組成物のガラス上皮膜の浸漬前後を撮影した画像である(温水浸漬)。
【
図4】実施例3、比較例3の整髪用組成物のガラス上皮膜の浸漬前後を撮影した画像である(水浸漬)。
【
図5】実施例3、比較例3の整髪用組成物のガラス上皮膜の浸漬前後を撮影した画像である(温水浸漬)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る整髪用組成物は、アクリル系整髪用高分子及びテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが配合されたものである。また、実用上許容されるのであれば、更に公知の整髪用組成物に配合されている原料が任意に配合されていても良い。
【0020】
(アクリル系整髪用高分子)
アクリル系整髪用高分子は、皮膜を形成する性質を有し、髪型を維持可能なことが知られているものである。本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のアクリル系整髪用高分子が配合される。本実施形態の整髪用組成物におけるアクリル系整髪用高分子の配合量は、2質量%以上15質量%未満が良く、4質量%以上12質量%未満が好ましく、6質量%以上9質量%未満がより好ましい。2質量%以上であると、ヘアスタイルを固めるセット力に適し、15質量%未満であると、アクリル系整髪用高分子の十分な洗浄除去が容易となる。
【0021】
上記アクリル系整髪用高分子としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸を構成モノマーとして有するアニオン性アクリル系高分子、アクリル酸及びメタクリル酸を構成モノマーとして有さないノニオン性アクリル系高分子が挙げられる。本実施形態の整髪用組成物には、アニオン性アクリル系高分子、ノニオン性アクリル系高分子、又は、アニオン性アクリル系高分子及びノニオン性アクリル系高分子を配合すると良い。
【0022】
上記アニオン性アクリル系高分子としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPなどが挙げられ、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMPは、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットによる温水除去が優れる上に、耐水性に優れるので、湿度変化に伴う整髪持続性の低下の抑制を期待できる。本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のアニオン性アクリル系高分子が配合されると良く、この整髪用組成物における上記アニオン性アクリル系高分子の配合量は、2質量%以上15質量%未満が良く、4質量%以上12質量%未満が好ましく、6質量%以上9質量%未満がより好ましい。2質量%以上であると、ヘアスタイルを固めるセット力に適し、15質量%未満であると、アクリル系整髪用高分子の十分な洗浄除去が容易となる。
【0023】
上記ノニオン性アクリル系高分子としては、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーなどが挙げられる。本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のノニオン性アクリル系高分子が配合されると良く、この整髪用組成物における上記ノニオン性アクリル系高分子の配合量は、例えば1質量%以上5質量%未満である。
【0024】
(ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステル)
ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルは、公知のものであって、オレイン酸と酸化エチレンを付加重合したソルビトールとのテトラエステルである。本実施形態の整髪用組成物には、一種又は二種以上のポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルが配合される。本実施形態の整髪用組成物におけるポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルの配合量は、0.1質量%以上5質量%未満が良く、0.5質量%以上3質量%未満が好ましい。0.1質量%以上であると、アクリル系整髪用高分子の温水除去に好ましく、5質量%未満であると、セット力低下の抑制に適する。
【0025】
上記ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルは、酸化エチレンの平均付加モル数が25以上75以下のものが良く、35以上65以下のものが好ましい。25以上のものであると、アクリル系整髪用高分子の温水除去に好ましく、75以下のものであると、セット力低下の抑制に適する。
【0026】
上記ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステルは、例えば、テトラオレイン酸ソルベス-30、テトラオレイン酸ソルベス-40、テトラオレイン酸ソルベス-60が挙げられる。
【0027】
(任意原料)
本実施形態の整髪用組成物には、上記の通り、公知の整髪用組成物に配合されている原料を任意に配合しても良い。この任意原料は、エタノール、アクリル系整髪用高分子以外の整髪用高分子、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸エステル以外のノニオン界面活性剤、油脂、エステル油、高級アルコール、多価アルコール、香料、紫外線吸収剤などである。
【0028】
エタノールは、アクリル系整髪用高分子の溶剤として適する。本実施形態の整髪用組成物にエタノールを配合する場合、配合量は、例えば65質量%以上95質量%未満である。
【0029】
また、ヒマシ油及びイソステアリン酸、又は、イソステアリン酸を配合すれば、本実施形態の整髪用組成物を塗布してから数分後の整髪性が向上する。すなわち、アクリル系整髪用高分子を主とした整髪成分とする整髪用組成物を使用して整髪する場合、当該組成物の乾燥が進むにつれて整髪性が大きく低下する傾向があるが、この低下をヒマシ油及びイソステアリン酸、又は、イソステアリン酸の配合により抑制できる。また、ヒマシ油を配合すれば(イソステアリン酸の配合がなければ)、上記数分後の整髪性の向上に伴って生じやすい塗布後のべたつき及び塗布後の毛髪の指通りの悪化を抑制できる。本実施形態の整髪用組成物にヒマシ油及び/又はイソステアリン酸を配合する場合、ヒマシ油及びイソステアリン酸の配合量は、例えば2質量%以上8質量%未満である。
【0030】
(剤型)
本実施形態の整髪用組成物の剤型は、液状であると良い。液状であると、噴霧して毛髪に塗布する場合の剤型に適する。この剤型を液状に調整する場合、B型粘度計を使用して25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば100mPa・s以下である。
【0031】
(使用方法)
本実施形態の整髪用組成物を使用する際、毛髪への塗布方法は、特に限定されない。毛髪に噴霧して塗布する場合には、本実施形態の整髪用組成物を液状の原液とし、この原液と噴射剤とを充填したエアゾール用容器から噴霧させると良い。上記の充填において、原液と噴射剤との質量比としては、例えば、原液:噴射剤=40:60~80:20である。
【0032】
上記の充填において、噴射剤は公知のもので良く、例えば、プロパンとn-ブタン(ノルマルブタン)、プロパンとi-ブタン(イソブタン)、又は、プロパンとn-ブタンとi-ブタンなどの組合せガスである液化石油ガス(LPG);ジメチルエーテル(DME);が挙げられる。LPGとDMEを併用する場合、その質量比としては、例えば、LPG:DME=5:95~90:10である。
【実施例】
【0033】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0034】
実施例及び比較例の整髪用組成物を製造し、これら組成物で形成させた皮膜の水(温度:30℃以下)及び温水(温度:40℃程度)への溶解性の試験を行った。詳細は、次の通りである。
【0035】
(実施例1、比較例1、実施例2a~2b、比較例2a~2d、実施例3、比較例3)
実施例1、比較例1、実施例2a~2b、比較例2a~2d、実施例3、比較例3の液状整髪用組成物を、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、テトラオレイン酸ソルベス-60、テトラオレイン酸ソルベス-30、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)、及び、エタノールから選んだ成分を組み合せて配合し、製造した。このときの配合量は、下記表1~3の通りである。
【0036】
(整髪用組成物で形成した皮膜の水への浸漬試験)
赤色227号色素で着色した実施例及び比較例の整髪用組成物のいずれか1gを、縦7.5cm程度、横2.5cm程度のスライドガラスに滴下し、このガラス表面上に伸ばした。次に、そのスライドガラスを、設定温度50℃の恒温槽内に放置し、整髪用組成物の皮膜を形成させた。そして、室温まで冷却した後に、スライドガラスの一部を水に30秒間浸漬し、浸漬してから1分程度経過した整髪用組成物の皮膜を目視確認した。
【0037】
(整髪用組成物で形成した皮膜の温水への浸漬試験)
水を、約40℃の温水に変更した以外は、上記「整髪用組成物で形成した皮膜の水への浸漬試験」と同様に、整髪用組成物を目視確認した。
【0038】
下記表1~3に、実施例及び比較例の整髪用組成物に配合した成分、配合量と共に、浸漬試験の結果を示す。また、
図1~5に、浸漬試験における浸漬前後の整髪用組成物皮膜を撮影した画像を示す。なお、表1~3における「評価」の項目は、基準と比較して、整髪用組成物皮膜の除去が進行している場合に「○」、同等である場合に「―」と評価した結果を示している。
【0039】
【0040】
上記表1、
図1に示す通り、水に浸漬した場合、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(テトラオレイン酸ソルベス-60)の配合有無により、実施例1及び比較例1の整髪用組成物で形成した皮膜の状態に差は認められなかった。一方で、上記表1、
図2に示す通り、温水に浸漬した場合、実施例1の整髪用組成物で形成した皮膜だけに剥離が認められた。つまり、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合により、整髪用組成物の温水除去効率が高まったといえる。
【0041】
【0042】
上記表2、
図3に示す通り、実施例2a~2bの整髪用組成物で形成した皮膜だけに剥離が認められた。つまり、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合により、整髪用組成物の温水除去効率が高まったといえる。また、実施例2aと実施例2bを比べると、実施例2aの皮膜の剥離が進んでいたので、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットにおける酸化エチレンの平均付加モル数が多くなるにつれて、整髪用組成物の温水除去効率が高まるといえる。
【表3】
【0043】
上記表3、
図4に示す通り、水に浸漬した場合、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(テトラオレイン酸ソルベス-60)の配合有無により、実施例3及び比較例3の整髪用組成物で形成した皮膜の状態に差は認められなかった。一方で、上記表3、
図5に示す通り、温水に浸漬した場合、実施例3の整髪用組成物で形成した皮膜による着色が薄くなっていた。つまり、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットの配合により、整髪用組成物の温水除去効率が高まったといえる。
【0044】
なお、
図1の実施例1と、
図4の実施例3とを比較すると、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMPを配合した実施例1では皮膜の剥離が認められず、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPを配合した実施例3では皮膜の剥離が認められた。このことは、アクリル系整髪用高分子に関して、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMPを配合した場合、耐水性に優れることを示す。
【0045】
上記実施例及び比較例の整髪用組成物以外に、下記実施例4a~4fの整髪用組成物を製造し、評価した。詳細は、以下の通りである。
【0046】
(実施例4a~4f)
実施例4a~4fの液状整髪用組成物を、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP(互応化学工業社製「プラスサイズL-9540U」を使用して配合)、ヒマシ油、パーシック油、イソステアリン酸、2-オクチルドデカノール、パルミチン酸2-エチルヘキシル、テトラオレイン酸ソルベス-60、及び、エタノールから選んだ成分を組み合せて配合し、製造した。このときの配合量は、下記表4の通りである。
【0047】
(噴霧してから数分後の整髪性、噴霧直後のべたつき抑制、噴霧直後の指通り)
原液である実施例4a~4fの整髪用組成物と、LPG:DME=20:80の質量比である噴射剤とを、原液:噴射剤=6:4の質量比でエアゾール容器に充填した。このエアゾール容器から、実施例4a~4fの整髪用組成物のいずれかを、ヘッドマネキンに植毛された毛髪に噴霧し、「噴霧してから数分後の整髪性」、「噴霧直後のべたつき抑制」、「噴霧直後の指通り」を評価した。「噴霧してから数分後の整髪性」の評価では、噴霧してから2~3分後に意図する整髪が可能かを評価した。「噴霧直後のべたつき抑制」の評価では、噴霧直後の毛髪のべたつく感触が抑制されているかを評価した。「噴霧直後の指通り」の評価では、噴霧直後の毛髪の指通りが滑らかであるかを評価した。以上の評価における評価者数、評価基準は、以下の通りとした。
【0048】
評価者数:
実施例1、比較例1~3:5名
比較例4~5 :2名
【0049】
評価基準:
評価者5名の場合:
○ 基準と比較して、3名以上が良い。
― 基準と比較して、3名以上が同等。
× 基準と比較して、3名以上が悪い。
評価者2名の場合:
○ 基準と比較して、2名が良い。
― 基準と比較して、2名が同等。
× 基準と比較して、2名が悪い。
【0050】
【0051】
上記表4に示す通り、ヒマシ油又はイソステアリン酸を配合した実施例4a、4bは、「噴霧してから数分後の整髪性」に優れ、ヒマシ油を配合した実施例4aは、「噴霧直後のべたつきの抑制」、「噴霧直後の指通り」が基準と同等の評価であった。