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7217097照会確率提示装置、照会確率提示プログラム、照会確率提示方法、及び情報提供システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】照会確率提示装置、照会確率提示プログラム、照会確率提示方法、及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230126BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20230126BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q30/0241 446
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018121362
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020003962
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】399127832
【氏名又は名称】株式会社LIFULL
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100173510
【弁理士】
【氏名又は名称】美川 公司
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 怜史
(72)【発明者】
【氏名】林 信宏
(72)【発明者】
【氏名】伊東 祐司
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016321(JP,A)
【文献】特表2011-528835(JP,A)
【文献】特開2014-219727(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199474(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/105487(WO,A1)
【文献】特開2017-097722(JP,A)
【文献】特開2017-021544(JP,A)
【文献】特表2003-501729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081978(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するページ提供手段と、
前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得する物件情報取得手段と、
前記物件情報取得手段により取得された物件情報をデータベースに登録する物件情報登録手段と、
前記物件情報登録手段により登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録する照会実績登録手段と、
前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記物件情報取得手段により取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記物件情報取得手段により取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測する照会確率予測手段と、
前記照会確率予測手段により予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする照会確率提示装置。
【請求項2】
前記照会確率予測手段は、前記データベースに登録されている物件情報を説明変数xn(n=1,・・・,p)とし、前記データベースに登録されている照会実績に基づいて特定される照会確率を目的変数ynとして、前記説明変数xnとパラメータwとに基づき構築された予測モデルf(w,xn)であって、損失関数l(yn,f(w,xn))の総和が最小になるように前記パラメータwが調整された予測モデルf(w,xn)に、前記物件情報取得手段により取得された物件情報を入力することで当該物件情報に対する照会確率を得ることを特徴とする請求項1に記載の照会確率提示装置。
【請求項3】
前記照会確率予測手段は、複数種類の前記広告オプション毎に、前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とをそれぞれ予測し、
前記表示制御手段は、前記照会確率予測手段により前記広告オプション毎に予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに前記広告オプション毎に区別して表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の照会確率提示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記複数種類の前記広告オプション毎に設定された消費ポイントを前記第1端末に提供された前記ページに表示させることを特徴とする請求項に記載の照会確率提示装置。
【請求項5】
前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件の外観または内部の画像を表示するものであることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置。
【請求項6】
前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件に対するスタッフコメントを表示するものであることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装
置。
【請求項7】
前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件情報の表示順序を上位にするものであることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置。
【請求項8】
前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件の広告を所定の出現頻度で表示するものであることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置。
【請求項9】
前記物件情報には、前記物件の地域情報、間取り情報、及び価格情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置。
【請求項10】
コンピュータに、
物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するステップと、
前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得するステップと、
前記取得された物件情報をデータベースに登録するステップと、
前記登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録するステップと、
前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測するステップと、
前記予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させるステップと、
を実行させることを特徴とする照会確率提示プログラム。
【請求項11】
コンピュータにより実行される照会確率提示方法であって、
物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するステップと、
前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得するステップと、
前記取得された物件情報をデータベースに登録するステップと、
前記登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録するステップと、
前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測するステップと、
前記予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させるステップと、
を含むことを特徴とする照会確率提示方法。
【請求項12】
物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するページ提供手段と、
前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得する物件情報取得手段と、
前記物件情報取得手段により取得された物件情報をデータベースに登録する物件情報登録手段と、
前記物件情報登録手段により登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録する照会実績登録手段と、
前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記物件情報取得手段により取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記物件情報取得手段により取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測する照会確率予測手段と、
前記照会確率予測手段により予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物件に関する物件情報を提供する不動産業者を支援するシステム等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不動産の所有者と顧客との間の賃貸契約や売買契約は、不動産業者(仲介業者)を介して行なわれている。近年、物件に関する物件情報をインターネットを介して顧客の端末に提供する物件情報サイト(不動産情報サイト)が知られている。このような物件情報サイトは、不動産業者からの掲載料によって運営されている。物件情報を提供する不動産業者は、例えば物件数に応じた掲載料を物件情報サイトの運営業者に支払うことで、自身の物件情報をインターネットを介して顧客の端末へ提供することができる。
【0003】
特許文献1には、ネットワークを介して不動産の仲介を支援する不動産仲介支援システムが開示されている。この不動産仲介支援システムは、仲介業者の操作に応じて複数の物件情報の中から所定の物件情報を仲介側表示手段に表示し、仲介側表示手段への表示対象となった物件情報から仲介のために顧客に提示する案内用物件情報を抽出し、抽出された案内用物件情報を端末側表示手段に表示するように構成されている。これにより、仲介業者は、効率よく仲介業務を行なうことができ、ネットワークを介して顧客それぞれの希望条件に応じた物件を適切に案内することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-079497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、不動産業者により指定された物件情報が物件情報サイトに登録される際に、当該物件情報に対する顧客からの照会(例えば、問合せ)がどのくらい発生するかを当該不動産業者が把握したいというニーズがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記点等に鑑みてなされたものであり、指定された物件情報に対する照会の発生予測を効果的に提示することが可能な照会確率提示装置、照会確率提示プログラム、照会確率提示方法、及び情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するページ提供手段と、前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得する物件情報取得手段と、前記物件情報取得手段により取得された物件情報をデータベースに登録する物件情報登録手段と、前記物件情報登録手段により登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録する照会実績登録手段と、前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記物件情報取得手段により取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記物件情報取得手段により取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測する照会確率予測手段と、前記照会確率予測手段により予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、広告オプションが選択された場合と選択されなかった場合とで照会が発生する予測確率にどの程度の違いがあるかを提示することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の照会確率提示装置において、前記照会確率予測手段は、前記データベースに登録されている物件情報を説明変数xn(n=1,・・・,p)とし、前記データベースに登録されている照会実績に基づいて特定される照会確率を目的変数ynとして、前記説明変数xnとパラメータwとに基づき構築された予測モデルf(w,xn)であって、損失関数l(yn,f(w,xn))の総和が最小になるように前記パラメータwが調整された予測モデルf(w,xn)に、前記物件情報取得手段により取得された物件情報を入力することで当該物件情報に対する照会確率を得ることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、指定された物件情報に対する照会確率の予測精度を高めることができる。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の照会確率提示装置において、前記照会確率予測手段は、複数種類の前記広告オプション毎に、前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とをそれぞれ予測し、前記表示制御手段は、前記照会確率予測手段により前記広告オプション毎に予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに前記広告オプション毎に区別して表示させることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、複数種類の広告オプションのうちどの広告オプションを選択すれば、より効果があるかを提示することができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の照会確率提示装置において、前記表示制御手段は、前記複数種類の前記広告オプション毎に設定された消費ポイントを前記第1端末に提供された前記ページに表示させることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、複数種類の広告オプションのうちどの広告オプションを選択すれば、費用対効果上、より効果があるかを提示することができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置において、前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件の外観または内部の画像を表示するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置において、前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件に対するスタッフコメントを表示するものであることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置において、前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件情報の表示順序を上位にするものであることを特徴とする。
【0020】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置において、前記広告オプションは、前記第2端末において前記物件の広告を所定の出現頻度で表示するものであることを特徴とする。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至の何れか一項に記載の照会確率提示装置において、前記物件情報には、前記物件の地域情報、間取り情報、及び価格情報が含まれることを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するステップと、前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得するステップと、前記取得された物件情報をデータベースに登録するステップと、前記登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録するステップと、前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測するステップと、前記予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させるステップと、を実行させることを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、コンピュータにより実行される照会確率提示方法であって、物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するステップと、前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得するステップと、前記取得された物件情報をデータベースに登録するステップと、前記登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録するステップと、前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測するステップと、前記予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、物件に関する物件情報の登録を要求するためのページを第1端末へ提供するページ提供手段と、前記第1端末に提供された前記ページ上で当該第1端末のオペレータにより指定された物件情報を取得する物件情報取得手段と、前記物件情報取得手段により取得された物件情報をデータベースに登録する物件情報登録手段と、前記物件情報登録手段により登録された物件情報が提供された第2端末からの当該物件情報に対する照会実績をデータベースに登録する照会実績登録手段と、前記データベースに登録されている複数の物件情報及び前記データベースに登録されている複数の照会実績と、前記物件情報取得手段により取得された物件情報とに基づいて、前記第1端末のオペレータにより選択可能な広告オプションが前記物件情報取得手段により取得される物件情報の一部として選択された場合の第1の前記照会確率と、前記広告オプションが選択されない場合の第2の前記照会確率とをそれぞれ予測する照会確率予測手段と、前記照会確率予測手段により予測された前記第1の前記照会確率と前記第2の前記照会確率とを前記第1端末に提供された前記ページに並べて表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、指定された物件情報に対する照会の発生予測を効果的に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】物件情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。
図2】(A)は、物件情報データベース321に登録されている情報の一例を示す図であり、(B)は、照会実績データベース322に登録されている情報の一例を示す図であり、(C)は、不動産業者情報データベース323に登録されている情報の一例を示す図である。
図3】システム制御部33の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】物件情報が掲載された物件情報掲載ページの一例を示す図である。
図5】照会確率が表示される物件情報登録要求ページの一例を示す図である。
図6】物件情報提供システムSの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、物件情報提供システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0028】
[1.物件情報提供システムSの構成及び機能]
先ず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る物件情報提供システムSの構成及び機能について説明する。図1は、物件情報提供システムSの概要構成の一例を示す図である。図1に示すように、物件情報提供システムSは、不動産業者端末1(第1端末の一例)、閲覧者端末2(第2端末の一例)、及び物件情報提供サーバ3(照会確率提示装置の一例)等を備えて構成されている。不動産業者端末1、及び閲覧者端末2は、それぞれ、ネットワークNWを介して物件情報提供サーバ3と通信可能になっている。ネットワークNWは、例えば、電話用回線交換ネットワーク、及びインターネットに接続するためのデータ通信用パケット交換ネットワークを含む。なお、図1の例では、1つの不動産業者端末1と、1つ閲覧者端末2とを示しているが、実際には、複数の不動産業者端末、及び複数の閲覧者端末が存在する。
【0029】
不動産業者端末1は、物件(例えば、建物及び土地などの不動産)に関する物件情報を提供する不動産業者により使用されるクライアントであり、閲覧者端末2は、不動産業者により提供された物件情報を閲覧する閲覧者(顧客)により使用されるクライアントであり、それぞれ、ブラウザ機能を有する。不動産業者端末1、及び閲覧者端末2は、それぞれ、ブラウザによる要求(リクエスト)に応じて物件情報サイトから提供されたページ(例えば、ウェブページやランディングページ)をディスプレイ上に表れた画面(例えば、ブラウザのウインドウ)に表示する。このようなページは、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)文書やXHTML文書等の構造化文書及び画像データ等により構成される。不動産業者端末1に提供されるページの例として、物件情報の登録を要求するためのページ(以下、「物件情報登録要求ページ」という)などが挙げられる。一方、閲覧者端末2に提供されるページの例として、物件情報を掲載するためのページ(以下、「物件情報掲載ページ」という)、及び物件情報の詳細を掲載するためのページ(以下、「詳細ページ」という)などが挙げられる。なお、不動産業者端末1、及び閲覧者端末2の例として、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、及び携帯ゲーム機等が挙げられる。
【0030】
物件情報提供サーバ3は、物件情報サイトを構成するサーバである。物件情報提供サーバ3は、通信部31、記憶部32、及びシステム制御部33等を備え、これらの構成部分はバス34を介して電気的に接続されている。なお、物件情報提供サーバ3は、1台のサーバコンピュータにより構成されてもよいし、複数台のサーバコンピュータにより構成されてもよい。
【0031】
通信部31は、システム制御部33の制御の下、ネットワークNWを介して不動産業者端末1、または閲覧者端末2との間で通信を行う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、OS,及びアプリケーション等を格納する。また、記憶部32には、物件情報データベース(DB)321、照会実績データベース(DB)322、及び不動産業者情報データベース(DB)323等が構築されている。図2(A)は、物件情報データベース321に登録されている情報の一例を示す図であり、図2(B)は、照会実績データベース322に登録されている情報の一例を示す図であり、図2(C)は、不動産業者情報データベース323に登録されている情報の一例を示す図である。なお、物件情報データベース321、照会実績データベース322、及び不動産業者情報データベース323は、それぞれ、物件情報提供サーバ3とは異なる他のサーバに備えられてもよい。また、物件情報データベース321と照会実績データベース322とは、一つのデータベースから構成されてもよい。
【0032】
物件情報データベース321は、物件に関する物件情報と、当該物件情報を提供した不動産業者の不動産業者IDと、当該物件の物件IDとを対応付けて登録(記憶)する。物件情報データベース321によって、多くの物件情報を不動産業者毎に区別して管理することができる。ここで、不動産業者IDは、不動産業者毎に一意に付与された識別情報である。物件IDは、不動産業者毎、かつ物件毎に一意に付与された識別情報である。つまり、同一の物件は、複数の異なる不動産業者により取り扱われることもあり、同一の物件であっても、取扱い不動産業者が異なれば物件IDは異なる。物件情報は、例えば、物件基本情報と、広告オプションとから構成される。物件基本情報には、例えば、物件種別、物件名、所在地、交通、築年数、階数、専有面積、外観画像、間取り情報、及び取引情報等が含まれる。物件種別は、個人住宅(戸建て)、集合住宅(マンション、またはアパート)、土地の別である。物件種別が集合住宅である場合の間取り情報には、各戸(各部屋)毎の所在階、部屋番号、間取り、及び部屋や設備等の画像等が含まれる。取引情報には、例えば、取引種別、及び取引条件が含まれる。取引種別は、賃貸物件、新築物件、中古物件の別である。賃貸物件の取引条件は、賃料、敷金、礼金、及び契約期間等である。新築物件、及び中古物件の取引条件は、売買価格、管理費、及び修繕積立金等である。不動産業者による物件基本情報の指定は原則として必須である。
【0033】
広告オプションは、物件情報掲載ページ等で紹介された物件に対して、その閲覧者からの照会をより多く発生させるための選択肢(選択手段)であり、不動産業者(不動産業者端末1のオペレータ)により物件情報の一部として選択可能になっている。ここで、照会には、問合せや、詳細閲覧要求などが該当する。問合せは、例えば、物件情報掲載ページからリンク(ハイパーリンク)される詳細ページに設けられた問合せボタンや資料請求ボタンなどが閲覧者によりクリックまたはタップされることで行われる。詳細閲覧要求は、例えば物件情報掲載ページに設けられた詳細ページへのリンク文字やボタンなどが閲覧者によりクリックまたはタップされることで行われる。
【0034】
広告オプションの例としては、閲覧者端末2において物件の外観または内部の画像(例えば、物件基本情報に含まれる画像以外のパノラマ画像や動画像等)を表示するものや、閲覧者端末2において物件に対するスタッフコメント(担当スタッフにより物件のアピール等)を表示するものがある。このような広告オプションにより、特定の物件についての掲載内容を充実(例えば、見た目上、豪華にするなど)させることができるので、その物件情報に対する照会確率(つまり、照会の発生確率)を高めることができ、その結果、当該物件の成約に繋げることが可能となる。また、広告オプションの別の例としては、閲覧者端末2において特定の物件の物件情報の表示順序を上位にするものや、閲覧者端末2において特定の物件の広告(例えば、詳細ページへのリンクが設定されたバナー広告)を所定の出現頻度で表示するものがある。このような広告オプションにより、特定の物件に関する物件情報が閲覧者の目に留まりやすくなるので、その物件情報に対する照会確率を高めることができ、その結果、当該物件の成約に繋げることが可能となる。
【0035】
それぞれの広告オプションには、消費ポイントが設定されている。消費ポイントは、広告オプションを物件情報の一部として選択(言い換えれば、広告オプションを購入)するための料金に対応(例えば、1ポイントがxxx円に対応)する。消費ポイントは、広告オプションの種類や内容によって異なる。例えば、消費ポイントは、物件の外観または内部の画像を表示する広告オプションと、スタッフコメントを表示する広告オプションとで異なる。また、同じ広告オプションであっても内容により異なる場合もある。例えば、物件の外観または内部の画像を表示する広告オプションの場合、当該画像がパノラマ画像であれば、消費ポイントは1000ポイントとなり、当該画像が動画像であれば、消費ポイントは2000ポイントとなる。また、物件の広告を所定の出現頻度で表示する広告オプションの場合、出現頻度を示す値が増加すればするほど、消費ポイントは増加する。
【0036】
照会実績データベース322は、物件に関する物件情報が提供された閲覧者端末2からの当該物件情報に対する照会実績と、当該物件情報を提供した不動産業者の不動産業者IDと、当該物件の物件IDとを対応付けて登録(記憶)する。照会実績データベース322によって、多くの照会実績を不動産業者毎かつ物件毎に区別して管理することができる。ここで、照会実績には、例えば、物件情報の提供回数、及び当該物件情報に対する照会回数等が含まれる。提供回数とは、例えば、ネットワークNWを介して閲覧者端末2等へ物件情報を含む物件情報掲載ページが配信された回数、または物件情報掲載ページ上の物件情報が画面に表示された回数である。照会回数とは、当該物件情報に対して照会があった(例えば、問合せボタンや詳細ページへのリンク文字が閲覧者により指定された)回数である。物件情報の提供回数と当該物件情報に対する照会回数とから物件ID毎に照会確率(=照会回数/提供回数)が特定(算出)される。なお、照会実績として、照会確率が照会実績データベース322に格納されてもよい。また、照会実績には、物件情報が提供された日時、及び物件情報の照会があった日時が含まれてもよい。
【0037】
不動産業者情報データベース323は、物件情報サイトの利用会員になった不動産業者の不動産業者情報を登録(記憶)する。不動産業者情報データベース323により、多くの不動産業者情報を管理することができる。ここで、不動産業者情報には、例えば、不動産業者ID、不動産業者名(例えば、会社名)、所在地(例えば、住所や経度経度)、電話番号、メールアドレス、及び所有ポイントの残高等が含まれる。所有ポイントは、不動産業者が所有しているポイントである。このようなポイントは、それぞれの不動産業者により物件情報サイトの運営者等から購入されるか、或いは物件情報サイトの運営者等からそれぞれの不動産業者に特典等として与えられる。不動産業者が広告オプションを物件情報の一部として選択(言い換えれば、広告オプションを購入)すると、当該広告オプションに対して設定された消費ポイントが所有ポイントの残高から差し引かれることになる。なお、不動産業者情報には、不動産業者IDと共に、物件情報サイトへのログインのために用いられるパスワードも含まれる。
【0038】
システム制御部33は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、CPU(コンピュータ)がオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションにしたがって各種処理を実行する。図3は、システム制御部33の機能ブロックの一例を示す図である。図3に示すように、システム制御部33は、ページ提供部331、物件情報取得部332、物件情報登録部333、照会実績登録部334、照会確率予測部335、及び表示制御部336等として機能する。ここで、ページ提供部331は、本発明におけるページ提供手段の一例である。物件情報取得部332は、本発明における物件情報取得手段の一例である。物件情報登録部333は、本発明における物件情報登録手段の一例である。照会実績登録部334は、本発明における照会実績登録手段の一例である。照会確率予測部335は、本発明における照会確率予測手段の一例である。表示制御部336は、本発明における表示制御手段の一例である。
【0039】
ページ提供部331は、物件情報サイトにアクセスした不動産業者端末1からの要求に応じて、物件情報登録要求ページを、ネットワークNWを介して不動産業者端末1へ提供(送信)する。物件情報取得部332は、不動産業者端末1に提供された物件情報登録要求ページ上で不動産業者端末1のオペレータにより指定された物件情報を、ネットワークNWを介して取得する。そして、物件情報登録部333は、物件情報取得部332により取得された物件情報を物件情報データベース321に登録する。こうして登録された物件情報の一部は、物件情報サイトにアクセスした閲覧者端末2からの要求に応じて、ページ提供部331により閲覧者端末2へ提供されることになる。
【0040】
図4は、物件情報が掲載された物件情報掲載ページの一例を示す図である。図4の例では、閲覧者により指定された検索条件により検索された賃貸物件の一覧が表示された例を示している。図4に示すように、物件情報掲載ページには、検索条件指定領域R1、物件一覧表示領域R2、及び広告表示領域R3等が設けられている。検索条件指定領域R1は、物件の検索条件を指定するための領域である。物件一覧表示領域R2は、指定された検索条件により検索された物件の一覧を表示する領域である。物件一覧表示領域R2には、検索された物件毎に区切られた物件表示領域R2a,R2b,R2c・・・が所定の表示順序で設けられている。閲覧者端末2が物件情報掲載ページを受信した時点では、図4に示すように、表示順序が上位に設定された物件表示領域R2a,R2b,及びR2cが画面に表示される。そして、閲覧者のスクロール操作により物件情報掲載ページがスクロールすることで、表示順序が物件表示領域R2cより下位に設定された物件表示領域R2d以降が画面に表示されることになる。それぞれの物件表示領域には、物件情報中の物件基本情報の一部(例えば、物件名、物件種別、賃料、所在地、交通、専有面積、間取りなど)、及び詳細ページへのリンク文字やボタンなどが表示される(問合せボタンが表示される場合もある)。例えば、物件表示領域R2aに表示された物件名101及び“詳細を見る”102は、詳細ページへのリンク文字であり、このリンクがクリックまたはタップされると、ページ提供部331により詳細ページが提供されることになる。詳細ページには、図示しないが、物件情報中の物件基本情報のほぼ全部、不動産業者情報、及び問合せボタンが表示される(資料請求ボタンが表示される場合もある)。さらに、詳細ページには、図示しないが、広告オプションの選択に応じてパノラマ画像やスタッフコメントなどが表示される。広告表示領域R3は、広告オプションの選択に応じて物件の広告(例えば、詳細ページへのリンクが設定されたバナー広告)を所定の出現頻度で表示するための領域である。このような広告表示領域R3は、物件情報掲載ページ以外にも、特定のサイト(物件情報サイトには限定されない)から提供されるページ(例えば、ブログページなど)にも設けられる場合もある。
【0041】
照会実績登録部334は、物件情報登録部333により登録された物件情報が提供された閲覧者端末2からの当該物件情報に対する照会実績を照会実績データベース322に登録する。例えば、照会実績登録部334は、物件情報掲載ページが閲覧者端末2に提供されたことを検知した場合に、当該物件情報掲載ページに掲載される物件情報を識別する物件IDに対応付けられた提供回数(つまり、照会実績データベース322に登録されている照会実績に含まれる提供回数)に1を加算する。そして、照会実績登録部334は、例えば、閲覧者端末2に提供された物件情報掲載ページまたは詳細ページに設けられた問合せボタン(或いは、資料請求ボタンや、詳細ページへのリンク文字やボタンなどでもよい)が閲覧者によりクリックまたはタップされることで特定の物件情報に対する照会を検知した場合に、当該物件情報を識別する物件IDに対応付けられた照会回数(つまり、照会実績データベース322に登録されている照会実績に含まれる照会回数)に1を加算する。なお、物件情報に対する照会は、例えば問合せボタンがクリックまたはタップされることで閲覧者端末2から送信された要求(問合せボタンに対応する物件IDを含む)が通信部31により受信されたときに検知されるか、或いは、当該要求に応じて閲覧者端末2に提供された問合せページに入力された問合せ内容を受信したときに検知される。
【0042】
照会確率予測部335は、物件情報データベース321に登録されている複数の物件情報及び照会実績データベース322に登録されている複数の照会実績と(つまり、物件情報と照会実績との複数ペアと)、物件情報取得部332により取得された物件情報(例えば、登録される前の段階の物件情報)とに基づいて、当該取得された物件情報に対する照会確率(つまり、予測対象となる物件に対する照会確率)を予測する。ここで、物件情報は、物件基本情報と、広告オプションとから構成されるが、予測に用いられる物件基本情報としては、上述した全ての情報が含まれなくともよく、例えば、物件種別、所在地、交通、築年数、階数、専有面積、間取り、取引種別、及び取引条件といった各項目の全部または一部の項目情報が含まれればよい。また、予測に用いられる所在地としては、番地までを含む住所でなくてもよく、例えば都道府県単位、区市町村単位などの地域情報あってもよい。また、予測に用いられる取引条件としては、賃料または売買価格などの価格情報だけでもよい。また、予測に用いられる物件基本情報としては、上述した以外にも物件情報の掲載日数を含めてもよい。なお、予測に用いられる物件基本情報は、当該物件基本情報を表す数値(つまり、物件基本情報に含まれる各項目情報を表す数値)である。
【0043】
ところで、広告オプションは、不動産業者端末1に提供された物件情報登録要求ページ上で不動産業者端末1のオペレータにより選択された場合に物件情報に含まれることになるが、予測対象となる物件に限ってはオペレータにより実際に選択されたかどうかに関わらず、照会確率予測部335は、広告オプションが物件情報の一部として選択された場合の第1の照会確率と、広告オプションが選択されない場合の第2の照会確率とをそれぞれ予測(つまり、2種類の照会確率を予測)することができる。さらに、照会確率予測部335は、複数種類の広告オプション毎に、上記第1の照会確率と上記第2の照会確率とをそれぞれ予測することもできる。なお、予測に用いられる広告オプションは、当該広告オプション(例えば、パノラマ画像有、スタッフコメント有、表示順序高、出現頻度高)を表す数値である。
【0044】
照会確率を予測する方法として、教師有りの機械学習のアルゴリズムを用いることが望ましい。この場合、照会確率予測部335は、物件情報データベース321に登録されている物件情報を説明変数(入力データ)xn(n=1,・・・,p)とし、照会実績データベース322に登録されている照会実績に基づいて特定される照会確率を目的変数(正解データ)yn(n=1,・・・,p)として、説明変数xnとパラメータwとに基づき(言い換えれば、説明変数xnに対してパラメータwを用いて)構築された予測モデル(学習モデル)f(w,xn)であって、損失(誤差)関数l(yn,f(w,xn))の総和(つまり、xnとynとの組毎に計算されたl(yn,f(w,xn))の総和)が最小になるようにパラメータwが調整された予測モデルf(w,xn)に、物件情報取得部332により取得された物件情報x?を入力することで当該物件情報x?に対する照会確率y?(=f(w,x?):予測値)を得る。これにより、物件情報に対する照会確率の予測精度を高めることができる。
【0045】
ここで、pは、予測モデルf(w,xn)の構築にあたり用いられるデータの数、つまり、登録されている物件情報の数(言い換えれば、物件IDの数)であり、それぞれの物件情報に対応する照会確率の数である。f(w,xn)は、wとxnを変数に持つ関数である。例えば、説明変数x1となる物件情報に対する照会確率は目的変数y1となる。損失関数l(yn,f(w,xn))には、二乗誤差、Huber誤差などが用いられる。2種類の照会確率が予測される場合、広告オプションを含む物件情報x1?に対する第1の照会確率y1?と、広告オプションを含まない物件情報x2?に対する第2の照会確率y2?とが得られる。なお、予測モデルf(w,xn)は、例えば、物件情報登録部333により新たに物件情報が登録されたとき、または、照会実績登録部334により照会実績が新たに登録されたときに更新される。
【0046】
本実施形態では、非常に多くの物件情報が用いられ、しかも、物件情報に含まれる項目情報の数も多いので、教師有りの機械学習のアルゴリズムとして、XGBoostを用いれば高精度の予測を行うことができる。XGBoostは、勾配ブースティング(Gradient Boosting)と、ランダムフォレスト(Random Forests)を組み合わせたアンサンブル学習である。XGBoostでは、予測モデルf(w,xn)として複数の決定木を構築し、1つ前までの決定木の情報を用いて新たな決定木を構築していくブースティングを行うようになっている。具体的には、1つ前の決定木では予測できなかった誤差(損失関数の勾配)を目的変数として新たな決定木が構築される。各決定木において、説明変数xnは根から枝に行く途中で条件により分類され、末端の葉に辿り着くと、当該末端の葉に与えられた値が予測値として返されるようになっている。なお、XGBoostは、ランダムフォレストを採用しているため、全ての説明変数xnが使用されるのではなく、ランダムに決定された割合で説明変数xnの数が選定されて決定木が構築される。
【0047】
XGBoostにおいてブースティングがt回行われたときの予測モデルf(w,xn)は、下記(1)式で表される。
【数1】
【0048】
したがって、XGBoostにおける損失関数l(yn,f(w,xn))は、下記(2)式で表される。
【数2】
【0049】
ここで、上記(2)式で表される損失関数l(yn,f(w,xn))の総和を最小にする決定木ftを構築すれば、予測モデルf(w,xn)が最適化することができる。なお、XGBoostでは、いわゆるオーバーフィッティング(過学習)を防止するため、損失関数l(yn,f(w,xn))に正則化項Ω(ft)を加えた目的関数L(t)の総和を最小にする決定木ftを構築することになる。目的関数L(t)は、下記(3)式で表される。
【数3】
【0050】
ここで、Tは木構造の深さであり、γ及びλは任意に設定される値であり、wjは決定木が返す値である。
【0051】
なお、照会確率予測部335は、教師有りの機械学習のアルゴリズム以外の分析手法を用いて、上記取得された物件情報に対する照会確率を予測するように構成してもよい。例えば、照会確率予測部335は、物件情報データベース321に登録されている複数の物件情報xnを、クラスタリング(例えば、k-means法)、或いは主成分分析等のアルゴリズムにしたがって複数のグループ(つまり、類似する物件情報xnが属するクラスタ)に分類する。次に、照会確率予測部335は、分類されたグループ毎に、複数の物件情報xnのそれぞれに対応する照会実績に基づいて特定される照会確率ynの平均値(または、標準偏差値)を算出する。次に、照会確率予測部335は、物件情報取得部332により取得された物件情報xnが属するグループを特定する。例えば、照会確率予測部335は、各グループに属する物件情報xnに基づいて、各グループの中心を計算し、物件情報取得部332により取得された物件情報x?との間の距離(例えば、ユークリッド距離、シティブロック距離など)が最も近い中心を有するグループを特定する。そして、照会確率予測部335は、特定されたグループにおける照会確率ynの平均値(または、標準偏差値)を、当該取得された物件情報x?に対する照会確率y?として予測する。
【0052】
表示制御部336は、照会確率予測部335により予測された照会確率をネットワークNWを介して不動産業者端末1に送信することで、不動産業者端末1に提供された物件情報登録要求ページ(つまり、画面に表示されている物件情報登録要求ページ)に当該照会確率を表示させる。これにより、不動産業者により指定された物件情報に対する照会の発生予測を当該不動産業者に対して効果的に提示することができる。
【0053】
また、照会確率予測部335により第1の照会確率と第2の照会確率とが予測された場合、表示制御部336は、当該予測された第1の照会確率と第2の照会確率とをネットワークNWを介して不動産業者端末1に送信することで、不動産業者端末1に提供された物件情報登録要求ページに当該第1の照会確率と当該第2の照会確率とを比較可能に表示させる。これにより、不動産業者により広告オプションが選択された場合と選択されなかった場合とで照会が発生する予測確率にどの程度の違いがあるかを当該不動産業者に対して提示することができる。
【0054】
また、照会確率予測部335により複数種類の広告オプション毎に第1の照会確率と第2の照会確率とが予測された場合、表示制御部336は、広告オプション毎に予測された第1の照会確率と第2の照会確率とをネットワークNWを介して不動産業者端末1に送信することで、不動産業者端末1に提供された物件情報登録要求ページに当該第1の照会確率と当該第2の照会確率とを広告オプション毎に区別して表示させる。これにより、複数種類の広告オプションのうちどの広告オプションを選択すれば、より効果があるかを不動産業者に対して提示することができる。このとき、表示制御部336は、複数種類の広告オプション毎に設定された消費ポイントを当該物件情報登録要求ページに表示させるとよい。これにより、複数種類の広告オプションのうちどの広告オプションを選択すれば、費用対効果上、より効果があるかを不動産業者に対して提示することができる。
【0055】
図5は、照会確率が表示される物件情報登録要求ページの一例を示す図である。図5の例では、不動産業者のオペレータにより物件基本情報の指定が完了することで予測された第1の照会確率と第2の照会確率が表示された例を示している。図5に示すように、物件情報登録要求ページには、複数種類の広告オプションO1~O4のそれぞれに対応する選択ボックスB1~B4が設けられており、選択ボックスB1~B4のそれぞれに対応付けられて、第1の照会確率の表示領域R11~R41及び第2の照会確率の表示領域R12~R42が設けられている。ここで、選択ボックスB1~B4は、広告オプションO1~O4を選択するための欄(チェックマークが入ると広告オプションが選択される)である。そして、例えば、表示領域R11には、広告オプションO1が仮に選択された場合の第1の照会確率(56%)が表示され、広告オプションO1が選択されない場合の第2の照会確率(43%)が表示されている。これにより、不動産業者のオペレータ(例えば、責任者)は、広告オプションO1~O4毎に、選択された場合と選択されなかった場合とで照会が発生する予測確率にどの程度の違いがあるかを容易に把握し、どの広告オプションを選択すれば、より効果があるかを把握することができる。しかも、図5の例では、物件情報登録要求ページには、広告オプションO1~O4毎に設定された消費ポイントが表示されるので、不動産業者のオペレータは、費用対効果を考慮して、広告オプションを選択するかどうかを判断することができる。
【0056】
なお、図5に示す広告オプションO1は、物件の内部のパノラマ画像を表示する広告オプションであるが、これに加えて、物件の内部の動画像を表示する広告オプションを選択可能に物件情報登録要求ページに追加してもよい。この場合、パノラマ画像を表示する広告オプションと、動画像を表示する広告オプションとのそれぞれに対応する選択ボックスと、第1の照会確率の表示領域及び第2の照会確率の表示領域とが物件情報登録要求ページに設けられることになり、それぞれの広告オプションが選択された場合の第1の照会確率と選択されない場合の第2の照会確率が区別されて表示されることになる。また、図5に示す広告オプションO4は、物件の広告を所定の出現頻度(X%)で表示する広告オプションであるが、複数の出現頻度の中から何れか1つの出現頻度を選択できるように構成してもよい。この場合、物件情報登録要求ページには、例えば、出現頻度(60%)、出現頻度(70%)、及び出現頻度(80%)のそれぞれに対応するラジオボタンが設けられ、何れか1つの出現頻度を選択できるように構成される。そして、それぞれの出現頻度に対応する第1の照会確率の表示領域及び第2の照会確率の表示領域が物件情報登録要求ページに設けられることになり、それぞれの出現頻度が選択された場合の第1の照会確率と選択されない場合の第2の照会確率が区別されて表示されることになる。
【0057】
[2.物件情報提供システムSの動作]
次に、図6を参照して、物件情報提供システムSの動作について説明する。図6は、物件情報提供システムSの動作例を示すシーケンス図である。なお、以下の動作例では、第1の照会確率と第2の照会確率とが予測される場合を例にとるものとする。
【0058】
先ず、不動産業者端末1(ブラウザ)は、オペレータの操作に応じて物件情報サイトにアクセスしてログインが完了した後、物件情報登録要求ページの要求を、ネットワークNWを介して物件情報提供サーバ3へ送信する(ステップS1)。なお、ログインにより不動産業者IDが特定される。次いで、物件情報提供サーバ3(ページ提供部331)は、不動産業者端末1からの物件情報登録要求ページの要求を受信すると、当該物件情報登録要求ページを、ネットワークNWを介して不動産業者端末1へ送信する(ステップS2)。次いで、不動産業者端末1(ブラウザ)は、物件情報提供サーバ3からの物件情報登録要求ページを受信すると、物件情報登録要求ページを画面に表示する(ステップS3)。
【0059】
次いで、不動産業者端末1(ブラウザ)は、画面に表示された物件情報登録要求ページ上でオペレータからの物件基本情報の指定(例えば、キー入力、または表示された候補から選択)を受け付け、当該指定の完了を検知すると、当該物件基本情報を含む予測要求を、ネットワークNWを介して物件情報提供サーバ3へ送信する(ステップS4)。ここで、物件基本情報の指定の完了は、例えば、物件基本情報中で予測に必須の物件基本情報の指定が完了したこと、またはオペレータにより送信ボタンがクリックまたはタップされたことにより検知される。
【0060】
次いで、物件情報提供サーバ3(物件情報取得部332)は、不動産業者端末1からの予測要求を受信すると、当該予測要求から物件基本情報を取得する(ステップS5)。次いで、物件情報提供サーバ3(照会確率予測部335)は、物件情報データベース321に登録されている複数の物件情報(物件基本情報及び選択された広告オプション)及び照会実績データベース322に登録されている、当該複数の物件情報のそれぞれに対する照会実績と、ステップS5で取得された物件基本情報と各広告オプションとに基づいて、当該取得された物件基本情報を含む物件情報に対する第1及び第2の照会確率を予測する(ステップS6)。すなわち、物件情報提供サーバ3(照会確率予測部335)は、広告オプションが物件情報の一部として選択された場合の物件情報(つまり、物件基本情報及び広告オプション)に対する第1の照会確率と、広告オプションが選択されない場合の物件情報(つまり、物件基本情報のみ)に対する第2の照会確率とを複数種類の広告オプション毎に予測(例えば、予測モデルf(w,xn)を用いて予測)する。
【0061】
次いで、物件情報提供サーバ3(表示制御部336)は、ステップS6で広告オプション毎に予測された第1の照会確率と第2の照会確率とをネットワークNWを介して不動産業者端末1に送信する(ステップS7)。次いで、不動産業者端末1(ブラウザ)は、物件情報提供サーバ3からの第1の照会確率と第2の照会確率を受信すると、例えば図5に示すように画面に表示されている物件情報登録要求ページに当該第1の照会確率と当該第2の照会確率とを広告オプション毎に区別して表示する(ステップS8)。こうして表示された広告オプション毎の第1の照会確率と第2の照会確率を把握したオペレータは、例えば費用対効果を考慮して所望の広告オプションを選択(例えば、選択ボックスにチェックマークを入れることで選択)し、登録ボタンGをクリックまたはタップすると、不動産業者端末1(ブラウザ)は、オペレータにより選択された広告オプションを含む登録要求を、ネットワークNWを介して不動産業者端末1へ送信する(ステップS9)。
【0062】
次いで、物件情報提供サーバ3(表示制御部336)は、不動産業者端末1からの登録要求を受信すると、当該登録要求から広告オプション(つまり、オペレータにより選択された広告オプション)を取得する(ステップS10)。次いで、物件情報提供サーバ3(物件情報登録部333)は、新たな物件IDを発行し、当該発行した物件IDと、ステップS5で取得された物件基本情報と、ステップS10で取得された広告オプションとを、ログインにより特定された不動産業者IDに対応付けて物件情報データベース321に登録する(ステップS11)。そして、物件情報提供サーバ3(照会確率予測部335)は、上記ステップS6において予測モデルf(w,xn)を用いて照会確率を予測した場合、当該予測モデルf(w,xn)を更新する。
【0063】
なお、図6に示すステップS6において、広告オプションが物件情報の一部として選択された場合の物件情報に対する第1の照会確率と、広告オプションが選択されない場合の物件情報に対する第2の照会確率との何れか一方の照会確率(好適には第1の照会確率)が広告オプション毎に予測されるように構成してもよい。この場合、ステップS7,S8において広告オプション毎に予測された1種類の照会確率が不動産業者端末1に送信され画面に表示されることになる。
【0064】
以上説明したように、上記実施形態によれば、物件情報データベース321に登録されている複数の物件情報及び照会実績データベース322に登録されている複数の照会実績と、不動産業者端末1に提供された物件情報登録要求ページ上で不動産業者のオペレータにより指定された物件情報とに基づいて、当該指定された物件情報に対する照会確率を予測し、予測された照会確率を当該物件情報登録要求ページに表示させるように構成したので、当該指定された物件情報に対する照会の発生予測を当該不動産業者に対して効果的に提示することができる。特に、第1の照会確率と第2の照会確率とを予測して物件情報登録要求ページに表示させる構成によれば、不動産業者に対して、どの広告オプションを選択すれば、より効果があるか等の判断指針を効果的に与えることができる。
【0065】
なお、以上のように本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の技術的範囲には不動産以外の物件に関する物件情報に対して照会確率を予測する場合も含まれる。また、上記実施形態では、物件情報提供サーバ3により本発明に係る各手段の処理が実施される場合について説明したが、本発明に係る一部の手段の処理が物件情報提供サーバ3により実施され、且つ本発明に係る他の一部の手段の処理が不動産業者端末1により実施されてもよく、この場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 不動産業者端末
2 閲覧者端末
3 物件情報提供サーバ
31 通信部
32 記憶部
33 システム制御部
321 物件情報データベース
322 照会実績データベース
323 不動産業者情報データベース
331 ページ提供部
332 物件情報取得部
333 物件情報登録部
334 照会実績登録部
335 照会確率予測部
336 表示制御部
S 物件情報提供システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6