(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】センサ情報収集装置
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20230126BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20230126BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
G08C19/00 G
G08C15/06 H
H04Q9/00 311J
(21)【出願番号】P 2018141206
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 恒久
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-49144(JP,A)
【文献】国際公開第2017/172781(WO,A1)
【文献】特開2004-280239(JP,A)
【文献】特開昭60-203816(JP,A)
【文献】特開昭60-209113(JP,A)
【文献】特表2016-528477(JP,A)
【文献】特開2014-54059(JP,A)
【文献】特表2016-532795(JP,A)
【文献】特開平11-195964(JP,A)
【文献】特開2011-62070(JP,A)
【文献】特開2014-151491(JP,A)
【文献】特開2016-85754(JP,A)
【文献】特開2017-134593(JP,A)
【文献】特開2003-281636(JP,A)
【文献】特開平11-230794(JP,A)
【文献】特開2006-50206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と、
電源電圧が供給され、前記検出部で検出された検出データをセンサ情報として出力するセンサアンプと、
前記センサアンプから出力された前記センサ情報を収集するとともに、所定時間が経過した場合であっても起動信号の送信をキャンセルするディープスリープモードを有する制御部と、
前記センサアンプに前記電源電圧を供給する電源部と、
磁石の接離によってオンオフ動作するリードスイッチと、
前記制御部、前記電源部および前記リードスイッチに電池電圧を供給する電池と、
を備え、
前記制御部は、前記リードスイッチの第1のオンオフ動作に基づいて前記ディープスリープモードを継続し、
前記制御部は、制御プログラムを更新するプログラム更新モードを有し、前記リードスイッチの第2のオンオフ動作に基づいて前記プログラム更新モードに切り替える、センサ情報収集装置。
【請求項2】
前記リードスイッチの前記第1のオンオフ動作と前記第2のオンオフ動作とは異なる、請求項
1に記載のセンサ情報収集装置。
【請求項3】
前記センサアンプは、定常時は動作停止状態であり、前記電源部から前記電源電圧が供給されると起動し、
前記制御部は、定常時はスリープ状態であり、前記電池から前記電池電圧が供給され、予め設定された所定時間が経過した場合に前記起動信号を送信し、
前記電源部は、定常時は動作停止状態であり、前記電池から前記電池電圧が供給され、前記制御部から前記起動信号を受信すると起動する、請求項
1または2に記載のセンサ情報収集装置。
【請求項4】
前記検出部は、計測対象として磁気を検出し前記検出データを生成する磁気センサである、請求項1~
3のいずれか1つに記載のセンサ情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ情報収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサが検出した車両の有無を無線ネットワークを介してサーバに集約して、ユーザに駐車場における混雑情報を提供するシステムがある。また、この場合、駐車エリアに埋設された磁気センサを用いて車両の有無を検出する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、センサ情報収集装置が屋外の駐車エリアに埋設されることが多く、センサの防塵防水性を確保するためにセンサ情報収集装置に対してポッティングなどの密封対策が必要であり、電池を電圧源としたセンサ情報収集装置は、密封構造のため、工場などで製造された直後から電池の電力消費が開始される。また、例えば、センサを、駐車エリアのみならず、駐車場に設けられた街路灯などにも設置して、センサから温度や湿度などの環境データを収集するなどの需要があり、現在の制御プログラムでは対応できない場合には、センサを制御する制御プログラムを更新して、システム更新できるように運用したいという要望がある。
【0005】
しかしながら、上記した従来技術では、例えば、センサ情報収集装置が屋外の駐車エリアに埋設されることから、センサ情報収集装置の埋設後に電池を交換したり、外部から制御プログラムを更新することができなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置単独で電池の消費電力を抑制可能なセンサ情報収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るセンサ情報収集装置は、検出部と、電源電圧が供給され、前記検出部で検出された検出データをセンサ情報として出力するセンサアンプと、前記センサアンプから出力された前記センサ情報を収集するとともに、所定時間が経過した場合であっても起動信号の送信をキャンセルするディープスリープモードを有する制御部と、前記センサアンプに前記電源電圧を供給する電源部と、磁石の接離によってオンオフ動作するリードスイッチと、前記制御部、前記電源部および前記リードスイッチに電池電圧を供給する電池と、を備え、前記制御部は、前記リードスイッチの第1のオンオフ動作に基づいて前記ディープスリープモードを継続する。前記制御部は、制御プログラムを更新するプログラム更新モードを有し、前記リードスイッチの第2のオンオフ動作に基づいて前記プログラム更新モードに切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、装置単独で電池の消費電力を抑制可能なセンサ情報収集装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るセンサ情報収集装置を備える情報収集システムの概要説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るセンサ情報収集装置の設置例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るセンサ情報収集装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、リードスイッチのオンオフ動作の第1の例の説明図である。
【
図4B】
図4Bは、リードスイッチのオンオフ動作の第2の例の説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るセンサ情報収集装置のディープスリープモード解除制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係るセンサ情報収集装置のプログラム更新制御の処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るセンサ情報収集装置のプログラム更新制御の処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るセンサ情報収集装置のプログラム更新制御の処理手順の一例を示すフローチャート(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るセンサ情報収集装置について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態によりセンサ情報収集装置の用途が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
<情報収集システム1の概要>
まず、
図1および
図2を参照して実施形態に係るセンサ情報収集装置10を備える情報収集システム1の概要について説明する。
図1は、実施形態に係るセンサ情報収集装置10を備える情報収集システム1の概要説明図である。
図2は、実施形態に係るセンサ情報収集装置10の設置例を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、情報収集システム1は、センサ情報収集装置10と、サーバ20とを備える。情報収集システム1は、センサ情報収集装置10によって収集した「センサ情報」を、通信ネットワークおよびインターネット回線を介して、サーバ20に集約する。また、情報収集システム1は、サーバ20に集約した「センサ情報」をユーザに提供する。
【0013】
情報収集システム1は、例えば、ユーザに、駐車場30(
図2参照)における混雑状況を提供するシステムである。この場合、センサ情報収集装置10は、駐車エリア31における車両32(いずれも、
図2参照)の有無を検出する。
【0014】
センサ情報収集装置10は、通信部16と、記憶部122と、制御部12と、検出部14とを備える。センサ情報収集装置10は、検出部14によって検出した検出データ(すなわち、センサ情報)を、制御部12へ送信(出力)し、制御部12の指令に基づいて、送信された検出データを記憶部122に記憶するとともに、通信部16から、通信ネットワークおよびインターネット回線を介して、サーバ20へ送信する。なお、センサ情報収集装置10の構成については、
図3を用いて後述する。
【0015】
サーバ20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。サーバ20は、センサ情報収集装置10の通信部16から送信された検出データ(センサ情報)を通信部21で受信し、通信部21で受信した検出データを制御部23へ送信し、制御部23の指令に基づいて、送信された検出データを記憶部22に記憶するとともに、通信部21からユーザへ向けて送信する。
【0016】
図2に示すように、センサ情報収集装置10は、構造物である駐車場30における各駐車エリア31(例えば車両32が停止するコンクリート製の床)に埋設される。センサ情報収集装置10は、磁気変動によって駐車エリア31における車両32の有無を検出する検出部として、後述する磁気センサ14(
図3参照)を備える。
【0017】
<センサ情報収集装置10の構成>
次に、
図3を参照して実施形態に係るセンサ情報収集装置10の構成をさらに説明する。
図3は、実施形態に係るセンサ情報収集装置10の構成を示す機能ブロック図である。なお、
図3においては、信号を実線で示し、電圧を破線で示している。
【0018】
センサ情報収集装置10は、構造物に埋設されることを考慮し、外部から電源電圧が供給されるものではなく、電池駆動である。このため、センサ情報収集装置10は、
図3に示すように、電池11を備える。電池11は、例えば、一次電池であり、センサ情報収集装置10の電圧源となる。ここで、センサ情報収集装置10は、電池11を電圧源とし、長期間(例えば、10年)メンテナンスフリーで動作し、磁気センサ14で検出された検出データ(センサ情報)を収集する。
【0019】
センサ情報収集装置10は、定常時において、電池11の電力消費を抑えるために、後述する制御部12をスリープ状態としている。この場合、他の構成要素(後述する電源部13、磁気センサ14、センサアンプ15および無線モジュール16)は、動作停止状態である。センサ情報収集装置10は、予め設定された所定時間が経過すると(リアルタイムクロックによる割り込み信号が生成されると)起動してセンサ情報を収集する。
【0020】
また、センサ情報収集装置10は、駐車エリア31(
図2参照)に埋設される。このため、センサ情報収集装置10は、防塵防水性を確保するために、ポッティングなどによる密封構造で構成される。このように、センサ情報収集装置10は、電源インフラのない場所に設置することができ、電池11の電力消費を抑えることで、電池11の寿命を延ばすことができ、さらに、収集したセンサ情報を無線で容易に取り出すことができる。
【0021】
図3に示すように、センサ情報収集装置10は、電池11と、制御部12と、電源部13と、検出部である磁気センサ14と、センサアンプ15と、通信部である無線モジュール16と、OR回路17と、第1スイッチ18aと、第2スイッチ18bとを備える。
【0022】
電池11は、上記したように、例えば、一次電池である。電池11は、定常時において、制御部12に対して電池電圧V1を供給する。電池11は、磁気センサ14による検出時においては、電源部13を介して、各構成要素(制御部12、センサアンプ15など)に対して電源電圧V2を供給する。
【0023】
制御部12は、マイコン121と、メモリ(
図1における「記憶部」)122とを備える。制御部12は、例えば、LSI(Large Sale Integration)により構成される。なお、制御部12は、マイコン121がメモリ122を含む構成であってもよい。制御部12は、上記したように、定常時はスリープ状態(スリープモード)であり、予め設定された所定時間が経過した場合、すなわち、リアルタイムクロックの割り込み信号が生成された場合に、起動信号Sを電源部13へ送信して、電源部13を起動させる。例えば、低い消費電力で所定の閾値以上の加速度を検出する加速度センサを備え、制御部12は、加速度センサの検出に基づいて起動信号を送信するウェイクアップモードを有してもよい。
【0024】
また、制御部12は、予め設定された所定時間が経過した(リアルタイムクロックの割り込み信号が生成された)場合に、センサアンプ15からセンサ情報を読み出し、読み出したセンサ情報をメモリ122に記憶する。制御部12は、メモリ122に記憶したセンサ情報を、電源部13を介して無線モジュール16を起動させたうえで、無線モジュール16を介して送信する。
【0025】
電源部13は、DC/DCコンバータである。電源部13は、電池11に接続される。電源部13は、制御部12から起動信号Sによって起動し、第1スイッチ18aを介してセンサアンプ15、第2スイッチ18bを介して無線モジュール16にそれぞれ電源電圧V2を供給するとともに、制御部12に対しても電源電圧V2を供給する。
【0026】
なお、電池11の電池電圧V1および電源部13が出力する電源電圧V2は、OR回路17を介して制御部12に供給される。すなわち、起動信号Sによって電源部13が起動するまでは電池11の電池電圧V1が制御部12に供給され、電源部13が起動した時点で、センサアンプ15の出力電圧と電圧レベルをあわせるために、電源電圧V2が制御部12に供給される。
【0027】
磁気センサ14は、計測対象として磁気を検出して検出データを生成する。磁気センサ14は、
図1における「検出部」であり、上記したように、磁気変動によって駐車エリア31における車両32(いずれも、
図2参照)の有無を検出する。磁気センサ14は、磁気の強さを検出し、検出した磁気強度を電気信号に変換する。
【0028】
センサアンプ15は、第1スイッチ18aを介して電源電圧V2が供給されることで、磁気センサ14の検出値を増幅して、検出データ(センサ情報)を制御部12へ出力する。
【0029】
第1スイッチ18aは、制御部12から動作指令信号C1を受信すると、センサアンプ15に対して電源部13の電源電圧V2を供給する。
【0030】
無線モジュール16は、
図1における「通信部」であり、制御部12の指令(信号)に基づいて、メモリ122に記憶された検出データ(センサ情報)、アドレス情報、時間情報などを外部のサーバ20(
図1参照)へ送信する。
【0031】
第2スイッチ18bは、制御部12から動作指令信号C2を受信すると、無線モジュール16に対して電源部13の電源電圧V2を供給する。
【0032】
ここで、制御部12は、センサ情報の種類を追加または変更する場合に制御プログラムを更新するためのプログラム更新モードを有する。また、制御部12は、所定時間が経過した場合であっても起動信号Sの送信をキャンセルするディープスリープモードを有する。このため、センサ情報収集装置10は、制御部12においてモードを切り替えるためのモード切り替え手段19を備える。
【0033】
図3に示すように、モード切り替え手段19は、リードスイッチ191と、磁石192とを備える。リードスイッチ191は、例えば、2本の強磁性体のリードが所定の接点間隔をあけて相対してガラス管に封入されたものである。なお、ガラス管には、接点の活性化を防ぐために窒素ガスが封入されている。
【0034】
リードスイッチ191は、例えば、磁石192を近接させてリードの軸方向に磁界を加えると、リードが磁化され、リードの相対している自由端が互いに引き合い接触することで、回路を閉じる(オンする)。リードスイッチ191は、例えば、磁石192を離して磁界を除くと、リードの弾性によって自由端が元に戻り、回路を開く(オフする)。すなわち、リードスイッチ191は、磁石192の接離によってオンオフ動作する。
【0035】
磁石192は、例えば、電磁石であり、リードスイッチ191に対して接離させるための専用の治具である外部装置に設けられる。なお、磁石192は、永久磁石であってもよい。この場合、磁石192を、例えば、人手によってリードスイッチ191に対して接離させてもよい。
【0036】
図3に示すように、制御部12は、リードスイッチ191のオンオフ動作に基づいて、モード切り替えを行う。この場合、リードスイッチ191のオンオフ動作は、振動などによる誤動作を防止するために、単純なオンオフの繰り返しなどを含まない。すなわち、リードスイッチ191のオンオフ動作は、誤動作を回避する程度の複雑さを必要とする。リードスイッチ191のオンオフ動作は、リードスイッチ191が1つの場合においてオンオフの時間、回数、リードスイッチ191が2以上の場合においてオンオフの順番、時間、回数などが含まれる。
【0037】
ここで、
図4Aおよび
図4Bを参照してリードスイッチ191のオンオフ動作について説明する。
図4Aは、リードスイッチ191のオンオフパターンの第1の例の説明図である。
図4Bは、リードスイッチ191のオンオフパターンの第2の例の説明図である。
【0038】
図4Aに示すように、リードスイッチ191のオンオフパターンの第1の例は、1つのリードスイッチ191に単純なオンオフ動作による磁気パルスP1とは異なる磁気パルスP2を発生させる、所定のプロトコルに基づいたオンオフパターンである。このオンオフパターンでは、通常は起こらないような磁気パルスP2を発生させる。この場合、外部装置による磁石192の接離駆動によってリードスイッチ191をオンオフ動作する。
【0039】
図3に戻り、制御部12は、リードスイッチ191のオンオフ動作が所定のプロトコルに基づいた第1の例のオンオフパターンである場合、切り替え信号C3と判定する。制御部12は、切り替え信号C3を受信すると、例えば、スリープモードからプログラム更新モードに切り替える。
【0040】
図4Bに示すように、リードスイッチ191のオンオフパターンの第2の例は、例えば、互いに所定距離(例えば、4cm程度)あけて配置された2つ以上のリードスイッチ191が所定の順番でオンするパターンである。なお、
図4Bには、リードスイッチ191が3つ(リードスイッチ191a~191c)の場合を示している。3つのリードスイッチ191a~191cの場合、図中に矢線で示すように、例えば、リードスイッチ191a、リードスイッチ191b、リードスイッチ191cの順番でオンの後、反対まわりで、リードスイッチ191c、リードスイッチ191b、リードスイッチ191aの順番でオンするなどのオンオフパターンである。
【0041】
この場合、上記した第1の例と同様、外部装置による磁石192の接離駆動でリードスイッチ191a~191cをオンオフ動作してもよい。この他、例えば、人手によって磁石192を動かすことで、リードスイッチ191a~191cを所定のパターンでオンオフ動作してもよい。なお、リードスイッチ191が4つ以上の場合も3つの場合と同様であり、さらに複雑なパターン設定が可能となる。
【0042】
また、2つ以上の磁石192を用いて、2つ以上のリードスイッチ191に対して所定のプロトコルに基づいたオンオフ動作を行うことによって、複雑なパターン設定を行ってもよい。これを
図4Bに例示のものの場合で説明すると、例えば、2つの磁石192を用いて、各リードスイッチ191a~191cに対してオンオフを動作を行う場合、リードスイッチ191aに一方の磁石192を継続して近接させている状態で、リードスイッチ191bに他方の磁石192を接離させてオンオフさせるなどのパターン設定である。
【0043】
図3に戻り、制御部12は、2つ以上(3つ)のリードスイッチ191a~191cが所定の順番でオンされるような第2の例のオンオフパターンである場合、切り替え信号C3と判定する。制御部12は、切り替え信号C3を受信すると、例えば、スリープモードからプログラム更新モードに切り替える。
【0044】
なお、例えば、磁石192が設けられる外部装置に、LEDと、LEDドライバとを設け、制御部12がプログラム更新モードに切り替わった場合には制御部12から信号を送信して、LEDドライバを駆動してLEDを点灯させるように構成されてもよい。これにより、モード切り替えが行われたことを報知することができる。
【0045】
<センサ情報収集装置10の各制御の処理手順>
次に、
図5~
図8を参照して実施形態に係るセンサ情報収集装置10の各制御の処理手順について説明する。
図5は、実施形態に係るセンサ情報収集装置10のディープスリープモード解除制御の処理手順を示すフローチャートである。
図6~
図8は、実施形態に係るセンサ情報収集装置のプログラム更新制御の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、センサ情報収集装置10の処理手順の説明では、
図5~
図8と共に
図3を適宜参照する。
【0046】
センサ情報収集装置10においては、制御部12のマイコン121が、所定時間が経過した場合であっても起動信号Sの送信をキャンセルする、すなわち、起動信号Sを電源部13へ送信しない、ディープスリープモードを有する。センサ情報収集装置10は、密封構造のため、工場などで製造された直後から電池11の電力消費が開始される。このため、ディープスリープモードでは、電池11から電池電圧の供給が開始されると、ディープスリープモードを継続して、所定時間が経過しても起動するのを回避することで、例えば、センサ情報収集装置10が設置(埋設)されていない状態(例えば、在庫状態)の電力消費を抑制することができる。
【0047】
制御部12のマイコン121は、リードスイッチ191のオンオフ動作が上記したような所定のオンオフパターンであるか否かを判定し、所定のオンオフパターン、すなわち、リードスイッチ191が所定のオンオフ動作ではない場合には、ディープスリープモードを継続する。
【0048】
図5に示すように、制御部12のマイコン121は、まず、制御部12のマイコン121は、定常時の設定状態(初期状態)として、システムリセットを実行する(ステップS101)。システムリセットにおいては、センサ情報収集装置10の定常時の状態として、動作モードをスリープ状態(スリープモード)とし、他の構成要素、すなわち、電源部13、磁気センサ14、センサアンプ15、無線モジュール16は、動作停止状態とする。
【0049】
次いで、マイコン121は、ディープスリープモードを実行(ステップS102)する。マイコン121は、リードスイッチ191のオンオフ動作がなされた場合、リードスイッチ191が所定の第1のオンオフ動作(所定のオンオフパターン)であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0050】
マイコン121は、リードスイッチ191が所定の第1のオンオフ動作である場合(ステップS103:Yes)、ディープスリープモードを解除する。すなわち、ディープスリープモードから通常モード(スリープモード)に切り替え、通常モードで動作を開始する(ステップS104)。なお、「通常モード」とは、例えば、プログラム更新モードである。通常モードであるプログラム更新モードについては、
図6~
図8を用いて後述する。
【0051】
また、マイコン121は、リードスイッチ191が所定のオンオフ動作でない場合(ステップS103:No)、ディープスリープモードを継続する。
【0052】
このように、上記した実施形態に係るセンサ情報収集装置10によれば、電池11の電力消費を抑えるディープスリープモードを有する場合にディープスリープモードを継続可能なため、センサ情報収集装置10が設置(埋設)されていない状態の電池11の電力消費を抑えることができる。これにより、センサ情報収集装置10単独で電池11の消費電力を抑制することができる。
【0053】
また、ディープスリープモードへ移行するためのリードスイッチのオンオフ動作(オンオフパターン)を別途設定することで、センサ情報収集装置10の設置(埋設)後にディープスリープモードへ再度移行させることができ、電池11の電力消費をさらに抑えることができる。
【0054】
次に、
図6~
図8を参照してスリープモードからプログラム更新モードに切り替える場合の処理手順について説明する。
図6に示すように、センサ情報収集装置10を使用する場合、まず、制御部12のマイコン121は、定常時の設定状態(初期状態)として、システムリセットを実行する(ステップS201)。システムリセットにおいては、上記したように、センサ情報収集装置10の定常時の状態として、動作モードをスリープ状態(スリープモード)とし、他の構成要素、すなわち、電源部13、磁気センサ14、センサアンプ15、無線モジュール16は、動作停止状態とする。
【0055】
次いで、マイコン121は、リードスイッチ191が所定の第2のオンオフ動作(所定のオンオフパターン)であるか否かを判定する(ステップS202)。リードスイッチ191が所定の第2のオンオフ動作である場合(ステップS202:Yes)、
図7に示すように、マイコン121は、動作モードを変更する(ステップS221)。すなわち、プログラム更新モードに切り替える。なお、ステップS202において、リードスイッチ191の所定の第2のオンオフ動作は、ステップS103の所定の第1のオンオフ動作と異なっていることが好ましいが、同じであっても構わない。
【0056】
次いで、マイコン121は、センサ情報の種類の追加または変更など、制御プログラムの書き替え(更新)が完了したか否かを判定する(ステップS222)。マイコン121は、制御プログラムの書き替えが完了した場合には(ステップS222:Yes)、動作モードを元に戻し(ステップS223)、すなわち、スリープモードに切り替え、
図6に示すように、ステップS202の処理の前に戻る。例えば、マイコン121は、ステップS222の処理において、無線モジュール16を起動させ、無線モジュール16を介して、サーバ20から更新プログラムを受信し、制御プログラムの書き替えを行ってもよい。なお、マイコン121は、ステップS222の処理において制御プログラムの書き替え(更新)が完了していない場合には(ステップS222:No)、完了するまでこの処理を繰り返す。
【0057】
図6に戻り、マイコン121は、リードスイッチ191が所定の第2のオンオフ動作でない場合(ステップS202:No)、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS203)。この場合、制御部12は、例えば、マイコン121に内蔵されているリアルタイムクロックの割り込み信号を受信したか否かにより、所定時間が経過したか否かを判定することができる。
【0058】
次いで、マイコン121は、所定時間が経過した場合には(ステップS203:Yes)、電源部13であるDC/DCコンバータを起動させる(ステップS204)。なお、マイコン121は、ステップS203の処理において所定時間が経過していない場合には(ステップS203:No)、ステップS202の処理の前に戻る。
【0059】
マイコン121は、電源部13を起動させると(ステップS204)、動作指令信号C1を出力して第1スイッチ18aをオンさせ(ステップS205)、センサアンプ15に電源部13からの電源電圧V2を供給して、センサアンプ15を起動させる(ステップS206)。
【0060】
次いで、マイコン121は、センサアンプ15を起動させてから所定時間(例えば5秒:磁気センサ14による計測時間)が経過したか否かを判定する(ステップS207)。マイコン121は、所定時間が経過した場合には(ステップS207:Yes)、センサアンプ15から出力された磁気センサ14の検出データ(センサ情報)を読み込み、メモリ122に記憶する(ステップS208)。なお、マイコン121は、ステップS207の処理において所定時間が経過していない場合には(ステップS207:No)、この処理の前に戻る。
【0061】
マイコン121は、検出データ、すなわち、センサ情報をメモリ122に記憶すると(ステップS208)、動作指令信号C1を出力して第1スイッチ18aをオフさせ(ステップS209)、センサアンプ15に電源部13からの電源電圧V2の供給を停止して、センサアンプ15を起動停止させる(ステップS210)。
【0062】
図6および
図8に示すように、マイコン121は、センサアンプ15を起動停止させると(ステップS210)、
図8に示すように、動作指令信号C2を出力して第2スイッチ18bをオンさせ(ステップS231)、無線モジュール16に電源部13からの電源電圧V2を供給して、無線モジュール16を起動させる(ステップS232)。
【0063】
次いで、マイコン121は、メモリ122に記憶されている検出データ(センサ情報)を、無線モジュール16を介して送信する(ステップS233)。マイコン121は、メモリ122に記憶されている検出データの送信が終了したか否かを判定する(ステップS234)。
【0064】
マイコン121は、検出データの送信が終了した場合には(ステップS234:Yes)、動作指令信号C2を出力して第2スイッチ18bをオフさせ(ステップS235)、無線モジュール16に電源部13からの電源電圧V2の供給を停止して、無線モジュール16を起動停止させる(ステップS236)。マイコン121は、無線モジュール16を起動停止させると(ステップS236)、電源部13を起動停止させ(ステップS237)、
図6に示すように、ステップS202の処理の前に戻る。
【0065】
上記した実施形態に係るセンサ情報収集装置10によれば、プログラム更新モードに切り替えるのに磁力により非接触で動作可能なリードスイッチ191を用いるため、センサ情報収集装置10が構造物に埋設された後に制御プログラムを更新することができる。
【0066】
また、リードスイッチ191のオンオフ動作が、単純なオンオフ動作を含まない所定のオンオフパターンであるため、リードスイッチ191の誤動作を防ぐことができる。また、制御部12がスリープモードを有することで、防塵防水のためセンサ情報収集装置10が密封構造である場合であっても、配線を排除するために設けた電池11の電力消費を抑えることができる。
【0067】
なお、上記した実施形態では、センサ情報収集装置10は、駐車場30における駐車エリア31の車両32の有無を検出することで、駐車場30の混雑状況をユーザに提供可能なものであるが、センサ情報収集装置10は、これに限定されず、例えば、検出部14として磁気センサに代えてひずみセンサなどを用いて、鉄橋やトンネルなどのインフラ構造物に恒常的に設置され、構造物の劣化を検出する用途であってもよい。また、検出部14は、磁気センサ並びにひずみセンサに限定されない。
【0068】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 情報収集システム、10 センサ情報収集装置、11 電池、12 制御部、13 電源部、14 検出部(磁気センサ)、15 センサアンプ、16 通信部(無線モジュール)、17 OR回路、18a 第1スイッチ、18b 第2スイッチ、19 モード切り替え手段、20 サーバ、21 通信部、22 記憶部、23 制御部、30 駐車場、31 駐車エリア、32 車両、121 マイコン、122 記憶部(メモリ)、191 リードスイッチ、192 磁石、S 起動信号、V1 電池電圧、V2 電源電圧、C 動作指令信号、P1,P2 磁気パルス