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特許7217115多孔質材の梱包体及び多孔質材の梱包体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】多孔質材の梱包体及び多孔質材の梱包体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/07 20170101AFI20230126BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B65D85/07
B65D85/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018177661
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2019059551
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2017185068
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313012349
【氏名又は名称】旭ファイバーグラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】工藤 尚嗣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大介
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05350063(US,A)
【文献】特開2015-187010(JP,A)
【文献】特開2013-173565(JP,A)
【文献】実開昭51-139193(JP,U)
【文献】特開2006-131295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00-85/28
B65B 13/20
B65B 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の多孔質材、及び、前記多孔質材を圧縮して収容する圧縮収容部材を有する圧縮体と、
前記多孔質材の主面に沿った第1方向から見て環状をなすように、前記圧縮体の外面に沿って設けられた帯状の第1保持部材と、
前記主面に沿い且つ前記第1方向と直交する第2方向から見て環状をなすように、前記圧縮体の外面に沿って設けられた第2保持部材と、を備え
前記第1保持部材は、前記圧縮体において、前記主面の前記第1方向において互いに対向する一対の辺部に対応する部分を露出させるように設けられており、
前記第2保持部材は、前記圧縮体において、前記主面の前記第2方向において互いに対向する一対の辺部に対応する部分を露出させるように設けられている、多孔質材の梱包体。
【請求項2】
前記第1保持部材と前記第2保持部材とは、前記主面の中央部上において互いに重なっている、請求項に記載の多孔質材の梱包体。
【請求項3】
前記圧縮体は、前記多孔質材を複数有し、
前記圧縮収容部材は、互いの前記主面が向かい合うように重ね合わされた前記複数の多孔質材を圧縮して収容している、請求項1又は2に記載の多孔質材の梱包体。
【請求項4】
前記第1保持部材は、粘着により前記圧縮体の外面に固定されている、請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質材の梱包体。
【請求項5】
前記第1保持部材は、融着により前記圧縮体の外面に固定されている、請求項1~のいずれか一項に記載の多孔質材の梱包体。
【請求項6】
板状の多孔質材、及び、前記多孔質材を圧縮して収容する圧縮収容部材を有する圧縮体と、
前記多孔質材の主面に沿った一の方向から見て環状をなすように、前記圧縮体の外面に沿って設けられた保持部を有する保持部材と、を備え、
前記保持部の一部は、前記保持部の残部よりも厚肉になっており、
前記保持部の前記一部は、前記保持部の前記一の方向において互いに対向する一対の辺部の間にわたって前記一の方向に沿って延在する矩形状の領域である、多孔質材の梱包体。
【請求項7】
板状の多孔質材を圧縮収容部材内に入れ、前記圧縮収容部材内の空気を取り除いて前記多孔質材を圧縮することにより、圧縮状態の前記多孔質材が前記圧縮収容部材内に収容された圧縮体を形成する工程と、
前記多孔質材の主面に沿った一の方向から見て環状をなすように、前記圧縮体の外面に沿って帯状の保持部材を設ける工程と、を含み、
前記保持部材は、前記多孔質材の主面に沿った第1方向から見て環状をなすように、前記圧縮体の外面に沿って設けられる帯状の第1保持部材と、前記主面に沿い且つ前記第1方向と直交する第2方向から見て環状をなすように、前記圧縮体の外面に沿って設けられる第2保持部材と、を含み、
前記第1保持部材は、前記圧縮体において、前記主面の前記第1方向において互いに対向する一対の辺部に対応する部分を露出させるように設けられ、前記第2保持部材は、前記圧縮体において、前記主面の前記第2方向において互いに対向する一対の辺部に対応する部分を露出させるように設けられる、多孔質材の梱包体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質材の梱包体、及び多孔質材の梱包体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の床面や壁面、天井面等に設置される断熱吸音材として、グラスウール等により構成された板状の多孔質材が用いられている。このような多孔質材は、輸送時や保管時における積載効率の向上のために、互いに重ね合わされた複数の多孔質材が圧縮袋内で圧縮されることにより構成された梱包体として提供される場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4361863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような多孔質材の梱包体は、梱包時に例えば直方体状に形成されたとしても、ある程度の時間(例えば1日)が経過した後には、圧縮袋が伸び、中央部が膨らんだ形状となってしまう。中央部が膨らんでいると、梱包体を積み重ねての保管が困難となり、積載効率が低下するおそれがある。また、中央部が膨らんだ場合、周辺部において多孔質材が潰れてしまい、開梱後の施工が困難となるおそれもある。一方で、中央部が膨らむのを抑制するために多孔質材を過度に圧縮すると、多孔質材が軟らかくなって開梱後に撓みが生じてしまい、施工が困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、梱包時の形状を維持できる多孔質材の梱包体、及び多孔質材の梱包体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る多孔質材の梱包体は、板状の多孔質材、及び、多孔質材を圧縮して収容する圧縮収容部材を有する圧縮体と、多孔質材の主面に沿った第1方向から見て環状をなすように、圧縮体の外面に沿って設けられた帯状の第1保持部材と、を備える。
【0007】
この多孔質材の梱包体では、環状をなすように圧縮体の外面に沿って設けられた帯状の第1保持部材により、多孔質材の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体の中央部が膨らむことを抑制できる。その結果、梱包時の形状を維持させることが可能となる。
【0008】
第1保持部材は、圧縮体において、主面の第1方向において互いに対向する一対の辺部に対応する部分を露出させるように設けられていてもよい。これによれば、第1保持部材により圧縮体の中央部が膨らむことを抑制しつつ、一対の辺部において多孔質材が潰れることを回避できる。
【0009】
主面に沿い且つ第1方向と直交する第2方向から見て環状をなすように、圧縮体の外面に沿って設けられた第2保持部材を更に備えてもよい。これによれば、第2保持部材によっても、多孔質材の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体の中央部が膨らむことを効果的に抑制できる。
【0010】
第2保持部材は、圧縮体において、主面の第2方向において互いに対向する一対の辺部に対応する部分を露出させるように設けられていてもよい。これによれば、第1保持部材により圧縮体の中央部が膨らむことを抑制しつつ、一対の辺部において多孔質材が潰れることを回避できる。
【0011】
第1保持部材と第2保持部材とは、主面の中央部上において互いに重なっていてもよい。これによれば、圧縮体の中央部が膨らむことを一層効果的に抑制できる。
【0012】
圧縮体は、多孔質材を複数有し、圧縮収容部材は、互いの主面が向かい合うように重ね合わされた複数の多孔質材を圧縮して収容していてもよい。これによれば、圧縮収容部材内に複数の多孔質材が収容されている場合でも、梱包時の形状を維持させることが可能となる。
【0013】
本発明の一側面に係る多孔質材の梱包体は、板状の多孔質材、及び、多孔質材を圧縮して収容する圧縮収容部材を有する圧縮体と、多孔質材の主面に沿った一の方向から見て環状をなすように、圧縮体の外面に沿って設けられた保持部を有する保持部材と、を備え、保持部の一部は、保持部の残部よりも厚肉になっている。
【0014】
この多孔質材の梱包体では、圧縮体の外面に沿って設けられた環状をなす保持部により、多孔質材の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体の中央部が膨らむことを抑制できる。また、保持部の一部が残部よりも厚肉であるため、圧縮体の中央部が膨らむことを効果的に抑制できる。その結果、梱包時の形状を維持させることが可能となる。
【0015】
本発明の一側面に係る多孔質材の梱包体の製造方法は、板状の多孔質材を圧縮収容部材内に入れ、圧縮収容部材内の空気を取り除いて多孔質材を圧縮することにより、圧縮状態の多孔質材が圧縮収容部材内に収容された圧縮体を形成する工程と、多孔質材の主面に沿った一の方向から見て環状をなすように、圧縮体の外面に沿って帯状の保持部材を設ける工程と、を含む。
【0016】
この多孔質材の梱包体の製造方法では、環状をなすように圧縮体の外面に沿って帯状の保持部材を設ける。これにより、多孔質材の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体の中央部が膨らむことを抑制できる。その結果、梱包時の形状を維持させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、梱包時の形状を維持できる多孔質材の梱包体、及び多孔質材の梱包方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る梱包体を示す斜視図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
図3】(a)は、多孔質材が圧縮収容部材内に収容された状態を示す図であり、(b)は、(a)に示される状態から圧縮収容部材内が脱気された状態を示す図である。
図4】比較例に係る梱包体において中央部が膨らんだ状態を示す概略断面図である。
図5】(a)は、第1変形例に係る梱包体を示す斜視図であり、(b)は、第1変形例に係る梱包体の製造過程を示す斜視図である。
図6】(a)及び(b)は、第2変形例及び第3変形例に係る梱包体を示す平面図である。
図7】第4変形例に係る梱包体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0020】
図1及び図2に示されるように、梱包体1は、圧縮体2と、第1保持部材3と、第2保持部材4と、を備えている。
【0021】
圧縮体2は、複数(この例では8枚)の多孔質材5と、それらの多孔質材5を圧縮して収容する圧縮収容部材6と、を有している。圧縮前の多孔質材5は、例えば矩形板状(扁平な直方体状)をなしている。多孔質材5は、断熱性及び吸音性を有し、住宅の床面に設置される床用の断熱吸音材である。多孔質材5は、グラスウールにより構成されている。多孔質材5は、グラスウール以外のロックウール、グラスファイバー、シリカファイバー、アルミナファイバー等の無機繊維により構成されてもよいし、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリ乳酸繊維、セルロース繊維、炭素繊維等の有機繊維により構成されてもよいし、又は、羊毛、木綿、絹、麻等の天然繊維、又は、軟質ウレタン発泡体、半硬質ウレタン発泡体やメラミン発泡体の発泡プラスチックにより構成されてもよい。圧縮前の多孔質材5の密度は、例えば10kg/m以上64kg/m以下であり、好ましくは20kg/m以上36kg/m以下である。圧縮前の多孔質材5の厚さは、例えば20~150mm程度である。なお、多孔質材5は、住宅の壁面や天井面に設置されるものでもよい。
【0022】
圧縮収容部材6は、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、ナイロン又はPET(ポリエチレンテレフタレート)により袋状に形成されている。圧縮収容部材6は、多孔質材5を収容した後に内部の空気が取り除かれる(脱気される)ことにより、多孔質材5を圧縮する。この脱気は、圧縮収容部材6内が気密に保たれた状態で、例えばバキュームポンプ等の吸引機を用いて行われる。吸引時には、例えば、多孔質材5を圧縮収容部材6内に入れるための開口部から吸引機の吸引部が導入されてもよいし、圧縮収容部材6の任意の位置に別の開口部が形成され、当該開口部から吸引部が導入されてもよい。これらの開口部は吸引完了後に塞がれてもよいし、塞がれなくてもよい。圧縮収容部材6の厚さは、例えば5~140μm程度である。
【0023】
圧縮収容部材6には、互いの主面5aが向かい合うように重ね合わされた複数の多孔質材5が圧縮して収容されている。圧縮体2は、例えば直方体状をなしているが、実際の圧縮体2の外面2a(特に、多孔質材5の積層により形成される外面)には、不規則に凹凸が形成されている。圧縮体2における厚さ方向の圧縮率(圧縮前の厚さに対する圧縮後の厚さの割合)は、例えば20%以上80%以下であり、好ましくは30%以上60%以下である。例えば、圧縮前の圧縮体2の厚さは640mm程度であり、圧縮後の圧縮体2の厚さは200mm程度である。
【0024】
第1保持部材3は、帯状をなし、多孔質材5の主面5aに沿った第1方向D1から見て矩形環状をなすように、圧縮体2の外面2aに沿って設けられている。第1方向D1は、主面5aに沿った任意の一方向であり、例えば主面5aの一対の辺部5b,5bと直交する方向である。第1保持部材3は、圧縮体2の4つの面を覆い、且つ、各面を覆う部分が互いに連結された形状をなしている。換言すれば、第1保持部材3は、圧縮体2を周方向に沿って連続的に覆っている。第1保持部材3の周長は、例えば、圧縮直後の圧縮体2における第1保持部材3に沿っての周長よりも僅かに長くなっている。これにより、第1保持部材3は圧縮体2を保持(拘束)している。
【0025】
第1保持部材3は、例えば、PET、PE、PP又はPVC等の合成樹脂によって構成された樹脂フィルムであってもよいし、紙、不織布又は無機繊維や有機繊維によって構成された繊維シート等であってもよい。第1保持部材3には、開梱を容易化するために、穴、裂け目、点線又は破線が形成されていてもよい。第1保持部材3は、例えば、帯状に形成された樹脂フィルムが圧縮体2の外面2aの回りに複数回(例えば10回)巻き付けられることにより構成されている。第1保持部材3は、例えば1MPa以上5000MPa以下の引張強度(第1保持部材3が無延伸ナイロンにより構成される場合、20000MPa以下)、及び、10%以上1000%以下の伸び率を有している。
【0026】
第1保持部材3は、圧縮体2において、主面5aの第1方向D1において互いに対向する一対の辺部5b,5bに対応する第1部分2bを露出させるように設けられている。より詳細には、第1保持部材3は、圧縮体2の平面視での中央部C(主面5aの中央部上の部分)を含む領域を覆う一方、圧縮体2における一対の辺部5b,5bに沿う第1部分2bを露出させている(覆っていない)。この例では、第1保持部材3の第1方向D1において互いに対向する一対の辺部3a,3aは、互いに平行となっており、且つ、一対の辺部5b,5bと平行となっている。第1保持部材3の第1方向D1に沿っての幅は、圧縮体2の第1方向D1に沿っての幅の0.05倍よりも大きく、且つ、1倍よりも小さくなっている。上述した第1部分2bは、辺部3aと辺部5bとの間の領域である。また、第1保持部材3は、圧縮体2の第1方向D1において互いに対向する一対の側面を露出させている。
【0027】
第2保持部材4は、帯状をなし、多孔質材5の主面5aに沿い且つ第1方向D1と直交する第2方向D2から見て矩形環状をなすように、圧縮体2の外面2aに沿って設けられている。第2方向D2は、例えば主面5aの一対の辺部5c,5cと直交する方向である。一対の辺部5c,5cは、一対の辺部5b,5bと直交している。第2保持部材4は、第1保持部材3に対して外側(圧縮体2とは反対側)を通って第1保持部材3と交差している。第2保持部材4は、圧縮体2の4つの面を覆い、且つ、各面を覆う部分が互いに連結された形状をなしている。換言すれば、第2保持部材4は、圧縮体2を周方向に沿って連続的に覆っている。第2保持部材4の周長は、例えば、圧縮直後の圧縮体2における第2保持部材4に沿っての周長よりも僅かに長くなっている。これにより、第2保持部材4は圧縮体2を保持(拘束)している。
【0028】
第2保持部材4は、例えば、PET、PE、PP又はPVC等の合成樹脂によって構成された樹脂フィルムであってもよいし、紙、不織布又は無機繊維や有機繊維によって構成された繊維シート等であってもよい。第2保持部材4には、開梱を容易化するために、穴、裂け目、点線又は破線が形成されていてもよい。第2保持部材4は、例えば、帯状に形成された樹脂フィルムが圧縮体2の外面2aの回りに複数回(例えば10回)巻き付けられることにより構成されている。第2保持部材4は、例えば1MPa以上5000MPa以下の引張強度(第2保持部材4が無延伸ナイロンにより構成される場合、20000MPa以下)、及び、10%以上1000%以下の伸び率を有している。
【0029】
第2保持部材4は、圧縮体2において、主面5aの第2方向D2において互いに対向する一対の辺部5c,5cに対応する第2部分2cを露出させるように設けられている。より詳細には、第2保持部材4は、圧縮体2の中央部Cを含む領域を覆う一方、圧縮体2における一対の辺部5c,5cに沿う第2部分2cを露出させている。この例では、第2保持部材4の第2方向D2において互いに対向する一対の辺部4a,4aは、互いに平行となっており、且つ、一対の辺部5c,5cと平行となっている。第2保持部材4の第2方向D2に沿っての幅は、圧縮体2の第2方向D2に沿っての幅の0.05倍よりも大きく、且つ、1倍よりも小さくなっている。上述した第2部分2cは、辺部4aと辺部5cとの間の領域である。また、第2保持部材4は、圧縮体2の第2方向D2において互いに対向する一対の側面を露出させている。
【0030】
第1保持部材3と第2保持部材4とは、主面5aの中央部上(圧縮体2の中央部C上)において互いに重なっている。この例では、第1保持部材3と第2保持部材4との重なり領域は、矩形状をなしている。また、第1保持部材3が圧縮体2の第1部分2bを露出させると共に、第2保持部材4が圧縮体2の第2部分2cを露出させることにより、圧縮体2の4つの隅部2dが第1保持部材3及び第2保持部材4から露出している。
【0031】
続いて、図3を参照しつつ、梱包体1の製造方法を説明する。以下の各工程は、人手又は機械によって行われる。まず、図3(a)に示されるように、圧縮前の多孔質材5を開口部から圧縮収容部材6内に入れる。続いて、上述したように、吸引機を用いて圧縮収容部材6内を脱気して多孔質材5を圧縮することにより、圧縮状態の多孔質材5が圧縮収容部材6内に収容された圧縮体2を形成する。この例では、圧縮収容部材6が開口部6a(袋状に形成された圧縮収容部材6の口)を有しており、開口部6aから吸引機が導入される。
【0032】
続いて、図3(b)に示されるように、第1方向D1から見て環状をなすように、圧縮体2の外面2aに沿って第1保持部材3を設ける。続いて、第2方向D2から見て環状をなし、且つ、第1保持部材3に対して外側を通って第1保持部材3と交差するように、圧縮体2の外面2aに沿って第2保持部材4を設ける。これにより、図1に示される梱包体1が得られる。
【0033】
以上説明した梱包体1では、第1方向D1から見て環状をなすように圧縮体2の外面2aに沿って設けられた帯状の第1保持部材3により、多孔質材5の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制できる。その結果、梱包時の形状を維持させることが可能となっている。
【0034】
すなわち、図4に示される比較例の梱包体101のように、第1保持部材3及び第2保持部材4が設けられていない場合、梱包体101は、梱包時に例えば直方体状に形成されたとしても、ある程度の時間(例えば1日)が経過した後には、圧縮収容部材106が伸び、中央部が膨らんだ形状(太鼓状)となってしまう。
【0035】
中央部が膨らんでいると、梱包体101を積み重ねての保管が困難となり、積載効率が低下するおそれがある。また、中央部が膨らんだ場合、周辺部において多孔質材105が潰れてしまい、開梱後の施工が困難となるおそれもある。更に、重ね合わされた多孔質材105同士が中央部において擦れて捻れてしまい、開梱後の施工が困難となるおそれもある。一方で、中央部が膨らむのを抑制するために多孔質材105を過度に圧縮すると、多孔質材102が軟らかくなって開梱後に撓みが生じてしまい、施工が困難となるおそれがある。例えば、圧縮後の多孔質材105の密度が110kg/m程度になると、開梱後の施工が困難となる。これに対し、梱包体1では、上述したように、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制でき、梱包時の形状を維持させることが可能となっているため、それらの課題を解決できる。
【0036】
また、梱包体1では、第1保持部材3が、圧縮体2において、第1方向D1において互いに対向する一対の辺部5b,5bに対応する第1部分2bを露出させるように設けられている。これにより、第1保持部材3により圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制しつつ、一対の辺部5b,5bにおいて多孔質材5が潰れることを回避できる。
【0037】
また、梱包体1では、第2方向D2から見て環状をなす第2保持部材4が、圧縮体2の外面2aに沿って設けられている。これにより、第2保持部材4によっても、多孔質材5の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを効果的に抑制できる。
【0038】
また、梱包体1では、第2保持部材4が、圧縮体2において、第2方向D2において互いに対向する一対の辺部5c,5cに対応する第2部分2cを露出させるように設けられている。これにより、第1保持部材3により圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制しつつ、一対の辺部5c,5cにおいて多孔質材5が潰れることを回避できる。
【0039】
また、梱包体1では、第1保持部材3と第2保持部材4とが、主面5aの中央部上において互いに重なっている。これにより、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを一層効果的に抑制できる。
【0040】
また、梱包体1では、圧縮収容部材6が、互いの主面5aが向かい合うように重ね合わされた複数の多孔質材5を圧縮して収容している。梱包体1では、このように圧縮収容部材6内に複数の多孔質材5が収容されている場合でも、梱包時の形状を維持させることが可能となっている。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、図5(a)及び図5(b)に示される第1変形例の梱包体1Aのように、第2保持部材4に代えて、袋状の第2保持部材4Aが設けられてもよい。梱包体1Aでは、第1保持部材3によって保持された圧縮体2が、第2方向D2の一方側に開口した開口部7を有する袋状の第2保持部材4A内に収容されている。圧縮体2は、第2方向D2に沿って相対移動させられることにより、開口部7から第2保持部材4A内に収容される。第2保持部材4Aは、第2方向D2の一方側から見て矩形環状をなしている。第2保持部材4Aは、圧縮体2の外面2aの全体を覆っている。この例では、第2保持部材4Aは、マチを有するガゼット状に形成されているが、マチ無しのチューブ状に形成されてもよい。
【0042】
このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制でき、梱包時の形状を維持させることが可能となる。また、第2保持部材4Aによっても、多孔質材5の厚さ方向への膨張変形が抑制されるため、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを効果的に抑制できる。また、第2保持部材4Aによって圧縮体2の外面2aの全体が覆われているため、圧縮体2の隅部2dが外部に露出することを回避でき、隅部2dの摩耗等を抑制できる。このように、第2保持部材4(第2保持部材4A)は、少なくとも第2方向D2の一方側から見て環状をなしていればよい。この点は第1保持部材3についても同様である。
【0043】
梱包体1は、図6(a)に示される第2変形例の梱包体1B、又は、図6(b)に示される第3変形例の梱包体1Cのように構成されてもよい。梱包体1Bでは、第1方向D1において互いに間隔を空けて対向するように、第1保持部材3が一対設けられている。一対の第1保持部材3は、圧縮体2の中央部Cを挟んで互いに対向している。梱包体1Cでは、梱包体1Bにおいて、第2方向D2において互いに間隔を空けて対向するように、第2保持部材4が一対設けられている。一対の第2保持部材4は、圧縮体2の中央部Cを挟んで互いに対向している。このような第2及び第3変形例によっても、上記実施形態と同様に、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制でき、梱包時の形状を維持させることが可能となる。
【0044】
図7に示される第4変形例の梱包体1Dのように、第1保持部材3及び第2保持部材4に代えて、保持部材8が設けられてもよい。保持部材8は、第1方向D1から見て矩形環状をなすように、圧縮体2の外面2aに沿って設けられた帯状の保持部8aを有している。この例では、保持部8aが保持部材8の全体を構成している。保持部材8は、例えばPP、PE、PET又はPVC等によって環状に形成された樹脂フィルムである。保持部8aは、圧縮体2の第1部分2bを露出させるように設けられている。保持部8aの第1方向D1において互いに対向する一対の辺部8b,8bは、互いに平行となっており、且つ、一対の辺部5b,5bと平行となっている。
【0045】
保持部8aの一部8cは、保持部8aの残部8dよりも厚肉になっている。一部8cは、例えば、一対の辺部8b,8bの間にわたって第1方向D1に沿って延在する矩形状の領域である。一部8cは、圧縮体2の中央部Cを含む領域を覆っている。図6では、圧縮体2の厚さ方向の一方側に設けられた一部8cのみが示されているが、厚さ方向の他方側にも同様に一部8cが設けられている。このような保持部8aを有する保持部材8は、例えば、第1方向D1に沿って溶融樹脂を押し出す押出成形によって形成される。
【0046】
このような第4変形例によっても、上記実施形態と同様に、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを抑制でき、梱包時の形状を維持させることが可能となる。また、保持部8aの一部8cが残部8dよりも厚肉であるため、圧縮体2の中央部Cが膨らむことを効果的に抑制できる。なお、梱包体1Dにおいて、保持部材8は、第1方向D1の一方側に開口した開口部を有する袋状に形成されてもよい。保持部材8は、保持部8a以外の部分を有していてもよい。保持部8aにおいて、厚肉な一部8cは、任意の位置に形成されてよい。
【0047】
上記実施形態において、第1保持部材3は、帯状に形成された樹脂フィルムが圧縮体2の回りに巻き付けられて環状となるのではなく、予め環状(輪状又はバンド状)に形成されて圧縮体2に取り付けられてもよい。第1保持部材3は、ストレッチフィルムや熱収縮フィルムであってもよい。第1保持部材3は、一対の辺部3a,3aが一対の辺部5b,5bよりも外側に位置するように、圧縮体2から張り出して設けられてもよい。この場合、圧縮体2から張り出した部分の幅は、例えば圧縮体2の厚さ以下であってよい。以上の点は第2保持部材4についても同様である。
【0048】
上記実施形態又は各変形例において、多孔質材5は、不織布付きの多孔質材であってもよい。例えば、多孔質材5における一方の主面に不織布が接着剤により貼り付けられていてもよい。この場合、圧縮体2においては、例えば、多孔質材5同士の間に不織布が位置することとなる。不織布は、例えばPETにより構成されるが、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂等の有機繊維により構成されてもよい。不織布の目付(面密度)は、例えば、10g/m以上80g/m以下であり、好ましくは20g/m以上50g/m以下である。不織布の目付は、例えば30g/mである。不織布には親水処理がなされていてもよいし、なされていなくてもよい。
【0049】
上記実施形態又は各変形例において、第1保持部材3は、粘着により圧縮体2の外面2aに固定されていてもよい。この場合、第1保持部材3は、例えば、粘着テープ付きの樹脂フィルムにより構成される。粘着テープは、例えば、基材と、基材上に形成された粘着層と、を有して構成される。基材は、例えば、PET、ナイロン、PP、PE又はOPP(二軸延伸ポリプロピレン)により構成される。基材は、単層に形成されてもよいし、複層に形成されてもよい(すなわち、複数の層がラミネートされた積層体であってもよい)。基材の厚さは、例えば、10μm以上140μm以下であり、好ましくは20μm以上50μm以下である。粘着層は、例えば、アクリル系、ゴム系、ウレタン系又はシリコン系等の粘着剤により構成される。粘着層の厚さは、例えば、5μm以上20μm以下である。第1保持部材3が粘着により圧縮体2の外面2aに固定されている場合、第1保持部材3が破断して第1保持部材3の一部が剥がれた場合でも、圧縮状態が持続され易くなる。また、圧縮体2が大きい場合、帯状の第1保持部材3を巻き付けることが難しくなるが、粘着により第1保持部材3を固定する場合、第1保持部材3を部分的に粘着させて逐次固定していくことで、梱包作業を容易に行うことができる。なお、第1保持部材3が圧縮体2の外面2aに粘着により固定されることに代えて又は加えて、第1保持部材3が圧縮体2の外面2aに巻き付けられた後に、第1保持部材3同士が粘着層の粘着により固定され、これにより第1保持部材3が圧縮体2に固定されてもよい。同様に、第2保持部材4についても、粘着により圧縮体2の外面2aに固定されてもよい。この場合、第2保持部材4は第1保持部材3にも粘着する。また、第1保持部材3及び第2保持部材4の双方が粘着により外面2aに固定されてもよいし、いずれか一方のみが粘着により外面2aに固定されてもよい。すなわち、第1保持部材3及び第2保持部材4の少なくとも一方が粘着により外面2aに固定されてもよい。
【0050】
上記実施形態又は各変形例において、第1保持部材3は、融着により圧縮体2の外面2aに固定されていてもよい。この場合、第1保持部材3は、例えば、PETにより構成された基材と、PEにより構成されて基材上に積層された融着層と、を有して構成される。例えば、第1保持部材3を圧縮体2の外面2aに巻き付けた後に、融着層を加熱することにより、第1保持部材3と外面2aとを融着(熱融着)することができる。第1保持部材3が融着により圧縮体2の外面2aに固定されている場合、第1保持部材3が破断して第1保持部材3の一部が剥がれた場合でも、圧縮状態が持続され易くなる。また、圧縮体2が大きい場合、帯状の第1保持部材3を巻き付けることが難しくなるが、融着により第1保持部材3を固定する場合、例えば第1保持部材3を部分的に融着して逐次固定していくことで、梱包作業を容易に行うことができる。また、融着作業は容易に自動化できるため、梱包作業を自動化して省力化を図ることも可能となる。なお、第1保持部材3が圧縮体2の外面2aに融着により固定されることに代えて又は加えて、第1保持部材3が圧縮体2の外面2aに巻き付けられた後に、第1保持部材3同士が融着層の融着により固定され、これにより第1保持部材3が圧縮体2に固定されてもよい。同様に、第2保持部材4についても、融着により圧縮体2の外面2aに固定されてもよい。この場合、第2保持部材4は第1保持部材3にも融着する。また、第1保持部材3及び第2保持部材4の双方が融着により外面2aに固定されてもよいし、いずれか一方のみが融着により外面2aに固定されてもよい。すなわち、第1保持部材3及び第2保持部材4の少なくとも一方が融着により外面2aに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…梱包体、2…圧縮体、2a…外面、3…第1保持部材、4…第2保持部材、5…多孔質材、5a…主面、6…圧縮収容部材、8…保持部材、8a…保持部、8c…一部、8d…残部、D1…第1方向、D2…第2方向。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7