(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】スケール除去及びファウリング防止組成物
(51)【国際特許分類】
F27D 25/00 20100101AFI20230126BHJP
【FI】
F27D25/00
(21)【出願番号】P 2018526071
(86)(22)【出願日】2016-11-18
(86)【国際出願番号】 IN2016050412
(87)【国際公開番号】W WO2017085748
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】4378/MUM/2015
(32)【優先日】2015-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515325737
【氏名又は名称】ヒンドゥスタン・ペトロリアム・コーポレーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カナパルティ・ラメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラマン・ラヴィシャンカール
(72)【発明者】
【氏名】チンタラパティ・シヴァ・ケサヴァ・ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】マダラ・サイラム
(72)【発明者】
【氏名】プリヤンカ・サハ
(72)【発明者】
【氏名】チールラディンネ・ヴェンカテスワール
(72)【発明者】
【氏名】ペディー・ヴェンカト・チャラパティ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ネッテム・ヴェンカテスワール・チャウダリ
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104479657(CN,A)
【文献】特開2014-101452(JP,A)
【文献】特表2007-537346(JP,A)
【文献】特開2005-048175(JP,A)
【文献】特開2007-106926(JP,A)
【文献】特表2004-501225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 25/00
C10G 75/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 硝酸ナトリウム
及び硝酸カリウ
ムの組み合わせ
である金属成分、並びに(b) 尿素
、シュウ酸アンモニウム、
及び硫酸アンモニウムの組合せ
である非金属成分を含み、組成物中の前記金属成分の質量比が50から95%の範囲内にあり、組成物中の前記非金属成分の比が5から50%の範囲内にある、コークスを含むファウリング堆積物が生じる製油所ユニットからファウリング堆積物を除去するためのファウリング防止組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物を調製するための方法であって、
a) 少なくとも1種の前記非金属成分(b)及び前記金属成分(a)を水と接触させて、混合物を形成する工程と、
b) 前記混合物から水を除去して、組成物を得る工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は、一般に、少なくとも1種のアルカリ金属塩を含む金属成分及び非金属成分を含むファウリング防止組成物に関する。本主題はまた、ファウリング防止組成物を調製する方法に関する。本主題はまた、前記組成物を使用して反応器又は炉におけるファウリングを低減させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精油所の炉内においてしばしば発生するファウリング(または、沈着ともいう)は、処理装置の内壁上の望ましくない物質の蓄積として広く定義される。ファウリングは、熱交換器の熱効率を著しく損なうことがある。これは、精油所装置の操作に加えて追加のエネルギーコストに影響を及ぼす、製油所における非常に大きな問題である。
【0003】
精油所の炉内のスケール除去用の化学組成物の開発に関する利用可能な文献は、非常に限られている。米国特許第6,585,883号は、蒸気及び触媒を使用して、反応器の煙管内部のコークス堆積物を除去するための方法を開示している。米国特許第8057707号は、炭化水素の水蒸気分解においてコークス形成を軽減するための、(a)ジメチルジスルフィド及びジメチルスルフィドの少なくとも1種並びに(b)アルファ-メチル-スチレン2量体及びテルピノレンから選択されるフリーラジカルスカベンジャーを含む組成物を開示している。米国特許出願公開第2010/0038289Al号は、石油精製過程におけるファウリング軽減のための金属スルホネート添加剤の開発に関する。US2011/0147275は、炭化水素精製過程におけるファウリング軽減のためのポリアルキレンエポキシポリアミン添加剤の使用を開示している。米国特許出願公開第20130008830号は、ファウリング防止剤としてのポリアルキレンカルボン酸ポリアミン添加剤、並びに炭化水素精製過程における粒子誘発性ファウリングを含めた、ファウリングを低減するための方法及び系における前記作用物質の使用を開示している。US5,841,826は、水性系と接触している、蒸気生成システムにおける、ボイラー及び熱交換器表面等の伝熱装置表面からスケール、スラッジ、腐食物及び他の堆積物を取り除く及び取り外すための、担体及び/又は挿入剤を含有するキレート剤又は非腐食性化学洗浄剤を開示している。非腐食性化学洗浄剤は、低級アルキルアミン、例えば、ジメチルアミン、低級ヒドロキシアルキルアミン、例えば、エタノールアミン及びペンタノールアミン、又は環式ジイミン、例えば、1,10-フェナントロリン、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン、2,2'-ビピリジン及び4,4'-ビピリジン、又はこれらの組合せであってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,585,883号
【文献】米国特許第8057707号
【文献】米国特許出願公開第2010/0038289Al号
【文献】US2011/0147275
【文献】米国特許出願公開第20130008830号
【文献】US5,841,826
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
精油所では、留出物画分を得るために、原油の蒸留は低温から高温にかけて実行される。問題は、十分に高い温度では、原油の炭化水素がコークスに分解され、それが、原油蒸留ユニットの内部で蓄積し得るということである。原油蒸留ユニットの場合には、バナジウム、ニッケルのようないくつかの金属酸化物もコークスと共に堆積する。これは、ファウリング物質の除去を困難にする。これは、伝熱効率の低下をもたらし、その後、原油蒸留のためにより多くのエネルギーが必要とされる。無難な運転システムを得るために、炉は清潔にしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、(a)少なくとも1種の金属塩を含む金属成分及び(b)非金属成分を含むファウリング防止組成物に関する。本開示は、反応器中のファウリング物を軽減させるためのファウリング防止組成物を調製する方法であって、少なくとも1種の非金属成分及び金属成分を水と接触させて、混合物を形成する工程と、(b)混合物から水を除去して、組成物を得る工程とを含む方法に関する。本開示はまた、ファウリング防止組成物を使用して、反応器又は炉内のファウリングを低減させる方法に関する。
【0007】
本主題の上記及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び付随する特許請求の範囲を参照してよりよく理解されよう。本概要は、単純化した形態の概念の選択を導入するために提供される。本概要は、特許請求される主題の最も重要な特徴又は本質的な特徴を特定するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されるものでもない。
【0008】
付随の図面を参照して、詳細な説明を記載する。図面において、参照番号の最も左の数字は、参照番号が最初に出現する図を特定する。図面全体を通して、同じ番号は、同様な特徴及び要素を参照するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】HITEC塩(7% NaNO
3、53% KNO
3、40% NaNO
2)、HITEC-尿素(UREA)(10%尿素と90% HITEC塩)、及びHITEC-EDTA(15% EDTAと85% HITEC塩)のTGAのグラフである。
【
図2】SM1 (50% KNO
3、20% BaNO
3、15% CaNO
3、10% MgNO
3、5% NaNO
3)、SM1-NH
4OH(SM1 500mg及びおよそ11のpHを得るためのNH4OHを使用して調製された)、及びSM4-EDTA(80% SM4及び20% EDTA;SM4:58% KNO
3、11% CaNO
3、31% NaNO
3)のTGAのグラフである。
【
図3】SM2-尿素(UREA) (SM2(90%)及び尿素10%;SM2:30% KNO
3、35% BaNO
3、13% CaNO
3、12% MgNO
3、10% LiNO
3)、SM3-尿素(UREA) (SM3(90%)及び尿素10%;SM3:49% KNO
3、30% CaNO
3、21% NaNO
3)、SM4-尿素(UREA) (90% SM4及び10%尿素;SM4:58% KNO
3、11% CaNO
3、31% NaNO
3)、及びSM5-尿素(UREA) (80% SM5及び20%尿素;SM5:53% KNO
3、7% LiNO
3、40% NaNO
2)のTGAのグラフである。
【
図4】SS(天日塩:60% NaNO
3、40% KNO
3)、SS-URAMOX(10%シュウ酸アンモニウム、10%尿素、80% SS)、及びSS-URAMOXAMS(20%(1:1:1)のシュウ酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び尿素の混合物と80% SS)のTGAのグラフである。
【
図5】SS-AMS(20%硫酸アンモニウム及び80% SS)、SS-AMOX(20%シュウ酸アンモニウム及び80% SS)、及びSS-尿素(UREA) (15%尿素と85% SS)のTGAのグラフである。
【
図6】EDTA、AMOX、尿素(UREA)、及びOM1(40%尿素、40%シュウ酸アンモニウム、20%硫酸アンモニウム)のTGAのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示には具体的に記載されるもの以外の変更及び修正が加えられることを当業者は知っている。本開示は全てのそのような変更及び修正を含むことを理解すべきである。本開示は、この明細書において言及されるか又は示される全てのそのような工程、特徴、組成物及び化合物を個々に又は総合的に、並びにそのような工程又は特徴のいずれか又はそれより多くのあらゆる組合せも含む。
【0011】
定義
便宜のために、本開示の更なる記載の前に、明細書及び実施例で用いられるある特定の用語はここに集められる。これらの定義は本開示の残りに照らして読み取るべきであり、当業者によるように理解すべきである。本明細書で使用される用語は、当業者に認識され、公知である意味を有するが、便宜及び完全性のために、特定の用語及びそれらの意味が下で示される。
【0012】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、その冠詞の文法上の目的語の1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
【0013】
用語「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」は、包括的、開放的な意味で使用され、追加の要素が含まれてもよいことを意味する。文脈上特に必要がない限り、本明細書全体で、単語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」等の変形は、明示される要素若しくは工程又は要素若しくは工程の群が含まれることを暗示するが、いかなる他の要素若しくは工程又は要素若しくは工程の群も除外されないことを暗示するものと理解される。
【0014】
用語「含む(including)」は、「限定されずに含む」ことを意味するために使用される。「含む(including)」及び「限定されずに含む」は、互換的に使用される。
【0015】
用語「結晶水」又は「水和水」は、結晶中に存在する水を指す。
【0016】
比率、濃度、量及び他の数値データは、本明細書では範囲形式で提示することができる。そのような範囲形式は、単に便宜上及び簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に挙げられる数値だけを含むのではなく、各数値及び部分範囲が明示的に挙げられるかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又は部分範囲も含むものと柔軟に解釈すべきであると理解すべきである。例えば、50から95の質量比範囲は、50から95の明示的に挙げられる限界だけを含むのではなく、60から90、55から80等の部分範囲、並びに、例えば55.5、75.1及び85.9等の指定範囲内の端数の量を含む個々の量も含むものと解釈されるべきである。
【0017】
ファウリングは、熱交換器、原油蒸留ユニット、流動床コーキングユニット、ビスブレーキングユニット等の精油所のいくつかの部分で観察することができる。ファウリング物質は一般に低い熱伝導率を有し、それは、伝熱抵抗を増加させ、エネルギー損失を増加させる。ファウリングは表面積を減少させ、系における圧力降下の増加にもつながる。精油所炉内のファウリングは、熱分解、化学反応、不溶性物質の堆積、腐食等のいくつかの機構から生じ得る。ファウリングの理由の1つは、油が過熱されるときのコークスの形成である。スケールの形成の別の理由は、熱伝導率の低下をもたらす、炉の内壁上への原油中に存在する塩物質の沈殿である。固体コークス堆積物は、主要成分としての炭素と、微量成分としての硫黄、バナジウム、ニッケル、鉄からなる。脱塩は、炉に送る前に塩を除去するために実行される。さもなければ、原油中の塩の存在の影響が、ファウリング物質の堆積を通して観察され得る。
【0018】
精油所では、留出物画分を得るために、原油の蒸留は低温から高温にかけて実行される。問題は、十分に高い温度では、原油の炭化水素がコークスに分解され、それが、原油蒸留ユニットの内部で蓄積し得るということである。原油蒸留ユニットの場合には、バナジウム、ニッケルのようないくつかの金属酸化物もコークスと共に堆積する。これは、ファウリング物質の除去を困難にする。これは、伝熱効率の低下をもたらし、その後、原油蒸留のためにより多くのエネルギーが必要とされる。無難な運転システムを得るために、炉は清潔にしなければならない。本開示は、(a)少なくとも1種の金属塩を含む金属成分;及び(b)非金属成分を含むファウリング防止組成物に関する。ファウリング防止組成物は、製油所煙管におけるコークス及び他のスケール堆積物の除去ために使用することができる。
【0019】
本開示の組成物は、精油所で使用される管状炉の内壁におけるファウリング物堆積物の除去のために使用することができる。ファウリング物除去の方法は原油蒸留ユニットで主に有益であるが、それは、コークス及び他のファウリング物堆積が生じる、流体コッカーユニット、流動接触分解ユニット、熱分解炉等の任意の精油所ユニットに適用することができる。要求される必要なことは、組成物含有蒸気と管上のスケール物質との接触である。
【0020】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含む。
【0021】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0022】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)硝酸リチウム、硝酸ナトリウム及び硝酸カリウムの組合せを含む金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0023】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)硝酸ナトリウム及び硝酸カリウムの組合せを含む金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0024】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)硝酸ナトリウム及び硝酸カリウム、及び亜硝酸ナトリウムの組合せを含む金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0025】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0026】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)硝酸ナトリウム、硝酸カリウム及び硝酸カルシウム、並びにその組合せの組合せを含む金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0027】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)硝酸カリウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム及び硝酸リチウム並びにその組合せの組合せを含む金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0028】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ土類金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0029】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0030】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、遷移金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0031】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ土類金属塩、遷移金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含む。
【0032】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)遷移金属塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0033】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0034】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ土類金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0035】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0036】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)スズ塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖及びそれらの組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0037】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素を含む非金属成分を含む。
【0038】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びその組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素及びアンモニウム塩の組合せを含む非金属成分を含む。
【0039】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)EDTAを含む非金属成分を含む。
【0040】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)糖を含む非金属成分を含む。
【0041】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)単糖を含む非金属成分を含む。
【0042】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)マンノースを含む非金属成分を含む。
【0043】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)アンモニウム塩及びその組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0044】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及びその組合せの群から選択される非金属成分を含む。
【0045】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)シュウ酸を含む非金属成分を含む。
【0046】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)コハク酸を含む非金属成分を含む。
【0047】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)酒石酸を含む非金属成分を含む。
【0048】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は50から95%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は5から50%の範囲内にある。
【0049】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は60から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は40から10%の範囲内にある。
【0050】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は60から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は40から10%の範囲内にあり、金属成分は、1:1から4:1の範囲内の質量比の硝酸ナトリウム及び硝酸カリウムの組合せである。
【0051】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は80から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は20から10%の範囲内にあり、金属成分は、リチウム、カリウム、バリウム、マグネシウム及び硝酸カルシウムの共融混合物である。
【0052】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、シュウ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、糖の群から選択される非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は80から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は20から10%の範囲内にあり、金属成分は、ナトリウム、カリウム及び硝酸カルシウムの共融混合物である。
【0053】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、スズ塩及びそれらの組合せの群から選択される金属成分;並びに(b)EDTAを含む非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は80から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は20から10%の範囲内にあり、金属成分は、ナトリウム、カリウム及び硝酸カルシウムの共融混合物である。
【0054】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)Na及びKの硝酸塩を含む金属成分;並びに(b)尿素及びシュウ酸アンモニウムの組合せを含む非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は80から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は20から10%の範囲内にある。
【0055】
一実施形態では、ファウリング防止組成物は、(a)Na及びKの硝酸塩を含む金属成分;並びに(b)尿素を含む非金属成分を含み、ここで、組成物中の金属成分質量比は80から90%の範囲内にあり、組成物中の非金属比は20から10%の範囲内にある。
【0056】
本開示はまた、異なる種類の石油製品を加熱するために使用される製油所のいくつかの炉の内部の管におけるファウリング物除去に関する。本開示のファウリング物防止組成物は、製油所又は他の場所で利用可能な様々な炉又は管に適用することができる。
【0057】
ファウリング物除去の方法は、反応器の高い温度で水性溶液を通した炉へのスケール除去物質の導入を含む。スケール除去物質含有溶液又はファウリング防止組成物は、注入ポート、ノズル等を通して導入することができる。反応器の高い温度で水分子は蒸気を形成し、それは、コークス堆積物を熱的に攻撃し、一酸化炭素及び水素へのそれらの分解につながる。ガス状の生成物は、蒸気の流動によって炉から除去することができる。金属残留物を有する無機のスケールは、単に蒸気流動で処理することによって除去することはできない。ファウリング防止組成物は容易に分解されて小分子を形成し、それは金属に配位して、高温の水流によって容易に除去される複合体をもたらすことができる。
【0058】
反応器からのファウリング物除去の方法は、精油所の炉の内部のコークス堆積物を除去する効率的な方法である。コークス堆積物は、蒸気をファウリング防止組成物と一緒に注入してコークス堆積物と接触させることができる、炉の全ての領域で効果的に除去することができる。本明細書に記載される方法を利用して、炉ユニットの任意の表面からファウリング物を除去することができる。
【0059】
一実施形態では、ファウリング物除去の方法は、およそ800から1200℃の温度のコークス堆積物とそれが接触することができるように、水をファウリング物防止組成物と一緒に炉に注入する工程を含む。コークスを一酸化炭素及び水素に変換するために、高い温度が必要とされる。十分な酸素の存在下での燃焼機構を通して、二酸化炭素及び水も生成される。ガス化が起こる速度は、スケールの表面積及びスケール除去物質の性質に依存する。スケール除去は、蒸気の高い圧力及び十分な酸素の存在下で実行することができる。堆積するコークスのレベルによって、スケール除去を毎月実行することができる。
【0060】
一実施形態では、ファウリング物防止組成物は、水に溶解して溶液を形成することができる。別の実施形態では、溶液に対するファウリング物防止組成物の質量百分率は、1から10%であってよい。更に別の実施形態では、溶液に対するファウリング物防止組成物の質量百分率は、2から5%であってよい。ファウリング物防止組成物を含む溶液は、600超から1200℃の温度で反応器管にわたって噴霧することができる。組成物は反応器にわたって堆積物と強く反応することができ、それによって熱交換能力を改善することができる。
【0061】
一実施形態では、精油所で使用される管状炉の内壁から、ファウリング物堆積物を除去することができる。この方法は原油蒸留ユニットで主に有益であるが、それは、コークス及び他のファウリング物堆積が生じる、流体コッカーユニット、流動接触分解ユニット、熱分解炉等の任意の精油所ユニットに適用することができる。要求される必要なことは、スケールリムーバー製剤含有蒸気と管上のスケール物質との接触である。
【0062】
本開示はまた、反応器中のファウリング物を軽減させるための組成物を調製する方法であって、少なくとも1種の非金属成分及び金属成分を水と接触させて、混合物を形成する工程と;混合物から水を除去して、組成物を得る工程とを含む方法に関する。
【実施例】
【0063】
以下に本開示を実施例により例示するが、実施例は開示の働きを例示するものであり、本開示の範囲に限定を意味するものと限定的に理解するものではない。本開示の範囲内にある他の実施例も可能である。
【0064】
TGA-DSCをSTA 449 Netzsch instrumentのみを使用して測定した。キャリブレーションファイルを使用して測定を実行した。測定には2個のアルミナるつぼが必要であった。1個は空のるつぼであり、他方のるつぼには試料を保持した。加熱を10K/分の速度で実行し、質量減少を計算した。空のるつぼと比較して試料パンに対する熱流量を計算した。
【0065】
(実施例1)
スケール除去用に有効な配合物を開発するために、TGAを利用した。配合物は、動作温度(800℃)の間に完全に分解されるべきである。いくつかの組成物を作製し、その熱特性を試験する。TGAデータのリストをTable 1(表1)に示す。TGA分析は、試料3~5mgを採取し、空気の非存在下(80ml/分)最大800から900℃まで10℃/分の加熱速度で実行した。
【0066】
(実施例2)
ファウリング防止組成物は、金属成分パートとしてのナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、バリウムの2種以上の水溶性塩、及び非金属成分としての尿素、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、EDTA、アンモニウム塩を含む。所定の割合(%)の無機塩と有機化合物とを(Table 1(表1)に示された特定の質量比)水(5mL)中に混合し、均質な溶液を作製することによって、金属及び非金属成分を含む組成物200mgを調製した。50℃の水浴温度下、及び真空ポンプの圧力を10~20mbarに低下させて、ロータリーエバポレーター(rotavapor)を使用して水を除去した。各組成物に対して完全な乾燥過程を1時間継続した。いくつかの組成物の中でも、SM4-EDTA及びSS-URAMOXは最良の結果を示す(Table 1(表1))。そのTGA分析の後で、無視し得る量の残留物が残った。これは、対応する組成物からのガス状分子の形成として説明することができる。
【0067】
(実施例3)
製油所のCDUヒーターから得られたスケール物質の熱安定性もマッフル炉を使用して試験した。スケール物質1gをアルミナるつぼに採取し、マッフル炉中に800℃において約6時間維持した。焼成後、約33%の質量減少が観察される。このことは、この温度においてスケール物質の分解を完全にするためには、何らかの外部の材料が必要であることを示している。
【0068】
(実施例4)
非金属成分の熱安定性を、マッフル炉を使用して決定した。1gの硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、尿素、EDTA、シュウ酸のそれぞれを、個別にアルミナるつぼに採取し、600℃において4時間維持した。いずれの場合も、ほとんど完全な分解が観察された。別の実験を、等量のスケール(0.5g)と有機混合物(0.5g、尿素、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムの1:1:1混合物)を混合することによって実施し、次いで混合物をマッフル炉において800℃で6時間維持した。観察された質量減少は67%である。
【0069】
(実施例5)
製油所におけるスケール除去実験を、市販のスケール除去物質を水に溶解し、次いでこの溶液を炉に注入することによって実行する。高温の炉において、水はコークスと反応して、ガス状生成物として一酸化炭素及び水素を形成する。したがって、このようにしてコークスのみを除去することができるが、単に水で処理することによって金属不純物を除去することはできない。金属不純物及びコークス不純物の両者を除去するために、いくつかの組成物を調製してきた。等量のスケールとSS(80%)-有機混合物(20%)を採取し、800℃において6時間維持した。約42%の質量減少が観察された。
【0070】
【0071】
【0072】
図1は、空気の非存在下、最大900℃までのHITEC、HITEC-尿素(UREA、以下同じ)及びHITEC-EDTAのTGAを図示する。HITEC塩は、7% NaNO
3、53% KNO
3及び40% NaNO
2から作製された組成物である。HITEC-尿素は、90% HITEC塩及び10%尿素から作製される。一方、HITEC-EDTAは、85% HITEC塩及び15% EDTAから作製される。実験の後、HITEC塩中に約26.97%の残留物が残り、一方、HITEC-尿素及びHITEC-EDTAに対しては、29.29%及び48.45%の残留物が残った。
【0073】
図2は、空気の非存在下、最大900℃までのSM1、SM1-NH
4OH、及びSM4-EDTAのTGAを図示する。SM1は、50% KNO
3、20% BaNO
3、15% CaNO
3、10% MgNO
3、5% NaNO
3から作製された組成物である。挙げられた条件下でTGAを実行した後、約23.95%の残留物が残った。SM1-NH
4OHはSM1及びNH
4OHから作製された組成物である。SM1を水に溶解し、11のpHを得るためにNH
4OHを添加した。この条件下、白色沈殿物が生じた。これをSM1-NH
4OHとして処理する。SM4-EDTAは、80% SM4及び20% EDTAから作製され、この混合物は、最大900℃までの分析後、驚くべきことに5.51%の残留物を示した。
【0074】
図3は、空気の非存在下、最大900℃までのSM2-尿素、SM3-尿素、SM4-尿素、及びSM5-尿素のTGAを図示する。SM2は、30% KNO
3、35% BaNO
3、13% CaNO
3、12% MgNO
3、10% LiNO
3の複合混合物である。SM2-尿素は、10%尿素及び90% SM2からなる。SM2-尿素は、TGA分析後34.71%の残留物を示した。SM3塩混合物は、49% KNO
3、30% CaNO
3、21% NaNO
3から作製される。SM3-尿素は、90% SM3及び10%尿素から作製される。SM3-尿素は、熱分析後23.54%の残留物を示した。SM4塩混合物は、58% KNO
3、11% CaNO
3、31% NaNO
3から作製される。SM4-尿素は90% SM4及び10%尿素から作製され、この混合物は、15.85%の残留物を生じさせた。SM5は、53% KNO
3、7% LiNO
3、40% NaNO
2の混合物である。SM5-尿素(20%)は、80% SM5及び20%尿素から作製され、これは実験後27.64%の残留物を生じさせた。このTGA分析の全ては、最大800℃~900℃で実行された。
【0075】
図4は、空気の非存在下、最大900℃までのSS、SS-URAMOX、及びSS-URAMOXAMSのTGAを図示する。天日塩(SS)は、60% NaNO
3、40% KNO
3の塩混合物である。SS-URAMOXは、10%シュウ酸アンモニウム、10%尿素、80% SSから作製される。組成物は、TGA分析後、驚くべきことに8.44%の残留物を示した。SS-URAMOXAMSは、20%(1:1:1)のシュウ酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び尿素の混合物と80% SSから作製される。この組成物の空気中の最大900℃までのTGA分析の後、28.71%の残留物が残った。
【0076】
図5は、空気の非存在下、最大900℃までのSS-尿素、SS-AMX、及びSS-AMOXのTGAを図示する。SS-尿素は、20%尿素と80% SSから作製され、16.96%の残留物を示した。同様にSS-AMOXは、20%シュウ酸アンモニウムと80% SSから作製され、この組成物は、同じ条件下で18.83%の残留物を示した。SS-AMSは、20%硫酸アンモニウムと80% SSから作製され、41.43%の残留物を示した。
【0077】
図6は、空気の非存在下、最大900℃までのEDTA、AMOX、尿素、及びOM1のTGAを図示する。
【0078】
尿素に関しては、ほとんど完全な分解が観察された(1%の残留物)。EDTA及びAMOXの場合、最大800℃までのTGA分析後、4.97%及び7.22%の残留物であった。有機混合物(OM1)は、40%尿素、40%シュウ酸アンモニウム、20%硫酸アンモニウムから作製され、分析後、14.26%の残留物を示した。
【0079】
本主題をその特定の実施例及び実施形態を参照して、かなり詳細に説明してきたが、他の実施形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる好ましい実施例及び実施形態の記載に限定されるべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示の組成物は、ファウリング防止組成物又は脱塩物質又はスケール除去物質として有効に使用され得る。