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  • 特許-浄水器の展示方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】浄水器の展示方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20230126BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230126BHJP
【FI】
C02F1/28 Z
C02F1/44 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019019196
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020124690
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田阪 広
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523801(JP,A)
【文献】特開2000-107575(JP,A)
【文献】特開2013-132605(JP,A)
【文献】特開2004-230358(JP,A)
【文献】特開2010-115615(JP,A)
【文献】特開平11-333445(JP,A)
【文献】特開2004-125360(JP,A)
【文献】特開2001-232354(JP,A)
【文献】特開2013-094690(JP,A)
【文献】特開平09-239358(JP,A)
【文献】特開平11-090463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00-9/14
B01D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジと、を備える浄水器の展示方法であって、
前記原水貯留槽に発光粒子を含む原水を供給し、前記原水を前記浄水カートリッジによって浄化した浄水を前記浄水貯留槽に供給する、浄水器の展示方法。
【請求項2】
前記発光粒子を含む原水が供給された前記原水貯留槽が、可視光下において、少なくとも一方向から透明となる前記原水及び前記原水貯留槽を用いる、請求項1に記載の浄水器の展示方法。
【請求項3】
前記発光粒子を含む原水が供給された前記原水貯留槽が、可視光下において、少なくとも一方向から透明であるように、前記原水貯留槽の選択、前記発光粒子の種類の選択、及び前記発光粒子の濃度の選択のうち、少なくとも一つの選択工程を含む、請求項2に記載の浄水器の展示方法。
【請求項4】
前記発光粒子が、紫外線を照射することによって発光する蛍光粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の浄水器の展示方法。
【請求項5】
光源が、前記浄水器に前記紫外線を照射する、請求項4に記載の浄水器の展示方法。
【請求項6】
前記発光粒子の除去率が異なる浄水カートリッジを用いる、請求項1~5のいずれか1項に記載の浄水器の展示方法。
【請求項7】
前記発光粒子の比重が1~2である、請求項1~6のいずれか1項に記載の浄水器の展示方法。
【請求項8】
遮光部材が、前記浄水器の周囲の少なくとも一部を遮光する、請求項1~7のいずれか1項に記載の浄水器の展示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器の展示方法及び浄水器の展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の使用者に向けた、浄水器の浄水能力を提示するための浄水器の展示方法が従来知られている。例えば、牛乳、オレンジジュース、並びに鉄さび(弁柄)および顔料等の着色粒子を含む水等の原水を浄水器で浄化し、浄水が透明になる様子を提示することにより、濁った原水から微粒子を除去する性能を有している様を視覚的に認識させる方法が知られている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2)。
【0003】
また、精密ろ過膜による液中微粒子の捕捉を観察する方法として、JISK3832の精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法、水銀圧入方法といった精密ろ過膜の細孔径を測定する方法、JISK3835の精密ろ過膜エレメント及びモジュールの細菌捕捉性能試験方法に示される粒子捕捉の完全性試験、分子量又は粒子径ごとの捕捉率を測定し、微粒子の捕捉性能を分画特性として表す方法が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】”クリンスイが選ばれる理由│浄水器の通販なら クリンスイのオフィシャルshop”、[online]、三菱ケミカル・クリンスイ株式会社[平成30年10月23日検索]、インターネット<URL:https://www.rakuten.ne.jp/gold/cleansui/reason01.html>
【文献】”価格.com-[PR企画]P2全6モデル比較レビュー!「ポット型浄水器」実力徹底調査”、[online]、株式会社価格コム[平成30年10月23日検索]、インターネット<URL:http://kakaku.com/article/pr/10/04cleansui/p2.html#test1>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術で用いられる牛乳、オレンジジュース、並びに鉄さびおよび顔料等の着色粒子を含む水等の原水は、家庭用浄水器の被処理水である水道水等の飲用水と比して高濃度で着色されて濁っているため、視聴者が普段使用している透明な飲用水と懸け離れている。そのため、飲用水の浄水能力と直感的に結びつき難いという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、普段家庭で利用する水道水等に見立てた、飲用水に近い透視度の原水を用いて浄水器の浄水能力を容易に提示することができ、かつ、分かり易く提示できる新たな浄水器の展示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る浄水器の展示方法は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジと、を備える浄水器の展示方法であって、前記原水貯留槽に発光粒子を含む原水を供給し、前記原水を前記浄水カートリッジによって浄化した浄水を前記浄水貯留槽に供給する。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る浄水器の展示装置は、浄水器と、光源と、遮光部材と、を備える浄水器の展示装置であって、前記浄水器は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジと、を備え、前記光源は、紫外線を前記浄水器に照射するものであり、前記浄水器の周囲の少なくとも一部は、前記遮光部材によって遮光される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、普段家庭で利用する水道水等に見立てた、飲用水に近い透視度の原水を用いて浄水器の浄水能力をより分かり易く提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】浄水器の展示装置100の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<浄水器の展示方法>
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジと、を備える浄水器の展示方法であって、原水貯留槽に発光粒子を含む原水を供給し、原水を浄水カートリッジによって浄化した浄水を浄水貯留槽に供給する、浄水工程を含む方法である。発光粒子は発光するため、実際の大きさよりも広い範囲を観察することができる。このため、発光粒子を用いる本発明の一態様に係る方法は、粒子の大きさそのものを観察する鉄さび等の着色粒子等の発光しない粒子を用いる従来の方法よりも視認しやすい。また、原水貯留槽に原水を供給するだけでよく、専門的な技能、知識も不要である。よって、従来の方法よりも分かり易く、かつ、容易に浄水器の浄水能力を提示することができる。特に、普段家庭で利用する水道水等に見立てた、濁りが少なく透明に近い透視度の原水を用いることにより、浄水器の浄水能力をより分かり易く提示することができる。つまり、視聴者に、普段家庭で利用する水道水等の透明に見える水にも実は多くの粒子が含まれているということを直感的に分かり易く伝えることができる。水道水等の飲用水は水道水質基準の範囲内で供給されているが、基準内の水であっても、微粒子や雑菌等が含まれている。また、上述の実際の大きさよりも広い範囲を観察できるという理由から、濃度を少量にしても浄水能力を分かり易く提示できる。よって、該粒子を捕捉可能なろ過材においては目詰まりし難いという利点もある。つまり、鉄さび等の着色成分を含む水、牛乳、オレンジジュース等を原水とする方法では、視聴者に原水の色と浄水の色との差を伝わり易くするためには、原水に含まれる着色成分の濃度が高い必要がある。そのため、該粒子を捕捉可能なろ過材が早い段階で目詰まりを引き起こすという問題がある。そのため、長時間に渡るろ過が必要であること、及び、該粒子を捕捉可能なろ過材を高頻度で交換する必要があることにより、実施者の負担が大きい。該粒子を捕捉可能なろ過材の目詰まりを回避するためには、原水に含まれる着色成分の濃度を低くする必要がある。しかしながら、原水に含まれる着色成分の濃度を、該粒子を捕捉可能なろ過材の目詰まりを回避可能な濃度に低くすると、透明な水と識別困難な程度に原水の色が薄くなってしまう。原水の色が薄いと、原水の色と浄水の色との差が伝わり難くなってしまい、浄水器の浄水能力を十分に提示することができないという問題が従来の方法にはある。また、牛乳、オレンジジュースはメーカ、製造時期、産地等によって含有する粒子成分が異なり、展示者の意図する状態を提示できないリスクがあり、このリスクを回避するための事前の確認の手間を要する問題もある。しかし、本発明の一態様によればこのような問題をも解決できる。また、特別な分析機器、専門的な技能、知識を用いなくても実施可能なので、より容易に浄水能力を提示できる。以下、本発明の一態様に係る浄水器の展示方法において、ろ過機能を有する浄水器を一例として説明するが、本発明はこれに限定されず、各種の浄水器に適用できる。特に、目の細かい精密ろ過膜等の展示方法として好適である。
【0012】
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法では、浄水カートリッジによる浄化効率を分かり易く視聴者に提示できるので、様々な浄化効率の浄水カートリッジを用いることができる。例えば、発光粒子の除去率が高い浄水カートリッジを用いてもよいし、発光粒子の除去率が低い浄水カートリッジを用いてもよい。発光粒子の除去率が高い浄水カートリッジを用いる場合には、浄水能力の高さを視聴者に分かり易く提示することができる。また、発光粒子の除去率が低い浄水カートリッジを用いる場合には、浄水能力の低さを視聴者に分かり易く提示することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る浄水器の展示方法は、発光粒子の除去率が異なる浄水カートリッジを用いてもよい。発光粒子の除去率が異なる浄水カートリッジを用いる場合、それぞれ異なる種類の浄水カートリッジを備える複数の浄水器を用いてもよく、同一の浄水カートリッジを備える浄水器を用いてもよい。同一の浄水カートリッジであっても発光粒子の種類によって除去率が異なることを視聴者に提示してもよいし、同一の発光粒子であっても浄水器の構成により除去率が異なることを視聴者に提示してもよい。同一の浄水器を用いるとは、1つの浄水器の経時的な劣化による発光粒子の除去率の変化を示すものであってもよいことを意図する。この場合、時系列ごとにろ過を実施した様子を撮影した動画又は静止画を視聴者に提示すればよい。なお、この場合に限らず、原水貯留槽に発光粒子を含む原水を供給し、原水を浄水カートリッジによって浄化した浄水を浄水貯留槽に供給する様子を撮影した動画及び静止画を視聴者に提示する方法も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0014】
それぞれ異なる種類の複数の浄水器を用いる場合、発光粒子の除去率が高い浄水カートリッジを備える浄水器と、発光粒子の除去率が低い浄水カートリッジを備える浄水器と、を用いてもよい。例えば、発光粒子の除去率が高い中空糸膜を備えた浄水カートリッジを備えた浄水器と、中空糸膜を備えていない浄水カートリッジを備えた浄水器とを並べて配置し、中空糸膜の有無による浄水器の浄水能力の差を視聴者に分かり易く提示してもよい。これにより、各浄水器の浄水能力の差を視聴者に分かり易く提示することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法では、具体的には、原水貯留槽に発光粒子を含む原水を供給すればよい。供給された原水は、浄水カートリッジによって浄化されて、浄水が浄水貯留槽に供給される。これにより、浄水カートリッジによって、原水に対してろ過等の浄化が行われて、中の発光粒子が浄水カートリッジによって原水から取り除かれると、浄水は原水より発光粒子の濃度が減少することになる。そのため、浄水より発せられる光は、原水より発せられる光よりも弱くなる(暗くなる)。
【0016】
〔発光粒子〕
発光粒子は可視光を発する粒子である。原水に発光粒子が含まれることにより、発光粒子の発光による原水に含まれる発光粒子の量と浄水に含まれる粒子の量の差を目視で分かり易く提示することができる。原水の発光強度に比べて浄水の発光強度が低いと見て取れる場合には、用いた浄水器が発光粒子を捕捉する浄化能力があることを視聴者に分かり易く提示することができる。
【0017】
発光粒子の粒径は適宜選択すればよい。例えば、中空糸膜を備える浄水カートリッジを備える浄水器の浄水能力を提示する場合は、粒径の小さい微粒子であることが好ましく、例えば、粒径が0.1μmよりも大きく、1mm以下であることが好ましい。また、微粒子の粒径は、例えば、鉄さび等を想定した大きさでもよく、マイクロプラスチックを想定した大きさでもよい。例えば、マイクロプラスチックを想定して5mm以下としてもよい。
【0018】
発光粒子の比重(セ氏4度の蒸留水を基準とした密度の比)は、浄水中に蛍光粒子が水面に浮かび上がらず、かつ、早期に沈降せずに、水中で均一に浮遊した状態を保てる観点から、1~2であることが好ましい。従来、着色成分で濁らせた原水を用いる方法として、鉄さび(酸化鉄(III)、弁柄)を用いる方法がある。しかし、鉄さびは比重が5.24であるため、ろ過中に沈殿してしまうため、原水を常に撹拌して処理水の色を維持するという手間を要したが、本発明の一態様によれば、このような手間が不要でより容易に浄水能力を提示できる。発光粒子の濃度を低くすることができることにより、浄水器の浄水能力を繰り返し(長時間)容易に提示することができる。また、鉄さびを用いる場合、原水に含まれる鉄さびの濃度を濃くしなければならないため、視聴者が水道水等の原水とは別物の液体と感じてしまう虞がある。本発明の一態様によれば、原水に含まれる発光粒子の濃度を低くすることができるため、紫外線照射前又は暗くする前は通常、透明な水に見えるため、上記の問題点を回避することができる。発光粒子を用いることにより、発光粒子を例えばマイクロプラスチックとして見立てて視聴者に提示することができる。
【0019】
発光粒子は、発光するものであればよく、例えば、不可視光である紫外線を照射することによって発光する蛍光粒子であってもよく、紫外線を照射しなくても暗所で発光する蓄光(夜光)粒子であってもよい。発光粒子が蛍光粒子及び蓄光粒子の少なくとも一方であることにより、視聴者が観察する範囲に発光粒子が発する光以外の余分な可視光が含まれないため、発光粒子が発する光をより鮮明に観察することができる。また、発光成分を粒子表面に塗布して得られる粒子であってもよい。
【0020】
発光粒子として蛍光粒子を用いる場合、蛍光粒子を蛍光発光させて、原水の蛍光発光強度と浄水の蛍光発光強度との差を可視化する観点から、光源が浄水器に紫外線を照射するものであることが好ましい。蛍光粒子としては、例えば、クリプトスポリジウムの模擬粒子であるクリプトレーサー(登録商標)、表面の少なくとも一部に、好ましくは表面全体に蛍光成分を塗布した粒子等が挙げられる。クリプトレーサーとしては、例えば、日本光研工業株式会社製クリプトレーサーM(粒径:3.1μm)、日本光研工業株式会社製クリプトレーサー1号(粒径:5μm)等が挙げられる。蛍光成分としては、例えば、アルミナ、サイアロン等のセラミック系のもの等が挙げられる。
【0021】
夜光粒子としては、例えば、表面の少なくとも一部に、好ましくは表面全体に蓄光(夜光)成分を塗布した粒子等が挙げられる。
【0022】
蛍光成分を塗布した粒子は、例えば、発光成分の比重及び粒子の比重を考慮して比重を上述した範囲に調整することができる。具体的には、例えば、比重が3~4であるアルミナ、サイアロン等のセラミック系の蛍光成分を用いる場合、比重が1前後の粒子を採用することにより、蛍光成分の比重を上述した範囲に調整することができる。
【0023】
発光粒子を含む原水が供給された原水貯留槽が、可視光下において、少なくとも一方向から透明となる原水及び原水貯留槽を用いることが好ましい。これにより、展示の際に用いる発光粒子を含む原水と、本発明の展示以外の場面で、普段、視聴者が目にしている、発光粒子を含まない水道水等の原水とが別体の液体であると感じさせないように、視聴者に提示することができる。そして、可視光下において原水が透明であることを視聴者に提示した後に、発光粒子を発光させることによって原水に含まれる発光粒子を視聴者に提示することができる。これにより、可視光下では透明であり発光粒子の存在を視認できなかった原水中に、実際は発光粒子が含まれていることをより容易に直感的に視聴者に視認させることができる。つまり、視聴者に、透明に見える水にも実は多くの粒子が含まれているということを直感的に分かり易く伝えることができる。
【0024】
なお、本明細書中において「透明」とは、自然光下(可視光下)において、背景を含めて、普段使用している水道水と比べて違和感の少ない透視度の水であり、見た目で濁りをほとんど感じさせない状態のものをいう。例えば、白色、灰色等の背景において、水道水、ボトル水等と、発光粒子を含む原水とが見た目で違和感が少ない場合も、「透明」である。
【0025】
一例として、水道水(日本国の水道水水質基準内の水)に、日本光研工業株式会社製クリプトレーサーM(粒径:3.1μm)を添加した原水が供給されたアクリル樹脂製の容器の可視光の透視度以上の可視光の透視度を有することを意図する。原水の透視度は例えば視聴者側から見る方向において容器の厚さ(奥行)方向が15cm以上であれば、透視度が15cm以上のものが挙げられる。また、透明となる方向は、視聴者が見る方向であればよい。つまり、発光粒子を含む原水が供給された原水貯留槽は、少なくとも視聴者が見ることができる方向から透明であればよい。より透明に見えるようにするには、上記透視度が、少なくとも視聴者が見ることができる方向において、浄水器の奥行の倍以上であることが好ましく、さらに良く見えるように、浄水器の奥行の3倍以上であることがより好ましい。具体的には、上記透視度は、少なくとも視聴者が見ることができる方向において、視聴者側から見る方向において容器の厚さ(奥行)方向以上であることが好ましい。以上のような透明な水とする一方で、当該水は、後述の通り紫外線を照射することで微粒子の存在が視認可能な程度に発光粒子を含有することが好ましい。これにより、視聴者にとって、自然光下(可視光下)においては、背景を含めて、水道水と見た目で違いが判らないが(つまり、視聴者に通常の水と異なるという違和感をあまり覚えさせず)、紫外線を照射することで、視聴者に微粒子の存在を視認可能とし、水道水中に含まれる微粒子を認識させることができる。
【0026】
〔選択工程〕
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法は、発光粒子を含む原水が供給された原水貯留槽が、可視光下において、少なくとも一方向から透明であるように、原水貯留槽の選択、発光粒子の種類の選択、及び発光粒子の濃度の選択のうち、少なくとも一つの選択工程を含むことが好ましい。例えば、展示する環境等に応じて、原水貯留槽の壁材の種類、発光粒子の種類、濃度を選択することによって、より視聴者に分かり易く展示する条件に調整することができる。原水貯留槽の壁材の種類とは、例えば、壁在の材質、厚さ等である。発光粒子の種類とは、例えば、材質、屈折率、粒径等である。
【0027】
また、例えば、水の屈折率と同程度の屈折率を有する発光粒子を用いる場合や、粒径の大きな発光粒子を用いる場合には、浄水カートリッジの発光粒子を捕捉可能なろ過材の目詰まりが起こらない程度にまで発光粒子の濃度を比較的高くすることができる。また、水の屈折率との差が比較的大きい屈折率を有する発光粒子を用いる場合や、粒径の小さな発光粒子を用いる場合には、そのような発光粒子の中でも発光強度の高い発光粒子を選択する。これにより、透明に見える濃度にまで低くしても原水の発光強度と浄水の発光強度との差が分かり易く視聴者に提示することができる。上述のように本発明の一態様によれば、原水に含まれる発光粒子の濃度を発光しない粒子を用いる従来の方法よりも低くすることができ、原水の発光強度を、視聴者が発光を容易に認識することができる程度とすることができる。また、例えば、浄水カートリッジのろ材として中空粒子を用い、その浄化効率の良さ及び寿命の長さを提示したい場合には、原水に含まれる発光粒子の濃度を、原水の発光強度を視聴者が見て取れる適切な強度にでき、原水の発光強度と浄水の発光強度との差が分かり易く、浄水カートリッジの中空糸膜の目詰まりを防ぎ、浄水カートリッジの交換頻度を低くできる程度に適宜調製すればよい。
【0028】
〔浄水器〕
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法で用いる浄水器は原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジとを備える。ここで、図1を用いて浄水器の展示装置100の構造を模式的に示す図であるについて説明する。図1は、浄水器の展示装置100の構造を模式的に示す図であり、本発明の一態様に係る浄水器の展示方法で用いる浄水器の一態様である浄水器1の構造も模式的に示されている。浄水器1は、図1に示すように、原水貯留槽2、浄水貯留槽3、浄水カートリッジ4及びOリング5を備えている。
(原水貯留槽)
原水貯留槽2は、原水を貯留するための槽である。原水貯留槽2には浄水カートリッジ4に原水を供給する部位である原水供給部21が設けられている。また、原水供給部21には、浄水カートリッジ4が取り付けられる。原水の浄化を行なうときは、図1に示すように原水供給部21は、原水貯留槽2の鉛直方向下側に位置することとなる。本発明の一態様に係る浄水器の展示方法によって展示を行なう者は、原水供給部21とは鉛直方向反対側に設けられた開口部22から原水を原水貯留槽2に供給することができる。本発明において、原水貯留槽2に原水を供給する態様は、本実施形態の態様には限定されない。なお、本実施の態様では浄水カートリッジ4は原水供給部21に取り付けられるが、本発明は、浄水カートリッジ4を原水貯留槽に取り付ける態様に限定されない。浄水カートリッジは浄水貯留槽に取り付けられてもよい。
【0029】
原水貯留槽2の原水供給部21側は、浄水カートリッジ4を取り付けることができ、浄水貯留槽3の浄水受け部31に取り付けることができる構造となっている。
【0030】
浄水器の原水貯留槽は、本実施形態に限定されず、例えば、その大きさ及び形状は、浄水カートリッジの大きさ及び形状に応じて適宜選択することができる。原水貯留槽の材質は、原水に含まれる発光粒子の発光の見易さの観点から、例えば、光透過性を有し、かつ、発光粒子と同じ光を発しないものであるとよい。発光粒子が紫外線を照射することによって発光する蛍光粒子である場合、原水貯留槽2の材質は、蛍光粒子を含まず、かつ、紫外線を吸収しないものであることが好ましい。上述した性質を有していれば、当然、浄水器の材質として従来公知の樹脂(例えば、アクリル樹脂)等も採用可能である。
【0031】
(浄水貯留槽)
浄水貯留槽3は浄水カートリッジ4によって浄化した水を供給するための槽である。浄水貯留槽3の浄水を受け入れる部位である浄水受け部31は、その内側に、原水貯留槽2の原水供給部21側の先端から一部の領域が入り込んで嵌合する形状となっている。これにより、浄水貯留槽3を鉛直方向下側に、原水貯留槽2を鉛直方向上側に配置した状態で接続することができる。また、本実施形態では浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付ける態様について説明しているが、本発明の一態様においては、浄水貯留槽に浄水カートリッジを取り付けてもよい。
【0032】
浄水器の浄水貯留槽は、本実施形態に限定されず、例えば、その大きさ及び形状は、浄水カートリッジの大きさ及び形状に応じて適宜選択することができる。浄水貯留槽3の材質は、浄水に含まれる発光粒子の発光の見易さの観点から、例えば、光透過性を有し、かつ、発光粒子と同じ光を発しないものであるとよい。発光粒子が紫外線を照射することによって発光する蛍光粒子である場合、浄水貯留槽3の材質は、蛍光粒子を含まず、かつ、紫外線を吸収しないものであることが好ましい。当該性質を有していれば、当然、浄水器の材質として従来公知の樹脂(例えば、アクリル樹脂)等も採用可能である。視聴者に、発光の前後の差が分かるように、原水貯留槽2及び浄水貯留槽3の材質の両方が上述した性質を有するとよい。
【0033】
(浄水カートリッジ)
浄水カートリッジは原水を浄化するための装置である。浄水カートリッジ4は、筐体41を備えている。筐体41内にはろ材(図示せず)が格納されている。また、筐体41には原水入口42、浄水出口43及び鍔部44が設けられている。原水入口42は原水を浄水カートリッジ4内に導入するための開口部である。浄水出口43はろ材を通過した水を浄水カートリッジ4外に出すための開口部である。浄水出口43から出た浄水は浄水貯留槽3に供給される。鍔部44は、浄水カートリッジ4を原水貯留槽2の原水供給部21に取り付けて、位置を固定するための部材である。浄水カートリッジ4に鍔部44が設けられていることにより、浄水カートリッジ4と原水貯留槽2との位置ずれ、浄水カートリッジ4の落下を防止することができる。
【0034】
浄水カートリッジ4には、原水入口42と鍔部44との間にOリング5が取り付けられている。Oリング5を取り付けた浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けることにより、水密性をより高めることができる。また、浄水カートリッジ4と原水貯留槽2との位置ずれ、浄水カートリッジ4の落下を防止することもできる。Oリング5は単数であっても複数であってもよい。Oリング5の材質としては、弾性を有する材料を適宜選択すればよく、例えばニトリルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムが挙げられ、中でも耐熱・耐寒性、難燃性、化学的安定性よりシリコーンゴムがより好ましい。
【0035】
筐体41の少なくとも一部、好ましくは視聴者に提示する側の材質は、ろ材が捕捉した発光粒子の発光の見易さの観点から、例えば、光透過性を有し、かつ、発光粒子と同じ光を発しないものであるとよい。発光粒子が紫外線を照射することによって発光する蛍光粒子である場合、筐体41の少なくとも一部、好ましくは視聴者に提示する側の材質は、蛍光粒子を含まず、かつ、紫外線を吸収しないものであることが好ましい。当該性質を有していれば、当然、浄水器の材質として従来公知の樹脂(例えば、アクリル樹脂)等も採用可能である。視聴者がろ材によって発光粒子が捕捉される様子が見て取れるため、浄水器の浄水能力をより分かり易く提示することができる。
【0036】
ろ材として、水の浄化のためのろ材として従来公知のものを採用すればよく、例えば、吸着剤、中空糸膜が挙げられる。
【0037】
吸着剤としては、例えば、粉末状吸着剤、この粉末吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤などが挙げられる。具体的に吸着剤としては、粉末状吸着剤、この粉末吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤などが挙げられる。このような吸着剤としては、例えば、天然物系吸着剤(天然ゼオライト、銀ゼオライト、酸性白土等)、合成物系吸着剤(合成ゼオライト、細菌吸着ポリマー、ヒドロキシアパタイト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、シリカアルミナゲル系吸着剤、多孔質ガラス、ケイ酸チタニウム等)などの無機質吸着剤;粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、押出成形活性炭、成形活性炭、分子吸着樹脂、合成物系粒状活性炭、合成物系繊維状活性炭、イオン交換樹脂(カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂)、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸収性樹脂、高吸水性繊維、吸油性樹脂、吸油剤などの有機系吸着剤等、公知のものが挙げられる。中でも、抗菌性のある銀添着活性炭を有することが望ましい。
【0038】
中空糸膜としては、種々の多孔質かつ管状の中空糸膜が使用でき、例えば、セルロース系、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)系、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ四弗化エチレン系、ポリビニリデンフロライド(PVDF)系、ポリカーボネイト系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系、等の各種材料からなるものが使用できる。中でも、中空糸膜の取扱性や加工特性等を考慮すると、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の中空糸膜が好ましい。浄水カートリッジ4は、吸着剤では捕捉することができない粒子を捕捉することができる観点から、中空糸膜を備えていることが好ましい。中空糸膜の細孔径の上限値は、微粒子を捕捉することができる観点から、0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。
【0039】
〔光源〕
光源は浄水器に紫外線を照射するための装置である。発光粒子として、紫外線等の光を照射されることによって発光する粒子を用いる場合には、光源を用いて浄水器に当該粒子が発光するための光を照射することが好ましい。例えば、紫外線によって発光する蛍光粒子を用いる場合には、紫外線を照射可能な光源を用いればよい。光源の大きさ、形状及び数は特に限定されず、浄水器の大きさ、形状及び数に応じて適宜選択することができる。
【0040】
発光粒子として紫外線が照射されることによって発光する蛍光粒子を用いる場合、光源が照射する紫外線の強度は、蛍光粒子を十分に発光させることができる程度に適宜調整すればよい。
【0041】
光源としては、例えば、LED、キノセンランプ、メタルハライドランプ、水銀キセノンランプ等の公知の光源を用いることができる。光源は、紫外線照射装置から光ファイバーによって導かれた光を発するものであってもよい。
【0042】
〔遮光部材〕
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法では、遮光部材を用いることが好ましい。遮光部材は浄水器の周囲の少なくとも一部を遮光するものである。遮光部材を用いることにより、発光粒子の発する光に対する周囲環境の光の影響を低減して、発光粒子の発光を見易くすることができる。遮光部材は、原水の発光、浄水の発光及び浄水カートリッジのろ材が捕捉した発光粒子の発光を視聴者に提示するために、浄水器の側方の一部が開口した形状であることが好ましい。遮光部材は浄水器の上方を覆っていることが好ましく、上記発光を視聴者に提示するための開口部を有する形状であることがより好ましい。遮光部材は、所定の照度以下に暗くして発光粒子の発光を見易くすることができれば、室内の壁であってもよく、室内の電気を消して浄水器を展示してもよい。遮光部材の材質は、遮光性を有するものであればよく、例えば、木製、金属製、布製等が挙げられるが、光源を遮光部材に取り付ける場合には、固定性の観点から、木製、金属製等の硬質のものであることが好ましい。
【0043】
遮光部材の内部の照度は、蛍光粒子の発光を視聴者に見易くすることができる程度に適宜調整すればよい。
【0044】
<浄水器の展示装置>
次に、本発明の浄水器の展示装置の一態様について、図1を用いて説明する。なお、本発明の一態様に係る浄水器の展示装置に係る説明は、これまで行なった説明に準じ、同じ説明は繰り返さない。
【0045】
図1は浄水器の展示装置100の構造を模式的に示す図である。本実施形態に係る浄水器の展示装置100は、図1に示すように、浄水器1、光源60及び遮光部材7を備えている。浄水器1については上述の通りである。
【0046】
〔光源〕
光源60は、浄水器1に光を照射するための光源である。本実施形態では、発光粒子として紫外線の照射によって光を発する蛍光粒子を用いる形態を想定している。光源60は遮光部材7の内側に取り付けられている。平板状の光源であれば、浄水器1の上方及び/又は下方に配置されていてもよい。光源60は、発光粒子の発光が視認し易い観点から、浄水器1の上方及び下方に配置されていることが好ましく、上方及び下方に加えて左右に設置されていることがより好ましい。なお、光源の配置は本実施形態に限定されず、浄水器と遮光部材との間に配置されていてもよい。
【0047】
光源60の数は浄水器1全体に紫外線を照射することができれば、単数であっても複数であってもよいが、複数であることが好ましい。光源60が2つである場合、図1に示すように、浄水器1の両側に設置されていることが好ましい。
【0048】
光源60は、例えば、図1に示すように、浄水器1の全体を照射できる浄水器1の長さ以上の長さを有する光源であってよい。また、蛍光粒子の発光を視聴者に見易くする観点から、一部分のみに光を照射するスポット照射光源61を併用してもよい。
【0049】
〔遮光部材〕
遮光部材7は、浄水器1の周囲環境の光を遮光するための部材である。これにより発光粒子の発する光への影響を低減することができる。遮光部材7は浄水器1を取り囲む形状であり、かつ、展示を視聴する者に見える方向が開口している形状である。
【0050】
〔展示装置を用いた展示方法〕
展示装置100を用いて、本発明の浄水器の展示方法を実施する態様について説明する。まず、浄水器1を遮光部材7に取り囲まれる位置であって、光源60による光が照射される位置に配置する。次に、光源60から光を浄水器1に照射する。次に、浄水器1の原水貯留槽2に発光粒子が含まれる原水を供給する。これにより、浄水カートリッジ4によって浄化された浄水が浄水貯留槽3に供給される。展示の視聴者は原水貯留槽2に残存する原水と浄水貯留槽3内の浄水の光の差から浄水カートリッジの性能を容易に視認できる。また、浄水カートリッジ4の筐体41が光透過性を有する場合には発光粒子がろ材に捕捉されていることから、発光粒子を原水から取り除いたろ材が光る状態を視認することもできる。
【0051】
浄水カートリッジによって浄化した浄水に、光を照射しても光らない場合、紫外線を照射していない、と視聴者が考える虞がある。光を照射しても光らないのは発光粒子がろ過されたことによるものであることを明確に示すために、紫外線の照射を受けることで発光する蛍光マーカー等のマーカー32を用いてもよい。マーカー32は、浄水貯留槽3の表面に張り付けてもよく、浄水貯留槽3内にマーカー32を入れておいてもよい。マーカー32が発光することで、視聴者に、光が浄水に確実に照射されていることを示すことができる。
【0052】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0053】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
<実施例1>
蛍光粒子として、日本光研工業株式会社製クリプトレーサーM(粒径:3.1μm)を用いて、紫外線照射(光源:UV-LEDライト9灯ブラックライトPW-UV943H-04(株式会社コンテック製、ピーク波長:375nm))の下、被処理水全体が蛍光を発して見える被処理水中のクリプトレーサーMの濃度を調べた。原水として水道水(日本国の水道水水質基準内の水)を用いた。1010個/LのクリプトレーサーMを、100倍希釈して、10個/Lに調製し、被処理水の濃度を2mg/Lとした。原水に、濃度が2mg/LとなるようにクリプトレーサーMを添加した結果、被処理水全体が蛍光を発している様子が観察された。また、クリプトレーサーMの濃度を2mg/Lに調製した被処理水300mLをアクリル製の容器に供給して当該容器の側面から目視にて観察したところ、自然光(光源:白色蛍光灯)の下では、水道水と比べ見た目において違和感無く、透明であった。なお、クリプトレーサーMの密度は1.2g/cmであることから、被処理水に観察用に添加したクリプトレーサーMの体積は1.7mm/Lであった。
【0055】
ついで、クリプトレーサーMの濃度を2mg/Lに調製した被処理水に紫外線を照射して蛍光を観察したところ、初期と変わらず被処理水全体が蛍光を発している様子が観察された。
【0056】
クリプトレーサーMを添加した上記被処理水1Lを、上段に原水貯留槽、下段に浄水貯留槽を有し、原水貯留槽の下部に細孔径が0.1μm以下の中空糸膜(EX270TH-25(三菱ケミカル株式会社製)、膜面積0.14m)を設けたカートリッジを取り付けた自重濾過型浄水装置を作成し、ろ過した。原水貯留槽及び浄水貯留槽は、直径10cmのアクリル樹脂製容器を使用した。中の濾材が見えるように、筐体が透明であり、吸着剤は充填せず、中空糸膜のみを備えた浄水カートリッジを展示用に作成して使用した。浄水カートリッジは原水貯留槽の下面に装着した。観察者側からは、原水及び浄水貯水槽の直径が最大の厚さ(奥行)であることから、被処理水の透視度は10cm以上であり、観察者側から浄水装置本体の奥行である10cm以上透き通って見えるように調製した。ろ過開始時に原水に紫外線を照射し、観察者に微粒子が混合していることを認識させ、ろ過後、浄水貯留槽に照射し、浄水カートリッジのろ過性能を観察者に視認させた。浄水貯留槽の処理水(ろ過水)を観察したところ、紫外線を照射しても透明に見えることを確認できた。なお、浄水器の上下それぞれに光源を設置するとことによって、視認し易かった。また、左右から照射すると、より視認し易かった。
【0057】
<比較例1>
着色粒子として、和光純薬株式会社製酸化鉄(III)を用いて、被処理水全体が着色して見える酸化鉄(III)の濃度を調べた。その結果、濃度が1000mg/Lとなるように酸化鉄(III)を添加したところ、被処理水全体が着色している様子が観察された。なお、酸化鉄(III)の密度は5.2g/cmであることから、被処理液に観察用に添加した微粒子の体積は192.3mg/Lであった。
【0058】
ついで、酸化鉄(III)の濃度を1000mg/Lに調製した被処理水の着色を観察したところ、初期に比べて全体的に薄く、容器の底に酸化鉄(III)が沈殿している様子が観察された。
【0059】
酸化鉄(III)を添加した上記被処理水1Lを、上記自重濾過型浄水器を用いてろ過した。浄水貯留槽の処理水(ろ過水)を観察したところ、透明であった。
【0060】
<付記事項>
以上のように本発明に一態様に係る浄水器の展示方法は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジと、を備える浄水器の展示方法であって、前記原水貯留槽に発光粒子を含む原水を供給し、前記原水を前記浄水カートリッジによって浄化した浄水を前記浄水貯留槽に供給する。
【0061】
また、発光粒子を含む原水が供給された原水貯留槽が、可視光下において、少なくとも一方向から透明となる原水及び原水貯留槽を用いることが好ましい。
【0062】
また、発光粒子を含む原水が供給された原水貯留槽が、可視光下において、少なくとも一方向から透明であるように、原水貯留槽の選択、発光粒子の種類の選択、及び発光粒子の濃度の選択のうち、少なくとも一つの選択工程を含むことが好ましい。
【0063】
また、前記発光粒子が、紫外線を照射することによって発光する蛍光粒子であることが好ましい。
【0064】
また、光源が、前記浄水器に前記紫外線を照射することが好ましい。
【0065】
また、前記発光粒子の除去率が異なる浄水カートリッジを用いることが好ましい。
【0066】
また、前記発光粒子の比重が1~2であることがより好ましい。
【0067】
また、遮光部材が、前記浄水器の周囲の少なくとも一部を遮光することが好ましい。
【0068】
また、本発明の一態様に係る浄水器の展示装置は、浄水器と、光源と、遮光部材と、を備える浄水器の展示装置であって、前記浄水器は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、浄水カートリッジと、を備え、前記光源は、紫外線を前記浄水器に照射するものであり、前記浄水器の周囲の少なくとも一部は、前記遮光部材によって遮光される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の一態様に係る浄水器の展示方法は、例えば、浄水器の浄水能力を示すための提示に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 浄水器
2 原水貯留槽
3 浄水貯留槽
4 浄水カートリッジ
7 遮光部材
60、61 光源
100 浄水器の展示装置
図1