(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20230126BHJP
B65D 55/02 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B65D41/34 100
B65D55/02
(21)【出願番号】P 2019025644
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】大森 慎二
(72)【発明者】
【氏名】杉山 尚
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-018290(JP,A)
【文献】特許第6061357(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0032402(US,A1)
【文献】特開2012-076771(JP,A)
【文献】特開2013-203440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/34
B65D 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部の外周面には雄螺条及び該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋であって、天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断橋絡部を介して該本体の該スカート壁に接続され、内周面には該係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されている筒状タンパーエビデント裾部とを含み、該係止手段は周方向に間隔をおいて配設され且つ該タンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する複数個の係止片又は周方向に連続して延在し且つ該タンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する環状の係止片から構成されており、該本体の該スカート壁には下方に突出する突出片が配設されており、そして更に該本体のスカート壁と該タンパーエビデント裾部とを接続し且つ該タンパーエビデント裾部に対する該本体の上方への移動を許容する非破断接続片が配設されて
おり、
該口頸部を開封する際には、開方向に回転せしめて該破断橋絡部が破断され、該本体が該口頸部から離脱され、そして、該本体が該非破断接続片を旋回支点として該口頸部から遠ざかる方向に旋回せしめられる合成樹脂製容器蓋において、
少なくとも該突出片が存在する角度領域の該係止片の先端には上方に延びる延出部が形成されており、該突出片が存在する角度領域に形成された該延出部は該口頸部に合成樹脂製容器蓋が装着された状態において該口頸部の該係止あご部と該突出片との間に位置
し、
該本体が該口頸部から離脱された後に、該本体が該非破断接続片を旋回支点として該口頸部から遠ざかる方向に旋回せしめられると、該突出片が該延出部を弾性的に乗り越えた後に復元して、該突出片の外側面が該延出部に当接せしめられる、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
該係止片の半径方向内側面には、該口頸部に合成樹脂製容器蓋を装着した状態において、該係止あご部の下方において半径方向内方に突出する係止突起が形成されてい
る、請求項1記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該延出部は該突出片が存在する角度領域以外においても形成されている、請求項1又は2記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項4】
該係止手段は周方向に間隔をおいて配設され且つ該タンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する複数個の係止片から構成されており、該延出部は該係止片の各々の周方向両側部に夫々形成されている、請求項1から3までのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項5】
該延出部の各々の半径方向外側面は、上方に向かって漸次半径方向外方に突出し、次いで上方に向かって漸次半径方向内方に後退する、請求項1から4までのいずれかに記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項6】
該延出部の各々の半径方向外側面における、上方に向かって漸次半径方向外方に突出する部位は縦断面において円弧状であり、上方に向かって漸次半径方向内方に後退する部位は縦断面において直線状である、請求項5記載の合成樹脂製容器蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口頸部の外周面には雄螺条及びこの雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用され、容器の口頸部を開封した後においても容器蓋の全体が容器の口頸部から分離されることがない、タンパーエビデント特性を備えた合成樹脂製容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
口頸部の外周面には雄螺条及びこの雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋として、下記特許文献1乃至3には、天面壁及びこの天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁を有し、スカート壁の内周面には口頸部の雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断橋絡部を介して該本体の該スカート壁に接続され、内周面には係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されている筒状タンパーエビデント裾部と、を含む形態の合成樹脂製容器蓋が開示されている。係止手段は周方向に間隔をおいて配設され且つタンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する複数個の係止片又は周方向に連続して延在し且つタンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する1個の係止片から構成されている。更に、本体のスカート壁には下方に突出する突出片が配設されており、突出片の周方向片側又は両側には、本体のスカート壁とタンパーエビデント裾部とを接続し且つタンパーエビデント裾部に対する本体の上方への移動を許容する非破断接続片が配設されている。
【0003】
上記のとおりの容器蓋を容器の口頸部に装着して口頸部を密封する際には、口頸部に容器蓋を被嵌して閉方向に回転し、容器蓋の雌螺条を口頸部の雄螺条に螺合せしめる。螺合の進行に応じて口頸部に対して容器蓋が下降され、タンパーエビデント裾部に形成されている係止手段は口頸部の係止あご部を弾性的に乗り越えてその下方に位置せしめられる。口頸部を開封する際には、容器蓋を開方向に回転せしめて口頸部の雄螺条と容器蓋の雌螺条との螺合を解除する。螺合の解除に応じて容器蓋の本体は口頸部に対して上昇されるが、タンパーエビデント裾部は係止手段が口頸部の係止あご部に係止することによって上昇が阻止され、従って破断橋絡部に応力が生成され破断橋絡部が破断される。破断橋絡部が破断された後に本体が上昇を続け、タンパーエビデント裾部から本体が上方に離隔されると、これに応じて非破断接続片が変形せしめられるが、非破断接続片が破断されることはなくタンパーエビデント裾部は口頸部に装着され続け、本体が口頸部から離脱された後においても本体は非破断接続片を介してタンパーエビデント裾部に接続させ続け、従って容器の口頸部から分離されることはない。容器蓋の本体が口頸部から離脱された後においては、非破断接続片の所定部位を旋回中心として容器蓋の本体が口頸部から離隔する方向に旋回される。そして、容器蓋の本体が所定角度を超えて旋回されると、スカート壁に形成されている突出片の先端部が口頸部の係止あご部を弾性的に乗り越えて係止あご部の上面側に位置し、これによって本体が口頸部に接近する方向に戻ることが阻止され、本体は口頸部から離隔した位置に保持され、口頸部が開封された状態に維持させる。突出片の先端部が係止あご部を弾性的に乗り越える際には、突出片が弾性的に変形し次いで弾性的に復元することに起因して音が発生され、これによって消費者は容器蓋の本体が所要開位置まで旋回されたことを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-18290号公報
【文献】特開2012-76771号公報
【文献】特開2014-31202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、近時における環境問題及び材料コスト削減の観点から包装容器の軽量化が要請され、容器蓋においても薄肉化と共に軸線方向寸法の低減が要請されている状況において、本発明者等の経験によれば、上記のとおりの従来の容器蓋には、特に口頸部の軸線方向長さが比較的短く、これに応じて容器蓋の軸線方向寸法が比較的短い(即ち上下方向高さは比較的低い)場合、口頸部を開封するために口頸部から離脱された本体を口頸部から離隔する方向に旋回し、これによって突出片の先端部が口頸部の係止あご部を弾性的に乗り越えて係止あご部の上側に位置する際に、容器蓋の軸線方向寸法が比較的短いことに起因して突出片の延出長さも比較的短くなってしまう故に、突出片と係止あご部との相互干渉量が過小になり、(1)突出片の先端部が一旦係止あご部の上側になった後に偶発的に突出片の先端部が係止あご部の下側に戻ってしまって本体が所要開位置に維持されない傾向がある、(2)突出片が係止あご部を弾性的に乗り越える際の音の発生が不充分で消費者は本体が所要開位置まで旋回されたことを認識することができないことが少なくない、という解決すべき問題があることが判明している。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器蓋の軸線方向長さが比較的短い場合でも、口頸部から離脱された本体が所要開位置まで旋回されると、本体はかかる開位置に充分確実に維持され、そしてまた本体が開位置に旋回される際には消費者が聴取することができる音が充分確実に発生される、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、少なくとも突出片が存在する角度領域において、口頸部に合成樹脂製容器蓋を装着した状態において口頸部の係止あご部とタンパーエビデント裾部との間に位置する延出部を係止片に形成することによって、主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、
口頸部の外周面には雄螺条及び該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋であって、天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断橋絡部を介して該本体の該スカート壁に接続され、内周面には該係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されている筒状タンパーエビデント裾部とを含み、該係止手段は周方向に間隔をおいて配設され且つ該タンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する複数個の係止片又は周方向に連続して延在し且つ該タンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する環状の係止片から構成されており、該本体の該スカート壁には下方に突出する突出片が配設されており、そして更に該本体のスカート壁と該タンパーエビデント裾部とを接続し且つ該タンパーエビデント裾部に対する該本体の上方への移動を許容する非破断接続片が配設されており、
該口頸部を開封する際には、開方向に回転せしめて該破断橋絡部が破断され、該本体が該口頸部から離脱され、そして、該本体が該非破断接続片を旋回支点として該口頸部から遠ざかる方向に旋回せしめられる合成樹脂製容器蓋において、
少なくとも該突出片が存在する角度領域の該係止片の先端には上方に延びる延出部が形成されており、該突出片が存在する角度領域に形成された該延出部は該口頸部に合成樹脂製容器蓋が装着された状態において該口頸部の該係止あご部と該突出片との間に位置し、
該本体が該口頸部から離脱された後に、該本体が該非破断接続片を旋回支点として該口頸部から遠ざかる方向に旋回せしめられると、該突出片が該延出部を弾性的に乗り越えた後に復元して、該突出片の外側面が該延出部に当接せしめられる、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0009】
好ましくは、該係止片の半径方向内側面には、該口頸部に合成樹脂製容器蓋を装着した状態において、該係止あご部の下方において半径方向内方に突出する係止突起が形成されている。該延出部は該突出片が存在する角度領域以外においても形成されているのが好適である。該係止手段は周方向に間隔をおいて配設され且つ該タンパーエビデント裾部に接続された基端から上方及び半径方向内方に延出する複数個の係止片から構成されており、該延出部は該係止片の各々の周方向両側部に夫々形成されているのが望ましい。該延出部の各々の半径方向外側面は、上方に向かって漸次半径方向外方に突出し、次いで上方に向かって漸次半径方向内方に後退するのが好適である。特に、該延出部の各々の半径方向外側面における、上方に向かって漸次半径方向外方に突出する部位は縦断面において円弧状であり、上方に向かって漸次半径方向内方に後退する部位は縦断面において直線状であるのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器蓋においては、突出片が存在する角度領域において、係止片の先端には口頸部に合成樹脂製容器蓋を装着した状態において口頸部の係止あご部と突出片との間に位置する延出部が形成されており、口頸部から離脱された本体が口頸部から離隔する方向に旋回される際には、突出片の先端部は口頸部の係止あご部と共にその半径方向外側に位置する延出部を弾性的に乗り越えることが必要であり、突出片の先端部は延出部によって干渉される。容器蓋の軸線方向長さが比較的短い場合でも、突出片の先端部と延出部の干渉が過小になることはなく、それ故、上下方向に見たときに、突出片の先端が一旦係止あご部の上側になった後に偶発的に突出片の先端が係止あご部の下側に戻ってしまうことが充分確実に防止され、容器蓋は所要開位置に充分確実に維持され、そしてまた、突出片が延出部を弾性的に乗り越える際には消費者が聴取することができる音が確実に発生される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に従って構成された構成された容器蓋の好適実施形態を示す正面図。
【
図2】
図1に示す容器蓋の一部を断面で示す正面図。
【
図4】
図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着した状態を、一部を断面で示す
右側面図。
【
図5】
図1の容器蓋の本体を容器の口頸部から離脱せしめるために本体を開方向に回転せしめて上昇せしめた開封操作中間状態を示す正面図。
【
図6】
図1の容器蓋の本体を、口頸部から離脱した後に口頸部から離隔する方向に幾分か旋回せしめた状態を、一部を切り欠いて示す側面図。
【
図7】
図1の容器蓋の本体を容器の口頸部から離脱した後に口頸部から離隔する方向に所定開位置まで旋回した状態を、一部を切り欠いて示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態について、更に詳述する。
【0013】
本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を図示している
図1乃至
図3を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形によって好都合に一体成形することができる、全体を番号2で示す容器蓋は、本体4とタンパーエビデント裾部6とを含んでいる。本体4は円形天面壁8とこの天面壁8の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁10を有する。天面壁8の内面には2条のシール突条、即ち内側環状突条12及び外側環状突条14が形成されている。スカート壁10の外周面にはそこに掛けられる指の滑りを防止するための凹凸16が繰り返し形成されている。スカート壁10の内周面には雌螺条18が形成されている。この雌螺条18には周方向に間隔をおいて切欠20が形成されている。タンパーエビデント裾部6は全体として円筒形状であり、後述する破断橋絡部及び一対の非破断接続片を介して本体4のスカート壁10に接続されている。タンパーエビデント裾部6の内周面には係止手段22が配設されている。図示の実施形態において、係止手段22は周方向に間隔をおいて形成された9個の弧状係止片24a乃至24iから構成されている。弧状係止片24a乃至24iの各々は、タンパーエビデント裾部6の内周面に接続された基端から軸線方向上方及び半径方向内方に延出せしめられている。図示の実施形態において係止手段22は周方向に間隔を置いて配設された9個の弧状係止片24a乃至24iから構成されているが、所望ならば周方向に連続して延在しタンパーエビデント裾部6の内周面に接続された基端から軸線方向上方及び半径方向内方に延出する環状の係止片から係止手段22を構成することもできる。
【0014】
本発明に従って構成された容器蓋2においては、少なくとも後述する突出片34が形成されている領域において、係止片24a乃至24iの先端から延出する延出部26が形成されていることが重要である。図示の実施形態においては、係止片24a乃至24iの各々において、周方向両側部から延出する矩形状の2個の延出部26が形成されている。
図2及び
図3と共に
図8を参照することによって明確に理解されるとおり、延出部26の各々の半径方向外側面は、上方に向かって漸次半径方向外側に突出し、次いで上方に向かって漸次半径方向内方に後退しているのが好ましい。そして更に、上方に向かって漸次半径方向外側に突出する部位26aは縦断面図において円弧状であり、上方に向かって漸次半径方向内側に後退する部位26bは、後に更に言及する如く突出片34が部位26bと協働して容器蓋2を所要開位置に確実に維持する観点から、縦断面図において直線状であるのが、殊に好ましい。延出部26の各々の半径方向内側面は平坦な面でよい。係止片24a乃至24iの各々の主部、即ち延出部26以外の部位の半径方向内側面には、半径方向内側に突出する係止突起28が形成されているのが望ましい。かかる係止突起28は上方に向かって漸次突出量が増大し、上面は実質上水平に延在するのが好適である。係止突起28の各々は係止片24a乃至24iの各々における周方向中央部、即ち上記延出部26が存在しない部分に形成されている。所望ならば、係止片24a乃至24iの各々の周方向全体に渡って係止突起28を形成することもできる。
【0015】
図1乃至
図3を参照して説明を続けると、番号30で示す特定領域において、本体4のスカート壁10の下端縁は他の領域の下端縁よりも上方に変位せしめられており、またタンパーエビデント裾部6の上端縁は他の領域の上端縁よりも下方に変位せしめられており、スカート壁10とタンパーエビデント裾部6との間には正面図において横長に延びる開口32が生成されている。開口32の周方向中央部において、スカート壁10にはその下端から下方に突出する略矩形状の突出片34が形成されている。
図1と共に
図8を参照することによって明確に理解される如く、突出片34は実質上垂直に垂下している。突出片34に対応して、タンパーエビデント裾部6には突出片34の突出端部を受け入れる、上方に開放した切欠36が形成されている。
【0016】
図1及び
図2に明確に図示するとおり、上記特定領域30においては、上記突出片34に隣接してその周方向両側に一対の非破断接続片38a及び38bが配設されている。図示の実施形態における非破断接続片38aは、スカート壁10の下端縁に接続された上端部40a、この上端部40aに続いて周方向片側(
図1及び
図2において右側)に実質上水平に延びる第一の傾動部42a、中間部44a、中間部44aに続いて第一の傾動部42aの下方を周方向他側(
図1及び
図2において左側)に実質上水平に延びてタンパーエビデント裾部6に接続されている第二の傾動部46aから構成されている。非破断接続片38bも、スカート壁10の下端縁に接続された上端部40b、この上端部40bに続いて周方向片側(
図1及び
図2において左側)に実質上水平に延びる第一の傾動部42b、中間部44b、中間部44bに続いて第一の傾動部42bの下方を周方向他側(
図1及び
図2において右側)に実質上水平に延びてタンパーエビデント裾部6に接続されている第二の傾動部46bから構成されている。所望ならば、非破断接続片38aにおける第一の傾動部42a及び第二の傾動部46a並びに非破断接続片38bにおける第一の傾動部42b及び第二の傾動部46bを実質上水平ではなく所定方向に傾斜せしめることもできる。
図1を参照することによって明確に理解される如く、非破断接続片38aと非破断接続片38bとは線対称ではなく構成要素の周方向寸法が幾分相違せしめられている(この理由については上記特許文献2の記載を参照されたい)。
【0017】
番号30で示す特定領域即ち突出片34並びに一対の非破断接続片3
8a及び3
8bが存在する領域以外の領域においては、タンパーエビデント裾部6を本体4のスカート壁10の下端に接続する複数個の破断橋絡部48が周方向に間隔をおいて複数個配設されている。図示の実施形態においては、スカート壁10の内面及びタンパーエビデント裾部6の内面に渡って軸線方向に延びる幅狭突条が周方向に間隔を置いて6個形成されており、かかる幅狭突条におけるスカート壁10とタンパーエビデント裾部6との間に位置する部分が破断橋絡部48を構成している(
図2を参照されたい)。所望ならば、一対の非破断接続片38a及び38bが存在する領域においても、例えば第一の傾動部42a及び42bとスカート壁10との間或いは第二の傾動部46a及び46bとタンパーエビデント裾部6との間に或いは突出片34とタンパーエビデント裾部6との間に破断橋絡部を配設することもできる。
【0018】
図4には、容器蓋2と共に容器の口頸部50も図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部50は全体として円筒形状であり、その上面は開口されている。口頸部50の外周面には、雄螺条52とこの雄螺条52の下方に位置する係止あご部54が形成されている。
【0019】
口頸部50に容器蓋2を装着して口頸部50を密封する際には、口頸部50に容器蓋2を被嵌して閉方向(
図4において上方から見て時計方向)に回転せしめ、口頸部50の雄螺条52に容器蓋2の雌螺条18を螺合せしめる。雄螺条52に対する雌螺条18の螺合の進行に応じて容器蓋2は口頸部50に対して漸次下降する。
図4に図示する状態まで口頸部50に対して容器蓋2が下降せしめられると、容器蓋2の本体4における天面壁8の内面に形成されている内側環状突条12及び外側環状突条14が夫々口頸部50の内周面及び外周面に密接せしめられ、これによって口頸部50が密封される。容器蓋2のタンパーエビデント裾部6の内周面に配設されている係止片24a乃至24iの各々における主部即ち延出部26以外の部分は、弾性的に変形して口頸部50の係止あご部54よりも下方に位置し、半径方向内側面に形成されている係止突起28の上面は係止あご部54の下面に対向して位置する。一方、係止片24a
及び24iの各々における延出部26
の片側部(係止片24aにおいては図3において左側部、係止片24iにおいては図3において右側部)は、本体4の
突出片34と口頸部50の係止あご部54との間に位置し、
突出片34の内周面と係止あご部54の外周面との間に位置している。
【0020】
口頸部50を開封する際には、容器蓋2を開方向(
図4において上方から見て反時計方向)に回転せしめ、口頸部50の雄螺条52に対する容器蓋2の雌螺条18の螺合を漸次解除する。螺合を漸次解除すると容器蓋2の本体4は開方向に回転せしめられると共に上昇せしめられるが、タンパーエビデント裾部6は係止片24a乃至24iの係止突起28の上面が口頸部50の係止あご部54の下面に係止して上昇が阻止され、これに起因して破断橋絡部48に相当な応力が生成され、破断橋絡部48が破断される。しかる後においては、容器蓋2の本体4は開方向への回転と共に上昇し、タンパーエビデント裾部6から上方に漸次離間せしめられる。
図4と共に
図5を参照することによって明確に理解される如く、タンパーエビデント裾部6から本体4が漸次上方に離間せしめられると、非破断接続片38aの第一の傾動部42a及び非破断接続片38bの第二の傾動部46bは夫々の中間部44a及び第二の傾動部46bの下端を中心として
図4及び
図5において時計方向に旋回、即ち時計方向に傾動され、一方非破断接続片38aの第二の傾動
部46a及び非破断接続片38bの第一の傾動部42bは夫々の下端及び上端を中心として
図4及び
図5において反時計方向に旋回、即ち反時計方向に傾動され、これに応じて非破断接続片38a及び38bにおける第一の傾動部42a及び42b並びに第二の傾動部46a及び46bの鉛直線に対する傾斜角度が漸次低減される。
図4及び
図5と共に
図6を参照することによって明確に理解される如く、口頸部50の雄螺条54に対する容器蓋2の雌螺条18の螺合が完全に解除されると、容器蓋2の本体4は口頸部50から離脱される。しかしながら、本体4は非破断接続片38a及び38bを介して、口頸部50に装着され続けているタンパーエビデント裾部6に接続され続けている故に、容器の口頸部50から離間されることはない。
【0021】
容器蓋2の本体4が口頸部50から離脱された後においては、非破断接続片38a及び38bの中間部44a及び44bを旋回支点として本体4を口頸部5
0から遠ざかる方向(
図6において時計方向)に旋回する。この際、図
6に示すとおり、突出片34は、その延出端が係止片24a及び24iの片側部(係止片24aにおいては
図3において
左側部、係止片24iにおいては
図3において右側部)に当接し、弾性的に変形して係止片24a及び24iの外側面に沿って上昇し、次いで係止片24a及び24iの延出部26(係止片24aにおいては
図3において左側の延出部26、係止片24iにおいては
図3において右側の延出部26)の外側面における円弧状の部位26aに沿って上昇する。しかる後に、突出片3
4は延出部26の円弧状の部位26aを乗り越え、
図7及び
図8に図示する如く、弾性的に復元して外側面が延出部26の直線状の部位26bに面接触状態で当接せしめられる。かくして容器蓋2の本体4は
図7及び
図8に図示する開位置に確実に保持される。また、突出片34が延出部26の円弧状の部位26aを乗り越えて弾性的に復元される際には音が生成される。本発明に従って構成された容器蓋2においては、本体4の突出片34は口頸部50の係止あご部54に直接的に作用するのではなくて、口頸部50の係止あご部54の外側に位置する係止片24a及び24iの延出部26に作用するので、開位置まで旋回された本体4は確実に開位置に保持される。突出片34が偶発的に延出部26の直線状の部位26bを乗り越え、本体4が
図7及び
図6において反時計方向に旋回されてしまうことはない。また、突出片3
4が延出部26の円弧状の部位26aを乗り越えて弾性的に復元する際には充分に大きく消費者が聴取することができる音が生成される。
【0022】
内容物の飲食を途中で中断した場合には、
図7に図示する位置に保持されている本体4を口頸部5
0に接近する方向(
図6及び
図7において反時計方向)に強制的に旋回せしめて再び口頸部50に被嵌し、そして容器蓋2を閉方向に回転せしめて口頸部50の雄螺条52に容器蓋2の雌螺条18を螺合せしめ、かくして容器蓋2を再び
図4に図示する状態に位置せしめ、口頸部50を仮密封することができる。
【0023】
以上、添付図面を参照して本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言を要しない。例えば、図示の実施形態においては、係止片24a乃至24iの各々の周方向両側部に延出部26を形成しているが、係止片24a乃至24iの各々の適宜の部位(例えば中央部或いは周方向に間隔をおいた複数個の部位)に1個或いは3個以上の延出部を形成することもでき、所望ならば係止片24a乃至24iの周方向幅と実質上同一の幅を有する1個の延出部を形成することもできる。また、図示の実施形態においては、係止片24a乃至24iの各々に延出部26を形成しているが、所望ならば特定の複数個の係止片のみに或いは突出片34が存在する角度領域に配置された係止片のみに延出部を形成することもできる。そしてまた、図示の実施形態においては、突出片34が存在する角度領域に2個の係止片24a及び24iが存在するが、突出片34が存在する角度領域に1個の係止片のみが存在する形態にして、かかる1個の係止片のみに延出部を形成することもできる。係止片が周方向に連続して延びる環状である場合も、突出片34が存在する角度領域に1個又は複数個の延出部を形成し、突出片34が存在する角度領域のみならずその他の角度領域にも渡って周方向に間隔をおいて複数個の延出部を形成し、或いは周方向に連続して延在する環状の延出部を形成することができる。更に、図示の実施形態においては、突出片34は単一片から構成されているが、複数個の片から突出片を構成することもでき、また単一片の突出端(下端)から基端(上端)に向かって延びる1個又は複数個のスリットを形成して複数個の部分に分割することもできる。また、図示の実施形態においては、突出片34の周方向両側に位置する2個の非破断接続片38a及び38bが配設されているが、1個或いは3個以上の被破断接続片を配設することもできる。
【符号の説明】
【0024】
2:容器蓋
4:本体
6:タンパーエビデント裾部
8:天面壁
10:スカート壁
18:雌螺条
22:係止手段
24a:係止片
24b:係止片
24c:係止片
24d:係止片
24e:係止片
24f:係止片
24g:係止片
24h:係止片
24i:係止片
26:延出部
34:突出片
38a:非破断接続片
38b:非破断接続片
48:破断橋絡部
50:口頸部
52:雄螺条
54:係止あご部