(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】走行制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230126BHJP
【FI】
G05D1/02 Y
(21)【出願番号】P 2019068572
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】江本 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕樹
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-131047(JP,A)
【文献】特開2017-126163(JP,A)
【文献】特開昭60-169912(JP,A)
【文献】特開平05-297943(JP,A)
【文献】特開2011-110952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両の走行制御システムであって、
前記運搬車両によって運搬される運搬対象物の重量に基づいて、前記運搬車両の走行を制御する制御装置を備え
、
前記制御装置は、前記運搬対象物の重量に基づいて、前記運搬車両の走行速度及び操舵量の少なくとも一方を制御し、
前記運搬対象物の重心位置を計測し、前記重心位置が所定の範囲内にない場合には偏心が発生しているとして偏心を検出する偏心検出部を更に備え、
前記制御装置は、前記偏心検出部により検出された前記偏心の度合いに基づいて、前記走行速度及び前記操舵量の少なくとも一方を制御する、
ことを特徴とする、走行制御システム。
【請求項2】
前記運搬対象物の重量を計測する重量計測部を更に備え、
前記制御装置は、前記重量計測部が計測した前記重量の情報を通信により受信して、前記受信した前記重量に基づいて前記運搬車両の走行を制御する、請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項3】
前記重量計測部は、前記運搬対象物の荷役を行う荷役装置により前記運搬対象物が持ち上げられた際に当該運搬対象物の重量を計測することを特徴とする、請求項2に記載の走行制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記運搬車両の走行速度が目標値になるように前記運搬車両の走行速度をフィードバック制御する速度制御部を備え、
前記速度制御部は、前記運搬対象物の重量に基づいて、前記フィードバック制御の制御ゲイン及び前記目標値の少なくともいずれかを調整することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の走行制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記運搬車両の移動経路を生成する移動経路生成部と、
前記移動経路生成部によって生成された前記移動経路に沿って
走行させるための操舵量目標値を算出し、前記運搬車両を走行させる追従制御部と、
を備え、
前記追従制御部は、前記運搬対象物の重量に基づいて、前記移動経路を走行するときの
前記操舵量目標値を調整することを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、コンテナを積載してコンテナヤード内を自律走行する運搬車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、自律走行を行うにあたり、自車両に積載されたコンテナに関して何も考慮されておらず、運搬車両の安全な走行を実現するには改善の余地がある。なお、このような問題はコンテナを運搬する運搬車両に限られた問題ではなく、種々の運搬対象物を運搬する運搬車両に共通する問題である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、運搬車両をより安全に走行させることが可能な走行制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、運搬車両の走行制御システムであって、前記運搬車両によって運搬される運搬対象物の重量に基づいて、前記運搬車両の走行を制御する制御装置を備えることを特徴とする、走行制御システムである。
【0007】
本発明の一態様は、上述の走行制御システムであって、前記運搬対象物の重量を計測する重量計測部を更に備え、前記制御装置は、前記重量計測部が計測した前記重量の情報を通信により受信して、前記受信した前記重量に基づいて前記運搬車両の走行を制御する。
【0008】
本発明の一態様は、上述の走行制御システムであって、前記重量計測部は、前記運搬対象物の荷役を行う荷役装置により前記運搬対象物が持ち上げられた際に当該運搬対象物の重量を計測する。
【0009】
本発明の一態様は、上述の走行制御システムであって、前記制御装置は、前記運搬対象物の重量に基づいて、前記運搬車両の走行速度及び操舵量の少なくとも一方を制御する。
【0010】
本発明の一態様は、上述の走行制御システムであって、前記運搬対象物の偏心を検出する偏心検出部を更に備え、前記制御装置は、前記偏心検出部により検出された前記偏心の度合いに基づいて、前記走行速度及び前記操舵量の少なくとも一方を制御する。
【0011】
本発明の一態様は、上述の走行制御システムであって、前記制御装置は、前記運搬車両の走行速度が目標値になるように前記運搬車両の走行速度をフィードバック制御する速度制御部を備え、前記速度制御部は、前記運搬対象物の重量に基づいて、前記フィードバック制御の制御ゲイン及び前記目標値の少なくともいずれかを調整する。
【0012】
本発明の一態様は、上述の走行制御システムであって、前記制御装置は、前記運搬車両の移動経路を生成する移動経路生成部と、前記移動経路生成部によって生成された前記移動経路に沿って前記運搬車両を走行させる追従制御部と、を備え、前記追従制御部は、前記運搬対象物の重量に基づいて、前記移動経路を走行するときの操舵量を調整する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、運搬車両をより安全に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る走行制御システムAの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る走行制御システムAが適用される運搬車両1の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る制御装置3の概略構成を示す図である。
【
図4】第2の実施形態に係る走行制御システムBの概略構成の一例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る制御装置3Bの概略構成を示す図である。
【
図6】第3の実施形態に係る走行制御システムCの概略構成の一例を示す図である。
【
図7】第3の実施形態に係る制御装置3Cの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る走行制御システムを、図面を用いて説明する。
【0016】
本発明の一実施形態に係る走行制御システムは、コンテナPを目的の場所に運搬する運搬車両の自律走行(自動走行ともいう。)を実現する走行制御システムである。ただし、本発明の走行制御システムは、自律走行に限定されず、運搬車両の遠隔操縦を可能とするシステムであってもよいし、運搬車両の運転手の運転を支援するシステムであってもよい。なお、走行制御システムを運搬車両に適用するにあたって、当該運搬車両が有人であるか、無人であるかは問わない。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る走行制御システムAの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、走行制御システムAは、運搬車両1に適用され、運搬車両1を自律走行させる。まず、本発明の一実施形態に係る運搬車両1について、
図2を用いて説明する。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る走行制御システムAが適用される運搬車両1の概略構成の一例を示す図である。
【0019】
運搬車両1は、運搬対象物を目的の場所へ運搬する車両である。例えば、運搬車両1は、湾や内陸地等のコンテナヤードにおいて、コンテナPを目的の場所へ運搬する車両である。本実施形態では、運搬車両1は、コンテナヤード内でのコンテナPを目的の場所に運搬するセミトレーラである場合について説明するが、本発明は、これに限定されない。例えば、運搬車両1は、フルトレーラであってもよいし、ダム堤体の施工や盛土工事に用いられる材料を運搬する工事車両であってもよい。なお、コンテナPは、本発明の「運搬対象物」の一例である。
【0020】
運搬車両1は、トレーラヘッド11(トラクタともいう。)及びシャーシ(トレーラともいう。)12を備える。
【0021】
トレーラヘッド11には、シャーシ12が連結されている。このトレーラヘッド11は、シャーシ12が連結されている状態で走行する。
【0022】
シャーシ12には、コンテナPが積載される。そして、シャーシ12は、コンテナPが積載された状態でトレーラヘッド11により牽引される。
このように、本実施形態に係る運搬車両1では、トレーラヘッド11とシャーシ12とが連結され、シャーシ12にコンテナPが積載された状態でトレーラヘッド11が走行することで、コンテナPを運搬することができる。
【0023】
図1に戻り、第1の実施形態に係る走行制御システムAについて、説明する。
走行制御システムAは、計測装置2及び制御装置3を備える。
【0024】
計測装置2は、運搬車両1によって運搬される運搬対象物のコンテナPの重量を計測する。本実施形態では、計測装置2は、コンテナPを吊り上げて、当該コンテナPを運搬車両1のシャーシ12に積載するクレーン(起重機)Lに設けられている。
ここで、本実施形態のクレーンLは、ガントリークレーンやトランスファークレーンである。なお、クレーンLは、本発明の「荷役装置」の一例である。
【0025】
計測装置2は、重量計測部21及び通信部22を備える。
重量計測部21は、クレーンLがコンテナPを吊り上げ当該コンテナPを運搬車両1のシャーシ12に積載する場合において、クレーンLがコンテナPを吊り上げた際の当該コンテナPの重量(以下、「コンテナ重量」という。)Wcを計測する。例えば、クレーンLのトロリから垂下されるロープの下端には、コンテナPを掴む吊具が連結されている。そして、クレーンLは、コンテナPの四隅に設けられた金具を、吊具で掴んで固定した状態でコンテナPを吊り上げてコンテナPを荷役する。そのため、本実施形態の重量計測部21は、吊具の四隅にかかる荷重に基づいてコンテナ重量Wcを計測することができる。
【0026】
通信部22は、制御装置3と有線又は無線で通信を行って情報を送受する。なお、本実施形態のように通信部22と制御装置3とが無線で通信する場合には、その通信方式は、無線通信できれば特に限定されず、公知の無線通信技術を用いて達成される。
この通信部22は、制御装置3と無線通信を行い、重量計測部21で計測されたコンテナ重量Wcを制御装置3に無線で送信する。
【0027】
制御装置3は、コンテナ重量Wcに基づいて、運搬車両1の走行速度及び操舵量の少なくとも一方を制御する。本実施形態では、制御装置3は、コンテナ重量Wcに基づいて、運搬車両1の走行速度を制御する場合について説明する。
以下に、第1の実施形態に係る制御装置3について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態に係る制御装置3の概略構成を示す図である。
【0028】
図3に示すように、制御装置3は、移動経路生成部31、自己位置取得部32、追従制御部33、速度制御部34、及び走行制御部35を備える。
【0029】
移動経路生成部31は、自装置が搭載された運搬車両1の移動経路を生成する。例えば、移動経路生成部31は、コンテナヤード内のコンテナPの運搬を管理する管理装置Mから、無線などでコンテナPをどこからどこに運ぶかを示す情報を取得する。例えば、移動経路生成部31は、コンテナヤード内の走行レーンにおいて、自装置が搭載された運搬車両1のスタート地点とゴール地点の情報を管理装置Mから取得する。そして、移動経路生成部31は、スタート地点からゴール地点までの移動経路Hを生成する。
【0030】
例えば、移動経路生成部31は、スタート地点とゴール地点の情報を、運搬車両1に搭載されたセンサ(レーザレンジファインダ等の距離センサ)やカメラ(例えば、CCDカメラ)などの環境認識手段(不図示)によって得られたローカルマップ(運搬車両1の周囲における2次元又は3次元の環境地図)上に重ね合わせ、障害物に衝突しない安全な移動経路Hを逐次生成してもよい。
【0031】
また、移動経路生成部31は、スタート地点及びゴール地点の他に、スタート地点からゴール地点までの間に経由する1以上の経由地点の情報を管理装置Mから取得し、スタート地点から出発して経由地点を経由してゴール地点に到着する移動経路Hを生成してもよい。すなわち、移動経路生成部31は、スタート地点、経由地点及びゴール地点の情報を、運搬車両1に搭載された上記環境認識手段によって得られたローカルマップ上に重ね合わせ、障害物に衝突しない安全な移動経路Hを逐次生成してもよい。
【0032】
さらに、移動経路生成部31は、コンテナヤード内の走行レーンにおいて、管理装置Mからスタート地点、経由地点及びゴール地点の情報を取得した場合には、運搬車両1が走行を開始する前に移動経路Hを生成してもよい。すなわち、移動経路生成部31は、コンテナヤード内の走行レーンにおいて、運搬車両1が次に経由する経由地点に向かうための移動経路を逐次生成するのではなく、運搬車両1が走行を開始する前に、走行レーンにおいてスタート地点から出発して経由地点を経由してゴール地点に到着する移動経路Hを生成してもよい。
ただし、本発明における移動経路Hの生成方法は、これに限定されない。すなわち、本発明では、運搬車両1の移動経路Hが求まればよく、その生成方法については特に限定されない。
【0033】
自己位置取得部32は、運搬車両1の現在位置Pの情報(以下、「位置情報」という。)を取得する。例えば、自己位置取得部32は、GPS(Global Positioning System)を用いることで、運搬車両1の位置情報をグローバル座標で取得してもよい。ただし、本発明はこれに限定されず、例えば、自己位置取得部32は、上記環境認識手段としての距離センサから得られた距離データ(点群データ)を用いて、ICPアルゴリズムを適用したスキャンマッチングを行うことにより、運搬車両1の位置情報を取得してもよい。また、自己位置取得部32は、走行レーンに埋め込んだRFIDや磁気センサなどを利用して自己位置を取得してもよい。すなわち、本発明では、自己位置取得部32における位置情報を取得方法には特に限定されず、種々の公知技術を用いて運搬車両1の位置情報を取得可能である。
【0034】
追従制御部33は、移動経路生成部31から移動経路Hを取得する。また、追従制御部33は、自己位置取得部32から運搬車両1の位置情報を取得する。そして、追従制御部33は、運搬車両1を移動経路Hに沿って走行させるための操舵量Rの目標値(以下、「操舵量目標値」という。)を演算する。すなわち、追従制御部33は、運搬車両1の位置情報が示す運搬車両1の現在位置Pが移動経路Hに沿うような操舵量Rの操舵量目標値を、移動経路Hに基づいて演算する。
【0035】
そして、追従制御部33は、運搬車両1の走行中において、現在の操舵量Rが操舵量目標値になるようなステアリングSTの指令値(以下、「ステアリング指令値」という。)を算出して走行制御部35に出力する。すなわち、追従制御部33は、運搬車両1の操舵量Rが操舵量目標値になるように運搬車両の操舵量をフィードバック制御する。なお、このフィードバック制御は、例えば、PI制御やPID制御である。
【0036】
速度制御部34は、コンテナPを運搬する前において、計測装置2の通信部22と無線通信を行い、重量計測部21が計測したコンテナ重量Wcを計測装置2から取得する。
【0037】
また、速度制御部34は、移動経路生成部31から移動経路Hを取得する。そして、速度制御部34、移動経路Hに基づいて、移動経路Hを走行する運搬車両1の走行速度Vの目標値(以下、「走行速度目標値」という。)を求める。例えば、速度制御部34は、移動経路Hの曲率を求め、その曲率に応じた走行速度目標値を求めてもよい。より具体的には、曲率が大きくなるにしたがって、走行速度目標値が低くなるように設定される。
また、速度制御部34は、移動経路Hの曲率を求め、その曲率が所定の閾値を超えない箇所の走行速度目標値を第1の走行速度として設定し、曲率が所定値を超える箇所の走行速度目標値を第1の走行速度Vよりも低い第2の走行速度に設定してもよい。
【0038】
さらに、速度制御部34は、運搬車両1の走行中において、自己位置取得部32から運搬車両1の位置情報を取得して、その位置情報に基づいて、運搬車両1の現在の走行速度Vを取得する。ただし、本発明は、走行速度Vの取得方法には特に限定されず、走行速度Vを取得できれば、種々な方法を用いることができる。例えば、速度制御部34は、位置情報だけでなくジャイロ等の情報も統合して走行速度Vを求めてもよい。さらに、速度制御部34は、エンコーダでタイヤの回転速度を直接計測することで、走行速度Vを取得してもよい。
そして、速度制御部34は、運搬車両1の走行中において、現在の走行速度Vが走行速度目標値になるようなアクセルACの指令値(以下、「アクセル指令値」という。)やブレーキBRの指令値(以下、「ブレーキ指令値」という。)を算出して走行制御部35に出力する。すなわち、速度制御部34は、運搬車両1の走行速度Vが走行速度目標値になるように運搬車両の走行速度Vをフィードバック制御する。なお、このフィードバック制御は、例えば、PI制御やPID制御である。
【0039】
ここで、速度制御部34は、コンテナ重量Wcに基づいて、上記フィードバック制御の制御ゲイン(以下、「速度制御ゲイン」という。)及び走行速度目標値の少なくともいずれかを調整する。例えば、速度制御部34は、コンテナ重量Wcに応じて走行速度目標値の変化率(加速度)の許容できる範囲(許容レンジ)を調整する。具体的には、速度制御部34は、コンテナ重量Wcが重くなるに従って、走行速度目標値の変化率(加速度)の許容レンジを連続的又は段階的に狭めるようにしてもよい。また、速度制御部34は、コンテナ重量Wcが閾値を超えた場合に走行速度目標値の変化率(加速度)の許容レンジを狭めるようにしてもよい。さらに、速度制御部34は、コンテナ重量Wcに応じて走行速度目標値の上限値(例えば、許容レンジの上限)を調整してもよい。例えば、速度制御部34は、コンテナ重量Wcが重くなるに従って走行速度目標値の上限値を連続的又は段階的に下げてもよい。また、速度制御部34は、コンテナ重量Wcが閾値を超えた場合に走行速度目標値の上限を下げてもよい。
また、速度制御部34は、コンテナ重量Wcに応じた速度制御ゲインや走行速度目標値に設定してもよい。より具体的には、走行速度目標値は、コンテナ重量Wcが重くなるようにつれて低くなるように設定されてもよい。また、速度制御部34は、コンテナ重量Wcが所定の閾値を超える場合には、走行速度目標値を所定の値だけ低くなるように設定してもよい。
【0040】
走行制御部35は、運搬車両1に搭載されているアクセルAC、ブレーキBR、及びステアリングSTのそれぞれの操作量を制御する、例えばアクチュエータである。具体的には、走行制御部35は、追従制御部33から出力されたステアリング指令値に基づいて、ステアリングSTの操舵を制御することで、ステアリングSTの操舵量が操舵量目標値になるように制御しながら運搬車両1を走行させることができる。
【0041】
また、走行制御部35は、速度制御部34から出力されたアクセル指令値に基づいてアクセルACを操作し、ブレーキ指令値に基づいてブレーキBRを操作することで、運搬車両1の走行速度Vを走行速度目標値で走行させることができる。
【0042】
次に、第1の実施形態に係る走行制御システムAの動作の流れを説明する。
運搬車両1に搭載されている制御装置3は、管理装置Mから少なくともスタート地点とゴール地点の情報を無線で受信する。そして、制御装置3は、運搬車両1をスタート地点に移動させる。運搬車両1がスタート地点に到着すると、制御装置3は、管理装置Mにその旨を通知する。管理装置Mは、運搬車両1がスタート地点に到着したことを制御装置3から通知されると、クレーンLに荷役の実行を無線で指示する。すると、クレーンLは、運搬車両1の運搬対象物であるコンテナPを吊り上げて運搬車両1に積載する。ここで、計測装置2は、クレーンLにコンテナPが吊り上げられている間において、当該コンテナPのコンテナ重量Wcを計測し、その計測したコンテナ重量Wcを制御装置3に無線送信する。
【0043】
制御装置3は、計測装置2からコンテナ重量Wcを受信すると、スタート地点からゴール地点までの移動経路Hにおける運搬車両1の自律走行を開始する。例えば、制御装置3は、上記環境認識手段で障害物を検知しながら、その障害物に運搬車両1が衝突しない移動経路Hを逐次生成する。そして、制御装置3は、生成した移動経路Hに沿って運搬車両1が移動するように、運搬車両1の操舵量や走行速度を制御する。ただし、運搬車両1における加速能力やブレーキ能力、操縦安定性等の車両特性は、運搬車両1の積載重量、すなわちコンテナ重量Wcによって変化する。
したがって、コンテナ重量Wcが重ければ、カーブでの減速が足りずに横転してしまう場合がある。しかしながら、コンテナ重量Wcが重いことを前提として運搬車両1の走行速度を制御しようとすると、実際にはコンテナ重量Wcが軽い場合には加速しすぎたり、減速しすぎてしまったりする場合がある。
【0044】
そこで、本実施形態では、アクセルAC又はブレーキBRの操作量を、コンテナ重量Wcに応じた値に制御することで、上記問題を解決している。例えば、制御装置3は、走行速度Vが走行速度目標値になるようにフィードバック制御しながら移動経路Hを自律走行させている場合において、走行速度目標値及び速度制御ゲインの少なくともいずれかをコンテナ重量Wcに応じた値に調整する。例えば、走行速度目標値や速度制御ゲインは、コンテナ重量Wcが重くなるにつれて連続的、又は不連続的(例えば、段階的)に減少するよう設定される。
【0045】
これにより、制御装置3は、運搬車両1の自律走行において、コンテナ重量Wcに応じて、アクセルACの操作量又はブレーキBRの操作量を制御するため、運搬車両1の横転や過度な加減速を抑制し、より安全に運搬車両1を走行させることできる。
【0046】
なお、制御装置3は、コンテナPの荷主から管理装置Mを介して当該コンテナPの重量の情報を受け取ってもよい。ただし、荷主から得られたコンテナPの重量と、実際のコンテナPの重量とが一致しない場合があるため、走行制御システムAはコンテナPの重量を計測する計測装置2を備えることがより好適である。
【0047】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態に係る走行制御システムBについて説明する。第2の実施形態に係る走行制御システムBは、第1の実施形態と比較して、運搬車両1の操舵量をもコンテナ重量Wcに応じて制御する点で相違し、その他の構成については第1の実施形態と同様である。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0048】
図4は、第2の実施形態に係る走行制御システムB及の概略構成の一例を示す図である。
図4に示すように、走行制御システムBは、計測装置2及び制御装置3Bを備える。
【0049】
制御装置3Bは、コンテナ重量Wcに基づいて、運搬車両1の走行速度及び操舵量の少なくとも一方を制御する。本実施形態では、制御装置3Bは、コンテナ重量Wcに基づいて、運搬車両1の走行速度及び操舵量の双方を制御する場合について説明する。
以下に、第2の実施形態に係る制御装置3Bについて、
図5を用いて説明する。
図5は、第2の実施形態に係る制御装置3Bの概略構成を示す図である。
【0050】
図5に示すように、制御装置3Bは、移動経路生成部31、自己位置取得部32、追従制御部33B、速度制御部34、及び走行制御部35を備える。
【0051】
追従制御部33Bは、移動経路生成部31から移動経路Hを取得する。また、追従制御部33Bは、自己位置取得部32から運搬車両1の位置情報を取得する。そして、追従制御部33Bは、運搬車両1の位置情報が示す運搬車両1の現在位置Pが移動経路Hに沿うような操舵量Rの操舵量目標値を、移動経路Hに基づいて演算する。
【0052】
追従制御部33Bは、運搬車両1の走行中において、現在の操舵量Rが操舵量目標値になるようステアリング指令値を算出して走行制御部35に出力する。すなわち、追従制御部33Bは、運搬車両1の操舵量Rが操舵量目標値になるように運搬車両の操舵量をフィードバック制御する。なお、このフィードバック制御は、例えば、PI制御やPID制御である。
【0053】
ここで、追従制御部33Bは、コンテナPを運搬する前において、計測装置2からコンテナ重量Wcを無線で受信する。そして、追従制御部33Bは、このコンテナ重量Wcに基づいて、上記フィードバック制御の制御ゲイン(以下、「操舵制御ゲイン」という。)及び操舵量目標値の少なくともいずれかを調整する。例えば、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcに応じた操舵制御ゲインや操舵量目標値に設定する。例えば、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcに応じて操舵量目標値の変化率の許容レンジを調整する。具体的には、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcが重くなるに従って、操舵量目標値の変化率の許容レンジを連続的又は段階的に狭めるようにしてもよい。また、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcが閾値を超えた場合に操舵量目標値の変化率の許容レンジを狭めるようにしてもよい。さらに、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcに応じて操舵量目標値の上限値(例えば、許容レンジの上限)を調整してもよい。例えば、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcが重くなるに従って操舵量目標値の上限値を連続的又は段階的に下げてもよい。また、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcが閾値を超えた場合に操舵量目標値の上限を下げてもよい。
さらに、操舵量目標値は、コンテナ重量Wcが重くなるようにつれて低くなるように設定されてもよい。また、追従制御部33Bは、コンテナ重量Wcが所定の閾値を超える場合には、操舵量目標値を所定の値だけ低くするように設定してもよい。
【0054】
次に、第2の実施形態に係る走行制御システムBの動作の流れを説明する。
第1の実施形態と同様に、運搬車両1に搭載されている制御装置3Bは、管理装置Mからスタート地点とゴール地点の情報を無線で受信する。そして、制御装置3Bは、運搬車両1をスタート地点に移動させる。運搬車両1がスタート地点に到着すると、制御装置3Bは、制御装置3Bにその旨を通知する。管理装置Mは、運搬車両1がスタート地点に到着したことを制御装置3Bから通知されると、クレーンLに荷役の実行を無線で指示する。すると、クレーンLは、運搬車両1の運搬対象物であるコンテナPを吊り上げて運搬車両1に積載する。ここで、計測装置2は、クレーンLにコンテナPが吊り上げられている間において、当該コンテナPのコンテナ重量Wcを計測し、その計測したコンテナ重量Wcを制御装置3Bに無線送信する。
【0055】
制御装置3Bは、計測装置2からコンテナ重量Wcを受信すると、スタート地点からゴール地点までの移動経路Hにおける運搬車両1の自律走行を開始する。例えば、制御装置3Bは、上記環境認識手段で障害物を検知しながら、その障害物に運搬車両1が衝突しない移動経路Hを逐次生成する。そして、制御装置3Bは、生成した移動経路Hに沿って運搬車両1が移動するように、運搬車両1の操舵量や走行速度を制御する。ただし、上述したように、運搬車両1における加速能力やブレーキ能力、操縦安定性等の車両特性は、運搬車両1の積載重量、すなわちコンテナ重量Wcによって変化する。
【0056】
そこで、本実施形態では、アクセルAC又はブレーキBRの操作量及びステアリングSTの操舵量を、コンテナ重量Wcに応じた値に制御することで、上記問題を解決している。例えば、制御装置3Bは、走行速度Vが走行速度目標値になるようにフィードバック制御しながら移動経路Hを自律走行させている場合において、走行速度目標値及び速度制御ゲインの少なくともいずれかをコンテナ重量Wcに応じた値に調整する。また、制御装置3Bは、操舵量Rが操舵量目標値になるようにフィードバック制御しながら移動経路Hを自律走行させている場合において、操舵量目標値及び操舵制御ゲインの少なくともいずれかをコンテナ重量Wcに応じた値に調整する。例えば、操舵量目標値及び操舵制御ゲインは、コンテナ重量Wcが重くなるにつれて連続的、又は不連続的(例えば、段階的)に減少するよう設定される。
【0057】
これにより、制御装置3Bは、運搬車両1の自律走行において、コンテナ重量Wcに応じて、アクセルACの操作量又はブレーキBRの操作量及びステアリングSTの操舵量を制御するため、運搬車両1の横転や過度な加減速を抑制し、より安全に運搬車両1を走行させることできる。
【0058】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態に係る走行制御システムCについて説明する。第3の実施形態に係る走行制御システムCは、第1の実施形態と比較して、コンテナPの偏心を検出する偏心検出部23を備える点で相違する。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0059】
図6は、第3の実施形態に係る走行制御システムCの概略構成の一例を示す図である。
図6に示すように、走行制御システムCは、計測装置2C及び制御装置3Cを備える。
【0060】
計測装置2Cは、運搬車両1によって運搬される運搬対象物の重量を計測するとともに、当該運搬対象物の偏心を検出する。本実施形態では、計測装置2Cは、第1の実施形態と同様に、クレーンLに設けられている。
【0061】
計測装置2Cは、重量計測部21、通信部22、及び偏心検出部23を備える。
偏心検出部23は、クレーンLがコンテナPを吊り上げた際に、当該コンテナPの重心位置Gcを計測する。例えば、本実施形態の偏心検出部23は、第1の実施形態において記載した吊具の四隅にかかる荷重に基づいて、コンテナPの重心位置Gcを計測する。そして、偏心検出部23は、計測した重心位置Gcが所定の範囲内にない場合には、コンテナPに偏心が発生していると判定して、コンテナPの偏心を検出する。
【0062】
通信部22は、制御装置3と無線通信を行い、重量計測部21で計測されたコンテナ重量Wcを制御装置3に無線で送信する。また、通信部22は、偏心検出部23でコンテナPの偏心が検出された場合には、コンテナPの重心位置Gcを制御装置3に無線で送信する。
【0063】
制御装置3Cは、コンテナ重量Wcに基づいて、運搬車両1の走行速度及び操舵量の少なくとも一方を制御する。さらに、制御装置3Cは、偏心検出部23によりコンテナPの偏心が検出された場合には、走行速度と操舵量との少なくともいずれかの上限を制限する。また、制御装置3Cは、偏心検出部23によりコンテナPの偏心が検出された場合には、その偏心の度合いを示す偏心率に基づいて、走行速度と操舵量との少なくともいずれか制御してもよい。
【0064】
以下に、第3の実施形態に係る制御装置3Cについて、
図7を用いて説明する。
図7は、第3の実施形態に係る制御装置3Cの概略構成を示す図である。
【0065】
図7に示すように、制御装置3Cは、移動経路生成部31、自己位置取得部32、追従制御部33C、速度制御部34C、及び走行制御部35を備える。
【0066】
追従制御部33Cは、追従制御部33Bと同様の機能を備える。すなわち、追従制御部33Cは、運搬車両1の位置情報が示す運搬車両1の現在位置Pが移動経路Hに沿うような操舵量Rの操舵量目標値を演算する。そして、追従制御部33Cは、運搬車両1の自律走行中において、現在の操舵量Rが操舵量目標値になるようステアリング指令値を算出して走行制御部35に出力する。すなわち、追従制御部33Cは、運搬車両1の操舵量Rが操舵量目標値になるように運搬車両の操舵量をフィードバック制御する。その際、追従制御部33Cは、コンテナ重量Wcに基づいて、操舵制御ゲイン及び操舵量目標値の少なくともいずれかを調整する。この調整方法は、第2の実施形態の追従制御部33Bと同様であるため、説明を省略する。
【0067】
また、追従制御部33Cは、計測装置2CからコンテナPの重心位置Gcを無線で取得した場合には、操舵量目標値の上限を制限する。例えば、追従制御部33Cは、計測装置2CからコンテナPの重心位置Gcを無線で取得した場合には、重心位置Gcから偏心率(偏心の度合い)を求め、操舵量目標値の上限値を偏心率に応じた値に設定する。ここで、例えば、操舵量目標値は、偏心率が高くなるにつれて、低くなるように設定されてもよい。また、追従制御部33Cは、操舵制御ゲインを偏心率に応じた範囲に設定してもよい。
【0068】
さらに、追従制御部33Cは、コンテナPの重心位置Gcから偏心方向を求めてもよい。そして、追従制御部33Cは、移動経路Hによって、その偏心方向とは逆方向にステアリングSTを切る必要がある場合には、その場合においてのみ操舵量目標値や操舵制御ゲインの上限を制限してもよい。
【0069】
速度制御部34Cは、速度制御部34と同様の機能を備える。すなわち、速度制御部34Cは、運搬車両1の自律走行中において、現在の走行速度Vが走行速度目標値になるようなアクセル指令値やブレーキ指令値を算出して走行制御部35に出力する。すなわち、速度制御部34Cは、運搬車両1の走行速度Vが走行速度目標値になるように運搬車両の走行速度Vをフィードバック制御する。その際、速度制御部34Cは、コンテナ重量Wcに基づいて、速度制御ゲイン及び走行速度目標値の少なくともいずれかを調整する。この調整方法は、第1の実施形態の速度制御部34と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
また、速度制御部34Cは、計測装置2CからコンテナPの重心位置Gcを無線で取得した場合には、走行速度目標値の上限を制限する。例えば、速度制御部34Cは、計測装置2CからコンテナPの重心位置Gcを無線で取得した場合には、重心位置Gcから偏心率を求め、走行速度目標値の上限値を偏心率に応じた値に設定する。ここで、走行速度目標値は、偏心率が高くなるにつれて、低くなるように設定される。また、速度制御部34Cは、速度制御ゲインを偏心率に応じた範囲に設定してもよい。
【0071】
さらに、速度制御部34Cは、コンテナPの重心位置Gcから偏心方向を求めてもよい。そして、速度制御部34Cは、移動経路Hによって、その偏心方向とは逆方向にステアリングSTが切られる場合には、その場合においてのみ走行速度目標値や速度制御ゲインの上限を制限してもよい。さらに、コンテナPが運搬車両1の走行方向の前方又は後方に偏心している場合には、速度制御部34Cは、減速又は加速をゆるやかになるように、走行速度目標値や速度制御ゲインを設定してもよい。
【0072】
次に、第3の実施形態に係る走行制御システムCの動作の流れを説明する。
第1の実施形態と同様に、運搬車両1に搭載されている制御装置3Cは、管理装置Mからスタート地点とゴール地点の情報を無線で受信する。そして、制御装置3Cは、運搬車両1をスタート地点に移動させる。運搬車両1がスタート地点に到着すると、制御装置3Cは、管理装置Mにその旨を通知する。管理装置Mは、運搬車両1がスタート地点に到着したことを制御装置3Cから通知されると、クレーンLに荷役の実行を無線で指示する。すると、クレーンLは、運搬車両1の運搬対象物であるコンテナPを吊り上げて運搬車両1に積載する。ここで、計測装置2Cは、クレーンLにコンテナPが吊り上げられている間において、当該コンテナPのコンテナ重量Wcを計測し、その計測したコンテナ重量Wcを制御装置3Cに無線送信する。さらに、計測装置2Cは、クレーンLにコンテナPが吊り上げられている間において、コンテナPの重心位置Gcを計測し、その計測した重心位置Gcが所定範囲を超える場合には、コンテナPの偏心を検出する。計測装置2Cは、コンテナPの偏心を検出した場合には、重心位置Gcを制御装置3Cに無線送信する。なお、計測装置2Cは、コンテナ重量Wc及び重心位置Gcを、運搬車両1がスタート地点からゴール地点に向かう前、例えば、コンテナPが運搬車両1に積載される前に、制御装置3Cに無線送信する。
【0073】
制御装置3Cは、計測装置2Cからコンテナ重量Wcを受信すると、スタート地点からゴール地点までの移動経路Hにおける運搬車両1の自律走行を開始する。例えば、制御装置3Cは、上記環境認識手段で障害物を検知しながら、その障害物に運搬車両1が衝突しない移動経路Hを逐次生成する。そして、制御装置3Cは、生成した移動経路Hに沿って運搬車両1が移動するように、運搬車両1の操舵量や走行速度を制御する。ただし、運搬車両1における加速能力やブレーキ能力、操縦安定性等の車両特性は、コンテナ重量WcやコンテナPの重心位置Gcによって変化する。
【0074】
そこで、本実施形態では、アクセルAC又はブレーキBRの操作量及びステアリングSTの操舵量を、コンテナ重量Wc及び重心位置Gcに応じた値に制御することで、上記問題を解決している。例えば、制御装置3Cは、走行速度Vが走行速度目標値になるようにフィードバック制御しながら移動経路Hを自律走行させている場合において、走行速度目標値及び速度制御ゲインの少なくともいずれかをコンテナ重量Wc及び重心位置Gcに応じた値に調整する。
【0075】
例えば、速度制御部34Cは、予め設定された計算式やテーブルに基づいて走行速度目標値及び速度制御ゲインの少なくともいずれかを決定してもよい。これら計算式やテーブルは、例えば、コンテナ重量Wcと重心位置Gcとに基づいて、走行速度目標値及び速度制御ゲインの少なくともいずれかを決定できるように、実験的又は理論的に定められている。予め設定されたテーブルを用いる場合には、各コンテナ重量Wcと、各重心位置Gcと、そのコンテナ重量Wcと重心位置Gcとの組み合わせ毎に関連付けられた走行速度目標値及び速度制御ゲインとを備えるルックアップテーブルを不図示の記憶部に予め記憶されていてもよい。そして、速度制御部34Cは、計測装置2Cから受信した重心位置Gc及びコンテナ重量Wcに対応する走行速度目標値及び速度制御ゲインの少なくともいずれかを上記ルックアップテーブルから取得してもよい。
【0076】
また、制御装置3Cは、操舵量Rが操舵量目標値になるようにフィードバック制御しながら移動経路Hを自律走行させている場合において、操舵量目標値及び操舵制御ゲインの少なくともいずれかをコンテナ重量Wc及び重心位置Gcに応じた値に調整する。
【0077】
例えば、追従制御部33Cは、予め設定された計算式やテーブルに基づいて操舵量目標値及び操舵制御ゲインの少なくともいずれかを決定してもよい。これら計算式やテーブルは、例えば、コンテナ重量Wcと重心位置Gcとに基づいて、操舵量目標値及び操舵制御ゲインの少なくともいずれかを決定できるように、実験的又は理論的に定められている。予め設定されたテーブルを用いる場合には、各コンテナ重量Wcと、各重心位置Gcと、そのコンテナ重量Wcと重心位置Gcとの組み合わせ毎に関連付けられた操舵量目標値及び操舵制御ゲインとを備えるルックアップテーブルを不図示の記憶部に予め記憶されていてもよい。そして、追従制御部33Cは、計測装置2Cから受信した重心位置Gc及びコンテナ重量Wcに対応する操舵量目標値及び操舵制御ゲインの少なくともいずれかを上記ルックアップテーブルから取得してもよい。
【0078】
これにより、制御装置3Cは、運搬車両1の自律走行において、コンテナ重量Wc及び重心位置に基づいて、アクセルACの操作量又はブレーキBRの操作量及びステアリングSTの操舵量を制御するため、運搬車両1の横転や過度な加減速を抑制し、より安全に運搬車両1を走行させることできる。
【0079】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0080】
(変形例1)上記第1の実施形態から第3の実施形態では、計測装置2,2Cは、クレーンLによりコンテナPが吊り上げられている場合にコンテナPの重量を計測したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、計測装置2、2Cは、運搬車両1により運搬されるコンテナPの重量を計測できればよく、その計測方法には特に限定されない。例えば、計測装置2,2Cは、大型の台秤であって、コンテナヤードの所定の地表面(例えば、スタート地点の地面)に設けられてもよい。この場合には、上記実施形態の制御装置が、コンテナPが積載された運搬車両1(例えば、シャーシ12)を自律走行させて上記所定の地表面まで移動させる。そして、計測装置2,2Cは、コンテナPが搭載された運搬車両1の重量を計測し、その計測した重量から運搬車両1のみの重さを差し引くことで、コンテナPの重量を計測することができる。なお、運搬車両1のみの重さは、予め計測しておいてもよいし、運搬車両1の仕様から取得してもよい。
さらに、例えば、計測装置2,2Cは、シャーシ12に設けられ、シャーシ12にコンテナPが積載された際にそのコンテナPの重量を計測してもよい。この場合には、計測装置2,2Cは、有線でコンテナ重量Wcを制御装置に送信してもよい。
【0081】
(変形例2)上記第1の実施形態から第3の実施形態では、制御装置は、計測装置と無線通信を行い、コンテナ重量Wcや重心位置Gcを直接受信したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記第1の実施形態から第3の実施形態に係る制御装置は、計測装置が計測したコンテナ重量Wcや重心位置Gcを、管理装置Mやその他の装置を介して取得してもよい。例えば、管理装置Mは、計測装置が計測したコンテナ重量Wcや重心位置Gcを有線又は無線で取得し、その取得したコンテナ重量Wcや重心位置Gcの情報を、運搬車両1に搭載された制御装置に有線又は無線で送信してもよい。
【0082】
(変形例3)上記第3の実施形態において、移動経路生成部31は、コンテナPの偏心(左右の偏心)が検出された場合には、運搬車両1の横転の危険性を回避すべく、その偏心方向の逆向きにステアリングSTを切る回数が最も少ない移動経路Hを生成してもよい。
【0083】
(変形例4)上記第1の実施形態から第3の実施形態では、クレーンLによりコンテナPの荷役を行ったが、本発明はこれに限定されず、フォークリフト等を用いてコンテナPの荷役を行ってもよい。
【0084】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る走行制御システムは、運搬車両1によって運搬されるコンテナPの重量に基づいて、運搬車両1の走行を制御する制御装置を備える。
【0085】
このような構成によれば、運搬車両1の過度な加減速や横転を抑制することが可能となり、運搬車両1をより安全に走行させることが可能となる。
【0086】
また、本発明の一実施形態に係る走行制御システムは、コンテナPの重量(コンテナ重量Wc)を計測する計測装置を更に備えてもよい。そして、制御装置は、その計測装置が計測したコンテナ重量Wcを無線通信により受信して、その受信したコンテナ重量Wcに基づいて運搬車両1の走行を制御してもよい。
【0087】
このような構成によれば、コンテナ重量Wcを正確に取得することができる。
【0088】
また、本発明の一実施形態に係る走行制御システムでは、計測装置は、コンテナPの荷役を行う荷役装置によりコンテナPが持ち上げられた際に当該コンテナPの重量であるコンテナ重量Wcを計測してもよい。
【0089】
このような構成によれば、コンテナPを運搬車両1に積載するときにコンテナPの重量を計測することが可能となり、効率的である。
【0090】
また、本発明の一実施形態に係る走行制御システムでは、コンテナPの偏心を検出する偏心検出部を更に備え、制御装置は、偏心検出部によりコンテナPの偏心が検出された場合には、走行速度V及び操舵量Rの少なくともいずれかの上限を制限してもよい。さらに、上記制御装置は、偏心検出部により検出された偏心の度合いに基づいて、走行速度V及び操舵量Rの少なくとも一方を制御してもよい。なお、この制御とは、走行速度V及び操舵量Rの少なくともいずれかの上限を制限することを含む。
【0091】
このような構成によれば、コンテナPの偏心による運搬車両1の横転を抑制することができる。
【0092】
また、本発明の一実施形態に係る走行制御システムでは、制御装置は、運搬車両1の走行速度Vが目標値(走行速度目標値)になるように運搬車両1の走行速度Vをフィードバック制御する速度制御部を備え、この速度制御部は、コンテナPの重量に基づいて、フィードバック制御の制御ゲイン(速度制御ゲイン)及び走行速度目標値の少なくともいずれかを調整してもよい。
【0093】
このような構成によれば、運搬車両1の走行速度Vを抑制し、運搬車両1をより安全に走行させることができる。
【0094】
また、本発明の一実施形態に係る走行制御システムでは、運搬車両1の移動経路Hを生成する経路生成部と、その経路生成部によって生成された移動経路Hに沿って運搬車両1を走行させる追従制御部と、を備える。そして、その追従制御部は、コンテナ重量Wcに基づいて、移動経路Hを走行するときの操舵量Rを調整してもよい。
【0095】
このような構成によれば、運搬車両1の急激なステアリング操作(単位時間あたりの操舵量)を抑制し、運搬車両1をより安全に走行させることができる。
【符号の説明】
【0096】
A,B,C 走行制御システム
P コンテナ(運搬対象物)
L クレーン(荷役装置)
1 運搬車両
2 計測装置
3 制御装置
21 重量計測部
31 移動経路生成部
33,33B,33C 追従制御部
34,34C 速度制御部