(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ターボ機械用ベント式軸受リテーナー
(51)【国際特許分類】
F16C 35/077 20060101AFI20230126BHJP
F01D 25/16 20060101ALI20230126BHJP
F02C 7/06 20060101ALI20230126BHJP
F16C 27/06 20060101ALI20230126BHJP
F16C 19/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
F16C35/077
F01D25/16 B
F02C7/06 Z
F16C27/06 B
F16C19/00
(21)【出願番号】P 2019540577
(86)(22)【出願日】2018-01-26
(86)【国際出願番号】 US2018015350
(87)【国際公開番号】W WO2018140665
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-14
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ダグラス・ケリー
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-86561(JP,A)
【文献】実公昭34-10604(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0095163(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0076124(US,A1)
【文献】特開2014-5728(JP,A)
【文献】特開2003-239955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 35/00-39/06,43/00-43/08
F16C 21/00-27/08
F16C 19/00-19/56,33/30-33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ころ軸受と共に使用するための軸受リテーナー部材であって、前記軸受リテーナー部材は、
外面及び内面を有する円形の軸方向に延びる環状壁部材、及び
、
前記環状壁部材に取り付けられた半径方向に延びる壁フランジ部材であって、ガスの通過のための少なくとも1つの貫通開口を有する前記壁フランジ部材、及び
、
前記円形の軸方向に延びる環状壁部材の前記内面内の少なくとも1つの溝とを含み、
当該溝は前記少なくとも1つの貫通開口と連通し、
前記ころ軸受は前記軸受リテーナー部材内に取り付けられ、かつ前記軸受リテーナー部材の軸方向側面間に亘って圧力差は均等にされる、
軸受リテーナー部材。
【請求項2】
複数の貫通開口が前記壁フランジ部材内に提供される、請求項1に記載の軸受リテーナー部材。
【請求項3】
複数の溝が、前記円形の軸方向に延びる壁部材の前記内面内に提供される、請求項1に記載の軸受リテーナー部材。
【請求項4】
ころ軸受と共に使用するための軸受リテーナー部材であって、前記軸受リテーナー部材は、
外面及び内面を有する円形の軸方向に延びる環状壁部材、及び
、
前記環状壁部材に取り付けられた半径方向に延びる壁フランジ部材であって、ガスの通過のための少なくとも1つの貫通開口を有する前記壁フランジ部材、及び
、
前記環状壁部材の前記内面内の少なくとも1つの溝とを含み、
当該溝は前記貫通開口と連通し、
前記少なくとも1つの貫通開口及び前記少なくとも1つの溝は、実質的に軸方向に整列され、前記貫通開口及び前記溝は、単回の機械加工動作で形成され得る、軸受リテーナー部材。
【請求項5】
前記外面上に円周方向に提供された少なくとも1つのOリング溝をさらに含む、請求項1に記載の軸受リテーナー部材。
【請求項6】
ころ軸受メカニズム及び軸受リテーナー部材を含むころ軸受アセンブリーであって
、
前記ころ軸受メカニズムは
、
内輪部材と
、
外輪部材と
、
前記内輪部材と外輪部材との間に位置決めされた複数のころ部材を含み
、
前記軸受リテーナー部材は
、
外面及び内面を有する円形の軸方向に延びる環状壁部材と
、
前記環状壁部材に取り付けられた半径方向に延びる壁フランジ部材であって
、ガスの通過のための少なくとも1つの貫通開口を有する前記壁フランジ部材と、
少なくとも1つの貫通開口と連通し、前記円形の軸方向に延びる環状壁部材の前記内面内の少なくとも1つの溝とを含み、
前記ころ軸受メカニズムは、前記軸受リテーナー部材内に取り付けられ、かつ前記ころ軸受アセンブリーの軸方向側面間の圧力差は均等になることができる、ころ軸受アセンブリー。
【請求項7】
複数の貫通開口が前記壁フランジ部材内に提供される、請求項6に記載のころ軸受アセンブリー。
【請求項8】
複数の溝が前記円形の軸方向に延びる壁部材の前記内面内に提供される、請求項6に記載のころ軸受アセンブリー。
【請求項9】
ころ軸受メカニズム及び軸受リテーナー部材を含むころ軸受アセンブリーであって
、
前記ころ軸受メカニズムは
、
内輪部材と
、
外輪部材と
、
前記内輪部材と外輪部材との間に位置決めされた複数のころ部材
と、
を含み
、
前記軸受リテーナー部材は
、
外面及び内面を有する円形の軸方向に延びる環状壁部材と
、
前記環状壁部材に取り付けられた半径方向に延びる壁フランジ部材であって、ガスの通過のための少なくとも1つの貫通開口を有する前記壁フランジ部材と
、
前記環状壁部材の前記内面内の少なくとも1つの溝とを含み
、
当該溝は前記貫通開口と連通し、
前記ころ軸受メカニズムは、前記軸受リテーナー部材内に取り付けられ、前記ころ軸受アセンブリーの軸方向側面間の圧力差は均等になることができ、
前記少なくとも1つの貫通開口及び前記少なくとも1つの溝は、実質的に軸方向に整列され、前記貫通開口及び前記溝は、単回の機械加工動作で形成され得る、ころ軸受アセンブリー。
【請求項10】
前記外面上に円周方向に提供された少なくとも1つのOリング溝と、前記溝内に位置決めされたOリングとをさらに含む、請求項6に記載のころ軸受アセンブリー。
【請求項11】
ハウジング部材を有するターボ機械をさらに含み、少なくとも1つのころ軸受アセンブリーが前記ハウジング部材内に位置決めされる、請求項6に記載のころ軸受アセンブリー。
【請求項12】
内燃機関用の強制誘導装置であって、
ハウジング;
前記ハウジング内に配置されたインペラー部材;
前記インペラー部材が結合され、前記ハウジングを介して延びるシャフト;及び
前記シャフトに結合された軸受アセンブリーを含み
、
当該軸受アセンブリーは、半径方向に柔軟な方式で前記ハウジングに結合され
、
前記軸受アセンブリーは
リテーナー部材を有し、
当該リテーナー部材には
、半径方向に延びる壁フランジ部材
と外面及び内面を有する円形の軸方向に延びる環状壁部材とが設けられ
、
当該壁フランジ部材は、前記軸受アセンブリーの各側面への圧力をバランシングするための少なくとも1つの貫通開口を有
し、
前記環状壁部材の前記内面内の少なくとも1つの溝は前記貫通開口と連通している、強制誘導装置。
【請求項13】
前記軸受アセンブリーは、
前記リテーナー部材及びその中に収容された
軸受部材を含み、前記
リテーナー部材は、前記ハウジングに結合され、これらの間には、環状減衰部材が半径方向に圧縮され、前記リテーナー
部材は、前記
軸受部材に向かって半径方向の内側に
延びる前記貫通開口を含み、かつ前記
軸受部材の各側面に対する圧力をバランシングする、請求項12に記載の強制誘導装置。
【請求項14】
前記環状減衰部材は、少なくとも1つのOリング部材または金属構造ダンパー部材のいずれかである、請求項13に記載の強制誘導装置。
【請求項15】
前記強制誘導装置は、タービンターボ機械または圧縮機ターボ機械のいずれかである、請求項13に記載の強制誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械用軸受に関し、より詳細には、ころ軸受用リテーナー及びアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、ローターと流体との間でエネルギーを伝達し、タービンと圧縮機の両方を含む。タービンは流体からローター(インペラー)にエネルギーを伝達する一方、圧縮機はローター(インペラー)から流体にエネルギーを伝達する。一般に、開放型及び閉鎖型ターボ機械がある。プロペラ、風車、及びシュラウドなしファンのような開放型機械は、無限大の流体として作動し、一方、閉鎖型機械は、流体がハウジングまたはケーシングを通過する際に有限量の流体に作動する。ターボ機械はまた、軸流機械または半径(遠心)流機械であるかによって分類される。
【0003】
圧縮機ターボ機械及びタービンターボ機械は、典型的に、一端部にインペラーがある本体またはハウジング内に配置された回転シャフトを含む。シャフトの回転は、インペラーの回転を引き起こし、それは次に、インペラーが流体の流れを圧縮または容易にする。シャフトが自由に回転することを可能にするために、ころ軸受のような軸受が提供される。
【0004】
正しい潤滑は、軸受の性能と寿命にとって重要である。永久的に潤滑される軸受の場合には、軸受から潤滑油を押し出す可能性がある圧力差(pressure differentials)を均等にすることも必要である。リテーナー部材は、軸受からの潤滑油の損失を防止するのを助けるだけでなく、汚染物が軸受に侵入することを防止し、それらの性能及び耐久性を低下させるのを防止するのに使用され得る。
【0005】
高速ターボ機械の場合には、ころ軸受または軸受リテーナーの外輪(outer race)がシャフト及びインペラーと同じ速度で回転するのを防止し、それらの持続時間及び性能を増加させることも重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、潤滑油の保持が改善されるだけでなく、アセンブリーの耐久性及び寿命が改善される、永久潤滑型軸受(permanently lubricated bearing)のための改善された保持部材、及び永久潤滑型軸受と改善された保持部材のアセンブリーを提供することである。本発明の他の目的は、改善されたころ軸受及びリテーナーアセンブリーだけでなく、ころ軸受のための改善されたリテーナー部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これら及び他の目的は、改善された軸受リテーナー部材及びこのようなリテーナー部材ところ軸受のような軸受との改善された組み合わせを提供する本発明によって充足される。軸受リテーナー部材は、その内周面に隣接した1つ以上の軸方向ベントを有する。ベントは、軸受から、例えば、過去の軸受側面シールドなど、潤滑油を押し出す可能性がある圧力差を均等にする。また、1つ以上の半径方向溝が軸方向ベントに隣接したリテーナー部材の内周面上に提供され得る。半径方向溝は、ころ軸受またはアセンブリーの近くで発生する可能性のあるガスのためのバイパスを提供する。
【0008】
ダンピングを提供し、ハウジング内の軸受リテーナー部材の回転を制限するために、1つ以上の減衰部材がリテーナー部材の外周面上に提供される。減衰部材は、Oリングのようなゴムまたはエラストマリング部材であり得るか、またはハウジングとの減衰及び摩擦接触を提供する金属製の圧縮可能な構造部材であり得る。
【0009】
本発明の他の特徴だけでなく、他の利点及び長所は、添付の図面及び添付の特許請求の範囲と組み合わせて以下の本発明の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明を使用する代表的なターボ機械の断面斜視図である。
【
図3】本発明によるころ軸受と軸受保持部材の組み合わせの斜視図である。
【
図5】本発明による軸受リテーナー部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、特に、タービン発電機または電気過給機のような高速ターボ機械のための永久潤滑型ころ軸受メカニズムに関するものであり、本明細書で例示的な方式で説明されるであろう。しかしながら、本発明は、これらの状況及びこれらの製品についてのみ本発明を使用することに限定されるべきではない。ターボ機械は、タービン、圧縮機、ポンプ、ファンなどを含む様々なインペラーを支援することができる。軸受はまた、様々なタイプの玉軸受またはころ軸受、例えば、円筒ころ軸受、テーパーころ軸受、球面ころ軸受などのような任意のタイプの標準軸受であり得る。ローラー要素はさらに、1つ以上の列に配置されることもできる。使用されるグリースまたは潤滑油のタイプはまた、任意の標準タイプであり得るか、または将来新たに合成され得る。
【0012】
軸受はまた、永久的に潤滑されるタイプである必要もない。それは、潤滑油の補充のためのポートを有する軸受であり得る。グリースまたは潤滑油は、好ましくは、水分だけでなく、固体及び液体の汚染物に対して軸受メカニズムをシールするのに十分なタイプ及び量のものでなければならない。軸受に塗布されるグリースの量は、通常、用途によって異なる。不十分な量のグリースは、金属間の接触(metal-to-metal contact)及び早期軸受故障を誘発することができる。過度な量のグリースは、軸受内の作動温度を急激に上昇させることができる。グリースの量はまた、軸受の速度範囲に依存することができる。より大量の潤滑油(100%まで充填される)は、典型的に、低速用途に使用され、より少量の潤滑油(例えば、30~50%)は、典型的に、中速~高速用途に使用される。
【0013】
エンドキャップまたはエンドシールドのようなリテーナー部材がまた、軸受内にグリースを保持し、より長い軸受寿命を提供するのに使用される。グリースがリテーナーまたはキャップ部材に塗布されることができ、その後、ころ軸受が軸受-リテーナーアセンブリーにできるだけ多くのグリースを捕獲するリテーナー部材内にまたはそれと共に組み立てられることができる。
【0014】
さらに、Oリングまたは金属付勢力部材のような減衰または軟化部材の使用が好ましいが、そのようなアイテムは、リテーナー及び軸受アセンブリーの特定の実施形態では必要とされない可能性もある。ソフト取り付けアセンブリーは、リテーナー部材の回転を減少または防止し、軸方向移動を可能にし、効果的な軸方向予圧を保障し、また回転アセンブリーの剛性振動モードを下げることができるので好ましい。ソフト取り付けアセンブリーはさらに、熱成長及び誤整列によりよく対応することができる。
【0015】
図1を参照すると、代表的なタービン発電機10で使用される本発明が示されている。タービンは、ハウジング15、内部に取り付けられた回転シャフト部材14、流体ダクト17、及びシャフト部材の一端部に取り付けられたインペラー16を含む。
【0016】
シャフト部材14は、一対の軸受アセンブリー18、20によってステータハウジング12内に回転可能に取り付けられる。ステータハウジング内の電気モーター22は、シャフト部材を回転させるための電力を生成するのに使用される。モーターは、シャフト部材14に固定的に取り付けられるローター部材26を回転させるステータ部材24を有する。ターボ機械10はまた、ラビリンスシール(labyrinth seal)23、熱シールド25、及び冷却水通路27を有する。
【0017】
軸受アセンブリー18、20は、両方とも同じタイプの軸受であり得るか、または異なるタイプであり得る。軸受アセンブリー20が、本発明の好ましい実施形態の使用に関して本明細書で説明されるであろう。軸受18は、好ましくは、ベント式軸受アセンブリー20と同じタイプであり、同じ構成要素を有する。
【0018】
本発明の軸受アセンブリー20は、
図2~
図6に示されている。アセンブリー20は、一般に、軸受部材25と、リテーナー部材30とを含む。示した実施形態において、軸受部材は、ケージ部材38内に位置決めされた複数の球状ボール部材32を有するころ軸受である。7つのボール部材32が示されているが、ボール部材の数は重要ではなく、このタイプのころ軸受に使用される任意の数であり得る。
【0019】
ころ軸受アセンブリー20は、内輪部材34及び外輪部材36を含み、この両方は、ボール部材に対してそれぞれ曲線状のレースウェイ35、37を有する。「ケージ(cage)」とも呼ばれるボールホルダー部材36は、2つの輪部材の間に位置決めされ、ボール部材を定位置に保持し、軸受アセンブリーの円周の周りに均等に離隔されるために使用される。ボール部材32のうちの1つは、ケージ部材38内の各々の開口39内に位置決めされる。
【0020】
環状シールド部材40、42は、2つの輪部材の2つの軸方向側面上に位置決めされる。リテーナー部材40、42は、軸受が満足に作動するように、ころ軸受部材の内部に潤滑油を維持するのを助ける。
【0021】
キャップタイプのリテーナー部材30は、
図3~
図6に最もよく示されている。リテーナー部材30は、外側OD円周面50及び内側ID円周面52を有する。リテーナー部材30はまた、半径方向の環状フランジ部材54を有する。
【0022】
好ましくは、リテーナー部材30は、鋼またはアルミニウム材料のような適切な強度、熱、磁気及び製造特性を有する金属材料からなる。同様に、内輪部材34及び外輪部材36も同様の材料からなる。ボール部材32は、好ましくは、窒化ケイ素または適切な材料からなる。鋼鉄のような金属ボール材料は、より高い遠心力、熱膨張及び電気伝導度のため、高速電気ターボ機械に対する使用が制限され得る。ホルダー部材38は、好ましくは、プラスチックまたはポリマー材料からなる。
【0023】
複数の軸方向ベント開口60が、リテーナー部材30内に提供される。ベント開口は、
図5及び
図6により詳細に示したように、リテーナー部材30の内周面52に隣接して提供される。ベント開口は、潤滑油を側面シールド40、42を過ぎて軸受部材の外に押し出す可能性がある任意の圧力差を均等にするために提供される。
【0024】
好ましくは、3つのベント開口60が提供されるが、その数はそれより少ないか多いことができる。ベント開口はまた、好ましくは、
図3~
図6に示したように、リテーナー部材上に均等に離隔されている。ベント開口を均等に離隔することは、外輪の歪曲を回避することができる。ベントのサイズは、適切な圧力差が均等になる限り、重要ではない。
【0025】
複数の溝70がリテーナー部材30の内周面52上に提供される。溝は、好ましくは、軸方向に配向される。溝の深さは、例えば、リテーナー部材の厚さの10~80%であり得る。溝は、シャフト部材の周囲のタービンハウジング内に形成されるか、または軸受アセンブリー20によって引き起こされることができる任意のガスが、ベント開口60を通ってバイパスしてベントされることを可能にするために提供される。3つの溝70が図面に示されているが、実際の数は3つ超過または3つ未満であり得る。好ましくは、その数は、ガスの効率的な除去及び任意の圧力差の均等化のためのベント開口の数と同じであり、好ましくは、溝70は、示したように、ベント開口60と整列され、かつ連通する。
【0026】
軸受IDから軸受の外輪へのガスの半径方向バイパス流(radial bypass flow)が、
図4に矢印74で示されている。軸方向溝70は、
図4に矢印76で示した方式で内周面上にバイパス流路を提供する。
【0027】
好ましくは、ベント開口60及び溝70は同時に、同じ機械加工または粉砕手順で形成される。ベント開口及び溝はまた、鋳造、焼結、金属射出成形、3D印刷などのような任意の他の通常的な成形動作によっても形成され得る。これらはまた、1つのステップにおいてリテーナー部材の1つの軸方向側面から形成され得る。図面に示したベント開口及び溝の幾何学的形状は、この方式で達成されるように提供される。これにより、リテーナー部材30だけでなく、完全な軸受アセンブリー20を製造するのに必要なコスト及び時間を節減する。
【0028】
ベント開口60及び溝70が、1ステップの機械加工動作で形成され得る本発明の実施形態が
図5及び
図6に示されている。
【0029】
フランジ壁54を通るベント開口は、高速、高ブースト動作中の軸受圧力差を防止する。直接軸受ベント60はまた、すべての条件下で均等化された圧力を保障する。
【0030】
ベント開口及び溝に加えて、好ましい軸受アセンブリーはまた、減衰「ソフト」取り付け特徴部を有する。一実施形態では、1つ以上のOリング溝80がリテーナー部材30の外側OD円周面50上に位置決めされる。Oリング部材82は、
図4に最もよく示したように、溝80内に位置決めされ、表面50のわずか上に延びる。タービンハウジング12内の軸受アセンブリー20の「ソフト」取り付けは、
図1及び
図2に示されている。
【0031】
ころ軸受及びリテーナー部材アセンブリーがハウジング内に設置されるとき、Oリングはターボ機械内のアセンブリーに対して柔軟な取り付けを提供する。ソフト取り付けは、構造的な減衰を提供し、移動及び振動の剛性モードに遭遇する速度を低下させる。「ソフト」取り付けはまた、ハウジング内の軸受アセンブリーの任意の熱成長及び/または誤整列にも対応する。Oリングはさらにハウジングとの摩擦を提供し、シャフト部材及びころ軸受の速度に対するリテーナー部材の回転速度を制限する。
【0032】
Oリング82は、今日使用中の任意の通常的なタイプの適切な耐薬品性及び耐熱性エラストマーOリングであり得る。リテーナー部材の外面内に位置決めされたOリングは、圧縮機ハウジング12内に軸受アセンブリー20のフローティングマウント(floating mount)を提供する。
【0033】
本発明の軸受アセンブリーの代替実施形態100が
図7に示されている。この実施形態100は、上述の実施形態10と同じベント開口60及び半径方向溝70を含むが、異なる減衰特徴部を有する。円周方向溝内に1つまたは2つのOリングを使用するのではなく、実施形態100は、その代わりに、リテーナー部材の外周面104上に金属構造ダンパー部材102を含む。ダンパー部材102は、好ましくは、外面104上の円周方向溝106内に位置決めされる。金属ダンパー部材は、その円周の周囲に、ハウジング上に付勢力を提供する複数の柔軟部または柔軟部材108を有する。軸受アセンブリー100がハウジングに取り付けられるかまたは組み立てられるとき、付勢部材108は軸受アセンブリーを定位置に固定し、
図1~
図6に関して上述したのと同じ「ソフト」取り付けを提供する。好ましくは、金属ダンパー部材102は、ダンパー部材が回転するのを防止するために部材120のような回転防止特徴部を含む。軸受アセンブリーはまた、シャフト部材上から軸方向に摺動するのが可能になっており、好ましくは半径方向減衰力を提供する。
【0034】
本発明が1つ以上の実施形態に関連して説明されているが、説明している特定メカニズムおよび技術は、単に本発明の原理を説明するためのものであり、添付された特許請求の範囲によって定義されているように、本発明の思想および範囲を逸脱せずに、説明された方法および装置に対して様々な修正が行われ得るということを理解すべきである。