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特許7217242養魚業又は海洋捕獲において使用されるシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】養魚業又は海洋捕獲において使用されるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 80/00 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
A01K80/00
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019569940
(86)(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 NO2018050152
(87)【国際公開番号】W WO2018231064
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】20170958
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(31)【優先権主張番号】20171770
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】519444122
【氏名又は名称】シー ロボティクス エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,コーレ ヨースタイン
(72)【発明者】
【氏名】ストールヴィーク,シェル
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-080385(JP,A)
【文献】特開2004-204440(JP,A)
【文献】特開2016-097774(JP,A)
【文献】実開昭53-091990(JP,U)
【文献】実開昭54-086597(JP,U)
【文献】実開昭50-082129(JP,U)
【文献】特開2016-031649(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00534881(EP,A1)
【文献】特開2004-299615(JP,A)
【文献】国際公開第2014/205544(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 65/00-91/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス(100)であって、
本体(7)と、
前記本体(7)に固定され、海底(101)に沿って前記デバイスを移動させるために構成された少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)と、
平行に構成される2つ以上の収集ユニットであって、各収集ユニットは、前記海底に向けられている入口開口(106)及び前記入口開口(106)から延出している流体チャネル(107)を有する、収集ユニット(5、5a~5d)と、
前記流体チャネル(107)に流体接続された輸送管(3)と、
前記流体チャネル(107)及び/又は前記輸送管(3)に接続して配置され、前記入口開口(106)から前記輸送管(3)まで流体流(12)を発生させるように構成された流体搬送ユニット(6)と、を備え、
前記デバイス(100)を海底(101)に沿って移動させることにより、前記流体流(12)及び前記入口開口(106)で生成された吸引を用いて、甲殻類(220)のような物を前記入口開口(106)が前記海底から直接的に捕獲するか、又は、前記海底の堆積物、デブリ若しくは他の物を前記入口開口(106)が前記海底から直接的に除去る、デバイス(100)。
【請求項2】
使用時に前記入口開口(106)と前記海底(101)との間の垂直距離を調整するように構成されたアクチュエータ(108)を更に備える、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(108)は、前記本体(7)に対して前記収集ユニット(5、5a~5d)を移動させる、及び/又は、前記本体(7)に対して前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)を移動させる、ように構成されている、請求項2に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
前記収集ユニット(5、5a~5d)と前記海底(101)との間の距離を測定すると共に前記距離を示す信号を与えるように動作可能なセンサ(10)を更に備える、請求項2又は3に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記センサ(10)は、前記海底(101)上の障害物を検出するため構成されたソナー(10)である、請求項に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前記アクチュエータと、
前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)と、
のうち少なくとも1つを制御するように動作可能なコントローラ(8、109)を更に備える、請求項から5の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記コントローラ(8、109)は、前記信号を受信すると共に前記信号に応答して前記アクチュエータを自動的に制御するように構成されている、請求項4と組み合わせた請求項6に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記コントローラ(8、109)は、前記ソナー(10)からの信号に応答して前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)を制御するように構成されている、請求項と組み合わせた請求項6に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
電力、通信信号、水力、加圧流体のうち少なくとも1つを前記デバイスに供給するように構成された供給管ケーブル(2)と、
無線通信信号(10)を送信又は受信するために構成された無線通信ユニット(110)と、
のうち少なくとも1つを備える、請求項1から8の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
前記輸送管(3)は、前記複数の収集ユニット(5、5a~5d)のための共通の輸送管(3)である、請求項1から9の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項11】
前記流体搬送ユニット(6)はポンプであるか、
前記流体搬送ユニット(6)はガスリフトシステムであるか、又は、
前記流体搬送ユニット(6)はエジェクタである、請求項1から10の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項12】
前記流体チャネル(107)及び/又は前記輸送管(3)に配置された選別ユニット(9)を備え、
前記選別ユニット(9)は、前記流体流(12)から要素を除去するように構成されている、請求項1から11の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項13】
前記デバイス上に配置されたカメラ(111)及び/又は光源(112)を備える、請求項1から12の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項14】
前記輸送管(3)は、船(1)、はしけ(104)、又は海岸の位置に接続されている、請求項1から13の何れか一項に記載のデバイス(100)。
【請求項15】
養魚場(200)の下方の海底(101)から堆積物を除去するための方法であって、
前記海底(101)上に、請求項1から14の何れか一項に記載のデバイス(100)を配置することと、
前記流体搬送ユニット(6)によって前記流体流(12)を発生させ、前記流体流(12)及び前記入口開口(106)で生成された吸引を用いて前記海底(101)から前記入口開口(106)内へ堆積物(221)を流すことと、
前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)によって前記デバイス(100)を移動させることと、
を含む、方法。
【請求項16】
船(1)から、はしけ(104)から、又は海岸の位置から、前記デバイス(100)を動作させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記船(1)から、前記はしけ(104)から、又は前記海岸の位置から、前記デバイス(100)を動作させる前記ステップは、
前記海底(101)上の前記デバイス(100)の位置を示す信号を前記デバイス(100)から受信することと、
前記信号の変化に応答して、前記デバイス(100)の移動に追従するように前記船(1)上の推進システムを動作させることと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記船(1)から、前記はしけ(104)から、又は前記海岸の位置から前記デバイス(100)に信号を与えて、前記海底(101)上で前記デバイス(100)を移動させるように前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)を動作させることを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記入口開口(106)から前記輸送管(3)への前記流体流(12)を規制するステップと、
前記入口開口(106)と前記海底(101)との間の垂直距離を調整するステップと、
のうち少なくとも1つを含む、請求項15から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
船(1)上、はしけ(104)上、又は海岸の位置で前記流体流(12)を受容することを含む、請求項15から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
海底捕獲のための方法であって、
前記海底(101)上に、請求項1から14の何れか一項に記載のデバイス(100)を配置することと、
前記流体搬送ユニット(6)によって前記流体流(12)を発生させることと、
前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)によって前記デバイス(100)を移動させることと、
含む、方法。
【請求項22】
船(1)から前記デバイス(100)を動作させることと、
前記船(1)上で前記流体流(12)を受容することと、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記船(1)から前記デバイス(100)を動作させる前記ステップは、
前記海底(101)上の前記デバイス(100)の位置を示す信号を前記デバイス(100)から受信することと、
前記信号の変化に応答して、前記デバイス(100)の移動に追従するように前記船(1)上の推進システムを動作させることと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記船(1)から前記デバイス(100)を動作させる前記ステップは、
前記船(1)から前記デバイス(100)に、前記船(1)の位置を示す信号を与えることと、
前記信号の変化に応答して、前記船(1)の移動に追従するように前記少なくとも1つの推進システム(4a、4b)を動作させることと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記船(1)から前記デバイス(100)に信号を与えて、前記海底(101)上で前記デバイス(100)を移動させるように前記少なくとも1つの推進ユニット(4a、4b)を動作させることを含む、請求項22から24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記入口開口(106)から前記輸送管(3)への前記流体流(12)を規制するステップと、
前記入口開口(106)と前記海底(101)との間の垂直距離を調整するステップと、
のうち少なくとも1つを含む、請求項21から25の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養魚業又は海洋捕獲(marine harvesting)において使用されるシステム及び方法に関し、更に具体的には、養魚業からの堆積物を除去するため又は海底生物を捕獲するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
甲殻類のような海洋生物を捕獲するための様々な方法が存在するが、それらの多くは海底に損傷を与える可能性がある。この一例として浚渫が挙げられる。浚渫は、砂と泥をかき集めて進んでいくことによって海底の上層全体をさらう(engage)。これは珊瑚や海底の植物相に損傷を与え、更に、捕獲の対象でない他の海洋動物を妨害したり損傷を与えたりする可能性がある。この理由により、浚渫や同様の方法は様々な傷つきやすいエリアでは禁止されている。そのような方法に伴う別の課題は、捕獲物(catch)を残酷に扱うことであり、これは多くの種類の生物及び動物に損傷を与える恐れがある。
【0003】
そのような方法の代替案はダイバーによる捕獲及び収集であるが、これは労働集約的であり、容易に工業規模の捕獲に拡大することができず、担当者の健康上及び安全上のリスクがあるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海産食物は急激に重要性が高まっており、常に消費者需要があり、結果として、海洋動物及び生物を捕獲するための改良されたシステム及び方法が必要とされている。一態様において、本発明は、既知の解決策及び技法に勝る利点を与えるそのようなシステム及び方法を提供する目的を有する。
【0005】
また、養魚業は近年著しく発展し、更なる発展が計画されている。生産が盛んになるにつれて、環境問題も論議されるようになっている。このような問題の中で、フナムシ(sea lice)レベルの上昇、業界における薬物の使用、及び局地汚染が、最も一般的である。業界で生産現場を効率的に利用し続けるため、また、持続可能な発展を達成するため、これらの問題に対処する改良された技術が必要とされている。別の態様において、本発明は、既知の解決策及び技法に勝る利点を与えるそのようなシステム及び方法を提供する目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、デバイスが提供される。このデバイスは、本体と、本体に固定され、海底に沿ってデバイスを移動させるために構成された少なくとも1つの推進ユニットと、入口開口及びこの入口開口から延出している流体チャネルを有する収集ユニットと、流体チャネルに流体接続された輸送管と、流体チャネル及び/又は輸送管に接続して配置され、入口開口から輸送管まで流体流を発生させるように構成された流体搬送ユニットと、を備える。
【0007】
一実施形態において、養魚場の下方の海底から堆積物を除去するための方法が提供される。この方法は、海底上にデバイスを配置することと、流体搬送ユニットによって流体流を発生させ、海底から入口開口内へ堆積物を流すことと、少なくとも1つの推進ユニットによってデバイスを移動させることと、を含む。
【0008】
一実施形態において、海底捕獲のための方法が提供される。この方法は、海底上にデバイスを配置することと、流体搬送ユニットによって流体流を発生させることと、少なくとも1つの推進ユニットによってデバイスを移動させることと、を含む。
【0009】
以下の添付の従属クレーム及び詳細な説明は、別の実施形態を概説する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
これより、本発明の例示的な実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1】一実施形態に従ったデバイスを示す。
図2】甲殻類の海底捕獲のために適合された、図1に示されているデバイスの一実施形態の詳細を示す。
図3】甲殻類の海底捕獲のために適合された、図1に示されているデバイスの一実施形態の詳細を示す。
図4】海底堆積物の除去のために適合された、図1に示されているデバイスの一実施形態の詳細を示す。
図5】海底堆積物の除去のために適合された、図1に示されているデバイスの一実施形態の詳細を示す。
図6】一実施形態に従ったデバイスを用いた養魚場を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に概略的に示されている一実施形態において、養魚場から例えば有機廃棄物のような堆積物を除去するための、又は例えば甲殻類の捕獲のような海底捕獲のためのデバイス100が提供されている。このデバイスは自走式とすることができ、浅水、中層水、又は深海の海底での動作向けに構成できる。デバイス100は船1によって支持され、船1から動作させることができる。あるいはデバイス100の動作は、海岸から直接、波止場地域から、浮遊はしけ(養魚場のための給餌はしけ(feeding barge))から、人口島から、プラットフォームから、又はその他から実行できる。収集した堆積物、廃棄物、捕獲物、捕獲した物、又は他の物を、船1に(あるいは海岸に、又は中間貯蔵所もしくは一時的貯蔵所に)運ぶため、輸送管3が配置されている。
【0013】
図1に示されているように、デバイス100は本体7を有し、この本体7に推進ユニット4a及び4bが固定されている。推進ユニット4a及び4bは、デバイスを海底101に沿って移動させるために構成されている。この実施形態における推進ユニット4a及び4bは、本体7に固定された土台(track bed)に搭載されたキャタピラである。あるいは推進ユニット4a及び4bは、車輪とするか、又はデバイス100を海底101に沿って推進させるのに適した他の任意のタイプとすることができる。推進ユニット4a及び4bは、例えば油圧又は電気によって駆動し、コントローラ8(以下で説明する)によって制御することができる。
【0014】
デバイス100上に、甲殻類又は他の動物、堆積物、デブリ、又は他の物を収集するための収集ユニット5a~5dが設けられている。図2に1つの収集ユニット5が示されており、これについて以下で更に詳しく説明する。収集ユニット5は、入口開口106と、この入口開口106から延出している流体チャネル107と、を有する。
【0015】
輸送管3は流体チャネル107に流体接続されており、デバイス100は更に、(図2に示されている接続管11を介して)流体チャネル107及び/又は輸送管3に接続して配置された流体搬送ユニット6を有する。この実施形態において、流体搬送ユニット6は接続管11と輸送管3との間に配置されているが、これは例えば輸送管3(又は輸送管3の一部)のような他の場所に配置してもよい。
【0016】
流体搬送ユニット6は、入口開口106から輸送管3及び船1まで、図2及び図4に矢印12で示されている流体流を発生させるように構成されている。流体流12及び開口106で生成された吸引を用いて、デバイス100を海底101に沿って移動させることにより、甲殻類220のような物の捕獲、又は概略的に221で示されている海底の堆積物、デブリ、もしくは他の物の除去を実行することができる。流体搬送ユニット6は、チャネル107及び輸送管3を通る流体流12を発生させるのに適した任意のユニットとすればよい。ここで記載される実施形態において、流体搬送ユニット6はエジェクタ(ejector)である。エジェクタは、海水のような加圧流体をエジェクタ内へ、これによってチャネル107又は輸送管3内へ注入する注入入口を有する。これにより生じるチャネル107内の圧力低下によって、開口106から輸送管3を通って船1までの流れが発生する。エジェクタのための加圧液体は、供給管(umbillical)2の一部とすることができる船1からのホースを介して提供するか、又は加圧液体は、例えばこの目的のためのデバイス1上のポンプから提供することができる。あるいは、流体搬送ユニット6をデバイス100上のポンプとすることも可能である。ポンプは例えば電気又は油圧によって作動させ、動力は供給管2を介して供給することができる。更に別の代替的な実施形態では、流体搬送ユニット6をガスリフトシステムとすることができる。
【0017】
供給管2は、船1から、デバイス1における分配のための結合ボックス及びコントローラ8まで延出している。供給管ケーブル2は、電力、通信信号、水力、加圧液体、又はデバイス1の動作に必要な他の物をデバイス1に提供するように構成できる。コントローラ8は、動力を分配すると共に、推進ユニット4a、4bのようなデバイス100上の様々な構成要素の動作を制御するように構成されている。
【0018】
ここで代替的な実施形態を示す図3及び図5を参照すると、デバイス100は、使用時に入口開口106と海底101との間の垂直距離を調整するように動作可能なアクチュエータ108を備えることができる。図3及び図5に示されている実施形態において、アクチュエータ108は、収集ユニット5と本体7との間に配置された油圧シリンダである。あるいは、アクチュエータ108は例えば電動アクチュエータとしてもよい。アクチュエータ108を用いることで、例えば、海底から船1への流体流12内の過剰な量のデブリ又は砂を回避しながら堆積物又は甲殻類の収集を最大化するため、ユニットの動作を最適化するように、開口106と海底101との間の距離を調整できる。また、この調整を用いて任意選択的に、動作中の海底101に対する損傷を最小限に抑えることができる。
【0019】
あるいは、アクチュエータ108は、開口106と海底101との間の距離を異なる方法で調節するように異なる構成とすることも可能である。例えば、推進ユニット4a、4bを本体7に対して可動とすることで、アクチュエータ108は、推進ユニット4a、4bに対して本体7を上昇又は下降させ、これによって同じ効果を達成するように構成できる。
【0020】
一実施形態において、収集ユニット5と海底101との間の距離を測定するため、及びこの距離を示す信号を与えるため、センサ10を設けることができる。センサ10はコントローラ109に接続し、またアクチュエータ108にも接続することができ、この場合コントローラ109はセンサ信号に基づいて収集ユニット5の高さを自動的に調節するように構成されている。このような自動制御により、開口106と海底101との間の実質的に一定の距離を達成できる。
【0021】
一実施形態において、デバイス100は、無線通信信号10を水面との間で送信又は受信するため構成された無線通信ユニット110も備えることができる。また、船1は同等の又は補足的な送信器及び/又は受信器も有することができる。これによって、船1とデバイス100との間のシームレスな通信が可能となる。無線通信ユニット110は例えば音響通信システム又はソナーとすればよい。これにより、例えばデバイス100の位置、進行方向、及び/又は速度を船1から監視すること、又はその逆のことが可能となる。また、無線通信ユニット110はデータ転送のためにも使用することができ、これによって、供給管2を介して与えられる通信の代わりに又はそれに加えて使用することが可能となる。
【0022】
一実施形態において、無線通信ユニット110は、船1とデバイス100との間の追跡機能を与えるように動作可能である。これは、船1の位置がデバイス100によって識別され、デバイス100が(コントローラ8及び推進ユニット4a、4bによって)船1に追従するよう動作するように、実施され得る。あるいは、同様に船1がデバイス100に追従するよう動作することができる。この目的のため、例えば船1上の動的位置決め推進システムを利用して、デバイス100の正確な位置決め及び追跡を可能とすることができる。正確な位置監視によって、デバイス100は、堆積物又は捕獲物の収集を最大化するため、養魚場の下方の海底全体又は所望の捕獲エリア全体をカバーすることができる。
【0023】
好ましくは、図1に示されているように、デバイス100は2つ以上の収集ユニット5a~5dを備えている。ユニット5a~5dは、例えば海底101上の広い面積をカバーするように、平行に構成することができる。代替的な配置も可能であり、例えば収集効率を改善するためデバイス100の進行方向で1列に配置される。図1に示されているように、いくつかの収集ユニット5a~5dが共通の輸送管3に供給するよう配置することができる。あるいは、いくつかの輸送管3を使用してもよい。
【0024】
一実施形態において、デバイス100は、流体チャネル107及び/又は輸送管3に配置された選別ユニット9を備える。選別ユニット9は、入来する流体流12を選別すると共に流体流12から要素を除去するように構成されている。例えば選別ユニット9は、流体チャネル107において水平方向に又はわずかに傾斜して配置されてデバイス100の外側に開放した1つ以上のふるい又は裏ごし器を備えることができ、流体流12がこのふるい又は裏ごし器を通過することで、砂や岩のような小さく重い物が重力又は遠心力によって落下し、デバイス100から放出されて海底101に戻るようになっている。図4及び図5に示されている実施形態では、軽い堆積物が選別ユニット9を通過して輸送管3内へ入ることができる。図2及び図3に示されている実施形態では、甲殻類のような大きい要素が選別ユニット9を通過して輸送管3に到達することができる。これにより、収集されて船1に輸送されるデブリ又は望ましくない成分量が低減する。
【0025】
一実施形態において、デバイス100は、図3に示されているようなカメラ111及び/又は光源112を備えることができる。カメラ111及び/又は光源112はコントローラ109に接続することができ、コントローラ109は、無線通信ユニット110又は供給管ケーブル2に接続して、画像信号又はビデオ信号の船1への転送を可能とすることができる。これは、例えば海底101に蓄積した堆積物の量又は潜在的な捕獲物の量に関する情報を与えるため、オペレータが海底状況を監視する機会を与える。また、カメラ111を用いて、デバイス100が海底101上の障害物にぶつかるのを回避することができる。
【0026】
一実施形態において、デバイス100は、海底101上の障害物を検出するように構成されたソナーを備えている。この実施形態において、ソナーはセンサ10の一部として構成されてコントローラ109に接続され、これにより、収集ユニット5と海底101との間の距離、及び、デバイス100の前方にある海底101上の物体の存在と、所望の場合はその物体までの距離の双方を検出する。あるいはソナーは、センサ10とは別個の独立したユニットとして構成してもよい。このようにソナーによって早めに障害物を検出することは、視認性の低い状況におけるデバイス100の衝突及び配向の回避に役立つ。
【0027】
図6は、図4又は図5に記載されている実施形態のうち1つに従ったデバイス100を有する養魚場200を示す。養魚場200は、従来のように複数の貯蔵所(pen)103及び給餌はしけ104を備えている。デバイス100は、貯蔵所103の下方で堆積物を除去するために提供されている。輸送管3は、この実施形態において給餌はしけ104に接続されている。あるいは上述のように、輸送管3は、例えば船(養魚場200のサービス船(service boat)等)、この目的のための専用はしけ、又は海岸に接続できる。デバイス100からの流れを処理するため、セパレータ及び貯蔵タンクのような処理システムを提供することができる。このようにして堆積物は海水から分離され、更に処理又は処分するため送出することができる。
【0028】
実施形態に従って、上述のように、より効率的かつ環境に優しい養魚業を達成することができる。海底に与える害を抑えながら、堆積物の効率的な収集、及び海底状況の監視が可能となる。このシステム及び方法は、定期的な堆積物の収集と海底状況の監視のために使用できる。また、例えば海底の生物学的廃棄物によって発生したガスを排除すると貯蔵所の環境条件が改善されるので、堆積物の除去は、養魚場からの生産の改善をもたらすことができる。
【0029】
他の実施形態に従って、上述のように、より効率的かつ環境に優しい海洋生物捕獲を達成することができ、このプロセスは、捕獲物に対して及び/又は捕獲場所の海洋環境に対して害が少ない。このシステム及び方法は、定期的な海洋動物捕獲のため、及び/又は望ましくない動物又はデブリのような他の物を例えば海辺エリア等から除去又は移動させるために使用できる。特定の実施形態では、これらの目的のための現在の手作業による技法に比べ、健康上及び安全上の利点を実現することができる。
【0030】
本明細書に記載されている実施形態では、大量の海洋資源を有するが技術的な理由及び/又は規制上の理由のため現在は捕獲が可能でないスバールバル諸島や他の北極地方周辺等、現在アクセスできないエリアでの捕獲も可能となる。
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「備える(comprises)」及び「備えている(comprising)」という用語及びそれらの変形は、指定された特徴、ステップ、又は整数が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を排除すると解釈されるものではない。
【0032】
特定の形態で表現された、又は開示された機能を実行するための手段で、又は、開示された結果を達成するための方法もしくはプロセスで表現された、前述の記載、又は以下の特許請求の範囲、又は添付図面に開示された特徴は、適宜、それぞれ別々に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、多様な形態で本発明を実現するために利用することができる。
【0033】
本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されない。添付の特許請求の範囲を参照するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6