(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】磁気流量計のための導電性ポリマー基準接続部
(51)【国際特許分類】
G01F 1/58 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
G01F1/58 H
(21)【出願番号】P 2020512444
(86)(22)【出願日】2018-08-22
(86)【国際出願番号】 US2018047515
(87)【国際公開番号】W WO2019046063
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-04-27
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592225504
【氏名又は名称】マイクロ・モーション・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Micro Motion Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ゴスリング,アーサー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ワイゲルト,チャド・ティー
(72)【発明者】
【氏名】メッセンジャー,サミュエル・イー
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,エリック・ディー
【合議体】
【審判長】中塚 直樹
【審判官】濱野 隆
【審判官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-263845(JP,A)
【文献】特開平5-157600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0163360(US,A1)
【文献】実公平6-8501(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁流量計アセンブリであって、
結合点でプロセスパイプへ結合し且つプロセス流体の流れの流量を測定するように構成された磁気流量計であって、前記磁気流量計の電子回路、ライナー、及び、前記磁気流量計の電子回路に電気接続された一対の電極を有し、前記ライナーを通って流れる前記プロセス流体の電気的特性を測定するように配置される、磁気流量計と、
前記一対の電極から離れ、前記プロセス流体と接触するように構成され
た導電性ポリマー基準接続部であって、
前記導電性ポリマー基準接続部により前記プロセス流体の流れから
得られた基準測定値を
、磁気流量計の電子回路
へ提供するように電気接続された、導電性ポリマー基準接続部と、
を含み、
前記導電性ポリマー基準接続部は、前記磁気流量計の前記ライナーにモールド成形された導電性ポリマー区画を含み、
前記導電性ポリマー基準接続部は、リングを含
み、且つ、
前記導電性ポリマー基準接続部は、前記プロセスパイプと前記磁気流量計との間のラインサイズを減少させるように構成された中央開口部を含む、
上記電磁流量計アセンブリ。
【請求項2】
前記導電性ポリマー基準接続部は、前記プロセスパイプと前記磁気流量計との間に流体シールを提供するように構成されている、請求項1に記載の電磁流量計アセンブリ。
【請求項3】
前記導電性ポリマー基準接続部が、前記プロセス流体と化学的に適合しうる導電性ポリマーを含む、請求項1に記載の電磁流量計アセンブリ。
【請求項4】
前記導電性ポリマーは、前記プロセス流体の温度よりも高い動作温度を有する、請求項3に記載の電磁流量計アセンブリ。
【請求項5】
前記結合点は、前記プロセスパイプのプロセスフランジと前記磁気流量計の流管フランジとの間の領域を包含している、請求項1に記載の電磁流量計アセンブリ。
【請求項6】
前記導電性ポリマー基準接続部は、導電性ポリマーでオーバーモールド成形された金属リングを含んでいる、請求項1に記載の電磁流量計アセンブリ。
【請求項7】
前記導電性ポリマー基準接続部は、導電性ポリマーを有する圧入金属リングを含んでいる、請求項1に記載の電磁流量計アセンブリ。
【請求項8】
前記導電性ポリマー基準接続部は、導電性ポリマーでオーバーモールド成形された電極を含む、請求項1に記載の電磁流量計アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
磁気流量計(又はマグメータ)は、ファラデー誘導、即ち電磁効果によって流れを測定する。磁気流量計は、1以上のコイルを励磁し、これらコイルは、流管アセンブリの断面を横断する磁場を生成する。磁場は、流管アセンブリを通過する導電性プロセス流体の流れを横切る起電力(EMF)を誘導する。導電性流体を横切って生じる電位は、流れるプロセス流体内に延在する一対の電極を用いて測定される。あるいは、電磁流量計の中には、電極とプロセス流体との間の容量性結合を採用しており、直接接触することなく起電力(EMF)を測定できるものもある。いずれにしても、流速は一般に誘導された起電力(EMF)に比例し、体積流量は流速と流管の断面積に比例する。
【0002】
磁気流量計は、様々な流体流量の測定環境で有用である。特に、水ベースの流体の流れ、イオン溶液の流れ、及びその他の導電性流体の流れはすべて、磁気流量計を用いて測定されうる。このようにして、磁気流量計は、水処理施設、飲料及び衛生食品の生産、化学処理、高純度医薬品製造、並びに危険且つ腐食性の流体処理施設で使用されうる。磁気流量計は、炭化水素燃料産業でしばしば使用される。この産業は時々、研磨性及び腐食性のスラリーを用いる水圧破砕技術を使用することがある。
【0003】
さらに、磁気流量計は、磁気流量計が使用されるその用途に適合するように、様々な異なるライニング材料及び/又は電極材料によって規定されうる。ライニング材料の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、PFA、ポリウレタン、ネオプレン、及びリナテックスゴム、並びにその他の材料が含まれる。さらに、電極は、316Lステンレス鋼、ニッケル合金276、タンタル、プラチナ/イリジウムブレンド、チタン、その他の適切な材料を含む任意の適切な材料から構築されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁流量計アセンブリが提供される。本アセンブリは、プロセスパイプに或る結合点で結合し且つプロセス流体の流れの流量を測定するように構成された磁気流量計を包含している。本アセンブリは、プロセス流体と接触し且つ磁気流量計の電子回路への電気接続部を提供するように構成された導電性ポリマー基準接続部を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の1実施形態による電磁流量計アセンブリの概略図である。
【
図2】本発明の1実施形態による電磁流量計アセンブリのブロック図である。
【
図3】本発明の1実施形態による導電性ポリマー基準接続部の概略図である。
【
図4】本発明の1実施形態による導電性ポリマー基準接続部の別の概略図である。
【
図5】本発明の1実施形態による導電性ポリマー基準接続部の別の概略図である。
【
図6】本発明の1実施形態による測定装置アセンブリを組み立てる方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
磁気流量計の動作中、ライナーの使用に起因して、プロセス流体自体への堅牢な電気的接続部を有することが必要とされることが多い。一度接続が確立されると、この接続を本磁気流量計の測定回路の基準として使用することができ、このことが今度は、信号品質の向上、電磁イミュニティの向上、及び流量信号とプロセスとのさらなる測定を可能にする。
【0007】
現在、プロセス流体自体への接続は、プロセス流体と接触する、金属リング又は接地電極の使用により行われている。しかしいくつかの問題が、金属リング又は接地電極の使用から発生する。たとえば、プロセス流体は腐食性があり又、別のプロセス適合性(化学的適合性など)を必要とすることも多く、金属リング又は接地電極は、様々なプロセス条件に耐えることが必要である。さらに、金属リング又は接地電極は、磁気流量計の測定回路へ低抵抗接続を提供する必要がある。その結果、金属リング又は接地電極は、多くの場合、タンタル、プラチナ、特種な金属(exotic metals)(これらには、Special Metals 社のMonel(商標)合金、及びHaynes International社のHastelloy(商標)合金を包含しうる)で構成される必要がある。しかし、特種な金属の使用によってコストは多くの場合に増加する。
【0008】
特種な金属のリングは、流量計とパイプとの間の接続点に配置されることが多く、この流量計とパイプとは、パイプフランジを磁気流量計の対応するフランジに固定することにより接続される。しかし確実な接続を維持するために、ガスケットがこの特種な金属のリングの両側に必要である。今度はこれにより、プロセス流体が接続ポイントから漏れる可能性が高まる。さらに、これら特種な金属で作られた接地電極は、プロセス流体と接触する表面積が比較的小さい故に、プロセス被覆(process coating)及び伝導度制限を受けることが多い。
【0009】
本発明の1実施形態によれば、熱的に安定な、化学的に適合しうる、比較的安価な導電性ポリマー基準接続部が提供され、それは十分に大きなプロセス接触面積を有し、磁気流量計の測定回路への低インピーダンスの経路を可能にする。さらに、基準測定を可能にすることに加えて、導電性ポリマー基準接続部は、同時にガスケットとしても機能し、磁気流量計とプロセスパイプとの間の結合点でのいくつかの潜在的な漏れ経路を取り除く。
【0010】
図1は、本発明の1実施形態による電磁流量計アセンブリの概略図である。電磁流量計アセンブリ100は、磁気流量計116、プロセス配管118、及び導電性ポリマー基準接続部112、104を含む。プロセス配管118は、プロセス流体の流れを受け取り、磁気流量計116に結合するように構成されている。1実施形態において、プロセス配管118は、プロセス配管118のプロセスフランジ106と磁気流量計116の流管フランジ110との間の結合点で、磁気流量計116に接続されている。例えば、ボルト接続が、プロセス配管118を磁気流量計116にしっかりと固定するために、プロセスフランジ106と流管フランジ110との間に用いられてもよい。磁気流量計116は、
図2で説明されるように、電子回路ハウジング102並びに、管206、EMFセンサ204、及びコイル202を含む流管アセンブリ108を含んでいる。動作中、磁気流量計116は、プロセス配管118からプロセス流体の流れを受け取り、プロセス流体の流量を磁気誘導のファラデーの法則の適用を用いて測定するように構成されている。磁気誘導のファラデーの法則は、以下の関係によって示される。
【0011】
E=k*B*D*V [式1]
【0012】
ここで、Eは誘導電圧(速度に線形)、kは比例定数、Bは磁場強度(コイルインダクタンス)、Dは電極間の距離、そしてVはプロセス流体の速度である。
【0013】
導電性ポリマー基準接続部112及び104は、磁気流量計116の電子回路ハウジング102に、導電性ワイヤ114を用いて電気的に接続されている。導電性ポリマー基準接続部112及び104は、プロセス流体の流れに接触し且つ電子回路ハウジング102内の測定回路へ基準を提供するように構成される。1実施形態において、導電性ポリマー基準接続部112及び104は、プロセス配管118と磁気流量計116との間の結合点に配置される。さらに、導電性ポリマー基準接続部112及び104は、プロセス配管118と磁気流量計116との間のガスケットとしても機能しうる。本実施形態において、プロセスフランジ106が流管フランジ110に結合されるとき、導電性ポリマー基準接続部112は、プロセス流体が結合点から漏れないようにプロセス配管118と磁気流量計116との間に堅固なシールを提供する。加えて、導電性ポリマー基準接続部112及び104はまた、内部漏れ経路が結合点で存在しないように、非侵入的である。さらに、2つの導電性ポリマー基準接続部112及び104が図示されているけれども、唯1つの導電性ポリマー基準接続部のみが、本発明の実施形態に従って用いられてもよいことが明確に意図されている。
【0014】
図1に示されているように、導電性ポリマー基準接続部112及び104は、異なるサイズの寸法を有しうるが、それらは、いくつかの実施形態においては同一であってもよいことも明確に意図されている。さらに、
図3において説明されるように、導電性ポリマー基準接続部112及び104は、様々な導電性ポリマーを含んでもよく、又は様々な異なる工程を用いて製造されてもよい。さらに、1実施形態において、導電性ポリマー基準接続部112及び104は、プロセス流体が磁気流量計を通過する際にプロセス流体の流れを乱すことを回避するための自己位置合わせ補助部として機能する。
【0015】
1実施形態において、導電性ポリマー基準接続部112及び104に加えて、又はそれとは別に、導電性ポリマーでオーバーモールド成形(被覆成形)された接地電極も使用できる。この実施形態において、流管アセンブリ108内の接地電極が、電子回路ハウジング102内の測定回路へプロセス基準値を提供する。導電性ポリマーでオーバーモールド成形された接地電極を有することによって、特種な金属に対する必要をさらに制限する。
【0016】
別の実施形態において、導電性ポリマー基準接続部112及び104は、磁気流量計のライナーにモールド成形された導電性ポリマー区画を含むことができる。この例において、ライナー内のモールド成形された導電性ポリマー区画は、磁気流量計の電子回路への基準接続部を提供する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態が特に有用である磁気流量計のブロック図である。磁気流量計116は、流管アセンブリ(例えば、
図1における参照符号108)を含み、この流管アセンブリ内に管206、コイル202、及び電極204を含んでいる。動作中、管206は、プロセスパイプ(例えば、
図1におけるプロセス配管118)からプロセス流体の流れを受け取る。コイル202は、コイル駆動回路214からの駆動電流の印加に応じて、管206内のプロセス流体の流れを貫ぬく外部磁場を印加する。次に、誘導電圧がプロセス流体の流れ内に生成され、そして電極204により検出可能である。この誘導電圧に基づいて、EMF出力208が生成され、測定回路(それは、増幅器210及びアナログ-デジタル変換器212を含む)へ提供される。
【0018】
磁気流量計116はまた、コイル駆動回路214、温度センサ回路216、増幅器210とアナログ-デジタル変換器212とを含む測定回路、マイクロプロセッサシステム218、デジタル通信回路226、及びデジタル-アナログ変換器228を含む電子回路ハウジング102を含む。動作中、増幅器210は、電極204からEMF出力208を受け取り、既知の方法を用いて信号を増幅する。次いで、増幅されたEMF出力は、デジタル化EMF信号をマイクロプロセッサシステム218へ提供できるように、アナログ-デジタル変換器212に提供される。1実施形態において、マイクロプロセッサシステム218は、メモリ220、信号プロセッサ222、及び診断要素224を含む。マイクロプロセッサシステム218は、このデジタル化EMF信号を受信し、この受信されたデジタル化EMF信号に基づいて流量を生成する。
【0019】
さらに、図示されるように、磁気流量計116は、電子回路ハウジング102内の電子回路に結合するように構成された導電性ポリマー基準接続部207に結合されている。1実施形態において、導電性ポリマー基準接続部207は、導線232を介して電子回路ハウジング102に結合するように且つプロセス流体の流れから基準測定値を提供するように構成されている。例えば、1実施形態において、基準測定値は、電子回路ハウジング102内の調整回路234へ提供されうる。ここで、この電子回路ハウジング102は、増幅器回路、アナログ-デジタル変換器、線形化回路、又は別の何らかの調整回路を含みうる。次いで、調整された基準測定値は、マイクロプロセッサシステム218へ提供されうる。次に、これは、改善された信号品質及び電磁耐性をもたらしうる。しかし別の実施形態においては、基準測定値は、マイクロプロセッサシステム218に提供される前に、増幅器210及びアナログ-デジタル変換器212に提供されてもよいことが明確に意図されている。
【0020】
1実施形態において、電子回路ハウジング102は、デジタル通信回路226及びデジタル-アナログ変換器228を用い、通信バス230を介して流量を通信する。典型的な処理プラントにおいては、通信バス230は、コントローラ(例えば、システムコントローラ/モニター、又は別の適切な装置)への4~20mA電流ループ、FOUNDATION(商標)フィールドバスセグメント、パルス出力/周波数出力、Highway Addressable Remote Transducer(HART(商標))プロトコル通信、例えばIEC 62591に準拠する無線通信接続、イーサネット、又は光ファイバー接続でありうる。
【0021】
図3は、本発明の1実施形態による導電性ポリマー基準接続部の概略図である。導電性ポリマー基準接続部300は、本体302、中央開口部308、取り付け機構304、及びタブ306を含む。導電性ポリマー基準接続部300は、導電性ポリマー基準接続部112及び104に関する
図1に示されたように、結合点で磁気流量計とプロセスパイプとの間に配置されるように構成されている。しかし、導電性ポリマー基準接続部300は、プロセスパイプ又は磁気流量計に沿った別の点に配置されることが明確に意図されている。導電性ポリマー基準接続部300は、磁気流量計のプロセス回路へのプロセス基準を提供するが、同時に、磁気流量計とプロセスパイプとの間のガスケットとして機能するように構成されている。
【0022】
本発明の1実施形態によれば、導電性ポリマー基準接続部300の本体302は、導電性ポリマーで形成されている。これは、導電性カーボンブラック配合パーフルオロアルコキシ(PFA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリウレタン、ネオプレンなどを含んでもよい。1実施形態において、本体302は、5%導電性カーボンブラック配合パーフルオロアルコキシ(PFA)で形成される。しかし、別の濃度のカーボンブラックが、本発明の実施形態によって用いられうる。本体302は、導電性ポリマーを有するオーバーモールド成形(被覆成形)された金属リングで形成されてもよい。別の例において、本体302は、導電性ポリマーを有する圧入金属リングであってもよい。あるいは、本体302は、実質的に導電性ポリマーで形成されてもよい。このように、本体302は、本発明の実施形態に従って様々な形状及びサイズに形成されうることが明確に意図される。
【0023】
図1に示されたように、導電性ポリマー基準接続部300の本体302は、大きさが異なりうる。1実施形態において、
図1の導電性ポリマー基準接続部104によって例示的に示されるように、本体302はプロセスパイプの直径よりも大きい直径を有する。代替的に本体302は、
図1の導電性ポリマー基準接続部112によって図示されるように、プロセスパイプの直径と実質的に等しい直径を有してもよい。さらに、導電性ポリマー基準接続部300は、後述するように様々な形状をとることができる。
【0024】
好ましい1実施形態において、導電性ポリマー接地基準接続部300は、拡大された表面積を有しながらも、プロセスパイプ及び磁気流量計に結合されるとき非侵入的である。この実施形態において、プロセスパイプと磁気流量計との間の結合点に内部漏れ経路、即ちプロセス流体が非湿潤材料を傷めて磁気流量計を使用不能にしうる経路はない。さらに、プロセス流体は腐食性が高く且つ高温になりうるので、導電性ポリマー基準接続部300は、プロセス流体と接触する場合に、本体302が様々なプロセス条件に耐えることができることも重要である。したがって1実施形態において、導電性ポリマー基準接続部300はまた、プロセス流体の温度と比較してより高い作動温度を有し、同時にプロセス流体が存在する場合に、導電性ポリマー基準接続部300が腐食しないようにプロセス流体と化学的適合性がある。さらに、導電性ポリマー基準接続部300はまた、磁気流量計の測定回路への低抵抗の接続を提供する。
【0025】
本体302の中心に、プロセス流体と接触するように、且つプロセスパイプと磁気流量計との間の流体の通路として機能するように設計された中央開口部308が存在する。1例において、中央開口部308は、プロセスパイプの直径と比較して小さな直径を有し、プロセスパイプと磁気流量計との間のラインサイズを減少させる。中央開口部308の直径をプロセスパイプに対して変化させることにより、磁気流量計に入るプロセス流体の速度が制御されうる。
【0026】
1実施形態において、導電性ポリマー基準接続部300は、タブ306を導電性ポリマー基準接続部300の本体302に結合するように構成された締結機構304を含む。タブ306は、ワイヤ(例えば、
図1の導電性ワイヤ114)に取り付けるように構成され、且つ電子回路ハウジング102がプロセス基準を受け取ることを可能にする。締結機構304は、小ねじ及びナットを含みうる。しかし、様々な締結機構304が、本発明の実施形態に従って用いられてもよい。
【0027】
図1の導電性ポリマー接地基準接続部104によって図示されたように、本体302がプロセスパイプの直径よりも大きい直径を有する場合、導電性ポリマー基準接続部300は、
図4に図示されるように複数の放射状開口部402を有することが必要でありうる。例えば、ボルト接続がプロセス接続フランジ(例えば、
図1の参照符号106)の流管フランジ(例えば、
図1の参照符号110)への結合に用いられる場合、複数のボルトが、プロセスパイプのフランジを磁気流量計のフランジへ結合するために、導電性ポリマー基準接続部300を通過する必要がありうる。
【0028】
さらに、導電性ポリマー接地基準接続部300は、磁気流量計及び対応するプロセス配管のサイズに応じて様々な形状を含みうる。例えば、
図5に示されるように、導電性ポリマー基準接続部300は、導電性ポリマー基準接続部300を磁気流量計へ結合するように構成された開口部502を備えた端部500を有する本体302を含みうる。例えば、フラクショナル磁気流量計、即ち1インチ未満のラインサイズを有する磁気流量計において、端部500を備えた導電性ポリマー基準接続部300を有することが必要な場合がある。しかし、本発明によれば、導電性ポリマーの接地基準接続部の任意のサイズ及び形状を用いてもよい。
【0029】
図6は、本発明の1実施形態による測定装置アセンブリを組み立てる方法の流れ図である。方法600は、ブロック602で始まり、ここでは、測定装置が提供される。1実施形態において、測定装置は、ブロック604に示されるように流量計である。しかし、ブロック606に示されるように、他の測定装置が本発明の実施形態に従って用いられてもよい。
【0030】
次に、ブロック608に示されるように、導電性ポリマー基準接続部が提供される。本発明の1実施形態によれば、導電性ポリマー基準接続部は、測定装置の電子回路に基準測定値を提供するように構成されている。1実施形態において、これは、ブロック610に示されるように導電性ポリマーでオーバーモールド成形(被覆成形)された電極を提供することを包含する。別の実施形態において、これは、ブロック612に示されるようにライナー内に導電性ポリマー区画を提供することを含む。さらに、これは、ブロック614に示されるように、プロセスパイプと測定装置との間に導電性ポリマーシールを提供することを包含する。しかし、多種多様な別の導電性ポリマー基準接続部が、ブロック616に示されるように提供されうることが理解されるべきである。
【0031】
次に、ブロック618で、導電性ポリマー基準接続部は測定装置に結合される。1実施形態において、これは、ブロック620に示されるように、導電性ポリマー基準接続部のタブと測定装置の電子回路との間の有線接続を含む。しかし、ブロック622に示されるように、別の接続が導電性ポリマー基準接続部を測定装置の電子回路へ接続するように用いられうる。