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特許7217270ワイヤレス通信におけるヘッダフォーマット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ワイヤレス通信におけるヘッダフォーマット
(51)【国際特許分類】
   H04W 80/08 20090101AFI20230126BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20230126BHJP
   H04W 28/24 20090101ALI20230126BHJP
【FI】
H04W80/08
H04W28/06 110
H04W28/24
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020517137
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018047378
(87)【国際公開番号】W WO2019067107
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】62/564,113
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/105,885
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ユエ・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シェイレシュ・マヘシュワリ
(72)【発明者】
【氏名】アジズ・ゴルミエ
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン・バラスブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】シン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・メイラン
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,SDAP header[online],3GPP TSG RAN WG2 #97bis,3GPP,2017年04月07日,R2-1702644,検索日[2022.07.21],Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97bis/Docs/R2-1702644.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信デバイスにおけるワイヤレス通信の方法であって、
プロトコルレイヤから1つまたは複数のサービス品質(QoS)フローを受信するステップと、
前記送信デバイスと受信デバイスとの間で確立される1つまたは複数のデータ無線ベアラ(DRB)に前記1つまたは複数のQoSフローをマッピングするステップと、
前記1つまたは複数のDRBに対応する複数の媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)を送信するステップであって、各MACプロトコルデータユニット(PDU)が、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)ヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを備える、PDCP PDUを備える、ステップと
を備え、
前記PDCPペイロードが、
前記1つまたは複数のDRBに対応するサービスデータ適応プロトコル(SDAP)ヘッダおよびSDAPペイロードを備えるSDAP PDUを備え、前記SDAPヘッダが暗号化されない、
方法。
【請求項2】
前記SDAPペイロードが暗号化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信するステップが、
前記SDAPペイロードの優先順位付け情報を取得するために、前記部分的に暗号化されたPDCPペイロードから前記SDAPヘッダを読み取るステップと、
前記優先順位付け情報に基づいて、前記複数のMAC PDUの送信を優先順位付けるステップとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記優先順位付けるステップが、
各MAC PDUの中の前記SDAPペイロードの前記優先順位付け情報に基づいて、同じ論理チャネルの前記MAC PDUの送信を優先順位付けるステップを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
受信デバイスにおけるワイヤレス通信の方法であって、
パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)ヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを備える、PDCPプロトコルデータユニット(PDU)を備える媒体アクセス制御(MAC)PDUを受信するステップと、
前記部分的に暗号化されたPDCPペイロードから、1つまたは複数のサービス品質(QoS)フローに対応するサービスデータ適応プロトコル(SDAP)PDUを抽出するステップと、
前記SDAP PDUのSDAPペイロードを復号する前に前記1つまたは複数のQoSフローについての情報を取得するために、前記SDAP PDUのSDAPヘッダを読み取るステップと
を備える、方法。
【請求項6】
前記取得された情報から反映QoSインジケータ(RQI)を決定するステップと、
前記SDAPペイロードの前記復号を完了する前に、アップリンク(UL)送信のためのQoSフローとデータ無線ベアラ(DRB)との間のマッピングを前記RQIに基づいて作成するステップとをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記SDAP PDUを抽出する前記ステップが、
前記SDAPペイロードを復号するが、前記SDAPヘッダを復号しないステップを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
PDCPヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを備える、第2のPDCP PDUを備える第2のMAC PDUを受信するステップと、
1つまたは複数の第2のQoSフローに対応する第2のSDAP PDUを、前記第2のPDCP PDUの前記部分的に暗号化されたPDCPペイロードから抽出するステップと、
前記第2のSDAP PDUのSDAPペイロードを復号する前に前記1つまたは複数の第2のQoSフローについての情報を取得するために、前記第2のSDAP PDUのSDAPヘッダを読み取るステップとをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ワイヤレス通信のための装置であって、
実行可能コードを記憶したメモリと、
ワイヤレス通信のために構成されるトランシーバと、
前記メモリおよび前記トランシーバと通信可能に結合されるプロセッサとを備え、
前記プロセッサおよび前記メモリが、
プロトコルレイヤから1つまたは複数のサービス品質(QoS)フローを受信することと、
前記装置と受信デバイスとの間で確立される1つまたは複数のデータ無線ベアラ(DRB)に前記1つまたは複数のQoSフローをマッピングすることと、
前記1つまたは複数のDRBに対応する複数の媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)を送信することであって、各MACプロトコルデータユニット(PDU)が、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)ヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを備える、PDCP PDUを備える、ことと
をするように構成され、
前記PDCPペイロードが、
前記1つまたは複数のDRBに対応するサービスデータ適応プロトコル(SDAP)ヘッダおよびSDAPペイロードを備えるSDAP PDUを備え、前記SDAPヘッダが暗号化されない、
装置。
【請求項10】
前記SDAPペイロードが暗号化される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサおよび前記メモリがさらに、
前記SDAPペイロードの優先順位付け情報を取得するために、前記部分的に暗号化されたPDCPペイロードから前記SDAPヘッダを読み取ることと、
前記優先順位付け情報に基づいて、前記複数のMAC PDUの送信を優先順位付けることと
をするように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサおよび前記メモリがさらに、
各MAC PDUの中の前記SDAPペイロードの前記優先順位付け情報に基づいて、同じ論理チャネルの前記MAC PDUの送信を優先順位付けるように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ワイヤレス通信のための装置であって、
実行可能コードを記憶したメモリと、
ワイヤレス通信のために構成されるトランシーバと、
前記メモリおよび前記トランシーバと通信可能に結合されるプロセッサとを備え、
前記プロセッサおよび前記メモリが、
パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)ヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを備える、PDCPプロトコルデータユニット(PDU)を備える媒体アクセス制御(MAC)PDUを受信することと、
前記部分的に暗号化されたPDCPペイロードから、1つまたは複数のサービス品質(QoS)フローに対応するサービスデータ適応プロトコル(SDAP)PDUを抽出することと、
前記SDAP PDUのSDAPペイロードを復号する前に前記1つまたは複数のQoSフローについての情報を取得するために、前記SDAP PDUのSDAPヘッダを読み取ることと
をするように構成される、装置。
【請求項14】
前記プロセッサおよび前記メモリがさらに、
前記取得された情報から反映QoSインジケータ(RQI)を決定することと、
前記SDAPペイロードの前記復号を完了する前に、アップリンク(UL)送信のためのQoSフローとデータ無線ベアラ(DRB)との間のマッピングを前記RQIに基づいて作成することと
をするように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項16】
プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項5乃至8の何れか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月27日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第62/564,113号、および2018年8月20日に米国特許商標庁に出願された米国本特許出願第16/105,885号の優先権および利益を主張し、これらの出願の内容全体が、すべての適用可能な目的のためにその全体が以下で完全に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下で論じられる技術は、一般にワイヤレス通信システムに関し、より詳細には、ワイヤレス通信のためのネットワークプロトコルスタックおよびヘッダフォーマットに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信において、デバイスは、複数のプロトコルレイヤを含むネットワークプロトコルスタックを通じた送信のためにデータを処理し得る。たとえば、プロトコルスタックは、パケットデータ圧縮プロトコル(PDCP)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、および物理(PHY)レイヤを含み得る。MACレイヤは、PHYレイヤを構成する変調およびコーディング方式(MCS)を選択し得る。サービスデータユニット(SDU)は、上位プロトコルレイヤから下位プロトコルレイヤに伝えられるデータの単位を指すために使用される用語である。たとえば、MACレイヤは、RLCレイヤから1つまたは複数のSDUを受信する。次いで、MACレイヤは、SDUをMACプロトコルデータユニット(PDU)へとカプセル化する。たとえば、MAC PDUは、MACヘッダおよび1つまたは複数の上位レイヤSDUを含み得る。同様のカプセル化が他のプロトコルレイヤで実行され得る。いくつかのネットワーク実装形態では、データを暗号化するために、1つまたは複数のレイヤのヘッダが暗号化され得る。モバイルブロードバンドアクセスに対する需要が増大し続けるにつれて、研究開発は、モバイルブロードバンドアクセスに対する高まる需要を満たすためだけでなく、モバイル通信によるユーザ体験を進化および向上させるために、ワイヤレス通信技術を進化させ続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下は、本開示の1つまたは複数の態様の基本的理解を与えるために、そのような態様の簡略化された概要を提示する。本概要は、本開示のすべての企図される特徴の広範な概要でなく、本開示のすべての態様の主要または重要な要素を識別するものでも、本開示のいずれかまたはすべての態様の範囲を定めるものでもない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示の1つまたは複数の態様のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0005】
本開示の一態様は、送信デバイスにおけるワイヤレス通信の方法を提供する。送信デバイスは、プロトコルレイヤから1つまたは複数のサービス品質(QoS)フローを受信する。QoSフローは、システムによるサービス品質の取扱いを受けるものと特定されるインターネットプロトコル(IP)フローであり得る。送信デバイスは、送信デバイスと受信デバイスとの間で確立される1つまたは複数のデータ無線ベアラ(DRB)に1つまたは複数のQoSフローをマッピングする。送信デバイスは、1つまたは複数のDRBまたはQoSフローに対応する、複数の媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(PDU)を送信する。各MAC PDUは、パケットデータ圧縮プロトコル(PDCP)ヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを含む、PDCP PDUを含む。一例では、部分的に暗号化されたPDCPペイロードは、暗号化されないサービスデータ適応プロトコル(SDAP)ヘッダを含む。
【0006】
本開示の別の態様は、受信デバイスにおけるワイヤレス通信の方法を提供する。受信デバイスは、PDCPヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを含む、PDCP PDUを含むMAC PDUを受信する。受信デバイスは、部分的に暗号化されたPDCPペイロードから、1つまたは複数のQoSフローに対応するSDAP PDUを抽出する。受信デバイスは、SDAP PDUのSDAPペイロードを復号する前に1つまたは複数のQoSフローについての情報を取得するために、SDAP PDUのSDAPヘッダを読み取る。
【0007】
本開示の別の態様は、ワイヤレス通信のための装置を提供する。装置は、実行可能なコードを記憶するメモリと、ワイヤレス通信のために構成されるトランシーバと、メモリおよびトランシーバと通信可能に結合されるプロセッサとを含む。プロセッサおよびメモリは、プロトコルレイヤから1つまたは複数のQoSフローを受信するように構成される。プロセッサおよびメモリはさらに、装置と受信デバイスとの間で確立される1つまたは複数のDRBに1つまたは複数のQoSフローをマッピングするように構成される。プロセッサおよびメモリはさらに、1つまたは複数のDRBに対応する複数のMAC PDUを送信するように構成される。各MAC PDUは、PDCPヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを含む、PDCP PDUを含む。一例では、部分的に暗号化されたPDCPペイロードは、暗号化されないSDAPヘッダを含む。
【0008】
本開示の別の態様は、ワイヤレス通信のための装置を提供する。装置は、実行可能なコードを記憶するメモリと、ワイヤレス通信のために構成されるトランシーバと、メモリおよびトランシーバと通信可能に結合されるプロセッサとを含む。プロセッサおよびメモリは、PDCPヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを含むPDCP PDUを含む、MAC PDUを受信するように構成される。プロセッサおよびメモリはさらに、部分的に暗号化されたPDCPペイロードから、1つまたは複数のQoSフローに対応するSDAP PDUを抽出するように構成される。プロセッサおよびメモリはさらに、SDAP PDUのSDAPペイロードを復号する前に1つまたは複数のQoSフローについての情報を取得するために、SDAP PDUのSDAPヘッダを読み取るように構成される。
【0009】
以下の詳細な説明を検討すれば、本発明のこれらおよび他の態様がより十分に理解されよう。添付の図とともに本発明の特定の例示的な実施形態の以下の説明を検討すれば、本発明の他の態様、特徴、および実施形態が当業者に明らかとなろう。本発明の特徴は、以下のいくつかの実施形態および図に対して論じられることがあるが、本発明のすべての実施形態は、本明細書で論じられる有利な特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。言い換えれば、1つまたは複数の実施形態がいくつかの有利な特徴を有するものとして論じられることがあるが、そのような特徴のうちの1つまたは複数はまた、本明細書で論じられる本発明の様々な実施形態に従って使用され得る。同様に、例示的な実施形態が、デバイス実施形態、システム実施形態、または方法実施形態として以下で論じられることがあるが、そのような例示的な実施形態が、様々なデバイス、システム、および方法において実装され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ワイヤレス通信システムの概略図である。
図2】無線接続ネットワーク(RAN)の例の概念図である。
図3】本開示のいくつかの態様による例示的な自己完結型のスロットの概略図である。
図4】本開示のいくつかの態様による、ワイヤレス通信のためのユーザプレーンプロトコルスタックを示す図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、UEと、gNBと、ユーザプレーン機能(UPF)との間で確立されるPDUセッションを示す図である。
図6】本開示のいくつかの態様による、例示的なMACプロトコルデータユニット(PDU)を示す図である。
図7】本開示のいくつかの態様による、スケジューリングエンティティのハードウェア実装形態の例を概念的に示すブロック図である。
図8】本開示のいくつかの態様による、スケジューリングされるエンティティのハードウェア実装形態の例を概念的に示すブロック図である。
図9】本開示のいくつかの態様による、暗号化されていないサービスデータ適応プロトコル(SDAP)ヘッダを伴うパケット構造を使用する送信デバイスにおけるワイヤレス通信のための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図10】本開示のいくつかの態様による、暗号化されていないSDAPヘッダを伴うMAC PDUを形成するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図11】本開示のいくつかの態様による、暗号化プロセスおよび復号プロセスを示す図である。
図12】本開示のいくつかの態様による、暗号化されていないSDAPヘッダを伴うパケット構造を使用する受信デバイスにおけるワイヤレス通信のための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関して以下に記載される発明を実施するための形態は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明される概念が実践され得る唯一の構成を表すことは意図されない。発明を実施するための形態は、様々な概念の完全な理解を与える目的で、具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念はこれらの具体的な詳細なしに実践され得ることが、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にするのを回避する目的で、周知の構造および構成要素がブロック図の形式で示されている。
【0012】
態様および実施形態は、いくつかの例を例示することによって本出願で説明されるが、当業者は、追加の実装形態および使用事例が多くの異なる構成およびシナリオにおいて生じ得ることを理解するであろう。本明細書で説明される革新は、多くの異なるプラットフォームタイプ、デバイス、システム、形状、サイズ、パッケージング配置にわたって実装され得る。たとえば、実施形態および/または用途は、集積チップの実施形態および他の非モジュール構成要素ベースのデバイス(たとえば、エンドユーザデバイス、車両、通信デバイス、コンピューティングデバイス、産業機器、小売/購買デバイス、医療デバイス、AI対応デバイスなど)を介して生じ得る。いくつかの例は、特に使用事例または適用例を対象とすることもまたはしないこともあるが、説明される革新の幅広い種類の適用可能性が生じ得る。実装形態は、チップレベルまたはモジュール式の構成要素から非モジュール式で非チップレベルの実装形態までの、またさらには、説明される革新の1つまたは複数の態様を組み込む、集約された、分散された、またはOEMのデバイスまたはシステムまでの範囲に及ぶことがある。いくつかの実際の設定では、説明される態様および特徴を組み込むデバイスはまた、特許請求および説明される実施形態の実装および実践のために、追加の構成要素および特徴を必然的に含み得る。たとえば、ワイヤレス信号の送信および受信は、アナログ用途およびデジタル用途のためのいくつかの構成要素(たとえば、アンテナ、RFチェーン、電力増幅器、変調器、バッファ、プロセッサ、インターリーバ、加算器(adder)/加算器(summer)などを含む、ハードウェア構成要素)を必然的に含む。本明細書で説明される革新が、様々なサイズ、形状、および構造の、多種多様なデバイス、チップレベル構成要素、システム、分散型配置、エンドユーザデバイスなどにおいて実践され得ることが意図される。
【0013】
本開示の態様は、階層化されたプロトコルスタックを使用するワイヤレス通信における一定の最適化を促進し得るデータパケットフォーマットを提供する。そのような最適化のいくつかの例は、送信の間のデータ優先順位付けおよび受信の間のパケット前処理を含む。
【0014】
本開示全体にわたって提示される様々な概念は、幅広い種類の通信システム、ネットワークアーキテクチャ、および通信規格にわたって実装され得る。ここで図1を参照すると、限定ではなく説明のための例として、本開示の様々な態様は、ワイヤレス通信システム100を参照して示される。ワイヤレス通信システム100は、コアネットワーク102、無線接続ネットワーク(RAN)104、およびユーザ機器(UE)106という3つの相互作用する領域を含む。ワイヤレス通信システム100によって、UE106は、(限定はされないが)インターネットなどの外部データネットワーク110とのデータ通信を実施することが可能にされ得る。
【0015】
RAN104は、UE106に無線接続を提供するための、1つまたは複数の任意の適切なワイヤレス通信技術を実装し得る。一例として、RAN104は、しばしば5Gと呼ばれる、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ニューラジオ(NR)規格に従って動作し得る。別の例として、RAN104は、5G NR、およびLTEとしばしば呼ばれるEvolved Universal Terrestrial Radio Access Network(eUTRAN)規格の混合状態で動作し得る。3GPPは、この混合RANを次世代RANまたはNG-RANと呼ぶ。当然、本開示の範囲内で、多くの他の例が利用され得る。
【0016】
示されるように、RAN104は複数の基地局108を含む。大まかに、基地局は、UEへのまたはUEからの1つまたは複数のセルにおける無線送信および受信を担う、無線接続ネットワークの中のネットワーク要素である。異なる技術、規格、または文脈では、基地局は、ベーストランシーバ基地局(BTS)、無線基地局、無線トランシーバ、トランシーバ機能、基本サービスセット(BSS)、拡張サービスセット(ESS)、アクセスポイント(AP)、Node B(NB)、eNode B(eNB)、gNode B(gNB)、または何らかの他の適切な技術として、当業者によって様々に呼ばれることがある。
【0017】
複数のモバイル装置のためのワイヤレス通信をサポートする、無線アクセスネットワーク104がさらに示されている。モバイル装置は、3GPP規格ではユーザ機器(UE)と呼ばれることがあるが、移動局(MS)、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末(AT)、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、端末、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、または何らかの他の適切な技術としても、当業者によって呼ばれることがある。UEは、ネットワークサービスへのアクセスをユーザに提供する装置であり得る。
【0018】
本文書内では、「モバイル」装置は、移動する能力を必ずしも有する必要はなく、静止式であってよい。モバイル装置またはモバイルデバイスという用語は、多様なデバイスおよび技術を広く指す。UEは、通信を助けるような大きさにされ、そのような形状にされ、かつそのように配置されるいくつかのハードウェア構造構成要素を含むことがあり、そのような構成要素は、互いに電気的に接続される、アンテナ、アンテナアレイ、RFチェーン、増幅器、1つまたは複数のプロセッサなどを含み得る。たとえば、モバイル装置のいくつかの非限定的な例は、携帯電話、セルラー(セル)電話、スマートフォン、セッション開始プロトコル(SIP)電話、ラップトップ、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートブック、ネットブック、スマートブック、タブレット、携帯情報端末(PDA)、および、たとえば「Internet of Things」(IoT)に対応する広範な組込み式システムを含む。モバイル装置は加えて、自動車または他の輸送用車両、リモートセンサまたはアクチュエータ、ロボットまたはロボティクスデバイス、衛星無線、全地球測位システム(GPS)デバイス、物体追跡デバイス、ドローン、マルチコプター、クアッドコプター、遠隔制御デバイス、消費者デバイスおよび/またはウェアラブルデバイス、たとえばアイウェア、ウェアラブルカメラ、仮想現実デバイス、スマートウォッチ、健康もしくはフィットネストラッカー、デジタルオーディオプレーヤ(たとえば、MP3プレーヤ)、カメラ、ゲームコンソールなどであってよい。モバイル装置は加えて、ホームオーディオ、ビデオ、および/またはマルチメディアデバイス、家電機器、自動販売機、インテリジェント照明、ホームセキュリティシステム、スマートメーターなどの、デジタルホームデバイスまたはスマートホームデバイスであってよい。モバイル装置は加えて、スマートエネルギーデバイス、セキュリティデバイス、ソーラーパネルまたはソーラーアレイ、電力を制御する都市インフラストラクチャデバイス(たとえば、スマートグリッド)、照明、水道など、産業用オートメーションおよび企業向けデバイス、物流コントローラ、農業用機器、防衛用機器、車両、航空機、船舶、および兵器類などであってよい。またさらに、モバイル装置は、接続された医療または遠隔医療サポート、たとえば、遠隔での保健医療を提供し得る。遠隔医療デバイスは、遠隔医療監視デバイスおよび遠隔医療運営デバイスを含むことがあり、これらの通信は、たとえば重要なサービスデータの輸送のための優先的なアクセス、および/または重要なサービスデータの輸送のための関連するサービス品質(QoS)に関して、他のタイプの情報よりも優先的な取扱いまたは優遇されたアクセス権を与えられ得る。
【0019】
RAN104とUE106との間のワイヤレス通信は、エアインターフェースを利用するものとして説明され得る。基地局(たとえば、基地局108)から1つまたは複数のUE(たとえば、UE106)へのエアインターフェースを介した送信は、ダウンリンク(DL)送信と呼ばれ得る。本開示のいくつかの態様によれば、ダウンリンクという用語は、スケジューリングエンティティ(以下でさらに説明される、たとえば基地局108)において発する一地点対多地点送信を指し得る。本方式を説明するための別の方法は、ブロードキャストチャネル多重化という用語を使用することであり得る。UE(たとえば、UE106)から基地局(たとえば、基地局108)への送信は、アップリンク(UL)送信と呼ばれ得る。本開示のさらなる態様によれば、アップリンクという用語は、スケジューリングされるエンティティ(以下でさらに説明される、たとえばUE106)において発する一地点対一地点送信を指し得る。
【0020】
いくつかの例では、エアインターフェースへのアクセスがスケジューリングされることがあり、ここで、スケジューリングエンティティ(たとえば、基地局108)は、そのサービスエリアまたはセル内にある、一部またはすべてのデバイスおよび機器の間の通信のためにリソースを割り振る。本開示内で、以下でさらに論じられるように、スケジューリングエンティティは、1つまたは複数のスケジューリングされるエンティティのためのスケジューリング、割り当て、再構成、およびリソースの解放を担い得る。すなわち、スケジューリングされた通信のために、スケジューリングされるエンティティであり得るUE106は、スケジューリングエンティティ108によって割り振られるリソースを利用し得る。
【0021】
基地局108は、スケジューリングエンティティとして機能し得る唯一のエンティティではない。すなわち、いくつかの例では、UEは、スケジューリングエンティティ、すなわち、1つまたは複数のスケジューリングされるエンティティ(たとえば、1つまたは複数の他のUE)のためのスケジューリングリソースとして機能し得る。
【0022】
図1に示されるように、スケジューリングエンティティ108は、ダウンリンクトラフィック112を1つまたは複数のスケジューリングされるエンティティ106にブロードキャストし得る。大まかに、スケジューリングエンティティ108は、ダウンリンクトラフィック112、およびいくつかの例では、1つまたは複数のスケジューリングされるエンティティ106からスケジューリングエンティティ108へのアップリンクトラフィックを含めて、ワイヤレス通信ネットワークにおけるトラフィックのスケジューリングを担うノードまたはデバイスである。一方、スケジューリングされるエンティティ106は、限定はされないが、スケジューリング情報(たとえば、グラント)、同期もしくはタイミング情報、またはスケジューリングエンティティ108などのワイヤレス通信ネットワークの中の別のエンティティからの他の制御情報を含む、ダウンリンク制御情報114を受信するノードまたはデバイスである。
【0023】
一般に、基地局108は、ワイヤレス通信システムのバックホール部分120との通信のためのバックホールインターフェースを含み得る。バックホール120は、基地局108とコアネットワーク102との間のリンクを提供し得る。さらに、いくつかの例では、バックホールネットワークは、それぞれの基地局108間の相互接続を提供し得る。任意の適切なトランスポートネットワークを使用した、直接の物理的な接続、仮想ネットワークなどの、様々なタイプのバックホールインターフェースが利用され得る。
【0024】
コアネットワーク102は、ワイヤレス通信システム100の一部であることがあり、RAN104において使用される無線接続技術とは無関係であることがある。いくつかの例では、コアネットワーク102は、5G規格(たとえば、5GC)に従って構成され得る。他の例では、コアネットワーク102は、4G evolved packet core(EPC)、または任意の他の適切な規格もしくは構成に従って構成され得る。
【0025】
ここで図2を参照すると、限定ではなく例として、RAN200の概略的な図示が与えられる。いくつかの例では、RAN200は、上で説明され図1に示されるRAN104と同じであり得る。RAN200によってカバーされる地理的エリアは、1つのアクセスポイントまたは基地局からブロードキャストされる識別情報に基づいてユーザ機器(UE)によって一意に識別され得る、セルラー領域(セル)へと分割され得る。図2は、各々が1つまたは複数のセクタ(図示されず)を含み得る、マクロセル202、204、および206、ならびにスモールセル208を示す。セクタはセルのサブエリアである。1つのセル内のすべてのセクタが、同じ基地局によってサービスされる。セクタ内の無線リンクは、そのセクタに属する単一の論理的な識別情報によって識別され得る。セクタへと分割されるセルでは、セル内の複数のセクタはアンテナのグループによって形成されることがあり、各アンテナはセルの部分の中のUEとの通信を担う。
【0026】
図2では、2つの基地局210および212がセル202および204において示され、セル206の中のリモートラジオヘッド(RRH)216を制御する第3の基地局214が示されている。すなわち、基地局は、統合されたアンテナを有することができ、またはフィーダケーブルによってアンテナもしくはRRHへと接続され得る。示される例では、セル202、204、および206はマクロセルと呼ばれることがあり、それは基地局210、212、および214が大きいサイズを有するセルをサポートするからである。さらに、基地局218が、1つまたは複数のマクロセルと重複し得るスモールセル208(たとえば、マイクロセル、ピコセル、フェムトセル、ホーム基地局、ホームNode B、ホームeNode Bなど)において示されている。この例では、セル208はスモールセルと呼ばれることがあり、それは基地局218が比較的小さいサイズを有するセルをサポートするからである。セルのサイズ決定は、システム設計ならびに構成要素の制約に従って行われ得る。
【0027】
無線接続ネットワーク200は、任意の数のワイヤレス基地局およびセルを含み得ることを理解されたい。さらに、所与のセルのサイズまたはカバレッジエリアを拡大するために、中継ノードが展開され得る。基地局210、212、214、218は、任意の数のモバイル装置のためのコアネットワークにワイヤレスアクセスポイントを提供する。いくつかの例では、基地局210、212、214、および/または218は、上で説明され図1に示される基地局/スケジューリングエンティティ108と同じであり得る。
【0028】
図2はさらに、基地局として機能するように構成され得るクアッドコプターまたはドローン220を含む。すなわち、いくつかの例では、セルは必ずしも不動ではないことがあり、セルの地理的エリアは、クアッドコプター220などの移動基地局の位置に従って移動することがある。
【0029】
RAN200内で、セルは、各セルの1つまたは複数のセクタと通信していることがあるUEを含み得る。さらに、各基地局210、212、214、218、および220は、それぞれのセルの中のすべてのUEのために、コアネットワーク102(図1参照)へのアクセスポイントを提供するように構成され得る。たとえば、UE222および224は基地局210と通信していてよく、UE226および228は基地局212と通信していてよく、UE230および232はRRH216を経由して基地局214と通信していてよく、UE234は基地局218と通信していてよく、UE236は移動基地局220と通信していてよい。いくつかの例では、UE222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、および/または242は、上で説明され図1に示されるUE/スケジューリングされるエンティティ106と同じであり得る。
【0030】
いくつかの例では、モバイルネットワークノード(たとえば、クアッドコプター220)が、UEとして機能するように構成され得る。たとえば、クアッドコプター220は、基地局210と通信することによってセル202内で動作し得る。
【0031】
RAN200のさらなる態様では、基地局からのスケジューリング情報または制御情報に必ずしも依存することなく、UE間でサイドリンク信号が使用され得る。たとえば、2つ以上のUE(たとえば、UE226および228)は、基地局(たとえば、基地局212)を通じてその通信を中継することなく、ピアツーピア(P2P)またはサイドリンク信号227を使用して互いと通信し得る。さらなる例では、UE240および242と通信するUE238が示される。ここで、UE238はスケジューリングエンティティまたは主要サイドリンクデバイスとして機能することができ、UE240および242はスケジューリングされるエンティティまたは非主要(たとえば、二次的)サイドリンクデバイスとして機能することができる。さらに別の例では、UEは、デバイスツーデバイス(D2D)、ピアツーピア(P2P)、もしくはビークルツービークル(V2V)ネットワークにおいて、および/またはメッシュネットワークにおいて、スケジューリングエンティティとして機能し得る。メッシュネットワークの例では、UE240および242は、スケジューリングエンティティ238と通信することに加えて、任意選択で互いに直接通信し得る。したがって、時間-周波数リソースへのスケジューリングされたアクセス権がありセルラー構成、P2P構成、またはメッシュ構成を有するワイヤレス通信システムでは、スケジューリングエンティティおよび1つまたは複数のスケジューリングされるエンティティは、スケジューリングされるリソースを利用して通信し得る。
【0032】
無線接続ネットワーク200では、位置とは無関係に移動中に通信するためのUEの能力が、モビリティと呼ばれる。UEと無線接続ネットワークとの間の様々な物理チャネルは一般に、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF、図示されておらず、図1のコアネットワーク102の一部である)の制御のもとでセットアップされ、維持され、解放され、AMFは、制御プレーン機能とユーザプレーン機能の両方のためのセキュリティコンテキストを管理するセキュリティコンテキスト管理機能(SCMF)、および認証を実行するセキュリティアンカー機能(SEAF)を含み得る。
【0033】
本開示の様々な態様では、無線接続ネットワーク200は、モビリティおよびハンドオーバー(すなわち、ある無線チャネルから別の無線チャネルへのUEの接続の移転)を可能にするために、DLベースのモビリティまたはULベースのモビリティを利用し得る。DLベースのモビリティのために構成されるネットワークでは、スケジューリングエンティティとの呼の間に、または任意の他の時間に、UEは、そのサービングセルからの信号の様々なパラメータ、ならびに近隣セルの様々なパラメータを監視し得る。これらのパラメータの品質に応じて、UEは、近隣セルのうちの1つまたは複数との通信を維持することができる。この時間の間に、UEがあるセルから別のセルに移動する場合、または近隣セルからの信号品質が所与の時間の間サービングセルからの信号品質を超える場合、UEはサービングセルからその近隣(ターゲット)セルへのハンドオフまたはハンドオーバーに取りかかり得る。たとえば、UE224(車両として示されているが、任意の適切な形式のUEが使用され得る)は、近隣セル206に対応する地理的エリアに、そのサービングセル202に対応する地理的エリアから移動し得る。近隣セル206からの信号強度または信号品質が、所与の時間の間サービングセル202の信号強度または信号品質を超えるとき、UE224は、この条件を示す報告メッセージをそのサービング基地局210に送信し得る。それに応答して、UE224はハンドオーバーコマンドを受信することができ、UEはセル206へのハンドオーバーを受けることができる。
【0034】
ULベースのモビリティのために構成されるネットワークでは、各UEからのUL基準信号が、各UEのためのサービングセルを選択するためにネットワークによって利用され得る。いくつかの例では、基地局210、212、および214/216は、統一された同期信号(たとえば、統一された1次同期信号(PSS)、統一された2次同期信号(SSS)、および統一された物理ブロードキャストチャネル(PBCH))をブロードキャストし得る。UE222、224、226、228、230、および232は、統一された同期信号を受信し、同期信号からキャリア周波数およびスロットタイミングを導出し、タイミングを導出したことに応答して、アップリンクパイロットまたは基準信号を送信し得る。UE(たとえば、UE224)によって送信されるアップリンクパイロット信号は、無線接続ネットワーク200内の2つ以上のセル(たとえば、基地局210および214/216)によって同時に受信され得る。セルの各々がパイロット信号の強度を測定することができ、無線接続ネットワーク(たとえば、基地局210および214/216のうちの1つもしくは複数ならびに/またはコアネットワーク内の中心ノード)が、UE224のためのサービングセルを決定することができる。UE224が無線接続ネットワーク200を通って移動するにつれて、ネットワークは、UE224によって送信されるアップリンクパイロット信号を監視し続け得る。近隣セルによって測定されるパイロット信号の信号強度または品質が、サービングセルによって測定される信号強度または品質を超えるとき、ネットワーク200は、UE224に知らせて、または知らせることなく、サービングセルから近隣セルにUE224をハンドオーバーし得る。
【0035】
基地局210、212、および214/216によって送信される同期信号は統一され得るが、同期信号は特定のセルを識別しないことがあり、むしろ、同じ周波数で動作する、かつ/または同じタイミングを有する複数のセルのゾーンを識別することがある。5Gネットワークまたは次世代通信ネットワークにおけるゾーンの使用は、アップリンクベースのモビリティフレームワークを可能にし、UEとネットワークの両方の効率を高め、それは、UEとネットワークとの間で交換される必要があるモビリティメッセージの数が減り得るからである。
【0036】
様々な実装形態では、無線アクセスネットワーク200におけるエアインターフェースは、免許スペクトル、免許不要スペクトル、または共有スペクトルを利用し得る。免許スペクトルは、一般に、モバイルネットワーク事業者が政府規制機関からライセンスを購入することによって、スペクトルの一部分の独占的使用を可能にする。免許不要スペクトルは、政府により与えられたライセンスの必要なしで、スペクトルの一部分の共用を可能にする。一般に、免許不要スペクトルにアクセスするには、いくつかの技術的な規則への適合が依然として必要とされるが、一般に、いかなる事業者またはデバイスもアクセス権を得ることができる。共有スペクトルは、免許スペクトルと免許不要スペクトルの間に入ることがあり、スペクトルにアクセスするために、技術的な規則または制限が必要とされることがあるが、スペクトルはそれでも、複数の事業者および/または複数のRATによって共有され得る。たとえば、免許スペクトルの一部分に対する免許の保有者は、たとえば、アクセス権を得るためにライセンシーによって決定された適切な条件とともにそのスペクトルを他の当事者と共有するために、免許共有アクセス(LSA: licensed shared access)を提供し得る。
【0037】
無線接続ネットワーク200におけるエアインターフェースは、1つまたは複数の複信アルゴリズムを利用し得る。複信とは、両方のエンドポイントが両方の方向に互いに通信できる、ポイントツーポイントリンクを指す。全複信とは、両方のエンドポイントが互いに同時に通信できることを意味する。半複信とは、ある時間に一方のエンドポイントのみが他方に情報を送信できることを意味する。ワイヤレスリンクにおいて、全複信チャネルは一般に、送信機および受信機の物理的な分離、ならびに適切な干渉打消し技法に依存する。全複信のエミュレーションが頻繁に、周波数分割複信(FDD)または時分割複信(TDD)を利用することによってワイヤレスリンクのために実施される。FDDでは、異なる方向の送信は異なるキャリア周波数において動作する。TDDでは、所与のチャネル上での異なる方向への送信は、時分割複信を使用して互いに離隔される。すなわち、ある時間には、チャネルが一方の方向への送信に専用であり、一方で他の時間には、そのチャネルは他方の方向への送信に専用であり、方向は非常に高速に、たとえばスロット当たり数回変化し得る。
【0038】
無線アクセスネットワーク200を介した送信が、低いブロックエラーレート(BLER)を得ながら、それでも非常に高いデータレートを達成するために、チャネルコーディングが使用され得る。すなわち、ワイヤレス通信は、一般に、適切な誤り訂正ブロック符号を利用し得る。典型的なブロック符号では、情報メッセージまたは情報シーケンスが符号ブロック(CB)に分割され、送信デバイスにおけるエンコーダ(たとえば、コーデック)が、次いで、数学的に冗長性を情報メッセージに加える。符号化された情報メッセージにおけるこの冗長性の活用は、メッセージの信頼性を改善することができ、雑音に起因して発生することがある任意のビット誤りに対する訂正を可能にする。
【0039】
早期の5G NR仕様では、ユーザデータが2つの異なるベースグラフ(base graph)とともに準巡回低密度パリティチェック(LDPC)を使用してコーディングされ、一方のベースグラフが大きい符号ブロックおよび/または高い符合レートのために使用され、他方のベースグラフが他の場合に使用される。制御情報および物理ブロードキャストチャネル(PBCH)は、ネストされるシーケンスに基づいて、ポーラコーディングを使用してコーディングされる。これらのチャネルに対して、レートマッチングのために、パンクチャリング、短縮化、および反復が使用される。
【0040】
しかしながら、本開示の態様は任意の適切なチャネル符号を利用して実装され得ることを、当業者は理解するであろう。スケジューリングエンティティ108およびスケジューリングされるエンティティ106の様々な実装形態は、ワイヤレス通信のためのこれらのチャネル符号のうちの1つまたは複数を利用するための適切なハードウェアおよび能力(たとえば、エンコーダ、デコーダ、および/またはコーデック)を含み得る。
【0041】
無線接続ネットワーク200の中のエアインターフェースは、様々なデバイスの同時通信を可能にするために、1つまたは複数の多重化および多元接続アルゴリズムを利用し得る。たとえば、5G NR規格は、UE222および224から基地局へのUL送信のために、および基地局210から1つまたは複数のUE222および224へのDL送信のための多重化のために多元接続を提供し、巡回プレフィックス(CP)を用いた直交周波数分割多重化(OFDM)を利用する。加えて、UL送信のために、5G NR規格は、CPを用いた離散フーリエ変換-拡散-OFDM(DFT-s-OFDM)(シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)とも呼ばれる)をサポートする。しかしながら、本開示の範囲内で、多重化および多元接続は上の方式に限定されず、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、スパース符号多元接続(SCMA)、リソース拡散多元接続(RSMA)、または他の適切な多元接続方式を利用して提供され得る。さらに、基地局210からUE222および224へのDL送信の多重化は、時分割多重化(TDM)、符号分割多重化(CDM)、周波数分割多重化(FDM)、直交周波数分割多重化(OFDM)、スパース符号多重化(SCM)、または他の適切な多重化方式を利用して提供され得る。
【0042】
本開示内で、フレームはワイヤレス送信のための所定の時間長(たとえば、10ms)の時間長を指すことがあり、各フレームは所定の数のサブフレーム(たとえば、各々1msの10個のサブフレーム)からなる。所与のキャリア上で、ULにおいてフレームのあるセットが、およびDLにおいてフレームの別のセットがあることがある。各サブフレームは、1つまたは複数の隣接するスロットからなり得る。いくつかの例では、スロットは、所与の巡回プレフィックス(CP)長を伴う指定された数のOFDMシンボルに従って定義され得る。たとえば、スロットは、ノミナルのCPを伴う7個または14個のOFDMシンボルを含み得る。追加の例は、より短い時間長(たとえば、1つまたは2つのOFDMシンボル)を有するミニスロットを含み得る。これらのミニスロットは、場合によっては、同じUEまたは異なるUEのための進行中のスロット送信のためにスケジューリングされるリソースを占有して送信されることがある。例示的なスロットは、制御領域およびデータ領域を含み得る。一般に、制御領域は制御チャネルを搬送することができ、データ領域はデータチャネルを搬送することができる。当然、スロットは、すべてのDL、すべてのUL、または少なくとも1つのDL部分および少なくとも1つのUL部分を含み得る。本開示のいくつかの態様では、異なるスロット構造が利用されることがあり、制御領域およびデータ領域の各々のうちの1つまたは複数を含むことがある。
【0043】
DL送信において、送信デバイス(たとえば、スケジューリングエンティティ108)は、PBCH、PSS、SSS、物理制御フォーマットインジケータチャネル(PCFICH)、物理ハイブリッド自動再送要求(HARQ)インジケータチャネル(PHICH)、および/または物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)などの、1つまたは複数のDL制御チャネルを含むDL制御情報114を1つまたは複数のスケジューリングされるエンティティ106に搬送するために、1つまたは複数のリソース要素(RE)(たとえば、制御領域内の時間-周波数リソース)を割り振り得る。PCFICHは、PDCCHを受信して復号する際に受信デバイスを助けるための情報を提供する。PDCCHは、電力制御コマンド、スケジューリング情報、グラント、ならびに/またはDL送信およびUL送信のためのREの割当てを含むがそれらには限定されない、ダウンリンク制御情報(DCI)を搬送する。PHICHは、肯定応答(ACK)または否定応答(NACK)などのHARQフィードバック送信を搬送する。HARQは当業者によく知られている技法であり、パケット送信の完全性が、たとえば、チェックサムまたは巡回冗長検査(CRC)などの任意の適切な完全性検査機構を利用して、精度について受信側で検査され得る。送信の完全性が確認される場合、ACKが送信されてよく、確認されない場合、NACKが送信されてよい。NACKに応答して、送信デバイスは、chase combining、incremental redundancyなどを実装し得る、HARQ再送信を送信し得る。
【0044】
UL送信では、送信デバイス(たとえば、スケジューリングされるエンティティ106)は、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)などの1つまたは複数のUL制御チャネルを含むUL制御情報118をスケジューリングエンティティ108に搬送するために、1つまたは複数のREを利用し得る。UL制御情報は、パイロット、基準信号、およびアップリンクデータ送信の復号を可能にするように、またはそれを助けるように構成される情報を含む、様々なパケットタイプおよびカテゴリを含み得る。いくつかの例では、制御情報118は、スケジューリング要求(SR)、たとえば、アップリンク送信をスケジューリングすることを求めるスケジューリングエンティティ108に対する要求を含み得る。ここで、制御チャネル118上で送信されるSRに応答して、スケジューリングエンティティ108は、アップリンクパケット送信のためのリソースをスケジューリングし得るダウンリンク制御情報114を送信し得る。UL制御情報はまた、HARQフィードバック、チャネル状態フィードバック(CSF)、または任意の他の適切なUL制御情報を含み得る。
【0045】
制御情報に加えて、(たとえば、データ領域内の)1つまたは複数のREが、ユーザデータまたはトラフィックデータのために割り振られ得る。そのようなトラフィックは、DL送信、すなわち物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)、またはUL送信、すなわち物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)などのために、1つまたは複数のトラフィックチャネル上で搬送され得る。いくつかの例では、データ領域内の1つまたは複数のREは、システム情報ブロック(SIB)を搬送するように構成されることがあり、所与のセルへのアクセスを可能にし得る情報を搬送する。
【0046】
上で説明され、図1に示されたチャネルまたはキャリアは、必ずしも、スケジューリングエンティティ108とスケジューリングされるエンティティ106との間で利用され得るすべてのチャネルまたはキャリアであるとは限らず、当業者は、図示されたものに加えて、他のトラフィックチャネル、制御チャネル、およびフィードバックチャネルなどの他のチャネルまたはキャリアが利用され得ることを認識するであろう。
【0047】
上で説明されたこれらの物理チャネルは一般に、媒体アクセス制御(MAC)レイヤにおける取扱いのために、多重化されトランスポートチャネルにマッピングされる。トランスポートチャネルは、トランスポートブロック(TB)と呼ばれる情報のブロックを搬送する。情報のビットの数に対応し得る、トランスポートブロックサイズ(TBS)は、変調およびコーディング方式(MCS)ならびに所与の送信の中のRBの数に基づく、制御されたパラメータであり得る。
【0048】
本開示のある態様によれば、1つまたは複数のスロットは、自己完結型のスロットとして構築され得る。たとえば、図3は、自己完結型のスロット300および350の2つの例示的な構造を示す。自己完結型スロット300および/または350は、いくつかの例では、スケジューリングエンティティ108とスケジューリングされるエンティティ106との間のワイヤレス通信において使用され得る。
【0049】
示される例では、DL中心スロット300は、送信機によってスケジューリングされたスロットであり得る。DL中心という命名は一般に、DL方向への送信(たとえば、スケジューリングエンティティ108からスケジューリングされるエンティティ106への送信)により多くのリソースが割り振られるような構造を指す。同様に、UL中心スロット350は、受信機によってスケジューリングされたスロットであってよく、より多くのリソースがUL方向への送信(たとえば、スケジューリングされるエンティティ106からスケジューリングエンティティ108への送信)のために割り振られる。
【0050】
自己完結型のスロット300および350などの各スロットは、送信(Tx)部分および受信(Rx)部分を含み得る。たとえば、DL中心スロット300では、スケジューリングエンティティ108はまず、たとえば、DL制御領域302においてPDCCH上で制御情報を送信する機会を有し、次いで、たとえば、DLデータ領域304においてPDSCH上でDLユーザデータまたはトラフィックを送信する機会を有する。適切な時間長310を有するガード期間(GP)領域306に続いて、スケジューリングエンティティ108は、ULバースト308において、キャリアを使用して他のエンティティから、任意のULスケジューリング要求、CSF、HARQ ACK/NACKなどを含むULデータおよび/またはULフィードバックを受信する機会を有する。ここで、DL中心スロット300などのスロットは、データ領域304において搬送されるデータのすべてが同じスロットの制御領域302においてスケジューリングされるとき、およびさらに、データ領域304において搬送されるデータのすべてが同じスロットのULバースト308において肯定応答される(または少なくとも肯定応答される機会を有する)とき、自己完結型のスロットと呼ばれ得る。このようにして、各々の自己完結型のスロットは、任意の所与のパケットのためのスケジューリング-送信-肯定応答のサイクルをいずれかの他のスロットが完了することを必ずしも必要としない、自己完結型のエンティティであると見なされ得る。
【0051】
GP領域306は、ULタイミングおよびDLタイミングの変動に対応するために含まれ得る。たとえば、(たとえば、DLからULへの)高周波(RF)アンテナ方向の切替えによるレイテンシおよび送信経路のレイテンシにより、スケジューリングされたエンティティ106は、DLタイミングと一致するようにUL上で早期に送信することがある。そのような早期の送信は、スケジューリングエンティティ108から受信されたシンボルに干渉することがある。したがって、GP領域306により、DLデータ領域304の後の時間の量が干渉を防ぐことが可能になることがあり、その場合、GP領域306は、スケジューリングエンティティ108がそのRFアンテナ方向を切り替えるための適切な時間の量、over-the-air(OTA)送信のための適切な時間の量、およびスケジューリングされるエンティティによるACK処理のための適切な時間の量を与える。
【0052】
同様に、UL中心スロット350は、自己完結型のスロットとして構成され得る。UL中心スロット350は、DL中心スロット300と実質的に類似しており、ガード期間354と、ULデータ領域356と、ULバースト領域358とを含む。
【0053】
スロット300および350に示されるスロット構造は、自己完結型のスロットの一例にすぎない。他の例は、あらゆるスロットの最初にある共通DL部分と、あらゆるスロットの最後にある共通UL部分とを含むことがあり、これらのそれぞれの部分と部分の間のスロットの構造に様々な差がある。それでも、他の例が本開示の範囲内で提供され得る。
【0054】
図4は、本開示のいくつかの態様による、ワイヤレス通信のためのユーザプレーンプロトコルスタック400を示す図である。いくつかの例では、このプロトコルスタック400は、スケジューリングエンティティ108(たとえば、gNB)とスケジューリングされるエンティティ106(たとえば、UE)との間の5Gニューラジオ(NR)ネットワークにおいて使用され得る。いくつかの例では、プロトコルスタック400は他のデバイス間で使用され得る。プロトコルスタック400は、様々な物理レイヤ通信機能を実装するPHYレイヤ402を含む。他のプロトコルレイヤは、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ404、無線リンク制御(RLC)レイヤ406、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)レイヤ408、およびサービスデータ適応プロトコル(SDAP)レイヤ410である。SDAPレイヤ410のサービスおよび機能は、QoSフローとデータ無線ベアラとの間のマッピングと、DLパケットとULパケットの両方におけるQoSフローID(QFI)のマーキングとを含み得る。QoSフローは、システムによるサービス品質の取扱いを受けるものと特定される1つまたは複数のインターネットプロトコル(IP)フローである。一例では、IPフローはあるエンドポイントから別のエンドポイントへのIPトラフィックであることがあり、これは、ソースおよび宛先のIPアドレスおよびポート、ならびにトランスポートプロトコル(UDPまたはTCP)によって特定され得る。SDAPの単一のプロトコルエンティティは、各々の個々のPDUセッションに対して構成され得る。PDCPレイヤ408は、データの暗号化および復号を含む様々な機能を提供する。SDAPレイヤ410のアップストリームは、1つまたは複数の上位レイヤ、たとえば、IPレイヤ、および/またはアプリケーションレイヤであり得る。スケジューリングエンティティ108における各プロトコルレイヤは、スケジューリングされるエンティティ106における対応するピアプロトコルレイヤと通信する。いくつかの例では、プロトコルレイヤのうちの1つまたは複数は、ネットワークエンティティにおいて使用されないことがある。
【0055】
図5は、本開示のいくつかの態様による、UE502と、gNB504と、ユーザプレーン機能(UPF)506との間で確立されるPDUセッションを示す図である。いくつかの例では、UE502は、図1図2、および図4に示されるUEまたはスケジューリングされるエンティティのいずれかであることがあり、gNB504は、図1図2、および図4に示される基地局またはスケジューリングエンティティのいずれかであることがある。5G NRネットワークでは、コアネットワークは、様々なネットワーク機能(NF)からなり得る。NFの1つは、インターネットアクセスまたは事業者サービスを提供するデータネットワークにgNB504を接続するUPF506である。UPFは、ユーザプレーン動作、たとえば、パケットのルーティングおよび転送、データネットワークへの相互接続、ポリシーの施行、ならびにデータのバッファリングを促進するための、特徴および能力をサポートする。一例では、UPF506はコアネットワーク102に存在し得る。いくつかの例では、2つ以上のPDUセッションがUE502のために確立され得る。UE502は、UEとネットワークとの間の論理接続であるPDUセッションを通じて、サービスを受信する。各UE(たとえば、スケジューリングされるエンティティ106)に対して、ネットワークは、PDUセッションごとにUE502とgNB504との間の1つまたは複数のデータ無線ベアラ(DRB)508を確立し、データパケットを異なるDRBにマッピングする。上位レイヤのIPフローはサービス品質(QoS)フロー510にマッピングされ、次いでQoSフローはDRB508にマッピングされる。
【0056】
SDAPレイヤ410(図4参照)は、PDUセッションのためのマッピング機能の一部を扱うことができる。たとえば、ダウンリンクにおいて、SDAPレイヤ410は、上位レイヤ(たとえば、IPレイヤ)から1つまたは複数のQoSフロー510を受信し、各QoSフローを対応するDRB508にマッピングする。いくつかの例では、QoSフロー510は異なる優先度を有し得る。ネットワークは、適切なQoSフローおよびDRBにパケットをマッピングすることによって、サービス品質(たとえば、信頼性、レイテンシ、および目標遅延)を確保する。たとえば、レイテンシに敏感なパケットはより高い優先度でQoSフローにマッピングされ得るが、レイテンシに敏感ではないパケットはより低い優先度でQoSフローにマッピングされることがある。アップリンクにおいて、SDAPレイヤ410は反映マッピングを提供し得る。たとえば、ネットワークはDLトラフィックのためのQoSを決めることができ、UEはDL QoSを関連するULトラフィックに反映させ、または映し出す。すなわち、DLおよびULは同じQoSを有し得る。SDAPレイヤ410は、DLパケットとULパケットの両方において、QoSフローID(たとえば、QFI)を用いて各QoSフローのデータパケットをマークする。各DRBに対して、UEは、ダウンリンクパケットのQFIを監視し、アップリンクにおいて同じマッピングを適用し得る。すなわち、DRBに対して、UEは、ULの中のそのDRBに対するダウンリンクIPフローにおいて観察されるQoSフローIDに対応するQoSフローに、関係するIPフローのULパケットをマッピングする。
【0057】
図6は、本開示のいくつかの態様による、例示的なMACプロトコルデータユニット(PDU)600を示す図である。MAC PDU600は、たとえば、ワイヤレス通信システム100におけるワイヤレス通信のために使用され得る。MAC PDU600は、様々なフィールド、たとえば、MACヘッダ602およびMACペイロード604を含む。MACペイロード604は、上位ネットワークレイヤからの様々なデータ、たとえば、RLCヘッダ606、PDCPヘッダ608、SDAPヘッダ610、およびSDAPペイロード612を含み得る。図6は単に、MAC PDU600の一例の様々なデータフィールドを概念的に示し、データフィールドは様々な設計において任意の数のビットを搬送し得る。他の例では、MAC PDU600は、より多数または少数のデータフィールドを有することがあり、これらの一部は図6に示されていないことがある。
【0058】
いくつかの例では、SDAPヘッダ610は、QFI614および反映QoSインジケータ(RQI)616についての情報を含み得る。RQIは、このQoSフローで搬送される一部またはすべてのトラフィックが反映マッピングを受けることを示すために、ある値(たとえば、0または1)に設定され得る。他の例では、SDAPヘッダ610は、図6に示されない他のデータフィールドを有し得る。いくつかの例では、QFIおよびRQIは、図6に示されるものとは異なるSDAPヘッダ610の位置にあり得る。
【0059】
本開示のいくつかの態様では、MAC PDU600のデータフィールドのうちの1つまたは複数は、送信デバイスにおいて暗号化され、受信デバイスにおいて復号され得る。たとえば、一部のシステムまたはデバイスは、PDCPヘッダ608(たとえば、SDAPヘッダ610およびSDAPペイロード612)の後のすべてのデータフィールドをPDCPペイロード618であるものとして見なすことができるので、それらのシステムまたはデバイスは、PDCPペイロードのそれらのデータフィールドを一緒に暗号化および復号することができる。その場合、SDAPヘッダ610は、SDAPペイロードと一緒に暗号化および復号される。一例では、SDAPペイロードはIPペイロードであり得る。しかしながら、SDAPヘッダを暗号化/復号することは、NRネットワークにおいて使用され得るいくつかの潜在的な最適化の実装形態を不可能にすることがある。
【0060】
本開示のいくつかの態様では、SDAPヘッダ610は暗号化されない(not ciphered)(「暗号化されない(unciphered)」)ことがあるが、SDAPペイロード(たとえば、IPペイロード)は、SDAPヘッダ610がMAC PDU600に含まれるときに暗号化される。以下でさらに説明されるように、暗号化されていないSDAPヘッダを使用することは、UL通信およびDL通信における一定の最適化を可能にする。
【0061】
図7は、処理システム714を利用するスケジューリングエンティティ700のハードウェア実装形態の例を示すブロック図である。たとえば、スケジューリングエンティティ700は、図1図2、および/または図4のうちの任意の1つまたは複数において示されるようなユーザ機器(UE)であり得る。別の例では、スケジューリングエンティティ700は、図1図2、および/または図4のうちの任意の1つまたは複数において示されるような基地局であり得る。
【0062】
スケジューリングエンティティ700は、1つまたは複数のプロセッサ704を含む処理システム714を用いて実装され得る。プロセッサ704の例は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、ステートマシン、ゲート論理、個別ハードウェア回路、および本開示全体にわたって説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアを含む。様々な例では、スケジューリングエンティティ700は、本明細書で説明される機能のうちのいずれか1つまたは複数を実行するように構成され得る。すなわち、プロセッサ704は、スケジューリングエンティティ700の中で利用されるとき、以下で説明され、図9図12に示されるプロセスおよび手順のうちのいずれか1つまたは複数を実施するために使用され得る。
【0063】
この例において、処理システム714は、バス702によって全体的に表されるバスアーキテクチャとともに実装され得る。バス702は、処理システム714の具体的な用途および全体的な設計制約に応じて、任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含み得る。バス702は、1つまたは複数のプロセッサ(プロセッサ704によって概略的に表される)、メモリ705、およびコンピュータ可読媒体(コンピュータ可読媒体706によって概略的に表される)を含む、様々な回路を一緒に通信可能に結合する。バス702はまた、タイミングソース、周辺装置、電圧調整器、および電力管理回路などの様々な他の回路をつなぎ得るが、それらは当技術分野でよく知られており、したがって、これ以上は説明されない。バスインターフェース708は、バス702とトランシーバ710との間のインターフェースを実現する。トランシーバ710は、伝達媒体を介して様々な他の装置と通信するための通信インターフェースまたは手段を提供する。また、装置の性質に応じて、ユーザインターフェース712(たとえば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティック)も設けられ得る。当然、そのようなユーザインターフェース712は任意選択であり、基地局などの、いくつかの例では省かれてよい。
【0064】
本開示のいくつかの態様では、プロセッサ704は、たとえば、処理回路740、UL通信回路742、およびDL通信回路744を含む、様々な機能のために構成される回路を含み得る。処理回路740は、様々なデータ処理機能および通信リソースの割振りおよびスケジューリングを実行するように構成され得る。一例では、処理回路740は、PHYエンティティ、MACエンティティ、RLCエンティティ、PDCPエンティティ、およびSDAPエンティティを含む、様々なプロトコルエンティティを実装するように構成され得る。UL通信回路742は、様々なUL通信機能、たとえば、復号(decoding)、復号(deciphering)、逆多重化、および受信を実行するように構成され得る。DL通信回路744は、様々なDL通信機能、たとえば、符号化、暗号化、多重化、および送信を実行するように構成され得る。たとえば、回路は、図9図12に関連して以下で説明される機能のうちの1つまたは複数を実装するように構成され得る。
【0065】
プロセッサ704は、コンピュータ可読媒体706に記憶されているソフトウェアの実行を含めて、バス702の管理および一般的な処理を担う。ソフトウェアは、プロセッサ704によって実行されると、任意の特定の装置のために以下で説明される様々な機能を処理システム714に実行させる。コンピュータ可読媒体706およびメモリ705はまた、ソフトウェアを実行するときにプロセッサ704によって操作されるデータを記憶するために使用され得る。
【0066】
処理システムの中の1つまたは複数のプロセッサ704は、ソフトウェアを実行し得る。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、または他の名称で呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、手順、関数などを意味するものと広く解釈されるべきである。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体706上に存在し得る。コンピュータ可読媒体706は、非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、例として、磁気記憶デバイス(たとえば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD)またはデジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック、またはキードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、ならびに、コンピュータによってアクセスされ読み取られ得るソフトウェアおよび/または命令を記憶するための任意の他の適切な媒体を含む。コンピュータ可読媒体706は、処理システム714の中に、または処理システム714の外に存在することがあり、または処理システム714を含む複数のエンティティにわたって分散されることがある。コンピュータ可読媒体706は、コンピュータプログラム製品において具現化され得る。例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料内にコンピュータ可読媒体を含み得る。具体的な用途およびシステム全体に課された全体的な設計制約に応じて、本開示全体にわたって提示される説明される機能をどのように実装するのが最良であるかを、当業者は認識するであろう。
【0067】
1つまたは複数の例では、コンピュータ可読記憶媒体706は、たとえば、処理命令752、UL通信命令754、およびDL通信命令756を含む、様々な機能のために構成されるソフトウェアを含み得る。処理命令752は、様々なデータ処理機能ならびに通信リソースの割振りおよびスケジューリングを実行し得る。UL通信命令754は、様々なUL通信機能、たとえば、復号(decoding)、復号(deciphering)、逆多重化、および受信を実行し得る。DL通信命令756は、様々なDL通信機能、たとえば、符号化、暗号化、多重化、および送信を実行するように構成され得る。たとえば、ソフトウェアは、図9図12に関連して説明される機能のうちの1つまたは複数を実装するように構成され得る。
【0068】
図8は、処理システム814を利用する例示的なスケジューリングされるエンティティ800のハードウェア実装形態の例を示す概念図である。本開示の様々な態様によれば、要素、または要素の任意の部分、または要素の任意の組合せは、1つまたは複数のプロセッサ804を含む処理システム814を用いて実装され得る。たとえば、スケジューリングされるエンティティ800は、図1図2、および/または図4のうちの任意の1つまたは複数において示されるようなユーザ機器(UE)であり得る。
【0069】
処理システム814は、図7に示されている処理システム714と実質的に同じであることがあり、バスインターフェース808と、バス802と、メモリ805と、プロセッサ804と、コンピュータ可読媒体806とを含む。さらに、スケジューリングされるエンティティ800は、図7において上で説明されたものと実質的に同様のユーザインターフェース812およびトランシーバ810を含み得る。すなわち、スケジューリングされるエンティティ800において利用されるようなプロセッサ804は、以下で説明され、図9図12に示されるプロセスのうちのいずれか1つまたは複数を実装するために使用され得る。
【0070】
本開示のいくつかの態様では、プロセッサ804は、たとえば、処理回路840、DL通信回路842、およびUL通信回路844を含む、様々な機能のために構成される回路を含み得る。
【0071】
処理回路840は、様々なデータ処理機能ならびに通信リソースの割振りおよびスケジューリングを実行するように構成され得る。一例では、処理回路840は、PHYエンティティ、MACエンティティ、RLCエンティティ、PDCPエンティティ、およびSDAPエンティティを含む、様々なプロトコルエンティティを実装するように構成され得る。UL通信回路844は、様々なUL通信機能、たとえば、符号化、暗号化、多重化、および送信を実行するように構成され得る。DL通信回路842は、様々なDL通信機能、たとえば、復号(decoding)、復号(deciphering)、逆多重化、および受信を実行するように構成され得る。たとえば、回路は、図9図12に関連して説明される機能のうちの1つまたは複数を実装するように構成され得る。
【0072】
1つまたは複数の例では、コンピュータ可読記憶媒体806は、たとえば、処理命令852、DL通信命令854、およびUL通信命令856を含む、様々な機能のために構成されるソフトウェアを含み得る。処理命令852は、様々なデータ処理機能ならびに通信リソースの割振りおよびスケジューリングを実行し得る。UL通信命令856は、様々なUL通信機能、たとえば、符号化、暗号化、多重化、および送信を実行し得る。DL通信命令854は、様々なDL通信機能、たとえば、復号(decoding)、復号(deciphering)、逆多重化、および受信を実行し得る。たとえば、ソフトウェアは、図9図12に関連して説明される機能のうちの1つまたは複数を実装するように構成され得る。
【0073】
図9は、本開示のいくつかの態様による、暗号化されていないSDAPヘッダを伴うパケット構造を使用する送信デバイスにおけるワイヤレス通信のための例示的なプロセス900を示すフローチャートである。以下で説明されるように、示された一部またはすべての特徴は、本開示の範囲内の特定の実装形態では省略されることがあり、示された一部の特徴は、すべての実施形態の実装に対して必要とされるとは限らないことがある。いくつかの例では、プロセス900は、図7に示されるスケジューリングエンティティ700によって実施され得る。いくつかの例では、プロセス900は、図8に示されるスケジューリングされるエンティティ800によって実施され得る。いくつかの例では、プロセス900は、以下で説明される機能またはアルゴリズムを実施するための任意の適切な装置または手段によって実施され得る。
【0074】
ブロック902において、送信デバイスは、送信のためのデータを有するアプリケーションレイヤまたはIPレイヤから1つまたは複数のQoSフローを受信し得る。本開示の一態様では、スケジューリングエンティティ108またはスケジューリングされるエンティティ106におけるアプリケーションレイヤまたはIPレイヤは、1つまたは複数のQoSフローを送信デバイスに送信し得る。たとえば、装置は、QoSフローを受信するSDAPレイヤエンティティを実装するために、処理回路740(図7参照)を利用し得る。QoSフローは、異なるレベルの優先度および/またはレイテンシの要件を有し得る。たとえば、より優先度の高いQoSフローは、より多くの時間および/または周波数リソースを割り振られ得る。
【0075】
ブロック904において、送信デバイスは、送信デバイスと受信デバイスとの間で確立される1つまたは複数のデータ無線ベアラ(DRB)に1つまたは複数のQoSフローをマッピングし得る。一例では、送信デバイスはスケジューリングエンティティ(たとえば、gNB)であることがあり、受信デバイスはスケジューリングされるエンティティ(たとえば、UE)であることがある。一例では、送信デバイスは、1つまたは複数のQoSフローを1つまたは複数のDRBにマッピングするためにSDAPレイヤエンティティを利用し得る。
【0076】
ブロック906において、送信デバイスは、DRBに対応する複数のMACプロトコルデータユニットを送信し得る。各MAC PDUは、PDCPヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを含む、PDCP PDUを含む。本開示の一態様では、PDCPペイロードは、図6に示されるPDCPペイロード618と同じであり得る。たとえば、PDCPペイロードは、SDAPヘッダおよびSDAPペイロード(たとえば、IPペイロード)を含み得る。PDCPペイロードは部分的に暗号化され得る。たとえば、SDAPヘッダは暗号化されないが、SDAPペイロードは暗号化される。一例では、送信デバイスは、SDAPペイロードの優先順位付け情報を取得して、優先順位付け情報に基づいて複数のMAC PDUの送信を優先順位付けるために、部分的に暗号化されたPDCPペイロードからSDAPヘッダを読み取り得る。一例では、SDAPヘッダはパケットに必要なQoSレベルを示し、送信のためのパケット間の優先順位を選択するためにQoSレベルが使用され得る。同様に、デバイスは、複数のパケットにわたる受信を優先順位付けてホストに転送するために、受信されたパケットのSDAPヘッダを使用し得る。
【0077】
図10は、本開示のいくつかの態様による、暗号化されていないSDAPヘッダを伴うMAC PDUを形成するための例示的なプロセス1000を示すフローチャートである。いくつかの例では、プロセス1000は、図7に示されるスケジューリングエンティティ700によって実施され得る。いくつかの例では、プロセス1000は、図8に示されるスケジューリングされるエンティティ800によって実施され得る。いくつかの例では、プロセス1000は、以下で説明される機能またはアルゴリズムを実施するための任意の適切な装置または手段によって実施され得る。
【0078】
ブロック1002において、送信デバイスは、1つまたは複数のDRBに対応するSDAPヘッダおよびSDAPペイロード(たとえば、IPペイロード)を含むSDAP PDUを形成するために、SDAPエンティティを利用し得る。SDAPヘッダは、DRBの情報、たとえば、図5および図6に関連して上で説明されるQoSフローのQFIおよびRQIを含み得る。ブロック1004において、送信デバイスは、PDCPヘッダを含むPDCP PDUと、SDAP PDUを含むPDCPペイロードとを形成し得る。デバイスは、PDCP PDUを形成するPDCPエンティティを実装するために、処理回路740を利用し得る。
【0079】
ブロック1004において、送信デバイスは、PDCPペイロードの一部分のみを暗号化するために、PDCPエンティティを利用し得る。すなわち、PDCPペイロードは部分的に暗号化される。一例では、PDCPエンティティは、SDAPペイロードのみを暗号化するが、SDAPヘッダを暗号化しないことがある。本開示の一態様では、送信デバイスは、PDCP PDUをカプセル化するために、RLCヘッダおよびMACヘッダを追加することによってMAC PDUを形成し得る。次いで、送信デバイスは、MAC PDUを受信デバイスに送信するために、DL通信回路744またはUL通信回路844を使用し得る。
【0080】
上で説明されたプロセスは、スケジューリングエンティティまたはスケジューリングされるエンティティによって実行され得る。プロセスがスケジューリングエンティティによって実行されるとき、送信はDL通信であり得る。プロセスがスケジューリングされるエンティティによって実行されるとき、送信はUL通信であり得る。
【0081】
図11を参照すると、暗号化は、許可されていない受信者からのそれを防ぐための、情報(データ)を変更するプロセスである。暗号化は、送信者と受信者の両方が情報を暗号化および復号するために使用する1つまたは複数の秘密鍵または暗号鍵を使用する、データ処理アルゴリズム1102(暗号化(ciphering)または暗号化(encryption)アルゴリズム)の使用を伴う。復号は、暗号鍵を使用してデータを復号するための、データ処理アルゴリズム1104の使用を伴う。本開示のいくつかの態様では、ユーザプレーンデータは、無線リンク上のDRBを通じてユーザプレーンにおいてIPパケットをセキュアに配信するために、PDCPレイヤにおいて暗号化される。
【0082】
SDAPヘッダが暗号化されないとき、通信プロセスにおいて一定の最適化が実装され得る。たとえば、送信デバイス(たとえば、UE)が送信のためのアップリンクデータを有するとき、送信デバイスは、MAC PDUに含まれるべき各論理チャネルに対するデータの量を決める必要がある。送信デバイスが異なるQoSフローのデータパケットを優先順位付けるために論理チャネルの優先順位付けを実行するとき、送信デバイスにおけるMACエンティティは、1つの論理チャネル内でもデータのさらなる優先順位付けを促進するために、暗号化されていないSDAPヘッダを読み取り得る。しかしながら、SDAPヘッダが暗号化される場合、MACレイヤエンティティはこの情報を知らず、送信デバイスは、さらなるデータの優先順位付けのためにそのような情報を使用することができない。
【0083】
受信側において、デバイスがMAC PDUを受信するとき、デバイスは、すべてのヘッダ(たとえば、MACヘッダ、RLCヘッダ、PDCPヘッダ、およびSDAPヘッダ)を除去または復号し、SDAPヘッダが送信デバイスによって暗号化される場合、SDAPヘッダを復号する。しかしながら、SDAPヘッダが暗号化されない(not ciphered)(暗号化されない(unciphered))場合、受信デバイスは、SDAPペイロード全体を復号する前にSDAPヘッダの内容を読み取り得る。結果として、受信デバイスはある程度の前処理を事前に実行することができ、このことは受信デバイスの処理効率を高める。たとえば、受信デバイスは、SDAPペイロードの復号を完了する前に受信デバイスがULのためのQoS対DRBのマッピングを作成できるように、RQI情報を決定し得る。
【0084】
図12は、本開示のいくつかの態様による、暗号化されていないSDAPヘッダを伴うパケット構造を使用する受信デバイスにおけるワイヤレス通信のための例示的なプロセス1200を示すフローチャートである。以下で説明されるように、示された一部またはすべての特徴は、本開示の範囲内の特定の実装形態では省略されることがあり、示された一部の特徴は、すべての実施形態の実装に対して必要とされるとは限らないことがある。いくつかの例では、プロセス1200は、図7に示されるスケジューリングエンティティ700によって実施され得る。いくつかの例では、プロセス1200は、図8に示されるスケジューリングされるエンティティ800によって実施され得る。いくつかの例では、プロセス1200は、以下で説明される機能またはアルゴリズムを実施するための任意の適切な装置または手段によって実施され得る。
【0085】
ブロック1202において、受信デバイスは、PDCPヘッダおよび部分的に暗号化されたPDCPペイロードを含む、PDCP PDUを含むMAC PDUを受信し得る。一例では、受信デバイス(たとえば、スケジューリングエンティティ700)は、MAC PDUを受信するMACエンティティを実装するために、UL通信回路742を利用し得る。別の例では、受信デバイス(たとえば、スケジューリングされるエンティティ800)は、MAC PDUを受信するMACエンティティを実装するために、DL通信回路842を利用し得る。
【0086】
ブロック1204において、受信デバイスは、部分的に暗号化されたPDCPペイロード(たとえば、図6のPDCPペイロード618)から、1つまたは複数のQoSフローに対応するSDAP PDUを抽出し得る。部分的に暗号化されるPDCPペイロードは、暗号化されていない少なくとも1つのデータフィールドを含む。たとえば、部分的に暗号化されるPDCPペイロードは、暗号化されていないSDAPヘッダおよび暗号化されているSDAPペイロードを含むSDAP PDUを含む。たとえば、受信デバイスは、MAC PDUのMACヘッダ、RLCヘッダ、PDCPヘッダ、SDAPヘッダ、およびSDAPペイロードを復号(decode)し、抽出し、かつ/または復号(decipher)するように様々なプロトコルエンティティを実装するために、処理回路740/840を利用し得る。
【0087】
ブロック1206において、受信デバイスは、SDAP PDUのSDAPペイロードを復号する前に1つまたは複数のQoSフローについての情報を取得するために、SDAPヘッダを読み取り得る。たとえば、受信デバイスは、暗号化されていないSDAPヘッダから情報を読み取るために、処理回路740/840を利用し得る。SDAPヘッダが暗号化されていないので、受信デバイスは、SDAPペイロードを復号する前、または復号する間に、情報(たとえば、QCFおよびRQI)を読み取ることができる。たとえば、受信デバイスは、取得された情報から反映QoSインジケータ(RQI)を決定し、SDAPペイロード(たとえば、IPペイロード)の復号を完了する前にUL送信のためのQoSフローとDRBとの間のマッピングをRQIに基づいて作成し得る。
【0088】
一構成では、ワイヤレス通信のための装置700および/または800は、上で説明された様々な機能およびプロセスを実行するための手段を含む。一態様では、上述の手段は、上述の手段によって列挙される機能を実行するように構成される、図7/図8に示されたプロセッサ704/804であり得る。別の態様では、上述の手段は、上述の手段によって列挙される機能を実行するように構成された回路または任意の装置であり得る。
【0089】
当然、上記の例では、プロセッサ704/804に含まれる回路は、例として提供されるにすぎず、説明される機能を実施するための他の手段は、限定はされないが、コンピュータ可読記憶媒体706/806に記憶された命令、または、図1図2図4、および/もしくは図5のうちのいずれか1つで説明され、たとえば、図9図12に関して本明細書で説明されるプロセスおよび/もしくはアルゴリズムを利用する、任意の他の適切な装置もしくは手段を含む、本開示の様々な態様内に含まれ得る。
【0090】
ワイヤレス通信ネットワークのいくつかの態様が、例示的な実装形態を参照して提示された。当業者が容易に諒解するように、本開示全体にわたって説明された様々な態様は、他の電気通信システム、ネットワークアーキテクチャ、および通信規格に拡張され得る。
【0091】
例として、様々な態様は、Long-Term Evolution(LTE)、Evolved Packet System(EPS)、Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)、および/またはGlobal System for Mobile(GSM(登録商標))などの、3GPPによって規定された他のシステム内で実装されてもよい。様々な態様はまた、CDMA2000および/またはEvolution-Data Optimized(EV-DO)などの、第3世代パートナーシッププロジェクト2(3GPP2)によって規定されたシステムに拡張されてもよい。他の例は、IEEE802.11(Wi-Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE802.20、Ultra-Wideband(UWB)、Bluetooth(登録商標)、および/または他の適切なシステムを利用するシステム内で実装され得る。利用される実際の電気通信規格、ネットワークアーキテクチャ、および/または通信規格は、具体的な用途およびシステムに課される全体的な設計制約に依存する。
【0092】
本開示では、「例示的」という言葉は、「例、事例、または例示として働くこと」を意味するために使用される。「例示的」として本明細書で説明されたいかなる実装形態または態様も、必ずしも本開示の他の態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきでない。同様に、「態様」という用語は、本開示のすべての態様が、説明された特徴、利点、または動作モードを含むことを必要としない。「結合される」という用語は、2つの物体間の直接的または間接的な結合を指すために本明細書において使用される。たとえば、物体Aが物体Bに物理的に接触し、物体Bが物体Cに接触する場合、物体Aおよび物体Cは、直接物理的に互いに接触しない場合であっても、やはり互いに結合されると見なされてよい。たとえば、第1の物体が第2の物体と直接物理的にまったく接触していなくても、第1の物体は第2の物体に結合されてよい。「回路(circuit)」および「回路(circuitry)」という用語は広く使用され、電子回路のタイプに関して限定はしないが、接続および構成されるとき、本開示で説明された機能の実行を可能にする電気デバイスのハードウェア実装と導体の両方、ならびにプロセッサによって実行されるとき、本開示で説明された機能の実行を可能にする情報および命令のソフトウェア実装を含むものとする。
【0093】
図1図12に示された構成要素、ステップ、特徴、および/もしくは機能のうちの1つもしくは複数は、並べ替えられてよく、かつ/もしくは単一の構成要素、ステップ、特徴、もしくは機能に組み合わされてよく、または、いくつかの構成要素、ステップ、もしくは機能において具現化されてよい。本明細書で開示された新規の特徴から逸脱することなく、さらなる要素、構成要素、ステップ、および/または機能が追加されることもある。図1図12に示された装置、デバイス、および/または構成要素は、本明細書で説明された方法、特徴、またはステップのうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。本明細書で説明された新規のアルゴリズムはまた、ソフトウェアに効率的に実装されてもよく、かつ/またはハードウェアに組み込まれてもよい。
【0094】
開示された方法におけるステップの特定の順序または階層は例示的な処理を示していることを理解されたい。設計上の選好に基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層は再構成可能であることを理解されたい。添付の方法クレームは、様々なステップの要素を例示的な順序で提示したものであり、それらの請求項に特に記載されていない限り、提示された特定の順序または階層に限定されるものではない。
【0095】
上記の説明は、本明細書で説明された様々な態様を任意の当業者が実践することを可能にするために提供される。これらの態様に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般原理は他の態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は本明細書で示された態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する最大限の範囲を与えられるべきであり、単数形での要素の言及は、そのように明記されていない限り、「唯一無二の」ではなく、「1つまたは複数の」を意味することを意図している。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は、1つまたは複数を指す。項目の列挙「のうちの少なくとも1つ」を指す句は、単一のメンバーを含むそれらの項目の任意の組合せを指す。一例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、aおよびb、aおよびc、bおよびc、ならびにa、bおよびcを包含することを意図している。当業者に知られているか、または後に知られることになる、本開示を通じて説明された様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的同等物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。その上、本明細書で開示されたものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公に供されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
102 コアネットワーク
104 RAN
106 スケジューリングされるエンティティ
108 スケジューリングエンティティ
110 外部データネットワーク
112 ダウンリンクトラフィック
114 ダウンリンクトラフィック
116 アップリンクトラフィック
118 アップリンクトラフィック
120 バックホール
202 マクロセル
204 マクロセル
206 マクロセル
208 スモールセル
210 基地局
212 基地局
214 基地局
216 RRH
218 基地局
220 基地局、クアッドコプター
222 UE
224 UE
226 UE
227 サイドリンク信号
228 UE
230 UE
232 UE
234 UE
236 UE
238 UE
240 UE
242 UE
300 スロット、DL中心スロット
302 DL制御領域、制御領域
304 DLデータ領域、データ領域
306 ガード期間(GP)領域、GP領域
308 ULバースト、ULバースト領域
350 スロット、UL中心スロット
354 ガード期間
356 ULデータ領域
358 ULバースト領域
400 ユーザプレーンプロトコルスタック、プロトコルスタック
402 PHYレイヤ
404 媒体アクセス制御(MAC)レイヤ
406 無線リンク制御(RLC)レイヤ
408 パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)レイヤ、PDCPレイヤ
410 サービスデータ適応プロトコル(SDAP)レイヤ、SDAPレイヤ
502 UE
504 gNB
506 ユーザプレーン機能(UPF)、UPF
508 データ無線ベアラ(DRB)、DRB
510 サービス品質(QoS)フロー、QoSフロー
600 MACプロトコルデータユニット(PDU)、MAC PDU
602 MACヘッダ
604 MACペイロード
606 RLCヘッダ
608 PDCPヘッダ
610 SDAPヘッダ
612 SDAPペイロード
614 QFI
616 反映QoSインジケータ(RQI)
618 PDCPペイロード
700 スケジューリングエンティティ
702 バス
704 プロセッサ
705 メモリ
706 コンピュータ可読媒体
708 バスインターフェース
710 トランシーバ
712 ユーザインターフェース
714 処理システム
740 処理回路
742 UL通信回路
744 DL通信回路
752 処理命令
754 UL通信命令
756 DL通信命令
800 スケジューリングエンティティ
802 バス
804 プロセッサ
805 メモリ
806 コンピュータ可読媒体
808 バスインターフェース
810 トランシーバ
812 ユーザインターフェース
814 処理システム
840 処理回路
842 DL通信回路
844 UL通信回路
852 処理命令
854 DL通信命令
856 UL通信命令
900 プロセス
1000 プロセス
1102 暗号化アルゴリズム
1104 復号アルゴリズム
1200 プロセス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12