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  • 特許-超臨界二酸化炭素発電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】超臨界二酸化炭素発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 7/32 20060101AFI20230126BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20230126BHJP
   F16H 1/20 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
F01K7/32
F16H1/06
F16H1/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020549526
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018013504
(87)【国際公開番号】W WO2019107786
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】15/823,809
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2018-0015175
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520188606
【氏名又は名称】ハンファ・パワー・システムズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カール・ウィガント
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-217223(JP,A)
【文献】特開2013-124666(JP,A)
【文献】特公昭48-020322(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0145759(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 7/32
F01K 13/02
F01K 19/04
F01K 25/10
F02C 1/10
F16H 1/06
F16H 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体として、超臨界状態の二酸化炭素を使用する超臨界二酸化炭素発電システムにおいて、
作動流体を圧縮する第1圧縮部と、
作動流体を圧縮する第2圧縮部と、
前記第1圧縮部で圧縮された作動流体を加熱する第1再生部と、
前記第1再生部で加熱された作動流体と、前記第2圧縮部で圧縮された作動流体とを加熱する第2再生部と、
熱源で発生した熱を、前記第2再生部で加熱された作動流体に伝達するメイン熱交換部と、
前記メイン熱交換部から熱を伝達された作動流体を膨張させながら動力を生産する膨張部と、
前記膨張部で生産された動力を、前記第1圧縮部及び前記第2圧縮部に伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部から動力を伝達されて発電を起こす発電部と、を含み、
前記第1再生部と前記第2再生部との間の管路には、前記第2圧縮部で圧縮された作動流体と、前記第1再生部で加熱された作動流体とが合流し、弁によって構成される合流部が配置され、
前記超臨界二酸化炭素発電システムは、前記合流部を制御する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記合流部を制御することにより、前記第2圧縮部と前記合流部との間の管路に流れる作動流体の流量を調節することができ、前記第1再生部と前記合流部との間の管路に流れる作動流体の流量を調節することができ、前記第2再生部と前記合流部との間の管路に流れる作動流体の流量を調節することができる超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項2】
前記膨張部から出た作動流体は、前記第2再生部と前記第1再生部とにおいて、順次に熱が交換されることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項3】
前記膨張部から出た作動流体は、
前記第2再生部において、前記第1再生部で加熱された作動流体、及び前記第2圧縮部で圧縮された作動流体と熱を交換した後、
前記第1再生部において、前記第1圧縮部で圧縮された作動流体と熱を交換することを特徴とする請求項2に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項4】
前記動力伝達部は、少なくとも1つのギア列と、前記ギア列を収容するギアボックスと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項5】
前記ギア列は、前記膨張部の回転軸から動力を伝達され、前記第1圧縮部の駆動軸、前記第2圧縮部の駆動軸、前記発電部の駆動軸に動力を伝達することを特徴とする請求項4に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項6】
前記第1圧縮部に移動する作動流体は、プレクーラによって冷却がなされることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項7】
前記第1圧縮部は、少なくとも2個の第1圧縮器を含むことを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項8】
前記第1圧縮器間には、第1インタークーラが配置されることを特徴とする請求項7に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項9】
前記第2圧縮部は、少なくとも2個の第2圧縮器を含むことを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項10】
前記第2圧縮器間には、第2インタークーラが配置されることを特徴とする請求項9に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項11】
前記第2圧縮部と前記第1再生部との間の管路には、分岐部が配置されることを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項12】
前記分岐部を制御する制御部をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項13】
前記第1圧縮部と前記第2圧縮部は、前記ギアボックスを挟み、互いに対向するように配置されることを特徴とする請求項に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項14】
前記膨張部は、少なくとも2個の膨張器を含むことを特徴とする請求項1に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項15】
前記膨張器間には、少なくとも1つの再熱器が配置されることを特徴とする請求項14に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項16】
前記ギア列は、出力ピニオンギアと、前記出力ピニオンギアから動力を伝達されるブルギアと、前記ブルギアから動力を伝達される駆動ピニオンギアとを含み、
前記膨張部の回転軸は、前記出力ピニオンギアと連結され、
前記第1圧縮部の駆動軸、及び前記第2圧縮部の駆動軸は、前記駆動ピニオンギアと連結され、
前記発電部の駆動軸は、前記ブルギアと連結されることを特徴とする請求項に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【請求項17】
前記ギアボックスの内部に位置した単一空間に、前記ギア列が配置されることを特徴とする請求項に記載の超臨界二酸化炭素発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界状態の二酸化炭素を作動流体にし、発電を行う発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界二酸化炭素発電システムは、臨界圧力以上の超高圧に圧縮された二酸化炭素を高温に加熱し、タービンを駆動する発電システムである。
【0003】
そのような超臨界二酸化炭素発電システムは、一般的に、ブレイトン(Brayton)サイクル方式を採用するが、発電効率が高く、熱源に対する制約が少なく、最近、活発に研究されている。
【0004】
特許文献1には、並列膨張方式のカスケードサイクルを適用する超臨界二酸化炭素発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国特許出願公開第2016-0130551号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善された構造の超臨界二酸化炭素発電システムを提供することを主な課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、作動流体として、超臨界状態の二酸化炭素を使用する超臨界二酸化炭素発電システムにおいて、作動流体を圧縮する第1圧縮部と、作動流体を圧縮する第2圧縮部と、前記第1圧縮部で圧縮された作動流体を加熱する第1再生部と、前記第1再生部で加熱された作動流体と前記第2圧縮部で圧縮された作動流体とを加熱する第2再生部と、熱源で発生した熱を、前記第2再生部で加熱された作動流体に伝達するメイン熱交換部と、前記メイン熱交換部から熱を伝達された作動流体を膨張させながら動力を生産する膨張部と、前記膨張部で生産された動力を、前記第1圧縮部及び前記第2圧縮部に伝達する動力伝達部と、前記動力伝達部から動力を伝達されて発電を起こす発電部と、を含む超臨界二酸化炭素発電システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、改善された構造を有する超臨界二酸化炭素発電システムを具現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係わる超臨界二酸化炭素発電システムの構成を図示した概略的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一側面によれば、作動流体として、超臨界状態の二酸化炭素を使用する超臨界二酸化炭素発電システムにおいて、作動流体を圧縮する第1圧縮部と、作動流体を圧縮する第2圧縮部と、前記第1圧縮部で圧縮された作動流体を加熱する第1再生部と、前記第1再生部で加熱された作動流体と、前記第2圧縮部で圧縮された作動流体とを加熱する第2再生部と、熱源で発生した熱を、前記第2再生部で加熱された作動流体に伝達するメイン熱交換部と、前記メイン熱交換部から熱を伝達された作動流体を膨張させながら動力を生産する膨張部と、前記膨張部で生産された動力を、前記第1圧縮部及び前記第2圧縮部に伝達する動力伝達部と、前記動力伝達部から動力を伝達されて発電を起こす発電部と、を含む超臨界二酸化炭素発電システムを提供する。
【0011】
ここで、前記膨張部から出た作動流体は、前記第2再生部と前記第1再生部とにおいて、順次に熱が交換されることにもなる。
【0012】
ここで、前記膨張部から出た作動流体は、前記第2再生部において、前記第1再生部で加熱された作動流体、及び前記第2圧縮部で圧縮された作動流体と熱を交換した後、前記第1再生部において、前記第1圧縮部で圧縮された作動流体と熱を交換することができる。
【0013】
ここで、前記動力伝達部は、少なくとも1つのギア列と、前記ギア列を収容するギアボックスと、を含んでもよい。
【0014】
ここで、前記ギア列は、前記膨張部の回転軸から動力を伝達され、前記第1圧縮部の駆動軸、前記第2圧縮部の駆動軸、前記発電部の駆動軸に動力を伝達することができる。
【0015】
ここで、前記第1圧縮部に移動する作動流体は、プレクーラによっても冷却がなされる。
【0016】
ここで、前記第1圧縮部は、少なくとも2個の第1圧縮器を含んでもよい。
【0017】
ここで、前記第1圧縮器の間には、第1インタークーラが配置されてもよい。
【0018】
ここで、前記第2圧縮部は、少なくとも2個の第2圧縮器を含んでもよい。
【0019】
ここで、前記第2圧縮器の間には、第2インタークーラが配置されてもよい。
【0020】
ここで、前記第2圧縮部と前記第1再生部との間の管路には、分岐部が配置されてもよい。
【0021】
ここで、前記分岐部を制御する制御部をさらに含んでもよい。
【0022】
ここで、前記第1圧縮部と前記第2圧縮部は、前記ギアボックスを挟み、互いに対向するようにも配置される。
【0023】
ここで、前記第1再生部と前記第2再生部との間の管路には、前記第2圧縮部で圧縮された作動流体と、前記第1再生部で加熱された作動流体とが合流する合流部が配置されてもよい。
【0024】
ここで、前記合流部を制御する制御部をさらに含んでもよい。
【0025】
ここで、前記膨張部は、少なくとも2個の膨張器を含んでもよい。
【0026】
ここで、前記膨張器の間には、少なくとも1つの再熱器が配置されてもよい。
【0027】
ここで、前記ギア列は、出力ピニオンギアと、前記出力ピニオンギアから動力を伝達されるブルギアと、前記ブルギアから動力を伝達される駆動ピニオンギアとを含み、前記膨張部の回転軸は、前記出力ピニオン機器と連結され、前記第1圧縮部の駆動軸、及び前記第2圧縮部の駆動軸は、前記駆動ピニオン機器と連結され、前記発電部の駆動軸は、前記ブル機器とも連結される。
【0028】
ここで、前記ギアボックスの内部に位置した単一空間に、前記ギア列が配置されてもよい。
【0029】
以下、添付された図面を参照し、望ましい実施形態による本発明について詳細に説明する。また、本明細書及び該図面において、実質的に同一構成を有する構成要素については、同一符号を使用することにより、重複説明を省略する。
【0030】
本発明による超臨界二酸化炭素発電システムは、超臨界状態である二酸化炭素を作動流体として使用するシステムを意味するが、サイクル内で流動する作動流体がいずれも超臨界状態である場合だけではなく、作動流体のほとんどが超臨界状態であり、残りは、亜臨界状態であるシステムも含む。
【0031】
また、本発明による作動流体は、二酸化炭素が使用されるが、ここで、二酸化炭素とは、純粋な二酸化炭素、不純物が若干含まれた二酸化炭素、二酸化炭素に1以上の添加物が混合されている流体なども広く含む概念である。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係わる超臨界二酸化炭素発電システムの構成を図示した概略的な図面である。
【0033】
図1に図示された本実施形態による超臨界二酸化炭素発電システム100は、第1圧縮部110、第2圧縮部120、第1再生部(regeneration part)130、第2再生部140、メイン熱交換部150、膨張部(expansion part)160、動力伝達部170、発電部180、制御部190を含む。
【0034】
第1圧縮部110は、2個の第1圧縮器111,112と、第1圧縮器111,112間に配置される第1インタークーラ113と、を含み、動力伝達部170から動力を伝達されて駆動される。
【0035】
第1圧縮器111,112は、第1管路P1から作動流体を受け、作動流体を圧縮する機能を遂行し、それぞれ遠心圧縮器として構成される。
【0036】
ここで、第1管路P1は、プレクーラPC(pre-cooler)と連結されているが、プレクーラPCは、分岐部Dから出た作動流体の一部を冷却させる機能を遂行する。
【0037】
分岐部Dは、第2圧縮部120と第1再生部130との間の管路に配置されるが、電子制御が可能な電子式弁、または手動制御が可能な機械式弁によっても構成される。従って、制御部190は、分岐部Dを自動的に制御したり、ユーザが分岐部Dを手動で制御したりすることができる。分岐部Dは、第11管路P11、第12管路P12、第2管路P2と連結されているので、分岐部Dを制御することになれば、第11管路P11に流れる作動流体の全体的な流量を調節するだけではなく、第2管路P2と第12管路P12とに流れる作動流体の流量も調節することができる。
【0038】
本実施形態によれば、第1管路P1にプレクーラPCが連結されて配置されているが、本発明は、それに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、第1管路P1にプレクーラPCが連結されないことにもなる。
【0039】
第1圧縮器111,112間には、第1インタークーラ113が配置される。第1インタークーラ113は、第1圧縮器111から出た作動流体を冷却させることにより、第1圧縮部110の所要動力を減らす機能を遂行する。
【0040】
本実施形態によれば、第1圧縮部110は、2個の第1圧縮器111,112を含んでなるが、本発明は、それらに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、第1圧縮部が含む圧縮器の個数は、少なくとも1つであるならばよく、その圧縮器の個数には、特別な制限がない。例えば、第1圧縮部が含む圧縮器の個数は、1個、3個、4個、5個などにもなる。
【0041】
本実施形態によれば、第1圧縮部110は、第1インタークーラ113を含むが、本発明は、それに限定されるものではない。本発明による第1圧縮部は、インタークーラを含まなくともよい。
【0042】
一方、第2圧縮部120は、2個の第2圧縮器121,122と、第2圧縮器121,122間に配置される第2インタークーラ123と、を含み、動力伝達部170から動力を伝達されて駆動される。第1圧縮部110と第2圧縮部120は、動力伝達部170のギアボックス172を挟み、互いに対向するように配置される。
【0043】
第2圧縮器121,122は、第2管路P2から作動流体を受け、作動流体を圧縮する機能を遂行し、それぞれ遠心圧縮器として構成される。
【0044】
第2圧縮器121,122間には、第2インタークーラ123が配置される。第2インタークーラ123は、第2圧縮器121から出た作動流体を冷却させることにより、第2圧縮部120の所要動力を減らす機能を遂行する。
【0045】
本実施形態によれば、第2圧縮部120は、2個の第2圧縮器121,122を含んでなるが、本発明は、それらに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、第2圧縮部が含む圧縮器の個数は、少なくとも1つであるならばよく、その圧縮器の個数には、特別な制限がない。例えば、第2圧縮部が含む圧縮器の個数は、1個、3個、4個、5個などにもなる。
【0046】
本実施形態によれば、第2圧縮部120は、第2インタークーラ123を含むが、本発明は、それに限定されるものではない。本発明による第2圧縮部は、インタークーラを含まなくともよい。
【0047】
一方、第1再生部130は、第1圧縮部110で圧縮された作動流体を、第3管路P3を介して伝達されて加熱する機能を遂行する。すなわち、第1圧縮部110で圧縮された作動流体は、第1再生部130を通り過ぎながら、第2再生部140から出た作動流体と熱交換が行われる。そのために、第1再生部130は、一般的な熱交換器の構成を有することができる。
【0048】
第1再生部130で加熱された作動流体は、第4管路P4を介して移動し、第2圧縮部120で圧縮された作動流体は、第5管路P5を介して移動していて、合流部Jで合流した後、第6管路P6を介して、第2再生部140に移動することになる。
【0049】
合流部Jは、第1再生部130と第2再生部140との間の管路に配置されるが、電子制御が可能な電子式弁、または手動制御が可能な機械式弁によっても構成される。従って、制御部190は、合流部Jを自動的に制御したり、ユーザが合流部Jを手動で制御したりもする。
【0050】
合流部Jは、第4管路P4、第5管路P5、第6管路P6と連結されているので、合流部Jを制御することになれば、第6管路P6に流れる作動流体の全体的な流量を調節するだけではなく、第4管路P4と第5管路P5とに流れる作動流体の流量も、調節することができる。
【0051】
本実施形態によれば、合流部Jは、第2再生部140と分離されているが、本発明は、それに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、第5管路P5を介して移動した作動流体は、第2再生部140にすぐ移動することもできる。その場合、第2再生部140内部に合流部Jが配置され、第4管路P4を介して移動した作動流体と、第5管路P5を介して移動した作動流体は、第2再生部140内部に配置された合流部Jで互いに合流することになる。
【0052】
一方、第2再生部140は、第1再生部130で加熱された作動流体と、第2圧縮部120で圧縮された作動流体と、を加熱する機能を遂行する。すなわち、合流部Jから出て、第6管路P6を介して、第2再生部140に移動した作動流体は、第2再生部140を通り過ぎながら、膨張部160から出た作動流体と熱交換が行われる。そのために、第2再生部140は、一般的な熱交換器の構成を有することができる。
【0053】
第2再生部140で加熱された作動流体は、第7管路P7を介して移動し、メイン熱交換部150に移動することになる。
【0054】
メイン熱交換部150は、熱源HSで発生した熱を、第2再生部140で加熱された作動流体に伝達する。そのために、メイン熱交換部150は、一般的な熱交換器の構成を有することができる。
【0055】
熱源HSは、熱が発生しうる装置であるならば、制限なしにも適用される。例えば、熱源HSは、太陽熱加熱システム、原子力加熱システム、地熱加熱システム、火力加熱システムのように、多様な熱源が適用されてもよい。
【0056】
熱源HSで発生した熱を伝達された作動流体は、第8管路P8を介して、膨張部160に移動する。
【0057】
膨張部160は、メイン熱交換部150から熱を伝達された作動流体を膨張させながら動力を生産するが、膨張部160は、4個の第1膨張器161、第2膨張器162、第3膨張器163及び第4膨張器164と、再熱器165とを含む。
【0058】
4個の第1膨張器161、第2膨張器162、第3膨張器163及び第4膨張器164は、タービン構造を有しており、第2膨張器162と第3膨張器163との間には、再熱器(reheater)165が配置される。再熱器165は、熱源HSで熱を受けて駆動されるか、あるいは別個の駆動源に駆動されてもよい。
【0059】
本実施形態による膨張部160は、4個の第1膨張器161、第2膨張器162、第3膨張器163及び第4膨張器164を含んでいるが、本発明は、それらに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、膨張部が含む膨張器の個数は、少なくとも1つであるならばよく、その膨張器の個数には、特別な制限がない。例えば、膨張部が含む膨張器の個数は、1個、2個、3個、5個、6個などにもなる。
【0060】
本実施形態によれば、膨張部160は、単一の再熱器165を含むが、本発明は、それに限定されるものではない。本発明による膨張部は、複数個の再熱器を含んでもよい。例えば、本実施形態の第1膨張器161と第2膨張器162との間、及び第3膨張器163と第4膨張器164との間にも、再熱器が配置されてもよい。同時に、本発明による膨張部は、再熱器を含まなくともよい。
【0061】
一方、動力伝達部170は、膨張部160で生産された動力を、第1圧縮部110及び第2圧縮部120に伝達し、第1圧縮部110及び第2圧縮部120に伝達して残る動力は、発電部180に伝達して発電を行う。
【0062】
動力伝達部170は、少なくとも1つのギア列171と、ギア列171を収容するギアボックス172と、を含む。ギア列171は、膨張部160の回転軸161a,162a,163a,164aから動力を伝達され、第1圧縮部110の駆動軸111a,112a、第2圧縮部120の駆動軸121a,122a、発電部180の駆動軸181に動力を伝達する。
【0063】
本発明による動力伝達部のギア列の構成は、多様な形態を有することができる。すなわち、設計者は、多様な性能と構造とを有するギア列を設計することができる。一例として、本実施形態によるギア列171は、1つのブルギア(bull gear)171a、複数個のピニオンギア171b、複数個の連結ギア171cを含む。ピニオンギア171bは、出力ピニオンギア171b_1と駆動ピニオンギア171b_2とを含む。ギア列171をなすギアの形状には、特別な制限がないが、例えば、適用されるギアの形状は、スパーギア形状、ヘリカルギア形状、ダブルヘリカルギア形状などにもなる。
【0064】
第1膨張器161、第2膨張器162、第3膨張器163及び第4膨張器164の各回転軸161a,162a,163a,164aは、出力ピニオンギア171b_1と連結されており、第1圧縮器111,112の各駆動軸111a,112aと、第2圧縮器121,122の各駆動軸121a,122aは、駆動ピニオンギア171b_2と連結されている。また、連結ギア171cは、ピニオンギア171bと噛み合って動力を伝達する。
【0065】
本実施形態のギアボックス172は、金属素材からなるが、本発明によれば、それに限定されるものではない。すなわち、本発明によるギアボックスの素材には、特別な制限がなく、多様な素材が使用されてもよい。
【0066】
本実施形態のギア列171は、ギアボックス172内部に位置した単一空間Sに集中して配置され、複数個のベアリングBを利用して設置される。
【0067】
本実施形態による動力伝達部170は、ギアボックス172内部に位置した単一空間Sに、ギア列171が集中して配置されているので、ギア列171潤滑のためのオイル供給と、オイル循環とが容易になり、ギア列171の効率的な配置が可能であり、動力伝達部170の全体体積を低減させることができる。従って、超臨界二酸化炭素発電システム100の全体的な構造が簡単になり、設置作業が容易であり、空間の効率的な活用が可能になり、超臨界二酸化炭素発電システム100の設置空間の大きさを縮めることができる。
【0068】
本実施形態によれば、ギア列171は、ギアボックス172内部に位置した単一空間Sに配置されるが、本発明は、それに限定されるものではない。すなわち、本発明によれば、ギアボックス内部172の空間をいくつかに区画した後、その区画された空間に、ギア列の各部分を分散させて配置することもできる。
【0069】
一方、発電部180は、動力伝達部170から動力を伝達されて発電を起こすが、発電部180は、一般的な発電機の構造を有することができる。発電部180の駆動軸181は、動力伝達部170のギア列171と連結されて動力を伝達される。
【0070】
制御部190は、超臨界二酸化炭素発電システム100を制御する装置であり、超臨界二酸化炭素発電システム100のさまざまなセンサ部と連結され、センサデータを受けて演算し、ユーザが設定したアルゴリズムにより、超臨界二酸化炭素発電システム100の各部品の作動を制御する。そのために、制御部190は、電路基板、集積回路チップのようなハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアなどを含んでもなり、ユーザまたは制御アルゴリズムの制御を受けて駆動される。
【0071】
本実施形態による超臨界二酸化炭素発電システム100には、多くのセンサ部が設けられているが、例えば、第1管路P1、第2管路P2、第3管路P3、第4管路P4、第5管路P5、第6管路P6、第7管路P7、第8管路P8、第9管路P9、第10管路P10、第11管路P11には、それぞれ作動流体の圧力、温度、流量、非体積などを測定する第1センサ部C1、第2センサ部C2、第3センサ部C3、第4センサ部C4、第5センサ部C5、第6センサ部C6、第7センサ部C7、第8センサ部C8、第9センサ部C9、第10センサ部10、第11センサ部C11が配置されており、熱源HSには、熱源HSの状態をモニタリングする熱源センサ部CHが配置されており、発電部180には、発電部180の状態をモニタリングする発電部センサ部CGが配置されている。
【0072】
理解の一助とするために、制御部190の制御作用の一例について説明する。例えば、制御部190は、超臨界二酸化炭素発電システム100の状態により、分岐部Dと合流部Jとのうち少なくとも1つを適切に制御することができる。すなわち、制御部190は、熱源HSに設けられたセンサ部CHにより、熱源HSの状態、発電部センサ部CGにより、発電機180の状態、各管路上に存在する作動流体の状態、すなわち、温度、圧力、流量などの状態を、多くのセンサ部C1,C2,C3,C4,・・・,C11などによってモニタリングしていて、事前にプログラミングされている通り最適な作動効率を具現するために、分岐部D、合流部Jなどを適切に制御することができる。例えば、分岐部Dを制御することになれば、第1圧縮部110と第2圧縮部120とにそれぞれ移動する作動流体の流量を適切に調節することができ、合流部Jを制御することになれば、第2圧縮部120から出る作動流体の流量、第1再生部130から出る作動流体の流量、第2再生部140に進入する作動流体の流量を適切に調節することができる。それにより、超臨界二酸化炭素発電システム100の最適効率具現だけではなく、場合によっては、第1圧縮部110及び第2圧縮部120のサージ発生も防止することができることになる。
【0073】
以下、図1を参照し、本実施形態による超臨界二酸化炭素発電システム100の作動形態ついて説明する。
【0074】
本実施形態による超臨界二酸化炭素発電システム100は、超臨界状態の二酸化炭素が、閉サイクル(closed cycle)をなして循環するので、以下、作動流体の循環過程によって説明する。
【0075】
まず、第1再生部130から出た作動流体は、第11管路P11に沿って分岐部Dに移動する。分岐部Dから出た作動流体のうち一部は、第1圧縮部110に移動するが、その場合、まず、第12管路P12を介してプレクーラPCに入って冷却される。分岐部Dから出た作動流体の残りは、第2管路P2を介して、第2圧縮器121に移動することになる。このとき、制御部190は、超臨界二酸化炭素発電システム100が最適性能を発揮することができるように、分岐部Dを制御することができる。
【0076】
プレクーラPCで冷却された作動流体は、第1圧縮器111に移動することになるが、第1圧縮器111は、作動流体を圧縮する。第1圧縮器111で圧縮された作動流体は、第1インタークーラ113に移動して冷却され、冷却された作動流体は、第1圧縮器112に入って圧縮される。
【0077】
第1圧縮器112で圧縮された作動流体は、第3管路P3を介して移動し、第1再生部130に移動する。第3管路P3を介して、第1再生部130に移動した作動流体は、第10管路P10を介して移動してきた作動流体と熱交換が行われ、加熱されることになる。
【0078】
第1再生部130で熱交換が行われて加熱された作動流体は、第4管路P4を介して移動し、合流部Jに移動することになる。
【0079】
一方、分岐部Dから出た作動流体のうち第2圧縮器121に入った作動流体は、第2圧縮器121で圧縮される。第2圧縮器121で圧縮された作動流体は、第2インタークーラ123に移動して冷却され、冷却された作動流体は、第2圧縮器122に入って圧縮される。
【0080】
第2圧縮器122で圧縮された作動流体は、第5管路P5を介して合流部Jに移動することになる。
【0081】
前述のように、第4管路P4を介して移動した作動流体と、第5管路P5を介して移動した作動流体は、合流部Jで合流されることになるが、制御部190は、超臨界二酸化炭素発電システム100が最適性能を発揮することができるように、合流部Jを制御することができる。
【0082】
次に、合流部Jから出た作動流体は、第6管路P6を介して、第2再生部140に移動することになる。第6管路P6を介して、第2再生部140に移動した作動流体は、第9管路P9を介して移動してきた作動流体と熱交換が行われて加熱されることになる。すなわち、第1再生部130で加熱された作動流体と、第2圧縮部120で圧縮された作動流体は、合流部Jで合流された後、第2再生部140で加熱される。
【0083】
次に、第2再生部140で加熱された作動流体は、第7管路P7を介して移動し、メイン熱交換部150に移動することになる。メイン熱交換部150においては、熱源HSで発生した熱を、第2再生部140から出た作動流体に伝達する。
【0084】
熱源HSで発生した熱を伝達された作動流体は、第8管路P8を介して膨張部160に移動するが、膨張部160は、メイン熱交換部150から熱を伝達された作動流体を膨張させながら動力を生産する。
【0085】
すなわち、作動流体は、第8管路P8を介して、第1膨張器161に移動して膨張されながら動力を生産し、次に、第2膨張器162に移動して膨張されながら、動力を生産した後、再熱器165によってさらに加熱される。次に、再熱器165で加熱された作動流体は、第3膨張器163に移動して膨張されながら動力を生産し、次に、第4膨張器164に移動して膨張されながら動力を生産する。
【0086】
次に、膨張部160から出た作動流体は、第2再生部140と第1再生部130とにおいて、順次に熱が交換される。
【0087】
すなわち、第4膨張器164から出た作動流体は、第9管路P9を介して、第2再生部140に移動し、第6管路P6を介して、第2再生部140に移動した作動流体と熱交換が行われる。次に、第2再生部140から出た作動流体は、第10管路P10を介して、第1再生部130に移動し、第3管路P3を介して、第1再生部130に移動した作動流体と熱交換が行われる。
【0088】
以上のように、作動流体の循環による超臨界二酸化炭素発電システム100の各構成の作用についての説明を行った。以下、動力伝達部170及び発電部180の駆動について詳細に説明する。
【0089】
前述のように、膨張部160の第1膨張器161、第2膨張器162、第3膨張器163及び第4膨張器164は、作動流体を膨張させながら動力を生産する。そのとき、第1膨張器161、第2膨張器162、第3膨張器163及び第4膨張器164の各回転軸161a,162a,163a,164aは、動力伝達部170の出力ピニオンギア171b_1に動力を伝達し、出力ピニオンギア171b_1は、ブルギア171aに動力を伝達する。
【0090】
動力を伝達されたブルギア171aは、駆動ピニオンギア171b_2に動力を伝達するが、駆動ピニオンギア171b_2は、第1圧縮器111,112の各駆動軸111a,112aと、第2圧縮器121,122の各駆動軸121a,122aとに動力を伝達し、第1圧縮部110と第2圧縮部120とが駆動されることになる。
【0091】
同時に、ブルギア171aは、発電部180の駆動軸181と連結されており、ブルギア171aの回転により、発電部180に動力を伝達して発電を行う。
【0092】
以上のように、本実施形態の超臨界二酸化炭素発電システム100によれば、制御部190は、超臨界二酸化炭素発電システム100の状態により、分岐部Dと合流部Jとのうち少なくとも1つを適切に制御することができるので、超臨界二酸化炭素発電システム100が最適性能を具現するだけではなく、場合によっては、第1圧縮部110及び第2圧縮部120のサージ発生も防止することができることになる。
【0093】
また、本実施形態の超臨界二酸化炭素発電システム100によれば、動力伝達部170のギア列171は、ギアボックス172内部に位置した単一空間Sに集中して配置されているので、ギア列171潤滑のためのオイル供給と、オイル循環とが容易になり、ギア列171の効率的な配置が可能であり、動力伝達部170の全体体積を縮めることができることになる。従って、超臨界二酸化炭素発電システム100の全体的な構造が簡単になり、設置作業が容易になり、同時に、空間の効率的な活用が可能になり、超臨界二酸化炭素発電システム100の設置空間サイズを縮小させることができる。
【0094】
本発明は、添付された図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野において当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本実施形態の超臨界二酸化炭素発電システムは、超臨界状態の二酸化炭素を作動流体にする発電システムを製造したり運用したりする産業にも使用される。
【符号の説明】
【0096】
100 超臨界二酸化炭素発電システム、110 第1圧縮部、111,112 第1圧縮器、111a,112a 駆動軸、113 第1インタークーラ、120 第2圧縮部、121,122 第2圧縮器、121a,122a 駆動軸、123 第2インタークーラ、130 第1再生部、140 第2再生部、150 メイン熱交換部、160 膨張部、161,162,163,164 膨張器、161a,162a,163a,164a 回転軸、165 再熱器、170 動力伝達部、171 ギア列、171a ブルギア、171b_1 出力ピニオンギア、171b_2 駆動ピニオンギア、172 ギアボックス、180 発電部、181 駆動軸、190 制御部、D 分岐部、HS 熱源、J 合流部、PC プレクーラ、S 単一空間
図1