(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布
(51)【国際特許分類】
B32B 5/24 20060101AFI20230126BHJP
D04H 13/00 20060101ALI20230126BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20230126BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20230126BHJP
A41D 31/30 20190101ALI20230126BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20230126BHJP
A41D 31/102 20190101ALI20230126BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20230126BHJP
【FI】
B32B5/24
B32B5/24 101
D04H13/00
A41D13/11 M
A41D13/11 Z
A41D13/00 102
A41D31/30
A41D31/00 502E
A41D31/102
A41D31/00 504D
A41D31/02 D
A41D31/00 504C
A41D31/00 503H
A41D31/00 503G
A41D31/00 503F
(21)【出願番号】P 2021140154
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-08-30
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517247365
【氏名又は名称】衛普實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 甫駿
(72)【発明者】
【氏名】廖 炳森
(72)【発明者】
【氏名】蔡 亞▲トン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 聰嘉
(72)【発明者】
【氏名】王 秋迪
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2157524(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第111875864(CN,A)
【文献】特開昭63-303733(JP,A)
【文献】特表2005-515912(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119355(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/049375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 5/24
D04H 13/00
A41D 13/11
A41D 13/00
A41D 31/30
A41D 31/00
A41D 31/102
A41D 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布であって、不織布層と、高透湿性防水層と、弾性穴埋め層と、を含み、
前記不織布層が2つの表面を備え、目付が70g/m
2以下であり、
前記高透湿性防水層が多孔質薄膜であり、目付が5~30g/m
2であり、前記高透湿性防水層中に粉体が重量含有率40~70%で含有され
、前記高透湿性防水層中の前記粉体の平均粒径が0.5~3μmであり、かつ前記粉体として炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられ、前記高透湿性防水層が前記不織布層のいずれか一方の表面に貼付され、
前記弾性穴埋め層が親水性ポリウレタン(hydrophilic polyurethane)であり、前記親水性ポリウレタンとして、親水性水性ポリウレタン(hydrophilic waterborne polyurethane)及び親水性溶剤型ポリウレタン(hydrophilic solventborne polyurethane)の少なくとも1つが用いられ、前記弾性穴埋め層が前記高透湿性防水層の表面に塗布または印刷され、かつ前記弾性穴埋め層の厚みが前記高透湿性防水層より薄く、
前記抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、
前記抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布のPhi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができる、ことを特徴とする、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項2】
前記高透湿性防水層が、前記粉体を散布して引き延ばした多孔質ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムである、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項3】
前記不織布層の材質が、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布から選択して構成される、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項4】
前記不織布層の繊維直径が0.5~40μmである、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項5】
前記不織布層の繊維材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)―エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)―スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項6】
前記高透湿性防水層が3層の共押出しフィルムであり、各層の厚みの比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項7】
前記高透湿性防水層と前記弾性穴埋め層の厚みの比率が、16:1.5~16:3である、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項8】
前記高透湿性防水層が前記不織布層に貼付されており、前記高透湿性防水層を前記不織布層に貼付した層の透湿度が1500~7500g/m
2.24hrである、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項9】
前記不織布層の目付が40~100g/m
2であり、前記不織布層の透湿度が1500g/m
2.24hr以上である、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【請求項10】
前記高透湿性防水層中の粉体の重量含有率が40~60%であり、前記高透湿性防水層の透湿度が1500g/m
2.24hr以上である、ことを特徴とする、請求項1に記載の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布に関し、ウイルス、細菌、血液の伝染及び感染浮遊飛沫エアロゾルを遮断するレベルP3(CNS14798)の耐屈曲性、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
パンデミックの発生時、医療用防護装備の需要が短期間に急増すると、医療用防護装備の価格も上昇し、各国は防護服やマスクなど防護装備の不足問題に注目し始める。
その中でも防護服には高い遮断性、透湿性、防水性、軽量で強靭なフィルム材料が要求され、EUのEN14126、米国のAAMI、台湾のCNS等のように、ウイルスや細菌の防疫用防護服の規格がある。
しかし、従来のレベルP3(CNS14798)医療用防護服は通気性が悪く、開発が待たれている。
【0003】
従来、単層の通気性フィルムでは、孔の通気経路が短いと、ウイルスを遮断することができず、厚みを増して通気経路を長くすると、高い通気性が得られないという問題があった。
従来の技術ではまだ最適化した効果を達成することができていないため、防護服着用者の快適性が欠け、長時間着用することができない。伝染病発生時の防護服の需要が高まったとき、医療従事者は防護服を長時間着用する必要があるため、新世代の防護服は、防護性の面で一定の効果を維持しながら、快適性を向上することが今後の開発課題となる。
【0004】
従来、通気性複合シート材料を用いた研究には、例えば特許文献1に開示されているものがある。
これは、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間にある吸収性芯とを有する吸収性物品に関するものである。バックシートは、水蒸気透過性で、実質的に液体不透過性である複合シート材料を含んでなり、複合材料シートは、水蒸気透過性熱可塑性フィルムに接着された、粉末接着された不織ウェブを包含する。不織ウェブは、ウェブの接着に使用される接着剤と相容性がある繊維を主として含んでなる第一層、および繊維の混合物(繊維の中には、接着剤および熱可塑性フィルムと相容性がある繊維と、相容性が無い繊維がある)を含んでなる第二層を包含する。
【0005】
また、透湿性フィルムについての研究があり、例えば特許文献2には、通気性、透湿性、機械強度および実用性は維持しつつ、耐透液性に優れた透湿性フィルムが開示されている。
この透湿性フィルムは、融解ピーク温度が130~150℃で密度0.940~0.970g/cm3のポリエチレン樹脂を含むポリエチレン樹脂組成物(A)と、無機充填材(B)と、スチレン系エラストマー(C)を含み、前記ポリエチレン樹脂組成物(A)と無機充填材(B)の合計100質量部に対して前記スチレン系エラストマー(C)を1~20質量部添加した樹脂組成物からなり、滲み出し面積が5%未満の透湿性フィルムである。
【0006】
さらに、抗菌化合物を有する布地の製造方法についての研究があり、例えば特許文献3は、抗菌化合物を布地材料に化学的に結合又は付着させて製造する方法を開示している。この処理済み布地材料は、それ自体で消毒剤又は減菌剤として機能する。この処理済み布地材料は、洗浄耐久性及び非浸出特性も呈する。そのうち、使用する液剤は1以上の抗菌剤を含み、この処理済み布地材料を熱処理するステップを含む。
【0007】
また、血液バリア性とウイルスバリア性のある複合繊維コーティング層についての研究があり、例えば特許文献4には、不織繊維(可溶性繊維の完全に圧延したものが好ましい)と、該繊維の少なくとも一方の表面上にあり、かつ優れた通気性、良好な耐摩耗性を有し、血液およびウイルス剤の両方に対する保護を提供する、単片の通気性ポリマー層を含む複合繊維が開示されている。
この複合繊維は、繊維状基材織物上の単片コーティング層を含み、該複合繊維がMVTR 1500g/m2/日以上であり、ASTM F1670血液バリア性試験とASTM F1671ウイルスバリア性試験の両者に合格している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】台湾特許第089110815号明細書
【文献】台湾特許第102144782号明細書
【文献】台湾特許第105106057号明細書
【文献】台湾特許第099118884号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、表面は水滴を通さず、一方で気体を排出でき、高い透湿性を備え、同時に血液とウイルスの浸透を防止する抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層と、高透湿性防水層と、弾性穴埋め層と、を含み、前記不織布層が2つの表面を備え、目付が70g/m2以下であり、前記高透湿性防水層が多孔質薄膜であり、目付が5~30g/m2であり、前記高透湿性防水層中に粉体が重量含有率40~70%で含有され、前記高透湿性防水層中の前記粉体の平均粒径が0.5~3μmであり、かつ前記粉体として炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられ、前記高透湿性防水層が前記不織布層のいずれか一方の表面に貼付され、前記弾性穴埋め層が親水性ポリウレタン(hydrophilic polyurethane)であり、前記親水性ポリウレタンとして、親水性水性ポリウレタン(hydrophilic waterborne polyurethane)及び親水性溶剤型ポリウレタン(hydrophilic solventborne polyurethane)の少なくとも1つが用いられ、前記弾性穴埋め層が前記高透湿性防水層の表面に塗布または印刷され、かつ前記弾性穴埋め層の厚みが前記高透湿性防水層より薄く、前記抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、前記抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布のPhi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができることを特徴とする。
【0011】
以下の構成を採用することができる。
前記高透湿性防水層が、前記粉体を散布して引き延ばした多孔質ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムである。
前記不織布層の材質が、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布から選択して構成される。
前記不織布層の繊維直径が0.5~40μmである。
前記不織布層の繊維材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)‐エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)‐スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである。
前記高透湿性防水層が3層の共押出しフィルムであり、各層の厚みの比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である。
前記高透湿性防水層と前記弾性穴埋め層の厚みの比率が、16:1.5~16:3である。
前記高透湿性防水層が前記不織布層に貼付されており、前記高透湿性防水層を前記不織布層に貼付した層の透湿度が1500~7500g/m2.24hrである。
前記不織布層の目付が40~100g/m2であり、前記不織布層の透湿度が1500g/m2.24hr以上である。
前記高透湿性防水層中の粉体の重量含有率が40~60%であり、前記高透湿性防水層の透湿度が1500g/m2.24hr以上である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層表面に少なくとも3層の共押出しフィルムを備えた高透湿性防水層を含み、さらに弾性穴埋め層を該高透湿性防水層の表面に塗布または印刷して、高耐水圧性及び高通気性を備えた抗血液及び抗ウイルス機能を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1を示す抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の断面図である。
【
図2】本発明の実施例2を示す抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施例に限定されないことはいうまでもない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1を示す。
実施例1において、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層101と、高透湿性防水層201と、弾性穴埋め層301を含む。
【0016】
不織布層101は2つの表面を備え、不織布層101の目付は70g/m2以下である。
高透湿性防水層201は多孔質薄膜であり、高透湿性防水層201の目付は5~30g/m2である。高透湿性防水層201中には粉体20111が重量含有率40~70%で含有されており、ドラフト倍率が400%以下である。高透湿性防水層201中の粉体20111の平均粒径は0.5~3μmであり、粉体20111としては炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる。高透湿性防水層201は不織布層101のいずれか一方の表面に貼付される。
【0017】
弾性穴埋め層301は親水性ポリウレタン(hydrophilic polyurethane)よりなる。親水性ポリウレタンとしては、親水性水性ポリウレタン(hydrophilic waterborne polyurethane)と、親水性溶剤型ポリウレタン(hydrophilic solventborne polyurethane)のうち少なくとも1つが用いられる。
弾性穴埋め層301は高透湿性防水層201の表面に塗布または印刷され、かつ弾性穴埋め層301の厚みが高透湿性防水層201より薄い。
【0018】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ(CNS14799)、Phi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができる(CNS14800)。
【0019】
高透湿性防水層201は、粉体20111を散布した後引き延ばした多孔質ポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムである。
不織布層101の材質は、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布から選択して構成される。不織布層101の繊維直径は0.5~40μmである。不織布層101の繊維材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)‐エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)‐スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである。
【0020】
高透湿性防水層201と弾性穴埋め層301の厚みの比率は、16:1.5~16:3である。
弾性穴埋め層301がポリウレタン材質であるため、印刷または塗布後、1層の無孔質透湿層を形成し、ウイルスを遮断する機能を有する。
また、弾性穴埋め層301の透湿度が、高透湿性防水層201の多孔質構造より低い。これにより、高透湿性防水層201の膜厚を該弾性穴埋め層301の膜厚より大きくすることで、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の全体透湿度を高める。
【0021】
このほか、高透湿性防水層201の材料(ポリエチレンまたはポリプロピレン)は、弾性穴埋め層301の材料(ポリウレタン)よりコストが低い。高透湿性防水層201と弾性穴埋め層301の厚みの比率を調整することで、高い透湿度及び抗血液・抗ウイルスの浸透耐性を確保できる前提下で、同時にコストを節約する有益な効果を達成することができる。
【0022】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、高透湿性防水層201が不織布層101に貼付され、高透湿性防水層201を不織布層101に貼付した層の透湿度は1500~7500g/m2.24hrである(CNS 12222)。
不織布層101の目付が40~100g/m2であり、不織布層101の透湿度が1500g/m2.24hr(CNS 12222)以上である。
高透湿性防水層201中の粉体20111の重量含有率は、望ましくは40~60%であり、高透湿性防水層201の透湿度が1500g/m2.24hr(CNS 12222)以上である。高透湿性防水層201中の粉体20111の平均粒径が2μmであり、高透湿性防水層201の透湿度が1500g/m2.24hr(CNS 12222)以上である。
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の透湿度が1500g/m2.24hr(CNS 12222)以上である。
本発明の抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の合成血液浸透性は、圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS14799)、ウイルス浸透性は圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS14800)、すなわち、CNS14798国家標準レベルP3試験に合格している。
【実施例2】
【0023】
図2は本発明の実施例2を示す。
実施例2において、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層101と、高透湿性防水層201と、弾性穴埋め層301を含む。
不織布層101は2つの表面を備え、不織布層101の目付が38g/m
2である。
高透湿性防水層201が3層の共押出しフィルムであり、高透湿性防水層201の目付が12g/m
2である。
高透湿性防水層201中の粉体20111の重量含有率が55%であり、ドラフト倍率が400%である。高透湿性防水層201中の粉体20111の平均粒径が2μmであり、かつ粉体20111として炭酸カルシウム(CaCO
3)が用いられる。高透湿性防水層201が不織布層101のいずれか一方の表面に貼付される。
高透湿性防水層201を不織布層101に貼付した層の透湿度が5000g/m
2.24hrである(CNS 12222)。
【0024】
弾性穴埋め層301が、親水性ポリウレタン(hydrophilic polyurethane)より成り、親水性ポリウレタンとして、親水性水性ポリウレタン(hydrophilic waterborne polyurethane)または親水性溶剤型ポリウレタン(hydrophilic solventborne polyurethane)が選択して用いられる。
弾性穴埋め層301は高透湿性防水層201の表面に塗布または印刷され、かつ弾性穴埋め層301の厚みが高透湿性防水層201より薄い。
【0025】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ(CNS14799)、Phi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができる(CNS14800)ことを特徴とする。
不織布層101の材質は、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布から選択して構成される。不織布層101の繊維直径が10μmである。不織布層101の繊維材料の材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、またはスチレン(Styrene)‐エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)‐スチレン(Styrene)共重合体から選択される。
【0026】
本実施例は、高透湿性防水層201を3層に分け、かつ個別に粉体20111を散布した後引き延ばすことで、第1層の共押出しフィルム2011、第2層の共押出しフィルム2012、第3層の共押出しフィルム2013相互間の通気経路を延長して、ウイルスの浸透を防止する効果を達成する。
高透湿性防水層201と弾性穴埋め層301の厚みの比率が、16:1.5~16:3である。
本実施例において、高透湿性防水層201は3層の共押出しフィルムであり、第1層の共押出しフィルム2011、第2層の共押出しフィルム2012、第3層の共押出しフィルム2013を含み、各層の厚みの比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である。
【0027】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の透湿度が、平均3600g/m2.24hr(CNS 12222)に達する。
本実施例における抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の合成血液浸透性は、圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS14799)、ウイルス浸透性は、圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS14800)、すなわち、CNS14798国家標準レベルP3試験に合格している。
【実施例3】
【0028】
実施例3において、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層101と、高透湿性防水層201と、弾性穴埋め層301を含む。
不織布層101は、2つの表面を備え、目付が70g/m2である。
高透湿性防水層201は、3層の共押出しフィルムであり、高透湿性防水層201の目付が5g/m2である。
高透湿性防水層201中の粉体20111の重量含有率が40%であり、ドラフト倍率が300%である。高透湿性防水層201中の粉体20111の平均粒径が1μmであり、かつ粉体20111として炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる。
【0029】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、高透湿性防水層201が不織布層101のいずれか一方の表面に貼付され、高透湿性防水層201を不織布層101に貼付した層の透湿度が7500g/m2.24hrである(CNS 12222)。
弾性穴埋め層301が親水性ポリウレタンであり、該親水性ポリウレタンとして、親水性水性ポリウレタンまたは親水性溶剤型ポリウレタンのうち少なくとも1つが選択して用いられる。弾性穴埋め層301は高透湿性防水層201の表面に塗布または印刷される。
【0030】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ(CNS 14799)、Phi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができる(CNS 14800)ことを特徴とする。
【0031】
不織布層101の材質は、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布から選択して構成される。不織布層101の繊維直径は0.5μmである。不織布層101の繊維材料の材質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、ポリエステル/レーヨンの混繊、ポリエチレン/レーヨンの混繊、またはスチレン(Styrene)‐エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)‐スチレン(Styrene)共重合体から選択される。
【0032】
高透湿性防水層201は、3層の共押出しフィルムであり、各層の厚みの比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である。
高透湿性防水層201と弾性穴埋め層301の厚みの比率が、16:1.5~16:3である。
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の透湿度が、平均3600g/m2.24hr(CNS 12222)に達する。
本実施例における抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の合成血液浸透性は、圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS 14799)、ウイルス浸透性は圧力が13.8kPaより高い試験での結果測試結果不透過であり(CNS 14800)、すなわち、CNS 14798国家標準レベルP3試験に合格している。
【実施例4】
【0033】
実施例4において、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層101と、高透湿性防水層201と、弾性穴埋め層301を含む。
不織布層101は、2つの表面を備え、目付が40g/m2である。
高透湿性防水層201は、3層の共押出しフィルムであり、目付が30g/m2である。高透湿性防水層201中の粉体20111の重量含有率が70%であり、ドラフト倍率が400%である。高透湿性防水層201中の粉体20111の平均粒径が3μmであり、かつ粉体20111に炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる。
【0034】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、高透湿性防水層201が不織布層101のいずれか一方の表面に貼付され、高透湿性防水層201を不織布層101に貼付した層の透湿度が1500g/m2.24hrである(CNS 12222)。
弾性穴埋め層301は親水性ポリウレタンであり、親水性ポリウレタンとして、親水性水性ポリウレタンまたは親水性溶剤型ポリウレタンのうち少なくとも1つが選択して用いられる。弾性穴埋め層301は高透湿性防水層201の表面に塗布または印刷される。
【0035】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ(CNS 14799)、Phi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができる(CNS 14800)ことを特徴とする。
不織布層101の材質は、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布から選択して構成される。不織布層101の繊維直径が40μmである。不織布層101の繊維材料の材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、またはスチレン(Styrene)‐エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)‐スチレン(Styrene)共重合体から選択される。
高透湿性防水層201は3層の共押出しフィルムであり、各層の厚みの比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である。高透湿性防水層201と弾性穴埋め層301の厚みの比率は、16:1.5~16:3である。
【0036】
抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の透湿度は、平均3600g/m2.24hr(CNS 12222)に達する。
本実施例における抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の合成血液浸透性は、圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS 14799)、ウイルス浸透性は圧力が13.8kPaより高い試験での結果不透過であり(CNS 14800)、すなわち、CNS 14798国家標準レベルP3試験に合格している。
【0037】
本発明の実施例における抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、不織布層101表面に少なくとも3層の共押出しフィルムを備えた高透湿性防水層201を有し、さらに弾性穴埋め層301を高透湿性防水層201の表面に塗布または印刷する特徴を含み、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布の耐屈曲性を高めることができる。
実施例において、180度の屈曲を少なくとも5000回実施したが、屈曲箇所に目視で亀裂現象は観察されない。
以上のように、本発明の実施例が開示する具体的な構造は、耐屈曲性、高耐水圧性及び高通気性を備えた抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布を確実に提供することができる。
【0038】
以上は、本発明の良好な実施形態の説明であり、本発明の権利範囲を制限するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない変化と修飾は、すべて本発明の権利範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0039】
101 不織布層
201 高透湿性防水層
2011 第1層の共押出しフィルム
2012 第2層の共押出しフィルム
2013 第3層の共押出しフィルム
20111 粉体
301 弾性穴埋め層
【要約】
【課題】表面は水滴を通さず、一方で気体を排出でき、高い透湿性を備え、同時に血液とウイルスの浸透を防止する抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布を提供すること。
【解決手段】不織布層101と、高透湿性防水層201と、弾性穴埋め層301とを含み、高透湿性防水層201が多孔質薄膜であって不織布層101の表面に貼付され、弾性穴埋め層301が親水性ポリウレタンであって高透湿性防水層201の表面に塗布または印刷され、弾性穴埋め層301の厚みが高透湿性防水層201より薄く、抗血液及び抗ウイルス性の防護服用不織布は、合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、Phi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができる。
【選択図】
図2