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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20230126BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10
A61B17/22
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021521638
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2019021162
(87)【国際公開番号】W WO2020240717
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 菜穂
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-261951(JP,A)
【文献】国際公開第2017/111164(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/033401(WO,A1)
【文献】特開2007-252895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に先端チップ部を含む中空シャフトと、
前記中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能なバルーンと、を備えているバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、前記中空シャフトの外周に接合された第1の接合部と、この第1の接合部よりも基端側に位置し前記中空シャフトの外周に接合された第2の接合部と、前記第1の接合部と前記第2の接合部とに連続する拡張部とを有し、
前記第1の接合部の全体が前記拡張部の内側に位置していると共に、前記第1の接合部の先端が前記中空シャフトの先端から基端側に離間しており、
前記中空シャフト先端の硬さは、前記中空シャフト基端の硬さよりも小さく、
前記バルーンが収縮した収縮状態において、前記中空シャフトの先端部の外周は露出して配置され、
前記バルーンが拡張した拡張状態において、前記中空シャフトの先端部の外周は前記バルーンに覆われることを特徴とするバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記バルーン拡縮時の前記拡張部における先端部の伸縮量が、前記拡張部における前記先端部よりも基端側に位置する基端部の伸縮量よりも大きい請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記バルーンの前記拡張部における先端部の柔軟性が、前記拡張部における前記先端部よりも基端側に位置する基端部の柔軟性よりも大きい請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記第2の接合部が前記拡張部の外側に位置しており、前記拡張状態において、前記バルーンの外周が血管内壁に当接すると共に、前記バルーンが先端側へ進出する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記拡張状態において、前記バルーンの先端は、前記中空シャフトの先端よりも先端側に配置される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内に形成された血栓を取り除いたり、血管内の石灰化した部位(例えば、慢性完全閉塞:CTOなど)を治療する際、取り除いた血栓等の破片が血流に乗って血管末梢へ流れるのを防止する必要がある。かかる場合、例えば、バルーンカテーテルのバルーンを治療部位の下流側に配置し、一時的に血流を遮断することで上記破片をブロックする手法が用いられる。
【0003】
このようなバルーンカテーテルは、縮径状態のバルーンを治療部位まで円滑に届けるため、例えば、バルーンを先導する柔軟な先端部を中空シャフトに設けることがある。このようなカテーテルによれば、上記先端部に案内されたバルーンの拡張部を血管内の治療部位まで円滑に押し進めることができ、血管へのダメージを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-252895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のバルーンカテーテルでは、上記柔軟な先端部がバルーンの先端に設けられたバルーンと中空シャフトとの接合部よりも更に先端側に配置されるため、治療中に上記先端部や接合部に付着した血栓等の破片が、バルーン収縮後に剥がれて血管末梢へ流れる虞がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、中空シャフトの先端部や、バルーンと中空シャフトとの接合部に血栓等の破片が付着するのを防止することが可能なバルーンカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様は、
(1)中空シャフトと、
前記中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能なバルーンと、を備えているバルーンカテーテルであって、
前記バルーンは、前記中空シャフトの外周に接合された第1の接合部と、この第1の接合部よりも基端側に位置し前記中空シャフトの外周に接合された第2の接合部と、前記第1の接合部と前記第2の接合部とに連続する拡張部とを有し、
前記第1の接合部の全体が前記拡張部の内側に位置していると共に、前記第1の接合部の先端が前記中空シャフトの先端から基端側に離間していることを特徴とするバルーンカテーテル、
(2)前記バルーン拡縮時の前記拡張部における先端部の伸縮量が、前記拡張部における前記先端部よりも基端側に位置する基端部の伸縮量よりも大きい前記(1)に記載のバルーンカテーテル、
(3)前記バルーンの前記拡張部における先端部の柔軟性が、前記拡張部における前記先端部よりも基端側に位置する基端部の柔軟性よりも大きい前記(1)に記載のバルーンカテーテル、および
(4)前記中空シャフト先端の硬さが、前記中空シャフト基端の硬さよりも小さい前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル、
である。
【0008】
なお、本明細書において、「先端側」とは、中空シャフトの長軸方向に沿う方向であって、治療部位に向って進行する方向を意味する。また、「基端側」とは、中空シャフトの長軸方向に沿う方向であって、先端側と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。「先端部」とは、任意の部材または部位において、その先端を含みこの先端から基端側に向かって中途まで延びる部位を指す。「基端部」とは、任意の部材または部位において、その基端を含みこの基端から先端側に向かって中途まで延びる部位を指す。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、中空シャフトの先端部や、バルーンと中空シャフトとの接合部へ血栓等の破片が付着するのを防止することが可能なバルーンカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の全体を示す概略的断面図である。
図2】第1の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、図1の使用状態を示す図である。
図3A】第2の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、中空シャフトの一例を示す図である。
図3B】第2の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、中空シャフトの一例を示す図である。
図3C】第2の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、中空シャフトの一例を示す図である。
図3D】第2の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、中空シャフトの一例を示す図である。
図4】第3の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、バルーンの一例を示す図である。
図5】第4の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、バルーンの一例を示す図である。
図6】第5の実施形態の一部を示す概略的断面図であって、バルーンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当該バルーンカテーテルは、中空シャフトと、上記中空シャフト外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能なバルーンと、を備えているバルーンカテーテルであって、上記バルーンは、上記中空シャフトの外周に接合された第1の接合部と、この第1の接合部よりも基端側に位置し上記中空シャフトの外周に接合された第2の接合部と、上記第1の接合部と上記第2の接合部とに連続する拡張部とを有し、上記第1の接合部の全体が上記拡張部の内側に位置していると共に、上記第1の接合部の先端が上記中空シャフトの先端から基端側に離間していることを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の第1~第5の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、図面に示した各部の寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の全体を示す概略的断面図である。当該バルーンカテーテル1は、図1に示すように、概略的に、中空シャフト11と、バルーン21と、コネクタ31とにより構成されている。
【0014】
中空シャフト11は、中空形状のシャフトである。中空シャフト11は、先端に開口11cを有しかつ上記先端から基端に亘って貫通する貫通孔(以下、「メインルーメン11b」ともいう)を有している。メインルーメン11bには、例えば、ガイドワイヤ、血栓等破砕用デバイスなどの医療器具等(不図示)が挿入される。また、中空シャフト11は、後述するバルーン21内部に臨む開口11eを有しかつ開口11eから中空シャフト11の基端に亘って貫通する貫通孔(以下、「拡張ルーメン11d」ともいう)を有している。拡張ルーメン11dには、例えば、バルーン21を拡縮するための液体(以下、「拡張液」ともいう)が流通する。
【0015】
中空シャフト11は、例えば、先端側に位置する先端側中空シャフト11Aと、この先端側中空シャフト11Aの基端に接合され基端側に向かって延設された基端側中空シャフト11Bとで構成することができる。当該バルーンカテーテル1では、先端側中空シャフト11Aと基端側中空シャフト11Bとに亘ってメインルーメン11bおよび拡張ルーメン11dが設けられている。
【0016】
先端側中空シャフト11Aおよび基端側中空シャフト11Bを構成する材料としては、体腔内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましい。先端側中空シャフト11Aとしては、例えば、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂など樹脂材料等を採用することができる。基端側中空シャフト11Bとしては、例えば、上記先端側中空シャフト11Aよりも剛性の高い樹脂材料、ステンレス鋼(SUS304など)、超弾性合金(ニッケル-チタン合金など)などの金属材料等を採用することができる。
【0017】
バルーン21は、中空シャフト11外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能な部材である。バルーン21は、第1の接合部21aと、第2の接合部21bと、拡張部21cとを有している。このバルーン21の内部(第1の接合部21aと、第2の接合部21bと、拡張部21cと、中空シャフト11の外周とにより囲まれた空間)に開口11eを介して拡張液を注入することで拡張部21cが膨らみ、例えば、バルーン21の外周面を血管の内壁に押し当てたり、狭窄部を拡張することができる。
【0018】
ここで、バルーン21と中空シャフト11との接合部位について説明する。第1の接合部21aは、バルーン21が中空シャフト11の外周に接合された部位である。第1の接合部21aは、その全体が拡張部21cの内側に位置している。また、第1の接合部21aは、その先端が中空シャフト11の先端から基端側に離間している。このため、バルーンカテーテル1が血管内を進行する際、中空シャフトの先端部11aが縮径状態のバルーン21を先導し、バルーンカテーテル1を円滑に押し進めることができる。第1の接合部21aは、具体的には、例えば、バルーン21を構成するシート状の部材の先端側端部を基端側に折り返し、この折り返し部と中空シャフト11の外周とを加熱溶着等で接合することにより形成することができる。
【0019】
第2の接合部21bは、第1の接合部21aよりも基端側に位置し、バルーン21が中空シャフト11の外周に接合された部位である。第2の接合部21bは、具体的には、例えば、バルーン21を構成するシート状の部材の基端側端部を基端側に折り返し、第1の接合部21aを接合した後、上記折り返し部の基端側の端部と中空シャフト11の外周とを加熱溶着等で接合することにより形成することができる。
【0020】
拡張部21cは、第1の接合部21aと第2の接合部21bとに連続する部位である。この拡張部21cは、拡張液がバルーン21の内部に注入されることで径外側方向、並びに長軸の先端側および基端側に膨らむように形成されている。
【0021】
バルーン21は、例えば、伸縮可能なシート状の部材で形成することができる。バルーン21を構成する材料としては、伸縮性、接合容易性、抗血栓性および生体適合性を有していることが好ましい。このような材料としては、例えば、シリコーン、ポリウレタンなど樹脂材料等が挙げられる。
【0022】
コネクタ31は、中空シャフト11のメインルーメン11bを介して医療器具を挿脱し、および/または拡張ルーメン11dを介して拡張液を出し入れする操作用の部位である。コネクタ31は、基端側中空シャフト11Bの基端に接続されており、メインルーメン11bに相通し基端側に開口31cを有する通孔31bと、拡張ルーメン11dに相通し基端側に開口31eを有する通孔31dとを備えている。
【0023】
当該バルーンカテーテル1における各部の軸方向の長さは、通常、中空シャフト11全体が900mm~2000mm、中空シャフト11の先端と第1の接合部21aの先端との距離が1mm~10mm、第1の接合部21aの先端と第2の接合部21bの基端との距離が5mm~50mmである。各部の外径は、通常、中空シャフト11が1mm~5mm、縮経時のバルーン21が1mm~6mm、拡径時のバルーン21が2mm~20mmである。中空シャフト11の内径は、通常、メインルーメン11bが0.5mm~3mm、拡張ルーメン11dが0.1mm~1mmである。
【0024】
次に、当該バルーンカテーテル1の使用態様について、図1図2を参照して説明する。ここでは、バルーンカテーテル1がバルーン付きガイディングカテーテルであり、血管内に生じた血栓を除去して回収する手技について例示する。
【0025】
まず、当該バルーンカテーテル1の挿入に先立って、ガイドワイヤ(不図示)、血管造影用カテーテル(不図示)、バルーン21が縮径した状態のバルーンカテーテル1を血管内に挿入する。次いで、ガイドワイヤおよび血管造影用カテーテルを先行させながらバルーンカテーテルを血栓が形成されている部位(以下、「治療部位」ともいう)の手前まで推し進める。次いで、ガイドワイヤおよび血管造影用カテーテルを体外へ除去する。
【0026】
次に、血栓回収器具を当該バルーンカテーテル1の開口31cから挿入し、メインルーメン11bを介して血栓回収器具の先端側を開口11cから進出させる。次いで、血栓回収器具の先端を治療部位まで押し進める。次に、開口31eから通孔31dおよび拡張ルーメン11dを介して生理食塩水などの拡張液をバルーン21内に注入することでバルーン21を拡張する。この際、拡張液の注入に伴い、バルーン21の外周が血管内壁に当接して血流を遮断すると共に、バルーン21が先端側へ進出することで中空シャフト11の先端部11a外周(中空シャフト11における第1の接合部21aよりも先端側の外周)が拡張部21cで覆われる。
【0027】
次に、血栓を破砕しながらその破片を血栓回収器具に取り込んで回収する。次いで、血栓回収器具による血栓の回収が終了した後、血栓回収器具、当該バルーンカテーテル1(バルーンが縮径されている状態)の順番でこれらを体外に抜去することで当該バルーンカテーテル1の使用が完了する。
【0028】
このように、当該バルーンカテーテル1は、第1の接合部21aの全体が拡張部21cの内側に位置する構成であるので、中空シャフト11の先端側の先端部11aを露出して配置することができる。バルーンカテーテル1の先端部11aは血管内壁と接触をしても血管内壁を損傷させない軟質材料で形成されている。このため、当該バルーンカテーテル1を体内に挿入する間のバルーン21が収縮している状態においては、バルーンカテーテル1の先端部11aを露出させることができる。その結果、当該バルーンカテーテル1は血管内への挿入の際、血管内壁の損傷を抑制することができる。さらにバルーン21が拡張する際、拡張部21cの先端がより先端側に進出して中空シャフト11の先端部11aや第1の接合部21aを覆うことができ、これらに血栓等の破片が付着するのを防止することができる。その結果、バルーン21収縮後に血栓等の破片が血管末梢へ流れるのを抑制することができる。
【0029】
[第2の実施形態]
図3A図3Dは、第2の実施形態の一部を示す概略的断面図である。当該バルーンカテーテル2は、例えば図3Aに示すように、概略的に、中空シャフト12と、バルーン21と、コネクタ31(不図示)とにより構成されている。当該バルーンカテーテル2は、中空シャフト12が第1の実施形態のものと異なっている。なお、バルーン21およびコネクタ31の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、中空シャフト12における以下に示す構成以外の構成、並びに当該バルーンカテーテル2の使用態様は、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0030】
中空シャフト12は、中空形状のシャフトである。中空シャフト12は、例えば、先端側に位置する先端側中空シャフト12Aと、この先端側中空シャフト12Aの基端に接合され基端側に向かって延設された基端側中空シャフト12B(不図示)とで構成することができる。当該バルーンカテーテル2では、先端側中空シャフト12Aと基端側中空シャフト12Bとに亘ってメインルーメン12bおよび拡張ルーメン12dが設けられている。
【0031】
先端側中空シャフト12Aは、先端チップ部12A1と、先端側中空シャフト本体12A2とにより構成されている。
【0032】
先端チップ部12A1は、中空シャフトの先端部に配置された部位である。先端チップ部12A1は、長軸方向に沿って貫通孔を有しており、この貫通孔がメインルーメン12bの一部を構成している。
【0033】
中空シャフト12のうちの先端チップ部12A1が配置される部位としては、長軸方向における先端チップ部12A1の基端が、例えば、第1の接合部21aよりも先端側に位置していてもよく(図3Aの先端チップ部12A11参照)、第1の接合部21aの先端と同じであってもよく(図3Bの先端チップ部12A12参照)、第1の接合部21aと第2の接合部21bとの間に位置していてもよく(図3Cの先端チップ部12A13参照)、第2の接合部21bよりも基端側に位置していてもよい(図3Dの先端チップ部12A14参照)。
【0034】
先端側中空シャフト本体12A2は、先端が先端チップ部12A1の基端に接続された部位である。先端側中空シャフト本体12A2は、長軸方向に沿って貫通孔を有しており、この貫通孔がメインルーメン12bの一部を構成している。
【0035】
ここで、当該バルーンカテーテル2は、中空シャフト12先端の硬さが、中空シャフト12基端の硬さよりも小さくなるように形成されている。具体的には、当該バルーンカテーテル2は、例えば、先端チップ部12A1の硬さが、基端側中空シャフト12Bの硬さよりも小さくなるよう形成することができる。
【0036】
中空シャフト12先端の硬さおよび基端の硬さの調整方法としては、例えば、多孔度などの構造が異なる同一材料を用いて硬さを調整する方法、硬さが異なる別異の材料を用いる方法、中空シャフトの径を徐変させる方法等を採用することができる。別異の材料を用いる場合、例えば、第1の実施形態にて中空シャフト11の材料として例示したものの中から、その硬さに基づいて適宜選択するようにしてもよい。
【0037】
このように、当該バルーンカテーテル2は、上記構成であるので、中空シャフト12先端の硬さが、中空シャフト12基端の硬さよりも小さい分、バルーンカテーテル2を前進する際の血管等への刺激を低減することができる。
【0038】
[第3の実施形態]
図4は、第3の実施形態の一部を示す概略的断面図である。当該バルーンカテーテル3は、図4に示すように、概略的に、中空シャフト12と、バルーン23と、コネクタ31(不図示)とにより構成されている。当該バルーンカテーテル3は、バルーン23が第2の実施形態のものと異なっている。なお、中空シャフト12およびコネクタ31の構成は、第2の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、バルーン23における以下に示す構成以外の構成、並びに当該バルーンカテーテル3の使用態様は、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0039】
バルーン23は、中空シャフト12外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能な部材である。バルーン23は、第1の接合部23aと、第2の接合部23bと、第1の接合部23aと第2の接合部23bとに連続する拡張部23cとを有している。
【0040】
第1の接合部23aは、中空シャフト12の外周に接合されている。第1の接合部23aは、その全体が拡張部23cの内側に位置している。また、第1の接合部23aは、第1の接合部23aの先端が中空シャフト12の先端から基端側に離間している。第2の接合部23bは、第1の接合部23aよりも基端側に位置し、中空シャフト12の外周に接合されている。拡張部23cは、第1の接合部23aと第2の接合部23bとに連続している。
【0041】
当該バルーンカテーテル3のバルーン23は、バルーン23拡縮時の拡張部23cにおける先端部23c1の伸縮量が、拡張部23cにおける先端部23c1よりも基端側に位置する基端部23c2の伸縮量よりも大きくなるように形成されている。具体的には、バルーン23は、例えば、縮径時において拡張部23cの先端部23c1が蛇腹状に折り込まれるように形成することができる(図4参照)。この蛇腹状の先端部23c1は、バルーン23内部に拡張液を注入する際に先端側に押し出されるように展開する。
【0042】
このように、当該バルーンカテーテル3は、上記構成であるので、バルーン23を拡張する際、第1の接合部23aに対してより一層先端側に拡張部23cを進出させることができる。その結果、中空シャフト12の先端部や、バルーン23と中空シャフト12との接合部へ血栓等の破片が付着するのをより確実に防止することができる。
【0043】
[第4の実施形態]
図5は、第4の実施形態の一部を示す概略的断面図である。当該バルーンカテーテル4は、図5に示すように、概略的に、中空シャフト12と、バルーン24と、コネクタ31(不図示)とにより構成されている。当該バルーンカテーテル4は、バルーン24が第3の実施形態のものと異なっている。なお、中空シャフト12およびコネクタ31の構成は、第2の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、バルーン24における以下に示す構成以外の構成、並びに当該バルーンカテーテル4の使用態様は、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0044】
バルーン24は、中空シャフト12外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能な部材である。バルーン24は、第1の接合部24aと、第2の接合部24bと、第1の接合部24aと第2の接合部24bとに連続する拡張部24cとを有している。
【0045】
第1の接合部24aは、中空シャフト12の外周に接合されている。第1の接合部24aは、その全体が拡張部24cの内側に位置している。また、第1の接合部24aは、第1の接合部24aの先端が中空シャフト12の先端から基端側に離間している。第2の接合部24bは、第1の接合部24aよりも基端側に位置し、中空シャフト12の外周に接合されている。拡張部24cは、第1の接合部24aと第2の接合部24bとに連続している。
【0046】
当該バルーンカテーテル4のバルーン24は、バルーン24拡縮時の拡張部24cにおける先端部の伸縮量が、拡張部24cにおける先端部24c1よりも基端側に位置する基端部24c2の伸縮量よりも大きくなるように形成されている。具体的には、バルーン24は、例えば、厚みの異なる同じ材料の部材どうしが接続部24c3にて接続され、これらの部材により一つの拡張部24cを形成することができる。当該バルーンカテーテル4では、拡張部24cの先端側に厚みの薄い部位24c1、拡張部24cの基端側に厚みの厚い部位24c2が配置されている。このため、厚みの薄い部位24c1が厚みの厚い部位24c2に比べてより伸縮し、バルーン24内部に拡張液を注入する際に拡張部24cがより先端側に展開する。
【0047】
拡張部24cにおける先端部24c1と基端部24c2との接続方法としては、例えば、樹脂材料どうしを加熱溶着する方法等を採用することができる。
【0048】
このように、当該バルーンカテーテル4は、上記構成であるので、バルーン24を拡張する際、第1の接合部24aに対してより一層先端側に拡張部24cを進出させることができる。その結果、中空シャフト12の先端部や、バルーン24と中空シャフト12との接合部へ血栓等の破片が付着するのをより確実に防止することができる。
【0049】
[第5の実施形態]
図6は、第5の実施形態の一部を示す概略的断面図である。当該バルーンカテーテル5は、図6に示すように、概略的に、中空シャフト12と、バルーン25と、コネクタ31(不図示)とにより構成されている。当該バルーンカテーテル5は、バルーン25が第2の実施形態のものと異なっている。なお、中空シャフト12およびコネクタ31の構成は、第2の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、バルーン25における以下に示す構成以外の構成、並びに当該バルーンカテーテル5の使用態様は、第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0050】
バルーン25は、中空シャフト12外周の少なくとも一部を覆うように配置された拡縮可能な部材である。バルーン25は、第1の接合部25aと、第2の接合部25bと、第1の接合部25aと第2の接合部25bとに連続する拡張部25cとを有している。
【0051】
第1の接合部25aは、中空シャフト12の外周に接合されている。第1の接合部25aは、その全体が拡張部25cの内側に位置している。また、第1の接合部25aは、第1の接合部25aの先端が中空シャフト12の先端から基端側に離間している。第2の接合部25bは、第1の接合部25aよりも基端側に位置し、中空シャフト12の外周に接合されている。拡張部25cは、第1の接合部25aと第2の接合部25bとに連続している。
【0052】
当該バルーンカテーテル5のバルーン25は、バルーン25の拡張部25cにおける先端部25c1の柔軟性が、拡張部25cにおける先端部25c1よりも基端側に位置する基端部25c2の柔軟性よりも大きくなるように形成されている。具体的には、例えば、異なる材料で形成した拡張部25cの先端部25c1と基端部25c2とを接続部25c3で接続して一つの拡張部25cを形成し、先端部25c1の材料の柔らかさが基端部25c2の材料の柔らかさよりも大きくなる(先端部25c1の材料の剛性が基端部25c2の材料の剛性よりも小さくなる)ように形成することができる。
【0053】
先端部25c1および基端部25c2に用いる材料の組み合わせとしては、例えば、第1の実施形態で例示したバルーン21を構成する材料の中から、柔軟性(剛性)に基づき、適宜選択することができる。
【0054】
先端部25c1と基端部25c2と接続方法としては、例えば、第4の実施形態にて上述した拡張部24cの先端部24c1と基端部24c2との接続方法と同様の方法等を採用することができる。
【0055】
このように、当該バルーンカテーテル5は、上記構成であるので、バルーン25を拡張する際、第1の接合部25aに対してより一層先端側に拡張部25cを進出させることができる。その結果、中空シャフト12の先端部や、バルーン25と中空シャフト12との接合部へ血栓等の破片が付着するのをより確実に防止することができる。
【0056】
以上のように、当該バルーンカテーテル1~5は、中空シャフト11、12の先端部や、バルーン21~25と中空シャフト11、12との接合部21a~25aへ血栓等の破片が付着するのを防止することができるので、例えば、メインルーメンに血栓回収器具などを通して血管内に形成された血栓を取り除くようなバルーン付きガイディングカテーテルに好適に適用することができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、単一の中空シャフト11、12を備えたバルーンカテーテル1~5について説明したが、複数の中空シャフトを備えたバルーンカテーテルであってもよく、例えば、内側中空シャフトと、この内側中空シャフトを覆うように配置された外側中空シャフトとを備えた多重の中空シャフトを備えているバルーンカテーテルであってもよい。このようなバルーンカテーテルでは、例えば、内側中空シャフト内側の空間をメインルーメン、内側中空シャフトと外側中空シャフトとの間の空間を拡張ルーメンとして使用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1~5 バルーンカテーテル
11、12 中空シャフト
21~25 バルーン
21a~25a 第1の接合部
21b~25b 第2の接合部
21c~25c 拡張部
23c1、24c1、25c1 拡張部の先端部
23c2、24c2、25c2 拡張部の基端部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6