(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】防振支持脚部材及び防振支持脚部材を備えるエアポンプ
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20230126BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20230126BHJP
F16M 7/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
F16F15/08 V
F04B39/00 102Q
F16M7/00 G
(21)【出願番号】P 2021554151
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2020034449
(87)【国際公開番号】W WO2021084937
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2019197695
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】駒田 有輝
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/124130(WO,A1)
【文献】特開昭63-266296(JP,A)
【文献】特開平11-230492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/08
F04B 39/00
F16M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を生じる機器を設置台の設置面上に支持するための防振支持脚部材であって、
設置面に面する機器の下面の周縁近くの位置に取り付けられて下方に延び、該設置面上に載置されて当該機器を該設置面上に支持するための支持脚部と、
該機器の該下面の下側で該支持脚部から該下面の該周縁から見て内側に向かって横方向に延びる延長支持部であって、
下面及び上面を有し、該設置面が該支持脚部よりも該内側に位置する場合に、該支持脚部に代わり該設置面上に載置され
、該上面が該機器の下面に当接し、当該延長支持部の該下面が該設置面に当接して該機器を該設置面上に支持する延長支持部と、
を有
し、
該支持脚部と該延長支持部とが弾性部材により一体に形成されている、防振支持脚部材。
【請求項2】
該支持脚部が設置面上に載置されるときに、該延長支持部も該設置面上に載置されて該延長支持部の少なくとも一部が該機器の下面に当接されるようにした、請求項1に記載の防振支持脚部材。
【請求項3】
該延長支持部
の該下面が、設置面に当接される該支持脚部の下端面と面一で水平に延びる、請求項1
又は2に記載の防振支持脚部材。
【請求項4】
該支持脚部が円形状断面を有
する、請求項1乃至
3の何れか一項に記載の防振支持脚部材。
【請求項5】
該延長支持部が、該支持脚部から直線状に延びる棒状にされている、請求項
4に記載の防振支持脚部材。
【請求項6】
該延長支持部が、該支持脚部から扇状に広がるように延びるようにされている、請求項
4に記載の防振支持脚部材。
【請求項7】
該上面の該支持脚部寄りの位置に凹部を有する、請求項
1乃至
6の何れか一項に記載の防振支持脚部材。
【請求項8】
エアポンプ本体と、
該エアポンプ本体の周囲を囲うケーシングと、
該ケーシングの下面の周縁近くの位置に取り付けられた請求項1乃至
7の何れか一項に記載の防振支持脚部材であって、該支持脚部が該ケーシングの内側上方に延びて該エアポンプ本体を該ケーシングから離した状態で支持するポンプ支持部を有する防振支持脚部材と、
を有するエアポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化槽のエアレーションを行うためのエアポンプ(ブロア)などの振動を伴う機器の下面に取り付けられて当該機器を支持するための防振支持脚部材及び該防振支持脚部材を備えたエアポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅における浄化槽のエアレーションを行うためのエアポンプ(ブロア)は、通常、敷地内に設置された矩形状のコンクリート設置台の上に設置される。一般のエアポンプはポンプ作用を行うエアポンプ本体を覆う箱形の樹脂又は金属からなるケーシングを備えており、ケーシングの底面の周縁四隅近くにはゴムなどの弾性部材からなる防振支持脚部材が取り付けられている。エアポンプは防振支持脚部材によって設置台上に支持され、これにより当該エアポンプから生じる振動が設置台に直接伝わらないようになっている。
【0003】
エアポンプが故障するなどして、別の種類のエアポンプに交換することがあるが、交換するエアポンプのケーシングが大型である場合には、防振支持脚部材が設置台の設置面の縁よりも外側位置となり当該防振支持脚部材を設置面上に適切に載置することができない場合が生じる。
【0004】
振動を生じる機器を、防振作用を伴いながら支持する部材としては例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるようなものがあるが、いずれも上述のエアポンプの問題を解消するようなものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭60-34194号公報
【文献】意匠公報第1601374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記に鑑み、エアポンプなどの振動を生じる機器の下面が当該機器を設置する設置台の設置面に比べて大きく、上述のような従来の防振支持脚部材では当該機器を該設置面に適正に載置することができない場合であっても、当該機器を同設置面上に適正に載置することができるようにする防振支持脚部材及びその防振支持脚部材を備えるエアポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
振動を生じる機器を設置台の設置面上に支持するための防振支持脚部材であって、
設置面に面する機器の下面の周縁近くの位置に取り付けられて下方に延び、設置面上に載置されて当該機器を該設置面上に支持するための支持脚部と、
該機器の該下面の下側で該支持脚部から該下面の該周縁から見て内側に向かって横方向に延びる延長支持部であって、該設置面が該支持脚部よりも該内側に位置する場合に、該支持脚部に代わり該設置面上に載置されて該機器を該設置面上に支持する延長支持部と、
を有する防振支持脚部材を提供する。
この防振支持脚部材を用いれば上述の問題を解消することが可能となる。
【0008】
この防振支持脚部材ではまた、該延長支持部が該支持脚部に代わり設置面上に載置されるときに、該延長支持部の少なくとも一部が該機器の下面に当接されるようにすることができる。延長支持部を機器の下面に当接させることにより防振効果を向上させることが可能となる。
【0009】
この防振支持脚部材ではまた、該支持脚部が設置面上に載置されるときに、該延長支持部も該設置面上に載置されて該延長支持部の少なくとも一部が該機器の下面に当接されるようにすることもできる。
【0010】
具体的構成の一例としては、該延長支持部が、設置面に当接される該支持脚部の下端面と面一で水平に延びる下面を有するようにすることができる。
【0011】
更に別の具体的構成の一例としては、
該支持脚部が円形状断面を有し、
該延長支持部が該支持脚部から径方向に延び、設置面に当接される下面と、機器の下面に面する上面とを有するようにすることができる。
【0012】
この場合、該延長支持部が、該支持脚部から直線状に延びる棒状のものとすることができる。
【0013】
別の例としては、該延長支持部が、該支持脚部から扇状に広がるように延びるものとすることができる。
【0014】
上記した延長支持部の上面には、支持脚部寄りの位置に凹部を有するようにすることができる。
【0015】
本発明はまた、
エアポンプ本体と、
該エアポンプ本体の周囲を囲うケーシングと、
該ケーシングの下面の周縁近くの位置に取り付けられた上述のごとき防振支持脚部材であって、該支持脚部が該ケーシングの内側上方に延びて該エアポンプ本体を該ケーシングから離した状態で支持するポンプ支持部を有する防振支持脚部材と、
を有するエアポンプを提供する。
【0016】
以下、本発明に係る防振支持脚部材及びそれを備えたエアポンプの実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る防振支持脚部材を備えるエアポンプの実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図1のエアポンプに取り付けられている防振支持脚部材の斜視図である。
【
図5】
図1のエアポンプを該エアポンプの下面よりも小さい設置面の設置台に設置した状態を示す、
図2のV-V線に沿って見た断面側面図であり、エアポンプの上部ケーシング部は取り外した状態とされている。
【
図6】本発明に係る防振支持脚部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る防振支持脚部材のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る防振支持脚部材のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図5から分かるように、本発明に係るエアポンプ10はポンプ作用をなすエアポンプ本体12と、エアポンプ本体12を包む樹脂などにより作られたケーシング14と、ケーシング14の下部ケーシング部16の下面18の周縁近くの位置に取り付けられた防振支持脚部材20とを有している。
【0019】
エアポンプ本体12は、周囲から空気を吸引し圧縮して吐出口24から吐出するようになっており、詳細な記述は行わないが従来から知られている種々のポンプ機構を有するものとすることができる。
【0020】
ケーシング14は、下部ケーシング部16と、上部ケーシング部26とからなり、下部ケーシング部16の四角形の開口縁部と対応する上部ケーシング部26の四角形の開口縁部とが重ねられてネジ止めされ、全体として四角な箱型とされている。
【0021】
防振支持脚部材20は、
図3及び
図4に示すように、垂直方向に延びる支持脚部28と支持脚部28から水平方向に延びる延長支持部30とからなり全体としてL形とされている。
【0022】
支持脚部28は、下部ケーシング部16の周縁の四隅に近い位置に取り付けられ、それぞれ下部ケーシング部16の下面18よりも下方に延び設置台Bの設置面BS上に載置されて、ケーシング14を設置面BS上に支持する。エアポンプ10に関連付けられた図示の実施形態では、支持脚部28は、ケーシング14の内側上方に延びてエアポンプ本体12をケーシング14から離した状態で支持するためのポンプ支持部34を有する。支持脚部28はその全長にわたり断面が円形状とされており、下部ケーシング部16に設けられている円形の取付開口40に通され、該取付開口40の周縁部を当該支持脚部28の周面に設けられた環状取付溝42に受け入れることにより当該下部ケーシング部16を支持するようになっている。また、ポンプ支持部34には円形の環状溝44が設けられており、この環状溝44にエアポンプ本体12から水平に延びている支持用部46を嵌合させることにより、エアポンプ本体12をケーシング14から実質的に離した状態で支持するようになっている。
【0023】
延長支持部30は、支持脚部28から径方向に延びて設置面BSに当接される下面48と、下部ケーシング部16の下面18に当接される上面50とを有する平たい棒状とされている。防振支持脚部材20は、延長支持部30が支持脚部28から下部ケーシング部16の下面18の周縁から見て内側に向かって横方向に延びるように設定される。延長支持部30の下面48は支持脚部28の下端面52と面一に水平に延びるようにされている。
図5に示すように設置台Bが一点鎖線で示すように大きいものであり支持脚部28の下端面52が設置面BSに当接する場合には、延長支持部30の下面48も設置面BSに当接するようになっている。また、設置台Bが実線で示すように小さいものであり支持脚部28の下端面52が設置面BSに当接できない場合にも、延長支持部30の下面48が設置面BSに当接することにより、下部ケーシング部16を支持できるようになっている。
【0024】
図6及び
図7に示す他の実施形態に係る防振支持脚部材20Aは、上述の防振支持脚部材20と略同じ構成とされているが、延長支持部30Aの上面50Aの支持脚部28A寄りの位置に湾曲した凹部54が設けられている。このような凹部54が設けられていることにより、エアポンプ10の振動が設置台Bにより伝わりにくくなる。
【0025】
図8及び
図9に示す更に他の実施形態に係る防振支持脚部材20Bでは、上述の実施形態のものと実質的には同じ形状とされた支持脚部28Bから扇状に拡がる延長支持部30Bが設けられている。延長支持部30Bは上述の実施形態における延長支持部30よりも下部ケーシング部16の下面18と広い面積で接触し、より効果的な防振を奏することを可能としている。
【0026】
図10及び
図11に示す別の実施形態に係る防振支持脚部材20Cでは、支持脚部28Cの下端を中心とした円盤状の延長支持部30Cが設けられており、その一部が下部ケーシング部16の下面18に当接するように配置されて上述の実施形態の延長支持部30、30A、30Bと同様に機能するようになっている。延長支持部30Cは延長支持部30、30A、30Bと異なり、その取付方向を考慮する必要がなく、当該防振支持脚部材20Cの取付をより簡易なものとすることができる。
【0027】
本発明に係る防振支持脚部材及びそれを備えるエアポンプは以上のような実施形態とすることができるが、これらに限定されるものではない。例えば、本発明に係る防振支持脚部材はエアポンプだけでなく、所定の設置台に設置される、振動を生じるような種々の機器に取り付けることが可能である。防振支持脚部材は、ゴムや樹脂などの弾性部材で一体成形することも、そのような材料に弾性を有する金属材料を、例えば芯材として、組み合わせて作ることもできる。延長支持部の下面は、支持脚部の下端面と面一のものを実施形態として示したが必ずしも面一にする必要はなく、支持脚部の下端面よりも上方位置から延びるようなものとすることができる。
【符号の説明】
【0028】
エアポンプ10;エアポンプ本体12;ケーシング14;下部ケーシング部16;下面18;防振支持脚部材20、20A、20B、20C;吐出口24;上部ケーシング部26;支持脚部28、28A、28B、28C;延長支持部30、30A、30B、30C;下面32;ポンプ支持部34;取付開口40;環状取付溝42;環状溝44;支持用部46;下面48;上面50、50A;下端面52;凹部54;設置台B;設置面BS