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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-25
(45)【発行日】2023-02-02
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
G01N21/958
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022003898
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2022-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】小田 将蔵
(72)【発明者】
【氏名】今泉 汐理
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-271131(JP,A)
【文献】特開2001-159716(JP,A)
【文献】特開2000-138792(JP,A)
【文献】特開平6-174949(JP,A)
【文献】特開2018-128554(JP,A)
【文献】特開2007-93428(JP,A)
【文献】特開昭63-1958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G02B 6/26-G02B 6/43
G01B 11/00-G01B 11/30
H04N 1/024-H04N 1/036
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明である筒状の透明体を検査対象物として検査するための検査装置であって、
前記検査対象物に対し所定の光を照射する照射手段と、
所定の回転軸において前記検査対象物を回転させる回転手段と、
前記回転軸方向に沿って並列に並んだ複数の光ファイバを有するとともに、前記検査対象物に面した入射面から入射した光線を前記光ファイバを通して前記入射面とは他方側の出射面へと透過可能に構成され、前記出射面に前記光ファイバにおける光線の出口部が複数設けられてなるファイバオプティカルプレートと、
1列に並ぶ複数のセンサ素子を有するとともに、1の前記出口部に1の前記センサ素子が対応するように構成され、前記センサ素子によって前記ファイバオプティカルプレートを透過した光線を受光することで前記検査対象物を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像に基づき、前記検査対象物の良否を判定する判定手段と、
前記出口部と該出口部に対応する前記センサ素子との間における光路を取り囲む直筒状をなす減衰機能部が並列に複数並んでなり、前記出射面及び前記撮像手段間に配置された斜光線減衰手段とを備え、
前記減衰機能部は、前記出射面から出射された光線のうち該減衰機能部が延びる方向に対し傾斜した斜光線を減衰させる機能を有し、
前記入射面及び前記出射面は、それぞれ前記入射面及び前記出射面間に位置する前記ファイバオプティカルプレートの側面に対し直交した平坦面をなすことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検査対象物及び前記ファイバオプティカルプレートの少なくとも一方を移動させて、前記検査対象物と前記ファイバオプティカルプレートの前記入射面との間の距離を調節可能な距離調節手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記減衰機能部による前記斜光線の減衰の程度を調整可能な減衰調整手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記減衰調整手段は、前記減衰機能部をその軸方向に沿って伸縮可能とする機能からなることを特徴とする請求項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記回転手段による前記検査対象物の回転に合わせて前記検査対象物及び前記ファイバオプティカルプレートの少なくとも一方を移動させることで、前記検査対象物のうち前記撮像手段による撮像対象となる部位と前記ファイバオプティカルプレートの前記入射面との間の距離を一定に維持する距離維持手段を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の透明体に対する検査を行うための検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明又は半透明のガラスからなる筒状の透明体を有する容器やランプなどが知られている。透明体には、例えば化粧品などの液体やランプの構成部品などが収容される。また、透明体の側壁部に、商品名や品番、型番などの各種情報を示す文字や記号などからなる印刷部を形成することがある。
【0003】
上記のような透明体を検査するための検査装置としては、入射面から入射された光を出射面へと透過可能であり、この出射面に検査対象となる透明体(以下、「検査対象物」という)の光学像が映し出されるように構成されたファイバオプティカルプレートと、出射面に映し出された検査対象物の光学像を撮像する撮像手段とを有するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この装置では、検査対象物を所定角度だけ回転させること、及び、該検査対象物に係る光学像を撮像することを交互に繰り返し行い、これにより得られた画像に基づき検査を行うことで、検査対象物の側壁部全周の検査を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-271131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の装置では、光学像の焦点を合わせるために、ファイバオプティカルプレートの入射面と検査対象物とがほぼ接触するように両者を近接させた状態で、光学像の撮像が行われる。従って、ファイバオプティカルプレートのうち検査対象物側に配置される入射面を、検査対象物の側壁部と概ね一致する形状とする必要がある。そのため、検査対象物ごとに異なる複数のファイバオプティカルプレートを用意しなければならず、また、検査対象物を変更するときには、ファイバオプティカルプレートを、変更される検査対象物に合うものへと交換しなければならない。従って、検査に係るコストの増大を招くおそれがある。
【0006】
また、検査対象物を回転させるためには、検査対象物とファイバオプティカルプレートとを一旦離間させる必要がある。従って、検査対象物の側壁部全周の検査を行うためには、検査対象物とファイバオプティカルプレートとを離間させた上で、検査対象物を所定角度だけ回転させ、その後、検査対象物とファイバオプティカルプレートとを近接状態に戻した上で、光学像の撮像を行うという一連の工程を繰り返し行う必要がある。そのため、検査の高速化を図ることが困難である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査に係るコストを抑制することができるとともに、検査の高速化を図ることが可能な検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.透明又は半透明である筒状の透明体を検査対象物として検査するための検査装置であって、
前記検査対象物に対し所定の光を照射する照射手段と、
所定の回転軸において前記検査対象物を回転させる回転手段と、
前記回転軸方向に沿って並列に並んだ複数の光ファイバを有するとともに、前記検査対象物に面した入射面から入射した光線を前記光ファイバを通して前記入射面とは他方側の出射面へと透過可能に構成され、前記出射面に前記光ファイバにおける光線の出口部が複数設けられてなるファイバオプティカルプレートと、
1列に並ぶ複数のセンサ素子を有するとともに、1の前記出口部に1の前記センサ素子が対応するように構成され、前記センサ素子によって前記ファイバオプティカルプレートを透過した光線を受光することで前記検査対象物を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像に基づき、前記検査対象物の良否を判定する判定手段と、
前記出口部と該出口部に対応する前記センサ素子との間における光路を取り囲む直筒状をなす減衰機能部が並列に複数並んでなり、前記出射面及び前記撮像手段間に配置された斜光線減衰手段とを備え、
前記減衰機能部は、前記出射面から出射された光線のうち該減衰機能部が延びる方向に対し傾斜した斜光線を減衰させる機能を有し、
前記入射面及び前記出射面は、それぞれ前記入射面及び前記出射面間に位置する前記ファイバオプティカルプレートの側面に対し直交した平坦面をなすことを特徴とする検査装置。
【0010】
上記手段1によれば、斜光線減衰手段の減衰機能部によって、ファイバオプティカルプレートの出射面から出射される光線のうち減衰機能部の延びる方向に対し傾斜した斜光線を減衰させることができる。従って、検査対象物とファイバオプティカルプレートとの間に隙間を形成し、検査対象物側からファイバオプティカルプレートの入射面に対し、様々な方向から光線が入射しやすくなるような構成としても、特定の方向から入射した光線のみがセンサ素子に至りやすくなる。これにより、斜光線の影響による被写界深度の低下(合焦した画像を得ることが可能となる検査対象物とファイバオプティカルプレートとの間の距離範囲の減少)を防止して、被写界深度の拡大を図ることができる。そのため、検査対象物とファイバオプティカルプレートとの間に隙間を設けた状態で検査対象物を撮像したとしても、焦点の合った画像をより確実に得ることができる。従って、検査対象物の回転及び撮像を行うにあたって、検査対象物とファイバオプティカルプレートとを離間させたり、近接状態に戻したりする必要がなくなり、検査対象物とファイバオプティカルプレートとを離間させた状態で検査対象物の回転及び撮像を行うことができる。これにより、良好な検査精度を確保しながら、検査の高速化を図ることができる。
【0011】
また、検査対象物とファイバオプティカルプレートとの間に隙間を設けることができるから、ファイバオプティカルプレートのうち検査対象物側に配置される面(入射面)を、検査対象物の側壁部と概ね一致する形状とする必要はない。従って、検査対象物ごとに異なる複数のファイバオプティカルプレートを用意したり、検査対象物の変更に合わせてファイバオプティカルプレートの交換を行ったりせずに済む。これにより、検査に係るコストの抑制を図ることができる。
【0013】
また、入射面に対する光線の入射角度と、出射面からの該光線の出射角度とを等しくすることができる。これにより、検査対象物のうち入射面の正面に位置する部位を透過・反射して、該入射面に対し直角に入射した光線であって、出射面から該出射面と直交する方向に出射される光線が、センサ素子に至りやすくなる一方、該入射面に対し斜めに入射した光線(つまり、前記斜光線)はセンサ素子に至りにくくなる。これにより、検査に適した検査対象物の画像をより確実に得ることができ、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0014】
手段.前記検査対象物及び前記ファイバオプティカルプレートの少なくとも一方を移動させて、前記検査対象物と前記ファイバオプティカルプレートの前記入射面との間の距離を調節可能な距離調節手段を備えることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0015】
上記手段によれば、形状の異なる様々な検査対象物への対応が容易となり、検査に係る利便性の向上を図ることができる。
【0016】
手段.前記減衰機能部による前記斜光線の減衰の程度を調整可能な減衰調整手段を備えることを特徴とする手段1又は2に記載の検査装置。
【0017】
上記手段によれば、減衰調整手段によって減衰機能部による斜光線の減衰の程度を調整することができ、減衰の程度を調整することで、被写界深度を調整することができる。従って、表面に凹凸のある検査対象物や円柱状以外の形状(例えば楕円筒状や多角柱筒状など)の検査対象物など、種々異なる形状の検査対象物を検査するときであっても、適切に(良好な検査精度の下で)検査を行うことができる。
【0018】
手段.前記減衰調整手段は、前記減衰機能部をその軸方向に沿って伸縮可能とする機能からなることを特徴とする手段に記載の検査装置。
【0019】
上記手段によれば、減衰機能部の伸縮により斜光線の減衰の程度を調整することができる。従って、減衰調整手段を比較的簡素な構成によって実現することができ、装置の製造などに係るコストの増大抑制を図ることができる。
【0020】
手段.前記回転手段による前記検査対象物の回転に合わせて前記検査対象物及び前記ファイバオプティカルプレートの少なくとも一方を移動させることで、前記検査対象物のうち前記撮像手段による撮像対象となる部位と前記ファイバオプティカルプレートの前記入射面との間の距離を一定に維持する距離維持手段を備えることを特徴とする手段1乃至のいずれかに記載の検査装置。
【0021】
上記手段によれば、距離維持手段によって、検査対象物を回転させつつ、該検査対象物(特に撮像対象となる部位)とファイバオプティカルプレートの入射面との間の距離を一定に維持することができる。従って、検査対象物の形状が種々異なるとしても、合焦した画像をより確実に得ることができる。そのため、様々な形状の検査対象物をより適切に(より良好な検査精度の下で)検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】検査装置を説明するための概略構成図である。
図2】検査対象物としての透明体の斜視模式図である。
図3】検査装置の平面模式図である。
図4】撮像ユニットなどを説明するための模式図である。
図5】ファイバオプティカルプレート等の構成を説明するための斜視模式図である。
図6】ファイバオプティカルプレートの入射面、出射面及び側面について説明するための模式図である。
図7】斜光線減衰体についての説明するための模式図である。
図8】別の実施形態における距離維持機構を説明するための模式図である。
図9】別の実施形態において、透明体の回転に合わせた撮像ユニットの移動を示す斜視模式図である。
図10】別の実施形態において、透明体の回転に合わせた撮像ユニットの移動を示す斜視模式図である。
図11】別の実施形態において、伸縮筒体構造を有する減衰機能部を示す斜視模式図である。
図12】別の実施形態において、蛇腹構造を有する減衰機能部を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図2は、検査対象物としての透明体1を示す図である。
【0024】
透明体1は、無色透明のガラスや樹脂などにより形成されており、筒状をなしている。尚、透明体1は、半透明であってもよい。また、透明体1の表面には、印刷部2が形成されており、印刷部2は、製品番号(例えば「ABC-12345」等)などの情報を表示する。印刷部2によって表示される情報の内容は、特に限定されるものではない。尚、本実施形態において、透明体1における少なくとも印刷部2の形成される部位は、円筒形状をなしている。
【0025】
次に、上記透明体1を検査するための検査装置について説明する。図1は、検査装置10を説明するための概略構成図である。
【0026】
検査装置10は、回転機構20、距離調節機構30、照明装置40、撮像ユニット50及び制御装置60を備えている。本実施形態では、回転機構20が「回転手段」を構成し、距離調節機構30が「距離調節手段」を構成する。
【0027】
回転機構20は、検査対象となる透明体1を回転させるための機構である。回転機構20は、回転台21及びモータ22を備えている。
【0028】
回転台21は、検査対象の透明体1が載置される台であり、所定の回転軸L1を中心として回転可能に構成されている。本実施形態では、検査時において、透明体1は、自身の中心軸と回転軸L1とが一致した状態で、回転台21に載置される。尚、回転台21に対する、該回転台21に載置された透明体1の相対回転・相対移動を規制可能な保持手段(不図示)を設けてもよい。
【0029】
モータ22は、回転台21を回転させるための駆動装置である。モータ22により回転台21を回転させることで、該回転台21に載置された透明体1が前記回転軸L1を中心として回転する。
【0030】
距離調節機構30は、検査対象となる透明体1と撮像ユニット50における後述するファイバオプティカルプレート(以下、単に「FOP」という)51の入射面51aとの間の距離を調節するための機構である。距離調節機構30は、保持台31及びレール32を備えている。
【0031】
保持台31は、検査対象となる透明体1の側方位置にて撮像ユニット50を保持するとともに、レール32の長手方向に沿ってスライド移動可能な状態で該レール32上に設置されている。レール32は、前記回転軸L1と直交する方向に延びている。そして、レール32の長手方向に沿って保持台31をスライド移動させて、回転台21及び撮像ユニット50間の距離を調節することで、該回転台21に載置された透明体1とFOP51の入射面51aとの間の距離を調節可能とされている。尚、距離調節機構30は、保持台31のスライド移動を許可又は不許可とするための規制手段(不図示)を有しており、該規制手段によって保持台31ひいては撮像ユニット50を停止状態で維持することが可能となっている。
【0032】
照明装置40は、検査対象の透明体1に対し所定の光を照射する装置であり、本実施形態では、平面視したときに撮像ユニット50との間で該透明体1を挟む位置に配置されている(図1,3参照。但し、図3では保持台31等を不図示)。また、本実施形態において、照明装置40は、面発光光源を有しており、透明体1に対し拡散光を照射する。これにより、透明体1を透過した拡散光が撮像ユニット50へと至るようになっている。
【0033】
撮像ユニット50は、透明体1の検査の用に供される画像を取得する。撮像ユニット50は、図4に示すように、FOP51、ラインセンサカメラ52及び斜光線減衰体53を備えている。本実施形態では、ラインセンサカメラ52が「撮像手段」を構成し、斜光線減衰体53が「斜光線減衰手段」を構成する。
【0034】
FOP51は、図4,5に示すように、複数の光ファイバ511と、各光ファイバ511の周囲に配置されたガラス体512とを備えている。各光ファイバ511は、コアガラスからなる、光線を伝達するためのコア5111と、コア5111の外周部を被覆する複数のクラッド5112とを備えている。クラッド5112は、コアガラスよりも屈折率の低いクラッドガラスにより形成されているため、コア5111内に入射した光線がコア5111とクラッド5112との境界面で全反射される。これにより、コア5111は、光線を一端から他端へ伝搬可能である。
【0035】
また、各光ファイバ511は、直線的に延びており、互いに平行な状態で前記回転軸L1方向に沿って並列に並べられている。そして、本実施形態におけるFOP51は、薄板状(シート状)をなしている。尚、本実施形態において、各光ファイバ511は隣接した状態となっているが、各光ファイバ511がそれぞれ多少離間した状態となるように構成してもよい。
【0036】
また、FOP51は、図4~6に示すように、検査対象となる透明体1に面した入射面51aと、該入射面51aの他方側(反対側)に位置する出射面51bと、入射面51a及び出射面51b間に位置する平坦面状の側面51cとを有している。各光ファイバ511は、入射面51aから出射面51bに向けて、前記回転軸L1と直交する方向に直線状に延びている。FOP51においては、各光ファイバ511(コア5111)内を通して入射面51aから入射した光線を出射面51bへと透過可能である。
【0037】
また、入射面51a及び出射面51bは、互いに平行であり、側面51cに対し直交した平坦面となっている。これにより、入射面51aに対し入射された光線は、入射角度と等しい出射角度で出射面51bより出射する。例えば、入射角度θ1,θ2で入射面51aに入射された光は、出射角度θ1,θ2で出射面51bから出射する。
【0038】
さらに、出射面51bには、光ファイバ511における光線の出口部511bが複数(光ファイバ511と同数)設けられている(図4,5参照)。
【0039】
ラインセンサカメラ52は、検査対象となる透明体1を撮像する。ラインセンサカメラ52は、FOP51を透過した光線を受光可能な複数のセンサ素子52a(例えばフォトダイオード等)を備えている。各センサ素子52aは前記回転軸L1方向に沿って1列に並んでおり、1のセンサ素子52aは、1の前記出口部511bに対応するように構成されている。つまり、各センサ素子52aは、対応する1の光ファイバ511(コア5111)を通った光線をそれぞれ受光可能とされている。また、各センサ素子52aによってFOP51を透過した光線が受光されることで、検査対象となる透明体1が撮像される。撮像により取得された画像(画像データ)は、制御装置60に出力される。
【0040】
斜光線減衰体53は、出射面51bから出射された光線のうち、後述する減衰機能部531が延びる方向に対し傾斜した斜光線を減衰させる。斜光線減衰体53は、FOP51の出射面51bとラインセンサカメラ52と間に位置しており、一端側が出射面51bに隣接し、他端側がラインセンサカメラ52に隣接した状態で設置されている。斜光線減衰体53は、図5,7に示すように、1の前記出口部511bと該出口部511bに対応する1のセンサ素子52a間における光路に対応して設けられた減衰機能部531を複数有している。
【0041】
各減衰機能部531は、1の前記出口部511bと該出口部511bに対応する1のセンサ素子52a間における光路を側壁531aで取り囲む直筒状をなしている。そして、側壁531aの内面(光路側の面)は、黒色かつ粗面とされており、該側壁531aの内面によって前記斜光線を吸収可能となっている。これにより、1の出口部511bより発せられる光線のうちの前記斜光線が減衰し、その結果、入射面51aや出射面51bに対し直交する光線のみが各センサ素子52aへと至りやすくなっている。
【0042】
図1に戻り、制御装置60は、上述したモータ22や照明装置40等の制御を行うとともに、ラインセンサカメラ52により撮像された画像(画像データ)に基づき種々の演算等を実行する。制御装置60は、カメラ制御部61、画像データ記憶部62及び画像処理部63を備えている。本実施形態では、画像処理部63が「判定手段」を構成する。
【0043】
カメラ制御部61は、ラインセンサカメラ52による透明体1の撮像タイミングを制御する。かかるタイミングは回転台21やモータ22などに設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御される。ラインセンサカメラ52による撮像は、透明体1が所定角度ずつ回転する度に行われる。
【0044】
画像データ記憶部62は、ラインセンサカメラ52により撮像された画像データを時系列で順次記憶していく。これにより、少なくとも印刷部2の全体を含む透明体1の画像(画像データ)を得ることができる。
【0045】
画像処理部63は、ラインセンサカメラ52により得られ、画像データ記憶部62に記憶された画像(画像データ)に基づき、所定の演算処理や判定処理を実行することで、透明体1の状態や印刷部2の印字状態などに関する良否について判定する。例えば、前記画像(画像データ)に対し二値化処理を行い二値化画像を得た上で、該二値化画像における「黒色(0)」の部分の面積や長さを算出し、その後、算出した面積や長さと所定の閾値とを比較することで、透明体1の状態や印刷部2の印字状態などに係る良否が判定される。また、例えば、得られた画像と、予め取得した正常な印刷部2を含む画像との差分を比較して、これら画像の一致度により、印刷部2の良否判定が行われる。尚、良否判定手法については、適宜変更可能である。
【0046】
次に、上記のように構成されてなる検査装置10を用いた透明体1の検査手順について説明する。
【0047】
検査に際しては、まず、回転台21に検査対象となる透明体1を載置する。このときには、回転台21の回転軸L1と透明体1の中心軸とを合わせる(一致させる)。また、撮像ユニット50(ラインセンサカメラ52)のピントが合う範囲R(図1参照)に透明体1の側壁部が位置するように、距離調節機構30によって、撮像ユニット50(特にFOP51の入射面51a)と透明体1との間の距離を調節する。但し、撮像ユニット50(FOP51)の入射面51a及び透明体1の側壁部の間には十分に大きな隙間を形成することができる。これは、斜光線減衰体53を設けることによって前記範囲R(つまり、被写界深度)が比較的大きなものとなるため、撮像ユニット50(FOP51)に対し透明体1を過度に接近させたり、接触させたりせずとも、合焦した画像を得ることができるからである。
【0048】
続いて、制御装置60によって照明装置40が点灯される。これにより、照明装置40からの拡散光が透明体1に照射され、透明体1を透過した光線がFOP51の入射面51aへ入射される。そして、入射面51aに入射した光線は、各光ファイバ511及び各減衰機能部531を通ってラインセンサカメラ52側へ透過される。減衰機能部531を通ることで入射面51aに入射した光線のうち前記斜光線が減衰する。
【0049】
また、ラインセンサカメラ52による撮像のインターバルの間に、制御装置60によってモータ22が動作されることで、回転機構20によって透明体1が所定角度だけ回転する。以降、透明体1を回転させながら、ラインセンサカメラ52による該透明体1の撮像が繰り返し行われることで、印刷部2を含む透明体1の側壁部全周に係る画像(画像データ)が取得される。撮像により得られた画像(画像データ)は、制御装置60に送られて、画像データ記憶部62に記憶される。
【0050】
さらに、画像処理部63によって、ラインセンサカメラ52により得られた画像に基づき、透明体1の状態(例えば傷の有無など)や印刷部2の印字状態(例えば、欠け、かすれ、にじみ等の有無や印字位置)に関する良否判定が行われる。そして、印刷部2を含む透明体1の側壁部全周に不良がなければ、該透明体1が良品と判定される。一方、透明体1の側壁部の少なくとも一部に不良があれば、該透明体1が不良品と判定される。
【0051】
尚、ラインセンサカメラ52により透明体1の側壁部の一部に係る画像を得た段階で、得られた画像に基づく良否判定を行うようにしてもよい。つまり、透明体1の側壁部全周に係る画像を得た後に該画像に基づく良否判定を行ってもよいし、透明体1の側壁部の一部に係る画像を得る都度、該画像に基づく良否判定を行ってもよい。
【0052】
以上詳述したように、本実施形態によれば、斜光線減衰体53の減衰機能部531によって、FOP51の出射面51bから出射される光線のうち減衰機能部531の延びる方向に対し傾斜した斜光線を減衰させることができる。従って、検査対象となる透明体1とFOP51との間に隙間を形成し、透明体1側からFOP51の入射面に対し、様々な方向から光線が入射しやすくなるような構成としても、特定の方向から入射した光線のみがセンサ素子52aに至りやすくなる。これにより、斜光線の影響による被写界深度の低下を防止して、被写界深度の拡大を図ることができる。そのため、透明体1とFOP51の間に隙間を設けた状態で透明体1を撮像したとしても、焦点の合った画像をより確実に得ることができる。従って、透明体1の回転及び撮像を行うにあたって、透明体1とFOP51とを離間させたり、近接状態に戻したりする必要がなくなり、透明体1とFOP51とを離間させた状態で透明体1の回転及び撮像を行うことができる。これにより、良好な検査精度を確保しながら、検査の高速化を図ることができる。
【0053】
また、検査対象となる透明体1とFOP51との間に隙間を設けることができるから、FOP51のうち透明体1側に配置される面(入射面51a)を、透明体1の側壁部と概ね一致する形状とする必要はない。従って、検査対象となる透明体1ごとに異なる複数のFOP51を用意したり、検査対象の変更に合わせてFOP51の交換を行ったりせずに済む。これにより、検査に係るコストの抑制を図ることができる。
【0054】
加えて、入射面51a及び出射面51bは、それぞれ側面51cに直交する平坦面とされているため、入射面51aに対する光線の入射角度と、出射面51bからの該光線の出射角度とを等しくすることができる。これにより、透明体1のうち入射面51aの正面に位置する部位を透過して、該入射面51aに対し直角に入射した光線であって、出射面51bから該出射面51bと直交する方向に出射される光線が、センサ素子52aに至りやすくなる一方、該入射面51aに対し斜めに入射した光線(つまり、前記斜光線)はセンサ素子52aに至りにくくなる。これにより、検査に適した透明体1の画像をより確実に得ることができ、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0055】
また、距離調節機構30によって、形状の異なる様々な透明体1への対応が容易となり、検査に係る利便性の向上を図ることができる。
【0056】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0057】
(a)図8に示すように、回転機構20による透明体1の回転に合わせて撮像ユニット50(FOP51)を移動させることで、透明体1における少なくともラインセンサカメラ52による撮像対象となる部位と撮像ユニット50(特にFOP51の入射面51a)との間の距離を一定に維持する、「距離維持手段」としての距離維持機構70を設けることとしてもよい。
【0058】
図8の例において、距離維持機構70は、回転台21の側面に設けられた同一形状部71と、撮像ユニット50に直接又は間接的に固定された(本例では撮像ユニット50を保持する保持台31に固定された)回転可能な回転ローラ72と、該回転ローラ72に対し同一形状部71に向けた付勢力を付与する付勢部73(例えば、ばねや磁石など)と、前記距離調節機構30とによって構成されている。同一形状部71は、回転軸L1と直交する断面において、透明体1の中心軸と直交する断面における該透明体1の外周面(外形線)とほぼ同一の形状をなしている。回転ローラ72は、付勢部73から加わる付勢力によって、その外周面が同一形状部71に圧接されている。
【0059】
このような距離維持機構70を設けることで、図9,10に示すように、透明体1が断面非円形状であっても、透明体1における撮像対象と撮像ユニット50(特にFOP51の入射面51a)との距離が一定に保たれるように、透明体1の回転に合わせて撮像ユニット50が移動することとなる。従って、検査対象となる透明体1の形状が種々異なるとしても、合焦した画像をより確実に得ることができる。そのため、様々な形状の透明体1をより適切に(より良好な検査精度の下で)検査することができる。
【0060】
尚、距離維持機構70は、透明体1のうち少なくとも撮像対象となる部位の外周面(外形線)が断面非円形状(例えば、断面楕円形状や断面多角形状、断面矩形状など)をなす場合に特に有効である。
【0061】
また、距離維持機構として、撮像ユニット50から透明体1の側壁部までの距離を測定する距離測定センサ(例えば超音波センサ)と、該距離測定センサにより測定された距離に基づき、透明体1における少なくともラインセンサカメラ52による撮像対象となる部位とFOP51との間の距離が一定に維持されるように撮像ユニット50を自動的に移動させる移動機構とを備えたものを用いてもよい。この場合には、検査対象となる透明体1の形状に合わせた同一形状部71を設ける必要がないため、コストの増大抑制を図ることができる。
【0062】
(b)減衰機能部531による斜光線の減衰の程度を調整可能な、「減衰調整手段」としての減衰調整部を設けてもよい。減衰調整部は、減衰機能部をその軸方向(長手方向)に沿って伸縮可能とする機能によって実現することができる。例えば、図11に示すように、減衰機能部534を、径の異なる筒部534a,534bを複数有してなる伸縮筒体構造とし、この伸縮筒体構造による、減衰機能部534をその軸方向(長手方向)に沿って伸縮可能とする機能によって減衰調整部80を実現してもよい。また、例えば、図12に示すように、減衰機能部535を蛇腹構造とし、この蛇腹構造による、減衰機能部535をその軸方向(長手方向)に沿って伸縮可能とする機能によって減衰調整部90を実現してもよい。
【0063】
上記のような減衰調整部80,90を設けた場合には、減衰機能部534,535による斜光線の減衰の程度を調整することができ、減衰の程度を調整することで、被写界深度を調整することができる。従って、表面に凹凸のある透明体1や円柱状以外の形状(例えば楕円筒状や多角柱筒状など)の透明体1など、種々異なる形状の透明体1を検査するときであっても、適切に(良好な検査精度の下で)検査を行うことができる。
【0064】
尚、減衰機能部を樹脂やゴム等の弾性体によって形成し、減衰機能部をその軸方向に伸縮可能とすることで、減衰調整手段を実現してもよい。
【0065】
(c)上記実施形態において、照明装置40は、撮像ユニット50との間で検査対象の透明体1を挟む位置に設置されており、透明体1を透過した光が撮像ユニット50へと至るように構成されている。これに対し、照明装置40を撮像ユニット50側に配置し、透明体1を反射した光が撮像ユニット50へと至るように構成してもよい。
【0066】
(d)透明体1の側壁部に刻印を施したり、該側壁部にラベルなどを貼付したりしてもよい。この場合には、検査装置10によって、刻印やラベルの状態又は位置に係る良否を判定するように構成してもよい。
【0067】
(e)検査対象となる透明体1の形状は上記実施形態で挙げた形状に限定されるものではない。例えば、側壁部に凹凸がある透明体1を検査対象としてもよい。
【0068】
(f)上記実施形態において、各光ファイバ511は直線的に延びるように構成されているが、各光ファイバ511を湾曲させてもよい。
【0069】
(g)検査装置10によって、透明体1の側壁部における外面のみならず、該側壁部の内面に関する検査を行うように構成してもよい。例えば、検査装置10によって、側壁部の内面に形成された印刷部の検査を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…透明体(検査対象物)、10…検査装置、20…回転機構(回転手段)、30…距離調節機構(距離調節手段)、40…照明装置(照射手段)、51…ファイバオプティカルプレート、51a…入射面、51b…出射面、51c…側面、52…ラインセンサカメラ(撮像手段)、53…斜光線減衰体(斜光線減衰手段)、63…画像処理部(判定手段)、70…距離維持機構(距離維持手段)、80,90…減衰調整部(減衰調整手段)、511…光ファイバ、511b…出口部、531…減衰機能部、L1…回転軸。
【要約】
【課題】検査に係るコストを抑制することができるとともに、検査の高速化を図ることが可能な検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置は、出射面51bに光ファイバ511における光線の出口部511bが複数設けられてなるファイバオプティカルプレート51と、1の出口部511bに1のセンサ素子52aが対応するように構成されたラインセンサカメラ52とを備え、ラインセンサカメラ52により得られた画像に基づき透明体1の良否を判定する。また、検査装置は、出口部511bと該出口部511bに対応するセンサ素子52aとの間における光路を取り囲む直筒状の減衰機能部531が複数設けられてなる斜光線減衰体53を有する。減衰機能部531は、出射面51bから出射される光線のうちの該減衰機能部531bの延びる方向に対し傾斜した斜光線を減衰させる。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12