(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 2/10 20060101AFI20230127BHJP
H01G 4/236 20060101ALI20230127BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20230127BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20230127BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20230127BHJP
【FI】
H01G2/10 600
H01G4/236
H01G4/32 301F
H01G4/32 305
H01G13/00 321E
H01G4/32 510
H01G4/32 540
H01G4/32 531
(21)【出願番号】P 2019529017
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2018023562
(87)【国際公開番号】W WO2019012935
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2017135913
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017135914
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017135915
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】中坪 和弘
(72)【発明者】
【氏名】塚原 太陽
(72)【発明者】
【氏名】益見 英樹
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-277101(JP,A)
【文献】特開2004-158775(JP,A)
【文献】特開2013-229390(JP,A)
【文献】特開2016-157755(JP,A)
【文献】特開平05-219704(JP,A)
【文献】特開2010-016161(JP,A)
【文献】特開2008-078539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/10
H01G 4/236
H01G 4/224
H01G 4/32
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の一端面に形成される第1の電極と、
前記コンデンサ素子の他端面に形成される第2の電極と、
前記第1の電極に接続される第1のバスバーと、
前記第2の電極に接続される第2のバスバーと、
金属ラミネートフィルムにより構成され、前記コンデンサ素子を覆い、前記第1のバスバーの一部および前記第2のバスバーの一部が外部に引き出されている開口部を有する外装部材と、
前記開口部を封止する封止部材と、を備え、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーは、前記封止部材を貫通し、
前記外装部材は、前記コンデンサ素子の一部分を覆う第1の部材と、前記コンデンサ素子の残り部分を覆う第2の部材とが、前記コンデンサ素子の周りの1つの方向のみに前記開口部を形成するように結合した結合体であり、前記コンデンサ素子を、前記開口部を通じることなく前記外装部材の内部に収容可能にして
おり、
前記封止部材は、前記開口部に嵌め込まれており、
前記外装部材の前記封止部材と接触する部分の外周に、前記外装部材の前記部分を内側に締め付ける締付部材が装着されている、
コンデンサ。
【請求項2】
請求項
1に記載のコンデンサにおいて、
前記封止部材は、前記コンデンサの取り付け用の取付部を有する、
コンデンサ。
【請求項3】
請求項
1~
2の何れか一項に記載のコンデンサにおいて、
前記外装部材の内部に、充填樹脂が充填されている、
コンデンサ。
【請求項4】
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の一端面に形成される第1の電極と、
前記コンデンサ素子の他端面に形成される第2の電極と、
前記第1の電極に接続される第1のバスバーと、
前記第2の電極に接続される第2のバスバーと、
金属ラミネートフィルムにより構成され、前記コンデンサ素子を覆い、前記第1のバスバーの一部および前記第2のバスバーの一部が外部に引き出されている開口部を有する外装部材と、
前記開口部を封止する封止部材と、を備え、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーは、前記封止部材を貫通し、
前記封止部材は、前記開口部に嵌め込まれており、前記外装部材の前記封止部材と接触する部分の外周に、前記外装部材の前記部分を内側に締め付ける締付部材が装着されている、
コンデンサ。
【請求項5】
請求項
4に記載のコンデンサにおいて、
前記封止部材は、前記コンデンサの取り付け用の取付部を有する、
コンデンサ。
【請求項6】
請求項
4または請求項
5に記載のコンデンサにおいて、
前記外装部材の内部に、充填樹脂が充填されている、
コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルムコンデンサ等のコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
両端面に電極を有するコンデンサ素子と、各電極に接続され、互いに反対方向に延び出すバスバーと、金属ラミネートフィルムで形成され、これらコンデンサ素子および2つのバスバーを各バスバーの一部が外部に引き出されるように包む外装部材とを備えたフィルムコンデンサが、特許文献1に記載されている。コンデンサ素子が外装部材に包まれることで、コンデンサ素子の吸湿が抑制される。
【0003】
特許文献1のフィルムコンデンサは、一方のバスバーが延び出す方向と他方のバスバーが延び出す方向の2つの方向において、バスバーの一部が外装部材から引き出される引き出し部を有する。各引き出し部では、外装部材の内側の表面を構成する第1樹脂層とバスバーとの間に酸変性樹脂を含む第2樹脂層が形成される。このような第2樹脂層を用いた封止構造により、第1樹脂層とバスバーとの間に隙間が生じにくくなり、外装部材の各引き出し部における封止性が高められる。
【0004】
また、金属ラミネートフィルムは、内側樹脂層、金属層および外側樹脂層が積層されて一体化された構成を有する。内側樹脂層、金属層および外側樹脂層の厚みは、たとえば、それぞれ、80μm、40μmおよび25μmとされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子の一端面に形成される第1の電極と、コンデンサ素子の他端面に形成される第2の電極と、第1の電極に接続される第1のバスバーと、第2の電極に接続される第2のバスバーと、コンデンサ素子を覆う外装部材と、外装部材の内部に充填される充填樹脂と、を備える。外装部材は、金属ラミネートフィルムを含み、第1のバスバーの一部および第2のバスバーの一部が外部に引き出されている開口部を有する。充填樹脂は、開口部を封止する。
【0007】
本態様によれば、コンデンサ素子の吸湿を良好に抑制できるコンデンサを提供することができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、コンデンサ素子の一端面に形成される第1の電極と、コンデンサ素子の他端面に形成される第2の電極と、第1の電極に接続される第1のバスバーと、第2の電極に接続される第2のバスバーと、コンデンサ素子を覆う外装部材と、封止部材と、を備える。外装部材は、金属ラミネートフィルムを含み、第1のバスバーの一部および第2のバスバーの一部が外部に引き出されている開口部を有する。封止部材は、開口部を封止する。第1のバスバーおよび第2のバスバーは、封止部材を貫通する。
【0009】
本態様によれば、コンデンサ素子の吸湿を良好に抑制できるコンデンサを提供することができる。
【0010】
また、本開示の第3の態様に係るコンデンサは、両端面に電極を有するコンデンサ素子と、コンデンサ素子を覆う外装部材と、電極の外周のエッジ部分を被覆する被覆層と、を備える。外装部材は、金属ラミネートフィルムを含む。被覆層は、電気的絶縁性を有する。
【0011】
本態様によれば、コンデンサ素子を覆う外装部材を金属ラミネートフィルムで構成した場合に、外装部材の金属層とコンデンサ素子との間の電気的な絶縁性を十分に確保でき得るコンデンサを提供できる。
【0012】
本開示の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本開示を実施化する際の一つの例示であって、本開示は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施の形態に係る、スペーサの位置で切断されたフィルムコンデンサの側面断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施の形態に係る、外装部材の断面を拡大した図である。
【
図4A】
図4Aは、第1の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、第1の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図4C】
図4Cは、第1の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図4D】
図4Dは、第1の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施の形態の変更例に係る、第1部材および第2部材の斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施の形態の変更例に係る、第1部材および第2部材の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、第1の実施の形態の変更例に係る、第1部材および第2部材の組み立て手順を説明する図である。
【
図6B】
図6Bは、第1の実施の形態の変更例に係る、第1部材および第2部材の組み立て手順を説明する図である。
【
図7A】
図7Aは、第1の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの右側面図である。
【
図7B】
図7Bは、第1の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの正面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの正面断面図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの分解斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、第2の実施の形態に係る、コンデンサ素子の中央部で切断されたフィルムコンデンサの側面断面図である。
【
図11B】
図11Bは、第2の実施の形態に係る、外装部材の断面を拡大した図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態に係る、第1部材と第2部材との接合位置で切断されたフィルムコンデンサの正面断面図である。
【
図13A】
図13Aは、第2の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図13B】
図13Bは、第2の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図13C】
図13Cは、第2の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの組み立て手順について説明するための図である。
【
図14】
図14は、第2の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの斜視図である。
【
図15A】
図15Aは、第2の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの要部の側面断面図である。
【
図15B】
図15Bは、第2の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの要部の側面断面図である。
【
図16】
図16は、第2の実施の形態の変更例に係る、コンデンサ素子の中央部で切断されたフィルムコンデンサの側面断面図である。
【
図17A】
図17Aは、第2の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの要部の側面断面図である。
【
図17B】
図17Bは、第2の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの要部の側面断面図である。
【
図18A】
図18Aは、第3の実施の形態に係る、フィルムコンデンサの斜視図である。
【
図18B】
図18Bは、第3の実施の形態に係る、外装部材が除かれた状態のフィルムコンデンサの斜視図である。
【
図19】
図19は、第3の実施の形態に係る、コンデンサ素子の斜視図である。
【
図20A】
図20Aは、第3の実施の形態に係る、コンデンサ素子の中央部で切断されたフィルムコンデンサの側面断面図である。
【
図20B】
図20Bは、第3の実施の形態に係る、コンデンサ素子の中央部で切断されたフィルムコンデンサの平面断面図である。
【
図20C】
図20Cは、第3の実施の形態に係る、外装部材の断面を拡大した図である。
【
図21】
図21は、第3の実施の形態の変更例に係る、外装部材が除かれた状態のフィルムコンデンサの斜視図である。
【
図22A】
図22Aは、第3の実施の形態の変更例に係る、フィルムコンデンサの斜視図である。
【
図22B】
図22Bは、第3の実施の形態の変更例に係る、コンデンサ素子の中央部で切断されたフィルムコンデンサの側面断面図である。
【
図23】
図23は、第3の実施の形態の変更例に係る、コンデンサ素子の中央部で切断されたフィルムコンデンサの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態の説明に先立ち、従来技術における問題点を簡単に説明する。
【0015】
特許文献1のフィルムコンデンサでは、外装部材は、コンデンサ素子の周りの2つの方向において封止構造を必要とする。このため、かかる2方向において封止構造の不備が生じたときの封止性の低下を懸念せねばならず、コンデンサ素子の吸湿を良好に抑制できないことが懸念される。
【0016】
かかる課題に鑑み、本開示の第1および第2の態様は、コンデンサ素子の吸湿を良好に抑制できるコンデンサを提供する。
【0017】
また、特許文献1のフィルムコンデンサでは、金属ラミネートフィルム製である外装部材の金属層と、外装部材に覆われたコンデンサ素子との間の電気的な絶縁性が、外装部材の内側樹脂層により確保される。
【0018】
コンデンサ素子の両端面に形成された電極(たとえば、亜鉛の溶射によるメタリコン電極)は、外周のエッジ部分が角張って比較的鋭利な状態にある。上述の通り、内側樹脂の厚みは非常に小さく、このため、内側樹脂層に電極のエッジ部分が接触すると、エッジ部分に傷つけられて、内側樹脂層が破断してしまう虞がある。これにより、コンデンサ素子と外装部材の金属層との間の電気的な絶縁性が確保できなくなる虞がある。
【0019】
かかる課題に鑑み、本開示の第3の態様は、コンデンサ素子を覆う外装部材を金属ラミネートフィルムで構成した場合に、外装部材の金属層とコンデンサ素子との間の電気的な絶縁性を十分に確保でき得るコンデンサを提供する。
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本開示の第1の実施の形態について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまでフィルムコンデンサ1等の相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0021】
本実施の形態において、フィルムコンデンサ1が、請求の範囲に記載の「コンデンサ」に対応する。また、第1端面電極101および第2端面電極102が、それぞれ、請求の範囲に記載の「第1の電極」および「第2の電極」に対応する。さらに、第1バスバー200および第2バスバー300が、それぞれ、請求の範囲に記載の「第1のバスバー」および「第2のバスバー」に対応する。さらに、上端部503が、請求の範囲に記載の「開口部側の端部」に対応する。さらに、第1部材510および第2部材520が、それぞれ、請求の範囲に記載の「第1の部材」および「第2の部材」に対応する。
【0022】
ただし、上記記載は、あくまで、請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって請求の範囲に記載の発明の範囲が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の分解斜視図である。
図3Aは、本実施の形態に係る、スペーサ450の位置で切断されたフィルムコンデンサ1の側面断面図であり、
図3Bは、本実施の形態に係る、外装部材500の断面を拡大した図である。なお、
図1~
図3Aでは、便宜上、外装部材500が大きな肉厚で描かれている。この点は、
図4A以降の外装部材500の肉厚が表された図面においても同様である。
【0024】
フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子100と、第1バスバー200と、第2バスバー300と、2つのスペーサ450と、外装部材500と、充填樹脂800とを備える。
【0025】
コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層し、扁平状に押圧することにより形成される。コンデンサ素子100は、その端面がほぼ長円形状を有する。コンデンサ素子100には、一方の端面に、亜鉛等の金属の吹付けにより第1端面電極101が形成され、他方の端面に、同じく亜鉛等の金属の吹付けにより第2端面電極102が形成される。
【0026】
なお、本実施の形態のコンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されたが、これ以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子100は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。
【0027】
第1バスバー200および第2バスバー300は、銅などの導電材料により、長方形の板状に形成される。第1バスバー200および第2バスバー300は、それらの一端部が、それぞれ、コンデンサ素子100の第1端面電極101および第2端面電極102に半田付けや溶接等の接続方法によって電気的に接続され、コンデンサ素子100に対して上方向に引き出される。
【0028】
スペーサ450は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成され、ほぼU字状を有する。2つのスペーサ450が、コンデンサ素子100の外周面103の下側の円弧状部分において、一端面側と他端面側とに嵌め込まれる。なお、スペーサ450の個数は、2個に限られず、必要に応じて変更されてよい。
【0029】
第1バスバー200および第2バスバー300が接続されたコンデンサ素子100の周囲が、外装部材500により覆われる。
【0030】
外装部材500は、左右方向(コンデンサ素子100の外周面103の幅方向)に長く、前後方向(コンデンサ素子100の端面の短手方向)に短いほぼ直方体の箱状を有し、その上面に左右方向に長い方形状の開口部501を有する。但し、外装部材500の下端部502は、コンデンサ素子100の外周面103の下側の円弧状部分に対応して円弧状を有する。また、外装部材500の上端部503は、その前後方向の幅が開口部501に向かうに従って狭くなるよう絞られた形状を有する。開口部501を通じて、第1バスバー200の他端部と第2バスバー300の他端部とが外装部材500の外部に引き出される。
【0031】
外装部材500は、金属ラミネートフィルムにより形成され、
図3Bに示すように、第1樹脂層500aと、第2樹脂層500bと、これら第1樹脂層500aおよび第2樹脂層500bに挟まれる金属層500cとによる3層構造を有する。第1樹脂層500aは、たとえば、ポリプロピレンにより構成され、第2樹脂層500bは、たとえば、ナイロンにより構成される。ポリプロピレンは、ナイロンに比べて融点の低い樹脂である。金属層500cは、たとえば、アルミニウム箔により構成される。外装部材500の肉厚は、100μm程度とされる。このように外装部材500は、金属層500cを有するため透湿度が低く、肉厚が小さいため軽量である。
【0032】
外装部材500は、前後方向に分離される第1部材510と第2部材520とにより構成される。第1部材510は、コンデンサ素子100の前側半分(一部分)を覆い、第2部材520は、コンデンサ素子100の後側半分(残り部分)を覆う。
【0033】
第1部材510は、その後面が後面開口部511として開放しており、その上面が上面開口部512として開放している。第2部材520は、その前面が前面開口部521として開放しており、その上面が上面開口部522として開放している。第1部材510の上面開口部512と第2部材520の上面開口部522とが合わせられることにより外装部材500の開口部501が構成される。
【0034】
第1部材510には、後面開口部511の左縁部、右縁部および下縁部を囲むように、接着しろとなる第1フランジ部513が形成される。第2部材520には、前面開口部521の左縁部、右縁部および下縁部を囲むように、接着しろとなる第2フランジ部523が形成される。第1フランジ部513および第2フランジ部523は、前後方向に重なり、それらの表面同士が接着されている。
【0035】
外装部材500の内部の容積は、コンデンサ素子100の体積よりも大きく、コンデンサ素子100と外装部材500の内面との間に空間が生じる。コンデンサ素子100と外装部材500の内面との間には2つのスペーサ450が介在する。
【0036】
コンデンサ素子100を覆った外装部材500の内部には、充填樹脂800が充填される。充填樹脂800は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。外装部材500の開口部501が、充填樹脂800によって外装部材500の内部側から封止される。また、コンデンサ素子100、第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部が、外装部材500のみならず、充填樹脂800によっても覆われる。
【0037】
図4A~
図4Dは、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の組み立て手順について説明するための図である。
【0038】
図4Aに示すように、第1バスバー200および第2バスバー300が接続されたコンデンサ素子100に2つのスペーサ450が嵌め込まれる。次に、
図4Bに示すように、スペーサ450が嵌め込まれたコンデンサ素子100の前側半部が第1部材510の内部に収容される。そして、コンデンサ素子100が収容された第1部材510に第2部材520が結合され、重なり合った第1フランジ部513と第2フランジ部523とに熱溶着が施される。第1フランジ部513と第2フランジ部523との間では、第1樹脂層500a同士が熱で溶解されることにより接着する。これにより、第1部材510と第2部材520とが結合されて外装部材500が出来上がり、コンデンサ素子100、第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部が外装部材500に覆われた状態となる。コンデンサ素子100は、スペーサ450によって外装部材500内の所定位置に位置決めされる。次に、
図4Cに示すように、開口部501から外装部材500の内部に溶融状態の充填樹脂800が注入され、外装部材500の内部が充填樹脂800で満たされる。その後、外装部材500が加熱されて、内部の充填樹脂800が硬化する。このとき、熱溶着された第1フランジ部513と第2フランジ部523との間に溶着が不十分な部分が生じていたとしても、その部分では隙間に充填樹脂800が入り込むことでシール性が確保される。こうして、
図4Dに示すように、フィルムコンデンサ1が完成する。
【0039】
<第1の実施の形態の効果>
本実施の形態のフィルムコンデンサ1の構成によれば、以下の効果を奏することができる。
【0040】
コンデンサ素子100は、金属ラミネートフィルムで形成された外装部材500で覆われており、金属ラミネートフィルムは、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bとの間に金属層500cが介在するため透湿度が低い。これにより、外装部材500による湿気の遮断効果を高めることができるので、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が高まることが期待される。
【0041】
また、外装部材500から第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部が引き出される開口部501は、充填樹脂800により外装部材500の内部側から封止されるので、外装部材500の内部の気密性を確保することができる。
【0042】
さらに、第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部は、同じ開口部501から引き出されているので、外装部材500では、コンデンサ素子100の周りの1つの方向において充填樹脂800による封止構造が設けられればよく、従来のように、複数の方向、たとえば2つの方向において封止構造の不備が生じたときの封止性の低下を懸念せずに済む。
【0043】
さらに、コンデンサ素子100は、外装部材500のみならず、充填樹脂800によっても覆われているので、充填樹脂800によっても湿気を遮断でき、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が一層高まることが期待される。
【0044】
さらに、外装部材500は、上端部503が、その前後方向の幅が開口部501に向かうに従って狭くなるよう絞られた形状を有する。これにより、充填樹脂800により封止が必要な開口部501を小さくすることができるので、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が一層高まることが期待される。
【0045】
さらに、外装部材500は、第1部材510と第2部材520とを結合することにより形成されるので、コンデンサ素子100を、開口部501を通じることなく外装部材500の内部に収容できる。このため、開口部501を一層小さくでき、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果がより一層高まることが期待される。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、コンデンサ素子100の吸湿を良好に抑制することができる。
【0047】
<第1の実施の形態の変更例>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本開示の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0048】
たとえば、上記実施の形態では、第1部材510の第1フランジ部513と第2部材520の第2フランジ部523とが熱溶着により接着された。しかしながら、第1フランジ部513と第2フランジ部523とが接着剤Pにより接着されてもよい。この場合、
図5Aのように、第1フランジ部513と第2フランジ部523に接着剤Pが塗布されるとよい。あるいは、第1フランジ部513と第2フランジ部523の何れかに接着剤Pが塗布されてもよい。また、この場合、熱溶着が行われる場合と違って、第1樹脂層500aに融点が低い樹脂材料を用い、第2樹脂層500bに融点の高い樹脂材料を用いる必要がない。よって、第1部材510および第2部材520において、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bに同じ樹脂材料が用いられてもよい。たとえば、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bが共にナイロンで構成されてもよい。
【0049】
また、
図5Bのように、第1部材510および第2部材520の内面、即ち外装部材500の内面に接着剤Pが塗布されてもよい。このような構成とすれば、外装部材500の内面と充填樹脂800とが接着剤Pで接着されて密着性が増すので、外装部材500の内面と充填樹脂800との界面への湿気の侵入が防止される。この場合、
図5Bのように、第1フランジ部513と第2フランジ部523にも接着剤Pが塗布されることで、第1部材510と第2部材520とが接着剤Pにより接合されてもよい。
【0050】
さらに、上記実施の形態では、第1部材510と第2部材520とが完全に分離されている。しかしながら、第1部材510と第2部材520とが一部分で連結されていてもよい。たとえば、
図6Aのように、第1部材510の第1フランジ部513の左端と第2部材520の第2フランジ部523の左端とが連結されていてもよい。あるいは、
図6Bのように、第1部材510の第1フランジ部513の下端と第2部材520の第2フランジ部523の下端とが連結されていてもよい。これらの場合、
図6A、
図6Bの矢印で示されるように、第1部材510と第2部材520は、連結部分で折り曲げられて結合される。
【0051】
さらに、上記実施の形態では、外装部材500が前後方向において第1部材510と第2部材520の2つに分割された。しかしながら、外装部材500の分割方向は、上記の方向に限られない。たとえば、
図7Aのように、外装部材500が上下方向において第1部材510と第2部材520の2つに分割されてもよいし、
図7Bのように、外装部材500が左右方向において第1部材510と第2部材520の2つに分割されてもよい。
【0052】
さらに、上記実施の形態では、開口部501を小さくするために、外装部材500の上端部503(開口部501側の端部)が、その前後方向の幅が開口部501に向かうに従って狭くなるよう絞られた。しかしながら、
図8のように、外装部材500の上端部503が、その左右方向の幅が開口部501に向かうに従って狭くなるよう絞られてもよい。この場合、第1バスバー200および第2バスバー300は、コンデンサ素子100の上方で内側に一旦折り曲げられた後に上方へ延びるような構成とされ得る。また、外装部材500の上端部503の前後方向の幅は絞られてもよいし、絞られなくてもよい。また、上記実施の形態では、外装部材500の上端部503の幅が直線的に絞られたが、上端部503の幅が曲線的に絞られてもよい。
【0053】
さらに、上記実施の形態では、フィルムコンデンサ1が2つのスペーサ450を備える。しかしながら、フィルムコンデンサ1に、スペーサ450が必ずしも備えられなくてよい。たとえば、専用の固定治具を用いて、コンデンサ素子100と外装部材500との間の位置決めを行うことで、コンデンサ素子100と外装部材500の内面との間の隙間を確保することができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
以下、本開示の第2の実施の形態について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまでフィルムコンデンサ1等の相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0055】
本実施の形態において、フィルムコンデンサ1が、請求の範囲に記載の「コンデンサ」に対応する。また、第1端面電極101および第2端面電極102が、それぞれ、請求の範囲に記載の「第1の電極」および「第2の電極」に対応する。さらに、第1バスバー200および第2バスバー300が、それぞれ、請求の範囲に記載の「第1のバスバー」および「第2のバスバー」に対応する。さらに、封止板400が、請求の範囲に記載の「封止部材」に対応する。
【0056】
ただし、上記記載は、あくまで、請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって請求の範囲に記載の発明の範囲が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の斜視図である。
図10は、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の分解斜視図である。
図11Aは、本実施の形態に係る、コンデンサ素子100の中央部で切断されたフィルムコンデンサ1の側面断面図であり、
図11Bは、本実施の形態に係る、外装部材500の断面を拡大した図である。
図12は、本実施の形態に係る、第1部材510と第2部材520との接合位置で切断されたフィルムコンデンサ1の正面断面図である。なお、
図9~
図12では、便宜上、外装部材500が大きな肉厚で描かれている。この点は、
図13A以降の外装部材500の肉厚が表された図面においても同様である。
【0058】
フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子100と、第1バスバー200と、第2バスバー300と、封止板400と、外装部材500とを備える。
【0059】
コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層し、扁平状に押圧することにより形成される。コンデンサ素子100は、その端面がほぼ長円形状を有する。コンデンサ素子100には、一方の端面に、亜鉛等の金属の吹付けにより第1端面電極101が形成され、他方の端面に、同じく亜鉛等の金属の吹付けにより第2端面電極102が形成される。
【0060】
なお、本実施の形態のコンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されたが、これ以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子100は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。
【0061】
第1バスバー200および第2バスバー300は、銅などの導電材料により形成される。第1バスバー200および第2バスバー300は、それらの一端部が、それぞれ、コンデンサ素子100の第1端面電極101および第2端面電極102に半田付けや溶接等の接続方法によって電気的に接続され、コンデンサ素子100に対して上方向に引き出される。第1バスバー200は、第1端面電極101に沿って上方へ延びた後、ほぼ直角に曲げられてコンデンサ素子100の内側(左側)へ延び、さらに、ほぼ直角に曲げられて上方へ延びる。同様に、第2バスバー300は、第2端面電極102に沿って上方へ延びた後、ほぼ直角に曲げられてコンデンサ素子100の内側(右側)へ延び、さらに、ほぼ直角に曲げられて上方へ延びる。
【0062】
封止板400は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成され、長方形の板状を有する。封止板400を、第1バスバー200および第2バスバー300が貫通する。封止板400と第1バスバー200および第2バスバー300とは、これらの間に隙間が生じにくいよう、インサート成形によって一体的に形成される。
【0063】
外装部材500は、左右方向(コンデンサ素子100の外周面103の幅方向)に長く、前後方向(コンデンサ素子100の端面の短手方向)に薄いほぼ直方体の箱状を有し、その上面に左右方向に長い方形状の開口部501を有する。但し、外装部材500の下端部502は、コンデンサ素子100の外周面103の下側の円弧状部分に対応して円弧状を有する。開口部501の前後左右の寸法は、封止板400の前後左右の寸法とほぼ等しくされる。
【0064】
外装部材500は、金属ラミネートフィルムにより形成され、
図11Bに示すように、第1樹脂層500aと、第2樹脂層500bと、これら第1樹脂層500aおよび第2樹脂層500bに挟まれる金属層500cとによる3層構造を有する。第1樹脂層500aは、たとえば、ポリプロピレンにより構成され、第2樹脂層500bは、たとえば、ナイロンにより構成される。ポリプロピレンは、ナイロンに比べて融点の低い樹脂である。金属層500cは、たとえば、アルミニウム箔により構成される。外装部材500の肉厚は、100μm程度とされる。このように外装部材500は、金属層500cを有するため透湿度が低く、肉厚が小さいため軽量である。
【0065】
外装部材500は、前後方向に分離される第1部材510と第2部材520とにより構成される。第1部材510は、コンデンサ素子100の前側半分(一部分)を覆い、第2部材520は、コンデンサ素子100の後側半分(残り部分)を覆う。
【0066】
第1部材510は、その後面が後面開口部511として開放しており、その上面が上面開口部512として開放している。第2部材520は、その前面が前面開口部521として開放しており、その上面が上面開口部522として開放している。第1部材510の上面開口部512と第2部材520の上面開口部522とが合わせられることにより外装部材500の開口部501が構成される。
【0067】
第1部材510には、後面開口部511の左縁部、右縁部および下縁部を囲むように、接着しろとなる第1フランジ部513が形成される。第2部材520には、前面開口部521の左縁部、右縁部および下縁部を囲むように、接着しろとなる第2フランジ部523が形成される。第1フランジ部513および第2フランジ部523は、前後方向に重なり、それらの表面同士が接着されている。
【0068】
第1バスバー200および第2バスバー300が接続されたコンデンサ素子100の周囲が、外装部材500により覆われ、外装部材500の開口部501が封止板400によって封止される。封止板400は、ほぼ全体が開口部501の内側に嵌め込まれる。外装部材500には、封止板400の四方の側面と接する内面に接着剤Pが塗布されており(
図10参照)、接着剤Pによって、外装部材500と封止板400とが接着固定される。第1バスバー200の他端部と第2バスバー300の他端部とが、封止板400で封止された開口部501を通じて外装部材500の外部に引き出される。
【0069】
図13A~
図13Cは、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の組み立て手順について説明するための図である。
【0070】
図13Aに示すように、封止板400にインサート成形された第1バスバー200および第2バスバー300が、コンデンサ素子100に接続される。一方、
図13Bに示すように、第1部材510と第2部材520が結合されて外装部材500が出来上がる。この際、重なり合った第1フランジ部513と第2フランジ部523とに熱溶着が施される。第1フランジ部513と第2フランジ部523との間では、第1樹脂層500a同士が熱で溶解されることにより接着する。
【0071】
次に、
図13Cに示すように、封止板400、第1バスバー200および第2バスバー300が一体化されたコンデンサ素子100が、開口部501から外装部材500の内部に収容され、コンデンサ素子100、第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部が、外装部材500に覆われた状態となる。封止板400が開口部501に嵌め込まれ、接着剤Pにより外装部材500の内面と接着される。これにより、開口部501が封止板400で封止され、外装部材500の内部が密閉された状態となる。こうして、
図9に示すように、フィルムコンデンサ1が完成する。
【0072】
<第2の実施の形態の効果>
本実施の形態のフィルムコンデンサ1の構成によれば、以下の効果を奏することができる。
【0073】
コンデンサ素子100は、金属ラミネートフィルムで形成された外装部材500で覆われており、金属ラミネートフィルムは、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bとの間に金属層500cが介在するため透湿度が低い。これにより、外装部材500による湿気の遮断効果を高めることができるので、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が高まることが期待される。
【0074】
また、外装部材500から第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部が引き出される開口部501は、これらバスバー200、300が一体形成され貫通する封止板400により封止されるので、外装部材500の内部の気密性を確保することができる。
【0075】
さらに、第1バスバー200の一部および第2バスバー300の一部は、同じ開口部501から引き出されているので、外装部材500では、コンデンサ素子100の周りの1つの方向において封止板400による封止構造が設けられればよく、従来のように、複数の方向、たとえば2つの方向において封止構造の不備が生じたときの封止性の低下を懸念せずに済む。
【0076】
このように、本実施の形態によれば、コンデンサ素子100の吸湿を良好に抑制することができる。
【0077】
<第2の実施の形態の変更例>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本開示の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0078】
たとえば、
図14に示すように、封止板400に取付タブ410が設けられてもよい。取付タブ410は、たとえば、封止板400の左右の端部に設けることができる。取付タブ410には、上下方向に貫通する円形の取付孔411が形成される。取付タブ410が、請求の範囲に記載の「取付部」に対応する。なお、取付タブ410が、封止板400の前後の端部に設けられてもよい。
【0079】
取付タブ410は、フィルムコンデンサ1を外部装置等に取り付ける際に用いられる。たとえば、取付タブ410が、取付孔411を通されたネジにより外部装置等に設けられた取付ボスに固定される。
【0080】
フィルムコンデンサ1を、金属ラミネートフィルム製の外装部材500でコンデンサ素子100を覆うような構成とした場合、外装部材500自体に取付タブを設けることが難しいため、外部装置等へのフィルムコンデンサ1の取り付けが問題となり得る。本変更例では、外装部材500の開口部501を封止板400で封止するようにし、さらに、この封止板400に取付タブ410を設けるようにしたので、金属ラミネートフィルム製の外装部材500を含むフィルムコンデンサ1を、外部装置等に容易に設置することができる。
【0081】
また、上記実施の形態では、封止板400の四方の側面と外装部材500の内面とが接着剤Pにより接着固定されている。封止板400と外装部材500との間の封止性を高めるため、
図15Aや
図15Bに示す変更例の構成が採られてもよい。
【0082】
図15Aの変更例では、封止板400の四方の側面と外装部材500の内面の間が、上記実施の形態と同様、接着剤Pで接着される。さらに、本変更例では、封止板400の四方の側面に、内側に窪む円弧状の溝部401が形成される。そして、外装部材500には、封止板400と重なる部位の外周であって溝部401に対応する位置に、ゴム製のOリング650が装着される。Oリング650は、弾性力により拡がった状態で外装部材500に装着されており、Oリング650が接する外装部材500の部位を内側に締め付ける。Oリング650に締め付けられた外装部材500の部位が内側に窪むように変形し、封止板400の溝部401に嵌り込んだ状態となる。これにより、封止板400と外装部材500との密着性が高まるため、封止板400と外装部材500との間の封止性が高まる。なお、本変更例では、Oリング650の邪魔にならないように、第1部材510の第1フランジ部513および第2部材520の第2フランジ部523がOリング650の下から形成されるとよい。
【0083】
本変更例のOリング650が、請求の範囲の「締付部材」に対応する。なお、締付部材として、Oリング650以外の部材、たとえば、バンド状の締付金具が用いられてもよい。
【0084】
次に、
図15Bの変更例では、封止板400が、その上面が外装部材500の開口端部よりも低くなるように開口部501に嵌め込まれる。さらに、封止板400の外周縁が窪まされ、窪んだ外周縁と開口部501の周縁部とで溝部402が形成される。そして、溝部402内に接着剤Pが溜められる。このような構成とすれば、溝部402の部分で封止板400と外装部材500とが確実に接着される。また、溝部402の下方では、封止板400の側面と外装部材500の内面との間に溝部402に溜められた接着剤Pの一部が流れ込み、これらの間が接着される。このようにして、本変更例では、接着剤Pによる接着効果が高められるので、封止板400と外装部材500との間の封止性が高められる。
【0085】
なお、本変更例では、窪んだ外周縁と開口部501の周縁部とで溝部402が形成されやすいよう、さらに、接着剤Pを溝部402に流し込む際に接着剤Pが外装部材500の外に漏れにくいよう、封止板400は、その上面が外装部材500の開口端部よりも低くなるように開口部501に嵌め込まれた。しかしながら、溝部402が形成できるのであれば、封止板400は、その上面が外装部材500の開口端部に対して同じ高さとなるか僅かに高くなるように開口部501に嵌め込まれてもよい。
【0086】
さらに、
図16に示すように、コンデンサ素子100等を覆った外装部材500の内部に充填樹脂800が充填されてもよい。充填樹脂800は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。この場合、たとえば、外装部材500の内部にコンデンサ素子100等を収容したときに充填樹脂800が溢れないよう、コンデンサ素子100等の容量を考慮した量の充填樹脂800が溶融状態で外装部材500の内部に注入される。次に、コンデンサ素子100等が開口部501から外装部材500の内部に収容され、コンデンサ素子100等の周囲が充填樹脂800で満たされる。その後、外装部材500が加熱されて、内部の充填樹脂800が硬化する。
【0087】
このような構成とされれば、コンデンサ素子100は、外装部材500のみならず、充填樹脂800によっても覆われているので、充填樹脂800によっても湿気を遮断でき、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が一層高まることが期待される。さらに、熱溶着された第1フランジ部513と第2フランジ部523との間に溶着が不十分な部分が生じていたとしても、その部分では隙間に充填樹脂800が入り込むことでシール性が確保される。
【0088】
なお、
図17Aに示すように、封止板400に注入口403が形成されてもよい。この場合、コンデンサ素子100等が収容された外装部材500の内部に、注入口403を通じて充填樹脂800が注入される。また、この場合、
図17Aのように、封止板400が、その上面が外装部材500の開口端部よりも低くなるように開口部501に嵌め込まれ、注入口403から溢れた充填樹脂800が封止板400の上に溜められるようにされると、溜められた充填樹脂800により封止板400の側面と外装部材500の内面との間の封止性を高めることができる。さらに、
図17Bのように、
図15Bの変更例と同様の溝部402が設けられると、溢れた充填樹脂800を溝部402に良く溜めることができ、封止板400の側面と外装部材500の内面との間の封止性を一層高めることができる。
【0089】
なお、
図14~
図17Bの変更例は、適宜、組み合わされてよい。特に、
図14の変更例において、
図16のように外装部材500の内部に充填樹脂800が充填される場合、封止板400の下面に接着剤Pが塗られてもよい。このようにすれば、充填樹脂800が封止板400に接着されるため、取付タブ410を用いて外部装置等に取り付けられた封止板400が、コンデンサ素子100や外装部材500を介してではなく、充填樹脂800を直接保持できる。
【0090】
さらに、上記実施の形態では、外装部材500が前後方向において第1部材510と第2部材520の2つに分割された。しかしながら、外装部材500の分割方向は、上記の方向に限られない。たとえば、外装部材500が上下方向において第1部材510と第2部材520の2つに分割されてもよいし、外装部材500が左右方向において第1部材510と第2部材520の2つに分割されてもよい。
【0091】
さらに、上記実施の形態では、第1部材510の第1フランジ部513と第2部材520の第2フランジ部523とが熱溶着により接着された。しかしながら、第1フランジ部513と第2フランジ部523とが接着剤により接着されてもよい。この場合、熱溶着が行われる場合と違って、第1樹脂層500aに融点が低い樹脂材料を用い、第2樹脂層500bに融点の高い樹脂材料を用いる必要がない。よって、第1部材510および第2部材520において、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bに同じ樹脂材料が用いられてもよい。たとえば、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bが共にナイロンで構成されてもよい。
【0092】
(第3の実施の形態)
以下、本開示の第3の実施の形態について図を参照して説明する。便宜上、各図には、適宜、前後、左右および上下の方向が付記されている。なお、図示の方向は、あくまでフィルムコンデンサ1等の相対的な方向を示すものであり、絶対的な方向を示すものではない。
【0093】
本実施の形態において、フィルムコンデンサ1が、請求の範囲に記載の「コンデンサ」に対応する。また、第1端面電極101および第2端面電極102が、請求の範囲に記載の「電極」に対応する。さらに、被覆体460が、請求の範囲に記載の「被覆層」に対応する。
【0094】
ただし、上記記載は、あくまで、請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって請求の範囲に記載の発明の範囲が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0095】
図18Aは、本実施の形態に係る、フィルムコンデンサ1の斜視図であり、
図18Bは、本実施の形態に係る、外装部材500が除かれた状態のフィルムコンデンサ1の斜視図である。
図19は、本実施の形態に係る、コンデンサ素子100の斜視図である。
図20Aは、本実施の形態に係る、コンデンサ素子100の中央部で切断されたフィルムコンデンサ1の側面断面図であり、
図20Bは、本実施の形態に係る、コンデンサ素子100の中央部で切断されたフィルムコンデンサ1の平面断面図であり、
図20Cは、本実施の形態に係る、外装部材500の断面を拡大した図である。なお、
図18A~
図20Cでは、便宜上、外装部材500が大きな肉厚で描かれている。この点は、
図21以降の外装部材500の肉厚が表された図面においても同様である。
【0096】
フィルムコンデンサ1は、コンデンサ素子100と、第1バスバー200と、第2バスバー300と、被覆体460と、外装部材500とを備える。
【0097】
図19に示すように、コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層し、扁平状に押圧することにより形成されたコンデンサ本体と、コンデンサ本体の外周面に複数回(複数ターン)巻かれた電気絶縁性を有する外装フィルムとを含む。コンデンサ素子100は、その端面がほぼ長円形状を有する。コンデンサ素子100には、一方の端面に、亜鉛等の金属の吹付けにより第1端面電極101が形成され、他方の端面に、同じく亜鉛等の金属の吹付けにより第2端面電極102が形成される。第1端面電極101および第2端面電極102は、それらの外周のエッジ部分101a、102aが、角張っていて比較的鋭利な状態となっている。
【0098】
なお、本実施の形態のコンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されたが、これ以外にも、亜鉛、マグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。あるいは、コンデンサ素子100は、これらの金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよいし、これらの金属どうしの合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されてもよい。
【0099】
第1バスバー200および第2バスバー300は、銅などの導電材料により形成され、細長い長方形の板状を有する。第1バスバー200および第2バスバー300は、それらの一端部が、それぞれ、コンデンサ素子100の第1端面電極101および第2端面電極102に半田付けや溶接等の接続方法によって電気的に接続され、コンデンサ素子100に対して上方向に引き出される。
【0100】
被覆体460は、電気絶縁性を有する熱伝導シートにより形成され、電気絶縁性と熱伝導性に優れる。被覆体460は、被覆層として、コンデンサ素子100において、外周面103全体と第1端面電極101および第2端面電極102の外周のエッジ部分101a、102aとを被覆する。たとえば、被覆体460の厚みは、300μm程度とされ得る。
【0101】
被覆体460は、たとえば、コンデンサ素子100の左右の幅寸法より長い寸法に切り出だされ、コンデンサ素子100の外周面103に沿って巻かれた後、はみ出した両側部分が第1端面電極101側および第2端面電極102側に折り曲げられることで、コンデンサ素子100の外側に装着できる。被覆体460には、コンデンサ素子100に接する面に接着剤が予め塗布され、この接着剤によって被覆体460がコンデンサ素子100と一体化される。この接着剤は、熱導電性の高いものとすることが好ましい。なお、被覆体460が柔軟性を有すると、被覆体460がコンデンサ素子100の外周面103全体と第1端面電極101および第2端面電極102の外周のエッジ部分101a、102aを、それらの形状に追随するようにして被覆するので、望ましい。
【0102】
被覆体460で被覆されるとともに第1バスバー200および第2バスバー300が接続されたコンデンサ素子100の周囲が、外装部材500により覆われる。
【0103】
外装部材500は、コンデンサ素子100の外形とほぼ相似する外形、即ち、長円柱形の箱状を有する。外装部材500は、金属ラミネートフィルムにより形成され、
図20Cに示すように、第1樹脂層500aと、第2樹脂層500bと、これら第1樹脂層500aおよび第2樹脂層500bに挟まれる金属層500cとによる3層構造を有する。第1樹脂層500aは、たとえば、ポリプロピレンにより構成され、第2樹脂層500bは、たとえば、ナイロンにより構成される。ポリプロピレンは、ナイロンに比べて融点の低い樹脂である。金属層500cは、たとえば、アルミニウム箔により構成される。外装部材500の肉厚は、100μm程度とされる。このように外装部材500は、金属層500cを有するため透湿度が低く、肉厚が小さいため軽量である。
【0104】
外装部材500は、前後方向に分離される第1部材510と第2部材520とにより構成される。第1部材510は、コンデンサ素子100の前側半分(一部分)を覆い、第2部材520は、コンデンサ素子100の後側半分(残り部分)を覆う。第1部材510および第2部材520には、それらの外周縁に、接着しろとなる第1フランジ部511および第2フランジ部521が形成される。第1フランジ部511および第2フランジ部521は、前後方向に重なり、それらの表面同士が熱溶着や接着剤により接着されて結合される。
【0105】
第1バスバー200および第2バスバー300は、それらの他端部が第1フランジ部511および第2フランジ部521の間から外装部材500の外部に引き出される。第1バスバー200および第2バスバー300は、その寸法が小さな板厚方向が第1フランジ部511と第2フランジ部521との接合方向となるように、コンデンサ素子100に接続されているため、第1バスバー200および第2バスバー300と第1フランジ部511および第2フランジ部521との間に隙間が生じにくい。また、これら隙間は、接着剤やシール剤によって埋められる。これにより、外装部材500における第1バスバー200および第2バスバー300の引出部分から空気が出入りするのを遮断でき、外装部材500の内部の気密性を保持できる。こうして、コンデンサ素子100が外装部材500によって気密的に覆われることにより、コンデンサ素子100の吸湿を抑制することが可能となる。
【0106】
図20Aおよび
図20Bに示すように、コンデンサ素子100は、外装部材500の内面との間にほぼ隙間ができない状態で外装部材500に覆われる。即ち、コンデンサ素子100の外周面103側では、被覆体460が外装部材500の内面に接触した状態、あるいは極めて近接した状態となり、コンデンサ素子100の第1端面電極101側および第2端面電極102側では、被覆体460が第1バスバー200および第2バスバー300の分だけ外装部材500の内面から離れた状態となる。
【0107】
ここで、コンデンサ素子100と外装部材500の内面との隙間が小さいと、第1端面電極101のエッジ部分101aおよび第2端面電極102のエッジ部分102aが、外装部材500の内面、即ち外装部材500の第1樹脂層500aに接触しやすくなる。上述のように、第1端面電極101および第2端面電極102のエッジ部分101a、102aは、比較的鋭利であるため、第1樹脂層500aに直接接触すると第1樹脂層500aを傷つけて破断させてしまう虞がある。コンデンサ素子100と外装部材500の金属層500cとの間は、第1樹脂層500aによって電気的絶縁性が確保されているので、第1樹脂層500aが破断してしまっては、電気的絶縁性が確保できなくなってしまう。
【0108】
本実施の形態では、第1端面電極101および第2端面電極102のエッジ部分101a、102aが被覆体460によって被覆されているため、これらエッジ部分101a、102aは、直接、外装部材500の内面に接触せず、外装部材500の第1樹脂層500aがエッジ部分101a、102aで傷つけられにくくなる。これにより、コンデンサ素子100と外装部材500の金属層500cとの間の電気的絶縁性を十分に確保することができる。
【0109】
さらに、本実施の形態では、第1端面電極101のエッジ部分101aおよび第2端面電極102のエッジ部分102aのみならず、コンデンサ素子100の外周面103も被覆体460に覆われており、被覆体460は熱伝導性に優れるため、通電時等にコンデンサ素子100が発した熱が被覆体460を通じて効果的に外装部材500へと伝わり、外装部材500の外に放出される。これにより、コンデンサ素子100が過熱しづらくなる。
【0110】
<第3の実施の形態の効果>
本実施の形態のフィルムコンデンサ1の構成によれば、以下の効果を奏することができる。
【0111】
コンデンサ素子100は、金属ラミネートフィルムで形成された外装部材500で覆われており、金属ラミネートフィルムは、第1樹脂層500aと第2樹脂層500bとの間に金属層500cが介在するため透湿度が低い。これにより、外装部材500による湿気の遮断効果を高めることができるので、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が高まることが期待される。
【0112】
また、コンデンサ素子100は、第1端面電極101のエッジ部分101aおよび第2端面電極102のエッジ部分102aが被覆体460によって被覆されている。このため、外装部材500の第1樹脂層500aがエッジ部分101a、102aで傷つけられにくくなり、コンデンサ素子100と外装部材500の金属層500cとの間の電気的絶縁性を十分に確保することが可能となる。
【0113】
さらに、被覆体460は熱伝導性に優れ、コンデンサ素子100は外周面103をも被覆体460に覆われているので、コンデンサ素子100が発した熱を、被覆体460を通じて効果的に外装部材500へ伝え、外装部材500の外に放出できる。これにより、コンデンサ素子100の過熱の抑制効果を高めることができる。
【0114】
<第3の実施の形態の変更例>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではなく、また、本開示の適用例も、上記実施の形態の他に、種々の変更が可能である。
【0115】
たとえば、上記実施の形態では、被覆体460が、電気的絶縁性を有する熱伝導シートにより形成された。しかしながら、被覆体460が、電気的絶縁性は有するが、熱伝導性は高くない材料(シート材)によって形成されてもよい。この場合、
図21に示すように、コンデンサ素子100は、主として、第1端面電極101のエッジ部分101aおよび第2端面電極102
のエッジ部分102aが覆われればよく、外周面103については、ほとんど覆われなくてよい。また、被覆体460が、電気的絶縁性を有する熱伝導シートにより形成される場合であっても、外周面103全体が被覆体460で覆われなくてよく、外周面103の半分以上など、多くの部分が被覆体460で覆われれば良い。
【0116】
また、上記実施の形態では、外装部材500は、第1フランジ部511と第2フランジ部521との間から第1バスバー200および第2バスバー300が外部へ引き出されるような構成とされた。しかしながら、フィルムコンデンサ1を、
図22Aおよび
図22Bに示すような構成に変更することもできる。
【0117】
図22Aおよび
図22Bの変更例では、フィルムコンデンサ1が、外装部材500に替えて、外装部材600と封止板700とを備える。
【0118】
外装部材600は、金属ラミネートフィルムにより形成され、下部が円弧状となるほぼ直方体の箱状を有する。外装部材600の上面には、長方形の開口部601が形成される。外装部材600は、第1部材610と第2部材620とにより構成される。第1部材610および第2部材620は、互いのフランジ部611、621同士が熱溶着や接着剤により接着されて結合される。
【0119】
封止板700は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料により形成され、長方形の板状を有する。封止板700を、第1バスバー200および第2バスバー300が貫通する。封止板700と第1バスバー200および第2バスバー300とは、これらの間に隙間が生じにくいよう、インサート成形によって一体的に形成される。
【0120】
外装部材600の開口部601が封止板700により封止される。封止板700は、たとえば、接着剤によって外装部材600と固定される。こうして、被覆体460で被覆されたコンデンサ素子100が、外装部材600と封止板700とによって気密的に覆われる。
【0121】
なお、封止板700に、フィルムコンデンサ1を外部装置等に取り付ける際に用いられる取付タブが一体形成されてもよい。たとえば、封止板700の取付タブは、取付孔を有し、当該取付孔を通されたネジにより外部装置等に設けられた取付ボスに固定される。
【0122】
さらに、
図23に示すように、コンデンサ素子100等を覆った外装部材500の内部に充填樹脂800が充填されてもよい。充填樹脂800は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。この場合、たとえば、外装部材500の第1フランジ部511と第2フランジ部521の左側、右側および下側が接合された後、接合されていない第1フランジ部511と第2フランジ部521の上側から外装部材500の内部にノズル等が挿入され、ノズル等から溶融状態の充填樹脂800が注入される。このときには、隙間の狭い外装部材500の内部に充填樹脂800が入りやすいよう、圧力を加えて充填樹脂800を注入することが望ましい。また、真空ポンプ等で外装部材500の内部の空気を引くようにしてもよい。外装部材500の内部に充填樹脂800が満たされると、外装部材500が加熱されて、内部の充填樹脂800が硬化する。
【0123】
このような構成とされれば、コンデンサ素子100は、外装部材500のみならず、充填樹脂800によっても覆われているので、充填樹脂800によっても湿気を遮断でき、コンデンサ素子100の吸湿を抑制する効果が一層高まることが期待される。さらに、熱溶着等により接着された第1フランジ部511と第2フランジ部521との間に接着が不十分な部分が生じていたとしても、その部分では隙間に充填樹脂800が入り込むことでシール性が確保される。
【0124】
図21~
図23の変更例は、適宜、組み合わされてよい。たとえば、
図22Aおよび
図22Bの変更例においても、外装部材600の内部に充填樹脂800を充填させることができる。この場合、たとえば、封止板700に、溶融状態の充填樹脂800を注入するための注入口が形成される。
【0125】
上記第1~第3の実施の形態において、フィルムコンデンサ1に含まれるコンデンサ素子100の個数は、上記実施の形態のものに限られず、必要な電気容量に応じて、適宜、変更できる。すなわち、上記実施の形態では1個のコンデンサ素子100が外装部材500で覆われたが、これに限られることなく、複数個のコンデンサ素子100が外装部材500で覆われてもよい。
【0126】
さらに、上記第1~第3の実施の形態では、コンデンサ素子100は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを巻回または積層することで形成されたものであるが、これ以外にも、誘電体フィルムの両面にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムと絶縁フィルムとを重ね、これを巻回または積層することによりコンデンサ素子100を形成してもよい。
【0127】
さらに、本開示のコンデンサは、上記第1~第3の実施の形態のようなフィルムコンデンサ1に限られず、フィルムコンデンサ1以外のコンデンサであってもよい。
【0128】
この他、本開示の実施の形態は、請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【0129】
なお、上記第1~第3の実施の形態の説明において「上方」「下方」等の方向を示す用語は、構成部材の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示すものであり、鉛直方向、水平方向等の絶対的な方向を示すものではない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本開示は、各種電子機器、電気機器、産業機器、車両の電装等に使用されるコンデンサに有用である。
【符号の説明】
【0131】
1 フィルムコンデンサ(コンデンサ)
100 コンデンサ素子
101 第1端面電極(第1の電極)
101a エッジ部分
102 第2端面電極(第2の電極)
102a エッジ部分
103 外周面
200 第1バスバー(第1のバスバー)
300 第2バスバー(第2のバスバー)
400 封止板(封止部材)
410 取付タブ(取付部)
450 スペーサ
460 被覆体
500 外装部材
501 開口部
503 上端部(開口部側の端部)
510 第1部材(第1の部材)
520 第2部材(第2の部材)
600 外装部材
601 開口部
610 第1部材(第1の部材)
620 第2部材(第2の部材)
700 封止板(封止部材)
800 充填樹脂
P 接着剤