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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】コンセント装置及び給電装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20230127BHJP
   H01R 25/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R25/00 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018248354
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020107582
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 究
(72)【発明者】
【氏名】矢島 孝志
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-151395(JP,U)
【文献】特開昭57-189472(JP,A)
【文献】特開平11-224751(JP,A)
【文献】特開平09-320712(JP,A)
【文献】特開2001-126829(JP,A)
【文献】特開2000-164305(JP,A)
【文献】特開2007-103255(JP,A)
【文献】特開2008-135233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
H01R 25/00-25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの一対の差込片を差込可能な一対の差込口を有するボディと、
前記一対の差込口に差し込まれた前記一対の差込片に電気的に接続される一対の導電部材と、
前記一対の差込口に差し込まれた前記一対の差込片を保持する保持構造と、を備え、
前記一対の差込片は、前記一対の差込口に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置から、前記第1位置よりも前記保持構造による前記一対の差込片の保持力が低い第2位置まで回転可能であって、
前記第1位置及び前記第2位置のいずれでも前記一対の差込片が挿抜可能であり、
前記ボディにおける前記一対の差込口が形成された接続面の少なくとも一部を覆い、かつ前記ボディに対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように前記ボディに対して回転可能な回転体と、
前記回転体に対して弾性力を作用させるばねと、を更に備え、
前記回転体は、一対の貫通孔を有し、
前記複数の状態は、前記一対の貫通孔が前記第1位置に重なる第1状態と、前記一対の貫通孔が前記第2位置に重なる第2状態と、を含み、
前記ばねは、前記回転体を前記第1状態に維持するような弾性力を前記回転体に作用させる、
コンセント装置。
【請求項2】
前記一対の差込片の少なくとも一方は、前記第2位置では前記一対の導電部材のいずれからも電気的に切り離される、
請求項1に記載のコンセント装置。
【請求項3】
前記一対の差込片の少なくとも一方は、前記第2位置では前記一対の導電部材のいずれにも対向しない、
請求項2に記載のコンセント装置。
【請求項4】
前記保持構造は、前記一対の導電部材の各々に形成された突起を含み、前記突起が前記一対の差込片の各々に引っ掛かることで前記一対の差込片を保持し、
前記一対の差込片に対する前記突起の引っ掛かり量は、前記第2位置より前記第1位置で大きい、
請求項1~3のいずれか1項に記載のコンセント装置。
【請求項5】
前記突起は、前記一対の導電部材の各々において前記第1位置に対応する部位と前記第2位置に対応する部位のうち、前記第1位置に対応する部位にのみ配置されている、
請求項4に記載のコンセント装置。
【請求項6】
前記一対の差込口への前記一対の差込片の差込時において、前記一対の差込片を前記第1位置に案内するガイド部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のコンセント装置。
【請求項7】
前記ガイド部は、一対の扉体に形成されており、
前記一対の扉体は、前記ボディに収容されており、前記一対の差込口から見て前記一対の導電部材を覆う閉位置と、前記一対の差込口から見て前記一対の導電部材を露出させる開位置との間で移動する、
請求項6に記載のコンセント装置。
【請求項8】
前記一対の差込片は、前記一対の差込片の差込方向における同一位置において、前記第1位置から前記第2位置まで回転する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のコンセント装置。
【請求項9】
前記一対の差込口の各々は、前記一対の差込片の回転中心を中心とする円に沿って延びた形状である、
請求項1~8のいずれか1項に記載のコンセント装置。
【請求項10】
前記一対の差込口の各々は、前記一対の差込片の回転中心から見て85度以上95度以下となる長さを有する、
請求項9に記載のコンセント装置。
【請求項11】
前記一対の差込口の各々の幅は、2.2mm以上3.5mm以下である、
請求項9又は10に記載のコンセント装置。
【請求項12】
前記ボディを前記一対の差込口側から見て、前記プラグが反時計回りに回転することで、前記一対の差込片は、前記第1位置から前記第2位置に移動する、
請求項1~11のいずれか1項に記載のコンセント装置。
【請求項13】
前記複数の状態は、前記一対の差込口を前記回転体で覆う第3状態を更に含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載のコンセント装置。
【請求項14】
一対の差込片を有するプラグを接続可能なコンセント装置であって、
前記一対の差込片が一対の差込口の第1位置に差し込まれることにより前記プラグが電気的に接続され、
前記一対の差込口に差し込まれた状態の前記一対の差込片は前記第1位置から第2位置まで回転可能であって、
前記第1位置及び前記第2位置のいずれでも前記一対の差込片が挿抜可能であり、
前記一対の差込片は、前記第2位置に差し込まれた状態において、前記第1位置に差し込まれた状態よりも低い保持力で前記一対の差込口に保持され、
前記一対の差込口の前記第2位置にて前記一対の差込片が前記一対の差込口から抜かれ、
前記一対の差込口を有するボディにおける前記一対の差込口が形成された接続面の少なくとも一部を覆い、かつ前記ボディに対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように前記ボディに対して回転可能な回転体と、
前記回転体に対して弾性力を作用させるばねと、を更に備え、
前記回転体は、一対の貫通孔を有し、
前記複数の状態は、前記一対の貫通孔が前記第1位置に重なる第1状態と、前記一対の貫通孔が前記第2位置に重なる第2状態と、を含み、
前記ばねは、前記回転体を前記第1状態に維持するような弾性力を前記回転体に作用させる、
コンセント装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のコンセント装置を複数備え、
前記複数のコンセント装置を保持するハウジングを更に備える、
給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコンセント装置及び給電装置に関し、より詳細には、一対の差込片を有するプラグを接続可能なコンセント装置、及びそれを備える給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の差込口が設けられた器体と、器体内に収納されて差込口に差し込まれるプラグ(差込プラグ)の刃を受ける複数の刃受と、器体から導出されて外部の電源に接続される電源コードと、を備えるテーブルタップが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のテーブルタップは、電源コードと複数の刃受との電気的な接続を入切するスイッチを備えている。特許文献1では、スイッチの操作部は、器体の表面に形成された凹所の底面に露出するため、器体が床に置かれている場合に器体が足で踏まれることがあっても、スイッチの誤操作が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-5367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記テーブルタップのような従来のコンセント装置では、プラグを抜去する際に比較的大きな力を要する場合もある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、より簡単な作業でプラグを抜去できるコンセント装置及び給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るコンセント装置は、ボディと、一対の導電部材と、保持構造と、を備える。前記ボディは、プラグの一対の差込片を差込可能な一対の差込口を有する。前記一対の導電部材は、前記一対の差込口に差し込まれた前記一対の差込片に電気的に接続される。前記保持構造は、前記一対の差込口に差し込まれた前記一対の差込片を保持する。前記一対の差込片は、前記一対の差込口に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置から、第2位置まで回転可能である。前記第2位置は、前記第1位置よりも前記保持構造による前記一対の差込片の保持力が低い位置である。前記第1位置及び前記第2位置のいずれでも前記一対の差込片が挿抜可能である。前記コンセント装置は、回転体と、ばねと、を更に備える。前記回転体は、前記ボディにおける前記一対の差込口が形成された接続面の少なくとも一部を覆い、かつ前記ボディに対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように前記ボディに対して回転可能である。前記ばねは、前記回転体に対して弾性力を作用させる。前記回転体は、一対の貫通孔を有する。前記複数の状態は、前記一対の貫通孔が前記第1位置に重なる第1状態と、前記一対の貫通孔が前記第2位置に重なる第2状態と、を含む。前記ばねは、前記回転体を前記第1状態に維持するような弾性力を前記回転体に作用させる。
【0008】
本開示の一態様に係るコンセント装置は、一対の差込片を有するプラグを接続可能なコンセント装置である。前記コンセント装置は、前記一対の差込片が一対の差込口の第1位置に差し込まれることにより前記プラグが電気的に接続される。前記一対の差込口に差し込まれた状態の前記一対の差込片は前記第1位置から第2位置まで回転可能である。前記第1位置及び前記第2位置のいずれでも前記一対の差込片が挿抜可能である。前記一対の差込片は、前記第2位置に差し込まれた状態において、前記第1位置に差し込まれた状態よりも低い保持力で前記一対の差込口に保持される。前記コンセント装置では、前記一対の差込口の前記第2位置にて前記一対の差込片が前記一対の差込口から抜かれる。前記コンセント装置は、回転体と、ばねと、を更に備える。前記回転体は、前記一対の差込口を有するボディにおける前記一対の差込口が形成された接続面の少なくとも一部を覆い、かつ前記ボディに対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように前記ボディに対して回転可能である。前記ばねは、前記回転体に対して弾性力を作用させる。前記回転体は、一対の貫通孔を有する。前記複数の状態は、前記一対の貫通孔が前記第1位置に重なる第1状態と、前記一対の貫通孔が前記第2位置に重なる第2状態と、を含む。前記ばねは、前記回転体を前記第1状態に維持するような弾性力を前記回転体に作用させる。
【0009】
本開示の一態様に係る給電装置は、前記コンセント装置を複数備え、前記複数のコンセント装置を保持するハウジングを更に備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、より簡単な作業でプラグを抜去できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係るコンセント装置の正面図である。
図2図2は、同上のコンセント装置を備える給電装置の概略斜視図である。
図3図3Aは、同上のコンセント装置の概略正面図である。図3Bは、同上のコンセント装置の概略側面図である。
図4図4は、同上のコンセント装置の概略分解斜視図である。
図5図5Aは、同上のコンセント装置の第1ボディを外した状態の概略正面図である。図5Bは、図5Aの領域Z1の拡大図である。
図6図6A及び図6Bは、同上のコンセント装置の使用方法の説明図である。
図7図7Aは、実施形態1の第2変形例に係るコンセント装置の要部を拡大した概略正面図である。図7Bは、実施形態1の第3変形例に係るコンセント装置の要部を拡大した概略正面図である。
図8図8Aは、実施形態1の第4変形例に係るコンセント装置の概略正面図である。図8Bは、図8AのA1-A1線断面を模式的に表す概略図である
図9図9Aは、実施形態2に係るコンセント装置の概略正面図である。図9Bは、同上のコンセント装置の回転体を外した状態の概略正面図である。
図10図10A及び図10Bは、同上のコンセント装置の使用方法の説明図である。
図11図11A及び図11Bは、実施形態2の変形例に係るコンセント装置の使用方法の説明図である。
図12図12A図12Cは、実施形態2の他の変形例に係るコンセント装置の使用方法の説明図である。
図13図13Aは、実施形態3に係るコンセント装置の概略正面図である。図13Bは、同上のコンセント装置の概略側面図である。
図14図14A及び図14Bは、実施形態4に係るコンセント装置の使用方法の説明図である。
図15図15A図15Cは、実施形態4の変形例に係るコンセント装置の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るコンセント装置1は、図1図3Bに示すように、プラグ2を接続可能なコンセント装置1である。プラグ2は、一対の差込片21を有している。本開示でいう「差込片」は、プラグ2のうちのコンセント装置1に差し込まれる導電性部材を意味し、例えば、栓刃又はピンである。
【0013】
本実施形態において、コンセント装置1は、電気機器のプラグ2が接続されて電気機器への電力供給を行うコンセント(Outlet)の機能を有している。本実施形態では、コンセント装置1として、接地極付きの交流100V用であって、1個のプラグ2を接続可能な1個口タイプのコンセントを例示する。また、本実施形態では、コンセント装置1として、建物の内部で使用される屋内用のコンセントを例示する。コンセント装置1が使用される建物は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設である。
【0014】
また、本実施形態に係るコンセント装置1は、図2に示すように、複数組み合わせされて給電装置10に用いられる。本実施形態に係る給電装置10は、コンセント装置1を複数備え、ハウジング11を更に備えている。ハウジング11は、複数のコンセント装置1を保持する。言い換えれば、給電装置10は、複数のコンセント装置1と、複数のコンセント装置1を保持するハウジング11と、を備えている。
【0015】
このコンセント装置1は、商用電源等の電源に電気的に接続された状態で使用される。そのため、電気機器のプラグ2がコンセント装置1に接続されることによって、コンセント装置1から電気機器への電力供給が可能になる。この種のコンセント装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、給湯器及び照明器具等、種々の電気機器への電力供給に用いられる。つまり、種々の電気機器のプラグ2が、コンセント装置1に接続されることにより、コンセント装置1から電気機器への電力供給が可能になる。
【0016】
ここで、本実施形態に係るコンセント装置1は、ボディ3と、一対の導電部材41と、保持構造5と、を備えている。ボディ3は、一対の差込口301を有している。一対の差込口301は、プラグ2の一対の差込片21を差込可能に構成されている。一対の導電部材41は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21に電気的に接続される。保持構造5は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21を保持する。ここにおいて、一対の差込片21は、一対の差込口301に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置P1から第2位置P2まで回転可能である。第2位置P2は、第1位置P1よりも保持構造5による一対の差込片21の保持力が低い位置である。第1位置P1及び第2位置P2のいずれでも一対の差込片21が挿抜可能である。
【0017】
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1によれば、一対の差込片21は、一対の差込口301に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置P1(図1参照)から第2位置P2(図1参照)まで回転可能である。言い換えれば、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301に差し込まれた状態で、コンセント装置1に対して相対的に回転可能である。このとき、プラグ2は、その一対の差込片21が少なくとも第1位置P1から第2位置P2に移動するまで、回転可能である。そして、このようにプラグ2が回転して、プラグ2の一対の差込片21が第1位置P1から第2位置P2に移動することで、保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下する。また、一対の差込片21は、第1位置P1及び第2位置P2のいずれでも挿抜可能である。
【0018】
したがって、コンセント装置1とプラグ2とを接続する際には、一対の差込片21を第1位置P1にて一対の差込口301に差し込むことにより、コンセント装置1とプラグ2との接続を実現することが可能である。一方、コンセント装置1とプラグ2との接続を解除する際には、プラグ2を回転させて一対の差込片21を第1位置P1から第2位置P2に移動させ、一対の差込片21を第2位置P2にて一対の差込口301から抜去することが可能である。これにより、保持構造5による一対の差込片21の保持力を低下させた状態で一対の差込片21を一対の差込口301から抜去することができるため、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ2を抜去できる、という利点がある。
【0019】
(2)構成
以下、本実施形態に係るコンセント装置1及び給電装置10の構成について、図1図5Bを参照して、詳しく説明する。以下の説明において使用する「上下方向」、「前後方向」等の方向は、コンセント装置1及び給電装置10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0020】
(2.1)前提
本実施形態では、上述したように、接地極付きの交流100V用のコンセント装置1を想定している。そのため、コンセント装置1に接続されるプラグ2としては、図2に示すように、一対の差込片21に加えて、接地極としての接地ピン22を有する、接地極付きのプラグを想定する。
【0021】
プラグ2は、樹脂製のプラグボディ23を更に有している。一対の差込片21及び接地ピン22は、プラグボディ23の先端面から一方向に向けて突出する。一対の差込片21の各々は、金属の平板からなる栓刃である。各差込片21は、差込片21を厚み方向に貫通する引掛孔211を有している。一対の差込片21は、各差込片21の厚み方向において互いに対向するように配置されている。言い換えれば、一対の差込片21は互いに平行な位置関係にある。接地ピン22は、円柱状に形成された丸ピンである。
【0022】
一対の差込片21及び接地ピン22は、プラグボディ23の先端面において、三角形の3つの頂点に相当する位置に配置されている。言い換えれば、接地ピン22は、一対の差込片21の対向方向においては一対の差込片21の間に接地ピン22が位置し、かつ一対の差込片21の対向方向に直交する方向において、接地ピン22は、一対の差込片21と異なる位置に配置されている。本開示でいう「直交」は、厳密に90度で交わる状態だけでなく、ある程度の誤差の範囲内で略直交する状態も含む意味である。
【0023】
そして、本実施形態に係るコンセント装置1によれば、上述したように、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301に差し込まれた状態で、コンセント装置1に対して相対的に回転可能である。このとき、プラグ2は、その一対の差込片21が少なくとも第1位置P1から第2位置P2に移動するまで、回転可能である。本実施形態では、一例として、プラグ2の一対の差込片21の移動範囲(回転範囲)は、第1位置P1と第2位置P2との間に制限されている。さらに、本実施形態では、プラグ2の一対の差込片21は、第1位置P1と第2位置P2との間で双方向に回転可能である。
【0024】
そして、コンセント装置1に対してプラグ2が相対的に回転する際のプラグ2の回転の中心軸を、回転中心R1(図1参照)と定義する。言い換えれば、プラグ2の一対の差込片21は、第1位置P1と第2位置P2との間を移動する際に、回転中心R1を中心とする円弧状の回転軌道に沿って移動する。図1等では、コンセント装置1の接続面311上に位置する回転中心R1を、模式的に図示している。つまり、回転中心R1は仮想的な点であって実体を伴わない。
【0025】
(2.2)給電装置の構成
給電装置10は、上述したように、コンセント装置1を複数備え、複数のコンセント装置1を保持するハウジング11を更に備えている。本実施形態では一例として、給電装置10は3つのコンセント装置1を備えている。
【0026】
また、本実施形態に係る給電装置10は、図2に示すように、複数のコンセント装置1及びハウジング11に加えて、ケーブル12を備えている。ケーブル12は、商用電源等の電源と、複数のコンセント装置1との間を電気的に接続する。これにより、電源から、ケーブル12を介して複数のコンセント装置1への電力の供給が可能となる。よって、給電装置10の複数のコンセント装置1に複数の電気機器のプラグ2が接続されることで、給電装置10から複数の電気機器へ電力の供給が可能となる。つまり、給電装置10は、いわゆるテーブルタップである。
【0027】
本実施形態では、ハウジング11は、長さを有する直方体状である。ケーブル12は、ハウジング11の長手方向の一端面から引き出されている。複数(ここでは3つ)のコンセント装置1は、ハウジング11の長手方向に沿って並ぶように配置されている。複数のコンセント装置1は、少なくとも各々の接続面311を、ハウジング11の前面111から露出させるようにハウジング11に収容されている。前面111は、ハウジング11の長手方向に沿った一面である。このように、複数のコンセント装置1は、ハウジング11に収容された状態で、ハウジング11に保持されている。
【0028】
ここで、本開示でいう「XがYに沿う」とは、Xに対するYの角度が所定範囲(0度以上45度以下)であることをいう。つまり、複数のコンセント装置1の並ぶ方向と、ハウジング11の長手方向との間の角度は、所定範囲にある。所定範囲は、0度以上25度以下であることが好ましい。本実施形態では、一例として、複数のコンセント装置1の並ぶ方向と、ハウジング11の長手方向との間の角度は0度、つまり、複数のコンセント装置1の並ぶ方向と、ハウジング11の長手方向とは平行である。
【0029】
(2.3)コンセント装置の構成
コンセント装置1は、図1図3A図5Bに示すように、ボディ3と、一対の導電部材41と、保持構造5と、を備えている。本実施形態では、コンセント装置1は、接地部材42と、一対の結合部材33と、を更に備えている。また、コンセント装置1は、ケーブル12を電気的に接続するための端子部等を更に備えている。
【0030】
ボディ3は、上述したように、一対の差込口301を有している。ボディ3は、一対の導電部材41、接地部材42及び保持構造5を収容している。本実施形態では、ボディ3は、第1ボディ31と、第2ボディ32と、の2つの部材が組み合わされて構成されている。ボディ3は、例えば、ユリア樹脂製であって、直方体状に形成されている。
【0031】
第1ボディ31は、後面を開口面とする箱状に形成されている。第2ボディ32は、前面を開口面とする箱状に形成されている。第1ボディ31及び第2ボディ32は、第2ボディ32の前面を第1ボディ31で覆うように、前後方向に組み合わされる。つまり、第1ボディ31及び第2ボディ32は、互いの開口面同士を対向させるように組み合わされる。このように組み合わされた状態で、第1ボディ31及び第2ボディ32は、一対の結合部材33にて機械的に結合され、一体化される。
【0032】
第1ボディ31は、図4に示すように、一対の差込口301が形成された接続面311を有している。ここでは、第1ボディ31の前面が接続面311となる。つまり、ボディ3のうち、第1ボディ31における第2ボディ32とは反対側の面(接続面311)には、一対の差込口301が形成されている。また、接続面311には、接地口302が更に形成されている。一対の差込口301及び接地口302は、第1ボディ31の前壁を、その厚み方向(前後方向)に貫通する貫通孔である。
【0033】
一対の差込口301は、プラグ2の一対の差込片21を差込可能に構成されている。接地口302は、プラグ2の接地ピン22を差込可能に構成されている。そのため、一対の差込口301及び接地口302は、接続面311において、プラグ2の一対の差込片21及び接地ピン22に対応する位置に配置されている。言い換えれば、一対の差込口301及び接地口302は、ボディ3の接続面311において、三角形の3つの頂点に相当する位置に配置されている。一対の差込口301の各々は、一対の差込片21の回転中心R1を中心とする円C1(図3A参照)に沿って延びた形状である。一対の差込口301の寸法について詳しくは「(2.4)寸法関係」の欄で説明する。接地口302についても、差込口301と同様に、回転中心R1を中心とする円C1に沿って延びた形状である。
【0034】
第1ボディ31は、接続面311における一対の差込口301の周囲に、テーパ面312を更に有している。テーパ面312は、各差込口301の開口周縁に近づくにつれて、接続面311から奥(後方)に離れるように、接続面311に対して傾斜している。テーパ面312は、各差込口301の周囲の全周にわたって形成されている。言い換えれば、各差込口301は、テーパ面312によって、すり鉢状に形成された凹所の底面に開口している。このようなテーパ面312により、差込口301に差込片21が差し込まれる際に、差込片21が差込口301に案内されやすくなる。
【0035】
また、本実施形態では、第1ボディ31は、接続面311における接地口302の周囲にも、テーパ面312と同様のテーパ面313を有している。このようなテーパ面313により、接地口302に接地ピン22が差し込まれる際に、接地ピン22が接地口302に案内されやすくなる。
【0036】
第2ボディ32は、図4に示すように、内部空間を少なくとも第1収容室321、第2収容室322及び第3収容室323の3つに区分けする仕切壁324を有している。第1収容室321及び第2収容室322には、それぞれ導電部材41が収容される。第3収容室323には、接地部材42が収容される。一対の導電部材41及び接地部材42は、第1収容室321、第2収容室322及び第3収容室323内で位置決めされる。
【0037】
また、第2ボディ32には、ケーブル12を電気的に接続するための端子部が収容されている。端子部は、第1収容室321、第2収容室322及び第3収容室323の各々に収容されており、一対の導電部材41及び接地部材42と電気的に接続されている。端子部は、例えば、ボディ3(第2ボディ32)の後面に形成された端子孔から電線(ケーブル12の心線)を差し込むことによってケーブル12が接続される、差込式の速結端子である。本実施形態では、コンセント装置1に対して、一対の電源線及び接地線(アース線)の合計3本の電線が接続される。
【0038】
ところで、本実施形態では、プラグ2は、その一対の差込片21が一対の差込口301に差し込まれた状態で、一対の差込片21を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させるように、コンセント装置1に対して相対的に回転可能である。言い換えれば、差込片21が差込口301に差し込まれた状態において、あるときの差込片21の位置が第1位置P1となり、第1位置P1から差込片21が回転したときの差込片21の位置が第2位置P2となる。そのため、図1に示すように、第1位置P1及び第2位置P2は、差込口301内に設定される。
【0039】
ここで、一対の差込口301の各々は、上述したように、一対の差込片21の回転中心R1を中心とする円C1(図3A参照)に沿って延びた形状である。つまり、各差込口301は、正面視において、回転中心R1を中心とする円弧状に形成されている。第1位置P1及び第2位置P2は、このような形状の差込口301内に、正面視において、回転中心R1を中心とする反時計回りに、第1位置P1、第2位置P2の順で並ぶように配置されている。そのため、本実施形態では、プラグ2は、一対の差込片21が一対の差込口301に差し込まれた状態において、正面視において反時計回りに回転することによって、その差込片21が第1位置P1から第2位置P2に移動することになる。
【0040】
一対の導電部材41は、一対の差込口301に対応する位置に配置されている。よって、一対の導電部材41の各々は、対応する差込口301に差し込まれた差込片21に電気的に接続される。一対の導電部材41は、基本的に共通の構成であって、プラグ2(一対の差込片21)の回転中心R1(図1参照)に対して、2回対称(180度回転対称)である。そこで、以下では一対の導電部材41のうち、一方の導電部材41の構成について説明し、他方の導電部材41については適宜説明を省略する。
【0041】
導電部材41は、導電性及び弾性を有する金属板、例えば、銅又は銅合金等の金属板にて構成されている。導電部材41は、差込片21を機械的に保持し、かつ差込片21と電気的に接続される。導電部材41は、互いに対向する第1刃受片411及び第2刃受片412を有している。導電部材41は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に差込片21を挟んだ状態で差込片21と電気的に接続されるように構成されている。
【0042】
第1刃受片411及び第2刃受片412は、図5A及び図5Bに示すように、隙間を介して互いに対向するように配置されている。第1刃受片411及び第2刃受片412は、差込口301の幅方向において互いに対向する。導電部材41は、第1刃受片411と第2刃受片412とを連結する連結片413(図4参照)を、更に有している。連結片413は、第1刃受片411及び第2刃受片412のうち、前後方向において差込口301とは反対側の端部同士を連結する。
【0043】
導電部材41は、ボディ3に収容された状態では、第1刃受片411及び第2刃受片412のうち第1刃受片411が回転中心R1側に位置する。言い換えれば、正面視において、第2刃受片412から見て回転中心R1側に、第2刃受片412との間に隙間を形成するように第1刃受片411が配置されている。これにより、第1刃受片411と第2刃受片412との間に差込片21が差し込まれた状態では、差込片21に対して、回転中心R1側から第1刃受片411が接触し、回転中心R1とは反対側から第2刃受片412が接触する。また、第1刃受片411及び第2刃受片412の各々は、正面視において、回転中心R1とは反対側に凸となるように、湾曲又は屈曲した形状に形成されている。
【0044】
本実施形態では一例として、正面視において、第2刃受片412は、回転中心R1を中心とする円弧状に湾曲しており、第1刃受片411は、平板が途中で屈曲したような形状に形成されている。具体的には、第1刃受片411は、図5Bに示すように、第1小片411aと、第2小片411bと、を有している。第1小片411a及び第2小片411bは、回転中心R1を中心とする円弧に沿って並んで配置されている。本実施形態では、第1小片411a及び第2小片411bは、正面視において、回転中心R1を中心とする反時計回りに、第1小片411a、第2小片411bの順で並ぶように配置されている。さらに、第1小片411a及び第2小片411bは、両者の間に第2刃受片412に向かって凸となる角部が生じるように結合されている。
【0045】
このような第1小片411a及び第2小片411bの位置関係により、差込片21が第1位置P1と第2位置P2とのいずれにあるかによって、第1刃受片411は、第1小片411a及び第2小片411bのいずれかによって、差込片21に接触する。すなわち、本実施形態では、上述したように、第1位置P1及び第2位置P2は、回転中心R1を中心とする反時計回りに、第1位置P1、第2位置P2の順で並ぶように配置されている。そのため、差込口301に差し込まれた差込片21は、第1位置P1においては、第1刃受片411のうちの第1小片411aと、第2刃受片412とに挟まれることになる。一方、差込口301に差し込まれた差込片21は、第2位置P2においては、第1刃受片411のうちの第2小片411bと、第2刃受片412とに挟まれることになる。
【0046】
また、第1刃受片411及び第2刃受片412は、少なくともその差込口301側の端部が、差込口301に近づくほど、互いに離れるように傾斜している。言い換えれば、第1刃受片411及び第2刃受片412における差込口301側の端部は、差込口301から離れるほど、互いに近づくように傾斜している。このような形状により、差込口301からボディ3内に差し込まれた差込片21は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に案内されやすくなる。
【0047】
接地部材42は、接地口302に対応する位置に配置されている。よって、接地部材42は、対応する接地口302に差し込まれた接地ピン22に電気的に接続される。接地部材42は、基本的に導電部材41と類似の構成である。
【0048】
接地部材42は、導電性及び弾性を有する金属板、例えば、銅又は銅合金等の金属板にて構成されている。接地部材42は、接地ピン22を機械的に保持し、かつ接地ピン22と電気的に接続される。接地部材42は、互いに対向する第1ばね片421及び第2ばね片422を有している。接地部材42は、第1ばね片421と第2ばね片422との間に接地ピン22を挟んだ状態で接地ピン22と電気的に接続されるように構成されている。
【0049】
第1ばね片421及び第2ばね片422は、図5Aに示すように、隙間を介して互いに対向するように配置されている。第1ばね片421及び第2ばね片422は、接地口302の幅方向において互いに対向する。接地部材42は、第1ばね片421と第2ばね片422とを連結する連結片423(図4参照)を、更に有している。連結片423は、第1ばね片421及び第2ばね片422のうち、前後方向において接地口302とは反対側の端部同士を連結する。
【0050】
接地部材42は、ボディ3に収容された状態では、第1ばね片421及び第2ばね片422のうち第1ばね片421が回転中心R1側に位置する。言い換えれば、正面視において、第2ばね片422から見て回転中心R1側に、第2ばね片422との間に隙間を形成するように第1ばね片421が配置されている。これにより、第1ばね片421と第2ばね片422との間に接地ピン22が差し込まれた状態では、接地ピン22に対して、回転中心R1側から第1ばね片421が接触し、回転中心R1とは反対側から第2ばね片422が接触する。また、第1ばね片421及び第2ばね片422の各々は、正面視において、回転中心R1とは反対側に凸となるように、湾曲又は屈曲した形状に形成されている。本実施形態では一例として、第1ばね片421及び第2ばね片422は、正面視において、いずれも回転中心R1を中心とする円弧状に湾曲している。
【0051】
また、第1ばね片421及び第2ばね片422は、少なくともその接地口302側の端部が、接地口302に近づくほど、互いに離れるように傾斜している。言い換えれば、第1ばね片421及び第2ばね片422における接地口302側の端部は、接地口302から離れるほど、互いに近づくように傾斜している。このような形状により、接地口302からボディ3内に差し込まれた接地ピン22は、第1ばね片421と第2ばね片422との間に案内されやすくなる。
【0052】
保持構造5は、本実施形態では、一対の導電部材41と一体に構成されている。ここでは、図5A及び図5Bに示すように、保持構造5は、一対の導電部材41の各々に形成された突起51を含んでいる。保持構造5は、突起51が一対の差込片21の各々に引っ掛かることで、一対の差込片21を保持する。
【0053】
要するに、本実施形態では、保持構造5は、一対の導電部材41の各々に一体に形成された突起51を含んでいる。この突起51は、差込口301に差し込まれた差込片21の引掛孔211に嵌るような位置及び形状に形成されている。そして、差込片21の引掛孔211に突起51が嵌ることで、保持構造5は、突起51を差込片21における引掛孔211の周縁に引っ掛けるようにして、差込口301に差し込まれた状態の差込片21を保持する。
【0054】
具体的には、突起51は、ドーム状に形成されている。突起51は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に位置するように、第1刃受片411及び第2刃受片412の少なくとも一方に形成されている。本実施形態では、第1刃受片411及び第2刃受片412のうち、第1刃受片411にのみ、突起51が形成されている。さらに、本実施形態では、第1刃受片411を構成する第1小片411a及び第2小片411bの各々に、突起51が形成されている。つまり、突起51は、第1小片411a及び第2小片411bの各々における、第2刃受片412との対向面に形成されている。
【0055】
これにより、第1刃受片411のうちの第1小片411aと、第2刃受片412との間に、差込片21が差し込まれた場合には、この差込片21の引掛孔211に、第1小片411aの突起51が嵌って、差込片21が保持されることになる。また、第1刃受片411のうちの第2小片411bと、第2刃受片412との間に、差込片21が差し込まれた場合には、この差込片21の引掛孔211に、第2小片411bの突起51が嵌って、差込片21が保持されることになる。
【0056】
ところで、本実施形態では、上述したように、第2位置P2は、第1位置P1よりも保持構造5による一対の差込片21の保持力が低い位置である。第1位置P1と第2位置P2との間の保持構造5による保持力の差は、以下の構成により実現される。
【0057】
すなわち、本実施形態では、一対の差込片21に対する突起51の引っ掛かり量は、第2位置P2より第1位置P1で大きくなるように、保持構造5が構成されている。本実施形態では、上述したように、第1小片411a及び第2小片411bの各々における第2刃受片412との対向面に、突起51が形成されている。そのため、第1小片411a及び第2小片411bの各々における第2刃受片412との対向面からの突起51の突出量L1,L2(図5B参照)が、差込片21に対する突起51の引っ掛かり量に相当する。そこで、図5Bに示すように、第1小片411aに形成された突起51の突出量L1は、第2小片411bに形成された突起51の突出量L2よりも大きくなるように、各突起51が構成されている。これにより、差込片21が第1位置P1にあるときに差込片21に引っ掛かる突起51の突出量L1は、差込片21が第2位置P2にあるときに差込片21に引っ掛かる突起51の突出量L2よりも大きくなる。その結果、差込片21に対する突起51の引っ掛かり量は、第2位置P2より第1位置P1で大きくなる。
【0058】
ここにおいて、第1小片411aに設けられた突起51の大きさ、特に、第1小片411aにおける第2刃受片412との対向面からの突起51の突出量L1は、差込片21の抜け止めが実現される程度に設定されている。すなわち、第1小片411aに形成された突起51が差込片21の引掛孔211に嵌っている状態では、差込片21は、差込口301からの抜け止めが実現される程度の保持力で、保持構造5にて保持されることになる。一方、第2小片411bに設けられた突起51の大きさ、特に、第2小片411bにおける第2刃受片412との対向面からの突起51の突出量L2は、差込片21が抜け止めされない程度に設定されている。すなわち、第2小片411bに形成された突起51が差込片21の引掛孔211に嵌っている状態では、差込片21は、差込口301からの抜け止めがされない程度の保持力で、保持構造5にて保持されることになる。
【0059】
本開示でいう「抜け止め」は、例えば、電気機器の使用中にプラグ2がコンセント装置1から抜けないように、コンセント装置1からのプラグ2の抜去が防止されている状態を意味する。ただし、「抜け止め」がされている状態であっても、過度な力でプラグ2が引っ張られると、プラグ2がコンセント装置1から抜けることはある。
【0060】
(2.4)寸法関係
次に、差込口301の寸法について、図3Aを参照して、より詳細に説明する。図3Aでは、ボディ3に収容されている一対の導電部材41、接地部材42及び保持構造5の図示を省略している。
【0061】
一対の差込口301の各々は、上述したように、回転中心R1を中心とする円C1に沿って延びた形状、つまり、回転中心R1を中心とする円弧状に形成されている。円C1は、仮想円であって実体を伴わない。
【0062】
ここにおいて、一対の差込口301の各々は、一対の差込片21の回転中心R1から見て85度以上95度以下となる長さを有する。つまり、差込口301は、回転中心R1を中心とする円C1に沿って延びた形状であるので、回転中心R1を中心とする円C1(の円周)に沿って「長さ」を有している。そして、差込口301は、回転中心R1から見たときに、ある角度θ1を持つように、その「長さ」が決められている。この角度θ1が、85度以上95度以下(90±5度)である。言い換えれば、円C1の円周方向における差込口301の両端は、回転中心R1から見たときに、角度θ1の開きを持つことになる。本実施形態では一例として、一対の差込口301のいずれにおいても、角度θ1は90度である。
【0063】
また、一対の差込口301の各々の幅W1は、2.2mm以上3.5mm以下である。つまり、差込口301は、回転中心R1を中心とする円C1に沿って延びた形状であるので、その内側(回転中心R1側)に位置する内周縁と、外側(回転中心R1とは反対側)に位置する外周縁との間隔が、差込口301の幅W1となる。ここでは、一対の差込口301の内周縁の直径D1は、10mm以上11mm以下(10.5±0.5mm)であって、一対の差込口301の外周縁の直径D2は、15.4mm以上17.0mm以下(16.2±0.8mm)である。そのため、差込口301の幅W1の最小値は、直径D1の最大値(11mm)と、直径D2の最小値(15.4mm)との差分(4.4mm)の2分の1であって、「2.2mm」となる。また、差込口301の幅W1の最大値は、直径D1の最小値(10mm)と、直径D2の最大値(17mm)との差分(7mm)の2分の1であって、「3.5mm」となる。本実施形態では一例として、内周縁の直径D1は10.5mm、外周縁の直径D2は16.2mmであって、一対の差込口301のいずれにおいても、幅W1は2.85mmである。
【0064】
本実施形態に係るコンセント装置1は、一対の差込口301として上述したような寸法を採用することで、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards)及び「経済産業省令(電気用品の技術上の基準を定める省令)」の「別表第四 配線器具」等で定める規格に適合可能である。
【0065】
(3)使用方法
以下、本実施形態に係るコンセント装置1及び給電装置10の使用方法について、図6A及び図6Bを参照して、詳しく説明する。以下では、ユーザU1がプラグ2をコンセント装置1に接続する「接続作業」と、ユーザU1がプラグ2をコンセント装置1から抜去する「抜去作業」とに分けて、コンセント装置1の使用方法を説明する。図6A及び図6Bでは、ユーザU1の手を想像線(二点鎖線)で示している。
【0066】
まず、接続作業においては、ユーザU1は、図6Aに示すように、一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301に差し込まれるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。このとき、一対の差込口301の第1位置P1(図1参照)に一対の差込片21が差し込まれるように、ユーザU1は、接続面311の法線に沿って、プラグ2を真っ直ぐ移動させることが好ましい。
【0067】
そして、差込口301からボディ3内に差し込まれた差込片21は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に案内される。このとき、導電部材41は、その弾性(ばね性)により、差込片21が第1刃受片411と第2刃受片412との間に進入するにつれて、第1刃受片411と第2刃受片412との隙間を広げるように弾性変形する。これにより、導電部材41は、第1刃受片411と第2刃受片412との間に差込片21を挟んだ状態で、差込片21を機械的に保持し、かつ差込片21と電気的に接続される。
【0068】
また、接地口302からボディ3内に差し込まれた接地ピン22は、第1ばね片421と第2ばね片422との間に案内される。このとき、接地部材42は、その弾性(ばね性)により、接地ピン22が第1ばね片421と第2ばね片422との間に進入するにつれて、第1ばね片421と第2ばね片422との隙間を広げるように弾性変形する。これにより、接地部材42は、第1ばね片421と第2ばね片422との間に接地ピン22を挟んだ状態で、接地ピン22を機械的に保持し、かつ接地ピン22と電気的に接続される。
【0069】
さらに、図6Aに示すように、差込口301の第1位置P1に差し込まれた差込片21は、保持構造5により、抜け止めがなされる。つまり、図6Aに示す状態では、差込口301に差し込まれた差込片21は、第1位置P1において、第1刃受片411のうちの第1小片411aと、第2刃受片412とに挟まれる。このとき、第1小片411aに形成された突起51が、差込片21の引掛孔211に嵌ることで、差込片21は、差込口301からの抜け止めが実現される程度の保持力で、保持構造5にて保持される。ここで、第1小片411aに形成された突起51が引掛孔211に嵌ることにより、ユーザU1に対して、クリック感(節度感)を与えることが可能となる。
【0070】
以上説明したような接続作業により、プラグ2は、コンセント装置1に接続され、一対の差込片21及び接地ピン22が、それぞれ一対の導電部材41及び接地部材42に電気的に接続される。
【0071】
一方、抜去作業においては、ユーザU1は、図6Bに示すように、一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301内で回転するように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。このとき、一対の差込口301内において第1位置P1から第2位置P2(図1参照)に一対の差込片21が移動するように、ユーザU1は、回転中心R1(図1参照)を中心にプラグ2を回転させる。
【0072】
ここで、本実施形態では、ボディ3を一対の差込口301側から見て、プラグ2が反時計回りに回転することで、一対の差込片21は、第1位置P1から第2位置P2に移動する。すなわち、第1位置P1及び第2位置P2は、上述したように、正面視において、回転中心R1を中心とする反時計回りに、第1位置P1、第2位置P2の順で並ぶように配置されている。そのため、ユーザU1は、図6Bに示すように、正面視において、プラグ2を反時計回りに回転させることによって、差込片21が第1位置P1から第2位置P2に移動する。
【0073】
また、一対の差込片21は、一対の差込片21の差込方向における同一位置において、第1位置P1から第2位置P2まで回転する。言い換えれば、本実施形態では、一対の差込片21が第1位置P1から第2位置P2まで回転する間に、接続面311に直交する方向(一対の差込片21の差込方向)においては、一対の差込片21の位置は変化しない。そのため、プラグ2は、プラグボディ23の先端面を接続面311に接触させたままの状態で、一対の差込片21を第1位置P1から第2位置P2まで回転させることができる。よって、差込片21が差込口301に差し込まれたまま、つまり差込片21を差込口301から抜くことなく、差込片21は第1位置P1から第2位置P2に移動可能である。
【0074】
また、接地口302からボディ3内に差し込まれた接地ピン22についても、一対の差込片21と同様に、ボディ3を一対の差込口301側から見て反時計回りに回転する。このとき、接地ピン22が接地口302に差し込まれたまま、つまり接地ピン22を接地口302から抜くことなく、接地ピン22は移動(回転)可能である。
【0075】
そして、第1位置P1から第2位置P2に移動した差込片21は、保持構造5による抜け止めが解除される。つまり、図6Bに示す状態では、差込口301に差し込まれた差込片21は、第2位置P2において、第1刃受片411のうちの第2小片411bと、第2刃受片412とに挟まれる。このとき、第2小片411bに形成された突起51が、差込片21の引掛孔211に嵌ることで、差込片21は、差込口301からの抜け止めがされない程度の保持力で、保持構造5にて保持される。ここで、第2小片411bに形成された突起51が引掛孔211に嵌ることにより、ユーザU1に対して、クリック感(節度感)を与えることが可能となる。
【0076】
このように、図6Aに示すように一対の差込片21が第1位置P1にある状態から、図6Bに示すように一対の差込片21が第2位置P2にある状態に移行することで、保持構造5による一対の差込片21の保持力は低下する。保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下した図6Bの状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301から抜けるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。つまり、一対の差込片21は第2位置P2にある状態で、一対の差込口301から抜去される。また、本実施形態では、接地口302からボディ3内に差し込まれた接地ピン22についても、一対の差込片21と同様に、図6Bの状態において、接地口302から抜去される。このとき、ユーザU1は、接続面311の法線に沿って、プラグ2を真っ直ぐ移動させることが好ましい。
【0077】
以上説明したような抜去作業により、プラグ2は、コンセント装置1から抜去され、一対の差込片21及び接地ピン22は、それぞれ一対の導電部材41及び接地部材42との電気的な接続が解除される。
【0078】
要するに、本実施形態に係るコンセント装置1は、一対の差込片21を有するプラグ2を接続可能なコンセント装置1である。このコンセント装置1は、一対の差込片21が一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることにより、プラグ2が電気的に接続される(接続作業、図6A参照)。また、このコンセント装置1では、一対の差込口301に差し込まれた状態の一対の差込片21は第1位置P1から第2位置P2まで回転可能である。そして、一対の差込口301の第2位置P2にて一対の差込片21が一対の差込口301から抜かれる(抜去作業、図6B参照)。
【0079】
このように、本実施形態に係るコンセント装置1によれば、接続作業においては、一対の差込片21を第1位置P1にて一対の差込口301に差し込むだけで、コンセント装置1とプラグ2との接続を実現することが可能である。一方、抜去作業においては、プラグ2を回転させて一対の差込片21を第1位置P1から第2位置P2に移動させ、一対の差込片21を第2位置P2にて一対の差込口301から抜去することが可能である。これにより、保持構造5による一対の差込片21の保持力を低下させた状態で一対の差込片21を一対の差込口301から抜去することができるため、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。
【0080】
例えば、テーブルタップ等の給電装置10において、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力が大きいと、一般的に、ユーザU1は、一方の手でプラグ2を抜去しつつ、他方の手でハウジング11を押さえておく必要がある。これに対して、本実施形態に係るコンセント装置1の構成では、コンセント装置1からプラグ2を抜去する際に要する力が小さいため、ユーザU1は、ハウジング11を押さえておかなくても、一方の手でプラグ2を抜去することが可能となる。結果的に、一例として、テーブルタップ等の給電装置10からプラグ2を抜去する場合、ユーザU1は片手でもプラグ2を抜去することが可能となって、より簡単な作業でプラグ2を抜去できる。
【0081】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0082】
(4.1)第1変形例
突起51は、一対の導電部材41の各々において第1位置P1に対応する部位と第2位置P2に対応する部位のうち、少なくとも第1位置P1に対応する位置に配置されていればよい。つまり、実施形態1の第1変形例として、突起51は、一対の導電部材41の各々において第1位置P1に対応する部位と第2位置P2に対応する部位のうち、第1位置P1に対応する部位にのみ配置されていてもよい。具体的には、第1変形例では、第2小片411bの突起51が省略され、第1小片411a及び第2小片411bのうち、第1小片411aにのみ、突起51が形成される。
【0083】
要するに、本変形例では、突起51は、第1小片411aにおける第2刃受片412との対向面にのみ形成されている。第2小片411bに突起51が無いことは、第2小片411bの突起51の突出量がゼロ(0)であることと同義である。この場合であっても、一対の差込片21に対する突起51の引っ掛かり量は、第2位置P2より第1位置P1で大きくなる。そのため、第2位置P2は、第1位置P1よりも保持構造5による一対の差込片21の保持力が低い位置となる。特に、本変形例の構成によれば、第2位置P2においては、保持構造5による保持力は差込片21に作用しないので、差込片21の抜去がより小さな力で可能となる。
【0084】
(4.2)第2変形例
実施形態1の第2変形例に係るコンセント装置1Aは、図7Aに示すように、導電部材41Aの構成が第1変形例に係るコンセント装置1と相違する。図7Aは、差込口301の周辺を拡大した概略図であって、テーパ面312の図示を省略している。
【0085】
本変形例に係るコンセント装置1Aでは、一対の差込片21の少なくとも一方が、第2位置P2では一対の導電部材41Aのいずれからも電気的に切り離される。具体的には、コンセント装置1Aは、図7Aに示すように、導電部材41Aを構成する第1刃受片411及び第2刃受片412の間隔が、第1位置P1よりも第2位置P2において大きくなるように構成されている。つまり、導電部材41Aは、第1小片411aよりも第2小片411bの方が、第2刃受片412との間隔が大きくなるように構成されている。そして、第2位置P2においては、第1刃受片411及び第2刃受片412の間隔は、差込片21の厚みよりも大きく設定されている。これにより、差込片21が差込口301内において、第1位置P1から第2位置P2に移動するのに伴って、差込片21は導電部材41Aから電気的に切り離されることになる。
【0086】
ここで、導電部材41Aを構成する第1刃受片411及び第2刃受片412の間隔は、第1位置P1から第2位置P2に向けて、連続的に徐々に大きくなってもよいし、非連続的に大きくなってもよい。後者の場合、例えば、差込片21と導電部材41Aとが中途半端に接触することにより接触抵抗が比較的大きな状態でプラグ2に通電されることを抑制できる。
【0087】
このように第2位置P2において導電部材41Aから電気的に切り離される構成は、一対の導電部材41Aのうちの少なくとも一方について適用されればよい。これにより、一対の差込片21の少なくとも一方は、第2位置P2では一対の導電部材41Aのいずれからも電気的に切り離されることになる。一例としては、一対の導電部材41Aの両方について、図7Aに示す構成が適用される。
【0088】
(4.3)第3変形例
実施形態1の第3変形例に係るコンセント装置1Bは、図7Bに示すように、導電部材41Bの構成が第2変形例に係るコンセント装置1Aと相違する。図7Bは、差込口301の周辺を拡大した概略図であって、テーパ面312の図示を省略している。
【0089】
本変形例に係るコンセント装置1Bでは、一対の差込片21の少なくとも一方は、第2位置P2では一対の導電部材41Bのいずれにも対向しない。具体的には、コンセント装置1Bは、図7Bに示すように、導電部材41Bは、第1小片411a及び第2小片411bのうち第2小片411bが省略されている。さらに、第2刃受片412についても、第2小片411bと対向する部位が省略され、第1小片411aとの対向部位のみとされている。そのため、第2位置P2にある差込片21の厚み方向の両側には、少なくとも導電部材41Bは露出していない。これにより、差込片21が差込口301内において、第1位置P1から第2位置P2に移動するのに伴って、差込片21は、非連続的に、導電部材41Bから電気的に切り離されることになる。
【0090】
すなわち、第1位置P1では差込片21を導電部材41Bが挟んでいるのに対して、差込片21が第2位置P2に移動することで差込片21の厚み方向の両側に、導電部材41Bが露出しなくなる。そのため、差込片21が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中のある位置において、差込片21は、導電部材41から完全に切り離されることになる。
【0091】
このように第2位置P2において導電部材41Bから電気的に切り離される構成は、一対の導電部材41Bのうちの少なくとも一方について適用されればよい。これにより、一対の差込片21の少なくとも一方は、第2位置P2では一対の導電部材41Bのいずれからも電気的に切り離されることになる。一例としては、一対の導電部材41Bの両方について、図7Bに示す構成が適用される。
【0092】
また、本変形例では、導電部材41Bは、第1小片411a及び第2小片411bのうち第2小片411bが省略されているが、この例に限らず、例えば、第2小片411bが電気的な絶縁性を有する絶縁部材で覆われていてもよい。この場合でも、一対の差込片21の少なくとも一方は、第2位置P2では、絶縁部材と対向することになり、一対の導電部材41Bのいずれにも対向しない。
【0093】
(4.4)第4変形例
実施形態1の第4変形例に係るコンセント装置1Cは、図8A及び図8Bに示すように、ガイド部341を更に備える点で、実施形態1に係るコンセント装置1と相違する。図8Bは、図8AのA1-A1線断面を模式的に表す概略図である。
【0094】
ガイド部341は、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21を第1位置P1に案内する。すなわち、差込口301に差込片21が差し込まれるときに、差込片21を第2位置P2ではなく第1位置P1に導くように、ガイド部341が機能する。
【0095】
一例として、本変形例では、ガイド部341は、一対の扉体34に形成されている。一対の扉体34は、ボディ3に収容されている。一対の扉体34は、一対の差込口301から見て一対の導電部材41を覆う閉位置と、一対の差込口301から見て一対の導電部材41を露出させる開位置との間で移動する。扉体34は、差込口301に一対一に対応して設けられている。
【0096】
同様に、接地口302に対応する接地扉体35が設けられている。接地扉体35は、扉体34と同様に、接地口302から見て接地部材42を覆う閉位置と、接地口302から見て接地部材42を露出させる開位置との間で移動する。
【0097】
扉体34及び接地扉体35は、それぞれ接続面311に沿って閉位置と開位置との間を往復移動する。ここで、扉体34及び接地扉体35の各々は、板ばね等の弾性部材を含んでいる。弾性部材は、扉体34(又は接地扉体35)を開位置から閉位置に向けて押すように、扉体34(又は接地扉体35)に対して弾性力を作用させる。これにより、コンセント装置1Cにプラグ2が接続されていない状態では、扉体34及び接地扉体35により、それぞれ導電部材41及び接地部材42が覆われる。そして、コンセント装置1Cにプラグ2を接続する際には、差込片21及び接地ピン22にて扉体34及び接地扉体35がそれぞれ開位置に移動させられる。
【0098】
ガイド部341は、図8Bに示すように、このような扉体34における導電部材41とは反対側の面(前面)に形成された傾斜面である。ガイド部341としての傾斜面は、扉体34が閉位置にある状態での差込口301の深さが、第2位置P2よりも第1位置P1において深くなるように、接続面311に対して傾斜している。これにより、差込口301に差込片21が差し込まれる際に、扉体34の前面(ガイド部341)に接触した差込片21は、差込口301に更に差し込まれるに従って、ガイド部341により第1位置P1側に案内される。
【0099】
よって、本変形例に係るコンセント装置1Cでは、プラグ2を接続する際に、差込片21が第1位置P1に差し込まれやすくなり、第2位置P2に差込片21が差し込まれた状態で電気機器が使用されることを抑制できる。
【0100】
ただし、ガイド部341は扉体34に形成される構成に限らず、例えば、ボディ3におけるテーパ面312にガイド部341が形成されていてもよい。
【0101】
(4.5)その他の変形例
保持構造5は、第1位置P1に差込片21が位置する状態において、差込口301からの抜け止めが実現される程度の保持力で差込片21を保持することは必須でなく、第1位置P1での保持構造5による保持力は、より小さくてもよい。この場合、第1位置P1に差込片21を差し込む接続作業が、より簡単になる。
【0102】
また、保持構造5は、突起51が一対の差込片21の各々に引っ掛かることで、一対の差込片21を保持する構成に限らない。例えば、保持構造5は、ローレット形状等により差込片21との摩擦力を向上させて差込片21を保持する構造、又は導電部材41自体のばね力により差込片21を保持する構造であってもよい。さらに、保持構造5は、例えば、導電部材41とは別に設けられた弾性体により差込片21を保持してもよいし、磁力又は粘着力等により差込片21を保持してもよい。
【0103】
また、コンセント装置1は、屋内用に限らず、建物の外部で使用される屋外用の装置であってもよい。また、コンセント装置1は、接地極付きに限らず、接地極無しであってもよいし、例えば、交流200V用又は直流用のコンセント(Outlet)であってもよい。さらに、コンセント装置1は、差込片21が栓刃であるAタイプのプラグ2に限らず、例えば、差込片21がピンであるBタイプ又はCタイプのプラグ2用であってもよい。コンセント装置1は、1個口タイプのコンセントに限らず、例えば、2個のプラグ2を同時に接続可能な2個口タイプのコンセントであってもよいし、3個口タイプのコンセントであってもよい。さらに、コンセント装置1が接地極付きである場合に、コンセント装置1に接続されるプラグ2は、接地極無しのプラグであってもよい。
【0104】
また、コンセント装置1からプラグ2へ電力が供給されることは、コンセント装置1に必須の構成ではなく、プラグ2からコンセント装置1に電力が供給されてもよい。例えば、発電装置のプラグ2がコンセント装置1に接続される場合には、発電装置のプラグ2からコンセント装置1に電力が供給されることになる。
【0105】
また、コンセント装置1に接続されるプラグ2は、電気機器のケーブルの先端部に設けられるプラグに限らず、例えば、充電器等の、筐体とプラグとが一体化された電気機器のプラグであってもよい。
【0106】
また、コンセント装置1は、例えば、一対の導電部材41の通電状態/非通電状態を切り替えるスイッチ、及び、過電流若しくは漏電電流等の異常電流又は過熱等を検知して一対の導電部材41への通電を遮断する保護回路を、更に備えていてもよい。スイッチ及び保護回路は給電装置10に設けられていてもよく、この場合、スイッチ及び保護回路は、複数のコンセント装置1に対して1つだけ設けられていてもよいし、複数のコンセント装置1の各々に対して1つずつ設けられていてもよい。
【0107】
また、給電装置10は、複数のコンセント装置1と、ハウジング11と、を備えていればよく、ケーブル12を備えることは必須ではない。給電装置10は、例えば、吊下型の給電装置、据置型の給電装置、床埋込型の給電装置、又は机等の什器に組み込まれた給電装置であってもよい。さらに、給電装置10において、複数のコンセント装置1がハウジング11の前面111から露出することは必須ではなく、例えば、ハウジング11の側面、又は長手方向の端面等から、複数のコンセント装置1のうちの少なくとも1つが露出してもよい。
【0108】
また、実施形態1では、プラグ2の一対の差込片21は、第1位置P1と第2位置P2との間で双方向に回転可能であるが、この構成に限らず、一対の差込片21は、少なくとも第1位置P1から第2位置P2まで回転可能であればよい。つまり、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1の一対の差込口301に差し込まれた状態で、一の向き(実施形態1の例では反時計回り)にのみ、回転可能であってもよい。言い換えれば、コンセント装置1は、一対の差込片21が第2位置P2から第1位置P1に移動する向き(実施形態1の例では反時計回り)のプラグ2の回転を規制する回転規制構造を有していてもよい。この場合であっても、コンセント装置1は、一対の差込片21が一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることにより、プラグ2を電気的に接続可能である。さらに、このコンセント装置1では、一対の差込口301に差し込まれた状態の一対の差込片21を第1位置P1から第2位置P2まで回転させることで、一対の差込口301の第2位置P2にて一対の差込片21を一対の差込口301から抜去可能である。
【0109】
また、ボディ3を一対の差込口301側から見て、プラグ2が時計回りに回転することで、一対の差込片21が、第1位置P1から第2位置P2に移動してもよい。
【0110】
(実施形態2)
本実施形態に係るコンセント装置1Dは、図9A及び図9Bに示すように、回転体6を更に備える点で実施形態1に係るコンセント装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では一例として、接地極無しのコンセント装置1Dを想定する。そのため、コンセント装置1Dのボディ3から接地口302は省略されている。
【0111】
回転体6は、ボディ3における一対の差込口301が形成された接続面311の少なくとも一部を覆う。回転体6は、ボディ3に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように、ボディ3に対して回転可能である。ここで、回転体6は、一対の貫通孔61を有している。上記「複数の状態」は、一対の貫通孔61が第1位置P1に重なる第1状態(図10A参照)と、一対の貫通孔61が第2位置P2に重なる第2状態(図10B参照)と、を含む。
【0112】
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1Dにおいては、ボディ3の前面である接続面311の手前に、接続面311の少なくとも一部を覆う回転体6が配置されている。回転体6に形成された一対の貫通孔61は、一対の差込片21を差込可能に構成されている。そして、回転体6は、これら一対の貫通孔61が、第1位置P1に重なる第1状態(図10A参照)と、第2位置P2に重なる第2状態(図10B参照)と、を含む複数の状態を切り替えるように、ボディ3に対して相対的に回転可能である。
【0113】
本実施形態では、回転体6は、樹脂製であって、円盤状に形成されている。回転体6は、ボディ3に対して回転可能な状態で支持されている。ここでは一例として、図9Bに示すように、ボディ3は、接続面311における回転中心R1上に円柱状の軸体62を有している。回転体6は、軸体62が嵌り込むことによって、ボディ3に対して回転中心R1を中心に回転可能となるように、ボディ3に支持される。一対の貫通孔61の各々は、回転体6を厚み方向に貫通する。また、貫通孔61の開口面は、差込片21の断面よりも一回り大きい、長方形状に形成されている。貫通孔61の開口面積は、差込口301の開口面積よりも小さい。
【0114】
また、図9Bに示すように、軸体62には、ばね63が装着されている。ばね63は、回転体6を初期状態に維持するような弾性力を回転体6に作用させる。本実施形態では、一例として、初期状態は「第1状態」である。そのため、ばね63は、回転体6を初期状態としての第1状態に維持するような弾性力を、回転体6に作用させる。
【0115】
以下、本実施形態に係るコンセント装置1Dの使用方法について、図10A及び図10Bを参照して説明する。
【0116】
まず、コンセント装置1Dにプラグ2が接続されていない状態では、回転体6は、図10Aに示すように、ばね63により初期状態としての第1状態に保持されている。つまり、この初期状態(第1状態)では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第1位置P1に重なる位置にある。言い換えれば、一対の差込口301の第1位置P1は、回転体6の一対の貫通孔61を通して露出する。
【0117】
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1Dの一対の差込口301に差し込まれるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。このとき、プラグ2の一対の差込片21は、回転体6の一対の貫通孔61を貫通して、一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることになる。差込口301の第1位置P1に差し込まれた差込片21は、保持構造5により、抜け止めがなされ、かつ導電部材41と電気的に接続される。
【0118】
一方、プラグ2をコンセント装置1Dから抜去する際には、ユーザU1は、一対の差込口301内において第1位置P1から第2位置P2に一対の差込片21が移動するように、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させる。ここで、一対の差込片21は、回転体6の一対の貫通孔61を貫通しているので、一対の差込片21の回転に伴って、回転体6がボディ3に対して反時計回りに回転する。
【0119】
そして、一対の差込片21が第2位置P2に移動すると、回転体6は、図10Bに示すように、ばね63の弾性力に抗して、ボディ3との位置関係が第2状態に切り替わる。つまり、この第2状態では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第2位置P2に重なる位置にある。言い換えれば、一対の差込口301の第2位置P2は、回転体6の一対の貫通孔61を通して露出する。
【0120】
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1Dの一対の差込口301から抜けるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。このとき、一対の差込片21は第2位置P2にある状態で、一対の差込口301から抜去される。そのため、一対の差込片21が第1位置P1にある状態(第1状態)に比べて、保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下した状態で、一対の差込片21が一対の差込口301から抜去される。
【0121】
これにより、回転体6の一対の貫通孔61からも一対の差込片21が抜去されるので、回転体6は、ばね63のばね力によって、時計回りに回転し初期位置である第1状態(図10A参照)に戻る。
【0122】
以上説明した本実施形態に係るコンセント装置1Dによれば、コンセント装置1Dに接続された状態のプラグ2の回転時に、プラグ2は、回転体6と一緒に回転することになるので、一対の差込片21の回転軌道が安定しやすくなる。つまり、回転体6はボディ3に対して回転中心R1を中心に回転可能となるように、ボディ3に支持されているので、回転体6と一緒に回転するプラグ2の一対の差込片21についても、回転中心R1を中心に回転しやすくなる。その結果、ユーザU1がプラグ2を回転させる操作が比較的簡単になる。さらに、一対の差込片21が導電部材41に引っ掛かることにより導電部材41が変形する等の不具合も生じにくくなる。
【0123】
また、本実施形態に係るコンセント装置1Dによれば、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21が差し込まれる位置を制限しやすくなる。つまり、上述したように回転体6の初期状態が第1状態であれば、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21は第1位置P1に案内されることになる。すなわち、差込口301に差込片21が差し込まれるときに、差込片21を第2位置P2ではなく第1位置P1に導くように、回転体6が機能する。
【0124】
また、ばね63の弾性力は、回転体6を介して一対の差込片21にも作用するので、一対の差込片21が第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。つまり、ばね63は、回転体6に弾性力を作用させるので、回転体6と一緒に回転するプラグ2の一対の差込片21についても、回転体6の初期状態に対応する位置(ここでは第1位置P1)に向けて弾性力を作用させる。これにより、一対の差込片21は、第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。
【0125】
図11A及び図11Bは、実施形態2の変形例に係るコンセント装置1Iを示す概略図である。コンセント装置1Iでは、ボディ3の接続面311に、一対の差込口301を含む1つの開口孔310が形成されている。開口孔310は、ボディ3(第1ボディ31)の前壁を、その厚み方向(前後方向)に貫通する貫通孔であって、正面視において、回転体6よりも一回り小さい円形状に形成されている。言い換えれば、ボディ3の接続面311に形成された1つの開口孔310内に、一対の差込口301が設けられている。本変形例では、一対の差込口301は1つの開口孔310内に設けられるため、一対の差込口301の内側と外側とを仕切る構造(内周面)は存在せず、開口孔310のうちで一対の差込片21が差し込まれる領域が一対の差込口301として機能する。
【0126】
本変形例においては、回転体6をボディ3の前壁の一部とみなすこともできる。そうすると、回転体6に形成された一対の貫通孔61は、一対の差込片21を差込可能な一対の差込口301に相当する。そのため、本変形例に係るコンセント装置1Iでは、回転体6が回転することで、一対の差込口301に相当する一対の貫通孔61自体が回転することになる。
【0127】
よって、本変形例に係るコンセント装置1Iでは、図11Aに示すように、回転体6が初期状態としての第1状態に保持されているときに、一対の差込口301に相当する回転体6の一対の貫通孔61は、第1位置P1に重なる位置にある。この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1Iの一対の差込口301に相当する一対の貫通孔61に差し込まれるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。
【0128】
一方、プラグ2をコンセント装置1Iから抜去する際には、ユーザU1は、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させる。このとき、回転体6は、図11Bに示すように、ボディ3との位置関係が第2状態に切り替わるため、一対の差込口301に相当する回転体6の一対の貫通孔61は、第2位置P2に重なる位置に移動する。この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1Iの一対の差込口301に相当する一対の貫通孔61から抜けるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。
【0129】
図12A図12Cは、実施形態2の他の変形例に係るコンセント装置1Eを示す概略図である。コンセント装置1Eでは、上記「複数の状態」は、一対の差込口301を回転体6で覆う第3状態(図12A参照)を更に含む。つまり、回転体6は、ボディ3に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように、ボディ3に対して回転可能であるが、本変形例では、この「複数の状態」が、第1状態(図12B参照)、第2状態(図12C参照)、及び第3状態の3つの状態を含んでいる。
【0130】
第3状態は、図12Aに示すように、一対の差込口301を回転体6で覆う位置である。回転体6には、一対の貫通孔61が形成されているので、第3状態にあっては、回転体6における一対の貫通孔61以外の部位で、一対の差込口301を覆うことになる。言い換えれば、第3状態は、一対の貫通孔61が一対の差込口301に重ならない状態である。
【0131】
本変形例では、一例として、初期状態は「第3状態」である。そのため、ばね63は、回転体6を初期状態としての第3状態に維持するような弾性力を、回転体6に作用させる。そのため、コンセント装置1Eにプラグ2が接続されていない状態では、回転体6は、図12Aに示すように、ばね63により初期状態としての第3状態に保持されている。つまり、この初期状態(第3状態)では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301に重ならない位置にある。
【0132】
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21が一対の貫通孔61に差し込み、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させることで、一対の差込片21の回転に伴って、回転体6をボディ3に対して反時計回りに回転させる。そして、回転体6は、図12Bに示すように、ばね63の弾性力に抗して、ボディ3との位置関係が第1状態に切り替わる。つまり、この第1状態では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第1位置P1に重なる位置にある。それ以降は、実施形態2のコンセント装置1Dと同様に、第1状態(図12B参照)においてプラグ2が接続され、第2状態(図12C参照)においてプラグ2が抜去される。
【0133】
本変形例によれば、回転体6が第3状態にあれば、回転体6によって一対の差込口301が覆われるので、一対の差込口301からボディ3内に塵埃等の異物が入ることを抑制できる。
【0134】
実施形態2の更に他の変形例として、回転体6は、接続面311の法線に沿って移動可能であって、後方(接続面311側)に押し込まれた状態でのみ回転可能であってもよい。言い換えれば、回転体6は、後方に押し込まれていなければ、ストッパにより回転が規制される。この場合、復帰ばねが設けられ、回転体6を前方(接続面311とは反対側)に押す弾性力が、復帰ばねから回転体6に作用することが好ましい。本変形例では、ユーザU1は、プラグ2を抜去する際には、プラグ2によって回転体6を後方に押し込んだ状態で、回転体6ごとプラグ2を回転させることになる。そのため、ユーザU1の意に反してプラグ2が回転しにくくなる。また、回転体6が周壁の内側に押し込まれる構成では、プラグ2が周壁に接触することで、プラグ2の傾きが生じにくく、プラグ2の回転軌道が安定する。
【0135】
また、実施形態2の更に他の変形例として、例えば、ばね63の弾性力によって維持される初期状態は適宜変更可能である。すなわち、図10A及び図10Bに示したコンセント装置1Dであれば、初期状態は第1状態に限らず、第2状態であってもよい。図12A図12Cに示したコンセント装置1Eであれば、初期状態は第3状態に限らず、第1状態であってもよいし、第2状態であってもよい。
【0136】
また、ばね63と同様の機能は、コンセント装置1Dに限らず、プラグ2側に設けられていてもよい。すなわち、ばね63が回転体6を介して一対の差込片21に作用させる弾性力に相当する弾性力を、プラグ2に設けられたばねが、一対の差込片21に直接的に作用させてもよい。例えば、プラグボディ23に対して、一対の差込片21が回転可能に構成され、プラグボディ23に内蔵されたばねの弾性力が、第1位置P1に向けて一対の差込片21に作用することで、上記機能を実現できる。この構成であれば、コンセント装置1Dに回転体6を設けなくとも、一対の差込片21が第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。
【0137】
また、回転体6に弾性力を作用させるばね63は、コンセント装置1D(又は1E)に必須の構成ではなく、ばね63は適宜省略可能である。
【0138】
また、コンセント装置1D(又は1E)は接地極無しに限らず、接地極付きであってもよい。
【0139】
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0140】
(実施形態3)
本実施形態に係るコンセント装置1Fは、図13A及び図13Bに示すように、プラグ2を抜去するための構成が、実施形態1に係るコンセント装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態では一例として、接地極無しのコンセント装置1Fを想定する。
【0141】
本実施形態に係るコンセント装置1Fは、ボディ3と、一対の導電部材41と、保持構造5と、を備えている。ボディ3は、一対の差込口301を接続面311に有している。一対の差込口301は、プラグ2の一対の差込片21を差込可能に構成されている。一対の導電部材41は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21に電気的に接続される。保持構造5は、一対の差込口301に差し込まれた一対の差込片21を保持する。ここにおいて、一対の差込片21は、一対の差込口301に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置P1から第2位置P2まで回転可能である。第2位置P2は、第1位置P1よりも保持構造5による一対の差込片21の保持力が低い位置である。第1位置P1及び第2位置P2のいずれでも一対の差込片21が挿抜可能である。
【0142】
また、本実施形態に係るコンセント装置1Fは、操作部71と、押部材72と、規制構造8と、を更に備えている。操作部71は、人の操作を受け付ける。押部材72は、待機位置と突出位置との間を移動可能であって、操作部71の操作に従って待機位置から突出位置に移動することでプラグ2を押す。突出位置は、待機位置よりも接続面311からの押部材72の突出量が大きくなる位置である。規制構造8は、操作部71の操作を規制するための構造である。
【0143】
本実施形態では、一対の差込口301の各々は、回転中心R1を中心とする円に沿って延びた形状、つまり、回転中心R1を中心とする円弧状に形成されている。ここでいう回転中心R1は、コンセント装置1Fに対してプラグ2が相対的に回転する際のプラグ2の回転の中心軸である。図13A等では、コンセント装置1Fの接続面311上に位置する回転中心R1を、模式的に図示している。つまり、回転中心R1は仮想的な点であって実体を伴わない。
【0144】
第1位置P1及び第2位置P2は、このような形状の差込口301内に、正面視において、回転中心R1を中心とする反時計回りに、第1位置P1、第2位置P2の順で並ぶように配置されている。そのため、本実施形態では、プラグ2は、一対の差込片21が一対の差込口301に差し込まれた状態において、正面視において反時計回りに回転することによって、その差込片21が第1位置P1から第2位置P2に移動することになる。
【0145】
本実施形態では、保持構造5は、一対の導電部材41の各々に形成された突起51を含んでいる。保持構造5は、突起51が一対の差込片21の各々に引っ掛かることで、一対の差込片21を保持する。この保持構造5は、差込片21が少なくとも第1位置P1にあるときに、差込片21の引掛孔211に突起51を嵌めることで、第2位置P2に比較して、第1位置P1での一対の差込片21の保持力を高くしている。
【0146】
また、本実施形態では、規制構造8は、操作部71を包囲するように操作部71の周囲に配置された壁を含んでいる。ここでは一例として、操作部71は円盤状であるので、規制構造8に含まれる壁は円筒状に形成されている。本実施形態では、壁81はボディ3と一体に形成されている。
【0147】
また、本実施形態に係るコンセント装置1Fは、伝達機構9を更に備えている。伝達機構9は、操作部71に作用した力を押部材72に伝達する機構である。伝達機構9は、操作部71が左方に押し込まれた力を、押部材72を前方に押し出す力に変換する。
【0148】
このコンセント装置1Fによれば、一対の差込片21が一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることにより、プラグ2が電気的に接続される。また、このコンセント装置1Fでは、一対の差込口301に差し込まれた状態の一対の差込片21は第1位置P1から第2位置P2まで回転可能である。
【0149】
そして、一対の差込口301の第2位置P2にて一対の差込片21が一対の差込口301から抜かれる。つまり、一対の差込片21が第2位置P2にある状態で、ユーザU1が操作部71を操作することで、操作部71の操作に従って押部材72を待機位置から突出位置に移動させる。このとき、図13Bに想像線(2点鎖線)で示すように、接続面311から突出する押部材72がプラグ2を押すことになる。言い換えれば、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1Fの一対の差込口301(の第2位置P2)に差し込まれた状態で、押部材72に押されて、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72から受ける。しかも、規制構造8により操作部71の操作が規制されているため、ユーザU1の意に反して、押部材72がプラグ2を押すようなことは生じにくい。このとき、一対の差込片21は第2位置P2にある状態で、一対の差込口301から抜去される。そのため、一対の差込片21が第1位置P1にある状態(第1状態)に比べて、保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下した状態で、一対の差込片21が一対の差込口301から抜去される。
【0150】
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1Fでは、プラグ2を回転させる操作と、操作部71の操作と、の2段階の操作をユーザU1が行うことで、コンセント装置1Fからプラグ2を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ2を抜去できる、という利点がある。
【0151】
また、保持構造5は、突起51が一対の差込片21の各々に引っ掛かることで、一対の差込片21を保持する構成に限らない。例えば、保持構造5は、ローレット形状等により差込片21との摩擦力を向上させて差込片21を保持する構造、又は導電部材41自体のばね力により差込片21を保持する構造であってもよい。さらに、保持構造5は、例えば、導電部材41とは別に設けられた弾性体により差込片21を保持してもよいし、磁力又は粘着力等により差込片21を保持してもよい。
【0152】
また、ボディ3を一対の差込口301側から見て、プラグ2が時計回りに回転することで、一対の差込片21が、第1位置P1から第2位置P2に移動してもよい。
【0153】
また、コンセント装置1Fは接地極無しに限らず、接地極付きであってもよい。
【0154】
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0155】
(実施形態4)
本実施形態に係るコンセント装置1Gは、図14A及び図14Bに示すように、回転体6を更に備える点で実施形態3に係るコンセント装置1Fと相違する。以下、実施形態3と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0156】
回転体6は、ボディ3における一対の差込口301が形成された接続面311の少なくとも一部を覆う。回転体6は、ボディ3に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように、ボディ3に対して回転可能である。ここで、回転体6は、一対の貫通孔61を有している。上記「複数の状態」は、一対の貫通孔61が第1位置P1に重なる第1状態(図14A参照)と、一対の貫通孔61が第2位置P2に重なる第2状態(図14B参照)と、を含む。
【0157】
すなわち、本実施形態に係るコンセント装置1Gにおいては、ボディ3の前面である接続面311の手前に、接続面311の少なくとも一部を覆う回転体6が配置されている。回転体6に形成された一対の貫通孔61は、一対の差込片21を差込可能に構成されている。そして、回転体6は、これら一対の貫通孔61が、第1位置P1に重なる第1状態(図14A参照)と、第2位置P2に重なる第2状態(図14B参照)と、を含む複数の状態を切り替えるように、ボディ3に対して相対的に回転可能である。
【0158】
本実施形態では、回転体6は、樹脂製であって、円盤状に形成されている。回転体6は、ボディ3に対して回転可能な状態で支持されている。一対の貫通孔61の各々は、回転体6を厚み方向に貫通する。また、貫通孔61の開口面は、差込片21の断面よりも一回り大きい、長方形状に形成されている。貫通孔61の開口面積は、差込口301の開口面積よりも小さい。
【0159】
また、本実施形態においては、コンセント装置1Gは、例えば、ボディ3と回転体6との間に、回転体6に対して弾性力を作用させるばねを更に備えている。ばねは、回転体6を初期状態に維持するような弾性力を回転体6に作用させる。本実施形態では、一例として、初期状態は「第1状態」である。そのため、ばねは、回転体6を初期状態としての第1状態に維持するような弾性力を、回転体6に作用させる。
【0160】
以下、本実施形態に係るコンセント装置1Gの使用方法について、図14A及び図14Bを参照して説明する。
【0161】
まず、コンセント装置1Gにプラグ2が接続されていない状態では、回転体6は、図14Aに示すように、ばねにより初期状態としての第1状態に保持されている。つまり、この初期状態(第1状態)では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第1位置P1に重なる位置にある。言い換えれば、一対の差込口301の第1位置P1は、回転体6の一対の貫通孔61を通して露出する。
【0162】
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21がコンセント装置1Gの一対の差込口301に差し込まれるように、プラグ2のプラグボディ23を操作する。このとき、プラグ2の一対の差込片21は、回転体6の一対の貫通孔61を貫通して、一対の差込口301の第1位置P1に差し込まれることになる。差込口301の第1位置P1に差し込まれた差込片21は、保持構造5により、抜け止めがなされ、かつ導電部材41と電気的に接続される。
【0163】
一方、プラグ2をコンセント装置1Gから抜去する際には、ユーザU1は、一対の差込口301内において第1位置P1から第2位置P2に一対の差込片21が移動するように、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させる。ここで、一対の差込片21は、回転体6の一対の貫通孔61を貫通しているので、一対の差込片21の回転に伴って、回転体6がボディ3に対して反時計回りに回転する。
【0164】
そして、一対の差込片21が第2位置P2に移動すると、回転体6は、図14Bに示すように、ばねの弾性力に抗して、ボディ3との位置関係が第2状態に切り替わる。つまり、この第2状態では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第2位置P2に重なる位置にある。言い換えれば、一対の差込口301の第2位置P2は、回転体6の一対の貫通孔61を通して露出する。
【0165】
本実施形態では、回転体6の中央部には、押部材72を通すための孔が形成されている。そのため、押部材72は、待機位置から突出位置に移動する際に、回転体6を貫通するようにして、回転体6の前面から更に突出する。
【0166】
この状態において、ユーザU1が操作部71を操作することで、操作部71の操作に従って押部材72を待機位置から突出位置に移動させる。このとき、回転体6の前面から突出する押部材72がプラグ2を押すことになる。言い換えれば、プラグ2は、その一対の差込片21がコンセント装置1Gの一対の差込口301(の第2位置P2)に差し込まれた状態で、押部材72に押されて、一対の差込片21が一対の差込口301から抜ける向きの力を押部材72から受ける。このとき、一対の差込片21は第2位置P2にある状態で、一対の差込口301から抜去される。そのため、一対の差込片21が第1位置P1にある状態(第1状態)に比べて、保持構造5による一対の差込片21の保持力が低下した状態で、一対の差込片21が一対の差込口301から抜去される。
【0167】
これにより、回転体6の一対の貫通孔61からも一対の差込片21が抜去されるので、回転体6は、ばねのばね力によって、時計回りに回転し初期位置である第1状態(図14A参照)に戻る。
【0168】
以上説明した本実施形態に係るコンセント装置1Gによれば、コンセント装置1Gに接続された状態のプラグ2の回転時に、プラグ2は、回転体6と一緒に回転することになるので、一対の差込片21の回転軌道が安定しやすくなる。つまり、回転体6はボディ3に対して回転中心R1を中心に回転可能となるように、ボディ3に支持されているので、回転体6と一緒に回転するプラグ2の一対の差込片21についても、回転中心R1を中心に回転しやすくなる。その結果、ユーザU1がプラグ2を回転させる操作が比較的簡単になる。さらに、一対の差込片21が導電部材41に引っ掛かることにより導電部材41が変形する等の不具合も生じにくくなる。
【0169】
また、本実施形態に係るコンセント装置1Gによれば、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21が差し込まれる位置を制限しやすくなる。つまり、上述したように回転体6の初期状態が第1状態であれば、一対の差込口301への一対の差込片21の差込時において、一対の差込片21は第1位置P1に案内されることになる。すなわち、差込口301に差込片21が差し込まれるときに、差込片21を第2位置P2ではなく第1位置P1に導くように、回転体6が機能する。
【0170】
また、ばねの弾性力は、回転体6を介して一対の差込片21にも作用するので、一対の差込片21が第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。つまり、ばねは、回転体6に弾性力を作用させるので、回転体6と一緒に回転するプラグ2の一対の差込片21についても、回転体6の初期状態に対応する位置(ここでは第1位置P1)に向けて弾性力を作用させる。これにより、一対の差込片21は、第1位置P1と第2位置P2とのいずれでもない中途半端な位置で止まりにくくなる。
【0171】
図15A図15Cは、実施形態4の変形例に係るコンセント装置1Hを示す概略図である。コンセント装置1Hでは、上記「複数の状態」は、一対の差込口301を回転体6で覆う第3状態(図15A参照)を更に含む。つまり、回転体6は、ボディ3に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるように、ボディ3に対して回転可能であるが、本変形例では、この「複数の状態」が、第1状態(図15B参照)、第2状態(図15C参照)、及び第3状態の3つの状態を含んでいる。
【0172】
第3状態は、図15Aに示すように、一対の差込口301を回転体6で覆う位置である。回転体6には、一対の貫通孔61が形成されているので、第3状態にあっては、回転体6における一対の貫通孔61以外の部位で、一対の差込口301を覆うことになる。言い換えれば、第3状態は、一対の貫通孔61が一対の差込口301に重ならない状態である。
【0173】
本変形例では、一例として、初期状態は「第3状態」である。そのため、ばねは、回転体6を初期状態としての第3状態に維持するような弾性力を、回転体6に作用させる。そのため、コンセント装置1Hにプラグ2が接続されていない状態では、回転体6は、図15Aに示すように、ばねにより初期状態としての第3状態に保持されている。つまり、この初期状態(第3状態)では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301に重ならない位置にある。
【0174】
この状態において、ユーザU1は、一対の差込片21が一対の貫通孔61に差し込み、回転中心R1を中心にプラグ2を反時計回りに回転させることで、一対の差込片21の回転に伴って、回転体6をボディ3に対して反時計回りに回転させる。そして、回転体6は、図15Bに示すように、ばねの弾性力に抗して、ボディ3との位置関係が第1状態に切り替わる。つまり、この第1状態では、回転体6の一対の貫通孔61は、一対の差込口301の第1位置P1に重なる位置にある。それ以降は、実施形態4のコンセント装置1Gと同様に、第1状態(図15B参照)においてプラグ2が接続され、第2状態(図15C参照)においてプラグ2が抜去される。
【0175】
本変形例によれば、回転体6が第3状態にあれば、回転体6によって一対の差込口301が覆われるので、一対の差込口301からボディ3内に塵埃等の異物が入ることを抑制できる。
【0176】
実施形態4で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0177】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係るコンセント装置(1,1A~1H)は、ボディ(3)と、一対の導電部材(41,41A,41B)と、保持構造(5)と、を備える。ボディ(3)は、プラグ(2)の一対の差込片(21)を差込可能な一対の差込口(301)を有する。一対の導電部材(41,41A,41B)は、一対の差込口(301)に差し込まれた一対の差込片(21)に電気的に接続される。保持構造(5)は、一対の差込口(301)に差し込まれた一対の差込片(21)を保持する。一対の差込片(21)は、一対の差込口(301)に差し込まれた状態で、少なくとも第1位置(P1)から、第2位置(P2)まで回転可能である。第2位置(P2)は、第1位置(P1)よりも保持構造(5)による一対の差込片(21)の保持力が低い位置である。第1位置(P1)及び第2位置(P2)のいずれでも一対の差込片(21)が挿抜可能である。
【0178】
この態様によれば、プラグ(2)を回転させてから、一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜去できるため、プラグ(2)を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ(2)を抜去できる、という利点がある。特に、第2位置(P2)では、保持構造(5)による一対の差込片(21)の保持力が低下するので、プラグ(2)を抜去する際に要する力を小さく抑えやすい。
【0179】
第2の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第1の態様において、一対の差込片(21)の少なくとも一方は、第2位置(P2)では一対の導電部材(41,41A,41B)のいずれからも電気的に切り離される。
【0180】
この態様によれば、第2位置(P2)にて一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜去する前に、一対の差込片(21)を一対の導電部材(41,41A,41B)から電気的に切り離すことができる。
【0181】
第3の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第2の態様において、一対の差込片(21)の少なくとも一方は、第2位置(P2)では一対の導電部材(41,41A,41B)のいずれにも対向しない。
【0182】
この態様によれば、第2位置(P2)において一対の差込片(21)を一対の導電部材(41,41A,41B)から確実に電気的に切り離すことができる。
【0183】
第4の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第1~3のいずれかの態様において、保持構造(5)は、一対の導電部材(41,41A,41B)の各々に形成された突起(51)を含む。保持構造(5)は、突起(51)が一対の差込片(21)の各々に引っ掛かることで一対の差込片(21)を保持する。一対の差込片(21)に対する突起(51)の引っ掛かり量は、第2位置(P2)より第1位置(P1)で大きい。
【0184】
この態様によれば、一対の導電部材(41,41A,41B)と保持構造(5)とを一体化できるので、部品点数の増加を抑えることができる。
【0185】
第5の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第4の態様において、突起(51)は、下記の位置に配置されている。つまり、一対の導電部材(41,41A,41B)の各々において第1位置(P1)に対応する部位と第2位置(P2)に対応する部位のうち、第1位置(P1)に対応する部位にのみ、突起(51)が配置されている。
【0186】
この態様によれば、第2位置(P2)における保持構造(5)による一対の差込片(21)の保持力を、第1位置(P1)に比べて十分に低くできる。
【0187】
第6の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)は、第1~5のいずれかの態様において、ガイド部(341)を更に備える。ガイド部(341)は、一対の差込口(301)への一対の差込片(21)の差込時において、一対の差込片(21)を第1位置(P1)に案内する。
【0188】
この態様によれば、一対の差込片(21)が第1位置(P1)に差し込まれやすくなり、一対の差込片(21)が第2位置(P2)に差し込まれた状態でコンセント装置(1,1A~1I)が使用されることを少なくできる。
【0189】
第7の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第6の態様において、ガイド部(341)は、一対の扉体(34)に形成されている。一対の扉体(34)は、ボディ(3)に収容されている。一対の扉体(34)は、一対の差込口(301)から見て一対の導電部材(41,41A,41B)を覆う閉位置と、一対の差込口(301)から見て一対の導電部材(41,41A,41B)を露出させる開位置との間で移動する。
【0190】
この態様によれば、一対の扉体(34)によって一対の導電部材(41,41A,41B)を保護することができる。
【0191】
第8の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第1~7のいずれかの態様において、一対の差込片(21)は、一対の差込片(21)の差込方向における同一位置において、第1位置(P1)から第2位置(P2)まで回転する。
【0192】
この態様によれば、一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜くことなく、一対の差込片(21)は第1位置(P1)から第2位置(P2)に移動可能である。
【0193】
第9の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第1~8のいずれかの態様において、一対の差込口(301)の各々は、一対の差込片(21)の回転中心(R1)を中心とする円(C1)に沿って延びた形状である。
【0194】
この態様によれば、一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜くことなく、一対の差込片(21)は第1位置(P1)から第2位置(P2)に移動可能である。
【0195】
第10の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第9の態様において、一対の差込口(301)の各々は、一対の差込片(21)の回転中心(R1)から見て85度以上95度以下となる長さを有する。
【0196】
この態様によれば、第1位置(P1)と第2位置(P2)とを区別しやすくなり、第1位置(P1)と第2位置(P2)との間の中途半端な位置に一対の差込片(21)が差し込まれにくくなる。
【0197】
第11の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第9又は10の態様において、一対の差込口(301)の各々の幅(W1)は、2.2mm以上3.5mm以下である。
【0198】
この態様によれば、一対の差込片(21)の回転時に各差込片(21)が各差込口(301)の縁に引っ掛かりにくくなる。
【0199】
第12の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第1~11のいずれかの態様において、一対の差込片(21)は、下記のようにして第1位置(P1)から第2位置(P2)に移動する。つまり、ボディ(3)を一対の差込口(301)側から見て、プラグ(2)が反時計回りに回転することで、一対の差込片(21)は、第1位置(P1)から第2位置(P2)に移動する。
【0200】
この態様によれば、右ねじと同様に反時計回りにプラグ(2)を回転させることで、プラグ(2)の抜去が可能になるので、プラグ(2)の操作が容易である。
【0201】
第13の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)は、第1~12のいずれかの態様において、回転体(6)を更に備える。回転体(6)は、ボディ(3)における一対の差込口(301)が形成された接続面(311)の少なくとも一部を覆う。回転体(6)は、ボディ(3)に対する位置関係が複数の状態間で切り替わるようにボディ(3)に対して回転可能である。回転体(6)は、一対の貫通孔(61)を有する。上記複数の状態は、一対の貫通孔(61)が第1位置(P1)に重なる第1状態と、一対の貫通孔(61)が第2位置(P2)に重なる第2状態と、を含む。
【0202】
この態様によれば、プラグ(2)は、回転体(6)と一緒に回転することになるので、一対の差込片(21)の回転軌道が安定しやすくなる。
【0203】
第14の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)では、第13の態様において、上記複数の状態は、一対の差込口(301)を回転体(6)で覆う第3状態を更に含む。
【0204】
この態様によれば、回転体(6)が第3状態にあれば、回転体(6)によって一対の差込口(301)が覆われるので、一対の差込口(301)からボディ(3)内に塵埃等の異物が入ることを抑制できる。
【0205】
第15の態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)は、一対の差込片(21)を有するプラグ(2)を接続可能なコンセント装置(1,1A~1I)である。コンセント装置(1,1A~1I)は、一対の差込片(21)が一対の差込口(301)の第1位置(P1)に差し込まれることによりプラグ(2)が電気的に接続される。一対の差込口(301)に差し込まれた状態の一対の差込片(21)は第1位置(P1)から第2位置(P2)まで回転可能である。コンセント装置(1,1A~1I)では、一対の差込口(301)の第2位置(P2)にて一対の差込片(21)が一対の差込口(301)から抜かれる。
【0206】
この態様によれば、プラグ(2)を回転させてから、一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜去できるため、プラグ(2)を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ(2)を抜去できる、という利点がある。
【0207】
第16の態様に係る給電装置(10)は、第1~15のいずれかの態様に係るコンセント装置(1,1A~1I)を複数備え、複数のコンセント装置(1,1A~1I)を保持するハウジング(11)を更に備える。
【0208】
この態様によれば、プラグ(2)を回転させてから、一対の差込片(21)を一対の差込口(301)から抜去できるため、プラグ(2)を抜去する際に要する力を小さく抑えることができる。結果的に、より簡単な作業でプラグ(2)を抜去できる、という利点がある。
【0209】
第2~14の態様に係る構成については、コンセント装置(1,1A~1I)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0210】
1,1A~1I コンセント装置
2 プラグ
3 ボディ
5 保持構造
6 回転体
10 給電装置
11 ハウジング
21 差込片
34 扉体
41,41A,41B 導電部材
51 突起
61 貫通孔
301 差込口
311 接続面
341 ガイド部
P1 第1位置
P2 第2位置
R1 回転中心
W1 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15