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特許7217428監視システム、監視方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20230127BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230127BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
G08B25/04 K
H04M11/00 301
G08B21/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019061912
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020160999
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高宮 晶子
(72)【発明者】
【氏名】佐久嶋 和生
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081673(JP,A)
【文献】特開2017-126266(JP,A)
【文献】特開2015-195455(JP,A)
【文献】特開2009-276847(JP,A)
【文献】特許第6185683(JP,B1)
【文献】特開2017-220047(JP,A)
【文献】特開2016-161965(JP,A)
【文献】特開2003-256951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0368780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
H04M 11/00-11/10
H04L 12/28
H04L 12/44-12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の対象者の状態を監視する監視システムであって、
前記施設における使用電力量のデータを複数の監視対象の各々について取得する取得部と、
第1期間における前記使用電力量に対する、前記第1期間と同じ長さであって前記第1期間よりも後の第2期間における前記使用電力量の変化量を算出する第1算出部と、
前記複数の監視対象のうち少なくとも一部の監視対象について異なる判断手法で、前記複数の監視対象の各々の状態を判断する判断部と、
前記第1算出部が算出する前記変化量とは異なる種類の値を算出する第2算出部と、を備え、
前記判断手法は、前記複数の監視対象のうち対応する監視対象について設定される閾値と前記変化量とを比較することを含み、
前記第2算出部は、前記対応する監視対象について、前記値として、時系列で連続する2つの算出期間の各々において、前記変化量が前記閾値以上となる回数である活動回数を算出し、
前記判断部は、前記2つの算出期間における前記活動回数の変化量に基づいて前記対象者の状態を判断する、
監視システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記複数の監視対象の各々について互いに異なる前記判断手法で、前記複数の監視対象の各々の状態を判断する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記判断手法は、前記変化量が増加する場合のみに基づいて前記複数の監視対象の各々の状態を判断するか否かを前記複数の監視対象の各々について設定することを含む、
請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記第2算出部は、前記値として、所定の算出期間において、前記変化量が前記複数の監視対象の各々について設定された閾値以上となる回数である活動回数を算出する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記算出期間における前記活動回数に応じて外部システムに通知を行う通知部を更に備える、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記複数の監視対象の各々は分岐回路であり、
前記判断部は、前記複数の分岐回路の各々について設定された分岐回路情報に基づいて、前記複数の分岐回路の各々について前記変化量を算出するか否かを判断する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記判断部は、前記使用電力量の変動パターンに基づいて、前記複数の監視対象の各々について前記変化量を算出するか否かを判断する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項8】
前記第2算出部は、前記値として、所定の算出期間において、前記変化量が前記複数の監視対象の各々について設定された閾値以上となる回数である活動回数を算出し、
前記第2算出部は、前記変化量が前記閾値以上となる期間が連続する場合には、連続する前記期間における前記活動回数を1とする、
請求項1~7のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項9】
前記複数の監視対象の各々について前記判断部の判断対象にするか否かを設定する設定部を更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項10】
前記複数の監視対象のうち第1監視期間において監視される第1監視対象と、前記複数の監視対象のうち前記第1監視期間よりも長い第2監視期間において監視される第2監視対象とが異なる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項11】
施設内の対象者の状態を監視する監視方法であって、
前記施設における使用電力量のデータを複数の監視対象の各々について取得する取得ステップと、
第1期間における前記使用電力量に対する、前記第1期間と同じ長さであって前記第1期間よりも後の第2期間における前記使用電力量の変化量を算出する第1算出ステップと、
前記複数の監視対象のうち少なくとも一部の監視対象について異なる判断手法で、前記複数の監視対象の各々の状態を判断する判断ステップと、
前記第1算出ステップで算出される前記変化量とは異なる種類の値を算出する第2算出ステップと、を含み、
前記判断手法は、前記複数の監視対象のうち対応する監視対象について設定される閾値と前記変化量とを比較することを含み、
前記第2算出ステップは、前記対応する監視対象について、前記値として、時系列で連続する2つの算出期間の各々において、前記変化量が前記閾値以上となる回数である活動回数を算出し、
前記判断ステップは、前記2つの算出期間における前記活動回数の変化量に基づいて前記対象者の状態を判断する、
監視方法。
【請求項12】
1以上のプロセッサに、
請求項11に記載の監視方法を実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視システム、監視方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、施設内の対象者の状態を監視する監視システム、監視方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、施設内の人(対象者)の状態を監視可能で、かつ施設内の機器を施設の外部から制御可能な機器管理システム(監視システム)が記載されている。特許文献1に記載の機器管理システムは、サーバ及びローカル装置を主構成として備えている。サーバは、見守り監視部と、機器制御部と、を備えている。見守り監視部は、判定部を有している。判定部は、施設内の少なくとも1台の機器からなる監視対象機器(監視対象)に関する監視情報に基づいて、施設内の人の状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-56730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の機器管理システムでは、監視対象機器の種類によっては施設内の人の状態の判定精度が低下する可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、施設内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる監視システム、監視方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る監視システムは、施設内の対象者の状態を監視する監視システムである。前記監視システムは、取得部と、第1算出部と、判断部と、第2算出部と、を備える。前記取得部は、前記施設における使用電力量のデータを複数の監視対象の各々について取得する。前記第1算出部は、第1期間における前記使用電力量に対する、第2期間における前記使用電力量の変化量を算出する。前記第2期間は、前記第1期間と同じ長さであって前記第1期間よりも後の期間である。前記判断部は、前記複数の監視対象のうち少なくとも一部の監視対象について異なる判断手法で、前記複数の監視対象の各々の状態を判断する。前記第2算出部は、前記第1算出部が算出する前記変化量とは異なる種類の値を算出する。前記判断手法は、前記複数の監視対象のうち対応する監視対象について設定される閾値と前記変化量とを比較することを含む。前記第2算出部は、前記対応する監視対象について、前記値として、時系列で連続する2つの算出期間の各々において、前記変化量が前記閾値以上となる回数である活動回数を算出する。前記判断部は、前記2つの算出期間における前記活動回数の変化量に基づいて前記対象者の状態を判断する。
【0007】
本開示の一態様に係る監視方法は、施設内の対象者の状態を監視する監視方法である。前記監視方法は、取得ステップと、第1算出ステップと、判断ステップと、第2算出ステップと、を含む。前記取得ステップは、前記施設における使用電力量のデータを複数の監視対象の各々について取得するステップである。前記第1算出ステップは、第1期間における前記使用電力量に対する、第2期間における前記使用電力量の変化量を算出するステップである。前記第2期間は、前記第1期間と同じ長さであって前記第1期間よりも後の期間である。前記判断ステップは、前記複数の監視対象のうち少なくとも一部の監視対象について異なる判断手法で、前記複数の監視対象の各々の状態を判断するステップである。前記第2算出ステップは、前記第1算出ステップで算出される前記変化量とは異なる種類の値を算出するステップである。前記判断手法は、前記複数の監視対象のうち対応する監視対象について設定される閾値と前記変化量とを比較することを含む。前記第2算出ステップは、前記対応する監視対象について、前記値として、時系列で連続する2つの算出期間の各々において、前記変化量が前記閾値以上となる回数である活動回数を算出する。前記判断ステップは、前記2つの算出期間における前記活動回数の変化量に基づいて前記対象者の状態を判断する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上述の監視方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、施設内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の監視システムを含む全体構成を示すシステム構成図である。
図3図3は、同上の監視システムの一連の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、同上の監視システムを構成する第2算出部の動作を説明する説明図である。
図5図5は、同上の監視システムを構成する第2算出部の動作を説明する別の説明図である。
図6図6A及び図6Bは、本開示の一実施形態の変形例1に係る監視システムを構成する第2算出部の動作を説明する説明図である。
図7図7は、同上の監視システムを構成する第2算出部の動作を説明する別の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る監視システム1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る監視システム1は、図1及び図2に示すように、施設100内の対象者の状態を監視するためのシステムである。施設100は、例えば、マンション等の集合住宅の各住戸である。対象者は、例えば、施設100の住人である。本開示でいう「対象者の状態」とは、対象者の健康状態をいう。例えば、施設100内に設けられている電気機器80に対して対象者が操作を行える状況では、対象者の健康状態は良好であるといえる。一方、電気機器80に対して対象者が操作を行えない状況では、対象者の健康状態は不良であるといえる。このように、施設100内に設けられている電気機器80に対して対象者が操作可能か否かによって、対象者の健康状態を判別(推定)することができる。
【0013】
近年では、少子高齢化が進んでおり、仕事や家庭の関係で高齢の両親と離れて暮らす状況が増加する傾向にある。そのため、離れて暮らす家族の状態を確認し、状況に応じてサポートする「見守りサービス」が普及しつつある。本実施形態に係る監視システム1は、施設100内に設けられている複数の監視対象10(図1参照)の状態に基づいて、施設100内の対象者の状態を監視し、その監視結果を外部システム2に通知するシステムである。
【0014】
本実施形態に係る監視システム1は、図1に示すように、取得部12と、算出部としての第1算出部111と、判断部113と、を備える。取得部12は、施設100における使用電力量のデータを複数の監視対象10の各々について取得する。複数の監視対象10の各々は、例えば、分岐回路70、電気機器80、及びセンサ90のいずれかである。第1算出部111は、第1期間における使用電力量に対する、第2期間における使用電力量の変化量を算出する。第2期間は、第1期間と同じ長さであって第1期間よりも後の期間である。判断部113は、複数の監視対象10のうち少なくとも一部の監視対象10について異なる判断手法で、複数の監視対象10の各々の状態を判断する。
【0015】
本開示でいう「異なる判断手法」には、複数の監視対象10のうち対応する監視対象10について設定される閾値と、当該監視対象10の使用電力量の変化量とを比較することを含む。また、本開示でいう「異なる判断手法」には、上記変化量が増加する場合のみに基づいて複数の監視対象10の各々の状態を判断するか否かを複数の監視対象10の各々について設定することを含む。
【0016】
本実施形態に係る監視システム1では、複数の監視対象10のうち少なくとも一部の監視対象10について異なる判断手法で、複数の監視対象10の各々の状態を判断している。そのため、複数の監視対象10のすべてについて同じ判断手法で判断する場合に比べて、施設100内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる。
【0017】
(2)構成
本実施形態に係る監視システム1は、図2に示すように、ネットワーク7を介して外部システム2と通信可能である。監視システム1は、外部システム2に対して、施設100内の対象者の状態を通知する。また、本実施形態に係る監視システム1は、図2に示すように、ネットワーク7を介して計測システム4と通信可能である。監視システム1は、計測システム4から、施設100における使用電力量を複数の監視対象10の各々について取得する。以下、本実施形態に係る監視システム1、外部システム2、及び計測システム4の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0018】
(2.1)計測システム
まず、本実施形態に係る計測システム4の構成について説明する。
【0019】
本実施形態に係る計測システム4は、図2に示すように、計測ユニット41と、通信アダプタ42と、電流センサ43,44と、を備えている。計測ユニット41、通信アダプタ42、及び電流センサ43,44は、分電盤3のキャビネット内に配置(収納)されている。分電盤3は、主幹ブレーカ31と、複数の分岐ブレーカ32と、をキャビネット内に備えている。主幹ブレーカ31は、系統電源9に電気的に接続されている。複数の分岐ブレーカ32は、主幹ブレーカ31の二次側に電気的に接続されている。
【0020】
計測ユニット41は、電流センサ43,44に電気的に接続されている。電流センサ43は、主幹ブレーカ31の一次側に設けられており、幹線を流れる電流の値を計測する。複数の電流センサ44は、複数の分岐ブレーカ32に対応して設けられており、複数の分岐回路70に流れる電流の値をそれぞれ計測する。本開示でいう「分岐回路」は、複数の分岐ブレーカ32にて幹線から分岐された各回路を意味する。分岐回路70は、分岐ブレーカ32に接続される配線、照明器具81、調理機器82、床暖房、電気給湯器等の電気機器80、コンセント(アウトレット)、壁スイッチ等を含んでいる。調理機器82は、例えば、電子レンジ、IH調理器、オーブンレンジ、湯沸しポット等である。このような分岐回路70は、本実施形態のように住宅からなる施設100においては、例えば、リビング、寝室、玄関、トイレ、キッチン等の部屋ごと、かつ照明器具81、調理機器82、床暖房、電気給湯器等の機器の種類ごとに設けられる。1つの分岐回路70には、1つの電気機器80が含まれてもよいし、複数の電気機器80が含まれてもよい。本実施形態では、1つの分岐回路70に1つの電気機器80が含まれていることとする。
【0021】
計測ユニット41は、電流センサ43,44の出力を用いて、幹線及び複数の分岐回路70の各々について、消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測する。通信アダプタ42は、計測ユニット41で計測された計測値を、計測システム4の計測値として施設100に設けられたコントローラ5へ送信する。コントローラ5は、ルータ6を介してネットワーク7に接続されている。コントローラ5は、例えば、HEMS(home energy management system)のコントローラである。ネットワーク7は、例えば、インターネットである。
【0022】
計測システム4の計測値は、施設100における複数の分岐回路70の各々について、計測ユニット41で計測される消費電力と消費電力量との少なくとも一方を含んでいる。つまり、計測値は、瞬時電力を表す消費電力であってもよいし、あるいは一定時間における電力の消費量を表す消費電力量であってもよい。また、計測値は、消費電力と消費電力量との両方であってもよい。本実施形態では一例として、計測値は、消費電力を一定時間(例えば正時から30分間隔)で積算した消費電力量(使用電力量)である。
【0023】
(2.2)監視システム
監視システム1は、図1に示すように、制御部11と、取得部12と、通信部13と、記憶部14と、設定部15と、を備えている。また、制御部11は、算出部としての第1算出部111と、第2算出部112と、判断部113と、を有している。
【0024】
第1算出部111は、第1期間における施設100の使用電力量(消費電力量)に対する、第2期間における施設100の使用電力量の変化量を算出する。第1期間及び第2期間は同じ長さであって、時系列で連続しており、本実施形態では一例として、30分である。つまり、第1算出部111は、30分ごとに取得部12が計測システム4から取得する使用電力量の差分の絶対値を上記変化量として算出する。
【0025】
第2算出部112は、所定の算出期間T11~T14(図4参照)の各々における活動回数を算出する。活動回数は、第1算出部111が算出した上記変化量が閾値以上となる回数である。本実施形態では一例として、算出期間T11~T14の各々は1日である。ここで、上記変化量が閾値以上となるのは、電気機器80の動作を開始させたとき、及び電気機器80の動作を停止させたときである。また、少なくとも電気機器80の動作を開始させる際に人の操作(活動)が必要である。そのため、上記変化量が閾値以上となる回数を対象者の活動回数とみなすことができる。そして、所定期間T11~T14における活動回数に基づいて、施設100内の対象者の状態を判別することができる。
【0026】
判断部113は、複数の監視対象10のうち少なくとも一部の監視対象10について異なる判断手法で、複数の監視対象10の各々の状態を判断するように構成されている。判断部113は、例えば監視対象10が照明器具81、又は照明器具81が接続された分岐回路70(以下、「照明器具81等」という)の場合、使用電力量の変化量が増加する動作開始時、及び使用電力量の変化量が減少する動作停止時の両方で第1算出部111に上記変化量を算出させる。一方、判断部113は、例えば監視対象10が調理機器82、又は調理機器82が接続された分岐回路70(以下、「調理機器82等」という)の場合、調理機器82が自動的に動作を停止させる構造であるため、使用電力量の変化量が増加する場合のみに第1算出部111に上記変化量を算出させる。言い換えると、判断部113は、使用電力量の変化量が増加する場合のみに基づいて複数の監視対象10の各々の状態を判断するか否かを複数の監視対象10の各々について設定する。
【0027】
また、判断部113は、時系列で連続する2つの算出期間における活動回数の変化量に基づいて対象者の状態を判断する。この場合、判断部113は、複数の監視対象10の活動回数の総数を算出期間ごとに求め、算出期間ごとの総数の変化量に基づいて対象者の状態を判断してもよい。また、判断部113は、複数の監視対象10のうちいずれか1つの監視対象10の活動回数の変化量に基づいて対象者の状態を判断してもよい。そして、判断部113は、上記変化量が規定数以上減少している場合に、対象者の健康状態が不良であると判断する。なお、複数の監視対象10の活動回数の総数を求める際には、監視対象10ごとに重み付けを行ってもよい。
【0028】
制御部11は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、制御部11は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部11(第1算出部111、第2算出部112及び判断部113を含む)として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0029】
取得部12は、図2に示すように、ネットワーク7に接続されている。取得部12は、ネットワーク7を介して、計測システム4の計測ユニット41で計測された計測値を取得する。具体的には、取得部12は、分岐回路70ごとの使用電力量(消費電力量)のデータを30分間隔で計測システム4から取得する。取得部12は、計測システム4から取得した分岐回路70ごとの使用電力量のデータを制御部11に出力する。
【0030】
通信部13は、外部システム2と通信を行うための通信インターフェースである。通信部13は、判断部113の判断結果を含む通信信号Sig1を外部システム2に送信する。言い換えると、監視システム1は、算出期間T11~T14における活動回数に応じて外部システム2に通知を行う通知部(通信部13)を更に備えている。判断部113の判断結果は、施設100内の対象者の状態に関する結果である。通信部13は、対象者の状態に問題がなければ、例えば、「対象者の状態は良好です」等の文字メッセージを含む通信信号Sig1を外部システム2に送信する。また、通信部13は、対象者の状態に問題があれば、例えば、「対象者の状態は不良です」等の文字情報を含む通信信号Sig1を外部システム2に送信する。この場合において、通信部13は、外部システム2からの要求があった場合に通信信号Sig1を送信してもよいし、通信信号Sig1を定期的に送信してもよい。
【0031】
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。記憶部14は、取得部12が取得した計測ユニット41の計測値を記憶する。また、記憶部14は、第2算出部112が算出した活動回数を記憶する。さらに、記憶部14は、設定部15による設定内容を記憶する。
【0032】
設定部15は、複数の監視対象10の各々について、判断部113の判断対象にするか否かを設定する。言い換えると、監視システム1は、複数の監視対象10の各々について判断部113の判断対象にするか否かを設定する設定部15を更に備える。したがって、本実施形態に係る監視システム1では、監視対象10ごとに判断部113の判断対象にするか否かを設定することができる。設定部15による設定内容は、記憶部14に記憶される。
【0033】
(2.3)外部システム
外部システム2は、例えば、対象者(施設100の住人)の親族、友人等が所有するスマートフォンである。外部システム2は、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)を介してネットワーク7に接続可能である。携帯電話網には、例えば、3G回線、4G回線(LTE回線)等がある。外部システム2は、ネットワーク7を介して監視システム1からの通信信号Sig1を受信(取得)する。なお、外部システム2は、例えば、公衆回線LANを介してネットワーク7に接続されてもよい。
【0034】
外部システム2は、表示部21を備えている。表示部21は、例えば、タッチパネルディスプレイである。表示部21は、監視システム1からの通信信号Sig1に含まれる判断部113の判断結果を表示する。表示部21に表示される内容は、例えば、「対象者の状態は良好です」、「対象者の状態は不良です」等の文字情報である。したがって、対象者の親族、友人等が表示部21の表示内容を見ることで、対象者の状態を把握することができる。
【0035】
(3)動作
次に、本実施形態に係る監視システム1の一連の動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0036】
監視システム1では、取得部12が、ネットワーク7を介して、計測システム4から計測ユニット41の計測値(分岐回路70ごとの使用電力量)を第1期間、第2期間の順に30分ごとに取得する(ステップS1)。取得部12は、計測システム4から取得した計測値を制御部11に出力する。制御部11の第1算出部111は、分岐回路70ごとに、第1期間における使用電力量に対する、第2期間における使用電力量の変化量を算出する(ステップS2)。
【0037】
制御部11の第2算出部112は、分岐回路70ごとに、第1算出部111が算出した上記変化量と閾値とを比較する(ステップS3)。本実施形態のように、電気機器80が照明器具81又は調理機器82の場合には、閾値は、照明器具81又は調理機器82をオン又はオフしたときの使用電力量の変化量を検出できる大きさであればよい。第2算出部112は、上記変化量が閾値よりも大きい場合には(ステップS3:Yes)、活動回数を1増加させる(ステップS4)。一方、第2算出部112は、上記変化量が閾値以下の場合には(ステップS3:No)、活動回数を増加させない。
【0038】
第2算出部112は、上記変化量と閾値とを比較する比較処理が終了したか否かを判別する(ステップS5)。第2算出部112は、比較処理が終了していない場合には(ステップS5:No)、ステップS3,S4の処理を繰り返す。一方、第2算出部112は、比較処理が終了している場合には(ステップS5:Yes)、算出期間T11~T14(図4参照)ごとに算出した活動回数を記憶部14に記憶させる。
【0039】
判断部113は、算出期間T11~T14のうち時系列で連続する2つの算出期間における活動回数の変化量を算出する対比処理を行う(ステップS6)。判断部113は、上記変化量が規定数以上減少している場合には(ステップS7:Yes)、対象者の状態が不良であると判断(推定)する(ステップS8)。一方、判断部113は、上記変化量が規定数以上減少していない、又は上記変化量が増加している場合には(ステップS7:No)、対象者の状態が良好であると判断(推定)する(ステップS9)。
【0040】
制御部11は、判断部113の判断結果を含む通信信号Sig1を作成し、作成した通信信号Sig1を通信部(通知部)13から外部システム2に送信(通知)させる(ステップS10)。
【0041】
(4)判断部の対比処理
次に、判断部113の対比処理について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、監視対象10が照明器具81等の場合における使用電力量の変化を示している。また、図5は、監視対象10が調理機器82等の場合における使用電力量の変化を示している。図4及び図5では、横軸が時刻(時間)であり、縦軸が使用電力量である。また、図4及び図5における黒三角のマークは、第1期間における使用電力量に対する第2期間における使用電力量の変化量が閾値以上の場合を示している。図4に示す例では、照明器具81を点灯させたとき、及び照明器具81を消灯させたときに上記変化量が閾値以上となっている。また、図5に示す例では、調理機器82の動作を開始したときに上記変化量が閾値以上となっている。上述のように、調理機器82は、その動作が自動的に停止する構造であるため、調理機器82の動作を停止する際には人の操作は不要である。したがって、図5に示す例では、調理機器82の動作を停止する際にも上記変化量が閾値以上となっているが、活動回数としてはカウントしない。
【0042】
まず、図4に示す例について説明する。
【0043】
判断部113は、1つ目の算出期間T11及び2つ目の算出期間T12について、活動回数の変化量を算出する。算出期間T11では活動回数が「2」であり、算出期間T12では活動回数が「2」である。つまり、算出期間T11と算出期間T12との間では活動回数の変化は生じていない。判断部113は、算出期間T11,T12間における活動回数の変化量を「0」と算出する。
【0044】
また、判断部113は、2つ目の算出期間T12及び3つ目の算出期間T13について、活動回数の変化量を算出する。算出期間T12では活動回数が「2」であり、算出期間T13では活動回数が「4」である。つまり、算出期間T13は、算出期間T12に比べて活動回数が増加している。判断部113は、算出期間T11,T12間における活動回数の変化量を「2」と算出する。
【0045】
さらに、判断部113は、3つ目の算出期間T13及び4つ目の算出期間T14について、活動回数の変化量を算出する。算出期間T13では活動回数が「4」であり、算出期間T14では活動回数が「4」である。つまり、算出期間T13と算出期間T14との間では活動回数の変化は生じていない。判断部113は、算出期間T13,T14間における活動回数の変化量を「0」と算出する。
【0046】
ここで、算出期間T11,T12間、算出期間T12,T13間、及び算出期間T13,T14間のいずれについても、活動回数の変化量が減少しておらず、判断部113は、施設100内の対象者の状態が良好であると判断(推定)する。
【0047】
次に、図5に示す例について説明する。
【0048】
判断部113は、1つ目の算出期間T21及び2つ目の算出期間T22について、活動回数の変化量を算出する。算出期間T21では活動回数が「1」であり、算出期間T22では活動回数が「1」である。つまり、算出期間T21と算出期間T22との間では活動回数の変化は生じていない。判断部113は、算出期間T21,T22間における活動回数の変化量を「0」と算出する。
【0049】
また、判断部113は、2つ目の算出期間T22及び3つ目の算出期間T23について、活動回数の変化量を算出する。算出期間T22では活動回数が「1」であり、算出期間T23では活動回数が「1」である。つまり、算出期間T22と算出期間T23との間では活動回数の変化は生じていない。判断部113は、算出期間T22,T23間における活動回数の変化量を「0」と算出する。
【0050】
さらに、判断部113は、3つ目の算出期間T23及び4つ目の算出期間T24について、活動回数の変化量を算出する。算出期間T23では活動回数が「1」であり、算出期間T24では活動回数が「2」である。つまり、算出期間T24は、算出期間T23に対して活動回数が増加している。判断部113は、算出期間T23,T24間における活動回数の変化量を「1」と算出する。
【0051】
ここで、算出期間T21,T22間、算出期間T22,T23間、及び算出期間T23,T24間のいずれについても、活動回数の変化量が減少しておらず、判断部113は、施設100内の対象者の状態が良好であると判断(推定)する。
【0052】
このように、本実施形態に係る監視システム1では、監視対象10の種類に応じて判断手法を異ならせている。具体的には、監視対象10が照明器具81等の場合には、使用電力量の変化量が増加するとき、及び使用電力量の変化量が減少するときの両方を活動回数としてカウントしている。これに対して、監視対象10が調理機器82等の場合には、使用電力量の変化量が増加するときのみを活動回数としてカウントしている。このように、監視対象10ごとに異なる判断手法を行うことで、すべての監視対象10に対して同じ判断手法で判断する場合に比べて、施設100内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる。
【0053】
特に、監視対象10が調理機器82等の場合には、使用電力量の変化量が増加するときのみを活動回数としてカウントすることで、活動回数の算出ミスを低減することができる。
【0054】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、監視システム1と同様の機能は、監視方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。
【0055】
一態様に係る監視方法は、施設100内の対象者の状態を監視する方法である。監視方法は、取得ステップ(ステップS1)と、算出ステップ(ステップS2)と、判断ステップ(ステップS3~S6)と、を含む。取得ステップは、施設100における使用電力量のデータを複数の監視対象10の各々について取得するステップである。算出ステップは、第1期間における使用電力量に対する、第2期間における使用電力量の変化量を算出するステップである。第2期間は、第1期間と同じ長さであって第1期間よりも後の期間である。判断ステップは、複数の監視対象10のうち少なくとも一部の監視対象10について異なる判断手法で、複数の監視対象10の各々の状態を判断するステップである。
【0056】
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上述の監視方法を実行させるためのプログラムである。
【0057】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0058】
本開示における監視システム1は、例えば、制御部11に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における監視システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0059】
また、監視システム1の複数の構成要素が、1つの筐体内に集約されていることは監視システム1に必須の構成ではなく、監視システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、監視システム1の少なくとも一部の機能(例えば、制御部11)がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0060】
(5.1)変形例1
以下、変形例1に係る監視システム1の動作について、図6A図6B及び図7を参照して説明する。なお、変形例1に係る監視システム1では、第2算出部112の動作以外は上述の実施形態に係る監視システム1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
変形例1に係る監視システム1は、制御部11と、取得部12と、通信部13と、記憶部14と、設定部15と、を備えている。制御部11は、算出部としての第1算出部111と、第2算出部112と、判断部113と、を有している。
【0062】
図6Aは、時系列で連続する3つの期間t1~t3のうち期間t2内で電気機器80の動作の開始及び停止が行われている場合を示している。この場合、期間t1及び期間t3において電気機器80は停止している。なお、期間t1~t3の各々は、上述の実施形態で説明した第1期間又は第2期間である。つまり、期間t1~t3の各々の長さは、例えば30分である。
【0063】
図6Aによれば、使用電力量は、期間t1,t2間で閾値以上に変化(増加)しており、かつ期間t2,t3間で閾値以上に変化(減少)している。そのため、図6Aに示す例では、活動回数は「2」となる。しかしながら、この場合には、期間t2内で電気機器80の動作が完了しており、期間t3では電気機器80が動作していないため、活動回数は「1」とすることが好ましい。
【0064】
また、図6Bは、時系列で連続する3つの期間t1~t3のうち期間t2,t3に亘って一定の電力で電気機器80が動作している場合を示している。
【0065】
図6Bによれば、使用電力量は、期間t1,t2間で閾値以上に変化(増加)しており、かつ期間t2,t3間で閾値以上に変化(増加)している。そのため、図6Bに示す例では、活動回数は「2」となる。しかしながら、この場合には、電気機器80の動作は期間t2,t3に亘って継続しているため、活動回数は「1」とすることが好ましい。
【0066】
図7は、変形例1に係る監視システム1を構成する第2算出部112の動作を説明するための説明図である。図7に示す例では、4つの算出期間T31~T34について例示している。
【0067】
第2算出部112は、算出期間T31では、1つの期間(第1期間又は第2期間)内で電気機器80の動作の開始及び停止が行われる場合のみが含まれており、活動回数を「3」としている。また、第2算出部112は、算出期間T32でも、1つの期間内で電気機器80の動作の開始及び停止が行われる場合のみが含まれており、活動回数を「5」としている。
【0068】
一方、第2算出部112は、算出期間T33では、1つの期間内で電気機器80の動作の開始及び停止が行われる場合と、複数の期間に亘って電気機器80の動作が継続する場合とが含まれており、活動回数を「3」としている。また、第2算出部112は、算出期間T34でも、1つの期間内で電気機器80の動作の開始及び停止が行われる場合と、複数の期間に亘って電気機器80の動作が継続する場合とが含まれており、活動回数を「3」としている。
【0069】
変形例1に係る監視システム1では、上述のように、使用電力量の変化量が閾値以上となる期間が連続する場合には、連続する期間における活動回数を「1」としている。これにより、活動回数の算出ミスを低減することができる。
【0070】
(5.2)変形例2
判断部113は、例えば監視対象10が分岐回路70の場合には、分岐回路70ごとに設定される分岐回路情報に基づいて、監視対象10ごとに使用電力量の変化量を算出するか否かを判断してもよい。分岐回路情報は、例えば、分岐回路70の名称(リビング、洗濯機、トイレ、エアコン、キッチン等)である。例えば、分岐回路情報がキッチンである分岐回路70については調理機器82が接続されているため、判断部113は、使用電力量が増加する場合のみで第1算出部111に変化量を算出させる。また、分岐回路情報がリビングである分岐回路70については照明器具81、テレビ等が接続されているため、判断部113は、使用電力量の変化量が増加する場合、及び使用電力量の変化量が減少する場合の両方で第1算出部111に変化量を算出させる。さらに、日常的にほとんど使用されない電気機器80が接続されている分岐回路70については、判断部113は、使用電力量の変化量を算出する対象(算出対象)から除外する。
【0071】
この構成によれば、分岐回路70の分岐回路情報に応じて算出対象にするか否かを判断することができる。
【0072】
(5.3)変形例3
判断部113は、監視対象10ごとの使用電力量の変動パターンに基づいて、監視対象10ごとに使用電力量の変化量を算出するか否かを判断してもよい。例えば、監視対象10が調理機器82等の場合には、一定時間経過後に使用電力量が「0」になるような変動パターンになるため、判断部113は、上述のような変動パターンが検出された場合には、監視対象10が調理機器82等であると判断する。そして、この場合には、判断部113は、使用電力量の変化量が増加する場合のみで第1算出部111に上記変化量を算出させる。
【0073】
また、監視対象10が照明器具81等の場合には、調理機器82に比べて、使用電力量が一定となる期間が長くなるため、判断部113は、上述のような変動パターンが検出された場合には、監視対象10が照明器具81等であると判断する。そして、この場合には、判断部113は、使用電力量の変化量が増加する場合、及び上記変化量が減少する場合の両方で第1算出部111に上記変化量を算出させる。
【0074】
さらに、日常生活においてほとんど使用されない電気機器80、又はこの電気機器80が接続されている分岐回路70については、判断部113は、使用電力量の変化量を算出する対象(算出対象)から除外する。
【0075】
この構成によれば、監視対象10の使用電力量の変動パターンに応じて算出対象にするか否かを判断することができる。
【0076】
(5.4)変形例4
第2算出部112が算出する活動回数とセンサ90(図1参照)の検知結果とを組み合わせて対象者の状態を判断してもよい。変形例4では一例として、センサ90は人感センサ、開閉センサ等である。センサ90が人感センサの場合、人感センサによって施設100内にいる対象者を検知しつつ、活動回数に基づいて対象者の状態を判断することができる。また、センサ90が冷蔵庫に設けられた開閉センサの場合、冷蔵庫の開閉回数と活動回数とを組み合わせて対象者の状態を判断することができる。
【0077】
(5.5)変形例5
監視期間に応じて監視対象10が異なっていてもよい。例えば、監視対象(第1監視対象)10が調理機器82等の場合、調理機器82の動作時間は相対的に短いため、監視期間(第1監視期間)も相対的に短くなる。一方、監視対象(第2監視対象)10が照明器具81等の場合、照明器具81の動作時間は相対的に長いため、監視期間(第2監視期間)も相対的に長くなる。この構成によれば、監視対象10に応じて監視期間を設定することができる。
【0078】
(5.6)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0079】
上述の実施形態では、施設100が集合住宅の各住戸であるが、施設100は集合住宅の各住戸に限らず、例えば、戸建て住宅であってもよい。さらに、施設100は住宅に限らず、事務所、店舗、学校、又は介護施設等の非住宅施設であってもよい。
【0080】
上述の実施形態では、取得部12は、ネットワーク7を介して、計測ユニット41にて計測された消費電力量(使用電力量)を取得しているが、計測ユニット41が取得部であってもよい。つまり、取得部は、施設100における使用電力量を外部装置(計測ユニット41)から取得してもよいし、施設100における使用電力量を直接計測(取得)してもよい。
【0081】
上述の実施形態では、各分岐回路70に接続される電気機器80が1つであるが、複数の電気機器80が接続されていてもよい。この場合、ディスアグリゲーション技術を用いることで、複数の電気機器80が1つの分岐回路70に接続されていても、電気機器80ごとの使用電力量に分離することができる。
【0082】
上述の実施形態では、算出期間T11~T14が4つであるが、算出期間の個数は4つに限らず、例えば、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0083】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る監視システム(1)は、施設(100)内の対象者の状態を監視する監視システム(1)である。監視システム(1)は、取得部(12)と、算出部(111)と、判断部(113)と、を備える。取得部(12)は、施設(100)における使用電力量のデータを複数の監視対象(10)の各々について取得する。算出部(111)は、第1期間における使用電力量に対する、第2期間における使用電力量の変化量を算出する。第2期間は、第1期間と同じ長さであって第1期間よりも後の期間である。判断部(113)は、複数の監視対象(10)のうち少なくとも一部の監視対象(10)について異なる判断手法で、複数の監視対象(10)の各々の状態を判断する。
【0084】
この態様によれば、複数の監視対象(10)のすべてについて同じ判断手法で判断する場合に比べて、施設(100)内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる。
【0085】
第2の態様に係る監視システム(1)は、第1の態様において、判断部(113)は、複数の監視対象(10)の各々について互いに異なる判断手法で、複数の監視対象(10)の各々の状態を判断する。
【0086】
この態様によれば、複数の監視対象(10)のすべてについて同じ判断手法で判断する場合に比べて、施設(100)内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる。
【0087】
第3の態様に係る監視システム(1)では、第1又は2の態様において、判断手法は、複数の監視対象(10)のうち対応する監視対象(10)について設定される閾値と変化量とを比較することを含む。
【0088】
この態様によれば、閾値と変化量とを比較するだけで監視対象(10)の状態を判断することができる。
【0089】
第4の態様に係る監視システム(1)では、第1~3のいずれかの態様において、判断手法は、変化量が増加する場合のみに基づいて複数の監視対象(10)の各々の状態を判断するか否かを複数の監視対象(10)の各々について設定することを含む。
【0090】
この態様によれば、監視対象(10)の状態の判断ミスを低減することができる。
【0091】
第5の態様に係る監視システム(1)は、第1~4のいずれかの態様において、第2算出部(112)を更に備える。第2算出部(112)は、算出部としての第1算出部(111)とは異なる。第2算出部(112)は、所定の算出期間(T11~T14;T21~T24;T31~T34)において、変化量が複数の監視対象(10)の各々について設定された閾値以上となる回数である活動回数を算出する。
【0092】
この態様によれば、各監視対象(10)の活動回数を、施設(100)内の対象者の活動回数とみなすことができる。
【0093】
第6の態様に係る監視システム(1)は、第5の態様において、通知部(13)を更に備える。通知部(13)は、算出期間(T11~T14;T21~T24;T31~T34)における活動回数に応じて外部システム(2)に通知を行う。
【0094】
この態様によれば、施設(100)内の対象者の状態を外部システム(2)に通知することができる。
【0095】
第7の態様に係る監視システム(1)では、第1~6のいずれかの態様において、複数の監視対象(10)の各々は分岐回路(70)である。判断部(113)は、複数の分岐回路(70)の各々について設定された分岐回路情報に基づいて、複数の分岐回路(70)の各々について変化量を算出するか否かを判断する。
【0096】
この態様によれば、監視対象(10)になり得ない分岐回路(70)については変化量を算出しなくてもよく、算出部(111)の処理負担を軽減することができる。
【0097】
第8の態様に係る監視システム(1)では、第1~6のいずれかの態様において、判断部(113)は、使用電力量の変動パターンに基づいて、複数の監視対象(10)の各々について変化量を算出するか否かを判断する。
【0098】
この態様によれば、各監視対象(10)の使用電力量の変動パターンに基づいて、各監視対象(10)について変化量を算出するか否かを決定することができる。
【0099】
第9の態様に係る監視システム(1)は、第1~8のいずれかの態様において、第2算出部(112)を更に備える。第2算出部(112)は、算出部としての第1算出部(111)とは異なる。第2算出部(112)は、所定の算出期間(T11~T14;T21~T24;T31~T34)において、変化量が複数の監視対象(10)の各々について設定された閾値以上となる回数である活動回数を算出する。第2算出部(112)は、変化量が閾値以上となる期間が連続する場合には、連続する期間における活動回数を1とする。
【0100】
この態様によれば、活動回数の算出ミスを低減することができる。
【0101】
第10の態様に係る監視システム(1)は、第1~9のいずれかの態様において、設定部(15)を更に備える。設定部(15)は、複数の監視対象(10)の各々について判断部(113)の判断対象にするか否かを設定する。
【0102】
この態様によれば、監視対象(10)ごとに判断部(113)の判断対象にするか否かを設定することができる。
【0103】
第11の態様に係る監視システム(1)では、第1~10のいずれかの態様において、第1監視対象(10)と第2監視対象(10)とが異なる。第1監視対象(10)は、複数の監視対象(10)のうち第1監視期間において監視される監視対象(10)である。第2監視対象(10)は、複数の監視対象(10)のうち第1監視期間よりも長い第2監視期間において監視される監視対象(10)である。
【0104】
この態様によれば、監視対象(10)に応じて監視期間を設定することができる。
【0105】
第12の態様に係る監視方法は、施設(100)内の対象者の状態を監視する監視方法である。監視方法は、取得ステップ(S1)と、算出ステップ(S2)と、判断ステップ(S3~S6)と、を含む。取得ステップ(S1)は、施設(100)における使用電力量のデータを複数の監視対象(10)の各々について取得するステップである。算出ステップ(S2)は、第1期間における使用電力量に対する、第2期間における使用電力量の変化量を算出するステップである。第2期間は、第1期間と同じ長さであって第1期間よりも後の期間である。判断ステップ(S3~S6)は、複数の監視対象(10)のうち少なくとも一部の監視対象(10)について異なる判断手法で、複数の監視対象(10)の各々の状態を判断するステップである。
【0106】
この態様によれば、複数の監視対象(10)のすべてについて同じ判断手法で判断する場合に比べて、施設(100)内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる。
【0107】
第13の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様に係る監視方法を実行させるためのプログラムである。
【0108】
この態様によれば、複数の監視対象(10)のすべてについて同じ判断手法で判断する場合に比べて、施設(100)内の対象者の状態の判定精度の低下を抑えることができる。
【0109】
第14の態様に係る監視システム(1)は、施設(100)内の対象者の状態を監視する監視システム(1)である。監視システム(1)は、取得部(12)と、第1算出部(111)と、第2算出部(112)と、を備える。取得部(12)は、施設(100)における使用電力量のデータを複数の監視対象(10)の各々について取得する。第1算出部(111)は、第1期間における使用電力量に対する、第2期間における使用電力量の変化量を算出する。第2期間は、第1期間と同じ長さであって第1期間よりも後の期間である。第2算出部(112)は、所定の算出期間(T11~T14;T21~T24;T31~T34)において、変化量が複数の監視対象(10)の各々について設定された閾値以上となる回数である活動回数を算出する。第2算出部(112)は、変化量が閾値以上となる期間が連続する場合には、連続する期間における活動回数を1とする。
【0110】
この態様によれば、活動回数の算出ミスを低減することができる。
【0111】
第2~11の態様に係る構成については、監視システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 監視システム
12 取得部
13 通信部(通知部)
15 設定部
111 第1算出部(算出部)
112 第2算出部
113 判断部
2 外部システム
10 監視対象
70 分岐回路(監視対象)
100 施設
S1 ステップ(取得ステップ)
S2 ステップ(算出ステップ)
S3~S6 ステップ(判断ステップ)
T11~T14,T21~T24,T31~T34 算出期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7