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特許7217434進入管理システム、進入管理方法、携帯装置、進入通知方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】進入管理システム、進入管理方法、携帯装置、進入通知方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/29 20200101AFI20230127BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
G07C9/29
E05B49/00 K
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020548010
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2019026524
(87)【国際公開番号】W WO2020066202
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2018186017
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 至生
(72)【発明者】
【氏名】王 燕峰
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/109033(WO,A1)
【文献】特開2010-126898(JP,A)
【文献】特開2014-214572(JP,A)
【文献】特開2015-227594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
E05B 49/00-49/04
G07B 11/00-17/04
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1受信範囲を有し、携帯装置の識別情報を含んで定期的に送信される第1無線信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有し、定期的に送信される第2無線信号を受信する第2受信部と、
前記第1受信部で前記第1無線信号を受信した後に前記第2受信部で前記第2無線信号を受信すると、前記第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置が前記第2受信範囲内にあると判定する判定部と、
を備え
前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる、
進入管理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1受信部で前記第1無線信号を受信してから所定時間内に前記第2受信部で前記第2無線信号を受信した場合に、前記第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置が前記第2受信範囲内にあると判定する、
請求項1の進入管理システム。
【請求項3】
前記第1無線信号の媒体は、電波であり、
前記第2無線信号の媒体は、電波以外の無線媒体である、
請求項1又は2の進入管理システム。
【請求項4】
前記第1無線信号の媒体は、近距離無線通信に適合する電波である、
請求項3の進入管理システム。
【請求項5】
前記第2無線信号の媒体は、音波である、
請求項3又は4の進入管理システム。
【請求項6】
前記第2無線信号の媒体は、超音波である、
請求項5の進入管理システム。
【請求項7】
認証部を更に備え、
前記第2無線信号は、携帯装置の識別情報を含み、
前記認証部は、前記第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置が前記第2受信範囲内にあると前記判定部が判定した場合に、認証処理を行い、
前記認証処理は、前記第2無線信号に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれているかどうかを判定する処理である、
請求項1~6のいずれか一つの進入管理システム。
【請求項8】
前記認証部は、前記第1受信部で受信された第1無線信号に含まれる識別情報が前記識別情報のリストに含まれていれば、前記第1無線信号に含まれる識別情報を認証候補のリストに含め、
前記認証部は、前記認証処理では、前記第2無線信号に含まれる識別情報が前記認証候補のリストに含まれているかどうかを判定する、
請求項7の進入管理システム。
【請求項9】
前記所定領域に対応して設けられた制御機器を更に備え、
前記制御機器は、前記認証部での前記認証処理の結果に応じた動作を行う、
請求項7又は8の進入管理システム。
【請求項10】
前記第2受信範囲より広い送信範囲を有する送信部を更に備え、
前記判定部は、前記第1受信部で前記第1無線信号を受信すると、前記第2無線信号の送信を要求する第3無線信号を前記送信部から送信する、
請求項1~9のいずれか一つの進入管理システム。
【請求項11】
第1受信範囲を有する第1受信部で、携帯装置の識別情報を含んで定期的に送信される第1無線信号を受信し、
前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有する第2受信部で、定期的に送信される第2無線信号を受信し、
判定部は、前記第1受信部で前記第1無線信号を受信した後に前記第2受信部で前記第2無線信号を受信すると、前記第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置が前記第2受信範囲内にあると判定し、
前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる、
進入管理方法。
【請求項12】
第1受信範囲を有する第1受信部で受信可能な、携帯装置の識別情報を含む第1無線信号を定期的に送信する第1送信部と、
前記第1無線信号が前記第1受信部で受信されてから、前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有する第2受信部で受信可能な第2無線信号を定期的に送信する第2送信部と、
を備え、
前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる、
携帯装置。
【請求項13】
第1受信範囲を有する第1受信部で受信可能な、携帯装置の識別情報を含む第1無線信号を定期的に送信し、
前記第1無線信号が前記第1受信部で受信されてから、前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有する第2受信部で受信可能な第2無線信号を定期的に送信し、
前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる、
進入通知方法。
【請求項14】
1以上のプロセッサに、請求項11の進入管理方法を実行させるための、
プログラム。
【請求項15】
1以上のプロセッサに、請求項13の進入通知方法を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、進入管理システム、進入管理方法、携帯装置、進入通知方法、及び、プログラムに関する。特に、本開示は、所定領域への進入を管理するための、進入管理システム、進入管理方法、携帯装置、進入通知方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、入退場管理システムを開示する。特許文献1では、自動ドアや電気錠などの電気的な制御によって入退場口の通行を制御する通行制御手段と、個人識別情報を記憶するIDカードと、ドア近傍に設けられたRFIDリーダによる認証を行う。また、出入口近傍を監視する上方設置カメラにより撮影された画像から人物を判別し人物シンボルが仮想空間座標上でどの様に移動したかを追跡する手段を用いる。
【0003】
特許文献1の入退場管理システム(進入管理システム)では、画像処理によって、出入口近傍(所定領域)に接近する人物(携帯装置)の特定を行っている。しかしながら、このような画像処理は複雑な処理を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-236183号公報
【発明の概要】
【0005】
課題は、所定領域に接近する携帯装置の特定が容易に行える、進入管理システム、進入管理方法、携帯装置、進入通知方法、及び、プログラムを提供することである。
【0006】
本開示の一態様の進入管理システムは、第1受信部と、第2受信部と、判定部と、を備える。前記第1受信部は、第1受信範囲を有し、携帯装置の識別情報を含んで定期的に送信される第1無線信号を受信する。前記第2受信部は、前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有し、定期的に送信される第2無線信号を受信する。前記判定部は、前記第1受信部で前記第1無線信号を受信した後に前記第2受信部で前記第2無線信号を受信すると、前記第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置が前記第2受信範囲内にあると判定する。前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる。
【0007】
本開示の一態様の進入管理方法は、第1受信範囲を有する第1受信部で、携帯装置の識別情報を含んで定期的に送信される第1無線信号を受信し、前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有する第2受信部で、定期的に送信される第2無線信号を受信する。前記進入管理方法では、判定部は、前記第1受信部で前記第1無線信号を受信した後に前記第2受信部で前記第2無線信号を受信すると、前記第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置が前記第2受信範囲内にあると判定する。前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる。
【0008】
本開示の一態様の携帯装置は、第1送信部と、第2送信部と、を備える。前記第1送信部は、第1受信範囲を有する第1受信部で受信可能な、携帯装置の識別情報を含む第1無線信号を定期的に送信する。前記第2送信部は、前記第1無線信号が前記第1受信部で受信されてから、前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有する第2受信部で受信可能な第2無線信号を定期的に送信する。前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる。
【0009】
本開示の一態様の進入通知方法は、第1受信範囲を有する第1受信部で受信可能な、携帯装置の識別情報を含む第1無線信号を定期的に送信する。前記進入通知方法は、前記第1無線信号が前記第1受信部で受信されてから、前記第1受信範囲よりも所定領域に近い範囲に設定された第2受信範囲を有する第2受信部で受信可能な第2無線信号を定期的に送信する。前記第2無線信号は、前記第1無線信号とは媒体が異なる。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、前記進入管理方法を実行させるための、プログラムである。
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、前記進入通知方法を実行させるための、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態の進入管理システムのブロック図である。
図2図2は、上記進入管理システムの概略説明図である。
図3図3は、一実施形態の携帯装置のブロック図である。
図4図4は、上記進入管理システムの動作の一例のフローチャートである。
図5図5は、上記携帯装置の動作の一例のフローチャートである。
図6図6は、上記進入管理システム及び上記携帯装置の動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
1.1 概要
図1は、本開示の一実施形態の進入管理システム10のブロック図を示す。進入管理システム10は、第1受信部21と、第2受信部22と、判定部241と、を備える。第1受信部21は、図2に示すように、第1受信範囲D10を有し、携帯装置40の識別情報を含む第1無線信号W10を受信する。第2受信部22は、第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲に設定された第2受信範囲D20を有し、第2無線信号W20を受信する。判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した後に第2受信部22で第2無線信号W20を受信すると、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定する。
【0013】
進入管理システム10では、第2受信範囲D20よりも所定領域R10から遠い第1受信範囲D10で、第1無線信号を受信して携帯装置40の識別情報を取得する。この場合に、第2受信範囲D20で第2無線信号を受信するのは、携帯装置40が第1受信範囲D10から第2受信範囲D20に進入してきたときである。このように、進入管理システム10では、無線信号を受信したかどうかの比較的容易な処理によって、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が可能である。したがって、進入管理システム10によれば、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0014】
1.2 詳細
以下、進入管理システム10及び携帯装置40について更に詳細に説明する。進入管理システム10及び携帯装置40は、携帯装置40を携帯するユーザP10が所定領域R10に進入することを許可又は禁止するためのシステムを構成する。
【0015】
1.2.1 進入管理システム
進入管理システム10は、図1に示すように、制御システム20と、制御機器30と、を備えている。
【0016】
制御機器30は、制御システム20によって制御される機器である。制御機器30は、所定領域R10に対応して設けられている。本実施形態では、制御機器30は、所定領域R10への人の進入を制限するためのゲート装置である。図2に示すように、制御機器30は、所定領域R10の境界線の近傍に設置されている。制御機器30は、図2に示すように、複数(図示例では2つ)のゲート31(311,312)を含む。制御機器30は、ゲート31を開閉する機能、及び、警報を鳴らす機能を有している。このようなゲート装置は、典型的には、駅の改札、オフィスビルのエントランス、その他の通行許可の有る人物しか通したくない場所に設置される。
【0017】
制御システム20は、図1に示すように、第1受信部21と、第2受信部22と、送信部23と、処理部24と、を備える。
【0018】
第1受信部21は、無線信号を受信するための装置である。第1受信部21は、図2に示すように、第1受信範囲D10を有する。第1受信範囲D10は、所定領域R10への携帯装置40の接近を検知するために設定されている。第1受信部21は、携帯装置40の識別情報を含む第1無線信号W10(図2参照)を受信する。本実施形態では、第1無線信号W10の媒体は、電波である。特に、第1無線信号W10の媒体は、近距離無線通信に適合する電波である。近距離無線通信の例としては、Bluetooth(登録商標)が挙げられ、特に、Bluetooth Low Energy(BLE)が利用可能である。第1受信部21は、アンテナ及び受信回路を含み得る。第1受信部21は、所定領域R10の外部から所定領域R10の内部に向かう携帯装置40から第1無線信号W10を受信できるように配置される。図2では、第1受信部21は、制御機器30に設置されている。
【0019】
第2受信部22は、無線信号を受信するための装置である。第2受信部22は、図2に示すように、第2受信範囲D20を有する。第2受信範囲D20は、第1受信範囲D10よりも所定領域に近い範囲に設定されている。ここで、「第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲」とは、無線信号を受信可能かどうかの境界が第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲といってよい。つまり、第1受信範囲D10及び第2受信範囲D20は、携帯装置40が第2受信範囲D20に進入するまでに、第1受信部21が携帯装置40から第1無線信号W10を受信できるように設定されていればよい。本実施形態では、第1受信範囲D10は、第2受信範囲D20の全体を含んでいるため、第2受信範囲D20においても、第1受信部21は第1無線信号W10を受信できる。しかしながら、第1受信範囲D10は、必ずしも第2受信範囲D20を含む必要はない。言い換えれば、第1受信部21は、第2受信範囲D20内では、第1無線信号W10を受信しなくてよい。
【0020】
第2受信部22は、第2無線信号W20を受信する。第2無線信号W20は、第1無線信号W10とは媒体が異なる。本実施形態では、第1無線信号W10の媒体は、電波であるから、第2無線信号W20の媒体は、電波以外の無線媒体である。特に、第2無線信号W20の媒体は、音波である。本実施形態では、第2無線信号W20の媒体は、超音波である。第2受信部22は、超音波センサ及び復調回路を含み得る。第2受信部22は、所定領域R10の外部から所定領域R10の内部に向かう携帯装置40から第2無線信号W20を受信できるように配置される。図2では、第2受信部22は、制御機器30に設置されている。特に、図2に示すように、本実施形態では、制御システム20は、複数(図示例では2つ)の第2受信部22(221,222)を備える。2つの第2受信部221,222は、制御機器30のゲート311,312にそれぞれ対応して設けられている。より詳細には、第2受信部221の第2受信範囲D20(D21)は、ゲート311の前方にあり、第2受信部222の第2受信範囲D20(D22)は、ゲート312の前方にある。
【0021】
送信部23は、無線信号を送信するための装置である。送信部23は、所定領域R10に接近する携帯装置40に進入管理システム10から無線信号(第3無線信号)を送るために設けられている。送信部23は、第2受信範囲D20より広い送信範囲を有している。つまり、送信範囲は、携帯装置40が第2受信範囲D20に進入する前に、進入管理システム10からの第3無線信号を携帯装置40が受信できるように設定されている。本実施形態では、送信部23の送信範囲は、第1受信範囲D10に等しい。送信範囲は、第2受信範囲D20より広く、第1受信範囲D10以下であれば十分である。本実施形態では、第3無線信号の媒体は、電波である。特に、第3無線信号の媒体は、近距離無線通信に適合する電波である。近距離無線通信の例としては、Bluetooth(登録商標)が挙げられ、特に、Bluetooth Low Energy(BLE)が利用可能である。送信部23は、アンテナ及び送信回路を含み得る。送信部23は、所定領域R10の外部から所定領域R10の内部に向かう携帯装置40が第3無線信号を受信できるように配置される。送信部23は、制御機器30に設置される。なお、第1受信部21と送信部23とは、アンテナを共用してよいから、同じ通信インタフェースにより実現され得る。
【0022】
処理部24は、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部24として機能する。プログラムは、ここでは処理部12のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0023】
処理部24は、図1に示すように、判定部241と、認証部242と、を有している。図1において、判定部241と認証部242とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部24によって実現される機能を示している。
【0024】
判定部241は、携帯装置40の識別情報と位置とを紐付ける処理を行う。具体的には、判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信すると、第3無線信号を送信部23から送信する。第3無線信号は、(携帯装置40に)第2無線信号W20の送信を要求するための無線信号である。第3無線信号は、ブロードキャストやマルチキャストされてよいが、第1無線信号W10に含まれる識別情報を持つ携帯装置40に宛てて送信されるとよい。これによって、携帯装置40が第2無線信号W20の送信を開始する。つまり、進入管理システム10が第2受信範囲D20内から携帯装置40を検出可能な状態となる。
【0025】
更に、判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信したタイミングから、所定時間のカウントを開始する。なお、所定時間のカウントの開始は厳密な意味で第1無線信号W10を第1受信部21で受信したタイミングである必要はなく、多少ずれてもよいし、送信部23から第3無線信号を送信したタイミングからカウントしてもよい。また、所定時間は、ユーザP10が第1受信範囲D10から第2受信範囲D20に到達する時間を考慮して適宜設定され得る。
【0026】
判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信してから所定時間内に第2受信部22で第2無線信号W20を受信した場合に、第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定する。逆に、判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信してから所定時間経過しても第2受信部22で第2無線信号W20を受信しなければ、第1無線信号に含まれる識別情報を有する携帯装置40は第2受信範囲D20に進入しなかったと判断する。
【0027】
このようにして、判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した後に第2受信部22で第2無線信号W20を受信すると、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定する。本実施形態では、第2受信部22が2つある。そのため、判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した後には、複数の第2受信部22のいずれで第2無線信号W20を受信したかどうかを判定する。判定部241は、第2無線信号W20を受け取った第2受信部22の第2受信範囲D20内に、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40があると判定する。
【0028】
認証部242は、携帯装置40を携帯するユーザP10の所定領域R10への進入を許可するかどうかを決定する。認証部242は、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定部241が判定した場合に、認証処理を行う。認証処理は、第2無線信号W20に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれているかどうかを判定する処理である。認証処理では、第2無線信号W20に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれていれば、認証処理の結果は、認証成功となる。一方、第2無線信号W20に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれていなければ、認証処理の結果は、認証失敗となる。本実施形態では、識別情報のリストは、所定領域R10への進入を許可するユーザに対応する携帯装置40の識別情報のリストである。識別情報のリストは、予め用意されている。なお、識別情報のリストは、進入管理システム10が記憶していてもよいが、外部のサーバ等に記憶されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、認証部242は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した段階で、抽出処理を行う。抽出処理は、認証処理で利用する認証候補のリストを編集する処理である。具体的には、抽出処理では、認証部242は、第1受信部21で受信された第1無線信号W10に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれているかどうかを判定する。そして、第1受信部21で受信された第1無線信号W10に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれていれば、認証部242は、第1無線信号W10に含まれる識別情報を認証候補のリストに含める。そして、認証部242は、認証処理では、第2無線信号W20に含まれる識別情報が認証候補のリストに含まれているかどうかを判定する。この場合の認証処理では、第2無線信号W20に含まれる識別情報が認証候補のリストに含まれていれば、認証処理の結果は、認証成功となる。一方、第2無線信号W20に含まれる識別情報が認証候補のリストに含まれていなければ、認証処理の結果は、認証失敗となる。予め認証候補のリストを用意しておくことで、認証処理にかかる時間を短縮可能である。なお、認証処理の終了後には、認証処理の対象となった識別情報は、認証候補のリストから除外され得る。
【0030】
認証部242は、認証処理の結果(例えば、認証成功、認証失敗)を制御機器30及び携帯装置40に通知する。なお、認証処理の結果の携帯装置40への通知は必須ではない。
【0031】
上述の制御機器30は、認証部242での認証処理の結果に応じた動作を行う。本実施形態では、制御機器30は、認証処理の結果に応じて、ゲート31の開放を許可するかどうかを決定する。例えば、制御機器30は、進入管理システム10から認証成功の通知を受け取ると、ゲート31の開放を許可してよい。本実施形態では、制御機器30は複数のゲート311,312を有しているから、携帯装置40が存在する第2受信範囲D20に対応するゲート31の開放を許可してよい。一方、制御機器30は、進入管理システム10から認証失敗の通知を受け取ると、ゲート31の開放を許可しない。また、制御機器30は、認証処理の結果に応じた通知を実行してよい。制御機器30は、進入管理システム10から認証成功の通知を受け取ると、聴覚的及び/又は視覚的な通知により、認証成功を通知してよい。また、制御機器30は、進入管理システム10から認証失敗の通知を受け取ると、聴覚的及び/又は視覚的な通知により、認証失敗を通知してよい。
【0032】
1.2.2 携帯装置
携帯装置40は、所定領域R10へのユーザP10の進入の可否の判定に用いられ得る。携帯装置40は、図3に示すように、第1送信部41と、第2送信部42と、受信部43と、処理部44と、を備える。第1送信部41、第2送信部42、受信部43、及び処理部44は、同一の筐体に収容され得る。携帯装置40は、ユーザP10が携帯可能な大きさ及び重さである。携帯装置40は、例えば、ビーコンである。また、携帯装置40は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の携帯端末、又はパーソナルコンピュータにより実現され得る。
【0033】
第1送信部41は、第1受信部21で受信可能な無線信号(第1無線信号W10)を送信するための装置である。上述したように、第1無線信号W10の媒体は電波であるから、第1送信部41は、アンテナ及び送信回路を含み得る。第1送信部41は、第1受信部21と同じ通信規約で無線信号を送信する機能を有する。このような第1送信部41によれば、携帯装置40の識別情報を含む電波(第1無線信号W10)を送信できる。
【0034】
第2送信部42は、第2受信部22で受信可能な無線信号(第2無線信号W20)を送信するための装置である。上述したように、第2無線信号W20の媒体は超音波であるから、第2送信部42は、超音波トランスミッタ及び変調回路を含み得る。このような第2送信部42によれば、携帯装置40の識別情報を含む超音波(第2無線信号W20)を送信ができる。
【0035】
受信部43は、無線信号を受信するための装置である。受信部43は、進入管理システム10から無線信号(第3無線信号)を受け取るために設けられている。本実施形態では、第3無線信号の媒体は電波であるから、受信部43は、アンテナ及び受信回路を含み得る。なお、第1送信部41と受信部43とは、アンテナを共用してよいから、同じ通信インタフェースにより実現され得る。
【0036】
処理部44は、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部44として機能する。プログラムは、ここでは処理部44のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
処理部44は、第1モードと第2モードとを含む複数のモードを有している。第1モードは、第1送信部41から第1無線信号W10を送信するモードである。第1モードは、携帯装置40が所定領域R10から遠い場所にある場合のモード(遠距離モード)であるといえる。本実施形態では、処理部44は、第1モードにおいて、定期的に(一例としては、500m秒以下の間隔で)、第1送信部41から第1無線信号W10を送信する。第1モードでは、処理部44は、第2送信部42から第2無線信号W20を送信しない。第1無線信号W10には、携帯装置40の識別情報が含まれている。処理部44は、受信部43で第3無線信号を受信すると、第1モードから第2モードに切り替わる。第2モードは、第2送信部42から第2無線信号W20を送信するモードである。第2モードは、携帯装置40が所定領域R10に近い場所にある場合のモード(近距離モード)であるといえる。本実施形態では、処理部44は、第2モードにおいて、定期的に(一例としては、500m秒以下の間隔で)、第2送信部42から第2無線信号W20を送信する。本実施形態では、第2無線信号W20にも、携帯装置40の識別情報が含まれている。処理部44は、進入管理システム10から認証成功の通知を受け取ると、第2モードから第1モードに切り替わってよい。また、処理部44は、第2モードの開始から一定の時間が経過すると自動的に第1モードに復帰してよい。
【0038】
1.3 動作
1.3.1 進入管理システム
まず、進入管理システム10の動作について図4を参照して説明する。進入管理システム10の制御システム20は、携帯装置40からの第1無線信号W10を待ち受けている(S11)。第1受信部21で第1無線信号W10を受信すると(S11:YES)、判定部241は、送信部23から第3無線信号(第2無線信号W20の送信要求)を送信して(S12)、携帯装置40からの第2無線信号W20を待ち受ける(S13)。第1無線信号W10の受信から所定時間内に第2無線信号W20を第2受信部22で受け取ると(S12:YES)、判定部241は、第1無線信号W10に含まれている識別情報を持つ携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定する(S14)。そして、認証部242は、認証処理を開始し、第2無線信号W20に含まれている識別情報が識別情報のリスト(認証候補のリスト)に含まれているかどうかを判定する(S15)。第2無線信号W20に含まれている識別情報が識別情報のリストに含まれていれば(S15:YES)、認証部242は、認証成功の通知をし、制御機器30が所定領域R10への進入を許可する(S16)。一方で、第2無線信号W20に含まれている識別情報が識別情報のリストに含まれていなければ(S15:NO)、認証部242は、認証失敗の通知をし、制御機器30が所定領域R10への進入を不許可とする(S17)。
【0039】
1.3.2 携帯装置
次に、携帯装置40の動作について図5を参照して説明する。携帯装置40では、最初は、処理部44は第1モードであり、第1無線信号W10を定期的に第1送信部41から送信する。処理部44は、第1無線信号W10を第1送信部41から送信すると(S21)、進入管理システム10からの第3無線信号を待ち受ける(S22)。進入管理システム10からの第3無線信号を受信部43で受信すると(S22:YES)、処理部44は、第1モードから第2モードに切り替わり、第2送信部42から第2無線信号W20を定期的に送信する(S23)。
【0040】
1.3.3 全体
更に、進入管理システム10及び携帯装置40を含む全体のシステムの動作について図2及び図6を参照して説明する。ここでは、携帯装置40を携帯するユーザP10が、第1受信範囲D10の外から所定領域R10に向かう場面を想定する。
【0041】
ユーザP10が第1受信範囲D10外にいるとき(図2参照)、ユーザP10の携帯する携帯装置40は第1無線信号W10を定期的に送信しているが、進入管理システム10の制御システム20は第1無線信号W10を第1受信部21で受信できない。ユーザP10が第1受信範囲D10に入ると(図2参照)、制御システム20は、携帯装置40からの第1無線信号W10を第1受信部21で受信し、受信した第1無線信号W10の送信先の携帯装置40に宛てて第3無線信号を送信する(図6参照)。第3無線信号の受信に応答して、携帯装置40は、第2無線信号W20の送信を開始する(図6参照)。この後に、ユーザP10が第2受信範囲D20に入ると(図2参照)、進入管理システム10は、携帯装置40から第2無線信号W20を第2受信部22で受信する。これによって、制御システム20は、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定して、認証処理を開始し、認証処理の結果を制御機器30及び携帯装置40に通知する(図6参照)。図2では、認証処理の結果が認証成功であるユーザP10を「〇」印で示している。
【0042】
1.4 まとめ
以上述べた進入管理システム10は、図1に示すように、第1受信部21と、第2受信部22と、判定部241と、を備える。第1受信部21は、第1受信範囲D10を有し、携帯装置40の識別情報を含む第1無線信号W10を受信する。第2受信部22は、第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲に設定された第2受信範囲D20を有し、第2無線信号W20を受信する。判定部241は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した後に第2受信部22で第2無線信号W20を受信すると、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定する。このような進入管理システム10によれば、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0043】
換言すれば、進入管理システム10は、次の方法(進入管理方法)を実行しているといえる。進入管理方法は、第1受信範囲D10を有する第1受信部21で、携帯装置40の識別情報を含む第1無線信号W10を受信する。進入管理方法は、第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲に設定された第2受信範囲D20を有する第2受信部22で、第2無線信号W20を受信する。進入管理方法は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した後に第2受信部22で第2無線信号W20を受信すると、第1無線信号W10に含まれる識別情報を有する携帯装置40が第2受信範囲D20内にあると判定する。このような進入管理方法によれば、進入管理システム10と同様に、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0044】
進入管理システム10は、1以上のプロセッサにより実現されている。つまり、進入管理システム10は、1以上のプロセッサがプログラム(進入管理プログラム)を実行することにより実現される。このプログラムは、1以上のプロセッサに、進入管理方法を実行させるためのプログラムである。このようなプログラムによれば、進入管理方法と同様に、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0045】
また、携帯装置40は、図3に示すように、第1送信部41と、第2送信部42と、を備える。第1送信部41は、第1受信範囲D10を有する第1受信部21で受信可能な、携帯装置40の識別情報を含む第1無線信号W10を送信する。第2送信部42は、第1無線信号W10が第1受信部21で受信されてから、第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲に設定された第2受信範囲D20を有する第2受信部22で受信可能な第2無線信号W20を送信する。このような携帯装置40によれば、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0046】
換言すれば、携帯装置40は、次の方法(進入通知方法)を実行しているといえる。進入通知方法は、第1受信範囲D10を有する第1受信部21で受信可能な、携帯装置40の識別情報を含む第1無線信号W10を送信する。進入通知方法は、第1無線信号W10が第1受信部21で受信されてから、第1受信範囲D10よりも所定領域R10に近い範囲に設定された第2受信範囲D20を有する第2受信部22で受信可能な第2無線信号W20を送信する。このような進入通知方法によれば、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0047】
携帯装置40は、1以上のプロセッサにより実現されている。つまり、携帯装置40は、1以上のプロセッサがプログラム(進入通知プログラム)を実行することにより実現される。このプログラムは、1以上のプロセッサに、進入通知方法を実行させるためのプログラムである。このようなプログラムによれば、進入通知方法と同様に、所定領域R10に接近する携帯装置40の特定が容易に行える。
【0048】
2.変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
【0049】
一変形例では、第1無線信号の媒体は、電波に限定されない。同様に、第2無線信号の媒体も、超音波に限定されない。第1無線信号及び第2無線信号の媒体は、電波、赤外線、可視光、音波、超音波等から選択され得る。ただし、第1無線信号と第2無線信号とは異なる媒体であるとよい。
【0050】
一変形例では、進入管理システム10の第1受信部21の数は1つではなく、2以上であってよい。同様に、進入管理システム10の第2受信部22の数も2ではなく、1又は3以上でもよい。また、進入管理システム10は、第1受信部21及び第2受信部22に加えて、更に1以上の追加の受信部を有していてよい。1以上の追加の受信部は、第1受信範囲D10より所定領域R10に近く、第2受信範囲D20より所定領域R10から遠い範囲に、受信範囲が設定されていてよい。進入管理システム10は、第1受信部21で第1無線信号W10を受信した携帯装置40に対して、1以上の追加の受信部で受信可能な無線信号の要求を行い、1以上の追加の受信部で無線信号を受け取った際に、第3無線信号を送信してよい。このようにすれば、所定領域R10に接近する携帯装置40を段階的に絞り込むことができる。ここで、1以上の追加の受信部で受信可能な無線信号の媒体は、第1無線信号W10及び第2無線信号W20と異なっているとなおよい。
【0051】
一変形例では、進入管理システム10(判定部241)は、第1無線信号W10を受信するまでは、第2受信部22の動作を停止させていてもよい。あるいは、進入管理システム10(判定部241)は、第1無線信号W10を受信してから、第2受信部22の受信感度を高くしたりして、第2無線信号W20を受信しやすくしてよい。
【0052】
一変形例では、進入管理システム10(判定部241)は、定期的にポーリング信号を送信部23から送信してよい。この場合、携帯装置40(処理部44)は、送信部23でのポーリング信号の受信に応答して、第1無線信号W10を送信してよい。つまり、携帯装置40(処理部44)は、必ずしも、第1無線信号W10を自発的に送信する必要はない。
【0053】
一変形例では、進入管理システム10(判定部241)は、第3無線信号の送信後は、第3無線信号の送信先の携帯装置40からの第1無線信号W10を、所定時間のあいだは無視してよい。判定部241は、所定時間の経過後に、第1無線信号W10を受信すると、再度、第3無線信号を送ってよい。
【0054】
一変形例では、携帯装置40の処理部44は、第2モードでは、第1無線信号W10の送信を停止したり、送信間隔を長くしたり、強度を低下させたりしてよい。つまり、第2モードでは、第1無線信号W10を送信する必要性が低くなるからである。
【0055】
一変形例では、認証部242は、必ずしも抽出処理を行う必要はない。
【0056】
一変形例では、識別情報のリストは、所定領域R10への進入を許可するユーザに対応する携帯装置40の識別情報のリストではなく、所定領域R10への進入を許可しないユーザに対応する識別情報のリストであってよい。この場合、識別情報が識別情報のリストに含まれている携帯装置40を携帯するユーザP10の所定領域R10への進入を制限できる。
【0057】
一変形例では、進入管理システム10は、制御機器30を備えていなくてもよい。この場合、進入管理システム10は、認証システムといってよい。更に、進入管理システム10は、認証部242を備えていなくてもよい。この場合、進入管理システム10は、位置特定システムといってよい。
【0058】
一変形例では、進入管理システム10(制御システム20)は、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。例えば、進入管理システム10(制御システム20)の機能(特に、判定部241及び認証部242)は、複数の装置に分散されていてもよい。更に、進入管理システム10(制御システム20)の機能の少なくとも一部が、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されていてもよい。
【0059】
以上述べた進入管理システム10(制御システム20)の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における進入管理システム10(制御システム20)の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FGPA)、ASIC(application specific integrated circuit)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0060】
3.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0061】
第1の態様は、進入管理システム(10)であって、第1受信部(21)と、第2受信部(22,221,222)と、判定部(241)と、を備える。前記第1受信部(21)は、第1受信範囲(D10)を有し、携帯装置(40)の識別情報を含む第1無線信号(W10)を受信する。前記第2受信部(22,221,222)は、前記第1受信範囲(D10)よりも所定領域(R10)に近い範囲に設定された第2受信範囲(D20,D21,D22)を有し、第2無線信号(W20)を受信する。前記判定部(241)は、前記第1受信部(21)で前記第1無線信号(W10)を受信した後に前記第2受信部(22,221,222)で前記第2無線信号(W20)を受信すると、前記第1無線信号(W10)に含まれる識別情報を有する携帯装置(40)が前記第2受信範囲(D20,D21,D22)内にあると判定する。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定が容易に行える。
【0062】
第2の態様は、第1の態様の進入管理システム(10)に基づく。第2の態様では、前記判定部(241)は、前記第1受信部(21)で前記第1無線信号(W10)を受信してから所定時間内に前記第2受信部(22,221,222)で前記第2無線信号(W20)を受信した場合に、前記第1無線信号(W10)に含まれる識別情報を有する携帯装置(40)が前記第2受信範囲(D20,D21,D22)内にあると判定する。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定の精度の向上が期待できる。
【0063】
第3の態様は、第1又は第2の態様の進入管理システム(10)に基づく。第3の態様では、前記第2無線信号(W20)は、前記第1無線信号(W10)とは媒体が異なる。この態様によれば、第1無線信号(W10)と第2無線信号(W20)との区別が容易になり、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定の精度の向上が期待できる。
【0064】
第4の態様は、第3の態様の進入管理システム(10)に基づく。第4の態様では、前記第1無線信号(W10)の媒体は、電波であり、前記第2無線信号(W20)の媒体は、電波以外の無線媒体である。この態様によれば、第1無線信号(W10)と第2無線信号(W20)との区別が更に容易になる。
【0065】
第5の態様は、第4の態様の進入管理システム(10)に基づく。第5の態様では、前記第1無線信号(W10)の媒体は、近距離無線通信に適合する電波である。この態様によれば、消費電力の低減が期待できる。
【0066】
第6の態様は、第4又は第5の態様の進入管理システム(10)に基づく。第6の態様では、前記第2無線信号(W20)の媒体は、音波である。この態様によれば、携帯装置(40)を持って特定の動作(スワイプ等)を行う必要がなくなり、ハンズフリーでの所定領域(R10)への進入が可能となる。
【0067】
第7の態様は、第6の態様の進入管理システム(10)に基づく。第7の態様では、前記第2無線信号(W20)の媒体は、超音波である。この態様によれば、静音性の向上が期待できる。
【0068】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つの進入管理システム(10)に基づく。第8の態様では、前記進入管理システム(10)は、認証部(242)を更に備える。前記第2無線信号(W20)は、携帯装置(40)の識別情報を含む。前記認証部(242)は、前記第1無線信号(W10)に含まれる識別情報を有する携帯装置(40)が前記第2受信範囲(D20,D21,D22)内にあると前記判定部(241)が判定した場合に、認証処理を行う。前記認証処理は、前記第2無線信号(W20)に含まれる識別情報が識別情報のリストに含まれているかどうかを判定する処理である。この態様によれば、携帯装置(40)によりユーザ(P10)の所定領域(R10)への進入を管理でき得る。
【0069】
第9の態様は、第8の態様の進入管理システム(10)に基づく。第9の態様では、前記認証部(242)は、前記第1受信部(21)で受信された第1無線信号(W10)に含まれる識別情報が前記識別情報のリストに含まれていれば、前記第1無線信号(W10)に含まれる識別情報を認証候補のリストに含める。前記認証部(242)は、前記認証処理では、前記第2無線信号(W20)に含まれる識別情報が前記認証候補のリストに含まれているかどうかを判定する。この態様によれば、認証処理にかかる時間を短縮でき得る。
【0070】
第10の態様は、第8又は第9の態様の進入管理システム(10)に基づく。第10の態様では、前記進入管理システム(10)は、前記所定領域(R10)に対応して設けられた制御機器(30)を更に備える。前記制御機器(30)は、前記認証部(242)での前記認証処理の結果に応じた動作を行う。この態様によれば、認証処理の結果に応じた制御機器(30)の制御を通じて進入管理システム(10)の利便性を向上できる。
【0071】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか一つの進入管理システム(10)に基づく。第11の態様では、前記進入管理システム(10)は、前記第2受信範囲(D20,D21,D22)より広い送信範囲を有する送信部(23)を更に備える。前記判定部(241)は、前記第1受信部(21)で前記第1無線信号(W10)を受信すると、前記第2無線信号(W20)の送信を要求する第3無線信号を前記送信部(23)から送信する。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定の精度の向上が期待できる。
【0072】
第12の態様は、進入管理方法であって、第1受信範囲(D10)を有する第1受信部(21)で、携帯装置(40)の識別情報を含む第1無線信号(W10)を受信する。前記進入管理方法は、前記第1受信範囲(D10)よりも所定領域(R10)に近い範囲に設定された第2受信範囲(D20,D21,D22)を有する第2受信部(22,221,222)で、第2無線信号(W20)を受信する。前記進入管理方法は、前記第1受信部(21)で前記第1無線信号(W10)を受信した後に前記第2受信部(22,221,222)で前記第2無線信号(W20)を受信すると、前記第1無線信号(W10)に含まれる識別情報を有する携帯装置(40)が前記第2受信範囲(D20,D21,D22)内にあると判定する。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定が容易に行える。
【0073】
第13の態様は、携帯装置(40)であって、第1送信部(41)と、第2送信部(42)と、を備える。前記第1送信部(41)は、第1受信範囲(D10)を有する第1受信部(21)で受信可能な、携帯装置(40)の識別情報を含む第1無線信号(W10)を送信する。前記第2送信部(42)は、前記第1無線信号(W10)が前記第1受信部(21)で受信されてから、第2受信部(22,221,222)で受信可能な第2無線信号(W20)を送信する。前記第2受信部(22,221,222)は、前記第1受信範囲(D10)よりも所定領域(R10)に近い範囲に設定された第2受信範囲(D20,D21,D22)を有する。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定が容易に行える。
【0074】
第14の態様は、進入通知方法であって、第1受信範囲(D10)を有する第1受信部(21)で受信可能な、携帯装置(40)の識別情報を含む第1無線信号(W10)を送信する。前記進入通知方法は、前記第1無線信号(W10)が前記第1受信部(21)で受信されてから、第2受信部(22,221,222)で受信可能な第2無線信号(W20)を送信する。前記第2受信部(22,221,222)は、前記第1受信範囲(D10)よりも所定領域(R10)に近い範囲に設定された第2受信範囲(D20,D21,D22)を有する。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定が容易に行える。
【0075】
第15の態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、第12の態様の進入管理方法又は第14の態様の進入通知方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、所定領域(R10)に接近する携帯装置(40)の特定が容易に行える。
【符号の説明】
【0076】
10 進入管理システム
21 第1受信部
22,221,222 第2受信部
23 送信部
241 判定部
242 認証部
30 制御機器
40 携帯装置
41 第1送信部
42 第2送信部
D10 第1受信範囲
D20,D21,D22 第2受信範囲
R10 所定領域
W10 第1無線信号
W20 第2無線信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6