(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】導電デバイス、導電デバイスの製造方法、及び無線器
(51)【国際特許分類】
H05K 3/24 20060101AFI20230127BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20230127BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20230127BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230127BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20230127BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H05K3/24 Z
H05K1/09 A
H05K1/16 A
H05K3/00 W
H01Q1/38
H01Q1/24 Z
(21)【出願番号】P 2020571248
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2020004471
(87)【国際公開番号】W WO2020162521
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2019021902
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美濃 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】明田 孝典
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-18898(JP,A)
【文献】特開2005-183682(JP,A)
【文献】特開2008-85345(JP,A)
【文献】特開平4-241489(JP,A)
【文献】特表2010-511905(JP,A)
【文献】特開平5-121924(JP,A)
【文献】特開2014-49721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/14
H01B 7/00―7/08
H01P 1/00―3/20
H01Q 1/00―1/52
H01Q 23/00
H01R 12/00―12/91
H04B 1/03―1/036
H04B 1/08
H04B 1/38―1/3888
H05K 1/00―13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されている導電性部分と、を備え、
前記導電性部分は、
前記基板上に形成されており、導電性粒子と有機バインダとを含む導電部と、
前記導電部の表面の少なくとも一部を覆っており、前記導電部よりも抵抗率の小さい低抵抗導電層と、を有
し、
前記低抵抗導電層は、複数の銀ナノ粒子を含む焼結銀層であり、
前記低抵抗導電層は、前記導電部の前記表面の全部に積層されている、
導電デバイス。
【請求項2】
前記導電部は、伸縮性を有する、
請求項1に記載の導電デバイス。
【請求項3】
前記基板は、フレキシブル基板である、
請求項1又は2に記載の導電デバイス。
【請求項4】
前記基板に積層されており、前記導電性部分を覆っている保護シートを更に備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の導電デバイス。
【請求項5】
前記導電性粒子は、銀粒子である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の導電デバイス。
【請求項6】
前記基板は、前記基板の厚さ方向からの平面視で前記導電性部分に重なり前記導電性部分の縁に沿った溝が形成されており、
前記基板の厚さ方向からの平面視で、前記導電性部分の前記縁と、前記溝の幅方向の一対の開口縁のうち前記導電性部分の前記縁に近い開口縁と、が重なっており、
前記導電性部分は、前記溝に入り込んでいる突部を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の導電デバイス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の導電デバイスの製造方法であって、
前記基板を準備する基板準備工程と、
前記基板上の前記導電部の形成予定領域に前記導電性粒子と前記有機バインダと溶剤とを含む導電性ペーストを塗布する塗布工程と、
前記導電性ペーストを加熱して前記導電部を形成する熱硬化工程と、
前記導電部の前記表面上に前記低抵抗導電層を形成する低抵抗導電層形成工程と、を備える、
導電デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の導電デバイスをアンテナ装置として備える、
無線器。
【請求項9】
ハウジングを更に備え、
前記ハウジングと前記導電デバイスとが一体化されている、
請求項8に記載の無線器。
【請求項10】
前記導電デバイスと電気的に接続されている接続端子部を更に備え、
前記接続端子部で前記導電デバイスを前記導電デバイスの外部に電気的に接続可能である、
請求項9に記載の無線器。
【請求項11】
前記接続端子部は、前記基板を前記基板の厚さ方向に貫通している貫通部と、前記基板と前記ハウジングとの間に挟まれているベース部と、を有する、
請求項10に記載の無線器。
【請求項12】
前記ベース部の外周部の少なくとも一部が、前記ベース部の中心部よりも薄い、
請求項11に記載の無線器。
【請求項13】
前記ベース部は、前記基板の厚さ方向において前記基板側とは反対側に形成されている溝を有する、
請求項11に記載の無線器。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記導電デバイスをフィルムとしたフィルムインサート成形品である、
請求項9~13のいずれか一項に記載の無線器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、導電デバイス、導電デバイスの製造方法及び無線器に関し、より詳細には、基板と導電部とを備える導電デバイス、基板と導電部とを備える導電デバイスの製造方法、アンテナ装置を備える無線器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、導電デバイスとして、例えば、基材と、該基材上に形成された導電部と、を有する電極であって、導電部が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、硬化剤、及び金属粒子を含有する導電性組成物からなる、電極が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載された電極においても、導電性部分の低抵抗化が望まれることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、導電性部分の低抵抗化を図ることが可能な導電デバイス、導電デバイスの製造方法及び無線器を提供することにある。
【0006】
本開示に係る一態様の導電デバイスは、基板と、導電性部分と、を備える。前記導電性部分は、前記基板上に形成されている。前記導電性部分は、導電部と、低抵抗導電層と、を有する。前記導電部は、前記基板上に形成されており、導電性粒子と有機バインダとを含む。前記低抵抗導電層は、前記導電部の表面の少なくとも一部を覆っており、前記導電部よりも抵抗率が小さい。前記低抵抗導電層は、複数の銀ナノ粒子を含む焼結銀層である。前記低抵抗導電層は、前記導電部の前記表面の全部に積層されている。
【0007】
本開示に係る一態様の導電デバイスの製造方法は、前記一態様の導電デバイスを製造する方法である。この導電デバイスの製造方法では、前記基板を準備する基板準備工程と、前記基板上の前記導電部の形成予定領域に前記導電性粒子と前記有機バインダと溶剤とを含む導電性ペーストを塗布する塗布工程と、前記導電性ペーストを加熱して前記導電部を形成する熱硬化工程と、前記導電部の前記表面上に前記低抵抗導電層を形成する低抵抗導電層形成工程と、を備える。
【0008】
本開示に係る一態様の無線器は、前記導電デバイスをアンテナ装置として備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る導電デバイスに関し、導電性部分の長手方向に直交する断面図である。
【
図2】
図2は、同上の導電デバイスの一部破断した斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の導電デバイスに関し、導電性部分の幅方向に直交する断面図である。
【
図4】
図4は、同上の導電デバイスの製造方法において準備する基板の一部破断した平面図である。
【
図5】
図5Aは、同上の導電デバイスの製造方法において導電性ペーストを塗布する工程の説明図である。
図5Bは、同上の導電デバイスの製造方法において導電部を形成する工程の説明図である。
【
図6】
図6は、同上の導電デバイスの製造方法において導電性インクを塗布する工程の説明図である。
【
図7】
図7は、同上の導電デバイスを備えるアンテナ装置の平面図である。
【
図8】
図8は、同上の導電デバイスを備えるフィルムインサート成形品の断面図である。
【
図9】
図9は、同上の導電デバイスを備える無線器の断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の変形例に係る導電デバイスの平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る導電デバイスに関し、導電性部分の長手方向に直交する断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態2の変形例1に係る導電デバイスに関し、導電性部分の長手方向に直交する断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2の変形例2に係る導電デバイスに関し、導電性部分の長手方向に直交する断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態3に係る導電デバイスを備える無線器の断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態3の変形例1に係る無線器の断面図である。
【
図18】
図18Aは、実施形態3の変形例2に係る無線器の断面図である。
図18Bは、同上の無線器に用いる接続端子部の断面図である。
【
図19】
図19は、実施形態3の変形例3に係る無線器の断面図である。
【
図20】
図20は、実施形態3の変形例4に係る無線器の断面図である。
【
図21】
図21Aは、実施形態3の変形例5に係る無線器の断面図である。
図21Bは、同上の無線器に用いる接続端子部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態等において説明する
図1~21Bは、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
以下では、実施形態1に係る導電デバイス1について
図1~4に基づいて説明する。
【0012】
導電デバイス1は、基板2と、導電性部分3と、を備える。導電性部分3は、基板2上に形成されている。導電性部分3は、基板2の厚さ方向D1において基板2の一部に重なるように形成されている。導電性部分3は、導電部4を有する。また、導電性部分3は、低抵抗導電層5を更に備える。また、導電デバイス1は、保護シート7を更に備える。保護シート7は、導電性部分3を覆うように基板2に積層されている。
【0013】
(2)導電デバイスの各構成要素
次に、導電デバイス1の各構成要素について、図面を参照して説明する。
【0014】
(2.1)基板
基板2は、第1主面21及び第1主面21とは反対側の第2主面22を有する。
【0015】
基板2は、例えば、フレキシブル基板であり、可撓性を有する。基板2の厚さは、例えば、30μm以上200μm以下であり、一例として、50μmである。基板2は、例えば、プラスチックフィルムである。プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタラートフィルムであるが、これに限らず、例えば、ABSフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム等であってもよい。基板2は、プラスチックフィルムに限らず、例えば、無機基板であってもよい。無機基板は、例えば、ガラス基板、圧電基板等である。
【0016】
基板2では、第1主面21に複数の溝20(
図4参照)が形成されている。複数の溝20は、例えば、等間隔で並んでいるが、これに限らず、例えば、不等間隔で並んでいてもよい。溝20の深さDP1は、例えば、5μm~10μmである。また、溝20の幅方向の開口幅H1(
図4参照)は、例えば、5μm~10μmである。また、隣り合う溝20間の距離L1(
図4参照)は、例えば、10μm~30μmである。なお、複数の溝20の長さは、同じあってもよいし、異なっていてもよい。また、複数の溝20は、直線状であるが、これに限らず、例えば、曲線状であってもよいし、環状であってもよい。また、複数の溝20の各々は、溝20の長さ方向に直交する基板2の断面視においてU字状の溝であるが、これに限らず、例えば、基板2の断面視においてV字状の溝であってもよい。
【0017】
複数の溝20は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で導電性部分3に重なり導電性部分3の縁33に沿った溝23(以下、第1溝23ともいう)を含む。第1溝23は、導電性部分3の縁33に沿うように形成されている。第1溝23の形成位置は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、導電性部分3の縁33と、第1溝23の幅方向D2の一対の開口縁231、232のうち導電性部分3の縁33に近い開口縁231と、が重なるように規定されている。
【0018】
複数の溝20は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で導電性部分3における縁33よりも内側の部分に重なる部位に形成されている複数の溝25(以下、第2溝25ともいう)を含む。第2溝25は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で第1溝23と同じ方向に沿っている。ここでは、第2溝25は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視で第1溝23と平行である。また、複数の溝20は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で導電部4に重なり導電部4の縁43に沿った溝24(以下、第3溝24ともいう)を含む。第3溝24は、複数の第2溝25に含まれている。第3溝24の形成位置は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、導電部4の縁43の外周と、第3溝24の幅方向の一対の開口縁241、242のうち導電部4の縁43に近い開口縁241と、が重なるように規定されている。
【0019】
また、複数の溝20は、基板2の厚さ方向D1からの平面視で保護シート7と導電性部分3とのうち保護シート7のみが重なる領域に形成されている複数の凹部26を含む。
【0020】
なお、導電デバイス1において基板2に複数の溝20が形成されていることは必須ではなく、導電デバイス1では、複数の溝20のうち少なくとも溝23が基板2に形成されていればよい。
【0021】
基板2は、インプリント法を利用して形成されているが、これに限らず、例えば、成形法により形成されていてもよい。
【0022】
(2.2)導電性部分
導電性部分3は、基板2上に形成されており、基板2と密着している。導電性部分3は、導電部4と、低抵抗導電層5と、を有している。導電性部分3の形状は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視でライン状である。ここにおいて、導電性部分3の形状は、導電性部分3の長さ方向に直交する断面において半円状である。
【0023】
導電部4は、基板2上に形成されている。導電部4の形状は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視で導電性部分3よりも幅狭のライン状である。ここにおいて、導電部4の形状は、導電部4の長さ方向に直交する断面において半円状である。
【0024】
導電部4は、伸縮性を有する。ここにおいて、導電部4は、例えば、銅はく、めっき層等と比べて伸縮性を有する。導電部4は、導電性ペースト400(
図5A参照)を利用して形成されている。導電部4は、導電性粒子410(
図3参照)と有機バインダ420(
図3参照)とを含む。導電性粒子410は、金属粒子であるが、これに限らず、例えば、金属化合物粒子等であってもよい。導電性ペースト400は、例えば、銀ペーストであるが、これに限らず、例えば、銅ペースト等であってもよい。導電性ペースト400が銀ペーストの場合、導電性粒子410は、例えば、銀粒子である。導電性ペースト400が銅ペーストの場合、導電性粒子410は、銅粒子である。
【0025】
導電性粒子410の形状は、例えば、鱗片状であるが、これに限らず、例えば、球状であってもよい。導電性粒子410の平均粒径は、例えば、1μm~4μmである。導電性粒子410の平均粒径は、例えば、導電部4を基板2の厚さ方向D1に沿って切断した試料の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)によって観察して断面SEM画像を取得し、その断面SEM画像を画像処理して求めた導電性粒子410の粒径値を用いて算出される値である。「粒径値」は、断面SEM画像から得られる導電性粒子410の面積と同一面積を有する円の直径であり、「平均粒径」は、所定数(例えば、50個)の導電性粒子410の粒径値の平均値である。平均粒径の相対的な大小関係を議論する上では、平均粒径は、上述の平均値に限らず、例えば、個数基準粒度分布曲線から求められるメディアン径(d50)でもよい。個数基準粒度分布曲線は、画像イメージング法により粒度分布を測定することで得られる。具体的には、個数基準粒度分布曲線は、上述のSEM画像を画像処理して求めた導電性粒子410の大きさ(二軸平均径)と個数とから得られる曲線である。個数基準粒度分布曲線においては、積算値が50%のときの粒径値をメディアン径(d50)という。
【0026】
有機バインダ420としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂、又は、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体である。
【0027】
低抵抗導電層5は、例えば、導電部4の表面41の全部に積層されている。導電部4の表面41は、導電部4において基板2に接していない面である。低抵抗導電層5の形状は、例えば、基板2の厚さ方向D1からの平面視で導電部4よりも幅広のライン状である。ここにおいて、低抵抗導電層5の形状は、低抵抗導電層5の長さ方向に直交する断面において円弧状である。
【0028】
低抵抗導電層5は、導電性インク500(
図6参照)を利用して形成されている。低抵抗導電層5は、複数の導電性ナノ粒子を含む焼結金属層である。焼結金属層は、導電性ナノ粒子同士が焼結により結合された焼結体である。焼結金属層は、多孔質金属である。したがって、低抵抗導電層5は、銅はく、めっき層等と比べて伸縮性を有する。
【0029】
導電性ナノ粒子の形状は、例えば、球状である。導電性ナノ粒子の平均粒径は、導電性粒子410の平均粒径よりも小さい。導電性ナノ粒子の平均粒径は、例えば、10nm~300nmである。導電性ナノ粒子の平均粒径は、例えば、低抵抗導電層5を基板2の厚さ方向D1に沿って切断した試料の断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)によって観察して断面TEM画像を取得し、その断面TEM画像を画像処理して求めた導電性ナノ粒子の粒径値を用いて算出される値である。「粒径値」は、断面TEM画像から得られる導電性ナノ粒子の面積と同一面積を有する円の直径であり、「平均粒径」は、所定数(例えば、50個)の導電性ナノ粒子の粒径値の平均値である。平均粒径の相対的な大小関係を議論する上では、平均粒径は、上述の平均値に限らず、例えば、個数基準粒度分布曲線から求められるメディアン径(d50)でもよい。個数基準粒度分布曲線は、画像イメージング法により粒度分布を測定することで得られる。具体的には、個数基準粒度分布曲線は、上述のTEM画像を画像処理して求めた導電性ナノ粒子の大きさ(二軸平均径)と個数とから得られる曲線である。個数基準粒度分布曲線においては、積算値が50%のときの粒径値をメディアン径(d50)という。
【0030】
低抵抗導電層5では、導電性ナノ粒子が、例えば、銀ナノ粒子であり、焼結金属層が、例えば、焼結銀層(多孔質銀層)である。
【0031】
導電デバイス1では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、導電性部分3の縁33と、溝23の幅方向D2の一対の開口縁231、232のうち導電性部分3の縁33に近い開口縁231と、が重なっている。導電性部分3は、溝23に入り込んでいる突部32を有する。突部32は、溝23の内面に接している。突部32は、対応する溝23の内面における底面及び一対の内側面それぞれの全体に亘って接しているのが好ましい。導電性部分3の縁33は、低抵抗導電層5の縁53により構成されている。導電性部分3の突部32は、低抵抗導電層5のうち溝23に入り込んでいる突部52により構成されている。
【0032】
また、導電デバイス1では、基板2の厚さ方向D1からの平面視で、導電部4の縁43と、溝24の幅方向の一対の開口縁241、242のうち導電部4の縁43に近い開口縁241と、が重なっている。導電部4は、溝24に入り込んでいる突部34を有する。突部34は、溝24の内面に接している。突部34は、対応する溝24の内面における底面及び一対の内側面それぞれの全体に亘って接しているのが好ましい。
【0033】
また、導電性部分3は、導電性部分3の突部32(以下、第1突部32ともいう)とは別に、基板2の複数の第2溝25のうち第3溝24以外の第2溝25に入り込んでいる第2突部35を更に有する。第2突部35は、第2溝25の内面に接している。第2突部35は、対応する第2溝25の内面における底面及び一対の内側面それぞれの全体に亘って接しているのが好ましい。
【0034】
(2.3)保護シート
保護シート7は、導電性部分3を保護するためのシートである。ここにおいて、保護シート7は、ガスバリア性及び耐湿性を有するのが好ましい。保護シート7は、撥水性を有していてもよい。
【0035】
保護シート7は、基板2に積層されており、導電性部分3を覆っている。ここにおいて、保護シート7は、基板2の第1主面21側において、基板2及び導電性部分3を覆っている。保護シート7は、基板2側とは反対側の主面71を有する。保護シート7は、例えば、可撓性を有する。保護シート7の厚さは、例えば、30μm以上200μm以下であり、一例として、50μmである。保護シート7は、例えば、プラスチックフィルムである。プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタラートフィルムであるが、これに限らず、例えば、ABSフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム等であってもよい。
【0036】
保護シート7は、基板2にラミネートされている。保護シート7は、複数の凹部26に一対一に入り込んでいる複数の突部76を有する。複数の突部76の各々は、複数の凹部26のうち対応する凹部26の内面に接している。複数の突部76の各々は、複数の凹部26のうち対応する凹部26の内面における底面及び一対の内側面それぞれの全体に亘って接しているのが好ましい。
【0037】
(3)導電デバイスの製造方法
以下、導電デバイス1の製造方法について、
図4、5A、5B及び6を参照して説明する。
【0038】
導電デバイス1の製造方法では、例えば、以下の第1工程~第5工程を順次行う。
【0039】
第1工程では、
図4に示すように、複数の溝20を有する基板2を準備する。ここにおいて、複数の溝20は、第1溝23、複数の第2溝25及び複数の凹部26を含んでいるが、少なくとも第1溝23を含んでいればよい。実施形態1に係る導電デバイスの製造方法では、第1工程が、基板2を準備する基板準備工程を構成している。
【0040】
第2工程では、
図5Aに示すように、基板2上の導電部4の形成予定領域に導電性粒子410(
図3参照)と有機バインダ420(
図3参照)と溶剤とを含む導電性ペースト400を塗布する。実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、第2工程が、基板2上の導電部4の形成予定領域に導電性粒子410と有機バインダ420と溶剤とを含む導電性ペースト400を塗布する塗布工程(第1塗布工程)を構成している。導電性ペースト400としては、例えば、複数の導電性粒子410を含む粉末に有機バインダ420及び有機溶剤を混合させたペーストを用いる。第2工程では、例えば、ディスペンサシステム(dispenser system)等を利用して導電性ペースト400を塗布する。ディスペンサシステムは、基板2を保持するテーブル、ディスペンサヘッド441(
図5A参照)と、ディスペンサヘッド441に保持され導電性ペースト400を吐出するノズル442(
図5A参照)と、を備える。
図5Aでは、ライン状の導電部4を形成するためにディスペンサヘッド441を基板2上に導電部4の形成予定領域に沿って移動させつつ、ノズル442から導電性ペースト400を吐出させて塗布する様子を模式的に示してある。
【0041】
図5Aの例では、ディスペンサヘッド441の吐出速度を変化させることにより、単位時間当たりの導電性ペーストの滴下量(塗布量)を変化させることができ、滴下量とディスペンサヘッド441の移動速度を変えることにより、単位面積当たりに塗布する導電性ペースト400の量を制御することができ、導電性ペースト400を導電部4の形状に基づく塗布形状とすることが可能となる。ここにおいて、ディスペンサシステムは、ディスペンサヘッド441を移動させるロボットからなる移動機構と、テーブルから基板2の第1主面21及びノズル442それぞれまでの高さを測定するセンサ部と、移動機構及びノズル442からの導電性ペースト400の吐出速度を制御するコントローラと、を備えているのが好ましい。コントローラは、例えば、マイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載することにより実現することができる。コントローラは、例えば、CAD(Computer Aided Design)で設計された導電部4の設計形状における平面視での所定パターンのデータに基づいてディスペンサヘッド441を移動させる。
【0042】
また、導電性ペースト400の塗布形状は、例えば、導電性ペースト400の粘度、チクソ性等を調整することで制御することも可能である。また、導電性ペースト400の塗布形状は、例えば、導電性ペースト400の粘度等を調整することで制御することも可能である。導電部4の表面41の曲率は、導電性ペースト400の粘度、表面張力等によって調整可能である。曲率を大きくすることは、例えば、導電性ペースト400の粘度を高くしたり、表面張力を大きくしたりすることで実現可能となる。ディスペンサシステムは、塗布前の導電性ペースト400の粘度が所望の粘度になるように導電性ペースト400を加熱するヒータを備えていてもよい。
【0043】
第3工程では、導電性ペースト400を加熱して導電部4を形成する(
図5B参照)。実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、第3工程が、導電性ペースト400を加熱して導電部4を形成する熱硬化工程を構成している。
【0044】
第4工程では、導電性ナノ粒子を含む導電性インク500(
図6参照)を導電部4の表面41を覆うように塗布する。実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、第4工程が、低抵抗導電層5の形成予定領域に低抵抗導電層5の元になる導電性インク500を塗布する第2塗布工程を構成している。導電性インク500は、導電性ナノ粒子(例えば、銀ナノ粒子)と揮発性のバインダと溶剤とを含むインクである。第4工程では、ディスペンサシステム等を利用して導電性インク500を塗布する。第4工程で用いるディスペンサシステムは、第2工程で用いるディスペンサシステムと略同じ構成であり、ディスペンサヘッド441の代わりに、ディスペンサヘッド551を備え、導電性ペースト400を吐出するノズル442の代わりに、導電性インク500を吐出するノズル552を備える点で相違する。第4工程で用いるディスペンサシステムにおけるコントローラは、例えば、CADで設計された低抵抗導電層5の設計形状における平面視での所定パターンのデータに基づいてディスペンサヘッド551を移動させる。導電性インク500の粘度は、導電性ペースト400の粘度よりも小さい。なお、粘度の値は、例えば、円錐平板型回転粘度計を用いて常温下で測定した値を採用することができる。
【0045】
第5工程では、導電性インク500を乾燥させてから加熱することによって低抵抗導電層5(
図2参照)を形成する。第5工程では、隣り合う導電性ナノ粒子同士を金属結合させる。実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、第5工程が、導電性インク500から低抵抗導電層5を形成する熱処理工程を構成している。
【0046】
(4)導電デバイスの応用例
導電デバイス1は、導電機能を有する構成要素として導電性部分3を備えるデバイスである。
【0047】
以下では、導電デバイス1の応用例として、
図7に示すように導電デバイス1を備えるアンテナ装置100を例示する。
【0048】
アンテナ装置100は、誘電体基板102と、誘電体基板102上で一方向に並んでいる2つの放射導体103と、を備えるダイポールアンテナである。2つの放射導体103は、上記一方向において給電部106の両側に1つずつ配置されている。2つの放射導体103の各々は、メアンダ状である。アンテナ装置100の誘電体基板102は、導電デバイス1の基板2により構成されている。2つの放射導体103の各々は、導電デバイス1の導電性部分3により構成されている。
図7では、保護シート7の図示を省略してある。
【0049】
導電デバイス1は、保護シート7を備えずに、
図8に示すように、フィルムインサート成形品8におけるフィルム81を構成してもよい。フィルムインサート成形品8は、フィルム81と、樹脂構造体80と、備える。フィルムインサート成形品8では、フィルム81が樹脂構造体80にフィルムインサート成形されている。
【0050】
アンテナ装置100は、例えば、
図9に示すように、無線器800に用いられる。無線器800は、ハウジング801を備える。ハウジング801は、導電デバイス1を備えるアンテナ装置100をフィルムとしたフィルムインサート成形品である。ここにおいて、導電デバイス1は、保護シート7を備えずにハウジング801にフィルムインサート成形されている。また、無線器800は、ハウジング801内に収納されている無線通信モジュール810を備える。無線通信モジュール810は、アンテナ装置100を介して無線器800の外部の機器との間で無線通信を行う。無線通信モジュール810は、例えば、プリント配線基板と、プリント配線基板に実装され、プリント配線基板とともに無線通信回路を構成する複数の電子部品と、を含む。
【0051】
(5)効果
実施形態1に係る導電デバイス1及びそれを備えるアンテナ装置100は、導電性部分3が導電部4と低抵抗導電層5とを有するので、導電性部分3の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0052】
また、実施形態1に係る導電デバイス1及びそれを備えるアンテナ装置100では、導電性部分3の縁33と、溝23の幅方向D2の一対の開口縁231,232のうち導電性部分3の縁33に近い開口縁231と、が重なっており、導電性部分3が溝23に入り込んでいる突部32を有することにより、導電性部分3の形状精度の向上を図ることが可能となる。ここにおいて、導電性部分3の形状精度は、導電性部分3の設計形状における平面視での所定パターンに対する導電性部分3の形状精度を含む。導電デバイス1では、導電性部分3の縁33が所定パターンの縁から外側又は内側に位置していないほど導電性部分3の形状精度が高い。
【0053】
また、導電デバイス1を備えるフィルムインサート成形品8は、導電性部分3が伸縮性を有するので、フィルムインサート成形の際に導電性部分3が破断するのを抑制することが可能となる。
【0054】
また、実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、導電性部分3の低抵抗化を図ることが可能となる。また、実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、導電性部分3の形状精度の向上を図ることが可能となる。また、実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法では、導電性部分3の形状の再現性を向上させることが可能となり、導電デバイス1の特性のばらつきを低減することが可能となる。
【0055】
また、実施形態1に係る導電デバイス1を備えるアンテナ装置100では、アンテナ特性の向上を図れる。ここにおいて、アンテナ装置100では、各放射導体103が低抵抗導電層5を含む導電性部分3により構成されているので、導電性部分3が導電部4のみにより構成されている場合と比べて、低抵抗化を図れるとともに、導電性部分3の表皮効果による伝送損失を低減できる。
図3には、導電デバイス1の導電性部分3を高周波信号が伝わる場合の高周波信号の伝送経路を矢印F1で模式的に示してある。導電デバイス1と略同じ構成を有し低抵抗導電層5を備えていない比較例では、表皮効果によって、導電部4の表面41付近で導電部4の長さ方向に並んでいる複数の導電性粒子410の表面に沿って高周波信号が伝送される。このため、比較例では導電部4の表面41の凹凸に起因して伝送損失が大きくなるのに対し、低抵抗導電層5を備えた導電デバイス1では、表皮効果によって、低抵抗導電層5に沿って高周波信号が伝送されるので、伝送損失が小さくなる。
【0056】
(実施形態1の変形例)
以下、実施形態1の変形例に係る導電デバイス1aについて、
図10に基づいて説明する。
【0057】
実施形態1の変形例に係る導電デバイス1aは、実施形態1に係る導電デバイス1と略同じであり、導電性部分3を複数備えている。変形例に係る導電デバイス1aに関し、実施形態1に係る導電デバイス1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
変形例に係る導電デバイス1aは、例えば、プリント配線基板の代わりの配線装置として用いることができる。変形例に係る導電デバイス1aでは、例えば、複数の導電性部分3の各々が、配線部を構成している。
【0059】
変形例に係る導電デバイス1aでは、複数の導電性部分3の各々が、基板2の厚さ方向D1(
図1参照)からの平面視で基板2の複数の溝20のうち少なくとも4つの溝20に重複するように形成されている。
【0060】
変形例に係る導電デバイス1aでは、実施形態1に係る導電デバイス1と同様、導電性部分3の形状精度の向上を図ることが可能となる。これにより、複数の導電性部分3の各々により構成される複数の配線部の配線幅の精度を向上させることができる。
【0061】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る導電デバイス1bについて、
図11に基づいて説明する。
【0062】
実施形態2に係る導電デバイス1bは、実施形態1に係る導電デバイス1と略同じであり、基板2の代わりに基板2bを備え、導電性部分3の代わりに導電性部分3bを備える点で、実施形態1に係る導電デバイス1と相違する。実施形態2に係る導電デバイス1bに関し、実施形態1に係る導電デバイス1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
実施形態2に係る導電デバイス1bの基板2bは、基板2と同様、第1主面21及び第2主面22を有する。基板2bは、実施形態1に係る導電デバイス1における基板2の複数の溝20を有していない。つまり、基板2bには、複数の溝20が形成されていない。
【0064】
導電性部分3bは、導電性部分3の導電部4及び低抵抗導電層5の代わりに、導電部4b及び低抵抗導電層5bを有する。低抵抗導電層5bは、例えば、導電部4bの表面41bの全部に積層されている。導電部4bの表面41bは、導電部4bにおいて基板2bに接していない面である。
【0065】
導電デバイス1bでは、基板2bの厚さ方向D1からの平面視で、導電性部分3bの縁33bが、低抵抗導電層5bの縁53bにより構成されている。また、導電デバイス1bでは、基板2bの厚さ方向D1からの平面視で、導電部4bの縁43bが、低抵抗導電層5bの縁53bよりも内側に位置している。
【0066】
実施形態2に係る導電デバイス1bの製造方法は、実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法と略同じであって、基板準備工程において基板2の代わりに基板2bを準備する点で実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法と相違する。
【0067】
実施形態2に係る導電デバイス1bは、実施形態1に係る導電デバイス1と同様、導電性部分3bの低抵抗化を図ることが可能となる。
【0068】
(実施形態2の変形例1)
以下、実施形態2の変形例1に係る導電デバイス1cについて、
図12に基づいて説明する。
【0069】
実施形態2の変形例1に係る導電デバイス1cは、実施形態2に係る導電デバイス1bと略同じであり、導電性部分3bの代わりに導電性部分3cを更に備える点で、実施形態2に係る導電デバイス1bと相違する。変形例1に係る導電デバイス1cに関し、実施形態2に係る導電デバイス1bと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
導電性部分3cは、導電性部分3bの導電部4b及び低抵抗導電層5bの代わりに、導電部4c及び低抵抗導電層5cを有する。導電性部分3cでは、導電部4c及び低抵抗導電層5cの形状が、導電性部分3bの導電部4b及び低抵抗導電層5bそれぞれの形状と相違する。
【0071】
導電部4cにおいて導電部4cの長さ方向に直交する断面の形状は、長方形状である。導電部4cの厚さは、略一定である。導電部4cの表面41cは、導電部4cのうち基板2bに接しない面である。より詳細には、導電部4cの表面41cは、基板2bの厚さ方向D1において基板2側とは反対側で厚さ方向D1に交差(略直交)する主面411と、導電部4cの幅方向の一対の側面412、412と、を含む。
【0072】
低抵抗導電層5cは、導電部4cの表面41cの主面411及び一対の側面412、412を覆っている。
【0073】
変形例1に係る導電デバイス1cの製造方法は、実施形態2に係る導電デバイス1bの製造方法と略同じであって、導電性ペースト400を塗布する際にスクリーン印刷法を利用している点と、導電性インク500を塗布する際にスクリーン印刷法を利用している点と、で実施形態2に係る導電デバイス1bの製造方法と相違する。
【0074】
変形例1に係る導電デバイス1c及びその製造方法では、実施形態2に係る導電デバイス1bと同様、導電性部分3cの低抵抗化を図ることが可能となる。
【0075】
(実施形態2の変形例2)
以下、実施形態2の変形例2に係る導電デバイス1dについて、
図13に基づいて説明する。
【0076】
変形例2に係る導電デバイス1dは、実施形態2の変形例1に係る導電デバイス1cと略同じであり、導電性部分3cの代わりに導電性部分3dを更に備える点で、実施形態2の変形例1に係る導電デバイス1cと相違する。変形例2に係る導電デバイス1dに関し、変形例1に係る導電デバイス1cと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
導電性部分3dは、導電性部分3cの導電部4c及び低抵抗導電層5cの代わりに、導電部4d及び低抵抗導電層5dを有する。導電性部分3dでは、低抵抗導電層5dの形状が、導電性部分3cの低抵抗導電層5cの形状と相違する。
【0078】
導電部4dにおいて導電部4dの長さ方向に直交する断面の形状は、長方形状である。導電部4dの厚さは、略一定である。導電部4dの表面41dは、導電部4dのうち基板2bに接しない面である。より詳細には、導電部4dの表面41dは、基板2bの厚さ方向D1において基板2側とは反対側で厚さ方向D1に交差(略直交)する主面411と、導電部4dの幅方向の一対の側面412、412と、を含む。
【0079】
低抵抗導電層5dは、導電部4dの表面41dの主面411及び一対の側面412、412のうち主面411のみを覆っている。つまり、低抵抗導電層5dは、導電部4dの表面41dの一部を覆っている。低抵抗導電層5dの厚さは、略一定である。
【0080】
変形例2に係る導電デバイス1dの製造方法は、変形例1に係る導電デバイス1cの製造方法と略同じであって、導電性インク500を塗布する際に変形例1に係る導電デバイス1cの製造方法とは異なるマスクを用いる点で、変形例1に係る導電デバイス1cの製造方法と相違する。
【0081】
変形例2に係る導電デバイス1d及びその製造方法では、実施形態2に係る導電デバイス1bと同様、導電性部分3dの低抵抗化を図ることが可能となる。
【0082】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る導電デバイス1eを備える無線器800eについて、
図14に基づいて説明する。
【0083】
実施形態3に係る無線器800eは、アンテナ装置100eとして導電デバイス1eを備えている。実施形態3に係る無線器800eでは、ハウジング801eと導電デバイス1eとが一体化されている。実施形態3に係る導電デバイス1eに関し、実施形態1に係る導電デバイス1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
また、実施形態3に係る無線器800eは、接続端子部6を更に備える。接続端子部6は、導電デバイス1eと電気的に接続されている。ここにおいて、接続端子部6は、アンテナ装置100eの導電性部分3により構成されている放射導体103に、接続部9を介して電気的に接続されている。無線器800eは、接続端子部6と放射導体103との間に介在して接続端子部6と放射導体103とを電気的に接続している接続部9を備えている。接続部9は、導電性を有する。接続部9は、例えば、導電性ペーストを利用して形成されている。導電性ペーストは、例えば、銀ペーストであるが、これに限らず、例えば、銅ペースト等であってもよい。
【0085】
無線器800eは、接続端子部6で導電デバイス1eを導電デバイス1eの外部(例えば、プリント配線基板に実装されているコネクタ)に電気的に接続可能である。
【0086】
接続端子部6は、貫通部61と、ベース部62と、を有する。貫通部61は、基板2を基板2の厚さ方向D1に貫通している。ここにおいて、ベース部62からの貫通部61の突出長さは、基板2の厚さよりも大きい。貫通部61の一部は、基板2の厚さ方向D1に貫通している貫通孔29内に位置している。ベース部62は、基板2とハウジング801eとの間に挟まれている。接続端子部6は、例えば、同軸コネクタ(高周波同軸コネクタ)を含む。この場合、接続端子部6の貫通部61は、同軸コネクタの中心コンタクト及び外部コンタクトを含む。接続端子部6は、基板2の長手方向の第1端201及び第2端202のうち第2端202に設けられている。
【0087】
ハウジング801eは、導電デバイス1eをフィルム81とするフィルムインサート成形品である。ここにおいて、導電デバイス1eは、保護シート7を備えずにハウジング801eにフィルムインサート成形されている。ハウジング801eは、樹脂構造体である。ハウジング801eの形状は特に限定されず、箱状でなくてもよい。ハウジング801eの材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
【0088】
また、無線器800eは、無線通信モジュールを備える。無線通信モジュールは、例えば、上述のコネクタを介してアンテナ装置100eと電気的に接続されている。無線通信モジュールは、アンテナ装置100eを介して無線器800eの外部機器との間で無線通信を行う。無線通信モジュールは、例えば、上述のプリント配線基板と、プリント配線基板に実装され、プリント配線基板とともに無線通信回路を構成する複数の電子部品と、を含む。
【0089】
以下、実施形態3に係る無線器800eの製造方法の一例について
図15及び16を参照して説明する。
【0090】
実施形態3に係る無線器800eの製造方法では、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ及び第4ステップを順次行う。
【0091】
第1ステップでは、導電デバイス1eと接続端子部6とを電気的に接続するための導電性ペースト90(
図15参照)を導電デバイス1e上に塗布してから、接続端子部6を基板2の貫通孔29に挿入する。続いて、導電性ペースト90を硬化させることにより、導電デバイス1eと接続端子部6とを電気的に接続する接続部9を形成する。
【0092】
第2ステップでは、
図16に示すように、導電デバイス1eと接続端子部6とを含む構造体を、金型10内にセットする。これにより、金型10内には、ハウジング801e形成用のキャビティ18が形成される。金型10は、導電デバイス1eを基板2の第2主面22側から吸引するための複数の吸引孔14を有する。また、金型10は、樹脂注入用のゲート13を有する。ゲート13は、例えば、基板2の厚さ方向D1に沿った金型10の厚さ方向から見て、基板2の第1端201を基準として第2端202とは反対側にある。金型10は、下型(第1型)11と上型(第2型)12とを含む。金型10の材料は、例えば、金属又は合金を含む。
【0093】
第3ステップでは、溶融した成形樹脂材料を、金型10のゲート13を通してキャビティ18に注入する。そして、成形樹脂材料を硬化させることによりハウジング801eを成形する。成形樹脂材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
図16では、ゲート13を通して金型内に注入された成形樹脂材料の流れる方向のうち支配的な流れの方向を矢印F2で模式的に示してある。成形樹脂材料の流れ方向は、矢印F2の方向だけでなく他の方向も含む。
【0094】
第4ステップでは、ハウジング801eを金型10から離型する。
【0095】
無線器800eの製造方法では、1つの金型10で複数のハウジング801eに対応する構造体を成形してから、この構造体を個々のフィルムインサート成形品に裁断してもよい。
【0096】
実施形態3に係る無線器800eでは、ハウジング801eと導電デバイス1eとが一体化されている。これにより、実施形態3に係る無線器800eでは、省スペース化を図ることが可能となる。
【0097】
ここにおいて、実施形態3に係る無線器800eでは、アンテナ装置100eの導電性部分3により構成されている放射導体103がハウジング801eに覆われている。これにより、無線器800eは、放射導体103をハウジング801eにより保護することができ、アンテナ装置100eの耐久性を向上させることが可能となる。
【0098】
また、実施形態3に係る無線器800eは、接続端子部6を更に備える。接続端子部6は、導電デバイス1eと電気的に接続されている。無線器800eでは、接続端子部6で導電デバイス1eを導電デバイス1eの外部に電気的に接続可能である。これにより、実施形態3に係る無線器800eでは、導電デバイス1eを導電デバイス1eの外部に容易に電気的に接続することが可能となる。
【0099】
また、無線器800eでは、接続端子部6は、基板2を基板2の厚さ方向D1に貫通している貫通部61と、基板2とハウジング801eとの間に挟まれているベース部62と、を有する。これにより、無線器800eでは、接続端子部6の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0100】
(実施形態3の変形例1)
以下、実施形態3の変形例1に係る無線器800fについて、
図17に基づいて説明する。
【0101】
実施形態3の変形例1に係る無線器800fは、実施形態3に係る無線器800eと略同じであり、接続端子部6及びハウジング801eの代わりに接続端子部6f及びハウジング801fを備える点で、実施形態3に係る無線器800eと相違する。変形例1に係る無線器800fに関し、実施形態3に係る無線器800eと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
接続端子部6fは、接続端子部6と同様、貫通部61と、ベース部62と、を有する。ベース部62は、基板2とハウジング801fとの間に挟まれている。接続端子部6fは、例えば、同軸コネクタを含む。接続端子部6fは、ベース部62の外周部622の少なくとも一部が、ベース部62の中心部621よりも薄い点で接続端子部6と相違する。ここにおいて、接続端子部6fでは、ベース部62の外周部622の一部が、ベース部62の中心部621から離れるにつれて徐々に薄くなっている。ここにおいて、接続端子部6fでは、ベース部62の外周部622が、傾斜面6221を有する。
【0103】
ハウジング801fは、ハウジング801eと同様に、導電デバイス1eをフィルム81とするフィルムインサート成形品である。ハウジング801fは、樹脂構造体である。ハウジング801fの材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
【0104】
また、無線器800fは、実施形態3に係る無線器800eと同様に、無線通信モジュールを備えている。
【0105】
実施形態3の変形例1に係る無線器800fでは、例えば、製造時に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6fの位置ずれが生じるのを抑制することが可能となる。実施形態3の変形例1に係る無線器800fでは、例えば、製造時に
図16に示した矢印F2のように成形樹脂材料が流れてくる場合に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6fの位置ずれが生じるのを抑制することができる。ここにおいて、傾斜面6221は、成形樹脂材料が流れてくる方向においてベース部62の外縁623から離れるにつれて基板2の第1主面21からの距離が長くなっているのが好ましい。
【0106】
接続端子部6fでは、ベース部62の外周部622の全部が、ベース部62の中心部621から離れるにつれて徐々に薄くなっていてもよい。また、接続端子部6fでは、ベース部62の中心部621の表面と外周部622の表面との間に段差があって外周部622の少なくとも一部が、中心部621よりも薄くなっていてもよい。
【0107】
(実施形態3の変形例2)
以下、実施形態3の変形例2に係る無線器800gについて、
図18A及び18Bに基づいて説明する。
【0108】
実施形態3の変形例2に係る無線器800gは、実施形態3に係る無線器800eと略同じであり、接続端子部6及びハウジング801eの代わりに接続端子部6g及びハウジング801gを備える点で、実施形態3に係る無線器800eと相違する。実施形態3の変形例2に係る無線器800gに関し、実施形態3に係る無線器800eと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
接続端子部6gは、接続端子部6と同様、貫通部61と、ベース部62と、を有する。ベース部62は、基板2とハウジング801gとの間に挟まれている。接続端子部6gは、例えば、同軸コネクタを含む。ベース部62は、基板2の厚さ方向D1において基板2側とは反対側に形成されている溝624を有する。ベース部62には、
図18Bに示すように、溝624が複数形成されている。接続端子部6gでは、複数の溝624が、例えば、等間隔で並んでいるが、これに限らず、例えば、不等間隔で並んでいてもよい。なお、複数の溝624の各々は、直線状である。また、複数の溝624の各々は、溝624の長さ方向に直交する断面視においてU字状の溝である。
【0110】
ハウジング801gは、ハウジング801eと同様に、導電デバイス1eをフィルム81とするフィルムインサート成形品である。ハウジング801gは、樹脂構造体である。ハウジング801gの材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
【0111】
また、無線器800gは、実施形態3に係る無線器800eと同様に、無線通信モジュールを備えている。
【0112】
実施形態3の変形例2に係る無線器800gでは、例えば、製造時に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6gの位置ずれが生じるのを抑制することが可能となる。実施形態3の変形例2に係る無線器800gでは、例えば、製造時に
図16に示した矢印F2のように成形樹脂材料が流れてくる場合に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6gの位置ずれが生じるのを抑制することができる。複数の溝624の各々の幅方向の開口幅H6は、成形樹脂材料が溝624内を流れやすいように、例えば、10μm以上であるのが好ましい。また、開口幅H6は、例えば、1mm以下であるのが好ましい。複数の溝624は、ベース部62の全長に亘って形成されている。ここで、複数の溝624は、ベース部62の外縁623のうち成形樹脂材料の流れてくる側の端である第1端6231から第1端6231とは反対側の第2端6232にかけて、ベース部62の全長に亘って形成されているのが好ましい。
【0113】
(実施形態3の変形例3)
以下、実施形態3の変形例3に係る無線器800hについて、
図19に基づいて説明する。
【0114】
実施形態3の変形例3に係る無線器800hは、実施形態3に係る無線器800eと略同じであり、接続端子部6及びハウジング801eの代わりに接続端子部6h及びハウジング801hを備える点で、実施形態3に係る無線器800eと相違する。実施形態3の変形例3に係る無線器800hに関し、実施形態3に係る無線器800eと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
接続端子部6hは、接続端子部6と同様、貫通部61と、ベース部62と、を有する。貫通部61は、基板2の貫通孔29を貫通している。ベース部62は、基板2とハウジング801hとの間に挟まれている。接続端子部6が同軸コネクタを含んでいたのに対し、接続端子部6hは、例えば、ピンコネクタを含む。接続端子部6hは、アンテナ装置100eの導電性部分3により構成されている放射導体103に、接続部9を介して電気的に接続されている。接続端子部6hは、導電デバイス1eと電気的に接続されている。無線器800hでは、接続端子部6hで導電デバイス1eを導電デバイス1eの外部に電気的に接続可能である。
【0116】
ハウジング801hは、ハウジング801eと同様に、導電デバイス1eをフィルム81とするフィルムインサート成形品である。ハウジング801hは、樹脂構造体である。ハウジング801hの材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
【0117】
また、無線器800hは、実施形態3に係る無線器800eと同様に、無線通信モジュールを備えている。
【0118】
実施形態3の変形例3に係る無線器800hでは、実施形態3に係る無線器800eと同様、接続端子部6hが、基板2を基板2の厚さ方向D1に貫通している貫通部61と、基板2とハウジング801eとの間に挟まれているベース部62と、を有する。これにより、実施形態3の変形例3に係る無線器800hでは、接続端子部6hの位置ずれを抑制することが可能となる。
【0119】
(実施形態3の変形例4)
以下、実施形態3の変形例4に係る無線器800iについて、
図20に基づいて説明する。
【0120】
実施形態3の変形例4に係る無線器800iは、実施形態3に係る無線器800eと略同じであり、接続端子部6及びハウジング801eの代わりに接続端子部6i及びハウジング801iを備える点で、実施形態3に係る無線器800eと相違する。実施形態3の変形例4に係る無線器800iに関し、実施形態3に係る無線器800eと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
接続端子部6iは、接続端子部6と同様、貫通部61と、ベース部62と、を有する。貫通部61は、基板2の貫通孔29を貫通している。ベース部62は、基板2とハウジング801iとの間に挟まれている。接続端子部6が同軸コネクタを含んでいたのに対し、接続端子部6iは、例えば、ピンコネクタを含む。接続端子部6iは、アンテナ装置100eの導電性部分3により構成されている放射導体103に、接続部9を介して電気的に接続されている。
【0122】
接続端子部6iは、ベース部62の外周部622の少なくとも一部が、ベース部62の中心部621よりも薄い点で接続端子部6と相違する。ここにおいて、接続端子部6iでは、ベース部62の外周部622の一部が、ベース部62の中心部621から離れるにつれて徐々に薄くなっている。ここにおいて、接続端子部6iでは、ベース部62の外周部622が、傾斜面6221を有する。
【0123】
ハウジング801iは、ハウジング801eと同様に、導電デバイス1eをフィルム81とするフィルムインサート成形品である。ハウジング801iは、樹脂構造体である。ハウジング801iの材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
【0124】
また、無線器800iは、実施形態3に係る無線器800eと同様に、無線通信モジュールを備えている。
【0125】
実施形態3の変形例4に係る無線器800iでは、例えば、製造時に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6iの位置ずれが生じるのを抑制することが可能となる。実施形態3の変形例4に係る無線器800iでは、例えば、製造時に
図16に示した矢印F2のように成形樹脂材料が流れてくる場合に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6iの位置ずれが生じるのを抑制することができる。ここにおいて、傾斜面6221は、成形樹脂材料が流れてくる方向においてベース部62の外縁623から離れるにつれて基板2の第1主面21からの距離が長くなっているのが好ましい。
【0126】
接続端子部6iでは、ベース部62の外周部622の全部が、ベース部62の中心部621から離れるにつれて徐々に薄くなっていてもよい。また、接続端子部6iでは、ベース部62の中心部621の表面と外周部622の表面との間に段差があって外周部622の少なくとも一部が、中心部621よりも薄くなっていてもよい。
【0127】
(実施形態3の変形例5)
以下、実施形態3の変形例5に係る無線器800jについて、
図21A及び21Bに基づいて説明する。
【0128】
実施形態3の変形例5に係る無線器800jは、実施形態3に係る無線器800eと略同じであり、接続端子部6の代わりに接続端子部6jを備える点で、実施形態3に係る無線器800eと相違する。実施形態3の変形例5に係る無線器800jに関し、実施形態3に係る無線器800eと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
接続端子部6jは、接続端子部6と同様、貫通部61と、ベース部62と、を有する。貫通部61は、基板2の貫通孔29を貫通している。ベース部62は、基板2とハウジング801jとの間に挟まれている。接続端子部6が同軸コネクタを含んでいたのに対し、接続端子部6jは、例えば、ピンコネクタを含む。接続端子部6jは、導電デバイス1eと電気的に接続されている。無線器800jでは、接続端子部6jで導電デバイス1eを導電デバイス1eの外部に電気的に接続可能である。
【0130】
ベース部62は、基板2の厚さ方向D1において基板2側とは反対側に形成されている溝624を有する。ベース部62には、
図21Bに示すように、溝624が複数形成されている。接続端子部6jでは、複数の溝624が、例えば、等間隔で並んでいるが、これに限らず、例えば、不等間隔で並んでいてもよい。なお、複数の溝624の各々は、直線状である。また、複数の溝624の各々は、溝624の長さ方向に直交する断面視においてU字状の溝である。
【0131】
ハウジング801jは、ハウジング801eと同様に、導電デバイス1eをフィルム81とするフィルムインサート成形品である。ハウジング801jは、樹脂構造体である。ハウジング801jの材料は、ポリカーボネートであるが、これに限らず、例えば、ABS樹脂、ポリスチレンであってもよい。
【0132】
また、無線器800jは、実施形態3に係る無線器800eと同様に、無線通信モジュールを備えている。
【0133】
実施形態3の変形例5に係る無線器800jでは、例えば、製造時に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6jの位置ずれが生じるのを抑制することが可能となる。実施形態3の変形例5に係る無線器800jでは、例えば、製造時に
図16に示した矢印F2のように成形樹脂材料が流れてくる場合に成形樹脂材料の圧力によって接続端子部6jの位置ずれが生じるのを抑制することができる。複数の溝624の各々の幅方向の開口幅H6は、成形樹脂材料が溝624内を流れやすいように、例えば、10μm以上であるのが好ましい。また、開口幅H6は、例えば、1mm以下であるのが好ましい。複数の溝624は、ベース部62の全長に亘って形成されている。ここで、複数の溝624は、ベース部62の外縁623のうち成形樹脂材料の流れてくる側の端である第1端6231から第1端6231とは反対側の第2端6232にかけて、ベース部62の全長に亘って形成されているのが好ましい。
【0134】
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0135】
例えば、実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法において、導電性ペースト400を塗布する方法は、ディスペンサシステムを用いた方法に限らず、例えば、スクリーン印刷法等であってもよい。
【0136】
また、実施形態1に係る導電デバイス1の製造方法において、導電性インク500を塗布する方法は、ディスペンサシステムを用いた方法に限らず、例えば、スクリーン印刷法等であってもよい。
【0137】
また、基板2では、複数の溝20によって格子状の溝が構成されていてもよい。
【0138】
また、アンテナ装置100における放射導体103の形状は、メアンダ状に限定されず、他の形状であってもよい。また、アンテナ装置100は、ダイポールアンテナに限らず、他のアンテナであってもよい。
【0139】
(まとめ)
第1の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)は、基板(2;2b)と、導電性部分(3;3b;3c;3d)と、を備える。導電性部分(3;3b;3c;3d)は、基板(2;2b)上に形成されている。導電性部分(3;3b;3c;3d)は、導電部(4;4b;4c;4d)と、低抵抗導電層(5;5b;5c;5d)と、を有する。導電部(4;4b;4c;4d)は、基板(2;2b)上に形成されており、導電性粒子(410)と有機バインダ(420)とを含む。低抵抗導電層(5;5b;5c;5d)は、導電部(4;4b;4c;4d)の表面(41;41b;41c;41d)の少なくとも一部を覆っており、導電部(4;4b;4c;4d)よりも抵抗率が小さい。
【0140】
第1の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、導電性部分(3;3b;3c;3d)の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0141】
第2の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、第1の態様において、導電部(4;4b;4c;4d)は、伸縮性を有する。
【0142】
第2の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、例えば、導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)をフィルムとしてフィルムインサート成形される際に導電性部分(3;3b;3c;3d)が破断するのを抑制することが可能となる。
【0143】
第3の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、第1又は2の態様において、基板(2;2b)は、フレキシブル基板である。
【0144】
第3の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、平面に限らず、曲面又は凹凸形状を有する面等へ配置することも可能となる。
【0145】
第4の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)は、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、保護シート(7)を更に備える。保護シート(7)は、基板(2;2b)に積層されており、導電性部分(3;3b;3c;3d)を覆っている。
【0146】
第4の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、信頼性の向上を図れる。
【0147】
第5の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、導電性粒子は、銀粒子である。
【0148】
第6の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、低抵抗導電層(5;5b;5c;5d)は、複数の銀ナノ粒子を含む焼結銀層である。
【0149】
第7の態様に係る導電デバイス(1;1a;1e)では、第1~6の態様のいずれか一つにおいて、基板(2)は、基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で導電性部分(3)に重なり導電性部分(3)の縁(33)に沿った溝(23)が形成されている。基板(2)の厚さ方向(D1)からの平面視で、導電性部分(3)の縁(33)と、溝(23)の幅方向(D2)の一対の開口縁(231,232)のうち導電性部分(3)の縁(33)に近い開口縁(231)と、が重なっている。導電性部分(3)は、溝(23)に入り込んでいる突部(32)を有する。
【0150】
第7の態様に係る導電デバイス(1;1a;1e)では、導電性部分(3)の形状精度の向上を図ることが可能となる。
【0151】
第8の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1e)では、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、低抵抗導電層(5;5b;5c)は、導電部(4;4b;4c)の表面(41;41b;41c)の全部に積層されている。
【0152】
第8の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1e)では、導電性部分(3;3b;3c)の低抵抗化を図れる。
【0153】
第9の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)の製造方法は、第1~8の態様のいずれか一つの導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)の製造方法である。第9の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)の製造方法は、基板(2;2b)を準備する基板準備工程と、基板(2;2b)上の導電部(4;4b;4c;4d)の形成予定領域に導電性粒子(410)と有機バインダ(420)と溶剤とを含む導電性ペースト(400)を塗布する塗布工程と、導電性ペースト(400)を加熱して導電部(4;4b;4c;4d)を形成する熱硬化工程と、導電部(4;4b;4c;4d)の表面(41;41b;41c;41d)上に低抵抗導電層(5;5b;5c;5d)を形成する低抵抗導電層形成工程と、を備える。
【0154】
第9の態様に係る導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)の製造方法では、導電性部分(3;3b;3c;3d)の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0155】
第10の態様に係る無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)は、第1~8の態様のいずれか一つの導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)をアンテナ装置(100;100e)として備える。
【0156】
第10の態様に係る無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、導電性部分(3;3b;3c;3d)の低抵抗化を図ることが可能となる。
【0157】
第11の態様に係る無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)は、第10の態様において、ハウジング(801;801e;800f;801g;801h;801i;801j)を更に備える。無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、ハウジング(801;801e)と導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)とが一体化されている。
【0158】
第11の態様に係る無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、省スペース化を図ることが可能となる。
【0159】
第12の態様に係る無線器(800e;800f;800g;800h;800i;800j)は、第11の態様において、接続端子部(6;6f;6g;6h;6i;6j)を更に備える。接続端子部(6;6f;6g;6h;6i;6j)は、導電デバイス(1e)と電気的に接続されている。無線器(800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、接続端子部(6;6f;6g;6h;6i;6j)で導電デバイス(1e)を導電デバイス(1e)の外部に電気的に接続可能である。
【0160】
第12の態様に係る無線器(800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、導電デバイス(1e)を導電デバイス(1e)の外部に容易に電気的に接続することが可能となる。
【0161】
第13の態様に係る無線器(800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、第12の態様において、接続端子部(6;6f;6g;6h;6i;6j)は、貫通部(61)と、ベース部(62)と、を有する。貫通部(61)は、基板(2)を基板(2)の厚さ方向(D1)に貫通している。ベース部(62)は、基板(2)とハウジング(801e;800f;800g;800h;800i;800j)との間に挟まれている。
【0162】
第13の態様に係る無線器(800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、接続端子部(6;6f;6g;6h;6i;6j)の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0163】
第14の態様に係る無線器(800f;800i)では、第13の態様において、ベース部(62)の外周部(622)の少なくとも一部が、ベース部(62)の中心部(621)よりも薄い。
【0164】
第14の態様に係る無線器(800f;800i)では、接続端子部(6f;6i)の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0165】
第15の態様に係る無線器(800g;800j)では、第13の態様において、ベース部(62)は、基板(2)の厚さ方向(D1)において基板(2)側とは反対側に形成されている溝(624)を有する。
【0166】
第15の態様に係る無線器(800g;800j)では、接続端子部(6g;6j)の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0167】
第16の態様に係る無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、第11~15の態様のいずれか一つにおいて、ハウジング(801;801e;800f;800g;800h;800i;800j)は、導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)をフィルムとしたフィルムインサート成形品である。
【0168】
第16の態様に係る無線器(800;800e;800f;800g;800h;800i;800j)では、ハウジング(801;801e;800f;800g;800h;800i;800j)に対する導電デバイス(1;1a;1b;1c;1d;1e)の配置の自由度が高くなる。
【符号の説明】
【0169】
1、1a、1b、1c、1d、1e 導電デバイス
2、2b 基板
23 溝
231 開口縁
232 開口縁
3、3b、3c、3d 導電性部分
32 突部
33、33b 縁
4、4b、4c、4d 導電部
41、41b、41c、41d 表面
400 導電性ペースト
410 導電性粒子
420 有機バインダ
5、5b、5c、5d 低抵抗導電層
500 導電性インク
6、6f、6g、6h、6i、6j 接続端子部
61 貫通部
62 ベース部
621 中心部
622 外周部
6221 傾斜面
624 溝
7 保護シート
100、100e アンテナ装置
800、800e、800f、800g、800h、800i、800j 無線器
801、801e、801f、801g、801h、801i、801j ハウジング
D1 厚さ方向
D2 幅方向