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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】食品加工装置
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/00 20160101AFI20230127BHJP
【FI】
A23P30/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022560804
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2021040529
(87)【国際公開番号】W WO2022097668
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2020184201
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 邦弘
(72)【発明者】
【氏名】橋本 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】猪野 大輔
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214041(JP,A)
【文献】特開2003-250514(JP,A)
【文献】特開2002-186472(JP,A)
【文献】中国実用新案第204958454(CN,U)
【文献】中国実用新案第211339459(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 4/00- 9/34
A23C 1/00-23/00
A23D 7/00- 9/06
A23F 3/00- 5/50
A23G 1/00- 9/52
A23J 1/00- 7/00
A23K 10/00-50/90
A23L 2/00-35/00
A23N 1/00-17/02
A23P 10/00-30/40
A47J 9/00-47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に用いる液状の反応物を貯める第1空間を有する反応槽と、
回転することで前記反応槽内の前記反応物を撹拌する第1撹拌体を有する撹拌部と、
複数の触媒反応部と、前記複数の触媒反応部のそれぞれは反応管と前記反応管の内側に設けられた光源を有し、前記反応管の外表面に光触媒が設けられ、前記反応管は前記光源から照射された光を透過し、
前記反応槽内の前記反応物の温度を調整する温度調整部と、を備え、
前記複数の触媒反応部は、前記第1撹拌体の第1回転軸の周囲に、互いに間隔を空けて配置され、
前記温度調整部は、前記複数の触媒反応部を囲む
食品加工装置。
【請求項2】
前記温度調整部は、前記反応槽を囲む外壁と、前記反応槽と前記外壁との間の第2空間を流通する熱媒体とを有する
請求項1に記載の食品加工装置。
【請求項3】
前記熱媒体は、前記反応物を冷却する冷媒である
請求項2に記載の食品加工装置。
【請求項4】
さらに、
前記反応槽内に配置され、前記反応物の温度を検出する温度検出部を備え、
前記温度調整部は、前記温度検出部で検出された温度に基づいて動作することにより、前記反応物の温度を調整する
請求項1から3のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項5】
前記第1撹拌体は、プロペラ翼、ディスクタービン翼、傾斜パドル翼、および、遠心式撹拌体の少なくとも1つを含む
請求項1から4のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項6】
前記撹拌部は、第2攪拌体を有し、前記第1回転軸と前記第2攪拌体の回転軸は同じである
請求項1から5のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項7】
さらに、
前記反応槽の内壁面から前記反応槽の内方に向かって突出し、前記第1回転軸に沿って配置される撹拌板を備える
請求項1から6のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項8】
前記複数の触媒反応部は、第1領域に位置する複数の第1触媒反応部と第2領域に位置する複数の第2触媒反応部を含み、
前記第1領域は、前記第1の回転軸からの距離が第1距離である領域と前記第1の回転軸からの距離が第2距離である領域の間の領域であり、
前記第2領域は、前記第1の回転軸からの距離が第3距離である領域と前記第1の回転軸からの距離が第4距離である領域の間の領域であり、
前記第1距離は前記第2距離より小さく、前記第2距離は前記第3距離より小さく、前記第3距離は前記第4距離より小さい、
請求項1から7のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項9】
前記反応管は、有底円筒形のガラス基材と、前記ガラス基材の外表面に設けられた光触媒の薄膜とを有し、
前記ガラス基材は、前記ガラス基材の筒軸方向が前記第1回転軸に沿った向きで配置される
請求項1から8のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項10】
さらに、
前記反応槽の上部を覆う蓋部を備え、
前記蓋部は、前記複数の触媒反応部を固定する蓋側固定部材を有する
請求項1から9のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【請求項11】
さらに、
前記反応槽の底部に配置され、前記底部に前記複数の触媒反応部を固定する底側固定部材を備える
請求項1から10のいずれか1項に記載の食品加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品加工装置及び光源付き反応管に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光触媒を食品の製造過程で用いて、加熱しない常温下において、醸造物中の微生物を殺菌する製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-250514号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の装置または製造方法には改善の余地がある。例えば、新たに食品に使用する反応物を効果的に改質することが難しいという課題がある。
【0005】
本開示の一態様は、このような事情に鑑みてなされたものであり、新たに食品に使用する反応物を効果的に改質することができる食品加工装置を提供する。
【0006】
本開示の一態様に係る食品加工装置は、食品に用いる液状の反応物を貯める第1空間を有する反応槽と、回転することで前記反応槽内の前記反応物を撹拌する第1撹拌体を有する撹拌部と、複数の触媒反応部と、前記複数の触媒反応部のそれぞれは反応管と前記反応管の内側に設けられた光源を有し、前記反応管の外表面に光触媒が設けられ、前記反応管は前記光源から照射された光を透過し、前記反応槽内の前記反応物の温度を調整する温度調整部と、を備え、前記複数の触媒反応部は、前記第1撹拌体の第1回転軸の周囲に、互いに間隔を空けて配置され、前記温度調整部は、前記複数の触媒反応部を囲む。
【0007】
この包括的又は具体的な態様は、方法、システムで実現されてもよく、装置、方法、システム、方法の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0008】
本開示の一態様の食品加工装置は、安定して運転させることができ、食品に使用する反応物を効果的に改質することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態の食品加工装置の一例を示す図である。
図2A図2Aは、実施の形態の撹拌体の具体的な構成の一例を示す図である。
図2B図2Bは、実施の形態の撹拌体の具体的な構成の他の一例を示す図である。
図2C図2Cは、実施の形態の撹拌体の具体的な構成の他の一例を示す図である。
図2D図2Dは、実施の形態の撹拌体の具体的な構成の他の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る触媒反応部の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る触媒反応部を反応槽1の蓋部に固定する場合の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態に係る触媒反応部を反応槽1の底部に固定する場合の一例を示す図である。
図6図6は、実施の形態に係る図1の食品加工装置のVI-VI断面図である。
図7図7は、実施の形態に係る食品加工装置における反応物の流れを模擬的に示す図である。
図8図8は、変形例1に係る食品加工装置の撹拌部の構成の一例を示す図である。
図9図9は、変形例2に係る食品加工装置の複数の触媒反応部の設置構成の一例を示す図である。
図10図10は、変形例3に係る食品加工装置の一例を示す図である。
図11図11は、変形例4に係る食品加工装置の一例を示す図である。
図12図12は、変形例5に係る食品加工装置の一例を示す図である。
図13図13は、変形例6に係る食品加工装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(開示の基礎となった知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した、食品の製造装置または製造方法に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
食品の製造において、製造効率を向上する、栄養成分の含有性を良くする等の目的で、食品に使用する原料を改質することは広く行われている。
【0012】
食品の原料の改質する手法として、触媒を用いる手法があり、例えば、マーガリンの製造において、原料となる油脂成分を水素化するためニッケル触媒を用いる手法がある。食品製造に固定化した酵素を用いることも、触媒利用の一つとすることができる。
【0013】
食品の原料を改質する観点ではないが、製造過程での殺菌目的で触媒を用いることもあり、例えば、特許文献1では、光触媒を食品の製造過程で用いて、加熱しない常温下において、醸造物中の微生物を殺菌する製造方法が検討されている。
【0014】
従来の触媒を用いる手法は、食品に使用する原料として単一成分の原料の改質には効果的ではあるが、化学工学的な手法の延長であるため装置構成に制限があり、多用途への展開するために用いる触媒に適した構成に対応するためには改善の余地がある。
【0015】
光触媒を用いた製造方法に用いる装置も殺菌目的であるため、食品の原料を改質することに適した構成に対応するには改善の余地がある。
【0016】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る食品加工装置は、食品に用いる液状の反応物を貯める第1空間を有する反応槽と、回転することで前記反応槽内の前記反応物を撹拌する第1撹拌体を有する撹拌部と、複数の触媒反応部と、前記複数の触媒反応部のそれぞれは反応管と前記反応管の内側に設けられた光源を有し、前記反応管の外表面に光触媒が設けられ、前記反応管は前記光源から照射された光を透過し、前記反応槽内の前記反応物の温度を調整する温度調整部と、を備え、前記複数の触媒反応部は、前記第1撹拌体の第1回転軸の周囲に、互いに間隔を空けて配置され、前記温度調整部は、前記複数の触媒反応部を囲む。
【0017】
これによれば、反応管の内側から光源による光を照射するため、反応物を介することなく直接光源の光を反応管の光触媒の薄膜に照射することができる。このため、光触媒の励起子の発生が阻害されにくくできるため、光触媒における原料の反応性を向上させることができる。撹拌部によって反応後の反応物が直ちに複数の反応管の外側に配置されている温度調整部に送られるため、反応物の温度を適切な温度に調整することができ、反応管内の光源の発熱により反応管近傍の反応物の温度上昇を効果的に抑えことができる。このように、反応物の温度を目的の温度に効果的に調整することができるので、反応物の反応性の管理が容易となる。すなわち、食品加工装置を簡単な構成で実現でき、かつ、食品加工装置を安定して運転させることができ、食品に使用する反応物の効果的な改質を可能する効果が奏される。
【0018】
前記温度調整部は、前記反応槽を囲む外壁と、前記反応槽と前記外壁との間の第2空間を流通する熱媒体とを有してもよい。
【0019】
このため、反応槽内の反応物の温度調整を効果的に行うことができる。
【0020】
前記熱媒体は、前記反応物を冷却する冷媒であってもよい。
【0021】
このため、反応層内の反応物を目標温度に調整することができる。
【0022】
さらに、前記反応槽内に配置され、前記反応物の温度を検出する温度検出部を備え、前記温度調整部は、前記温度検出部で検出された温度に基づいて動作することにより、前記反応物の温度を調整してもよい。
【0023】
このため、反応層内の反応物を効果的に冷却することができる。
【0024】
前記第1撹拌体は、プロペラ翼、ディスクタービン翼、傾斜パドル翼、および、遠心式撹拌体の少なくとも1つを含んでもよい。
【0025】
このため、反応層内の反応物を効果的に撹拌することができる。
【0026】
前記撹拌部は、第2攪拌体を有し、前記第1回転軸と前記第2攪拌体の回転軸は同じであってもよい。
【0027】
このため、反応層内の反応物の循環経路を短くすることができ、反応物を効果的に撹拌することができる。
【0028】
さらに、前記反応槽の内壁面から前記反応槽の内方に向かって突出し、前記第1回転軸に沿って配置される撹拌板を備えてもよい。
【0029】
このため、反応層内の反応物を効果的に撹拌することができる。撹拌板を温度調整部との間の熱伝達を促進するフィンとして利用することができるため、温度調整部との間の熱交換を効果的に行うことができる。
【0030】
前記複数の触媒反応部は、第1領域に位置する複数の第1触媒反応部と第2領域に位置する複数の第2触媒反応部を含み、前記第1領域は、前記第1の回転軸からの距離が第1距離である領域と前記第1の回転軸からの距離が第2距離である領域の間の領域であり、前記第2領域は、前記第1の回転軸からの距離が第3距離である領域と前記第1の回転軸からの距離が第4距離である領域の間の領域であり、前記第1距離は前記第2距離より小さく、前記第2距離は前記第3距離より小さく、前記第3距離は前記第4距離より小さくてもよい。
【0031】
このため、複数の第1触媒反応部の間を通過した反応物は、その外側に配置される第2触媒反応部に当たりやすくなる。よって、触媒反応部による反応物の反応性を向上させることができる。
【0032】
前記反応管は、有底円筒形のガラス基材と、前記ガラス基材の外表面に設けられた光触媒の薄膜とを有し、前記ガラス基材は、前記ガラス基材の筒軸方向が前記第1回転軸に沿った向きで配置されてもよい。
【0033】
さらに、前記反応槽の上部を覆う蓋部を備え、前記蓋部は、前記複数の触媒反応部を固定する蓋側固定部材を有してもよい。
【0034】
このため、触媒反応部を蓋部に固定することができる。
【0035】
さらに、前記反応槽の底部に配置され、前記底部に前記複数の触媒反応部を固定する底側固定部材を備えてもよい。
【0036】
このため、触媒反応部を反応槽の底部に固定することができる。
【0037】
本開示の一態様に係る光源付き反応管は、上記食品加工装置における触媒反応部に用いられる光源付き反応管であって、光触媒が設けられた外表面を有し、かつ、光を透過する反応管と、前記反応管の内側から光を照射する光源と、を備える。
【0038】
これによれば、反応管の内側から光源による光を照射するため、反応物を介することなく直接光源の光を反応管の光触媒の薄膜に照射することができる。このため、光触媒の励起子の発生が阻害されにくくできるため、光触媒における原料の反応性を向上させることができる。
【0039】
以下、添付図面を参照しつつ、実施の形態の具体例について説明する。
【0040】
以下で説明する具体例は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態等は、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。以下の構成要素のうち、本態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。図面において同じ符号が付いたものは説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比等については正確な表示ではない場合がある。
【0041】
(実施の形態)
食品加工装置100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態の食品加工装置100の一例を示す図である。
【0042】
図1に示すように、食品加工装置100は、反応槽1と、撹拌部2と、複数の触媒反応部6と、温度調整部10とを備える。
【0043】
反応槽1は、食品に用いる液状の反応物を貯める第1空間S1を有する。反応槽1は、例えば、有底円筒形の容器である。なお、反応槽1は、液状の反応物を貯める第1空間S1を有する有底筒形の容器であればよく、円筒形でなくてもよい。反応槽1には、反応槽1の上部の開口を塞ぐ蓋部5が設けられている。蓋部5は、円板状の部材であり、撹拌体4の回転軸3、複数の触媒反応部6、および、温度検出部11によって貫通される貫通孔を有する。
【0044】
撹拌部2は、回転することで反応槽1内の反応物を撹拌する撹拌体4を有する。撹拌部2は、撹拌部2の回転軸3が反応槽1の円筒の中心軸に一致するように配置される。撹拌部2は、回転軸3を回転させる、図示しないモータを含む。
【0045】
ここで、撹拌体4の具体例について、図2A図2Dを用いて説明する。図2A図2Dは、それぞれ、撹拌体4の具体的な構成の一例を示す図である。
【0046】
撹拌体4は、例えば、図2Aに示すように、傾斜パドル翼4aで実現されてもよい。撹拌体4は、反応物の粘性、撹拌部2の消費動力等の動作処理条件を考慮して最適処理条件となるように、図2B図2Dにそれぞれ示すプロペラ翼4b、ディスクタービン翼4c、および遠心式撹拌体4dのいずれか1つで実現されてもよい。なお、食品加工装置100に複数の撹拌体4が用いられる場合には、撹拌体4は、傾斜パドル翼4a、プロペラ翼4b、ディスクタービン翼4cおよび遠心式撹拌体4dのうちの少なくとも1つを含んでいればよい。
【0047】
複数(本実施の形態では6個)の触媒反応部6は、後述する図6に示すように、回転軸3の軸方向から見た場合に、撹拌体4の回転軸3の周囲に、互いに間隔を空けた状態で配置される。その結果、6個の触媒反応部6の外側は、反応槽1の内壁面により取り囲まれる。これにより、撹拌部2によって反応槽1の内部の反応物が撹拌された場合に、撹拌された反応物は、複数の触媒反応部6の間を移動することができる。
【0048】
ここで、図3を用いて、触媒反応部6の構成の詳細について説明する。図3は、本実施の形態に係る触媒反応部6の構成の一例を示す図である。
【0049】
複数の触媒反応部6のそれぞれは、図3に示すように、光触媒が設けられた外表面を有し、かつ、光を透過する反応管7、および、反応管7の内側から光を照射する光源8を有する。つまり、各触媒反応部6は、反応管7と、光源8とを備える光源付き反応管である。反応管7は、具体的には、有底円筒形のガラス基材7aと、ガラス基材7aの外表面に設けられた光触媒の薄膜7bとを有する。ガラス基材7aは、ガラス基材7aの円筒形の筒軸方向が撹拌体4の回転軸3に沿った向きで配置される。光源8は、ガラス基材7aの底部とは反対側の開放部分からガラス基材7aの内部に挿入されている。
【0050】
ガラス基材7aの外表面に設けられる光触媒の薄膜7bは、例えば、一般的なゾルゲル法で形成される。光触媒の薄膜7bは、具体的には、TiOにより構成される。光触媒の薄膜7bの形成方法において用いられるゾルゲル液を、ガラス基材7aの外表面に塗布し、ゾルゲル液が塗布された状態のガラス基材7aを、回転機を用いて回転させる。これにより、ガラス基材7aの外表面の全体に亘って、ゾルゲル液が均一に塗布する。ゾルゲル液が塗布されたガラス基材7aは、ゾルゲル液が乾燥した後に、電気炉において乾燥後、500℃以上の高温で加熱されることで、ガラス基材7aの外表面に光触媒の薄膜7bが焼成される。
【0051】
光源8は、光触媒での励起子の発生を効果的に行うため、具体的には、260nm~400nm程度を中心波長とする光源を含む。本実施の形態では、光源8は、365nmの波長を中心波長とするLED(Light Emitting Diode)を含む。光源8は、ガラス基材7aの外表面に設けられた薄膜7bに光を効果的に照射するため、反応管7の内部の薄膜7bに対向するように、配置されてもよい。光源8は、例えば、基材となる棒状の部材の長手方向に複数のLEDが並んで配置されることで構成される。長手方向に並んで配置される複数のLEDは、例えば、棒状の部材の軸方向の周囲に複数列が並んで配置されてもよい。これにより、光源8は、円筒形の反応管7の薄膜7bの全体に亘って光を照射することができる。光源8は、LEDに限定されず、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、蛍光剤を含む蛍光灯型光源であってもよい。
【0052】
次に、図4および図5を用いて、触媒反応部6の反応槽1への固定形態について説明する。図4は、本実施の形態に係る触媒反応部6を反応槽1の蓋部5に固定する場合の一例を示す図である。図5は、本実施の形態に係る触媒反応部6を反応槽1の底部に固定する場合の一例を示す図である。
【0053】
図4に示すように、複数の触媒反応部6は、それぞれ、反応槽1の蓋部5に設けられた複数の貫通孔5aを貫通しており、蓋部5において反応槽1に固定されていてもよい。この場合、蓋部5には、触媒反応部6が貫通される貫通孔5aを挟んで押さえ部13と、押さえ部13との並び方向で可動する可動押さえ部14とが配置される。触媒反応部6は、押さえ部13および可動押さえ部14により挟み込まれた状態で、押さえねじ15で可動押さえ部14の可動が固定される。このように、触媒反応部6は、蓋部5に固定されることで、撹拌による反応物の流動で触媒反応部6がぶれる影響を緩和することができる。なお、押さえ部13、可動押さえ部14および押さえねじ15は、蓋側固定部材の一例である。各触媒反応部6は、押さえねじ15を緩めて可動押さえ部14を可動可能な状態とすることで、蓋部5から取り外すことができる。つまり、各触媒反応部6は、反応槽1に対して着脱自在である。
【0054】
さらに、図5に示すように、複数の触媒反応部6は、それぞれ、反応槽1の底部1aに設けた底側固定部材16で、底部1aにおいて反応槽1に固定されてもよい。底側固定部材16は、例えば、反応槽1の底部1aに配置され、上部において上側に凹形の形状を有し、触媒反応部6の底部を凹形の形状で支持する。これにより、底側固定部材16は、触媒反応部6の底部を反応槽1の底部1aに固定することができ、撹拌による反応物の流動で触媒反応部6がぶれる影響を緩和することができる。
【0055】
なお、複数の触媒反応部6は、図4に示したように、蓋部5の蓋側固定部材により固定されてもよいし、図5に示したように、底部1aにおいて底側固定部材16により固定されてもよいし、蓋側固定部材および底側固定部材16の両方により固定されてもよい。
【0056】
温度調整部10は、反応槽1内の反応物の温度を調整する。温度調整部10は、複数の触媒反応部6の外側を囲んで配置される。具体的には、温度調整部10は、反応槽1を囲む外壁10aと、反応槽1と外壁10aとの間の第2空間S2を流通する熱媒体とを有する。
【0057】
温度調整部10は、温度検出部11で検出された温度に基づいて動作することにより、反応物の温度を調整する。具体的には、温度調整部10は、第1温度よりも高い温度の反応物を第1温度に冷却する場合、熱媒体として第1温度以下の冷媒を第2空間S2に流通させる。これにより、温度調整部10は、冷媒と反応物とを反応槽1を挟んで熱交換させることで反応物を冷却する。反応物と熱交換することで、温度が上昇した冷媒は、例えば、第2空間S2外に配置されている図示しない熱交換器において第1温度以下に冷却され、その後に第2空間S2に戻るように図示しない配管で接続されていてもよい。冷媒は、例えば、図示しない循環ポンプなどにより第2空間S2と上記熱交換器との間を循環していてもよい。この場合、温度調整部10は、循環ポンプの動作を開始させることにより、反応物の冷却を開始してもよい。
【0058】
温度調整部10は、第2温度よりも低い温度の反応物を第2温度に加熱してもよい。この場合、温度調整部10は、第2温度以上の熱媒体を第2空間S2に流通させる。これにより、温度調整部10は、熱媒体と反応物とを反応槽1を挟んで熱交換させることでえ反応物を加熱する。反応物と熱交換することで、温度が低下した熱媒体は、例えば、第2空間S2外に配置されている熱交換器において第2温度以上に加熱され、その後に第2空間S2に戻るように配管で接続されていてもよい。
【0059】
温度検出部11は、反応槽1内に配置され、反応物の温度を検出する。温度検出部11は、例えば、サーミスタ、熱電対などにより構成される。温度検出部11は、蓋部5を貫通しており、例えば、蓋部5に固定されている。
【0060】
次に、食品加工装置100の動作について、図1図6、および図7を用いて説明する。図6は、実施の形態に係る図1の食品加工装置100のVI-VI断面図である。図は、実施の形態に係る食品加工装置100における反応物の流れを模擬的に示す図である。
【0061】
まず、食品加工装置100では、反応槽1に、食品の原料となる反応物が投入される。次に、食品加工装置100は、触媒反応部6の光源8を点灯することで、反応管7の内部から光触媒の薄膜7bへの光照射を開始する。食品加工装置100は、撹拌部2のモータを駆動させることにより撹拌体4の回転軸3を回転させ、反応槽1内の反応物の撹拌を行う。合わせて、食品加工装置100は、温度調整部10の循環ポンプを駆動させることで、温度調整部10の第2空間S2へ熱媒体を供給する。
【0062】
このとき、食品加工装置100は、反応物の温度を温度検出部11で検出し、反応物が予め設定した温度になるように、第2空間に供給する、熱媒体の温度及び/または熱媒体の供給量を調整する。食品加工装置100は、例えば、第2空間S2外に設置されている熱交換器での熱交換量を調整することで熱媒体の温度を調整する。食品加工装置100は、具体的には、熱交換器が空冷であれば熱交換器における空冷を促進するファンの風量を調整することで熱媒体の温度を調整してもよいし、熱交換器が水冷であれば熱交換器における水冷を促進するポンプによる水量を調整することで熱媒体の温度を調整してもよい。食品加工装置100は、反応槽1の外側の第2空間S2と熱交換器との間で熱媒体を循環させるための循環ポンプによる循環量を調製することで熱媒体の第2空間への供給量を調整してもよい。このように、熱媒体の温度や供給量は、熱交換器、循環ポンプおよび配管を含む恒温水循環装置(図示せず)等を用いて調整することができる。
【0063】
例えば、食品加工装置100における反応物の反応がヨーグルトのような発酵であれば、発酵に適した温度(乳酸菌であれば40℃程度)に維持し、雑菌の繁殖を防止してもよい。この場合、温度調整部10において目標とされる予め設定される温度は、40℃である。食品加工装置100における反応物の反応がビール酵母の発酵であれば、低温(例えば5℃)程度で熟成させてもよい。この場合、温度調整部10において目標とされる予め設定される温度は、5℃である。
【0064】
食品加工装置100では、光照射された光触媒と食品の原料となる反応物とを接触させ、光触媒によって反応物を改質させる。例えば、ヨーグルトの原料を改質する場合、原料中のタンパク質を光触媒で分解させることができ、マイルドな風味を持たせることができる。ビールの原料を改質する場合、麦汁中の糖分をあらかじめ分解させることで、発酵期間を短くすることができる。
【0065】
ただ、触媒反応部6近傍における反応物は、光源8の発熱の影響を受けて温度が上昇する。一方で、食品加工装置100は、反応物の温度管理を厳密に行うことで反応によって生成される食品などの品質を一定の水準以上に維持することが求められている。このため、食品加工装置100では、光触媒で反応と、反応物の温度調整とを両立させることが重要となる。
【0066】
そこで、本実施の形態に係る食品加工装置100では、複数の触媒反応部6は、撹拌体4の回転軸3の周囲に、互いに間隔を空けた状態で配置されている。このため、撹拌により反応物が移動する際に、複数の触媒反応部6の間を通過して移動することができる。これにより、反応管7内の光源8の発熱により反応管7近傍の反応物が加熱されるが、撹拌部2によって複数の触媒反応部6の間を通過した後の反応物が、反応管7の外側に配置されている温度調整部10にスムーズに送られて冷却される。このように、反応物の温度を目的の温度に効率よく調節できるので、反応物の反応の管理が容易となる。
【0067】
図6に示すように、反応管4近傍の反応物は、撹拌体4による撹拌で反応管7の側面に沿い外側に流れだし、複数の反応管7のうち隣り合う2つの反応管7の間の空間を流れた後で、反応槽1の内壁面に向かって流れる。このように、隣り合う2つの反応管7の間に空間が設けられるため、2つの反応管7の間の空間は狭隘な空間となり反応管7に沿う流れの流速を増加させることができる。これにより、反応管7の光触媒の薄膜7bにおける反応物の境膜厚さを薄くできるので、光触媒による反応性を向上させることができる。
【0068】
反応管7の近傍を流れ、反応管7からの発熱によって加熱される反応物は、隣り合う2つの反応管7の中間の空間を流れる、発熱の影響の小さい反応物と混合できるので、反応管7からの発熱による反応物の温度上昇の影響を小さくすることができる。さらに、反応槽1の内壁面に流れた反応物は、図7に示すように、当該内壁面に沿うように流れるため、温度調整部10内を流れる熱媒体との間の熱交換性能を向上でき、反応物の温度を効果的に調整することができる。
【0069】
本実施の形態に係る撹拌部2の構成では、反応槽1の上部の反応物は、図7に示すように、底部における流れと反対の流れとなる。つまり、反応槽1の上部では、反応槽1の外側から内側へ向かう流れが生じ、反応槽1の底部では、反応槽1の内側から外側へ向かう流れが生じる。このように、反応槽1の上部と底部とでは異なる方向に反応物が流れるため、反応槽1の上部では、温度調整部10により十分に温度調整された反応物が隣り合う2つの反応管7の間を通過して撹拌部2に向かって流れる。反応槽1の上部においても底部と同様に、隣り合う2つの反応管7の間に空間が設けられているため、2つの反応管7の間の空間は狭隘な空間となり反応管7に沿う流れの流速を増加させることができる。これにより、反応管7の光触媒の薄膜7bにおける境膜厚さを薄くできるので、光触媒による反応性を向上させることができる。
【0070】
反応槽1の上部においても、反応管7の近傍を流れ、反応管7からの発熱によって加熱される反応物は、隣り合う2つの反応管7の中間の空間を流れる、発熱の影響の小さい反応物と混合できるので、反応管7からの発熱による反応物の温度上昇の影響を小さくすることができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態で示す食品加工装置100は、反応管7の内側から光源8による光を照射するため、反応物を介することなく直接光源8の光を反応管7の光触媒の薄膜7bに照射することができる。このため、光触媒の励起子の発生が阻害されにくくできるため、光触媒における原料の反応性を向上させることができる。撹拌部2によって反応後の反応物が直ちに複数の反応管7の外側に配置されている温度調整部10に送られるため、反応物の温度を適切な温度に調整することができ、反応管7内の光源8の発熱により反応管7近傍の反応物の温度上昇を効果的に抑えことができる。このように、反応物の温度を目的の温度に効果的に調整することができるので、反応物の反応性の管理が容易となる。すなわち、食品加工装置を簡単な構成で実現でき、かつ、食品加工装置を安定して運転させることができ、食品に使用する反応物の効果的な改質を可能する効果が奏される。
【0072】
(変形例1)
図8は、変形例1に係る食品加工装置100Aの撹拌部2Aの構成の一例を示す図である。
【0073】
図8に示すように、撹拌部2Aは、共通する回転軸3で回転する複数(例えば、2個)の撹拌体4を有する。具体的には、撹拌部2Aは、回転軸3の軸方向の異なる位置に複数の撹拌体4を有していてもよい。このように、共通する回転軸3に複数の撹拌体4を配置することで、撹拌部2Aによる、反応物の撹拌性を向上させることができる。その結果、反応物の流れ(概要を図8の矢印付き点線で示す)が、温度調整部10に向かい、かつ、温度調整部10から中心に向かう反応槽1内を循環する複数の流れが、それぞれ、複数の撹拌体4によって構成される。このため、反応物の温度調整をより効果的に実施できる。すなわち、1つの回転軸3に配置する撹拌体4の数を増加せることで、反応物の光触媒の反応性および温度調整性を向上させることができる。
【0074】
(変形例2)
図9は、変形例2に係る食品加工装置の複数の触媒反応部6の設置構成の一例を示す図である。
【0075】
図9に示すように、複数の触媒反応部6は、撹拌部2の回転軸3を囲んで配置される複数の第1触媒反応部6aと、複数の第1触媒反応部6aの外側を囲んで配置される複数の第2触媒反応部6bとを有していてもよい。複数の触媒反応部6は、第1領域に位置する複数の第1触媒反応部6aと第2領域に位置する複数の第2触媒反応部6bを含み、第1領域は、回転軸3からの距離が第1距離である領域と回転軸3からの距離が第2距離である領域の間の領域であり、第2領域は、回転軸3からの距離が第3距離である領域と回転軸3からの距離が第4距離である領域の間の領域であり、第1距離は第2距離より小さく、第2距離は第3距離より小さく、第3距離は第4距離より小さくてもよい。なお、本変形例では、複数の触媒反応部6は、複数の第2触媒反応部6bのさらに外側を囲んで配置される複数の第3触媒反応部6cを有する配置構成が例示されている。複数の第1触媒反応部6aは、互いに間隔を空けた状態で配置され、複数の第2触媒反応部6bは、互いに間隔を空けた状態で配置され、複数の第3触媒反応部6cは、互いに間隔を空けた状態で配置される。
【0076】
複数の第1触媒反応部6aは、回転軸3周りの仮想的な円の周方向において複数の第2触媒反応部6bとは異なる位置に配置される。つまり、第1触媒反応部6aは、上記周方向において、複数の第2触媒反応部6bのうちの隣り合う2つの第2触媒反応部6bの間の位置に配置される。複数の第2触媒反応部6bは、回転軸3周りの仮想的な円の周方向において複数の第3触媒反応部6cとは異なる位置に配置される。つまり、第2触媒反応部6bは、上記周方向において、複数の第3触媒反応部6cのうちの隣り合う2つの第3触媒反応部6cの間の位置に配置される。
【0077】
これにより、複数の第1触媒反応部6aの間を通過した反応物は、その外側に配置される第2触媒反応部6bに当たりやすくなる。複数の第2触媒反応部6bの間を通過した反応物は、その外側に配置される第3触媒反応部6cに当たりやすくなる。反対に、複数の第3触媒反応部6cの間を通過した反応物は、その内側に配置される第2触媒反応部6bに当たりやすくなる。複数の第2触媒反応部6bの間を通過した反応物は、その内側に配置される第1触媒反応部6aに当たりやすくなる。よって、触媒反応部6による反応物の反応性を向上させることができる。
【0078】
(変形例3)
図10は、変形例3に係る食品加工装置100Bの一例を示す図である。
【0079】
上記実施の形態に係る食品加工装置100では、撹拌部2の回転軸3が、反応槽1の上部に設けられる蓋部5を貫通して配置される構成であるとしたが、これに限らない。例えば、図10に示す食品加工装置100Bのように、撹拌部2は、撹拌部2の回転軸3が反応槽1の底部1aを貫通して配置される構成としてもよい。
【0080】
(変形例4)
図11は、変形例4に係る食品加工装置100Cの一例を示す図である。
【0081】
上記実施の形態に係る食品加工装置100では、撹拌部2の回転軸3が反応槽1の円筒の中心軸に一致するように配置されるとしたが、これに限らない。例えば、図11に示す食品加工装置100Cのように、撹拌部2は、撹拌部2の回転軸3が反応槽1の円筒の中心軸からズレた位置に配置されてもよい。なお、図11は、変形例3のように、撹拌部2の回転軸3が、反応槽1の底部1aを貫通する構成を例示しているが、実施の形態のように、回転軸3が、反応槽1の蓋部5を貫通する構成であってもよい。
【0082】
(変形例5)
図12は、変形例5に係る食品加工装置100Dの一例を示す図である。
【0083】
上記変形例3に係る食品加工装置100Bでは、撹拌部2の回転軸3が反応槽1の底部1aを貫通して配置される構成としたが、これに限らない。例えば、図12に示す食品加工装置100Dのように、撹拌部2Dの回転軸3Dは、反応槽1の外側に配置される外側回転軸3aと、反応槽1の内側に配置され、かつ、外側回転軸3aと磁気的に結合される内側回転軸3bとを有する構成であってもよい。外側回転軸3aは、撹拌部2Dの図示しないモータに接続されており、モータからの回転力を受けて回転する。内側回転軸3bは、外側回転軸3aの磁気作用を受けて、外側回転軸3aの回転に応じて回転する。内側回転軸3bには、撹拌体4が設けられており、内側回転軸3bが回転することで、反応槽1内の反応物が撹拌される。このように、外側回転軸3aと、内側回転軸3bとは、マグネットカップリングを構成しており、撹拌部2Dは、反応槽1を貫通しなくても、反応槽1内の反応物を撹拌することができる。このため、反応槽1の底部1aにおいて、反応物が反応槽1の外部に漏れることを防止するためのシール構造を設けなくてもよい。
【0084】
(変形例6)
図13は、変形例6に係る食品加工装置100Eの一例を示す図である。
【0085】
変形例6に係る食品加工装置100Eは、図1に示す実施の形態に係る食品加工装置100と比較して、食品加工装置100にさらに複数の撹拌板17を備える点が異なる。
【0086】
複数の撹拌板17のそれぞれは、反応槽1の内壁面から反応槽1の内方に向かって突出し、回転軸3に沿って配置される。複数の撹拌板17のそれぞれは、例えば、長尺板状の部材であり、短手方向が回転軸3に向かう方向に沿い、かつ、長手方向が回転軸3に沿う向きに配置される。複数の撹拌板17は、例えば、6枚の撹拌板を有し、回転軸3周りの仮想的な円の周方向において複数の触媒反応部6とは異なる位置に配置される。つまり、複数の撹拌板17は、上記周方向において、複数の触媒反応部6のうちの隣り合う2つの触媒反応部6の間の位置に配置される。複数の撹拌板17は、例えば、金属製の部材である。
【0087】
これにより、撹拌部2により発生させた温度調整部10内面に沿う反応物の流れが撹拌板17に当たって、より温度調整部10内面に沿って上方向に流すことができる。複数の撹拌板17は、反応槽1の内壁面に固定されているため、温度調整部10による熱が伝導される。このため、複数の撹拌板17は、反応槽1内の反応物と温度調整部10の熱媒体との熱交換を促進する熱伝導体(つまり、フィン)としても機能させることができる。よって、反応物の温度をより効果的に調整できる効果を得ることができる。
【0088】
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係る食品加工装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示の一態様は、例えば、食品の原料を改質する光触媒を用いた食品加工装置に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 反応槽
2 撹拌部
3 回転軸
4 撹拌体
5 蓋部
6 触媒反応部
7 反応管
7a ガラス基材
7b 薄膜
8 光源
10 温度調整部
10a 外壁
11 温度検出部
13 押さえ部
14 可動押さえ部
15 押さえねじ
16 底側固定部材
17 撹拌板
100、100A~100E 食品加工装置
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13