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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】内装パネル及び内装パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20230127BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20230127BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20230127BHJP
   B32B 3/02 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
E04B1/94 V
E04B1/94 W
E04F13/08 A
B32B5/18
B32B3/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018161620
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2019173537
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2018057461
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 恒也
(72)【発明者】
【氏名】梅岡 一哲
(72)【発明者】
【氏名】新田 悠吉
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-159577(JP,A)
【文献】実開昭60-067923(JP,U)
【文献】特開2011-052407(JP,A)
【文献】特開2002-021316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0193666(US,A1)
【文献】特開2006-075991(JP,A)
【文献】特開2013-099864(JP,A)
【文献】実公昭61-006133(JP,Y2)
【文献】特開平10-029621(JP,A)
【文献】特公昭56-030276(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
E04C 2/30
E04F 13/08
E06B 3/70
B32B 3/02,5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルであって、
発泡樹脂層と、該発泡樹脂層の室内側に設けられた難燃層と、該難燃層の室内側に設けられた化粧層と、を備えており、
前記難燃層及び前記化粧層を含む表面層が溝底側に存在するように、少なくとも一側端部の裏面側に設けられた折曲溝の部位において折り曲げられて該一側端部の端面に前記表面層を構成する端面層が設けられており、
前記折曲溝の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上であり、
前記折曲溝において折り曲げられていない展開状態において、パネル厚さ方向一方側に向けて開口する前記折曲溝のパネル外方側に前記端面層の裏面側に位置して前記発泡樹脂層の一側端部の下地側部位を構成する下地側樹脂層が設けられ、前記表面層は、前記折曲溝において折り曲げられた状態の前記下地側樹脂層の下地側に向く前記一側端部の裏面を構成する下地側面を覆うように前記端面層から延出された延出部位を備えていることを特徴とする内装パネル。
【請求項2】
裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルであって、
発泡樹脂層と、該発泡樹脂層の室内側に設けられた難燃層と、該難燃層の室内側に設けられた化粧層と、を備えており、
前記難燃層及び前記化粧層を含む表面層が溝底側に存在するように、少なくとも一側端部の裏面側に設けられた折曲溝の部位において折り曲げられて該一側端部の端面に前記表面層が設けられており、
前記折曲溝の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上であり、前記折曲溝の溝底側の部位には、前記発泡樹脂層が圧縮された樹脂層が設けられていることを特徴とする内装パネル。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記表面層は、前記難燃層の前記発泡樹脂層側に設けられたガラス繊維強化樹脂層を含んでいることを特徴とする内装パネル。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか1項において、
前記一側端部の室内側縁部に面取部が形成されるように複数本の前記折曲溝が設けられていることを特徴とする内装パネル。
【請求項5】
裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルの製造方法であって、
化粧層及び難燃層を含む表面層の裏面側に発泡樹脂層が設けられたパネル体の少なくとも一側端部の裏面側に、前記表面層が溝底側に存在するように、かつ溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法が前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上となるように折曲溝を形成し、パネル厚さ方向一方側に向けて開口する前記折曲溝のパネル外方側に、前記一側端部の端面の前記表面層を構成する端面層の裏面側に位置して前記発泡樹脂層の一側端部の下地側部位を構成する下地側樹脂層を形成し、該下地側樹脂層よりもパネル外方側に向けて前記端面層から延出し前記折曲溝において折り曲げられた状態の前記下地側樹脂層の下地側に向く下地側面を覆う延出部位を形成する工程と、
前記折曲溝の部位において折り曲げて前記一側端部の端面及び該一側端部の裏面を構成する前記下地側面に前記表面層を設ける工程と、
を備えていることを特徴とする内装パネルの製造方法。
【請求項6】
裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルの製造方法であって、
化粧層及び難燃層を含む表面層の裏面側に発泡樹脂層が設けられたパネル体の少なくとも一側端部の裏面側に、前記表面層が溝底側に存在するように、かつ溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法が前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上となるように折曲溝を形成する工程と、
前記折曲溝の部位において折り曲げて前記一側端部の端面に前記表面層を設ける工程と、
を備えており、
前記パネル体の前記折曲溝を形成する部位に裏面側から溝形成型をプレスして前記折曲溝を形成することを特徴とする内装パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井や壁などを構成する内装パネル及び内装パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の天井や壁を構成する内装パネルには、難燃性(不燃性)が求められる場合があった。
例えば、下記特許文献1には、樹脂発泡体からなる断熱性基材に、化粧層及び金属層を含む不燃補強層を設けた不燃積層材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-99864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような不燃積層材においては、断熱性基材が端面において露出するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、室内側における難燃性に加えて少なくとも一側端部の難燃性を向上し得る内装パネル及びこのような内装パネルを好適に製造し得る内装パネルの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る内装パネルは、裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルであって、発泡樹脂層と、該発泡樹脂層の室内側に設けられた難燃層と、該難燃層の室内側に設けられた化粧層と、を備えており、前記難燃層及び前記化粧層を含む表面層が溝底側に存在するように、少なくとも一側端部の裏面側に設けられた折曲溝の部位において折り曲げられて該一側端部の端面に前記表面層を構成する端面層が設けられており、前記折曲溝の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上であり、前記折曲溝において折り曲げられていない展開状態において、パネル厚さ方向一方側に向けて開口する前記折曲溝のパネル外方側に前記端面層の裏面側に位置して前記発泡樹脂層の一側端部の下地側部位を構成する下地側樹脂層が設けられ、前記表面層は、前記折曲溝において折り曲げられた状態の前記下地側樹脂層の下地側に向く前記一側端部の裏面を構成する下地側面を覆うように前記端面層から延出された延出部位を備えていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る内装パネルは、裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルであって、発泡樹脂層と、該発泡樹脂層の室内側に設けられた難燃層と、該難燃層の室内側に設けられた化粧層と、を備えており、前記難燃層及び前記化粧層を含む表面層が溝底側に存在するように、少なくとも一側端部の裏面側に設けられた折曲溝の部位において折り曲げられて該一側端部の端面に前記表面層が設けられており、前記折曲溝の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上であり、前記折曲溝の溝底側の部位には、前記発泡樹脂層が圧縮された樹脂層が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る内装パネルの製造方法は、裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルの製造方法であって、化粧層及び難燃層を含む表面層の裏面側に発泡樹脂層が設けられたパネル体の少なくとも一側端部の裏面側に、前記表面層が溝底側に存在するように、かつ溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法が前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上となるように折曲溝を形成し、パネル厚さ方向一方側に向けて開口する前記折曲溝のパネル外方側に、前記一側端部の端面の前記表面層を構成する端面層の裏面側に位置して前記発泡樹脂層の一側端部の下地側部位を構成する下地側樹脂層を形成し、該下地側樹脂層よりもパネル外方側に向けて前記端面層から延出し前記折曲溝において折り曲げられた状態の前記下地側樹脂層の下地側に向く下地側面を覆う延出部位を形成する工程と、前記折曲溝の部位において折り曲げて前記一側端部の端面及び該一側端部の裏面を構成する前記下地側面に前記表面層を設ける工程と、を備えていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る内装パネルは、裏面側を内装下地側に向けて施工される内装パネルの製造方法であって、化粧層及び難燃層を含む表面層の裏面側に発泡樹脂層が設けられたパネル体の少なくとも一側端部の裏面側に、前記表面層が溝底側に存在するように、かつ溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法が前記化粧層及び前記難燃層の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上となるように折曲溝を形成する工程と、前記折曲溝の部位において折り曲げて前記一側端部の端面に前記表面層を設ける工程と、を備えており、前記パネル体の前記折曲溝を形成する部位に裏面側から溝形成型をプレスして前記折曲溝を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る内装パネルは、上述のような構成としたことで、室内側における難燃性に加えて少なくとも一側端部の難燃性を向上させることができる。また、本発明に係る内装パネルの製造方法は、上述のような構成としたことで、このような内装パネルを好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る内装パネルの一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図である。
図2】(a)~(d)は、本発明の一実施形態に係る内装パネルの製造方法の一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図である。
図3】(a)~(c)は、同内装パネルの製造方法の一例を模式的に示し、(a)は、一部破断概略平面図、(b)、(c)は、一部破断概略縦断面図である。
図4】(a)は、同内装パネルの製造方法の一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図、(b)は、同内装パネルの一部破断概略平面図である。
図5】(a)は、本発明の他の実施形態に係る内装パネルの一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図、(b)は、本発明の他の実施形態に係る内装パネルの製造方法の一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図である。
図6】(a)は、本発明の更に他の実施形態に係る内装パネルの一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図、(b)~(d)は、本発明の更に他の実施形態に係る内装パネルの製造方法の一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の各実施形態では、各実施形態に係る内装パネルの一例としての天井パネルを施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1図4は、第1実施形態に係る内装パネルの一例及び第1実施形態に係る内装パネルの製造方法の一例を模式的に示す図である。
【0011】
本実施形態に係る内装パネルは、天井パネル1を構成し、図1に示すように、裏面側を内装下地としての天井下地5側に向けて施工される。この天井パネル1は、発泡樹脂層20と、この発泡樹脂層20の室内側に設けられた難燃層12と、この難燃層12の室内側に設けられた化粧層11と、を備えている。このような構成とすれば、木質系ボードや石膏ボードと比べて、軽量化を図ることができ、また、室内側における難燃性を向上させることができる。
この天井パネル1が固定される天井下地5としては、木造天井下地でもよく、鋼製天井下地でもよい。また、天井下地5を、軽鉄材を用いたいわゆる軽天下地としてもよい。図例では、天井下地5を、吊木や吊ボルト等の吊部材6に野縁7を吊り下げた構成としたいわゆる吊天井とした例を示しているが、種々の構成とされたものでもよい。
また、この天井パネル1は、隣り合う天井パネル1,1の一方向両側端部2,2の端面3,3同士が突き合わせられ、これら側端部2,2を貫通させるように止着された止具8,8によって天井下地5の野縁7に固定されるものでもよい。このように止具8によって天井パネル1を固定する構成とすれば、ジョイナー等の接合部材を用いて施工する必要があるものと比べて、施工性を向上させることができる。
【0012】
また、この天井パネル1は、住居やオフィス等の比較的に小型の建物の天井として施工されるものでもよく、体育館やホール、ショッピングモール、工場、学校等の比較的に大型の各種の建物の天井として施工されるものでもよい。
また、この天井パネル1は、単位面積(1m)当たりの質量が2.0kg以下とされたものでもよい。また、この天井パネル1の質量を、上記のような軽天下地からなる天井下地5を含んだ天井システム全体の質量が2.0kg/m以下となるような質量としてもよい。なお、本実施形態に係る内装パネルとしては、天井パネル1を構成するものに限られず、壁パネルを構成するものでもよい。この場合は、間柱やスタッド等の壁下地を内装下地として把握するようにすればよい。
【0013】
また、この天井パネル1は、図4(b)に示すように、平面視して(厚さ方向に見て)、略方形状とされている。この天井パネル1は、平面視して略正方形状とされたものでもよく、略長方形状とされたものでもよい。この天井パネル1の平面視した状態における大きさは、取扱性や施工性等の観点から適宜の大きさとしてもよく、例えば、1辺の長さが0.3m以上とされたものでもよく、2.0m以下とされたものでもよい。また、略長方形状とされた天井パネル1においては、短辺の長さが0.3m以上で、長辺の長さが2.0m以下とされたものでもよい。また、略正方形状とされた天井パネル1においては、1辺の長さが0.6m以上、1.5m以下とされたものでもよく、0.9m~1.2m程度とされたものでもよい。また、この天井パネル1の厚さは、層構成等にもよるが、例えば、2.5mm~15.0mm程度としてもよく、好ましくは、3.0mm~12.0mm程度としてもよく、より好ましくは、3.0mm~6.0mm程度としてもよい。
【0014】
化粧層11及び難燃層12は、当該天井パネル1の室内側に設けられ表面層10を構成する。
化粧層11は、厚さが0.1mm~0.5mm程度の薄シート状とされ、当該天井パネル1の化粧面を構成する。本実施形態では、この化粧層11を、ガラス繊維シートとしている。このような構成とすれば、化粧層11を印刷紙や突板としたものと比べて、剛性及び難燃性を向上させることができる。この化粧層11としては、ガラス不織布(ガラスペーパー)でもよく、目付が20g/m~250g/m程度とされたものでもよく、好ましくは、目付が30g/m~100g/m程度とされたものでもよい。
また、この化粧層11は、ガラス繊維シートの表面に印刷や塗装等の適宜の表面化粧処理が施されたものでもよい。なお、化粧層11としては、ガラス繊維シートに限られず、印刷や塗装等の適宜の表面化粧処理が施された他のシート材でもよく、また、印刷、塗装等によって形成されたものでもよい。また、化粧層11の印刷に用いる塗料に含まれる顔料、添加物等は、難燃性を確保する観点から、無機系であることが好ましい。
【0015】
難燃層12は、当該天井パネル1が建築基準法において定められた不燃材料等に必要な性能に関する技術的基準を満たすように適宜の構成とされたものでもよい。例えば、当該天井パネル1が技術的基準における「難燃材料」の基準を満たすように構成されたものでもよく、好ましくは、「準不燃材料」の基準を満たすように構成されたものでもよく、より好ましくは、「不燃材料」の基準を満たすように構成されたものでもよい。この難燃層12としては、例えば、薄シート状とされた箔状のアルミシートでもよい。この難燃層12を構成するアルミシートの厚さは、5μm~50μm程度でもよく、好ましくは、7μm~40μm程度でもよく、より好ましくは、10μm~30μm程度でもよい。
なお、難燃層12としては、上記のような構成とされたものに限られず、その他、種々の構成とされたものの採用が可能である。例えば、吸熱性金属水酸化物を含む樹脂含浸ガラス繊維不織布板等としてもよい。
これら化粧層11と難燃層12とは、適宜の接着剤等によって積層一体化されたものでもよい。
【0016】
また、本実施形態では、図1に示すように、表面層10を、難燃層12の発泡樹脂層20側に設けられたガラス繊維強化樹脂層13を含んだ構成としている。このような構成とすれば、ガラス繊維強化樹脂層13が補強層として機能し、天井パネル1全体の曲げ剛性及び寸法安定性を向上させることができる。これにより、軽量化を図りながらも、施工後における垂れをより効果的に抑制することができ、天井パネル1として好適なものとなる。
このガラス繊維強化樹脂層13は、樹脂主成分が発泡樹脂層20の樹脂主成分と同一とされている。このような構成とすれば、各層における馴染み性が良好となり、境界剥離等を生じ難くすることができる。
【0017】
このガラス繊維強化樹脂層13を構成するガラス繊維シート14は、目付が50g/m~300g/mのガラスクロスとされている。このような構成とすれば、軽量化を図りながらも適度な曲げ剛性を確保することができる。このガラス繊維シート14の目付は、好ましくは、50g/m~150g/mでもよく、より好ましくは、50g/m~100g/mでもよい。このようなガラス繊維シート14としては、厚さが0.1mm~0.5mm程度の薄シート状とされたものでもよい。また、このガラス繊維シート14としては、ガラス繊維の織布が好ましく、例えば、縦糸及び横糸にガラスロービングを用いて製織した平織、絡み織等の織物であるガラスクロスでもよい。ガラスクロスを用いることにより、熱変形を生じ難くすることができる。なお、ガラス繊維シート14としては、このようなガラスクロスに限られず、ガラスペーパーやガラスマットでもよい。
【0018】
また、本実施形態では、ガラス繊維強化樹脂層13は、ガラス繊維シート14に発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物が含浸されて形成されている。つまり、発泡樹脂層20の一部にガラス繊維強化樹脂層13を一体的に設けた構成としている。このような構成とすれば、別途に作成されたガラス繊維強化樹脂層を構成するシートを発泡樹脂層20に積層したものと比べて、境界剥離等をより生じ難くすることができる。また、製造効率を向上させることができる。このガラス繊維強化樹脂層13は、上記樹脂組成物の発泡により気泡を含んだ構成とされたものでもよい。
【0019】
また、上記のように積層一体化された化粧層11及び難燃層12の天井下地5側に適宜の接着剤によってガラス繊維シート14が積層一体化された複合シートが、発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物によって発泡樹脂層20に積層一体化されたものでもよい。この場合、難燃層12がガラス繊維強化樹脂層13を構成するガラス繊維シート14を通過した樹脂組成物に少なくとも部分的に接着されたものでもよい。つまり、上記のように目付が小さくされて目隙が多くなるガラス繊維シート14から発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物が染み出すようにして難燃層12に部分的に接着されたものでもよい。また、難燃層12とガラス繊維シート14とを積層一体化する接着剤は、ガラス繊維強化樹脂層13を構成する樹脂組成物のガラス繊維シート14からの染み出しを許容するようにガラス繊維シート14に塗布されたものでもよい。このような構成とすれば、接着剤等を介して難燃層12を積層したものと比べて、剥離を抑制することができ、また、皺等が形成され難く、製造効率を向上させることができる。
【0020】
また、本実施形態では、発泡樹脂層20の天井下地5側に、下地側層15を構成するガラス繊維強化樹脂層17を設けた構成としている。つまりは、発泡樹脂層20を厚さ方向両側の補強層を構成するガラス繊維強化樹脂層13,17によって挟んだような構成としている。このような構成とすれば、曲げ剛性及び寸法安定性をより効果的に向上させることができる。これにより、軽量化を図りながらも、施工後における垂れをより効果的に抑制することができ、天井パネル1としてより好適なものとなる。
この下地側のガラス繊維強化樹脂層17は、上記した表面層10を構成するガラス繊維強化樹脂層13と概ね同様、発泡樹脂層20の樹脂主成分と樹脂主成分が同一とされている。また、上記同様、この下地側のガラス繊維強化樹脂層17は、ガラス繊維シート18に発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物が含浸されて形成されている。この下地側のガラス繊維強化樹脂層17は、上記同様、上記樹脂組成物の発泡により気泡を含んだ構成とされたものでもよい。
【0021】
また、本実施形態では、この下地側のガラス繊維強化樹脂層17の天井下地5側に、下地側層15を構成する滲出抑制層16を設けた構成としている。このような構成とすれば、発泡樹脂層20の厚さ方向両側にガラス繊維強化樹脂層13,17及びシート状部材(難燃層12及び滲出抑制層16)が設けられることとなり、曲げ剛性及び寸法安定性をより効果的に向上させることができる。また、概ね表裏対称な構造となるので、反り抑制効果も期待できる。
この滲出抑制層16としては、ガラス繊維強化樹脂層17を構成する樹脂組成物の滲出の抑制が可能なものであればよく、樹脂シートや金属シートでもよい。滲出抑制層16を、金属シートとすれば、難燃性を向上させることができ、また、遮熱性や電磁波遮蔽性の向上も期待できる。
例えば、滲出抑制層16を、上記した難燃層12と同様のアルミシートとしてもよく、難燃層12よりも薄いシートとしてもよい。例えば、滲出抑制層16の厚さを、難燃層12の厚さの2/5~3/5程度の厚さとしてもよい。
【0022】
また、この滲出抑制層16にガラス繊維強化樹脂層17を構成するガラス繊維シート18が適宜の接着剤で積層一体化された複合シートが、発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物によって発泡樹脂層20に積層一体化されたものでもよい。この場合、滲出抑制層16がガラス繊維強化樹脂層17を構成するガラス繊維シート18を通過した樹脂組成物に少なくとも部分的に接着されたものでもよい。つまり、上記のように目付が小さくされて目隙が多くなるガラス繊維シート18から発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物が染み出すようにして滲出抑制層16に部分的に接着されたものでもよい。また、滲出抑制層16とガラス繊維シート18とを積層一体化する接着剤は、ガラス繊維強化樹脂層17を構成する樹脂組成物のガラス繊維シート18からの染み出しを許容するようにガラス繊維シート18に塗布されたものでもよい。
【0023】
上記のような構成とすれば、接着剤等を介して滲出抑制層16を積層したものと比べて、剥離を抑制することができ、また、皺等が形成され難く、製造効率を向上させることができる。また、上記のようにガラス繊維シート18の目付を小さくすれば、目隙が多くなり、成形する際にガラス繊維強化樹脂層17を構成する樹脂組成物が染み出してガラス繊維シート18が樹脂組成物層内に埋没することが考えられる。上記のように滲出抑制層16にガラス繊維シート18を積層一体化した構成とすれば、成形する際におけるガラス繊維シート18の埋没を抑制することができる。
【0024】
発泡樹脂層20は、当該天井パネル1の大部分を占める。この発泡樹脂層20の厚さは、天井パネル1の厚さの80%~99%であることが好ましく、85%~95%であることがより好ましい。この発泡樹脂層10の厚さは、例えば、2.3mm~14.8mm程度としてもよく、好ましくは、2.5mm~11.5mm程度としてもよく、より好ましくは、2.5mm~5.5mm程度としてもよい。また、この発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物は、本実施形態では、発泡倍率が10倍~30倍の発泡ポリウレタン樹脂とされている。このような構成とすれば、軽量化を図ることができる。また、発泡樹脂層20の厚さ方向両側の表面層10及び下地側層15のうちの一方または両方を、上記のように発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物によって発泡樹脂層20に積層一体化することができ、製造効率を向上させることができる。この発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物の発泡倍率は、好ましくは、15倍~25倍程度でもよい。
【0025】
また、本実施形態では、発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物を、難燃性ポリウレタン樹脂組成物としている。このような構成とすれば、上記のような発泡倍率としたことも相俟って難燃性(不燃性)をより向上させることができる。つまり、発泡樹脂層20に含まれる有機材の量が比較的に少なくなるため総発熱量を低くすることができる。このような難燃性ポリウレタン樹脂組成物としては、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、触媒、発泡剤、整泡剤及び添加剤を含んだ構成とされたものでもよい。また、このような難燃性ポリウレタン樹脂組成物には、難燃剤や、フィラー、無機充填材が更に含まれていてもよい。発泡樹脂層20を構成する樹脂としては、ポリウレタン樹脂のほか、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示される。
【0026】
また、天井パネル1は、難燃層12及び化粧層11を含む表面層10が溝底側に存在するように、少なくとも一側端部2の裏面側に設けられた折曲溝22,25の部位において折り曲げられて一側端部2の端面3に表面層10(端面層10c)を設けた構成とされている。このような構成とすれば、四周の側端部2,2,2,2のうちの少なくとも一側端部2の端面3における難燃性を向上させることができる。これにより、隣り合う天井パネル1,1の一側端部2,2の端面3,3同士を突き合わせて施工された状態で室内側において火災が発生したような場合にも、発泡樹脂層20を端面3において露出させたものと比べて、端面3からの燃焼を遅延させることができる。また、一側端部2における曲げ剛性を向上させることができる。また、この一側端部2の端面3に室内側面から一連状に表面層10が設けられることとなるので、例えば、エッジシートを貼着して端面3を覆うようなものと比べて、室内側の縁部の見栄えを向上させることができる。また、本実施形態では、上記のように表面層10にガラス繊維強化樹脂層13を含んだ構成としているので、一側端部2の曲げ剛性をより効果的に向上させることができる。
【0027】
また、本実施形態では、一側端部2の室内側縁部に面取部4が形成されるように複数本の折曲溝22,25を設けた構成としている。このような構成とすれば、隣り合う天井パネル1,1の一側端部2,2の端面3,3同士を突き合わせて施工した場合における室内側面同士の段差を目立ち難くすることができる。また、室内側面から面取部4も含んで一側端部2の端面3に一連状に表面層10が設けられることとなるので、継目が形成されず、見栄えを向上させることができる。つまり、本実施形態では、表面層10は、天井パネル1の室内側面を構成する室内側面層10aと、面取部4を構成する面取表面層10bと、端面3を構成する端面層10cと、を備えている。
【0028】
また、本実施形態では、一側端部2の表面層10に、端面層10cから一側端部2の裏面を覆うように延出された延出部位を構成する端部裏面層10dを設けた構成としている。このような構成とすれば、端面3に加えて、一側端部2の裏面の難燃性を向上させることができる。また、室内側面及び端面3のみに表面層10を設けたものと比べて、一側端部2における曲げ剛性をより向上させることができ、また、表面層10の剥離を抑制することができる。また、図1に示すように、一側端部2の裏面に端部裏面層10dが設けられた部位に、ねじ等の止具8が止着される構成とすれば、止具保持力を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、一側端部2の裏面に、この端部裏面層10dと下地側層15とが重ね合わせられた部位を設けた構成としている。このような構成とすれば、一側端部2における曲げ剛性をより向上させることができる。このように重ね合わせられた部位に止具8が止着される構成としてもよい。この端部裏面層10dの延出方向に沿う寸法(幅寸法)は、一側端部2の強度上の観点や、剥離を抑制する観点、軽量化を図る観点等から適宜の寸法としてもよい。例えば、この端部裏面層10dの幅寸法を、当該天井パネル1の厚さ寸法の1倍~15倍程度としてもよく、好ましくは、3倍~10倍程度としてもよい。
【0030】
上記のような端面層10c(本実施形態では、端面層10cに加えて面取表面層10b及び端部裏面層10d)は、好ましくは、天井パネル1の一方向の両側端部2,2に設けられたものでもよい。このような構成とすれば、天井パネル1の一方向の両側端部2,2の端面3,3における難燃性を向上させることができる。本実施形態では、天井パネル1の四周の側端部2,2,2,2に端面層10c(本実施形態では、端面層10cに加えて面取表面層10b及び端部裏面層10d)を設けた構成としている(図4(b)参照)。このような構成とすれば、天井パネル1の四周の側端部2,2,2,2の端面3,3,3,3における難燃性を向上させることができる。なお、各側端部2,2,2,2は、いずれも同様の構成であるので、以下では一つの側端部2を例にとってその詳細について説明する。
【0031】
側端部2に設けられた面取部4は、天井パネル1の室内側面と端面3との角部に設けられている。この面取部4の室内側面との境界部から端面3との境界部までのパネル厚さ方向に沿う寸法(深さ寸法)は、隣り合う天井パネル1,1同士の段差を目立ち難くする観点等から適宜の寸法としてもよい。この面取部4の深さ寸法を、例えば、0.5mm~3.0mm程度としてもよく、本実施形態では、当該天井パネル1の厚さ寸法の1/2程度とした例を示している。
また、本実施形態では、面取部4がC面取状の傾斜面となるように、2本の折曲溝(第1折曲溝22及び第2折曲溝25)22,25を側端部2に設けた構成としている。
【0032】
これら折曲溝22,25の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、折曲性や折曲後の表面側の見栄え上の観点等から適宜の寸法としてもよく、少なくとも化粧層11及び難燃層12の各厚さ寸法を足し合わせた寸法以上としてもよい。これら折曲溝22,25の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、例えば、0.05mm~0.3mm程度でもよく、好ましくは、0.1mm~0.2mm程度でもよい。図例では、発泡樹脂層20の一部を折曲溝22,25の溝底側に残存させた例を示している(図2(d)参照)。つまり、折曲溝22,25の溝底側の部位のパネル厚さ方向に沿う寸法を、ガラス繊維強化樹脂層13を含む表面層10の厚さ寸法以上とした例を示している。
【0033】
また、これら折曲溝22,25は、図2(d)に示すように、これらが設けられた部位において折り曲げられていない状態(展開状態)で、パネル厚さ方向一方側(天井下地5側)に向けて開口し、側端部2(2A)に沿って延びるように全体に亘って設けられている。また、これら折曲溝22,25は、互いに略平行状に設けられており、展開状態で、溝長手方向に見て略V字状とされている。展開状態でパネル内方側(溝幅方向に沿う方向でパネル中心側)に位置する第1折曲溝22は、パネル外方側(溝幅方向に沿う方向でパネル外方側)に向く第1溝壁23とパネル内方側に向く第2溝壁24とによって溝幅方向両側が区画されている。展開状態でパネル外方側に位置する第2折曲溝25は、パネル外方側に向く第1溝壁26とパネル内方側に向く第2溝壁27とによって溝幅方向両側が区画されている。
【0034】
これら折曲溝22,25間には、面取表面層10bの裏面側に位置して発泡樹脂層20の側端部の室内側部位を構成する面取樹脂層20aが設けられている。また、展開状態における第2折曲溝25のパネル外方側には、端面層10cの裏面側に位置して発泡樹脂層20の側端部の下地側部位を構成する下地側樹脂層20bが設けられている(図4(a)も参照)。また、展開状態において、この下地側樹脂層20bよりもパネル外方側に向けて延びるように端部裏面層10dが設けられている。この端部裏面層10dは、ガラス繊維強化樹脂層13を含む表面層10のみからなるものでもよいが、裏面側に発泡樹脂層20の一部が設けられたものでもよく、また、少なくとも化粧層11及び難燃層12を含むものであればよい。
【0035】
面取樹脂層20aは、展開状態でパネル厚さ方向一方側に向けて突出し、溝長手方向に見て略直角二等辺三角形状とされている。換言すれば、第1折曲溝22と第2折曲溝25とは、これらの間に略直角二等辺三角形状の面取樹脂層20aが形成されるように隣接して設けられている。この面取樹脂層20aは、両側辺部の幅寸法が面取部4の深さ寸法に概ね応じた寸法となるように設けられている。また、この面取樹脂層20aの両側辺部が第1折曲溝22の第2溝壁24及び第2折曲溝25の第1溝壁26を構成する。つまり、第1折曲溝22の第2溝壁24と第2折曲溝25の第1溝壁26とは、互いに略直交状となるように設けられている。これら第1折曲溝22の第2溝壁24と第2折曲溝25の第1溝壁26とのなす角は、例えば、85度~95度程度でもよい。
【0036】
また、第1折曲溝22の第1溝壁23と第2折曲溝25の第2溝壁27とは、互いに対向するように略平行状に設けられ、展開状態で当該天井パネル1の厚さ方向両面に対して略直交状となるように設けられている。これら第1折曲溝22の第1溝壁23及び第2折曲溝25の第2溝壁27の展開状態におけるパネル厚さ方向に沿う幅寸法は、上記した面取樹脂層20aの両側辺部の幅寸法と概ね同寸法とされている。つまり、これら第1折曲溝22の第1溝壁23及び第2折曲溝25の第2溝壁27の幅寸法は、当該天井パネル1の厚さ寸法の概ね1/2程度とされている。
【0037】
下地側樹脂層20bは、展開状態でパネル厚さ方向一方側に向けて突出し、溝長手方向に見て略倒直角台形状とされている。展開状態において、下地側樹脂層20bのパネル内方側に向く面が第2折曲溝25の第2溝壁27を構成し、下地側樹脂層20bのパネル外方側に向く面が折曲状態で天井下地5側に向く下地側面29を構成する(図4(a)も参照)。また、この下地側樹脂層20bの突出方向先端面は、展開状態でパネル内方側に向けて下るように傾斜する傾斜面28とされている。この下地側樹脂層20bの下地側面29側の突出方向先端部には、下地側層15が設けられたものでもよい。つまり、下地側樹脂層20bの下地側面29側の突出方向先端部は、展開状態において、パネル厚さ方向で下地側層15と略一致した位置となるように設けられたものでもよい。
【0038】
側端部2の第1折曲溝22のパネル内方側の下地側縁部には、下地側面(パネル裏面)からパネル外方側に向けて下るように傾斜する傾斜面21が設けられている。この傾斜面21は、第1折曲溝22の第1溝壁23に連なるように、かつ第1溝壁23に対して屈曲状に設けられている。つまり、この傾斜面21と下地側樹脂層20bの傾斜面28とは、展開状態において、パネル厚さ方向一方側に向かうに従い拡開するように設けられている。これら傾斜面21,28は、傾斜方向に沿う幅寸法が互いに略同寸法とされ、かつ互いに略直交状となるように設けられている。これら傾斜面21,28のなす角は、例えば、85度~95度程度でもよい。
【0039】
上記構成とされた側端部2(2A)は、各折曲溝22,25の部位において折り曲げられれば、図3(c)及び図4(a)に示すように、第1折曲溝22の両側溝壁23,24が互いに当接または近接対面される。また、同様に、第2折曲溝25の両側溝壁26,27が互いに当接または近接対面され、傾斜面21,28が互いに当接または近接対面される。これにより、側端部2の室内側縁部に面取部4が形成され、下地側樹脂層20bの下地側面29と下地側層15の下地側面とが略同一平面状となる。また、上記のように延出された端部裏面層10dを、下地側樹脂層20b及び下地側層15を覆うように折り曲げれば、側端部2の下地側に端部裏面層10dが設けられる。なお、側端部2の下地側に、この端部裏面層10dを受け入れる凹段部を設けた構成としてもよい。このような凹段部は、切削等によって切除されることで形成されたものでもよく、圧縮によって形成されたものでもよい。
【0040】
また、本実施形態では、四周の側端部2,2,2,2のそれぞれに上記のような折り曲げられる部位を設けた構成としている。そのため、図3(a)に示すように、コーナー部に、折り曲げられた部位の重なり合いを低減する切欠状凹所19を設けた構成としている。
この切欠状凹所19は、展開状態で対角方向外側に向けて開口するように設けられている。また、切欠状凹所19は、隣り合う側端部2,2の面取表面層10b,10b及び面取樹脂層20a,20a同士の重なり合いを低減するように第1折曲溝22,22の溝底同士が交差する部位から拡開状に設けられた第1縁部19a,19aによって両側縁の基端側部位が区画されている。これら第1縁部19a,19aは、折曲溝22,25が設けられた部位で上記のように折り曲げられれば、これら第1縁部19a,19a同士が当接または近接対面し、面取部4,4同士が交差するコーナー部を構成する。また、図例では、面取樹脂層20a,20aの第1縁部19a,19a側の端部に互いの干渉を抑制する傾斜面を設けた構成としている。
【0041】
また、切欠状凹所19は、隣り合う側端部2,2の端面層10c,10c及び下地側樹脂層20b,20b同士の重なり合いを低減するように、第1縁部19a,19aから更に拡開状に設けられた第2縁部19b,19bによって両側縁の途中部位が区画されている。これら第2縁部19b,19bは、折曲溝22,25が設けられた部位で上記のように折り曲げられれば、これら第2縁部19b,19b同士が当接または近接対面し、端面3,3同士が交差するコーナー部を構成する。また、図例では、下地側樹脂層20b,20bの第2縁部19b,19b側の端部に互いの干渉を抑制する傾斜面を設けた構成としている。なお、このような傾斜面を、下地側樹脂層20b,20b及び上記した面取樹脂層20a,20aに設けていない構成としてもよい。このような構成としても、下地側樹脂層20b,20b及び面取樹脂層20a,20aの互いの干渉部分は圧縮されて潰れるため、コーナー部において干渉による膨らみ等は形成され難い。
【0042】
また、切欠状凹所19の両側縁の開口側部位は、隣り合う側端部2,2の端部裏面層10d,10d同士の重なり合いを低減するように、第2縁部19b,19bに連なるように設けられた第3縁部19c,19cによって区画されている。これら第3縁部19c,19cは、折曲溝22,25が設けられた部位で上記のように折り曲げられれば、これら第3縁部19c,19c同士が当接または近接対面し、端部裏面層10d,10d同士が交差するコーナー部を構成する(図4(b)参照)。つまり、隣り合う側端部2,2の端部裏面層10d,10dの第3縁部19c,19c同士が留継状に突き合わせられる。
なお、コーナー部において折り曲げられた部位の重なり合いを低減する構成としては、上記のような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0043】
また、上記した例では、側端部2の第1折曲溝22のパネル内方側の下地側縁部及び下地側樹脂層20bに傾斜面21,28を設けた例を示しているが、このような傾斜面21,28を設けていない構成としてもよい。例えば、側端部2の下地側部位に、第1折曲溝22の第1溝壁23と同一平面状の平坦面部を設け、下地側樹脂層20bの突出方向先端面を、この平坦面部に当接または近接対面される平坦面としてもよい。または、側端部2の下地側縁部に、下地側樹脂層20bの突出方向先端部を受け入れる凹段部を設けたような態様としてもよい。側端部2の第1折曲溝22のパネル内方側の下地側縁部と下地側樹脂層20bとの重なり合いを低減する構成としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。
また、上記した例では、面取部4を、C面取状の傾斜面とした例を示しているが、R面取状の突湾曲面としてもよい。この場合は、折曲溝22,25の形状や本数、面取樹脂層20a及び下地側樹脂層20bの形状等を適宜、変形すればよい。
【0044】
次に、本実施形態に係る内装パネルの製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、内装パネルとして、上記した天井パネル1を製造する方法について説明するが、壁パネル等の他の内装パネルを製造することも可能である。
同製造方法は、図2に示すように、化粧層11及び難燃層12を含む表面層10Aの裏面側に発泡樹脂層20Aが設けられたパネル体1Aの少なくとも一側端部2Aの裏面側に、表面層10Aが溝底側に存在するように折曲溝22,25を形成する工程を備えている。また、同製造方法は、図3(c)及び図4(a)に示すように、折曲溝22,25の部位において折り曲げて一側端部2Aの端面3に端面層10cを設ける工程を備えている。このような構成とすれば、上記のような天井パネル1を好適に製造することができる。
【0045】
同製造方法においては、図2(a)に示すように、表面層10Aと下地側層15Aとの間に発泡樹脂層20Aを構成する樹脂組成物を供給し、パネル体1Aを成形するようにしてもよい。この際、表面層10Aを、化粧層11、難燃層12及びガラス繊維シート14(図1参照)が積層一体化された複合シートとし、供給された樹脂組成物がガラス繊維シート14に含浸してガラス繊維強化樹脂層13が形成されたものでもよい。また、下地側層15Aを、滲出抑制層16及びガラス繊維シート18(図1参照)が積層一体化された複合シートとし、供給された樹脂組成物がガラス繊維シート18に含浸してガラス繊維強化樹脂層17が形成されたものでもよい。また、この際、表面層10A及び下地側層15Aのうちの一方の裏面側に、発泡樹脂層20Aを構成する樹脂組成物を供給(塗布)し、この供給された樹脂組成物を覆うように他方を配置し、厚さを規制しながら発泡させて成形するようにしてもよい。この場合は、例えば、ダブルベルトプレス装置や複数の履板を連結した無限軌道帯を備えたプレス装置等によって連続成形するようにしてもよい。
【0046】
そして、図2(b)に示すように、パネル体1Aが適宜の大きさとなるように四周を切断する。このように四周が切断されたパネル体1Aの各辺の寸法(一方向及び他方向に沿う寸法)は、製造しようとする天井パネル1の各辺の寸法に、上記のように折曲溝22,25の部位で折り曲げられる部位及び端部裏面層10dの寸法を加味して適宜の寸法とすればよい。
また、図2(c)に示すように、側端部2Aに、折曲溝22,25及び傾斜面21,28を形成する。これら折曲溝22,25及び傾斜面21,28は、下地側層15A及び発泡樹脂層20Aを適宜、切除及び切削加工して形成するようにしてもよい。なお、この際、パネル体1Aの裏面側の折曲溝22,25及び傾斜面21,28が形成される部位(またはこれらに加えて端部裏面層10dが形成される部位)の下地側層15Aの少なくとも滲出抑制層16を剥離しておくようにしてもよい。このような構成とすれば、滲出抑制層16を上記のようなアルミシート等の金属製シートとした場合にも、切削する際における火花等の発生を抑制することができる。
【0047】
また、図2(d)に示すように、下地側樹脂層20bのパネル外方側の発泡樹脂層20Aを切除して表面層10Aを延出させるように端部裏面層10dを形成する。なお、下地側樹脂層20bのパネル外方側の発泡樹脂層20Aを切除する際には、後記する第3実施形態のような切込29A(図6(b))を形成した後に切除するようにしてもよい。また、下地側樹脂層20bのパネル外方側の発泡樹脂層20Aを切除した後に、端部裏面層10dの裏面側に残存する発泡樹脂層20を適宜必要に応じて研磨等によって除去するようにしてもよい。また、折曲溝22,25の各溝底及び下地側樹脂層20bと端部裏面層10dとの境界部に、へら状治具等によって折罫等の折曲癖を施すようにしてもよい。なお、折曲溝22,25の溝底や端部裏面層10dの裏面側に発泡樹脂層20Aの一部が残存した状態でもよい。つまり、表面層10Aを少なくとも残存させるように、折曲溝22,25や端部裏面層10dを設けた構成としてもよい。また、強度上の観点等からガラス繊維強化樹脂層13を含む表面層10Aを折曲溝22,25の溝底や端部裏面層10dとして残存させるようにしてもよいが、ガラス繊維強化樹脂層13の一部が除去されていてもよい。
【0048】
また、図3(a)に示すように、コーナー部に切欠状凹所19を形成する。この切欠状凹所19は、折曲溝22,25の形成後に行うようにしてもよく、または折曲溝22,25の形成前に行うようにしてもよい。
そして、図3(b)に示すように、端部裏面層10dの裏面に適宜の接着剤9を塗布する。なお、各折曲溝22,25の溝壁23,24,26,27や傾斜面21,28にも接着剤を塗布するようにしてもよい。
そして、図3(c)及び図4(a)に示すように、適宜のガイドローラーによって各折曲溝22,25の部位において折り曲げ、更に端部裏面層10dを下地側層15に重ね合わせるように折り返し、接着剤9を硬化させる。
このような工程を経て、図1及び図4(b)に示すように、天井パネル1が製造される。
【0049】
なお、上記製造工程は、一例に過ぎず、適宜、変形が可能である。
また、本実施形態では、発泡樹脂層20の厚さ方向両側のガラス繊維強化樹脂層13,17を、ガラス繊維シート14,18に発泡樹脂層20を構成する樹脂組成物が含浸されて形成されたものとした例を示しているが、このような態様に限られない。発泡樹脂層20の厚さ方向両側のガラス繊維強化樹脂層13,17のうちの両方または一方を、発泡樹脂層20とは別体的に形成されて適宜の接着剤によって積層一体化されたものとしてもよい。また、難燃層12及び滲出抑制層16も同様、これらのうちの両方または一方がガラス繊維強化樹脂層13,17に対して適宜の接着剤によって積層一体化されたものとしてもよい。
【0050】
次に、本発明に係る他の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の各実施形態では、第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。また、製造方法についても同様の構成については、その説明を省略または簡略に説明する。
【0051】
図5(a)、(b)は、第2実施形態に係る内装パネルとしての天井パネルの一例及びこれを製造する製造方法の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る天井パネル1Bは、図5(a)に示すように、側端部2Bに面取部を設けていない構成が上記第1実施形態とは主に異なる。つまり、本実施形態では、側端部2Bの端面3Aは、パネル厚さ方向の全体に亘って平坦面状とされている。また、側端部2Bに1本の折曲溝22Bを設けた構成としている。また、表面層10は、発泡樹脂層20Bの室内側の室内側面層10aと端面層10cとが略直交状にかつ連なるように設けられている。
【0052】
折曲溝22Bは、図5(b)に示すように、展開状態で、溝長手方向に見て略V字状とされている。この折曲溝22Bは、パネル外方側に向く第1溝壁21Bとパネル内方側に向く第2溝壁28Bとによって溝幅方向両側が区画されている。本実施形態では、これら両溝壁21B,28Bは、溝底から下地側面に至るまで設けられている。また、これら第1溝壁21Bと第2溝壁28Bとは、互いに略直交状となるように設けられている。これら両溝壁21B,28B同士のなす角は、上記同様、例えば、85度~95度程度でもよい。
また、展開状態における折曲溝22Bのパネル外方側には、端面層10cの裏面側に位置して発泡樹脂層20Bの側端部の下地側部位を構成する下地側樹脂層20cが設けられている(図5(a)も参照)。また、展開状態において、この下地側樹脂層20cよりもパネル外方側に向けて延びるように端部裏面層10dが設けられている。
【0053】
下地側樹脂層20cは、本実施形態では、展開状態でパネル厚さ方向一方側に向けて突出し、溝長手方向に見て略直角三角形状とされている。展開状態において、下地側樹脂層20cのパネル内方側に向く面が折曲溝22Bの第2溝壁28Bを構成し、下地側樹脂層20cのパネル外方側に向く面が折曲状態で天井下地5側に向く下地側面29を構成する。
上記構成とされた側端部2Bは、折曲溝22Bの部位において折り曲げられれば、折曲溝22Bの両側溝壁21B,28Bが互いに当接または近接対面される。
また、このような天井パネル1Bを製造する製造方法は、上記同様、図5(b)に示すように、パネル体1Cの側端部2Cに折曲溝22Bを形成する工程を備えている。パネル体1Cは、上記同様、表面層10と下地側層15との間に発泡樹脂層20Cを構成する樹脂組成物を供給して形成されたものでもよい。また、同製造方法は、折曲溝22Bの部位において折り曲げて側端部2Bの端面3Aに端面層10cを設ける工程を備えている。
なお、本実施形態においても、四周の側端部2Bの端面3Aに端面層10cを設ける場合には、上記のような切欠状凹所を展開状態におけるコーナー部に設けた構成としてもよい。
本実施形態に係る天井パネル1Bにおいても、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。
【0054】
図6(a)~(d)は、第3実施形態に係る内装パネルとしての天井パネルの一例及びこれを製造する製造方法の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る天井パネル1Eは、図6(a)に示すように、上記した第1実施形態と概ね同様、側端部2Eの室内側縁部に面取部4を設けた構成としている。また、天井パネル1Eは、図6(d)に示すように、側端部2E(2D)の裏面側に、上記した第1実施形態と概ね同様の傾斜面21A,28A及び折曲溝22A,25Aを設けた構成としている。本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、傾斜面21A,28A及び折曲溝22A,25Aの両側溝壁23A,24A,26A,27Aを、下地側層15Cによって構成している。つまり、上記第1実施形態では、切削等によって形成された傾斜面21,28及び折曲溝22,25の両側溝壁23,24,26,27において発泡樹脂層20が露出する構成とした例を示しているが、本実施形態では、異なる。
【0055】
つまりは、パネル内方側の下地側面から傾斜面21A、第1折曲溝22Aの両側溝壁23A,24A、第2折曲溝25Aの両側溝壁26A,27A及び傾斜面28Aに亘って一連状に下地側層15Cが設けられている。
また、本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、延出部位に、表面層10を構成する端部裏面層10dに加え、端部発泡樹脂層20Eを設けた構成としている。また、延出部位に、端部裏面層10d及び端部発泡樹脂層20Eに加え、端部下地側層15Bを設けた構成としている。つまり、延出部位は、詳細な図示は省略しているが、端部裏面層10dを構成する化粧層11、難燃層12及びガラス繊維強化樹脂層13と、端部発泡樹脂層20Eと、端部下地側層15Bを構成するガラス繊維強化樹脂層17及び滲出抑制層16と、を備えている。また、下地側樹脂層20bの下地側面29及び側端部2Eの下地側層15Cの下地側面に、端部下地側層15B、端部発泡樹脂層20E及び端部裏面層10dが下地側に向けてこの順に設けられている。このような構成とすれば、上記第1実施形態と比べて、側端部2Eの剛性や止具保持力をより効果的に向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、折曲溝22A,25Aの溝底側の部位に、発泡樹脂層20Aが圧縮された樹脂層を設けた構成としている。換言すれば、発泡樹脂層20は、折曲溝22A,25Aの溝底側の部位が他の部位よりも高密度とされている。このような構成とすれば、折曲溝22A,25Aの溝底側の部位、つまりは、折曲溝22A,25Aにおいて折り曲げられて形成される表面側の角部の強度を向上させることができる。なお、折曲溝22A,25Aの溝底側の部位において発泡樹脂層20Aに加えて、ガラス繊維強化樹脂層13,17も圧縮されていてもよい。
また、端部発泡樹脂層20Eも他の部位よりも高密度とされている。つまり、端部発泡樹脂層20Eは、発泡樹脂層20Dが圧縮された樹脂層を構成する。また、延出部位のガラス繊維強化樹脂層13,17も圧縮されていてもよい。ここに、発泡樹脂層20の他の部位とは、端部発泡樹脂層20Eや折曲溝22A,25Aの溝底側の部位のように圧縮されて高密度とされていない部位を指し、平面視した状態におけるパネル中央側部位等(傾斜面21Aよりもパネル内方側の部位)の圧縮されていない非圧縮部位を指す。つまり、折曲溝22A,25Aの溝底側の部位及び端部発泡樹脂層20E(並びにガラス繊維強化樹脂層13,17)は、圧縮されることで気泡が潰されて非圧縮部位よりも高密度とされている。なお、これら折曲溝22A,25Aの溝底側の部位及び端部発泡樹脂層20E(並びにガラス繊維強化樹脂層13,17)は、後記するようにプレス(熱プレス)されていわゆるスキン層のように気泡が略無い樹脂層でもよく、気泡の一部が残存している樹脂層でもよい。
これら折曲溝22A,25A及び傾斜面21A,28Aは、図6(b)に示すように、これらを形成する部位に裏面側から溝形成型30をプレスして形成されている。つまり、これら折曲溝22A,25A及び傾斜面21A,28Aは、発泡樹脂層20Aが圧縮されて形成されている。このような構成とすれば、上記第1実施形態のように切除や切削等によって形成したものと比べて、切削屑等の発生や付着を防止することができ、また、特にコーナー部における欠け等の発生を防止することができる。また、上記のようなアルミシート等の金属製シートとされた滲出抑制層16を裏面側に剥離することなく設けておいた場合にも、火花等の発生の懸念がない。
【0057】
溝形成型30は、パネル内方側及びパネル外方側の傾斜面21A,28Aを形成する両側の傾斜面31,38と、これら傾斜面31,38の近接側端部から突出するように設けられた溝形成突部32,35と、を備えている。溝形成突部32,35は、第1折曲溝22Aを形成する第1溝形成突部32と、第2折曲溝25Aを形成する第2溝形成突部35と、を備えている。第1溝形成突部32のパネル内方側に向く第1側面33が第1折曲溝22Aのパネル外方側に向く第1溝壁23Aを形成し、第1溝形成突部32のパネル外方側に向く第2側面34が第1折曲溝22Aのパネル内方側に向く第2溝壁24Aを形成する。第2溝形成突部35のパネル内方側に向く第1側面36が第2折曲溝25Aのパネル外方側に向く第1溝壁26Aを形成し、第2溝形成突部35のパネル外方側に向く第2側面37が第2折曲溝25Aのパネル内方側に向く第2溝壁27Aを形成する。なお、各折曲溝22A,25Aの角部が比較的にシャープとなるように、溝形成突部32,35の先端等を図例よりも鋭角にするようにしてもよい。
【0058】
また、延出部位も同様、図6(c)に示すように、延出部位を形成する部位に端部形成型39をプレスして形成されている。このような構成とすれば、上記同様、切削屑等の発生や付着を防止することができ、また、研磨等を不要とできる。
この端部形成型39は、パネル体1Dのパネル外方側の発泡樹脂層20Dを圧縮して上記のように延出部位が形成されるようにプレス面が平坦面状とされている。
なお、後記するように、溝形成型30及び端部形成型39並びにこれらをプレスする際にパネル体1Dが載置されるプレス型を加熱した状態でプレスするようにしてもよい。この場合の加熱温度は、発泡樹脂層20Aを構成する樹脂組成物の種類に応じて適宜の温度としてもよく、発泡樹脂層20Aが適度に軟化する温度で、かつ溶融しない程度の温度としてもよく、例えば、80度~130度程度としてもよい。
【0059】
また、上記のような天井パネル1Eを製造する製造方法は、図6(b)に示すように、パネル体1Dの折曲溝22A,25Aを形成する部位に、裏面側から溝形成型30をプレスして折曲溝22A,25Aを形成する構成としている。また、これら折曲溝22A,25Aに加え、傾斜面21A,28Aを形成する部位に、裏面側から溝形成型30をプレスして傾斜面21A,28Aを形成する構成としている。パネル体1Dは、上記同様、表面層10Aと下地側層15Aとの間に発泡樹脂層20Aを構成する樹脂組成物を供給して形成されたものでもよい。また、溝形成型30をプレスする前に、パネル体1Dの側端部2Dに、下地側樹脂層20bの下地側面29を形成するように、切込29Aを形成する構成としている。この切込29Aは、適宜の刃部材によって表面層10Aを少なくとも残存させるように形成するようにしてもよい。
【0060】
また、図6(c)、(d)に示すように、パネル体1Dの延出部位を形成する部位に、裏面側から端部形成型39をプレスして延出部位を形成する構成としている。この端部形成型39をプレスする際には、延出部位が所望する厚さとなるように、パネル体1Dが載置されるプレス型との間に適宜のスペーサーを介在させてプレスするようにしてもよい。
そして、上記と概ね同様、この延出部位の裏面側等に適宜の接着剤を塗布し、折曲溝22A,25Aの部位において折り曲げて側端部2Eの端面3に端面層10cを設ける構成としている(図6(a)参照)。なお、図例では、折曲溝22A,25Aの部位において折り曲げていない展開状態で端部形成型39をプレスする例を示しているが、このような態様に限られない。折曲溝22A,25Aの部位において折り曲げた状態で、パネル体1Dの厚さ方向に沿って端部形成型39をプレスしてもよく、または、延出部位を形成する部位を直交状に立ち上げた状態で、パネル体1Dの平面方向に沿って端部形成型39をプレスしてもよい。
【0061】
また、本実施形態においても、四周の側端部2Eの端面3に端面層10cを設ける場合には、上記のような切欠状凹所を展開状態におけるコーナー部に設けた構成としてもよい。
また、本実施形態では、傾斜面21A,28A及び折曲溝22A,25Aの両側溝壁23A,24A,26A,27Aを下地側層15Cによって構成した例を示しているが、このような態様に限られない。傾斜面21A,28A及び折曲溝22A,25Aの両側溝壁23A,24A,26A,27Aを発泡樹脂層20Aまたはガラス繊維強化樹脂層17によって構成してもよい。つまり、傾斜面21A,28A及び折曲溝22A,25Aが形成される部位の少なくとも滲出抑制層16を剥離等して設けていない構成としてもよい。
また、本実施形態では、延出部位に、端部発泡樹脂層20E及び端部下地側層15Bを設けた例を示しているが、端部下地側層15Bの少なくとも滲出抑制層16を設けていない構成としてもよく、端部下地側層15B及び端部発泡樹脂層20Eを設けていない構成としてもよい。
【0062】
本実施形態に係る天井パネル1Eにおいても、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。なお、上記各実施形態に係る天井パネル1,1B,1Eにおける互いに異なる構成を、適宜、組み替えたり、組み合わせたりして適用するようにしてもよい。例えば、本実施形態では、上記第1実施形態と概ね同様、側端部2Eに面取部4を設けた例を示しているが、上記第2実施形態のように面取部を設けていない構成としてもよい。この場合は、溝形成型30の形状等を折曲溝22Bの形状に応じて適宜変形すればよい。
また、上記各実施形態では、側端部2,2B,2Eの裏面を覆う端部裏面層10d(20E,15B)を設けた例を示しているが、端部裏面層10d(20E,15B)を設けていない構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、表面層10を、ガラス繊維強化樹脂層13を含む構成とした例を示しているが、少なくとも化粧層11と難燃層12とを含むものとすればよい。
また、上記各実施形態では、発泡樹脂層20,20Bの天井下地5側にガラス繊維強化樹脂層17と滲出抑制層16とを含む下地側層15,15Cを設けた例を示しているが、ガラス繊維強化樹脂層17及び滲出抑制層16の両方または一方を設けていない構成としてもよい。上記各実施形態に係る天井パネル1,1B,1Eの上記した各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,1B,1E 天井パネル(内装パネル)
1A,1C,1D パネル体
2,2A~2E 側端部
3,3A 端面
4 面取部
10,10A 表面層
10a 室内側面層(表面層)
10b 面取表面層(表面層)
10c 端面層(表面層)
10d 端部裏面層(表面層、延出部位)
11 化粧層
12 難燃層
13 ガラス繊維強化樹脂層
20,20A~20C 発泡樹脂層
22,22A 第1折曲溝
22B 折曲溝
25,25A 第2折曲溝
5 天井下地(内装下地)
30 溝形成型
図1
図2
図3
図4
図5
図6