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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】睡眠姿勢測定装置と睡眠姿勢測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20230127BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230127BHJP
   A47C 31/12 20060101ALI20230127BHJP
   A61G 7/043 20060101ALI20230127BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
A61B5/107 300
A61B5/11 100
A47C31/12
A61G7/043
G01B7/00 101C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019032626
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020058772
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2018191501
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593008427
【氏名又は名称】日本電子精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】安部 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】丸野 正徳
(72)【発明者】
【氏名】岩田 史郎
(72)【発明者】
【氏名】今若 直人
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0128628(US,A1)
【文献】特開2007-085959(JP,A)
【文献】国際公開第02/047548(WO,A1)
【文献】特表2008-541977(JP,A)
【文献】特開2017-169881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61G 7/00-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部と、前記アンテナ部と接続される信号線と、前記信号線と接続される接続部と、を有するセンサユニットと、
前記接続部と接続される自己容量式静電容量測定用の測定IC部と、前記測定ICを制御する制御部と、を有する制御ユニットと、を含む睡眠姿勢測定装置であり、
前記1つのセンサユニットに複数の前記アンテナ部があり、
前記アンテナ部は、基材と電極とカバーからなり、基材とカバーは絶縁性であり、電極は一部又は全部が導電性材料からなる単極構造である睡眠姿勢測定装置であり、
前記電極は、渦巻形状である睡眠姿勢測定装置。
【請求項2】
アンテナ部と、前記アンテナ部と接続される信号線と、前記信号線と接続される接続部と、を有するセンサユニットと、
前記接続部と接続される自己容量式静電容量測定用の測定IC部と、前記測定ICを制御する制御部と、を有する制御ユニットと、を含む睡眠姿勢測定装置であり、
前記1つのセンサユニットに複数の前記アンテナ部があり、
前記アンテナ部は、基材と電極とカバーからなり、基材とカバーは絶縁性であり、電極は一部又は全部が導電性材料からなる単極構造である睡眠姿勢測定装置であり、
前記電極は、点対称で等方的な碁盤目形状である睡眠姿勢測定装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナ部は、それぞれ1本の前記信号線を有し、それぞれの前記信号線は導電性の被覆がされ、それぞれの前記被覆は前記接続部にて前記制御ユニットに接地接続されている請求項1または2に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項4】
前記それぞれの被覆は、センサユニット被覆接続部にて被覆接続線により接続されている請求項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項5】
前記複数のアンテナ部は、それぞれ前記信号線を有し、電極と人が接近していない状態の静電容量が同じになるよう、それぞれの前記信号線の長さが同じである請求項1~4のいずれか1項のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項6】
前記カバーは防水性を持つ材料で構成される請求項1~5のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項7】
前記基材は前記センサユニットの全体の基材であり、前記カバーは前記センサユニットの全体のカバーである請求項1~6のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項8】
前記センサユニットは全体が柔軟性材料で構成されている請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項9】
前記アンテナ部は、等方性の形状である請求項1~のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項10】
前記アンテナ部は、略点対称の形状である請求項に記載の睡眠姿勢測定装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置を用い、
前記アンテナ部での静電容量により、前記アンテナ部と人との接近度合いを測定する睡眠姿勢測定方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の睡眠姿勢測定装置を用い、
前記アンテナ部での静電容量の経時変化により、複数の前記アンテナ部と人との接近を検出し、睡眠時の姿勢を測定する睡眠姿勢測定方法。
【請求項13】
請求項に記載の睡眠姿勢測定装置を用い、
前記アンテナ部での静電容量の経時変化により、複数の上記アンテナ部と人との接近度合いを測定し、睡眠時の姿勢を測定する睡眠姿勢測定方法。
【請求項14】
複数の前記アンテナ部での静電容量にオフセット処理を施して、静電容量値の初期値を合わせる請求項11又は12に記載の睡眠姿勢測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠姿勢測定装置と睡眠姿勢測定方法に関する。特に、簡易的に睡眠姿勢を測定する装置とその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1で示す睡眠姿勢測定装置があった。この装置は、2次元に電極ラインを細かく配置し、電極ライン間の各交点で、姿勢を検出する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-14889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の睡眠姿勢測定装置では、測定機構に係る配線及びアンテナ部が複雑な構造であり、厚さや重量や柔軟性やコストの面で設置および運用に制約/負担があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、アンテナ部と、上記アンテナ部と接続される信号線と、上記信号線と接続される接続部と、を有するセンサユニットと、上記接続部と接続される自己容量式静電容量測定用の測定IC部と、上記ICを制御する制御部と、を有する制御ユニットと、を含む睡眠姿勢測定装置を用いる。
また、上記睡眠姿勢測定装置を用い、上記アンテナ部での静電容量の経時変化により、上記アンテナ部と人との接近を検出することにより、睡眠時の姿勢を測定する睡眠姿勢測定方法を用いる。
さらに、複数の上記アンテナ部のそれぞれの電極での静電容量を合わせ、人との接近度合いを測定することにより、睡眠時の姿勢を測定する睡眠姿勢測定方法を用いる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の睡眠姿勢測定装置では、測定機構が単純な複層構造で、厚さや重量や柔軟性やコストの面で設置および運用に制約/負担が少ない。簡便に睡眠時の姿勢を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)実施の形態の睡眠姿勢測定装置の構成図、(b)実施の形態の睡眠姿勢測定装置の外観図
図2】実施の形態の睡眠姿勢測定装置の使用方法を説明する図
図3】実施の形態のアンテナ部の周辺の断面図
図4】(a)実施の形態のセンサユニット部の構成図、(b)実施の形態のセンサユニット部の別の構成図
図5図2の配置での睡眠姿勢測定装置による測定結果を示す図
図6】(a)~(d)実施の形態のアンテナ部の斜視図
図7】(a)~(e)実施の形態の基台の斜視図
図8】実施の形態の複数種類のアンテナ部を複数種類の基台上に、それぞれ乗せた場合の静電容量を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態1)
<構造>
図1(a)は、睡眠姿勢測定装置22の構成図である。睡眠姿勢測定装置22は、センサユニット20と制御ユニット21とを含む。図1(a)では、センサユニット20の構成と、制御ユニット21の構成とを示している。制御ユニット21では、各要素が電気回路で繋がっている。図1(b)は、睡眠姿勢測定装置22の外観図である。
【0009】
センサユニット20は、人の睡眠姿勢を測定するセンサを有する部分である。
制御ユニット21は、センサユニット20を制御する部分である。
センサユニット20は、絶縁性があり、防水性があるカバー41で覆われている。
【0010】
<センサユニット20>
センサユニット20は、基材25、アンテナ部10、アンテナ接続部11、信号線12、接続部13を含む。
基材25は、柔軟な絶縁シートであり、その上にアンテナ部10、アンテナ接続部11、信号線12を有する。基材25は、例えば、樹脂フィルム、布、紙などである。
【0011】
アンテナ部10は、自己容量式静電容量測定用の測定IC部14により、アンテナ部10と人31の間の静電容量を測定することで両者の接近度合いを測定する。アンテナ部10に人31が接近すると測定される静電容量は増加する。
アンテナ接続部11は、アンテナ部10と信号線12とを接続する部分である。
信号線12は、接続部13を介して、アンテナ部10と測定IC部14とを電気的に接続する。
【0012】
接続部13は、センサユニット20の一部で、制御ユニット21と接続する部分である。接続部13は、ワンタッチで制御ユニット21に接続できるのが好ましく、ピンコネクタ方式などが好ましい。
センサユニット20は、柔軟性材料で作製され、全体として薄く、軽量で、柔軟性がある。
【0013】
<制御ユニット21>
制御ユニット21は、測定IC部14と、制御部15と、記録部16と、表示部17と、通信部18と、電源部19とを含む。
測定IC部14は、複数のアンテナ部10の信号から、アンテナ部10の各々での静電容量を測定する部分である。
【0014】
制御部15は、睡眠姿勢測定装置22の各構成要素を制御するICなどである。
記録部16は、測定IC部14での測定結果や各構成要素の設定値などを保存するICメモリなどである。外部へデータ送信を行わない場合、記録部16はSDカード、USBメモリなどの取外し可能な記録媒体としても良い。
表示部17は、液晶、ELなどのデイスプレイやLEDなどのインジケータである。操作ボタンなどがあり、睡眠姿勢測定装置22への稼働の指示などが入力される。また、測定結果の表示もできる。その他、表示部17は、構成要素の設定、指示をする部分である。
【0015】
通信部18は、記録部16のデータなどを外部へ送る部分である。Bluetooth(登録商標)、無線LANなどでパーソナルコンピュータ、スマートホン、携帯機器などへデータを無線で送れる。有線の場合は、通信部18は、コネクタ部分となる。
【0016】
<動作>
図2で、睡眠姿勢測定装置22の使用方法を説明する。
図2は、ベッド30上に、睡眠姿勢測定装置22を配置し、その上に人31が睡眠している状態を示す平面図である。
【0017】
睡眠姿勢測定装置22は、センサユニット20が、12個のアンテナ部10を有する。図2では、それぞれのアンテナ部10にアンテナ部の番号23を表示している。制御ユニット21は、センサユニット20を制御し、各々のアンテナ部10のデータを記録部16に保存する。データの例を下記で説明する。制御ユニット21はセンサユニット20内の複数のアンテナ部10を制御する。
【0018】
<アンテナ部10>
図3にアンテナ部10周辺の断面図を示す。アンテナ部10は、平板状の基材10c上に電極10aが形成され、その上にカバー10bが配置されている。
なお、基材10cを、全体の基材25(図1(a))とし、直接、基材25に、電極10aを形成してもよい。同様に、カバー10bも、全体のカバー41(図1(b))としてもよい。
アンテナ部10への対象物10d(人31)の接近度合いを電極10aでの静電容量の変化によって測定する。
【0019】
電極10aは、例えば、金属箔である。金属箔は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、カーボンなどの箔体であり、軽量で薄く柔軟性がある。金属箔は、スパッタ、蒸着など薄膜工法で形成してもよく、別途作製したものを接着してもよい。
または、電極10aは、導電ペーストを用いて、印刷工法、スピンコートなどで形成されてもよい。
【0020】
または、電極10aは、一部もしくは全部が導電糸で形成されてもよい。金糸、銀糸、銅糸、アルミニウム糸、カーボン糸などの導電性糸を用いて、平板状に形成してもよい。導電糸は、樹脂繊維に各金属を被覆したものでもよい。導電糸を用いた電極10aは、軽量で薄く柔軟性があり、耐久性が優れていて好ましい。
金属箔、導電性糸、導電ペーストを組み合わせて、電極10aを形成してもよい。
【0021】
カバー10bは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI(ポリイミド)など絶縁性かつ防水性の樹脂シートである。また、絶縁性があり、防水処理が施された布や紙を用いてもよい。基材10cもカバー10bと同様の材質でよい。
電極10aを含むアンテナ部10の形状は、図1(a)および図2では方形であるが、円形、台形、多角形、線形状などでもよい。細いライン形状、または、線形状の場合、複数平行に配置できよい。形状を三角形状、または、配置を三角形状とすれば、高い密度に配置できる。実施の形態2でアンテナ部10のより好ましい形状を説明する。
【0022】
アンテナ部10は、複数あり、制御ユニット21によって、それぞれのアンテナ部10への対象物10d(人31)の接近度合いを測定できる。
【0023】
<信号線12>
信号線12は、アンテナ接続部11と接続部13とを電気的に接続する。信号線12は、基材25上に印刷工法などによりパターン形成された金属材料、または、導電性ワイヤー、導電糸などでもよい。
【0024】
<自己容量式静電容量センサ>
静電容量の測定方式が自己容量式であるため、アンテナ部10の構造は、図3のように電極10aが複極でなく単極で、電極間の中間層を必要としない単層の簡易な構造である。アンテナ部10への対象物10dの接近度合いはアンテナ部10での静電容量の変化によって測定される。この静電容量の変化を、信号線12を介して、制御ユニット21で測定する。
さらに、信号線12に被覆33(図3)を設けるのが好ましい。この被覆33は導電性があり、被覆33を制御ユニット21に接地接続することで外部からの電磁ノイズを遮断できる。信号線12と被覆33が同軸構造となっているいわゆるシールド線を用いることもできる。
【0025】
電極10aでの静電容量の変化に基づく対象物10dの接近度合いを定量的に測定するため、複数の信号線12の長さを合わせる。
図4(a)に、センサユニット20の拡大構成図を示す。図4(a)では複数のアンテナ部10に接続されたそれぞれの信号線12の長さが、等しくになるように構成してあり、信号線12の長さに依存する静電容量の差異を緩和している。
【0026】
また、信号線12の長さに依存する静電容量の差異を緩和するよう、それぞれの信号線12の太さを調整する、あるいは、それぞれの信号線12に調整用コンデンサなどを追加する、などとしてもよい。
また、信号線12の長さに依存する静電容量の差異を制御ユニット21でオフセット処理することで、その差異を緩和してもよい。
さらに、センサユニット20の拡大構成図である図4(b)の記載のとおり、センサユニット20の被覆接続部26および被覆接続線27によりアンテナ部10の近傍でそれぞれの被覆33が接続されていてもよい。なお、図1(a)のような信号線12の場合でも、同様に被覆接続部26および被覆接続線27を設けることが好ましい。
【0027】
<静電容量の変化の測定方法>
実施の形態1のアンテナ部10は、電極10aが単極構造であるため、以下の2つの測定方法がある。
(1) 絶対値で測定する。
電極10aでの静電容量の絶対値の経時変化によって対象物10dの、アンテナ部10への接近度合いを測定する。アンテナ部10と対象物10dが接近するほど、静電容量の絶対値が増える。
対象物10dが接近していない状態のそれぞれの電極10aでの初期静電容量を等しくし、予め、静電容量の絶対値をレベル分けし、そのレベルで接近度合いを測定する。たとえば、上記信号線12の被覆33、複数の信号線12の長さを合わせることで、それぞれの電極10aでの初期静電容量を等しくできる。
結果、この方法では、定量的に、対象物10dの、アンテナ部10への接近度合いを測定できる。
【0028】
(2) 差分を測定する。
電極10aでの初期静電容量を等しくしない場合、電極10aでの静電容量の変化量の経時変化によって対象物10dの、アンテナ部10への接近度合いを測定する。アンテナ部10と対象物10dが接近するほど、静電容量の変化量が増える。
それぞれの電極10aでの初期静電容量が等しくないため、測定前のそれぞれの電極10aでの静電容量(測定前の一定時間の平均)を基準に、その基準に対して、静電容量がどれだけ変化したか(経時変化)をそれぞれの電極に対して計算し、その変化量を閾値判定し、その判定で接近を検出する。
結果、この方法では、定性的に、対象物10dの、アンテナ部10への接近を検出できる。
【0029】
<測定結果>
図5に、図2の配置で、上記(1)の絶対値で測定する方法で測定した結果を示す。縦軸の番号は、図2のアンテナ部の番号23を意味する。横軸の数値は、時間に相当し、人31が、睡眠してからの時間に相当する。模様は、アンテナ部10と人31の接近度合いを意味する。
【0030】
アンテナ部10の番号0~5は、人31の胸の部分にある。アンテナ部10の番号6~11は、人31の膝の部分にある。
図5から、この人31は、点線で示されたところで睡眠中の体動などで大きく姿勢が変化している。
睡眠時の姿勢という比較的遅い変化を測定するため、分解能は1秒程度以上でよい。呼吸や心拍などのバイタルデータと比較すると分解能が低くてよいため、測定データの量を少なくすることができる。
1つのアンテナ部10から1つの信号線12のみの簡単な構造で、しかも、アンテナ10の構造も簡単であるが、睡眠中の姿勢を十分に測定できている。
【0031】
この方法で、寝返りなどの体動の頻度を算出することで、睡眠の質を測定することができる可能性がある。
また、この方法で、寝返りなどの体動の頻度を算出することで、病床者の褥瘡の予防、乳幼児突然死症候群の予防を行える可能性がある。
【0032】
(実施の形態2)
実施の形態2を図6(a)~図8を用いて説明する。説明しない事項は、実施の形態1と同様である。
センサユニット20を使用する場合、下部が平坦とはかぎらず、凹凸がある場合が多い。又は、ベッド30などの上でセンサユニット20を使用する場合、人がその上に乗ると、センサユニット20が変形する。
【0033】
この場合にも、睡眠姿勢測定装置22をより安定して使用するため、アンテナ部10の電極10aの形状を以下で検討する。
図6(a)~図6(d)は、アンテナ部10の斜視図である。
図6(a)では、電極10aが、ベタ、つまり、ソリッド、全面に形成されている。
図6(b)では、電極10aが、ヘビのように、スネーク状にて形成されている。
図6(c)では、電極10aが、渦巻形状に形成されている。
図6(d)では、電極10aが、碁盤の目状に形成されている。
【0034】
なお、アンテナ部10は、電極10aの外寸がおおむね50mm角の大きさのもの使用した。図6(a)の電極10aには、アルミニウム箔を、図6(b)~(d)の電極10aには、印刷された銀膜をそれぞれ用いた。カバー10b、基材10cは、PENシートを用いた。図6(b)~図6(d)の各々の電極10aの外寸に対する金属領域の割合は約50%である。
【0035】
これらのアンテナ部10を、人31がアンテナ部10の上に乗ったときを模して、図7(a)~図7(e)に示す表面が一方向にくぼんだ基台32上に配置する。なお、この場合、基台32は、変形しない。
図7(a)では、基台32の表面が平坦である。
図7(b)~図7(e)では、基台32の表面に、それぞれ200、100、50、30mmの半径の凹部がある。
図7(a)~図7(e)の基台32上に、図6(a)~図6(d)のアンテナ部10を配置し、人31がアンテナ部10の上に乗ったときを模して、接地接続された導電体をアンテナ部10の近傍に配置したときの静電容量値を測定した。静電容量値は、Keysight社LCRメータにより測定した。測定時の印加電圧は1V、100kHzとした。
【0036】
結果を、図8に示す。縦軸は、静電容量値を示す。横軸は、図7(a)~図7(e)の各基台32での、各図6(a)~図6(d)の各々のアンテナ部10毎に、並べている。なお、X、Yの表記は、それぞれアンテナ部10のX方向、Y方向(図6)に、基台32のR形状が設けられていることを示す。
【0037】
アンテナ部10は、基台32のR形状の方向に対し依存性を持たない方が好ましい。そのため、X方向とY方向とで差がないのが好ましい。
図8で、*印は、X方向とY方向に基台32のR形状が設けられたときの測定結果に有意差があることを示す。*印があるのは、すべて図6(b)のアンテナ部10である。図6(b)のアンテナ部10は、1つの方向に向けて偏って電極10aが形成されている。このため、R形状の方向(アンテナ部10が曲がる方向)により測定値に差が生じる。
【0038】
結果、電極10aとして図6(b)は好ましくなく、図6(a)、図6(c)、図6(d)が好ましい。後者の電極10aは、ほぼ点対称な等方的な形状である。等方的な形状であると、アンテナ部10の湾曲方向に依存しにくく、安定して測定ができる。ここで、等方的な形状であれば、図6(a)、図6(c)、図6(d)以外でもよく、たとえば、図6(c)で円形状の渦巻でもよい。また、図6(b)、図6(c)の電極10aを作製する方法として、印刷法やスパッタ法などによるパターニング方法以外に、薄膜形状の導電材料を打ち抜いて成形する方法、導電線もしくは電磁シールド線の電磁シールド被覆部を除去した導電線を配置するなどが考えられる。
(全体として)
実施の形態1、2とは組み合わせができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明の睡眠姿勢測定装置は、人の睡眠時の姿勢を測定できる。この睡眠姿勢測定装置は、簡素化された装置のため、病院、介護施設だけでなく、自宅、宿泊施設などでも使用できる。
【符号の説明】
【0040】
10 アンテナ部
10a 電極
10b カバー
10c 基材
10d 対象物
11 アンテナ接続部
12 信号線
13 接続部
14 測定IC部
15 制御部
16 記録部
17 表示部
18 通信部
19 電源部
20 センサユニット
21 制御ユニット
22 睡眠姿勢測定装置
23 アンテナ部の番号
25 基材
26 被覆接続部
27 被覆接続線
30 ベッド
31 人
32 基台
33 被覆
41 カバー


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8