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特許7217448プログラム、施工ロボット、及び施工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】プログラム、施工ロボット、及び施工システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230127BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018147936
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020024519
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500539561
【氏名又は名称】株式会社テムザック
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】兼安 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和男
(72)【発明者】
【氏名】有田 直美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 純平
(72)【発明者】
【氏名】石本 栄貴
(72)【発明者】
【氏名】東田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知未
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】馬場 勝之
(72)【発明者】
【氏名】川久保 勇次
【審査官】山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-116972(JP,A)
【文献】特開2017-110466(JP,A)
【文献】特開平03-096567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
上記本体を移動させる第1移動装置と、
上記第1移動装置を駆動する第1駆動源と、
被支持部材を移動させる第2移動装置と、
上記第2移動装置を駆動する第2駆動源と、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
少なくとも天井に対する水平方向の座標を示す天井位置情報を取得する第1取得処理と、
上記第1取得処理で取得した上記天井位置情報が示す座標に対する自己位置を示す自己位置情報を決定する第1決定処理と、
上記天井位置情報が示す座標に対する天井ボードの施工位置を示す施工位置情報を取得する第2取得処理と、
上記第1駆動源を駆動して、上記自己位置から上記施工位置まで上記本体を上記第1移動装置によって移動させる本体移動処理と、
井に固定または配置された他の天井ボードである配置済天井ボードと、自己との相対位置を示す相対位置情報を取得する第3取得処理と、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて決定した駆動量で上記第2駆動源を駆動し、上記第2移動装置によって上記被支持部材を移動させて上記天井ボードを上記施工位置に配置する配置処理と、天井に配置された上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち処理との少なくとも一方の処理であるワーク処理と、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報と、上記第2取得処理で取得した上記施工位置情報とに基づいて、上記自己位置情報を再決定する第2決定処理と、を実行し、
上記本体移動処理、上記第3取得処理、上記ワーク処理、及び上記第2決定処理の一連の処理を繰り返し実行して複数の上記天井ボードを施工する際に、上記第3取得処理において検出する上記配置済天井ボードは、一の当該一連の処理と、他の当該一連の処理とで相違する施工ロボット。
【請求項2】
上記被支持部材は、上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち装置であり、
上記第2移動装置は、上記被支持部材を水平方向に移動させる装置であり、
上記相対位置情報は、天井に位置決めされた上記配置済天井ボードと自己との相対位置を示す情報であり、
上記ワーク処理は、上記ビス打ち処理である請求項1に記載の施工ロボット。
【請求項3】
検出装置をさらに備えており、
上記コントローラは、上記第3取得処理において、天井に配置された上記配置済天井ボードに表記されたマーカを上記検出装置に検出させ、当該検出装置が出力する検出データに基づいて、上記相対位置情報を取得する請求項2に記載の施工ロボット。
【請求項4】
上記コントローラは、
上記第1決定処理において、上記天井位置情報が示す座標において上記本体が向く向きである自己向きをさらに決定し、
上記第3取得処理において、少なくとも2つの上記マーカを上記検出装置に検出させ、
上記第3取得処理で検出した2つの上記マーカに対する上記相対位置情報と、上記第2取得処理で取得した上記施工位置情報とに基づいて上記自己向きを再決定する第3決定処理をさらに実行する請求項3に記載の施工ロボット。
【請求項5】
上記被支持部材は、上記天井ボードを支持する部材であり、
上記第2移動装置は、上記被支持部材を水平方向に移動させる装置であり、
上記コントローラは、
上記第3取得処理において、天井に固定された上記配置済天井ボード自己との相対位置を示す上記相対位置情報を取得し、
上記ワーク処理は、上記配置処理であって、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に応じた駆動量で上記第2駆動源を駆動して上記被支持部材に支持された上記天井ボードを天井に固定された上記配置済天井ボードに当接させて配置する請求項1に記載の施工ロボット。
【請求項6】
上記コントローラは、
上記第1決定処理において、上記天井位置情報が示す座標において上記本体が向く向きである自己向きをさらに決定し、
上記第3取得処理において、天井に固定された上記配置済天井ボードに対する、保持する天井ボードの向きを取得し、
上記第3取得処理で取得した向きと、上記第2取得処理で取得した上記施工位置情報とを用いて、上記自己向きを再決定する第4決定処理をさらに実行する請求項5に記載の施工ロボット。
【請求項7】
請求項2から4のいずれかに記載の施工ロボットである第1施工ロボットと、
請求項5または6に記載の施工ロボットである第2施工ロボットと、を備える施工システム。
【請求項8】
上記第1施工ロボットは、検出装置及び第1通信インタフェースをさらに備えており、
上記第2施工ロボットは、第2通信インタフェースをさらに備えており、
上記第1施工ロボットの上記コントローラは、
上記第3取得処理において、上記天井に表記されたマーカを上記検出装置に検出させ、上記検出装置が出力した上記マーカの位置と自己との相対位置を示す上記相対位置情報を取得するとともに、上記検出装置が出力した検出データを上記第1通信インタフェースを通じて上記第2施工ロボットに送信し、
上記第2施工ロボットの上記コントローラは、
上記第3取得処理において、上記第2通信インタフェースを通じて上記検出データを受信し、受信した当該検出データに基づいて上記相対位置情報を決定して取得する請求項7に記載の施工システム。
【請求項9】
本体と、当該本体を移動させる第1移動装置と、当該第1移動装置を駆動する第1駆動源と、被支持部材を移動させる第2移動装置と、当該第2移動装置を駆動する第2駆動源と、コンピュータと、を備える施工ロボットによって実行されるプログラムであって、
上記プログラムは、
少なくとも天井に対する水平方向の座標を示す天井位置情報を取得する第1取得処理と、
上記第1取得処理で取得した上記天井位置情報が示す座標に対する自己位置を示す自己位置情報を決定する第1決定処理と、
上記天井位置情報が示す座標に対する天井ボードの施工位置を示す施工位置情報を取得する第2取得処理と、
上記第1駆動源を駆動して、上記自己位置から上記施工位置まで上記本体を上記第1移動装置によって移動させる本体移動処理と、
井に固定または配置された他の天井ボードである配置済天井ボードと、自己との相対位置を示す相対位置情報を取得する第3取得処理と、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて決定した駆動量で上記第2駆動源を駆動し、上記第2移動装置によって上記被支持部材を移動させて上記天井ボードを上記施工位置に配置する配置処理と、天井に配置された上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち処理との少なくとも一方の処理であるワーク処理と、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報と、上記第2取得処理で取得した上記施工位置情報とに基づいて、上記自己位置情報を再決定する第2決定処理と、を実行し、
上記本体移動処理、上記第3取得処理、上記ワーク処理、及び上記第2決定処理の一連の処理を繰り返し実行して複数の上記天井ボードを施工する際に、上記第3取得処理において検出する上記配置済天井ボードは、一の当該一連の処理と、他の当該一連の処理とで相違するプログラム。
【請求項10】
本体と、当該本体を移動させる第1移動装置と、当該第1移動装置を駆動する第1駆動源と、被支持部材を移動させる第2移動装置と、当該第2移動装置を駆動する第2駆動源と、通信インタフェースと、を有する施工ロボットと、
通信インタフェース及びコントローラを有する操作装置と、を備える施工システムであって、
上記コントローラは、
少なくとも天井に対する水平方向の座標を示す天井位置情報を取得する第1取得処理と、
上記第1取得処理で取得した上記天井位置情報が示す座標に対する自己位置を示す自己位置情報を決定する第1決定処理と、
上記天井位置情報が示す座標に対する天井ボードの施工位置を示す施工位置情報を取得する第2取得処理と、
上記第1駆動源を駆動して、上記自己位置から上記施工位置まで上記本体を上記第1移動装置によって移動させる本体移動処理と、
井に固定または配置された他の天井ボードである配置済天井ボードと、自己との相対位置を示す相対位置情報を取得する第3取得処理と、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて決定した駆動量で上記第2駆動源を駆動し、上記第2移動装置によって上記被支持部材を移動させて上記天井ボードを上記施工位置に配置する配置処理と、天井に配置された上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち処理との少なくとも一方の処理であるワーク処理と、
上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報と、上記第2取得処理で取得した上記施工位置情報とに基づいて、上記自己位置情報を再決定する第2決定処理と、を実行し、
上記本体移動処理、上記第3取得処理、上記ワーク処理、及び上記第2決定処理の一連の処理を繰り返し実行して複数の上記天井ボードを施工する際に、上記第3取得処理において検出する上記配置済天井ボードは、一の当該一連の処理と、他の当該一連の処理とで相違する施工システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の室内に天井ボードを配置する施工ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の室内の天井に天井ボードを配置する施工ロボットが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された施工ロボットは、搭乗する作業員の操縦によって自走し、ボードを搬送する。当該施工ロボットは、先に施工されたボードをカメラで撮像し、先に施工されたボードを基準に、次のボードを配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-118288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、作業者が搭乗せずに自走する自律型の施工ロボットの開発を行っている。自律型の施工ロボットでは、室内の移動のため、室内の壁や段差や障害物などの位置情報に対する自己位置を認識することが必要である。本願発明者らは、施工ロボットが移動を繰り返すと、施工ロボットが認識している自己位置と、施工ロボットの実際の位置との間に、施工に支障を生じる程度の誤差が生じるおそれがあるとの知見を得た。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工ロボットが認識する自己位置と施工ロボットの実際の位置との間の誤差を低減できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る施工ロボットは、本体と、上記本体を移動させる第1移動装置と、上記第1移動装置を駆動する第1駆動源と、被支持部材を移動させる第2移動装置と、上記第2移動装置を駆動する第2駆動源と、コントローラと、を備える。上記コントローラは、少なくとも天井に対する水平方向の座標を示す天井位置情報を取得する第1取得処理と、上記第1取得処理で取得した上記天井位置情報が示す座標に対する自己位置を決定する第1決定処理と、上記天井位置情報が示す座標に対する天井ボードの施工位置を示す施工位置情報を取得する第2取得処理と、上記第1駆動源を駆動して、上記自己位置から上記施工位置まで上記本体を上記第1移動装置によって移動させる本体移動処理と、天井の隅を区画する部材及び当該天井に固定された他の天井ボードの一方である対象部材と、自己または保持する天井ボードとの相対位置を示す相対位置情報を取得する第3取得処理と、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて決定した駆動量で上記第2駆動源を駆動し、上記第2移動装置によって上記被支持部材を移動させて上記天井ボードを上記施工位置に配置する配置処理と、天井に配置された上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち処理との少なくとも一方の処理であるワーク処理と、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて、上記自己位置を再決定する第2決定処理と、を実行する。
【0007】
コントローラは、対象部材と、自己または保持する天井ボードとの相対位置を示す相対位置情報を取得し、取得した相対位置情報に基づいて、ワーク処理を実行し、且つ、自己位置を再決定する。したがって、本体移動処理を実行することによって自己位置に生じた誤差が、天井に天井ボードを配置するごとに、或いは天井ボードにビス打ちを行うごとにリセットされる。その結果、自己位置に生じた誤差が蓄積されることが抑制され、蓄積された誤差によって天井ボードの施工に支障が生じることが抑制される。
【0008】
(2) 上記被支持部材は、上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち装置であってもよい。上記第2移動装置は、上記被支持部材を水平方向に移動させる装置である。上記相対位置情報は、天井に位置決めされた上記天井ボードと自己との相対位置を示す情報である。上記コントローラは、上記ビス打ち処理である上記ワーク処理を実行する。
【0009】
本発明に係る施工ロボットは、天井に配置された天井ボードにビスを打ち込むロボットであってもよい。
【0010】
(3) 好ましくは、本発明に係る施工ロボットは、検出装置をさらに備えていてもよい。上記コントローラは、上記第3取得処理において、天井に位置決めされた上記天井ボードに表記されたマーカを上記検出装置に検出させ、当該検出装置が出力する検出データに基づいて、上記相対位置情報を取得する。
【0011】
上記構成によれば、天井ボードに表記されたマーカを用いて、自己位置を再決定することができる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記コントローラは、上記第1決定処理において、上記天井位置情報が示す座標において上記本体が向く向きである自己向きをさらに決定し、上記第3取得処理において、少なくとも2つの上記マーカを上記検出装置に検出させ、上記第3取得処理で検出した2つの上記マーカに対する上記相対位置情報に基づいて上記自己向きを再決定する第3決定処理をさらに実行してもよい。
【0013】
コントローラは、2つの上記マーカに対する相対位置情報に基づいて、ワーク処理を実行し、且つ、自己向きを再決定する。したがって、本体移動処理を実行することによって自己向きに生じた誤差が、天井ボードにビス打ちを行うごとにリセットされる。その結果、自己向きに生じた誤差が蓄積されることが抑制され、蓄積された誤差によって天井ボードの施工に支障が生じることが抑制される。
【0014】
(5) 好ましくは、上記被支持部材は、上記天井ボードを支持する部材であり、上記第2移動装置は、上記被支持部材を水平方向に移動させる装置であり、上記コントローラは、上記第3取得処理において、上記対象部材と上記被支持部材が支持する上記天井ボードとの相対位置を示す上記相対位置情報を取得し、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に応じた駆動量で上記第2駆動源を駆動して上記被支持部材に支持された上記天井ボードを上記対象部材に当接させて配置する上記配置処理である上記ワーク処理を実行してもよい。
【0015】
本発明に係る施工ロボットは、天井ボードを搬送して天井に配置するロボットであってもよい。
【0016】
(6) 好ましくは、上記コントローラは、上記第1決定処理において、上記天井位置情報が示す座標において上記本体が向く向きである自己向きをさらに決定し、上記第3取得処理において、上記対象部材に対する、保持する天井ボードの向きを取得し、上記第3取得処理で取得した向きを用いて、上記自己向きを再決定する第4決定処理をさらに実行してもよい。
【0017】
コントローラは、対象部材に対する天井ボードの向きに基づいて、ワーク処理を実行し、且つ、上記自己向きを再決定する。したがって、本体移動処理を実行することによって自己向きに生じた誤差が、天井に天井ボードを配置するごとにリセットされる。その結果、自己向きに生じた誤差が蓄積されることが抑制され、蓄積された誤差によって天井ボードの施工に支障が生じることが抑制される。
【0018】
(7) 本発明に係る施工システムは、上述の施工ロボットである第1施工ロボットと、上述の施工ロボットである第2施工ロボットとを備える。
【0019】
本発明は、第1施工ロボット及び第2施工ロボットで天井を施工する施工システムとして捉えることもできる。
【0020】
(8) 好ましくは、上記第1施工ロボットは、検出装置及び第1通信インタフェースをさらに備えていてもよい。上記第2施工ロボットは、第2通信インタフェースをさらに備える。上記第1施工ロボットの上記コントローラは、上記第3取得処理において、上記天井に表記されたマーカを上記検出装置に検出させ、上記検出装置が出力した上記マーカの位置と自己との相対位置を示す上記相対位置情報を取得するとともに、上記検出装置が出力した検出データを上記第1通信インタフェースを通じて上記第2施工ロボットに送信する。上記第2施工ロボットの上記コントローラは、上記第3取得処理において、上記第2通信インタフェースを通じて上記検出データを受信し、受信した当該検出データに基づいて上記相対位置情報を決定して取得する。
【0021】
検出データが第1施工ロボットから第2施工ロボットに送信される。したがって、第1施工ロボットが取得した検出データを用いて、第1施工ロボット及び第2施工ロボットの双方の自己位置を再決定することができる。
【0022】
(9) 本発明に係るプログラムは、本体と、当該本体を移動させる第1移動装置と、当該第1移動装置を駆動する第1駆動源と、被支持部材を移動させる第2移動装置と、当該第2移動装置を駆動する第2駆動源と、コンピュータと、を備える施工ロボットによって実行される。上記プログラムは、少なくとも天井に対する水平方向の座標を示す天井位置情報を取得する第1取得処理と、上記第1取得処理で取得した上記天井位置情報が示す座標に対する自己位置を決定する第1決定処理と、上記天井位置情報が示す座標に対する天井ボードの施工位置を示す施工位置情報を取得する第2取得処理と、上記第1駆動源を駆動して、上記自己位置から上記施工位置まで上記本体を上記第1移動装置によって移動させる本体移動処理と、天井の隅を区画する部材及び当該天井に固定された他の天井ボードの一方である対象部材と、自己または保持する天井ボードとの相対位置を示す相対位置情報を取得する第3取得処理と、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて決定した駆動量で上記第2駆動源を駆動し、上記第2移動装置によって上記被支持部材を移動させて上記天井ボードを上記施工位置に配置する配置処理と、天井に配置された上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち処理との少なくとも一方の処理であるワーク処理と、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて、上記自己位置を再決定する第2決定処理と、を実行する。
【0023】
本発明は、プログラムとして捉えることもできる。
【0024】
(10) 本発明に係る施工システムは、本体と、当該本体を移動させる第1移動装置と、当該第1移動装置を駆動する第1駆動源と、被支持部材を移動させる第2移動装置と、当該第2移動装置を駆動する第2駆動源と、通信インタフェースと、を有する施工ロボットと、通信インタフェース及びコントローラを有する操作装置と、を備える。上記コントローラは、少なくとも天井に対する水平方向の座標を示す天井位置情報を取得する第1取得処理と、上記第1取得処理で取得した上記天井位置情報が示す座標に対する自己位置を決定する第1決定処理と、上記天井位置情報が示す座標に対する天井ボードの施工位置を示す施工位置情報を取得する第2取得処理と、上記第1駆動源を駆動して、上記自己位置から上記施工位置まで上記本体を上記第1移動装置によって移動させる本体移動処理と、天井の隅を区画する部材及び当該天井に固定された他の天井ボードの一方である対象部材と、自己または保持する天井ボードとの相対位置を示す相対位置情報を取得する第3取得処理と、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて決定した駆動量で上記第2駆動源を駆動し、上記第2移動装置によって上記被支持部材を移動させて上記天井ボードを上記施工位置に配置する配置処理と、天井に配置された上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち処理との少なくとも一方の処理であるワーク処理と、上記第3取得処理で取得した上記相対位置情報に基づいて、上記自己位置を再決定する第2決定処理と、を実行する。
【0025】
本発明は、施工ロボットが操作装置によって操作される施工システムとして捉えることもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、施工ロボットが認識する自己位置と施工ロボットの実際の位置との間の誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、施工システム10の構成図である。
図2図2(A)は、端末装置13の機能ブロック図であり、図2(B)は、ビス打ちロボット12の機能ブロック図であり、図2(C)は、搬送ロボット11の機能ブロック図である。
図3図3は、端末装置13に表示された割付図を示す図である。
図4図4は、天井ボード14が施工される室内を示す図である。
図5図5(A)は、自己位置及び自己向き決定処理のフローチャートであり、図5(B)は、搬送ロボット11のプログラム43が実行する施工位置移動処理のフローチャートであり、図5(C)は、ビス打ちロボット12のプログラム143が実行する施工位置移動処理のフローチャートである。
図6図6は、搬送ロボット11のプログラム43及びビス打ちロボット12のプログラム143が実行する処理の一部を示す図である。
図7図7は、搬送ロボット11のプログラム43及びビス打ちロボット12のプログラム143が実行する処理の一部であって、図6の続きである。
図8図8は、天井ボード14の施工を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、各実施形態は、本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更できることは言うまでもない。
【0029】
[施工システム10]
本実施形態に係る施工システム10の構成が図1に示される。施工システム10は、天井ボード14をビスを用いて野縁15(図4)に固定することにより、建築物の天井を施工するシステムである。図4に示されるように、建築物の室内の上部の空間には、複数の野縁15が配置されている。野縁15は、長尺の角柱状の部材である。野縁15は、長手方向を水平方向に一致させて、不図示の野縁受けを用いて吊下されている。複数の野縁15は、互いに平行になるように、かつ、同一平面上に位置するようにそれぞれ配置されている。
【0030】
図1に示される施工システム10は、天井ボード14(図4)を搬送して所定の位置に配置することを主に担当する搬送ロボット11と、所定の位置に配置された天井ボード14を野縁15にビス止めすることを主に担当するビス打ちロボット12と、端末装置13とを備える。搬送ロボット11は、本発明の施工ロボット及び第2施工ロボットの一例である。ビス打ちロボット12は、本発明の施工ロボット及び第1施工ロボットの一例である。
【0031】
[端末装置13]
端末装置13は、パーソナルコンピュータや、タブレットや、スマートフォンなどである。以下では、端末装置13がタブレットである例を説明する。端末装置13は、図2(A)に示されるように、コントローラ20と、タッチパネル24と、通信モジュール25とを備える。コントローラ20は、中央演算処理装置であるCPU21と、メモリ22とを有する。
【0032】
メモリ22は、プログラム23を記憶する。プログラム23は、CPU21によって実行される。プログラム23は、例えば、作業者の指示を受け付けるためのアイコンをタッチパネル24に表示させ、アイコンによるユーザの指示を受け付け、受け付けた指示に応じて、搬送ロボット11やビス打ちロボット12に指示を送信する。
【0033】
搬送ロボット11やビス打ちロボット12への指示の送信は、通信モジュール25を用いて行われる。通信モジュール25は、無線通信モジュールであってもよいし、有線通信モジュールであってもよい。以下では、通信モジュール25は、無線通信モジュールである例を説明する。通信モジュール25は、RS232やRS485などの通信プロトコルを用いて、搬送ロボット11やビス打ちロボット12と相互に無線通信を行う。
【0034】
また、メモリ22は、割付図を記憶する。割付図は、図3に示されるように、天井ボード14の寸法や、天井ボード14を配置する位置などを示す図である。作業者は、タッチパネル24に表示された割付図が示す寸法で長尺の基材を切断し、割付図が示す長さの複数の天井ボード14を作製する。割付図は、例えば、建築物の設計データを記憶するデータベースからメモリ22に転送され、メモリ22に記憶される。割付図は、本発明の施工位置情報の一例である。
【0035】
また、メモリ22は、データベースから転送された室内の座標データを記憶する。座標データは、室内の四隅の座標や、天井ボード14が施工される座標を示すデータを含む。すなわち、座標データは、室内における各天井ボード14がそれぞれ配置される位置を示す。端末装置13は、座標データを用いて、搬送ロボット11が天井ボード14を配置する配置位置を搬送ロボット11に指示する。座標データは、天井位置情報の一例である。
【0036】
[搬送ロボット11]
搬送ロボット11は、図2(C)に示すように、本体31と、本体31に取り付けられた走行装置32及び昇降装置33と、昇降装置33に支持されて昇降する支持装置34と、ビス打ち装置35とを備える。搬送ロボット11は、本発明の施工ロボット及び第2施工ロボットの一例である。走行装置32は、本発明の第1走行装置の一例である。
【0037】
本体31は、コントローラ40と、バッテリ44と、電源回路45と、通信モジュール46とを備える。バッテリ44は、例えば、充放電が可能な2次電池である。電源回路45は、バッテリ44から供給された直流電圧を24Vや12Vなどの所定の電圧値の直流電圧に変換して出力する回路である。電源回路45は、例えば、スイッチングレギュレータなどのDC-DCコンバータである。電源回路45が出力する直流電圧は、コントローラ40や、昇降装置33や、支持装置34や、ビス打ち装置35やカメラ36などに供給される。通信モジュール46は、RS232やRS485などの通信プロトコルを用いて、端末装置13及びビス打ちロボット12と相互に無線通信を行う。通信モジュール46は、本発明の通信インタフェース及び第2通信インタフェースの一例である。
【0038】
コントローラ40は、中央演算処理装置であるCPU41と、メモリ42とを有する。コントローラ40は、例えばパーソナルコンピュータである。メモリ42は、プログラム43を記憶する。プログラム43は、CPU41によって実行される。プログラム43は、走行装置32や昇降装置33やビス打ち装置35やカメラ36の動作を制御するプログラムである。CPU41は、本発明のコンピュータの一例である。コントローラ40は、本発明のコントローラ及び第2コントローラの一例である。
【0039】
走行装置32は、搬送ロボット11を走行させる装置である。走行装置32は、一対(2個)の駆動輪54Aと、一対(2個)の補助輪54Bと、一対の駆動輪54Aをそれぞれ回転駆動する2つの駆動モータ55と、各駆動モータ55をそれぞれ駆動させる2つのドライブ回路56と、を有する。すなわち、一対の駆動輪54Aは、互いに独立して駆動可能である。駆動モータ55は、本発明の第1駆動源の一例である。
【0040】
一対の駆動輪54Aは、搬送ロボット11の左右方向(幅方向)において互いに離間して配置されている。一対の補助輪54Bは、搬送ロボット11の前後方向(奥行方向)において互いに離間して配置されている。一対の駆動輪54A及び一対の補助輪54Bは、不図示の車軸にそれぞれ固定されている。車軸は、本体31に回転可能に保持されている。
【0041】
補助輪54Bは、主輪57と、複数の副輪58と有する。複数の副輪58は、主輪57の周面に配置されている。複数の副輪58は、主輪57の周面の接線方向に沿う回転軸に回転可能に支持されている。すなわち、補助輪54Bは、いわゆるオムニホイールである。
【0042】
一対の駆動輪54Aが同方向に同回転数で回転することにより、搬送ロボット11は、前進または後進する。一対の駆動輪54Aが同回転数で反対向きに回転することにより、搬送ロボット11は、その場で回転する。一対の駆動輪54Aが同方向に異なる回転数で回転することにより、搬送ロボット11は、左或いは右に転回する。搬送ロボット11が前進または後進する際、補助輪54Bの主輪57が回転し、搬送ロボット11が転回或いはその場で回転する際、補助輪54Bの副輪58が回転する。すなわち、補助輪54Bは、駆動輪54Aの回転を妨げない。
【0043】
駆動モータ55は、直流モータや交流モータなど種々のモータを用いることができる。以下では、駆動モータ55は、回転角度を決定して駆動可能なステッピングモータである例を説明する。ドライブ回路56は、電源回路45から供給された直流電圧を交流電圧に変換して駆動モータ55に入力する回路である。ドライブ回路56は、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する。ドライブ回路56は、スイッチング素子に入力された駆動信号に応じた交流電圧を生成し、当該駆動信号に応じた回転角度や回転量で駆動輪54Aを回転駆動させる。駆動モータ55及びドライブ回路56は、いわゆるパルス列入力タイプであって、駆動信号(パルス列)が入力されるものであってもよいし、いわゆる位置決め機能内蔵タイプであって、駆動信号を生成するコントローラを有するものであってもよい。以下では、駆動モータ55及びドライブ回路56は、いわゆるパルス列入力タイプであって、コントローラ40から入力された駆動信号によって回転駆動する例を説明する。すなわち、コントローラ40は、ドライブ回路56に入力する駆動信号を用いて一対の駆動モータ55の回転角度や回転量を制御することにより、走行装置32による搬送ロボット11の移動方向や移動距離を制御することができる。
【0044】
なお、搬送ロボット11の移動方向や移動距離を制御可能であれば、走行装置32に代えて、クローラなど、他の走行装置が用いられてもよい。
【0045】
[昇降装置33]
図2に示される昇降装置33は、天井ボード14を昇降させる装置である。詳しく説明すると、昇降装置33は、伸縮自在のロッド67と、ロッド67を伸縮させる電動シリンダ68と、電動シリンダ68のドライブ回路69とを備える。
【0046】
ロッド67は、上下方向に沿う軸線を有する角筒状の基端ロッドと、当該基端ロッド内を上下方向にスライド可能な角筒状の中間ロッドと、中間ロッド内を上下方向にスライド可能な角筒状の先端ロッドとを有し、上下方向に伸縮自在である。
【0047】
電動シリンダ68は、伸長することにより、ロッド67を伸長させ、縮小することにより、ロッド67を縮小させる。電動シリンダ68は、ドライブ回路69によって駆動される。ドライブ回路69は、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する。ドライブ回路69は、入力された駆動信号に応じて、電動シリンダ68を伸長させ、或いは縮小させる。駆動信号は、コントローラ40から入力される。すなわち、コントローラ40は、ドライブ回路69に入力する駆動信号により、ロッド67を伸長させ、或いは縮小させ、ロッド67の長さを制御することができる。ドライブ回路69は、スイッチング素子を有する定電流回路や定電圧回路やインバータ等であってもよいし、電源回路45の出力端と電動シリンダ68の入力端との間に接続された電磁リレーなどのスイッチであってもよい。
【0048】
[支持装置34]
支持装置34は、天井ボード14を支持する装置である。支持装置34は、ロッド67の先端に取り付けられたスライド装置70と、スライド装置70に保持された支持台79と、吸引装置80とを備える。天井ボード14は、支持台79に載置され、支持台79によって支持される。スライド装置70は、本発明の第2移動装置の一例である。支持台79は、本発明の被支持部材の一例である。
【0049】
スライド装置70は、支持台79を直交する2方向に移動させる装置である。すなわち、スライド装置70は、天井ボード14を所定の位置に配置する際に、支持台79を移動させて、支持台79に支持された天井ボード14を移動させる装置である。
【0050】
詳しく説明すると、スライド装置70は、ロッド67の先端に固定された第1レール71と、第1レール71に支持された第1スライダ72と、第1スライダ72に支持された第2レール75と、第2レール75に支持された第2スライダ76とを備える。
【0051】
第1レール71は、支持台79が天井ボード14を水平に支持する支持姿勢において、水平方向に沿って延びている。以下、第1レール71が延びる方向をX方向と記載して説明する。第1レール71は、X方向に沿ってスライド自在に第1スライダ72を支持する。第2レール75は、上述の支持姿勢において、水平方向に沿って、かつX方向と直交する方向に沿って延びている。以下、第2レール75が延びる方向をY方向と記載して説明する。第2レール75は、Y方向に沿ってスライド自在に第2スライダ76を支持する。すなわち、第2スライダ76は、X方向及びY方向に沿って移動可能である。
【0052】
また、スライド装置70は、第1スライダ72をX方向に沿って移動させる駆動モータ73と、駆動モータ73を回転駆動させるドライブ回路74とを備える。駆動モータ73及びドライブ回路74の構成は、走行装置32の駆動モータ55及びドライブ回路56の構成と同様である。すなわち、駆動モータ73の回転角度や回転量は、コントローラ40が出力する駆動信号によって制御することができる。駆動モータ73の回転は、不図示の第1駆動伝達機構によって第1スライダ72に伝達される。第1駆動伝達機構は、例えば、駆動モータ73によって回転駆動される駆動プーリと、従動プーリと、駆動プーリ及び従動プーリに架け渡された無端環ベルトとを有する。無端環ベルトは、第1スライダ72に固着される。駆動モータ73が回転駆動することにより、無端環ベルトを介して第1スライダ72がX方向に沿って移動される。
【0053】
また、スライド装置70は、第2スライダ76をY方向に沿って移動させる駆動モータ77と、駆動モータ77を回転駆動させるドライブ回路78とを備える。駆動モータ77及びドライブ回路78の構成は、走行装置32の駆動モータ55及びドライブ回路56の構成と同様である。すなわち、駆動モータ77の回転角度や回転量は、コントローラ40が出力する駆動信号によって制御することができる。駆動モータ77の回転は、不図示の第2駆動伝達機構によって第2スライダ76に伝達される。第2駆動伝達機構の構成は、第1駆動伝達機構と同様である。駆動モータ77が回転駆動することにより、第2駆動伝達機構を介して第2スライダ76がY方向に沿って移動される。駆動モータ73、77は、本発明の第2駆動源の一例である。
【0054】
第1スライダ72及び第2スライダ76の初期位置は、第1スライダ72のX方向に沿った可動範囲と、第2スライダ76のY方向に沿った可動範囲との中間位置とされている。天井ボード14を支持した搬送ロボット11の重心バランスの変動を抑制するため、第1スライダ72の+X方向への移動距離及び-X方向への移動距離は、ともに数cm程度に設定されている。また、同様に、第2スライダ76の+Y方向への移動距離及び-Y方向への移動距離は、ともに数cm程度に設定されている。
【0055】
[吸引装置80]
天井ボード14が載置される支持台79は、第2スライダ76に設けられている。支持台79には、吸引装置80の吸引パッド83が設けられている。吸引装置80は、吸引パッド83と、吸引パッド83内の空気を吸引する真空ポンプ81と、真空ポンプ81のドライブ回路82とを備える。吸引パッド83は、開口を有する半球殻状であり、真空ポンプ81とパイプで接続されている。すなわち、真空ポンプ81は、吸引パッド83と吸引パッド83の開口を閉塞する天井ボード14とに囲まれた空間内の空気を吸引することができる。
【0056】
ドライブ回路82は、例えば、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する定電圧回路や定電流回路である。ドライブ回路82は、駆動信号が入力されることにより、真空ポンプ81を駆動させる。駆動された真空ポンプ81は、吸引パッド83内の空気を吸引し、吸引パッド83内を大気圧よりも低い圧力にする。吸引パッド83は、支持台79に支持されて自重によって吸引パッド83に押しつけられた天井ボード14を吸引して保持する。なお、ドライブ回路82に代えて、電源回路45の出力端と真空ポンプ81の入力端との間に接続された電磁リレーなどのスイッチが設けられてもよい。スイッチは、コントローラ40から入力された駆動信号によりオンとなり、電源回路45から真空ポンプ81へ電力を供給させる。
【0057】
[ビス打ち装置35]
ビス打ち装置35は、電動ドライバと、当該電動ドライバのドライブ回路とを備える。電動ドライバの構成は公知であるので詳しい説明は省略するが、例えば、日立工機株式会社製のWF18DSLを電動ドライバに用いることができる。ドライブ回路は、コントローラ40から駆動信号を入力される定電圧回路や定電流回路やインバータ等である。或いは、ドライブ回路は、電源回路45の出力端と電動ドライバの入力端との間に接続された電磁リレーなどのスイッチである。ビス打ち装置35は、コントローラ40からドライブ回路に入力される駆動信号に応じて動作する。すなわち、コントローラ40は、駆動信号により、ビス打ち装置35の動作を制御することができる。ビス打ちロボット12は、昇降装置133及びスライド装置170を駆動してビス打ち装置135を移動させた後、ビス打ち装置135を駆動して、天井ボード14にビスを打ち込む。
【0058】
カメラ36は、レンズ及び撮像素子を有しており、レンズで集光された光を撮像素子で撮像し、撮像した画像を画像データとして出力する。カメラ36は、例えば、株式会社Logitech社製のC920Rを用いることができる。
【0059】
[ビス打ちロボット12]
ビス打ちロボット12は、図2(B)に示されるように、本体131と、走行装置132と、昇降装置133と、ビス打ち装置135と、スライド装置170と、カメラ136とを備える。ビス打ちロボット12は、本発明の施工ロボット及び第1施工ロボットの一例である。走行装置132は、本発明の第1移動装置の一例である。カメラ136は、検出装置の一例である。
【0060】
走行装置132の構成は、搬送ロボット11の走行装置32の構成と同じである。昇降装置133の構成は、搬送ロボット11の昇降装置33の構成と同じである。ビス打ち装置135の構成は、搬送ロボット11のビス打ち装置35の構成と同じである。スライド装置170の構成は、搬送ロボット11のスライド装置70の構成と同じである。カメラ136の構成は、カメラ36の構成と同じである。
【0061】
走行装置132、昇降装置133、及びビス打ち装置135の構成を、搬送ロボット11の走行装置32、昇降装置33、及びビス打ち装置35の構成と同一にすることにより、仕様や性能の統一を図り、部材の調達や管理が容易になる。ただし、走行装置132、昇降装置133、及びビス打ち装置135の構成は、搬送ロボット11の走行装置32、昇降装置33、及びビス打ち装置35の構成と相違していてもよい。
【0062】
スライド装置170は、ビス打ち装置135を水平方向に移動可能に支持する。すなわち、ビス打ちロボット12のビス打ち装置135は、水平方向において互いに直交する2方向に移動可能である。また、スライド装置170は、上下方向に沿う回転軸線周りに回転可能に設けられている。すなわち、ビス打ち装置135は、上下方向に沿う回転軸線周りに回転可能であって、かつ、水平方向において互いに直交する2方向に移動可能である。ビス打ち装置135は、本発明の被支持部材の一例である。スライド装置170は、本発明の第2移動装置の一例である。
【0063】
本体131は、コントローラ140と、バッテリ144と、電源回路145と、通信モジュール146とを備える。コントローラ140は、CPU141と、メモリ142とを有する。本体131の構成は、搬送ロボット11の本体31と同構成である。ただし、ビス打ちを主に担当するビス打ちロボット12のメモリ142には、プログラム43と相違するプログラム143が記憶されている。通信モジュール146は、本発明の第1通信インタフェース及び通信インタフェースの一例である。CPU141は、本発明のコンピュータの一例である。
【0064】
搬送ロボット11は、予め設定された天井ボード14の受取位置で作業者から天井ボード14を受け取り、割付図が示す施工位置の直下まで天井ボード14を搬送する。搬送ロボット11は、搬送した天井ボード14を施工位置の近傍まで持ち上げた後、壁や、施工済みの他の天井ボード14に対して位置合わせを行って、天井ボード14を配置する。ビス打ちロボット12は、搬送ロボット11が配置した天井ボード14にビスを打ち込んで野縁15に固定する。以下、搬送ロボット11及びビス打ちロボット12に上述の動作を実行させるプログラム43、143が実行する処理について説明する。なお、以下では、プログラム43が実行する処理を、コントローラ40や搬送ロボット11が実行する処理として記載し、プログラム143が実行する処理を、コントローラ140や搬送ロボット11が実行する処理として記載することがある。
【0065】
[自己位置及び自己向き決定処理]
図5(A)に示される自己位置及び自己向き決定処理は、座標データに対する自己の位置及び自己の向きを搬送ロボット11及びビス打ちロボット12に認識させる処理である。すなわち、自己位置決定処理は、搬送ロボット11及びビス打ちロボット12がそれぞれ実行する。以下では、搬送ロボット11のプログラム43が位置決定処理を実行する場合について説明するが、ビス打ちロボット12のプログラム143も、同様の処理を実行する。
【0066】
作業者は、室内の壁17の所定位置に、所定の基準マーカを表記したシートを貼り付ける。所定位置は、メモリ22に記憶された座標データによって指定される位置である。所定の基準マーカは、例えば、2つの円である。
【0067】
作業者は、シートに正対する位置に搬送ロボット11を配置し、端末装置13を用いて、自己位置決定処理の実行を指示する。当該指示(以下、位置決定指示とも記載する)は、通信モジュール25、46を通じて搬送ロボット11に入力される。
【0068】
搬送ロボット11のプログラム43は、端末装置13から位置決定指示が入力されるまで待機する(S11:No)。プログラム43は、位置決定指示が入力されたと判断すると(S11:Yes)、座標データがメモリ42に記憶されているか否かを判断する(S12)。プログラム43は、座標データがメモリ42に記憶されていないと判断すると、座標データの送信を指示する座標データ送信要求を通信モジュール46を用いて端末装置13に無線送信する(S13)。
【0069】
フローチャートには示されていないが、通信モジュール25を通じて座標データ送信要求を受信した端末装置13は、メモリ22に記憶された座標データを通信モジュール25を通じて無線送信する。
【0070】
プログラム43は、座標データ送信要求を送信した後、通信モジュール46を通じて座標データを受信するまで待機する(S14:No)。プログラム43は、通信モジュール46を通じて座標データを受信したと判断すると(S14:Yes)、室内の壁17に設置された所定の基準マーカを、カメラ36を用いて撮像する(S15)。座標データを受信するステップS14の処理は、本発明の第1取得処理の一例である。
【0071】
次に、プログラム43は、カメラ36が出力した画像データの解析を行い(S16)、搬送ロボット11が基準マーカに対して適正な位置及び向きにいるか否かを判断する(S17)。適正な位置及び向きとは、例えば、基準マーカに対して所定の距離だけ離間して、基準マーカに正対する位置及び向きである。
【0072】
例えば、プログラム43は、画像データに基づいて、上下方向における基準マーカ(円)の半径と、左右方向における基準マーカ(円)の半径とを算出し、当該2つの半径の差から、基準マーカに対する左右方向のずれを算出する。また、プログラム43は、上下方向における基準マーカ(円)の半径とメモリ42に予め記憶された基本半径との差に基づいて、基準マーカとの相対距離が適正か否かを判断する。なお、搬送ロボット11が基準マーカに対して適正な位置及び向きにいるか否かの判断は、上述した例に限られない。カメラ36が撮像した基準マーカの形状に基づいて、搬送ロボット11が適正な位置及び向きにいるか否かを判断可能であれば、他の判断手段が用いられてもよい。
【0073】
プログラム43は、算出した基準マーカまでの距離及び基準マーカの位置する方向が適正でないと判断すると(S17:No)、画像テータに基づいて、現在位置から、適正となる位置までの距離及び方向と、回転の向き及び回転角度を算出する。プログラム43は、算出した距離及び方向に応じた駆動信号を生成し、生成した駆動信号を走行装置32の駆動モータ55のドライブ回路56に入力して、搬送ロボット11を走行させる(S18)。また、プログラム43は、算出した回転の向き及び回転角度に応じた駆動信号を生成し、生成した駆動信号を走行装置32の駆動モータ55のドライブ回路56に入力して、搬送ロボット11をその場で回転させる(S18)。
【0074】
プログラム43は、ステップS18の実行後、ステップS15からステップS18の処理を再度実行する。すなわち、プログラム43は、搬送ロボット11が基準マーカに対して適正な位置にあると判断するまで、ステップS15からステップS18までの処理を繰り返し実行する。
【0075】
プログラム43は、搬送ロボット11が基準マーカに対して正対する適正な位置及び向きにあると判断すると(S17:Yes)、現在位置を、メモリ22に記憶された座標データに示された所定の基準位置として自己位置を決定し、また、座標データにおける自己向きを決定し(S19)、決定した自己位置をメモリ42に記憶し、自己位置及び自己向き決定処理を終了する。例えば、座標データにおけるX軸の正方向と、搬送ロボット11の正面が現在向いている向きとがなす角度が、自己向きとして決定される。或いは、座標データが示す座標におけるベクトルが自己向きとして決定されてもよい。自己位置及び自己向き決定処理は、本発明の第1決定処理の一例である。
【0076】
なお、自己位置及び自己向きを決定可能であれば、他の構成や処理によって自己位置及び自己向きが決定されてもよい。例えば、マーカ型ARなどの空間認識技術を用いて自己位置及び自己向きが決定されてもよいし、パターンマッチングなどを用いた画像解析技術を用いて自己位置及び自己向きが決定されてもよい。
【0077】
自己位置及び自己向き決定処理の実行後、作業者は、施工の開始の指示を端末装置13に入力する。施工の開始の指示が入力された端末装置13は、天井ボード14を受け取る受取位置の座標データを搬送ロボット11に送信する。受取位置の座標データを受信した搬送ロボット11のプログラム43は、座標データが示す受取位置までの走行ルートを決定し、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成して搬送ロボット11を走行させる。
【0078】
作業者は、基材を切断して天井ボード14を作製し、受取位置にいる搬送ロボット11の支持台79に天井ボード14を載置する。その後、作業者は、端末装置13のタッチパネル24に表示された割付図(図3(B))において、天井ボード14を施工する位置をタップなどよって指示する。指示を受け付けた端末装置13は、指示された施工位置を示すデータを搬送ロボット11及びビス打ちロボット12に送信し、天井ボード14の施工の開始を搬送ロボット11及びビス打ちロボット12に指示する。
【0079】
天井ボード14の施工の開始の指示を受信した搬送ロボット11は、図5(B)に示される施工位置移動処理を実行する。
【0080】
[施工位置移動処理]
施工位置移動処理は、搬送ロボット11のプログラム43が、施工位置に応じた目標位置まで搬送ロボット11を走行させる処理である。プログラム43は、天井ボード14の施工の開始の指示を受信するまで待機する(S21:No)。施工の開始の指示には、天井ボード14の施工位置を示す割付図が含まれる。なお、割付図は、施工開始の指示の前に、端末装置13から受信して、メモリ42に予め記憶されていてもよい。施工位置情報である割付図を取得するステップS21の処理は、本発明の第2取得処理の一例である。
【0081】
プログラム43は、施工の開始の指示を受信したと判断すると(S21:Yes)、駆動信号を生成して真空ポンプ81を駆動させ、吸引装置80に天井ボード14を吸引させる(S22)。すなわち、搬送ロボット11は、天井ボード14を確実に保持する。
【0082】
次に、プログラム43は、施工開始の指示とともに受信した割付図が示す施工位置の直下までの走行ルートを決定する(S23)。プログラム43は、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成する(S24)。プログラム43は、生成した駆動信号を走行装置32の駆動モータ55のドライブ回路56に入力し、施工位置の直下の目標位置まで搬送ロボット11を走行させ(S25)、施工位置移動処理を終了する。ステップS25の処理は、本発明の本体移動処理の一例である。
【0083】
[施工位置移動処理]
一方、天井ボード14の施工の開始の指示を受信したビス打ちロボット12は、図5(C)に示される施工位置移動処理を実行する。図5(C)に示される施工位置移動処理は、搬送ロボット11による天井ボード14の位置合わせなどを補助するために、天井ボード14をカメラ136で撮像可能な補助位置まで、ビス打ちロボット12を走行させる処理である。
【0084】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、天井ボード14の施工の開始の指示を受信するまで待機する(S26:No)。施工の開始の指示には、上述の補助位置を示すデータが含まれる。
【0085】
プログラム143は、施工の開始の指示を受信したと判断すると(S26:Yes)、施工の開始の指示に含まれる補助位置までの走行ルートを決定する(S27)。プログラム143は、ステップS23と同様にして、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成し(S28)、走行装置132を用いてビス打ちロボット12を補助位置まで走行させ、施工位置移動処理を終了する。図5(C)に示される施工位置移動処理は、本発明の本体移動処理の一例である。
【0086】
[搬送ロボット11及びビス打ちロボット12が実行する処理]
次に、搬送ロボット11が位置合わせを行いつつ天井ボード14を施工位置に配置する際に搬送ロボット11及びビス打ちロボット12が実行する処理を、図6、7のフローチャート、及び図8の説明図を用いて説明する。なお、以下では、直交する2つの壁17に対して天井ボード14を位置合わして施工する例を説明する。但し、壁17に代えて、施工済みの他の天井ボード14に対して位置合わせして天井ボード14を施工する場合も、同様の処理が実行される。壁17や施工済みの他の天井ボード14は、本発明の対象部材の一例である。
【0087】
まず、搬送ロボット11のプログラム43は、駆動信号を生成して昇降装置33のロッド67を伸長させ、搬送ロボット11に天井ボード14を持上げさせる(S31)。その際、プログラム43は、天井ボード14の上面が野縁15の下面に近接するように昇降装置33を駆動する。具体的には、プログラム43は、メモリ42に記憶された座標データ及び割付図から、野縁15の下面の座標を決定する。プログラム43は、決定した座標に応じて、ロッド67を伸長させる電動シリンダ68の駆動量を算出して駆動信号を生成する。プログラム43は、生成した駆動信号を電動シリンダ68のドライブ回路69に入力する。
【0088】
次に、プログラム43は、カメラ136を用いて天井ボード14を撮像することを示す撮像指示をビス打ちロボット12に送信する(S32)。なお、撮像指示は、天井ボード14の持ち上げが終了したことを通知する終了通知であってもよい。また、撮像指示は、端末装置13を介してビス打ちロボット12に送信されてもよい。
【0089】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、撮像指示を受信すると、カメラ136を用いて、天井ボード14及び壁17を撮像する(S33)。具体的には、ビス打ちロボット12は、カメラ136を天井ボード14の下方へ配置し、天井ボード14の下方から壁17及び天井ボード14を撮像する。
【0090】
プログラム143は、撮像によって得られた画像データを搬送ロボット11に送信する(S34)。一方、搬送ロボット11のプログラム43は、ビス打ちロボット12が送信した画像データを受信する。なお、画像データの受信は、端末装置13を介して行われてもよい。画像データは、検出データの一例である。
【0091】
搬送ロボット11のプログラム43は、画像データを受信すると、壁17と天井ボード14とがなす角度を算出する(S35)。壁17と天井ボード14とがなす角度とは、図8(A)に示されるように、天井ボード14の第1端面14Aと、壁面17Aとがなす角度θを意味する。或いは、壁17と天井ボード14とがなす角度は、天井ボード14の第2端面14Bと、壁面17Bとがなす角度であってもよい。プログラム43は、受信した画像データから、天井ボード14の第1端面14Aと、壁17の壁面17Aとを決定し、決定した第1端面14Aと壁面17Aとがなす角度θを算出する。
【0092】
搬送ロボット11のプログラム43は、算出した角度θに応じた駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動モータ55のドライブ回路56に入力して駆動輪54Aを回転駆動させ、搬送ロボット11をその場で、角度θだけ回転させる。なお、フローチャートには示されていないが、搬送ロボット11のプログラム43は、角度θがほぼゼロとなるまで、ステップS32~S36の処理を繰り返し実行してもよい。
【0093】
次に、搬送ロボット11のプログラム43は、ステップS35で算出した角度θを用いて、自己向きを再決定し(S37)、メモリ42に記憶させる。すなわち、ステップS19で決定した自己向きは、施工位置移動処理(図5(B))の実行により、誤差を生じることが考えられる。ステップS37は、誤差が生じた自己向きを、角度θを用いて再決定する処理である。詳しく説明すると、例えば、搬送ロボット11が、施工位置移動処理の実行後において、角度θがゼロとなる向きで目標位置に到達する場合、角度θは、施工位置移動処理によって自己向きに生じた誤差を示すことになる。搬送ロボット11のプログラム43は、ステップS35で算出した角度θを用いて自己向きを再決定する(S37)。その結果、施工位置移動処理によって自己向きに生じた誤差がリセットされる。ステップS37の処理は、第4決定処理の一例である。
【0094】
次に、搬送ロボット11のプログラム43及びビス打ちロボット12のプログラム143は、ステップS38~S40の処理を実行する。ステップS38~S40の処理は、ステップS32~S34の処理と同じである。
【0095】
搬送ロボット11のプログラム43は、ビス打ちロボット12が送信した画像データを受信すると、施工位置までの距離を算出する(S41)。具体的に説明すると、プログラム43は、画像データに基づいて、支持する天井ボード14の第1端面14A及び第2端面14B(図7)と、壁面17A及び壁面17Bとの位置を決定する。プログラム43は、決定した位置に基づいて、天井ボード14の第1端面14Aと壁面17Aと間の第1離間距離L1(図8(B))と、第2端面14Bと壁面17Bと間の第2離間距離L2(図8(B))と、を算出して取得する(S41)。ステップS41の処理は、本発明の第3取得処理の一例である。
【0096】
プログラム43は、算出した第1離間距離L1及び第2離間距離L2に応じたスライド装置70の駆動量を決定する(S42)。具体的には、プログラム43は、第1離間距離L1に応じた駆動モータ73の駆動量を算出し、第2離間距離L2に応じた駆動モータ77の駆動量を算出する。
【0097】
次に、搬送ロボット11のプログラム43は、ステップS41で決定した第1離間距離L1及び第2離間距離L2とを用いて、ステップS19で決定した自己位置を再決定し(S43)、メモリ42に記憶させる。すなわち、ステップS19で決定した自己位置は、施工位置移動処理(図5(B))の実行により、誤差を生じることが考えられる。ステップS43は、誤差が生じた自己位置を、離間距離L1及び離間距離L2を用いて再決定する処理である。詳しく説明すると、例えば、搬送ロボット11は、施工位置移動処理の実行後において、第1離間距離L1及び第2離間距離L2がともに20cmになる位置を目標位置として移動し、ステップS41で算出した第1離間距離L1が25cmで、第2離間距離L2が23cmであった場合、搬送ロボット11の自己位置は、壁面17B(図8)に沿う向きに5cm、壁面17Aに沿う向きに3cmの誤差を生じていることになる。プログラム43は、壁面17Bから23cm、壁面17Aから25cmの位置を、自己位置として再決定する(S43)。その結果、施工位置移動処理によって自己位置に生じた誤差がリセットされる。ステップS43の処理は、第2決定処理の一例である。
【0098】
次に、搬送ロボット11のプログラム43は、ステップS42で算出した駆動量で駆動モータ73、77を駆動させ、天井ボード14の第1端面14Aを壁面17Aに当接させ、天井ボード14の第2端面14Bを壁面17Bに当接させる(S44)。すなわち、天井ボード14の角を壁17の隅に当接させて位置合わせを行って天井ボード14を施工位置に配置する。ステップS44の処理は、本発明の配置処理及びワーク処理の一例である。
【0099】
なお、天井ボード14の移動は、スライド装置70ではなく、走行装置32を用いて行ってもよいし、スライド装置70と走行装置32との双方を用いて行ってもよい。
【0100】
次に、プログラム43は、天井ボード14の位置合わせが終了したことを示す終了通知をビス打ちロボット12に送信する(S45)。ただし、終了通知は、端末装置13を介してビス打ちロボット12に送信されてもよい。
【0101】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、終了通知を受信すると、カメラ136を用いて天井ボード14を撮像する(S46)。具体的には、天井ボード14に表記されたマーカを撮像する。図8(C)は、ステップS46において撮像された天井ボード14を示す。図において塗り潰された丸がマーカを示す。マーカは、ビスが打たれる位置を示す。なお、図8(A)、(B)では、マーカの図示が省略されている。
【0102】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、図7に示されるように、撮像によって得られた画像データから、第1マーカ及び第2マーカの位置と自己との相対位置を示す相対位置情報を決定して取得する(S47)。第1マーカとは、ビス打ちロボット12が最初にビスを打つマーカとして、割付図において示されるマーカである。第2マーカとは、第1マーカの近傍の他のマーカである。ステップS47の処理は、第3取得処理の一例である。
【0103】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、ステップS47で取得した第1マーカの相対位置情報に基づいて、スライド装置170の駆動量を決定する(S48)。具体的には、プログラム143は、取得した相対位置情報に基づいて、ビス打ち装置135が第1マーカの直下となる位置に移動するだけの駆動モータ73、77の駆動量を算出して決定する。
【0104】
次に、ビス打ちロボット12のプログラム143は、ステップS47で取得した第1マーカ及び第2マーカに対する相対位置情報に基づいて、自己位置及び自己向きを再決定(S49)し、メモリ142に記憶させる。すなわち、ステップS19で決定した自己位置及び自己向きは、施工位置移動処理(図5(C))の実行により、誤差を生じることが考えられる。ステップS49は、誤差が生じた自己位置及び自己向きを、第1マーカ及び第2マーカに対する相対位置情報を用いて再決定する処理である。詳しく説明すると、例えば、ビス打ちロボット12は、ビス打ち装置135が第1マーカの直下となる位置に移動して、撮像を行う(S46)。したがって、ビス打ちロボット12の自己位置に誤差が生じていないと、ステップS37で取得した第1マーカに対する相対位置情報は、ゼロとなる。プログラム143は、ステップS47で取得した第1マーカに対する相対位置情報に基づいて、自己位置を再決定する(S49)。その結果、施工位置移動処理によってビス打ちロボット12の自己位置に生じた誤差がリセットされる。ステップS49の処理は、本発明の第2決定処理の一例である。
【0105】
また、ビス打ちロボット12のプログラム143は、第1マーカ及び第2マーカに対する自己位置情報を用いて自己向きを再決定する(S49)。例えば、第1マーカの中心と第2マーカの中心とを結ぶ直線の傾きを決定し、決定した直線の傾きと、割付図が示す第1マーカの中心と第2マーカの中心とを結ぶ直線の傾きとの角度差を算出し、算出した角度差を用いて、自己向きを再決定する。ステップS49の処理は、本発明の第3決定処理の一例である。
【0106】
次に、ビス打ちロボット12のプログラム143は、ステップS48で決定した駆動量でスライド装置170を駆動し、ビス打ち装置135を第1マーカの直下に移動させる(S50)。そして、プログラム143は、ビス打ち装置135を駆動して、第1マーカにビスを打ち込む(S51)。ステップS50、S51の処理は、本発明のビス打ち処理及びワーク処理の一例である。
【0107】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、ステップS46~S51までの処理を、全てのマーカのうち、割付図が示すマーカに対して、それぞれ実行する。割付図が示すマーカとは、搬送ロボット11が次の天井ボード14の施工作業に従事可能とするため、天井ボード14を野縁15に仮固定可能な数及び位置のマーカであって、割付図によって予め決められたマーカを意味する。
【0108】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、割付図が示すマーカにビスを打ち込んで天井ボード14の仮固定が終了すると、仮固定が終了したことを示す終了通知を搬送ロボット11に送信した後(S52)、残りのマーカに対してステップS46~51までの処理を実行し、天井ボード14を野縁15に固定し、1枚目の天井ボード14の施工を終了する。なお、終了通知は、端末装置13を介して搬送ロボット11に送信されてもよい。
【0109】
一方、搬送ロボット11のプログラム43は、仮ビス打ちの終了通知を受信すると(S52)、再決定した自己位置から天井ボード14の受け取り位置までの走行ルートを決定する(S54)。プログラム43は、決定した走行ルートに応じた走行装置32の駆動モータ55の駆動量を決定し(S55)、決定した駆動量に応じた駆動信号をドライブ回路56に入力して走行装置32を走行させ、受取位置まで移動して(S56)、1枚目の天井ボード14の施工を終了する。
【0110】
搬送ロボット11のプログラム43及びビス打ちロボット12のプログラム143は、割付図が示す全ての天井ボード14に対して図6図7に示す処理を実行し、天井を施工する。
【0111】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、壁面17A、17Bや位置決めされた天井ボード14が適正な位置にあるものとして、壁面17A、17Bや位置決めされた天井ボード14を基準として、搬送ロボット11及びビス打ちロボット12の自己位置が再決定される。すなわち、図5(B)、(C)に示される施工位置移動処理によって座標データにおける自己位置と、実際の自己位置との間に生じた誤差が、天井ボード14を施工する度にリセットされる。したがって、天井ボード14の施工を繰り返すことよって誤差が積算されることを防止することができる。その結果、搬送ロボット11が壁や障害物に接触することを防止することができる。また、搬送ロボット11が持ち上げた天井ボード14が壁や施工済みの天井ボード14に当接することを防止することができる。
【0112】
また、本実施形態では、搬送ロボット11のプログラム43は、天井ボード14を施工するために取得した離間距離L1、L2を用いて自己位置を再決定する。したがって、自己位置を再決定するための情報を新たに取得する処理を省くことができる。その結果、天井ボード14の施工に要する時間を短くすることができ、また、CPU41の処理負担を低減することができる。
【0113】
また、本実施形態では、ビス打ちロボット12のプログラム143は、天井ボード14にビスを打ち込むために取得したマーカの位置を用いて自己位置を再決定する。したがって、自己位置を再決定するための情報を新たに取得する処理を省くことができる。その結果、天井ボード14の施工に要する時間を短くすることができ、また、CPU141の処理負担を低減することができる。
【0114】
また、本実施形態では、ビスを打ち込むために天井ボード14に表記されたマーカを用いてビス打ちロボット12の自己位置を再決定している。マーカの位置の決定は、天井ボード14の第1端面14Aや第2端面14Bの位置の決定よりも、画像解析の処理が容易である。したがって、マーカを用いてビス打ちロボット12の自己位置を再決定することにより、天井ボード14の施工に要する時間をさらに短くすることができ、また、CPU141の処理負担をさらに低減することができる。
【0115】
また、本実施形態では、壁面17A、17Bや位置決めされた天井ボード14が適正な向きにあるものとして、壁面17A、17Bや位置決めされた天井ボード14を基準として、搬送ロボット11及びビス打ちロボットの自己向きが再決定される。すなわち、図5(B)、(C)に示される施工位置移動処理によって自己向きに生じた誤差が、天井ボード14を施工する度にリセットされる。したがって、天井ボード14の施工を繰り返すことよって誤差が積算されることを防止することができる。その結果、搬送ロボット11が壁や障害物に接触することを防止することができる。また、搬送ロボット11が持ち上げた天井ボード14が壁や施工済みの天井ボード14に当接することを防止することができる。
【0116】
また、本実施形態では、搬送ロボット11のプログラム43は、天井ボード14を施工するためにステップS35で取得した角度θを用いて自己向きを再決定する。したがって、自己向きを再決定するための情報を新たに取得する処理を省くことができる。その結果、天井ボード14の施工に要する時間を短くすることができ、また、CPU41の処理負担を低減することができる。
【0117】
また、本実施形態では、ビス打ちロボット12のプログラム143は、天井ボード14にビスを打ち込むために取得したマーカの位置を用いて自己向きを再決定する。したがって、自己向きを再決定するための情報を新たに取得する処理を省くことができる。その結果、天井ボード14の施工に要する時間を短くすることができ、また、CPU141の処理負担を低減することができる。
【0118】
[変形例]
【0119】
上述の実施形態では、自己位置及び自己向きを再決定する例(S37、43、S49)を説明した。しかしながら、搬送ロボット11及びビス打ちロボット12は、自己位置のみを再決定してもよい。その場合、ビス打ちロボット12は、ステップS47において、ビス打ちを行う第1マーカに対する相対位置情報のみを算出して取得すればよい。
【0120】
上述の実施形態では、施工システム10が搬送ロボット11及びビス打ちロボット12を備える例を説明した。しかしながら、施工システム10は、搬送ロボット11及び端末装置13で構成されていてもよい。この場合、搬送ロボット11が搬送して天井に配置した天井ボードは、作業者によってビスを打たれ、天井に固定される。
【0121】
施工システム10は、ビス打ちロボット12及び端末装置13で構成されていてもよい。この場合、作業者が天井ボード14を天井に位置決めして配置し、ビス打ちロボット12が天井ボード14にビスを打ち込んで天井に固定する。
【0122】
上述の実施形態では、搬送ロボット11とビス打ちロボット12とがそれぞれ自己位置を記憶する例を説明した。しかしながら、搬送ロボット11のみが自己位置をメモリ42に記憶し、ビス打ちロボット12は、搬送ロボット11に対する相対位置を、自己位置に代えてメモリ142に記憶していてもよい。反対に、ビス打ちロボット12のみが自己位置をメモリ142に記憶し、搬送ロボット11は、ビス打ちロボット12に対する相対位置を、自己位置に代えてメモリ42に記憶していてもよい。
【0123】
また、上述の実施形態では、ビス打ちロボット12のプログラム143が、天井ボード14に表記されたマーカに対する相対位置情報を取得して自己位置を再決定する例を説明した。しかしながら、プログラム143は、マーカに対する相対位置情報に代えて、搬送ロボット11が天井に位置決めして配置した天井ボード14の第1端面14A及び第2端面14Bと自己との相対位置を示す相対位置情報を取得し、取得した相対位置情報を用いて、自己位置を再決定してもよい。すなわち、位置決めされた天井ボード14と自己との相対位置を決定可能であれば、マーカ以外の情報が用いられてもよい。
【0124】
また、上述の実施形態では、コントローラ40が本体31に設置された例を説明した。しかしながら、コントローラ40は、端末装置13に設けられていてもよい。すなわち、搬送ロボット11は、端末装置13によって遠隔操作されてもよい。端末装置13は、生成した駆動信号を通信モジュール25を通じて搬送ロボット11に送信する。搬送ロボット11は、通信モジュール46を通じて駆動信号を受信し、受信した駆動信号を走行装置32や、昇降装置33や、支持装置34や、ビス打ち装置35に入力する。この場合、端末装置13は、本発明の操作装置の一例である。
【0125】
また、上述の実施形態では、カメラ36を用いて天井ボード14のマーカの位置を決定する例を説明した。しかしながら、マーカの位置を決定可能であれば、カメラ36に代えて、センサが用いられてもよい。例えば、天井ボード14のマーカにレーザ光を照射する発光部と、マーカで反射された反射光を受光する受光部とを有するレーザセンサがカメラ36に代えて用いられてもよい。或いは、天井ボード14のマーカに超音波を照射し、マーカで反射された超音波を受ける超音波センサがカメラ36に代えて用いられてもよい。さらに或いは、天井ボード14のマーカに近接したことを磁気によって検出する近接センサがカメラ36に代えて用いられてもよい。すなわち、天井ボード14のマーカの位置を検出可能であれば、どのようなセンサが用いられてもよい。なお、マーカは、使用するセンサに合わせて、例えば、反射するレーザ光の強度を天井ボード14と異ならせるものが使用され、或いは、反射する超音波の強度を天井ボード14と異ならせるものが使用され、さらに或いは、天井ボード14よりも磁界変化を生じさせるものが使用される。
【0126】
また、カメラ36に代えて、天井ボード14の角の位置や中央の位置などである形状位置を決定可能なセンサが用いられてもよい。例えば、上述したレーザセンサや、超音波センサや、近接センサが、カメラに代えて用いられてもよい。上述のセンサが出力するデータは、検出データの一例である。
【0127】
また、上述の実施形態では、搬送ロボット11及びビス打ちロボット12は、端末装置13から座標データ及び割付図を取得する例を説明した。しかしながら、プログラム43やプログラム143は、座標データや割付図を記憶するデータベースから、インターネットを通じて座標データや割付図をダウンロードして取得してもよい。
【0128】
また、上述の実施形態では、駆動モータ55がステッピングモータである例を説明した。しかしながら、駆動モータ55は、搬送ロボット11の移動距離を制御可能であれば、ステッピングモータ以外のモータであってもよい。例えば、駆動モータ55は、直流モータであってもよい。その場合、駆動モータ55のシャフトや、当該シャフトと連動して回転する部材にエンコーダセンサが設けられる。コントローラは、エンコーダセンサの出力値により、搬送ロボット11の移動距離を算出し、算出した移動距離に応じて、駆動モータ55の駆動を制御する。
【0129】
また、上述の実施形態では、本発明の第2移動装置の一例として、スライド装置70、170を説明した。しかしながら、本発明の第2移動装置は、3次元的な移動が可能なロボットアームであってもよい。
【0130】
また、上述の実施形態では、電動モータや電動シリンダを用いて走行装置32や昇降装置33や支持装置34を駆動させる例を説明した。しかしながら、油圧モータや油圧シリンダを用いて走行装置32や昇降装置33や支持装置34を駆動してもよい。その場合、プログラム43、143は、油圧モータや油圧シリンダのパイロット圧を制御する電磁弁を開閉する駆動信号を生成して出力することにより、油圧モータの回転量や、油圧シリンダの長さを制御する。
【符号の説明】
【0131】
10・・・施工システム
11・・・搬送ロボット
12・・・ビス打ちロボット
13・・・端末装置
14・・・天井ボード
17・・・壁
25・・・通信モジュール
31・・・本体
32・・・走行装置
33・・・昇降装置
34・・・支持装置
36・・・カメラ
40・・・コントローラ
42・・・メモリ
43・・・プログラム
46・・・通信モジュール
70・・・スライド装置
79・・・支持台
135・・・ビス打ち装置
136・・・カメラ
140・・・コントローラ
143・・・プログラム
146・・・通信モジュール
170・・・スライド装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8