(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230127BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20230127BHJP
F21V 14/00 20180101ALI20230127BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20230127BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230127BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21S2/00 340
F21V17/00 200
F21V14/00 200
F21V14/06
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019009672
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 悟
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0182441(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0049967(US,A1)
【文献】特開2018-139201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
F21V 14/00
F21V 14/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置される光源と、
前記筐体内で前記光源よりも光出射側に配置されるレンズを含み、前記光源に対して静止している静止部に対する相対回転が可能な光学ブロックと、
光軸方向の位置が略変わらず、前記静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、
前記光学ブロッ
クは、ガイド溝を有し、
前記
静止部は、前記ガイド溝に嵌り込んで前記回転部材が前記静止部に対して回転すると前記ガイド溝内における存在位置が変動する係合部を有する、照明装置。
【請求項2】
前記
係合部が、前記光源が配設される基板が固定されると共に前記筐体に固定される基板ホルダに設けられている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ガイド溝は、前記光軸方向と直交する平面に対して傾斜している、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光学ブロックが、前記レンズを保持するレンズホルダを有し、
前記ガイド溝は前記レンズホルダに設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光学ブロックは外周部に径方向外側へ突出する突出部を有し、前記回転部材は前記光軸方向に延在する切欠部を有し、前記光学ブロックが前記回転部材に対して光軸方向に移動するとき前記突出部が前記切欠部に嵌り込んだ状態で前記切欠部に沿って移動する、請求項1~4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記光源が固定される基台と、前記基台の前記光出射側に配置される枠体とを含み、
前記枠体の高さ方向に対する前記光軸方向の傾斜角度が変動可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置としては、特許文献1に記載されているものがある。この照明装置は、基台、光源モジュール、第1円筒部材、第2円筒部材、レンズ保持体、及びレンズを備える。基台は、筐体上側を構成し、光出射側とは反対側に複数のフィンを有する。また、光源モジュールは、基台の光出射側の端面(主面)に固定され、光軸方向のフィン側とは反対側に光を出射する。また、第1円筒部材は、基台に相対移動不可に固定され、第2円筒部材は、第1円筒部材に光軸方向に相対移動可能に取り付けられる。第2円筒部材は、第1円筒部材に対して回転すると第1円筒部材に対する高さ位置が変動する。レンズ保持体は、照明装置の筐体下側を構成し、第2円筒部材の径方向外側に相対移動不可に固定される。レンズは、レンズ保持体の内側に相対移動不可に固定される。レンズは、光軸方向において光源モジュールよりも光出射側に位置する。この照明装置では、第1円筒部材を第2円筒部材に対して回転させることで光源モジュールに対するレンズ保持体の高さ位置を変動させることができるので、光源モジュールに対するレンズの光軸方向位置を調整できる。したがって、出射光の配光調節を実行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記照明装置では、光源モジュールに対するレンズの光軸方向位置を変更するために第2円筒部材を第1円筒部材に対して回転させると、第2円筒部材の端部位置が第1円筒部材の端部から突出するように変動することになる。したがって、照明装置の光軸方向寸法が変動するため、照明装置が大型化し易く、見栄えもよくない。
【0005】
そこで、本開示の目的は、配光調節を実行できると共に、コンパクト化を実現し易く、更には、美観にも優れる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明装置は、筐体と、筐体内に配置される光源と、筐体内で光源よりも光出射側に配置されるレンズを含み、光源に対して静止している静止部に対する相対回転が可能な光学ブロックと、光軸方向の位置が略変わらず、静止部に対して回転可能になっている回転部材と、を備え、光学ブロックは、ガイド溝を有し、静止部は、ガイド溝に嵌り込んで回転部材が静止部に対して回転するとガイド溝内における存在位置が変動する係合部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明装置によれば、配光調節を実行できると共に、コンパクト化を実現し易く、更には、美観にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【
図4】照明装置の基台の台座部に配置されている光源モジュールを示す斜視図である。
【
図5】照明装置における光軸方向に平行な断面図である。
【
図6】光学ブロックと回転部材の分解斜視図である。
【
図8】光学ブロックおよび回転部材の組立斜視図である。
【
図9】回転部材に対する光学ブロックの移動を説明するための斜視図である。
【
図10】レンズホルダの変形例を示す
図7と同様の斜視図である。
【
図11】レンズホルダのガイド溝に係合する係合部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施形態は、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、図面、及び以下の説明において、光軸方向は、照明装置の出射光の光軸に沿った方向であり、径方向は光軸と直交する放射方向であり、周方向は、光軸周りの円周方向である。また、光軸方向は、レンズの中心軸の延在方向にも一致し、また、照明装置が天井に設置されて鉛直下方に向けられたときの上下方向及び高さ方向に一致する。また、以下の説明で、上側とは、光軸方向における光出射側とは反対側を指し、下側とは、光軸方向の光出射側を指す。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係る照明装置1の斜視図である。
図1において、照明装置1の出射光の光軸Lが一点鎖線で示されている。
図2は、照明装置1の下面図である。
図1に示すように、照明装置1は、埋込型ユニバーサルダウンライトであり、ホール等の建物の天井に埋め込み配置され、下方に出射される出射光の光軸方向を変動させることができる。
【0011】
照明装置1は、基台10を備える。基台10は、照明装置1の筐体の上側を構成し、有底円筒状部11を有する。基台10は、有底円筒状部11内に光源62(
図4参照)を取り付ける取付台として機能する。基台10は、上方に突出する複数のフィン12を有し、基台全体が光源62で発生する熱を放散させるヒートシンクとしても機能し、特にフィン12が光源62からの熱を外気に放熱する。このため、基台10は、金属材料等の熱伝導率の高い材料によって構成されると好ましい。基台10は、例えば、アルミダイカスト等で、有底円筒状部11とフィン12を一体成形することで構成される。なお、基台は、有底円筒状部とフィンを接合する構成でもよい。この場合、例えば、有底円筒状部に設けた突起を、フィンに設けられた孔に挿入した後に塑性変形させることで、有底円筒状部とフィンを接続してもよいし、或いは、フィンをネジで有底筒状部に締結固定してもよい。なお、基台は、フィンを有さなくてもよい。
【0012】
照明装置1は、更に、バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20を備える。バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20の夫々は、アルミニウム等の金属材料、又はポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料によって好適に形成される。基台10、バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20は、次に示す如く一体化される。
【0013】
図1に示すように、バネ取付部材15は、環状平板部15aと、2つのバネ取付部15bを含み、2つのバネ取付部15bは、環状平板部15aの周方向に間隔をおいた位置で環状平板部15aから下側に突出する。また、枠体20は、筐体の下側を構成する筒状部材であり、環状円板状の上側端面(図示せず)を含む。また、
図1および
図2に示すように、光軸調整用部材17は、環状平板部17a、上側基台固定部17b、及び下側基台固定部17cを含み、上側基台固定部17bは、環状平板部17aから上側に突出する一方、下側基台固定部17cは、環状平板部17aから下側に突出する。
【0014】
図1を参照して、バネ取付部材15の環状平板部15aと枠体20の上側端面とで光軸調整用部材17の環状平板部17aを挟持した状態で、環状平板部15aを枠体20の上側端面にネジ27で固定する。この固定で、バネ取付部材15、光軸調整用部材17、及び枠体20が一体化される。上側基台固定部17bは長孔17dを有し、下側基台固定部17cはネジ挿通孔を有する。基台10は、枠体20に対して上側基台固定部17bの長孔17dと下側基台固定部17cのネジ挿通孔を用いて枠体20にネジ止めされる。
【0015】
図1に示すように、枠体20の中心軸の延在方向が光軸方向に略一致している状態では、基台10は、ネジ21で紙面における長孔17dの中央部に締め付けられている。ネジ21による締め付け位置が、紙面における長孔17dの左側または右側に移動するにしたがって、基台10が、枠体20に対して傾斜する。これにより、照明装置1の光軸方向を、例えば鉛直方向に沿った枠体20の中心軸方向に対して所望の角度傾斜した状態に向けることができる。
【0016】
照明装置1は、更に、2つの取付バネ23を備える。2つの取付バネ23は、枠体外側にその中心軸を挟んで枠体20の径方向に対向するように配置され、各取付バネ23は、バネ取付部15bに固定される。取付バネ23は、例えば、屈曲部を有する金属板によって構成され、板バネ構造を有する。取付バネ23を歪ませて、取付バネ23を天井の埋め込み孔の周囲に当接させる。これにより、照明装置1は、取付バネ23によって天井の埋め込み孔内面に固定される。
【0017】
バネ取付部15bは、枠体20に取り付けられるので、枠体20に対して静止し、天井の埋め込み孔にも静止する。したがって、枠体20が埋め込み孔に対して静止するので、枠体20に対して傾斜角度を調整できる基台10を天井に対して所望の角度だけ傾斜させることができる。よって、基台10に固定される光源62(
図4参照)から出射させる出射光の光軸Lを、鉛直方向に対して所望の角度だけ傾斜させることができるので、照射領域の自由度を格段に高くできる。なお、取付バネは3以上設けられてもよい。また、照明装置の天井への取付構造は、照明装置を天井に固定できる構造であれば如何なる構造でもよく、取付バネを含まなくてもよい。
【0018】
照明装置1は、光源に対するレンズの光軸方向位置を変動させることができ、出射光を配光調節できるようになっている。次に、このことについて説明する。
図3は、照明装置1の主要構成の分解斜視図である。
図3では、枠体20や取付バネ23等の図示が省略されている。また、
図4は、基台10の台座部24に配置されている光源モジュール60を示す斜視図であり、
図5は、照明装置1における光軸方向に平行な断面図である。
【0019】
図3に示すように、照明装置1は、基台10及び枠体20に加えて、レンズ30、レンズホルダ40、回転部材50、及び光源モジュール60を備える。光源モジュール60は、基台10の有底円筒状部11において底部に相当する台座部24にネジ63で固定されており、基板61と光源62とを有する。基板61は、平面視で略矩形の形状を有し、光源62は、円板状の形状を有し、基板61の下面(実装面)の略中央に配設される。光源モジュール60は、例えば、COB(Chip On Board)構造を有し、光源62は、基板61に実装された複数のLED(light emitting diode)と、複数のLEDを封止する封止部材を含む。
【0020】
基板61は、例えば、セラミックス基板、樹脂基板、又はメタルベース基板等で構成される。基板61には、一対の電極端子64a,64bと、所定パターンの金属配線(図示せず)が形成される。一対の電極端子64a,64bは、光源62のLEDを発光させるための直流電力を外部から受電するために設けられる。また、所定パターンの金属配線は、LED同士を電気的に接続するために設けられる。
【0021】
LEDは、発光素子の一例である。LEDは、例えば、単色の可視光を発するベアチップで構成され、通電されれば青色光を発する青色LEDチップで構成される。複数のLEDは、基板61に例えばマトリクス状に配置される。なお、LEDは、基板に1つのみ実装されてもよい。封止部材は、例えば、透光性樹脂で構成され、蛍光体を含む。蛍光体は、LEDからの光を波長変換する役割を果たす。封止部材は、例えば、シリコーン樹脂に蛍光体粒子を分散させた蛍光体含有樹脂で構成される。光源モジュール60が白色光を出射し、LEDが青色光を発光する青色LEDチップである場合、蛍光体粒子は、例えばYAG系の黄色蛍光体で構成される。
【0022】
なお、封止部材は、例えば、全てのLEDを一括封止してもよく、複数のLEDを列ごとにライン状に封止してもよく、各LEDを1つずつ個別に封止してもよい。また、光源は、LED以外の発光素子で構成されてもよく、半導体レーザ素子や、有機EL(Electro Luminescence)素子若しくは無機EL素子等の固体発光素子等で構成されてもよい。又は、光源は、白熱灯や蛍光灯で構成されてもよい。
【0023】
図4に示すように、基板61は、基板ホルダ65に固定されている。基板ホルダ65は、平面視で略矩形状の外形をなし、例えば樹脂部材により好適に構成される。基板61は、基板ホルダ65に対して接着、挟み込み等によって固定され、基板ホルダ65はネジ63によって基台10の台座部24に固定されている。
【0024】
また、
図3及び
図4に示すように、基板ホルダ65には、係合部66が設けられている。本実施形態では2つの係合部66が基板ホルダ65に一体形成されている。基板ホルダ65は、平面視で長方形状をなし、2つの短辺縁部の中央部分にそれぞれ形成されている。係合部66は、光軸方向と直交する方向から見て略L字状の側面形状を有する爪状部として形成されている。より詳しくは、係合部66は、基板ホルダ65の表面から光出射側に突出するとともに、先端が光軸方向と直交する方向の外側へ向かって屈曲した形状を有する。係合部66の先端は、後述するレンズホルダ40のガイド溝に嵌り込んで係合する。基板ホルダ65は基台10に固定された静止部となるため、基板ホルダ65の係合部66もまた基台10に固定された光源62に対して静止している静止部を構成する。
【0025】
図5を参照して、レンズ30は、光軸方向に関して、光源モジュール60よりも光出射側に配置される。より正確には、レンズ30における光軸方向の光入射側の端面35は、光源62よりも光軸方向の光出射側に位置する。また、レンズホルダ40は、レンズ30を取り囲むように配置され、回転部材50は、レンズホルダ40を取り囲むように配置される。
【0026】
図6は、光学ブロック70と回転部材50の分解斜視図である。
図7は、光学ブロック70の組立斜視図である。
図8は、光学ブロック70および回転部材50の組立斜視図である。
【0027】
図5に示すように、照明装置1は、光学ブロック70を備える。光学ブロック70は、
図6及び
図7に示すように、レンズ30と、このレンズ30を保持するレンズホルダ40とによって構成される。
【0028】
レンズ30は、透光性を有する透光性材料によって構成され、アクリル、ポリカーボネート、シリコーン等の透明樹脂材料、又は、ガラス材料によって形成されると好ましい。レンズ30は、上部中央に円筒状空間を含む凹部31と、上端部から下端部にかけて円錐台状に末広がりとなる外周面32と、外周面32の下端部において径方向外側に突出したフランジ部33とを有する。フランジ部33には、周方向に間隔をおいて複数(本実施形態では3つ、
図6ではそのうち2つを図示)の嵌合部34が径方向内側に凹状に形成されている。また、嵌合部34には、径方向内側に延在する切欠部36が形成されている。
【0029】
図6に示すように、レンズホルダ40は、環状部材であり、レンズ30を取り囲むように配置される。レンズホルダ40は、アルミニウム等の金属材料、又はポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料によって好適に形成される。レンズホルダ40は、レンズ30の外周面32の径方向外側に沿って延在する円錐台状の外周面41を有する。外周面41の下端には、周方向に間隔をおいて複数(本実施形態では3つ)の嵌合凸部42が光軸方向に突出して形成されている。嵌合凸部42の径方向内側の表面には係止突起43が形成されている。この係止突起43は、レンズホルダ40がレンズ30に組み付けられたとき、レンズ30の嵌合部34に形成された切欠部36に嵌り込むことによって、レンズホルダ40からレンズ30が光軸方向に外れないように保持する機能を果たす。
【0030】
また、レンズホルダ40の各嵌合凸部42の径方向外側の表面には、側面視で矩形状をなすガイド突起44が突出して形成されている。ガイド突起44は、後述する回転部材50の切欠部に嵌り込んで切欠部内を移動することで回転部材50の軸方向に沿ってレンズホルダ40が移動するようにガイドする機能を果たす。
【0031】
さらに、レンズホルダ40は、外周面41の上端面から上方に突出する2つの円弧状壁部45を有する。2つの円弧状壁部45は、レンズホルダ40の径方向に対向して設けられている。各円弧状壁部45には、ガイド溝46が形成されている。ガイド溝46は、光軸方向に直交する平面に対して傾斜した方向に延在している。そして、2つの円弧状壁部45に形成された各ガイド溝46は、径方向に対向する位置において同じ高さ位置となる形状に形成されている。
【0032】
回転部材50は、略円筒状の部材であり、例えばポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料によって好適に形成される。回転部材50は、上側から順に、上端筒部51、中間筒部52、及び把持部53を有する。上端筒部51には、周方向に間隔をおいて3つの切欠部54が光軸方向に延在して形成されている。切欠部54は、上方に開口しており、その開口からレンズホルダのガイド突起44を受け入れることができる。切欠部54は、2つ又は4つ以上の複数であってもよい。
【0033】
上端筒部51は、その内径がレンズホルダ40の外周面41の最大径よりも大きく形成されている。これにより、レンズ30を保持したレンズホルダ40が上端筒部51内において光軸方向に変動できるようになっている。
【0034】
中間筒部52は、上端筒部51よりも外径が小さく形成されている。そのため、上端筒部51と中間筒部52との間には、下方から見て円環状をなす段部55が形成されている。この段部55は、回転部材50が基台10の有底円筒状部11内に配置されたとき、有底円筒状部11の内周面に形成された円環状突出部13aに係合可能となっており、基台10から回転部材50が脱落しないようにする機能を果たす。
【0035】
把持部53は、中間筒部52の下端部から径方向外側に突出した円環状部分である。把持部53の表面には、凹凸形状が周方向全周にわたって形成されており、これにより人が把持部53を手で掴んで回転部材50を回転し易くなっている。
【0036】
中間筒部52の下端部近傍には、複数(本実施形態では4つ)の係止突起56が周方向に間隔をおいて形成されている。係止突起56は、周方向から見て台形状の突起として形成されている。係止突起56の下端面と把持部53の上端面との間には、隙間が形成されている。この隙間には、
図5に示すように回転部材50が基台10の有底円筒状部11内に配置されたとき、有底円筒状部11の下端において径方向内側に突出して形成されているフランジ部13bが嵌り込んで配置される。これにより、基台10から回転部材50が脱落しないようにする機能を果たすとともに、回転部材50は光軸方向の位置が略変わらずに基台10に対して回転可能になっている。
【0037】
図7に示すように、レンズ30に対し、レンズホルダ40が上方から被せられるように組み付けられて、光学ブロック70が組み立てられる。この状態で、レンズホルダ40の嵌合凸部42にそれぞれ形成されている係止突起43(
図6参照)が、レンズ30の嵌合部34にある切欠部36(
図6参照)に嵌り込み、その結果、レンズホルダ40からレンズ30が光軸方向に外れないように保持される。
【0038】
このように組み立てられた光学ブロック70は、
図8に示すように、回転部材50の上端筒部51内に挿入された状態に組み付けられる。このとき、光学ブロック70を構成するレンズホルダ40の最大径部分は上端筒部51の内径より小さいため、光学ブロック70と回転部材50とは光軸方向に相対移動可能である。また、このように相対移動するとき、レンズホルダ40のガイド突起44が回転部材50の切欠部54に嵌り込んで切欠部54内を移動することで、回転部材50内で光学ブロック70を光軸方向に沿って安定して移動させることができる。
【0039】
次に、
図9を参照して、照明装置1における配光調節について説明する。
図9は、回転部材50に対する光学ブロック70の移動を説明するための斜視図である。
【0040】
照明装置1が組み立てられた状態で、光源モジュール60の基板ホルダ65は基台10の台座部24に固定されており、また、回転部材50は、基台10の有底円筒状部11に対して回転可能であるが光軸方向に移動不能に配置されている。また、基板ホルダ65の係合部66は、レンズホルダ40の円弧状壁部45に形成されたガイド溝46の周方向一端側に嵌り込んで係合している。
【0041】
この状態で、
図9に示すように、人が把持部53を掴んで回転部材50を矢印R1で示す周方向一方側へ回転させると、基板ホルダ65の係合部66がガイド溝46に沿って移動することで、レンズホルダ40が矢印Z1方向、すなわち、レンズ30が光源モジュール60に近づく方向に移動する。その結果、照明装置1から出射される出射光の配光角が大きくなって、照明範囲が広くなる。その反対に、基板ホルダ65の係合部66がガイド溝46の周方向の中間領域または他端側に位置する状態で、回転部材50を人が把持部53を掴んで回転部材50を矢印R2で示す周方向他方側へ回転させると、基板ホルダ65の係合部66がガイド溝46に沿って移動することで、レンズホルダ40が矢印Z2方向、すなわち、レンズ30が光源モジュール60から離れる方向に移動する。その結果、照明装置1から出射される出射光の配光角が小さくなって照明範囲が狭くなる。
【0042】
このように照明装置1において配光調節を行う場合、基台10に対する回転部材50の光軸方向位置は変動せず、回転部材50は基台10に組み付けられた状態で有底円筒状部11の端部から更に突出することがない。
【0043】
なお、上記においては、静止部となる基板ホルダ65に係合部66を設け、移動部となる光源モジュール60のレンズホルダ40にガイド溝46を設けた例について説明したが、これに限定されるものではない。これとは逆に、静止部となる基板ホルダ65や基台10にガイド溝を設け、移動部となる光源モジュール60に係合部を設けてもよい。
【0044】
上述したように本実施形態の照明装置1は、基台10と、基台10内に配置される光源62と、基台10内で光源62よりも光出射側に配置されるレンズ30を含み、光源62に対して静止している静止部に対する相対回転が可能な光学ブロック70と、光軸方向の位置が略変わらず、静止部に対して回転可能になっている回転部材50とを備える。光学ブロック70及び回転部材のうちの一方はガイド溝46を有し、光学ブロック70及び回転部材50のうちの他方は、ガイド溝46に嵌り込んで回転部材50が静止部に対して回転するとガイド溝46内における存在位置が変動する係合部を有する。
【0045】
この構成によれば、配光調節を実行できると共に、回転部材50が基台10から突出することがないので、コンパクト化を実現し易く、美観にも優れた照明装置を提供できる。
【0046】
光軸方向が、枠体の高さ方向に対して変動可能なユニバーサル型の照明装置の場合において、従来技術のように、レンズの光軸方向位置を変動させる際にレンズが固定された基台の光軸方向長さが変動する構成を採用したとする。すると、光軸方向が枠体の高さ方向に対して大きく傾斜した場合で、かつ、基台の長さが長くなったときに、基台が枠体に干渉し易くなるので、これを回避するために、枠体を大きくする必要が生じ、照明装置が、特に大型化し易い。しかし、本開示の技術の場合、照明装置1がユニバーサル型であったとしても、レンズ30の光軸方向位置を変動させる際に、レンズ30が回転部材50内を移動するだけで、照明装置1の外観(寸法)が一切変わることがない。したがって、照明装置1がユニバーサル型である場合、照明装置1をコンパクト化し易いという本願技術の作用効果の一つが特に格別で顕著なものになる。
【0047】
本実施形態の照明装置1において、ガイド溝46が光学ブロック70のレンズホルダ40に設けられている。この構成によれば、ガイド溝46を静止部である基台10に設ける場合に比べて、製造が容易となる利点がある。
【0048】
また、本実施形態の照明装置1において、ガイド溝46は、光軸方向と直交する平面に対して傾斜する傾斜している。これにより、回転部材50の周方向の回転動作を光源モジュール60の光軸方向の移動動作に容易かつ確実に変換することができる。
【0049】
また、本実施形態の照明装置1において、光学ブロック70がレンズ30を保持するレンズホルダ40を有し、ガイド溝46はレンズホルダ40に設けられている。この構成によれば、ガイド溝46をレンズ30や静止部である基台10に設ける場合に比べて、製造が容易となる利点がある。
【0050】
また、本実施形態の照明装置1において、光学ブロック70は外周部に径方向外側へ突出するガイド突起44を有し、回転部材50は光軸方向に延在する切欠部54を有し、光学ブロック70が回転部材50に対して光軸方向に移動するときガイド突起44が切欠部54に嵌り込んだ状態で切欠部54に沿って移動する。この構成によれば、回転部材50内で光学ブロック70を光軸方向に沿って安定して移動させることができる。
【0051】
さらに、本実施形態の照明装置1において、筐体は光源62が固定される基台10と、基台10の光出射側に配置される枠体20とを含み、枠体20の高さ方向に対する光軸方向の傾斜角度が変動可能であってもよい。この構成によれば、光軸方向の傾斜角度を変えることで、光出射方向を変更でき、照明装置1による照明方向を容易に変更できる。
【0052】
図10は、レンズホルダの変形例を示す
図7と同様の斜視図である。
図10に示すように、レンズホルダ40Aは、2つの円弧状壁部45aを有し、円弧状壁部45aにはガイド溝46がそれぞれ形成されているが、各ガイド溝46は光軸方向と直交する平面に対して傾斜しておらず、周方向に沿って延在するように形成されている。これ以外の構成は、上述したレンズホルダ40と同様である。この場合、ガイド溝46に基板ホルダ65の係合部66が係合した状態で回転部材50を回転させても、レンズ30及びレンズホルダ40Aを含む光源モジュール60の光軸方向位置は変動せず、レンズ30の回転位置が変わるだけである。この場合には、レンズとしてプリズム性能を有するものを用いることで、レンズを回転させることで光出射方向又は照明方向を変更することが可能である。
【0053】
図11は、レンズホルダ40のガイド溝46に係合する係合部の変形例を示す図である。上記ではレンズホルダ40のガイド溝46に嵌り込む係合部66が光源モジュール60の基板ホルダ65に設けられた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図11に示すように基台10の有底円筒状部11に外側から貫通して係合部材66Aを取り付けてレンズホルダ40のガイド溝46に係合させても良いし、或いは、有底円筒状部11の内面から突出する係合部を基台10と一体に形成してレンズホルダ40のガイド溝46に係合させても良い。
【0054】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の改良や変更が可能である。
【0055】
例えば、上記では光学ブロック70をレンズホルダ40及びレンズ30で構成する場合について説明した。しかし、光学ブロックは、レンズのみで構成されてもよい。
【0056】
また、ガイド溝46が、円弧状壁部45を厚さ方向に貫通する場合について説明した。しかし、ガイド溝は、光学ブロックの壁部を厚さ方向に貫通しなくてもよく、一対の側壁部と底部とで形成される形状であってもよい。
【0057】
また、照明装置1が、枠体20の高さ方向に対する光軸方向の傾斜角度が変動可能な構成を有し、照明装置1が、所謂ユニバーサル型のダウンライトである場合について説明した。しかし、照明装置は、鉛直方向に対する光軸方向の傾斜角度を調整不可能な構成でもよく、ユニバーサル型の照明装置でなくてもよい。
【0058】
さらに、ダウンライトやスポットライトは多種多様な構造が存在するが、本開示の技術は、それらの多種多様のダウンライトやスポットライトのうちのいずれの構造が基本となっていてもよい。また、照明装置1が、埋め込み型ダウンライトである場合について説明したが、照明装置は、レールに吊り下げられる形式や、天井に吊り下げられる形式でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 照明装置、10 基台(筐体)、11 有底円筒状部、12 フィン、13a 円環状突出部、13b,33 フランジ部、15 バネ取付部材、15a 環状平板部、15b バネ取付部、17 光軸調整用部材、17a 環状平板部、17b 上側基台固定部、17c 下側基台固定部、17d 長孔、20 枠体、21,63 ネジ、23 取付バネ、24 台座部、30 レンズ、31 凹部、32,41 外周面、34 嵌合部、35 端面、36 切欠部、40,40A レンズホルダ、42 嵌合凸部、43 係止突起、44 ガイド突起(突出部)、45,45a 円弧状壁部、46 ガイド溝、50 回転部材、51 上端筒部、52 中間筒部、53 把持部、54 切欠部、55 段部、56 係止突起、60 光源モジュール、61 基板、62 光源、64a,64b 電極端子、65 基板ホルダ、66 係合部、66A 係合部材、70 光学ブロック、L 光軸。