(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
(21)【出願番号】P 2018196360
(22)【出願日】2018-10-18
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義生
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-050617(JP,A)
【文献】特開2016-007264(JP,A)
【文献】特開平04-061830(JP,A)
【文献】特開2017-202147(JP,A)
【文献】国際公開第2004/041036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜が収容される収容部を有する筐体と、
前記筐体の前記収容部を開閉可能な蓋体と、
前記筐体に対して前記蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部と
を備えた炊飯器であって、
前記ヒンジ部は、
軸体と、
前記軸体に回転可能に支持され、前記蓋体に固定される第1板部と、
前記軸体に回転可能に支持され、前記筐体に固定される第2板部と、
前記軸体に巻回されたねじりコイルバネであって、一端部が、前記第1板部のうち前記蓋体に対向する面と反対の面側に係止され、他端部が、前記第2板部のうち前記筐体に対向する面と反対の面側に係止された前記ねじりコイルバネと
を備え、
前記蓋体は、
前記軸体の両端部を、軸方向の両側から覆う蓋体覆部と、
前記蓋体覆部の内側で前記軸体の両端部を回転可能に支持する軸支持部と、
前記第1板部を固定する第1固定部と
を備え、
前記筐体は、
前記軸方向と直交して水平に延びる直交方向の一方側に設けられ、前記軸体を受ける受け部と、
前記第2板部を固定する第2固定部と
を備え、
前記受け部は、
前記直交方向の他方側に向けて凹む第1凹部を少なくとも有
し、
前記第1板部は、
前記蓋体から突出する向きに延び、先端に第1鉤状部を有する第1係止部と、
前記第1鉤状部と対向する位置に形成された第1貫通穴と
を備え、
前記第1固定部は、
前記第1貫通穴に挿通する第1突出部を有し、
前記第1係止部に係止された前記ねじりコイルバネの一端部は、前記第1鉤状部と前記第1突出部との間に挟持されることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
内釜が収容される収容部を有する筐体と、
前記筐体の前記収容部を開閉可能な蓋体と、
前記筐体に対して前記蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部と
を備えた炊飯器であって、
前記ヒンジ部は、
軸体と、
前記軸体に回転可能に支持され、前記蓋体に固定される第1板部と、
前記軸体に回転可能に支持され、前記筐体に固定される第2板部と、
前記軸体に巻回されたねじりコイルバネであって、一端部が、前記第1板部のうち前記蓋体に対向する面と反対の面側に係止され、他端部が、前記第2板部のうち前記筐体に対向する面と反対の面側に係止された前記ねじりコイルバネと
を備え、
前記蓋体は、
前記軸体の両端部を、軸方向の両側から覆う蓋体覆部と、
前記蓋体覆部の内側で前記軸体の両端部を回転可能に支持する軸支持部と、
前記第1板部を固定する第1固定部と
を備え、
前記筐体は、
前記軸方向と直交して水平に延びる直交方向の一方側に設けられ、前記軸体を受ける受け部と、
前記第2板部を固定する第2固定部と
を備え、
前記受け部は、
前記直交方向の他方側に向けて凹む第1凹部を少なくとも有
し、
前記第2板部は、
前記筐体から突出する向きに延び、先端に第2鉤状部を有する第2係止部と、
前記第2鉤状部と対向する位置に形成された第2貫通穴と
を備え、
前記第2固定部は、
前記第2貫通穴に挿通する第2突出部を有し、
前記第2係止部に係止された前記ねじりコイルバネの他端部は、前記第2鉤状部と前記第2突出部との間に挟持されることを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
第1歯を有する第1ギアを備えたロータリーダンパーが前記第1板部に設けられ、
前記筐体は、前記第1歯に噛合する第2歯を有する第2ギアを備え、
前記第1歯及び前記第2歯は、前記筐体に前記蓋体を取り付ける過程で互いに噛み合うことを特徴とする請求項1
又は2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記第2ギアが前記受け部に一体成型されたことを特徴とする請求項
3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記第2歯に沿って延びる円弧の中心が、前記軸体の中心を通ることを特徴とする請求項
3又は
4に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記受け部は、
前記第1凹部と、
前記第1凹部の底部に設けられ、下側に凹んだ第2凹部と
を備えたことを特徴とする請求項1から
5の何れかに記載の炊飯器。
【請求項7】
前記筐体に設けられ、前記軸体を半径方向から覆う筐体覆部を更に備えたことを特徴とする請求項1から
6の何れかに記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器において、筐体に蓋体を回転可能に支持するための構成が提案されている。例えば特許文献1に記載の炊飯器は、支軸を中心として外蓋が本体ケースに回転可能に支持されている。支軸は、軸受用側板を介して本体ケースに固定される。制動用回転体は、支軸に回転可能に支持され、外蓋に連結する。制動用回転体が支軸を中心として回転することにより、制動用回転体に連結する外蓋も支軸を中心として回転する。又、本体ケース及び外蓋には、支軸に巻回されたキックバネの両端部がそれぞれ接続される。キックバネは、外蓋が閉状態から開状態に向かう方向の付勢力を外蓋に付与する。外蓋が閉状態のときに操作ボタンが押し込まれ、ロック機構が解除された場合、外蓋はキックバネの付勢力に応じて回転し、閉状態から開状態に切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炊飯器において筐体に蓋体を取り付ける方法の一例として、筐体に蓋体を組み付けた状態で、筐体及び蓋体のそれぞれに設けられた貫通穴に支軸を通し、それぞれを回転可能に連結する方法がある。この方法の場合、支軸の軸線方向の両側が露出することを回避するため、支軸を覆うカバーにより蓋体の貫通穴を覆う必要がある。この場合、蓋体とカバーとの継ぎ目が形成されるので、炊飯器の美観の観点で好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、美観を維持しつつ、蓋体を筐体に容易に取り付けることが可能な炊飯器を提供することである。
【0006】
請求項1に係る炊飯器は、内釜が収容される収容部を有する筐体と、前記筐体の前記収容部を開閉可能な蓋体と、前記筐体に対して前記蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部とを備えた炊飯器であって、前記ヒンジ部は、軸体と、前記軸体に回転可能に支持され、前記蓋体に固定される第1板部と、前記軸体に回転可能に支持され、前記筐体に固定される第2板部と、前記軸体に巻回されたねじりコイルバネであって、一端部が、前記第1板部のうち前記蓋体に対向する面と反対の面側に係止され、他端部が、前記第2板部のうち前記筐体に対向する面と反対の面側に係止された前記ねじりコイルバネとを備え、前記蓋体は、前記軸体の両端部を、軸方向の両側から覆う蓋体覆部と、前記蓋体覆部の内側で前記軸体の両端部を回転可能に支持する軸支持部と、前記第1板部を固定する第1固定部とを備え、前記筐体は、前記軸方向と直交して水平に延びる直交方向の一方側に設けられ、前記軸体を受ける受け部と、前記第2板部を固定する第2固定部とを備え、前記受け部は、前記直交方向の他方側に向けて凹む第1凹部を少なくとも有し、前記第1板部は、前記蓋体から突出する向きに延び、先端に第1鉤状部を有する第1係止部と、前記第1鉤状部と対向する位置に形成された第1貫通穴とを備え、前記第1固定部は、前記第1貫通穴に挿通する第1突出部を有し、前記第1係止部に係止された前記ねじりコイルバネの一端部は、前記第1鉤状部と前記第1突出部との間に挟持されることを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項2に係る炊飯器は、内釜が収容される収容部を有する筐体と、前記筐体の前記収容部を開閉可能な蓋体と、前記筐体に対して前記蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部とを備えた炊飯器であって、前記ヒンジ部は、軸体と、前記軸体に回転可能に支持され、前記蓋体に固定される第1板部と、前記軸体に回転可能に支持され、前記筐体に固定される第2板部と、前記軸体に巻回されたねじりコイルバネであって、一端部が、前記第1板部のうち前記蓋体に対向する面と反対の面側に係止され、他端部が、前記第2板部のうち前記筐体に対向する面と反対の面側に係止された前記ねじりコイルバネとを備え、前記蓋体は、前記軸体の両端部を、軸方向の両側から覆う蓋体覆部と、前記蓋体覆部の内側で前記軸体の両端部を回転可能に支持する軸支持部と、前記第1板部を固定する第1固定部とを備え、前記筐体は、前記軸方向と直交して水平に延びる直交方向の一方側に設けられ、前記軸体を受ける受け部と、前記第2板部を固定する第2固定部とを備え、前記受け部は、前記直交方向の他方側に向けて凹む第1凹部を少なくとも有し、前記第2板部は、前記筐体から突出する向きに延び、先端に第2鉤状部を有する第2係止部と、前記第2鉤状部と対向する位置に形成された第2貫通穴とを備え、前記第2固定部は、前記第2貫通穴に挿通する第2突出部を有し、前記第2係止部に係止された前記ねじりコイルバネの他端部は、前記第2鉤状部と前記第2突出部との間に挟持されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る炊飯器は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、第1歯を有する第1ギアを備えたロータリーダンパーが前記第1板部に設けられ、前記筐体は、前記第1歯に噛合する第2歯を有する第2ギアを備え、前記第1歯及び前記第2歯は、前記筐体に前記蓋体を取り付ける過程で互いに噛み合うとよい。
【0010】
請求項4に係る炊飯器は、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記第2ギアが前記受け部に一体成型されるとよい。
【0011】
請求項5に係る炊飯器は、請求項3又は4に記載の発明の構成に加え、前記第2歯に沿って延びる円弧の中心が、前記軸体の中心を通るとよい。
【0012】
請求項6に係る炊飯器は、請求項1から5の何れかに記載の発明の構成に加え、前記受け部は、前記第1凹部と、前記第1凹部の底部に設けられ、下側に凹んだ第2凹部とを備えるとよい。
【0013】
請求項7に係る炊飯器は、請求項1から6の何れかに記載の発明の構成に加え、前記筐体に設けられ、前記軸体を半径方向から覆う筐体覆部を更に備えるとよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る炊飯器によれば、軸体を中心として蓋体を回転させることにより、筐体の収容部を蓋体により開閉できる。炊飯器は、蓋体にヒンジ部が固定された状態で、ヒンジ部の軸体を受け部の第1凹部に挿入することにより、筐体に蓋体を取り付けることができる。このため、軸体の両端部が蓋体覆部により予め覆われた状態とすることができるので、炊飯器は、美観を維持しつつ蓋体を筐体に取り付けることが可能となる。
【0015】
又、ねじりコイルバネの一端部が第1板部から脱離することを、第1鉤状部と第1突出部により一端部を挟持することで抑制できる。
【0016】
請求項2に係る炊飯器によれば、軸体を中心として蓋体を回転させることにより、筐体の収容部を蓋体により開閉できる。炊飯器は、蓋体にヒンジ部が固定された状態で、ヒンジ部の軸体を受け部の第1凹部に挿入することにより、筐体に蓋体を取り付けることができる。このため、軸体の両端部が蓋体覆部により予め覆われた状態とすることができるので、炊飯器は、美観を維持しつつ蓋体を筐体に取り付けることが可能となる。又、炊飯器は、第2板部の第2係止部に係止されたねじりコイルバネの他端部が、第2板部から脱離することを、第2鉤状部と第2突出部により他端部を挟持することで抑制できる。
【0017】
請求項3に係る炊飯器によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、ねじりコイルバネの付勢力により蓋体が開放する時の衝撃を、ロータリーダンパーにより軽減できる。
【0018】
請求項4に係る炊飯器によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、筐体に第2ギアが設けられた構成を容易に実現できる。又、第2ギアの強度を維持できる。
【0019】
請求項5に係る炊飯器によれば、請求項3又は4に記載の発明の効果に加え、炊飯器は、蓋体が開閉する場合の移動範囲の全域に亘って、第1ギアの第1歯を第2ギアの第2歯に噛合させることができる。従って、炊飯器は、蓋体が開放する時の衝撃を、蓋体の移動範囲の全域に亘って軽減できる。
【0020】
請求項6に係る炊飯器によれば、請求項1から5の何れかに記載の発明の効果に加え、蓋体は、軸体を、第1凹部に沿って直交方向の他方側に移動させ、次いで、第2凹部に沿って下側に移動させることにより、筐体に取り付けられる。この場合、受け部から蓋体が脱離する可能性を軽減できる。
【0021】
請求項7に係る発明の炊飯器によれば、請求項1から6の何れかに記載の発明の効果に加え、炊飯器は、蓋体覆部によって軸体を軸線方向から覆うと同時に、筐体覆部によって軸体を半径方向から覆うことができる。従って、炊飯器の美観を更に良好に維持できる。
【0022】
上述した請求項1から7の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば請求項1又は2の全部または一部を備えずに他の請求項3から7の少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしても良い。但し特に、請求項1及び2の構成を備えて、請求項3から7の少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また請求項1から7の任意の構成要素を抽出し、組み合わせても良い。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】蓋体50が閉塞位置にあるガス炊飯器1の斜視図である。
【
図2】蓋体50が開放位置にあるガス炊飯器1の斜視図である。
【
図7】上面部50S及びカバー22Cを取り外したガス炊飯器1の斜視図である。
【
図8】
図3のI-I線を矢印方向から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造、フローチャートなどは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0025】
<ガス炊飯器1の概要>
図1から
図4に示すように、ガス炊飯器1は、筐体20、蓋体50、及びヒンジ部70(
図5参照)を備える。筐体20は、内部に内釜2K(
図2参照)を収容する。蓋体50は、筐体20の上端部の開口を開閉可能である。内釜2Kは、蓋体50を開放することによりガス炊飯器1から取り出し可能となる。ヒンジ部70は、筐体20に対して蓋体50を開閉可能に支持する。
【0026】
<筐体20>
筐体20は略円筒状を有し、上下方向に延びる。筐体20の上端部及は開口し、下端部は閉口する。筐体20は、前突出部21、後突出部22、右湾曲部23R、左湾曲部23L(
図2、
図3参照)、底面24、及び、ヒンジ保持部2H(
図4参照)を有する。右湾曲部23Rは、右方に凸状に湾曲する円弧に沿って延びる。
図2、
図3に示すように、左湾曲部23Lは、左方に凸状に湾曲する円弧に沿って延びる。右湾曲部23R及び左湾曲部23Lを総称して、湾曲部23という。底面24は、前突出部21、後突出部22、及び湾曲部23のそれぞれの下端部に接続する。
【0027】
湾曲部23の上端部近傍に、ハンドル11が設けられる。ハンドル11は棒状を有し、略U字状に湾曲する。ハンドル11の両端部は、湾曲部23に回転可能に支持される。
図4に示すように、前突出部21、後突出部22、及び湾曲部23で囲まれた部分を、収容部20Kという。
図2に示すように、収容部20Kに内釜2Kが収納される。収容部20Kのうち内釜2Kよりも下方に、非図示のバーナが保持される。右湾曲部23Rの下端部に、ガスホースが接続されるガス接続口12が設けられる。
【0028】
前突出部21は、湾曲部23の前端部から前方に突出する。前突出部21のうち右湾曲部23Rの前端部から前方に延びる部分を、右壁21Rという。前突出部21のうち左湾曲部23Lの前端部から前方に延びる部分を、左壁21Lという。前突出部21のうち右壁21R及び左壁21Lのそれぞれの前端部の間に亘って延びる部分を、前壁21Fという。前壁21Fの下端部に、情報が表示される表示ユニット6が設けられる。前突出部21のうち右壁21R及び左壁21Lのそれぞれの上端部の間に亘って延びる部分を、上壁21S(
図2、
図4参照)という。
図2に示すように、上壁21Sの左右方向中央に、蓋体50を閉じた状態で維持するロック機構210が設けられる。
【0029】
後突出部22は、湾曲部23の後端部から後方に突出する。
図3、
図4に示すように、後突出部22のうち右湾曲部23Rの後端部から後方に延びる部分を、右壁22Rという。後突出部22のうち左湾曲部23Lの後端部から後方に延びる部分を、左壁22Lという。後突出部22のうち右壁22R及び左壁22Lのそれぞれの後端部の間に亘って延びる部分を、後壁22Bという。後突出部22のうち右壁22R及び左壁22Lのそれぞれの上端部の間に亘って延びる部分を、上壁22S(
図4参照)という。
【0030】
図4に示すように、後壁22Bの上端部に、前方に向けて凹んだ凹部220が設けられる。凹部220は、
図3に示すカバー22Cにより後方から覆われる。
図4に示すように、凹部220の底面22Dは、前後方向と直交する。カバー22Cは、筐体20に対して着脱可能である。
図3に示すように、カバー22Cには、後方に突出するハンドル台11Tが設けられる。ハンドル台11Tは、回転可能なハンドル11を下方から受ける。
【0031】
図4に示すように、ヒンジ保持部2Hは、後述するヒンジ部70(
図5、
図6参照)を筐体20側で保持するための部位である。ヒンジ保持部2Hは、第2固定部25、受け部26R、26L(総称して、受け部26という。)、及び筐体覆部27を有する。第2固定部25は、凹部220の底面22Dに設けられる。受け部26及び筐体覆部27は、上壁22Sに設けられる。
【0032】
第2固定部25は、筐体20の後端部に設けられ、後述するヒンジ部70の第2板部72(
図5、
図6参照)を固定する。第2固定部25は、第2突出部25R、25Lを有する。第2突出部25R、25Lは、それぞれ、屈曲した板状を有し、凹部220の底面22Dから後方に突出する。第2突出部25R、25Lは、左右方向に離隔して配列される。第2突出部25Rは、第2突出部25Lに対して右側に配置される。第2突出部25R、25Lの形状は、左右対称である。第2突出部25Lは、上下方向に並び且つ左右方向に延びる延設部251、252と、2つの延設部の右端部に間に亘って延びる1つの延設部253とを有する。第2突出部25Rのうち第2突出部25Lの延設部251、252、253に対応する各構成については、第2突出部25Lと同一の符号(延設部251、252、253)を付す。第2突出部25R、25Lを総称して、第2突出部25Aという。
【0033】
受け部26は、筐体20の後端部に設けられ、後述するヒンジ部70の軸体73を受ける。受け部26Rは、後突出部22の上壁22Sのうち、凹部220よりも右側に設けられる。受け部26Lは、後突出部22の上壁22Sのうち、凹部220よりも左側に設けられる。受け部26R、26Lの形状は、左右対称である。受け部26Lは、突出部261、延伸部262、及び、第2ギア266を有する。突出部261は上壁22Sから上方に突出する。延伸部262は、突出部261の後端部から後方に向けて延びる。延伸部262は板状を有し、左右方向と直交する。延伸部262には、第1凹部264及び第2凹部265が形成される。第1凹部264は、延伸部262の後端部に設けられ、前方に凹む。第2凹部265は、第1凹部264の底部に設けられ、下方に凹む。
【0034】
第2ギア266は、平歯車の一部であり、受け部26Lに一体成型される。第2ギア266は、延伸部262の左面のうち第1凹部264よりも上側の部位に設けられる。第2ギア266は第2歯26Aを有する。第2歯26Aは、上方に向けて凸状に湾曲する円弧に沿って配置される。第2歯26Aに沿って延びる円弧の中心を、中心C2という。中心C2は、第2凹部265内に配置される。
【0035】
受け部26Rのうち、受け部26Lの突出部261、延伸部262、第1凹部264、第2凹部265、第2ギア266に対応する各構成については、受け部26Lと同一の符号(突出部261、延伸部262、第1凹部264、第2凹部265、第2ギア266、第2歯26A)を付す。
【0036】
筐体覆部27は、筐体20の後端部に設けられ、後述するヒンジ部70の軸体73を覆う。筐体覆部27は、湾曲した板状を有し、受け部26R、26Lのそれぞれの突出部261の間に亘って設けられる。筐体覆部27は、前方に向けて凸状に湾曲する円弧に沿って配置される。筐体覆部27に沿って延びる円弧の中心は、第2歯26Aに沿って延びる円弧の中心C2と略一致する。
【0037】
<蓋体50>
図1、
図2に示すように、蓋体50は略円柱状を有する。蓋体50は、筐体20の収容部20Kを開閉可能である。蓋体50は、
図1に示す閉塞位置と、
図2に示す開放位置とに移動可能である。
図1に示すように、閉塞位置に配置された蓋体50は、筐体20の収容部20Kを閉塞する。
図2に示すように、開放位置に配置された蓋体50は、筐体20の収容部20Kを開放する。以下、蓋体50が閉塞位置(
図1参照)に配置された状態を前提とし、ガス炊飯器1の方向を蓋体50にも適用する。
【0038】
蓋体50は、基部50G(
図2参照)、右側面部50R、左側面部50L、上面部50S、及びヒンジ保持部5H(
図5参照)を有する。
図5に示すように、基部50Gは円形板状を有する。右側面部50R及び左側面部50Lは、それぞれ、前後方向に長い略長方形の板状を有する。右側面部50Rの前後両端部を除く部分は、基部50Gの右側面に沿って延びる。左側面部50Lの前後両端部を除く部分は、基部50Gの左側面に沿って延びる。右側面部50R及び左側面部50Lのそれぞれの前端部は、基部50Gから前方に突出する。右側面部50R及び左側面部50Lのそれぞれの後端部は、基部50Gから後方に突出する。
図1に示すように、上面部50Sは、右側面部50R及び左側面部50Lのそれぞれの上端部、前端部、及び、後端部の間に架け渡される。上面部50Sは、上方、前方、及び後方から基部50Gを覆う。
【0039】
図1、
図2に示すように、右側面部50R、左側面部50L、及び上面部50Sのそれぞれの前端部は、基部50Gに対して前方に突出した前突出部51を形成する。前突出部51の前端部に、蓋体50を閉塞位置で維持するためのロック機構510が設けられる。ロック機構510は、筐体20のロック機構210(
図2参照)に係合した状態で、蓋体50が閉塞位置から開放位置に向けて移動することを抑制する。右側面部50R、左側面部50L、及び上面部50Sのそれぞれの後端部は、基部50Gに対して後方に突出した後突出部52を形成する。
【0040】
後突出部52の内部、及び、基部50Gの後端部に、ヒンジ保持部5H(
図5参照)が配置される。ヒンジ保持部5Hは、後述するヒンジ部70(
図5参照)を蓋体50側で保持するための部位である。
図5に示すように、ヒンジ保持部5Hは、第1固定部55、蓋体覆部56R、56L(総称して、蓋体覆部56という。)、軸支持部57R、57L(総称して、軸支持部57という。)を有する。第1固定部55は、基部50Gの上面の一部に設けられる。蓋体覆部56は、右側面部50R及び左側面部50Lに設けられる。軸支持部57は、蓋体覆部56に設けられる。
【0041】
第1固定部55は、基部50Gの上面のうち後端部近傍に設けられ、後述するヒンジ部70の第1板部71を固定する。第1固定部55は、第1突出部55R、55Lを有する。第1突出部55R、55Lは、それぞれ、屈曲した板状を有し、基部50Gの上面から上方に突出する。第1突出部55R、55Lは、左右方向に離隔して配列される。第1突出部55Rは、第1突出部55Lに対して右側に配置される。第1突出部55R、55Lの形状は、左右対称である。第1突出部55Lは、前後方向に並び且つ左右方向に延びる延設部551、552と、2つの延設部の左端部に間に亘って延びる1つの延設部553とを有する。第1突出部55Rのうち第1突出部55Lの延設部551、552、553に対応する各構成については、第1突出部55Lと同一の符号(延設部551、552、553)を付す。第1突出部55R,55Lを総称して、第1突出部55Aという。
【0042】
蓋体覆部56は、後突出部52を形成する右側面部50R及び左側面部50Lのそれぞれの後端部に対応し、後述するヒンジ部70の軸体73を左右両側から覆う。右側面部50Rの後端部は、蓋体覆部56Rに対応する。左側面部50Lの後端部は、蓋体覆部56Lに対応する。蓋体覆部56R、56Lは、左右方向と略直交し、基部50Gに対して後方に突出する。
【0043】
軸支持部57は、蓋体覆部56の内側に設けられ、後述するヒンジ部70の軸体73を支持する。軸支持部57Rは、蓋体覆部56Rの左面に設けられ、右方に凹んだ凹部を有する。軸支持部57Lは、蓋体覆部56Lの右面に設けられ、左方に凹んだ凹部を有する。
【0044】
<ヒンジ部70>
図5に示すように、ヒンジ部70は、筐体20(
図1、
図2参照)に対して蓋体50を開閉可能に支持する。
図6に示すように、ヒンジ部70は、第1板部71、第2板部72、軸体73、及びねじりコイルバネ74R、74L(総称して、ねじりコイルバネ74という。)を有する。軸体73は円柱状を有し、左右方向に延びる。第1板部71及び第2板部72は、軸体73に回転可能に支持される。ねじりコイルバネ74は、軸体73に巻回される。
【0045】
第1板部71は、屈曲した板状を有し、蓋体50の第1固定部55に固定される。第1板部71は、それぞれが板状の第1部711R、711L、第2部712R、712L、及び架設部710を有する。第1部711R、711Lは、上下方向と直交する。第1部711R、711Lは、左右方向に離隔して配列する。第1部711Rは、第1部711Lに対して右側に配置される。第1部711R、711Lの形状は、左右対称である。第1部711R、711L間に、架設部710が架設される。架設部710は左右方向に延びる。
【0046】
第1部711Rのうち架設部710との連結部分の右側に、第1貫通穴762Rが形成される。第1貫通穴762Rの形状は正方形である。第1係止部761Rは、屈曲した板からなる鉤状を有する。第1係止部761Rは、第1貫通穴762Rの4辺のうち右端部の辺から上方に延び、左方に屈曲して更に延びる。以下、第1係止部761Rのうち、屈曲部よりも先端側の部分を、第1先端鉤状部76Aという。第1先端鉤状部76Aは、第1貫通穴762Rと上下方向に対向する。第1係止部761Rのうち、屈曲部よりも基端側の部分を、第1基端鉤状部76Bという。
【0047】
第1部711Lの第1係止部761L、第1貫通穴762Lは、それぞれ、第1部711Rの第1係止部761R、第1貫通穴762Rに対応する。第1係止部761R、761Lを総称して、第1係止部761という。第1貫通穴762R、762Lを総称して、第1貫通穴762という。第1係止部761Lのうち、第1係止部761Rの第1先端鉤状部76A及び第1基端鉤状部76Bに対応する各構成については、第1係止部761Rと同一の符号(第1先端鉤状部76A、第1基端鉤状部76B)を付す。
【0048】
第2部712Rは、第1部711Rの後端部から下方に延びる。第2部712Lは、第1部711Lの後端部から下方に延びる。第2部712R、712Lは、左右方向と直交する。第2部712R、712Lのそれぞれの後端部に設けられた貫通穴に、軸体73が挿通する。第2部712R、712Lは、軸体73に対して回転可能である。このため、第1板部71は軸体73に対して回転可能に支持される。軸体73の右端部は、第2部712Rよりも右方に突出する。軸体73の左端部は、第2部712Lよりも左方に突出する。
【0049】
第2部712Rの左面にロータリーダンパー78Rが設けられる。ロータリーダンパー78Rは第1ギア781を有する。第1ギア781は平歯車であり、左右方向に延びる軸を中心として回転可能である。第1ギア781の回転軸には、非図示のブレーキが設けられる。第1ギア781の回転は、ブレーキにより抑制される。第1ギア781は第1歯78Aを有する。第2部712Lの右面に、ロータリーダンパー78Lが設けられる。ロータリーダンパー78Lは、ロータリーダンパー78Rと同一構成を有する。ロータリーダンパー78Lのうち、ロータリーダンパー78Rの第1ギア781及び第1歯78Aに対応する各構成については、ロータリーダンパー78Rと同一の符号(第1ギア781、第1歯78A)を付す。ロータリーダンパー78R、78Lを総称して、ロータリーダンパー78という。
【0050】
第2板部72は、筐体20の第2固定部25(
図4参照)に固定される。第2板部72は板状を有し、前後方向と直交する。第2板部72は、左右方向中心を上下方向に延びる対称軸を中心として左右対称の形状を有する。第2板部72の左上端部及び右上端部のそれぞれに設けられた貫通穴に、軸体73が挿通する。第2板部72は、軸体73に対して回転に支持される。
【0051】
第2板部72のうち左右方向中央よりも右側に、第2係止部771R及び第2貫通穴772Rが形成される。第2貫通穴772Rの形状は正方形である。第2係止部771Rは、屈曲した板からなる鉤状を有する。第2係止部771Rは、第2貫通穴772Rの4辺のうち左端部の辺から上方に延び、右方に鉤状に屈曲して更に延びる。以下、第2係止部771Rのうち、屈曲部よりも先端側の部分を、第2先端鉤状部77Aという。第2先端鉤状部77Aは、第2貫通穴772Rと前後方向に対向する。第2係止部771Rのうち、屈曲部よりも基端側の部分を、第2基端鉤状部77Bという。
【0052】
第2板部72のうち左右方向中央よりも左側に、第2係止部771L及び第2貫通穴772Lが形成される。第2係止部771L及び第2貫通穴772Lは、それぞれ、第2係止部771R及び第2貫通穴772Rに対応する。第2係止部771R、771Lを総称して、第2係止部771という。第2貫通穴772R、772Lを総称して、第2貫通穴772という。第2係止部771Lのうち、第2係止部771Rの第2先端鉤状部77A及び第2基端鉤状部77Bに対応する各構成については、第2係止部771Rと同一の符号(第2先端鉤状部77A、第2基端鉤状部77B)を付す。
【0053】
ねじりコイルバネ74Rは、軸体73のうち第2板部72の左右方向中央よりも右側、且つ、第2板部72の右上端部よりも左側の部分に巻回される。ねじりコイルバネ74Lは、軸体73のうち第2板部72の左右方向中央よりも左側、且つ、第2板部72の左上端部よりも右側の部分に巻回される。ねじりコイルバネ74Rの一端部741Rは、第1係止部761Rの第1先端鉤状部76Aに対して下側に配置される。ねじりコイルバネ74Lの一端部741Lは、第1係止部761Lの第1先端鉤状部76Aに対して下側に配置される。これにより、ねじりコイルバネ74R、74Lのそれぞれの一端部741R、741Lは、第1係止部761R、761Lによって第1板部71に係止される。一端部741R、741Lを総称して、一端部741という。
【0054】
ねじりコイルバネ74Rの他端部742Rは、第2係止部771Rの第2先端鉤状部77Aに対して前側に配置される。ねじりコイルバネ74Lの他端部742Lは、第2係止部771Lの第2先端鉤状部77Aに対して前側に配置される。これにより、ねじりコイルバネ74Rのそれぞれの他端部742R、742Lは、第2係止部771R、771Lによって第2板部72に係止される。他端部742R、742Lを総称して、他端部742という。
【0055】
ねじりコイルバネ74の一端部741及び他端部742は、外力が作用していない状態で略同一平面上に沿って配置される。このため、一端部741が係止される第1板部71、及び、他端部742が係止される第2板部72についても、外力が作用していない状態で略同一平面上に配置される。一方、
図5及び
図6に示すように、例えば第1板部71及び第2板部72が軸体73を中心として回動する向きに力が作用した場合、ねじりコイルバネ74は、第1板部71及び第2板部72を元の位置に向けて付勢する。ねじりコイルバネ74は、筐体20に対して蓋体50が閉塞位置から開放位置に向かう方向の付勢力を、蓋体50に作用させる。
【0056】
<組み付け>
筐体20、蓋体50、及びヒンジ部70が組み付けられる場合の手順について説明する。はじめに、上面部50Sが取り外された状態の蓋体50に対して、ヒンジ部70が取り付けられる。
図5に示すように、蓋体50にヒンジ部70が取り付けられた状態で、ヒンジ部70の第1板部71は、蓋体50の基部50Gの後端部近傍に沿って配置される。第1板部71の第1係止部761は、蓋体50の基部50Gの上面から突出する向きに延びる。ねじりコイルバネ74の一端部741は、第1板部71のうち蓋体50の基部50Gに対向する下面と反対の面である上面側において、第1係止部761により係止される。
【0057】
蓋体50の第1突出部55Aは、ヒンジ部70の第1板部71の第1貫通穴762(
図6参照)に下側から挿通し、上側に突出する。ねじりコイルバネ74の一端部741は、左右方向において、第1係止部761の第1基端鉤状部76B(
図6参照)と、第1突出部55Aの延設部553との間に挟持される。ねじりコイルバネ74の一端部741の第1係止部761からの脱離は、第1突出部55Aにより抑制される。これにより第1板部71は、第1固定部55(第1突出部55A)によって蓋体50に固定される。
【0058】
蓋体50の蓋体覆部56は、ヒンジ部70の軸体73のうち第1板部71の第2部712R、712L(
図6参照)よりも外側に突出する部分、即ち、軸体73の左右両端部に対して外側に配置される。蓋体覆部56は、軸体73の左右両端部を、左右両側から覆う。蓋体50の蓋体覆部56の内側に設けられた軸支持部57に、ヒンジ部70の軸体73の左右両端部が嵌る。軸支持部57は、蓋体覆部56の内側で軸体73を回転可能に支持する。
【0059】
次に、蓋体50に取り付けられたヒンジ部70が、筐体20に次の手順で取り付けられる。カバー22Cが取り外された状態の筐体20に対し、蓋体50に取り付けられた状態のヒンジ部70が後方から水平に近づけられる。ヒンジ部70の軸体73の左右両端部は、筐体20の受け部26の第1凹部264(
図4参照)に進入し、第1凹部264に沿って前方に移動する。このとき、筐体20の第2突出部25Aは、ヒンジ部70の第2板部72の第2貫通穴772に対して挿通しない。理由は、該移動時、第2突出部25Aは第2貫通穴772に対して僅かに下方にずれた位置に配置されるためである。
【0060】
軸体73の左右両端部が第1凹部264の底部に到達した後、ヒンジ部70は下方に移動される。ヒンジ部70の軸体73は、第2凹部265(
図4参照)に沿って下方に移動する。軸体73の左右両端部が第2凹部265の底部に到達した状態で、受け部26は軸体73を下方から受ける。このとき、筐体20の第2突出部25Aと、ヒンジ部70の第2板部72の第2貫通穴772との上下方向の位置が一致する。このため、第2突出部25Aは第2貫通穴772に対して前側から挿通し、後側に突出する。このため作業者は、ヒンジ部70の軸体73が第2凹部265に沿って下方に移動する過程で、第2突出部25Aが第2貫通穴772に挿通することを確認することによって、筐体20に対してヒンジ部70が誤った状態で装着される可能性を軽減できる。
【0061】
図8に示すように、受け部26(
図4参照)によって受けられた状態の軸体73の中心C1の位置と、受け部26に設けられた第2ギア266の第2歯26A(
図4参照)に沿って延びる円弧の中心C2の位置とは一致する。筐体20の筐体覆部27は、受け部26によって受けられた状態の軸体73の前方を覆う。軸体73のうち筐体覆部27によって覆われる方向は、軸体73の半径方向のうち前側略半分の部分に対応する。
【0062】
図7に示すように、ヒンジ部70のロータリーダンパー78の第1ギア781は、上記のように筐体20に対してヒンジ部70が移動する過程で、筐体20の受け部26に設けられた第2ギア266に後方から近接する。より詳細には、ヒンジ部70の軸体73が、筐体20の受け部26の第1凹部264に沿って前方に移動する過程では、第1ギア781の第1歯78A(
図6参照)と、第2ギア266の第2歯26A(
図4参照)とは僅かに離隔する。一方、ヒンジ部70の軸体73が第2凹部265に沿って下方に移動する過程で、第1ギア781の第1歯78A(
図6参照)は、第2ギア266の第2歯26A(
図4参照)に噛合する。なお、第1歯78Aと第2歯26Aとのそれぞれが誤った位置関係にある状態で、ヒンジ部70の軸体73が第2凹部265に沿って下方に移動した場合、第1歯78Aは第2歯26Aに噛合しない。このため作業者は、ヒンジ部70の軸体73が第2凹部265に沿って下方に移動する過程で、第1歯78Aが第2歯26Aに噛合することを確認することによって、筐体20に対してヒンジ部70が誤った状態で装着される可能性を軽減できる。
【0063】
筐体20にヒンジ部70が取り付けられた状態で、ヒンジ部70の第2板部72は、筐体20の凹部220の底面22D(
図4参照)に沿って配置される。第2板部72の第2係止部771は、筐体20の底面22Dから突出する向きに延びる。ねじりコイルバネ74の他端部742は、第2板部72のうち筐体20の底面22Dに対向する前面と反対の面である後面側において、第2係止部771により係止される。
【0064】
筐体20の第2突出部25Aは、ヒンジ部70の第2板部72の第2貫通穴772に前側から挿通し、後側に突出する。ねじりコイルバネ74の他端部742は、左右方向において、第2係止部771の第2基端鉤状部77Bと、第2突出部25Aの延設部253との間に挟持される。ねじりコイルバネ74の他端部742の第2係止部771からの脱離は、第2突出部25Aにより抑制される。これにより第2板部72は、第2固定部25(第2突出部25A)によって筐体20に固定される。
【0065】
次に、蓋体50に対して上面部50S(
図3参照)が取り付けられ、筐体20に対してカバー22C(
図3参照)が取り付けられる。ヒンジ部70は、上面部50S及びカバー22Cにより覆われる。以上により、筐体20、蓋体50、及びヒンジ部70の組み付けは完了する。
【0066】
<本実施形態の作用、効果>
ガス炊飯器1は、軸体73を中心として蓋体50を回転させることにより、筐体20の収容部20Kを蓋体50により開閉できる。ガス炊飯器1は、蓋体50にヒンジ部70が固定された状態で、ヒンジ部70の軸体73を受け部26の第1凹部264に挿入することにより、筐体20に蓋体50を取り付けることができる。このため、軸体73の両端部が蓋体覆部56により予め覆われた状態で筐体20に蓋体50を取り付けることができるので、軸体73の両端部を覆う部材を後付けする必要がない。従って、ガス炊飯器1は、蓋体覆部56を蓋体50の右側面部50R、左側面部50Lと一体に形成させることができるので、美観を維持しつつ蓋体50を筐体20に取り付けることができる。
【0067】
ねじりコイルバネ74は、蓋体50を、閉塞位置から開放位置に向けて付勢する。ユーザは、蓋体50が閉塞位置に配置された状態でロック機構510を操作することにより、ねじりコイルバネ74の付勢力を利用して蓋体50を開放位置に切り替えることができる。ねじりコイルバネ74の一端部741は、ヒンジ部70の第1板部71のうち蓋体50の基部50Gに対向する面と反対の面側に係止される。ねじりコイルバネ74の他端部742は、ヒンジ部70の第2板部72のうち筐体20の底面22Dに対向する面と反対の面側に係止される。この場合、ガス炊飯器1の組み付け工程において、蓋体50に対向する第1板部71、及び、筐体20に対向する第2板部72のそれぞれにねじりコイルバネ74を容易に係止できる。
【0068】
ガス炊飯器1は、第1板部71の第1係止部761に係止されたねじりコイルバネ74の一端部741が、第1板部71から脱離することを、第1基端鉤状部76Bと第1突出部55Aにより一端部741を左右両側から挟持することで抑制できる。ガス炊飯器1は、第2板部72の第2係止部771に係止されたねじりコイルバネ74の他端部742が、第2板部72から脱離することを、第2基端鉤状部77Bと第2突出部25Aにより他端部742を左右両側から挟持することで抑制できる。
【0069】
第1板部71には、第1歯78Aを有する第1ギア781を備えたロータリーダンパー78が設けられる。筐体20は、第1歯78Aに噛合する第2歯26Aを有する第2ギア266を備える。この場合、ねじりコイルバネ74の付勢力により蓋体50が開放する時の衝撃を、ロータリーダンパー78により軽減できる。又、第1歯78A及び第2歯26Aは、筐体20に蓋体50を取り付ける過程で互いに噛み合う。このため、ガス炊飯器1は、筐体20に対する蓋体50の取り付け作業を容易化できる。更に、第2ギア266は、筐体20の受け部26に一体成型される。この場合、筐体20に第2ギア266が設けられた構成を容易に実現できる。又、第2ギア266の強度を維持できる。
【0070】
受け部26の第2歯26Aに沿って延びる円弧の中心C2の位置は、軸体73の中心C1の位置と一致する。この場合、ガス炊飯器1は、蓋体50が開閉する場合の移動範囲の全域に亘って、第1ギア781の第1歯78Aを第2ギア266の第2歯26Aに噛合させることができる。従って、ガス炊飯器1は、蓋体50が開放する時の衝撃を、蓋体50の移動範囲の全域に亘って、ロータリーダンパー78により軽減できる。
【0071】
蓋体50は、軸体73を第1凹部264に沿って前方に移動させ、次いで、第2凹部265に沿って下側に移動させることにより、筐体20に取り付けられる。この場合、受け部26から蓋体が脱離する可能性を軽減できる。ガス炊飯器1は、蓋体覆部56によって軸体73を左右両側から覆うと同時に、筐体覆部27によって軸体73を半径方向から覆うことができる。従って、ガス炊飯器1の美観を更に良好に維持できる。
【0072】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。本発明は、ガス炊飯器1以外の他の炊飯器(例えば、電気炊飯器)にも適用可能である。蓋体50のうちヒンジ部70の第1板部71を固定する第1固定部55は、第1突出部55Aと異なる構成を有していてもよい。例えば第1固定部55は、第1板部71に係合する鉤状の部位を有していてもよい。筐体20のうちヒンジ部70の第2板部72を固定する第2固定部25は、第2突出部25Aと異なる構成を有していてもよい。例えば第2固定部25は、第2板部72に係合する鉤状の部位を有していてもよい。
【0073】
第1突出部55Aは、第1係止部761の第1先端鉤状部76Aの下側に配置されてもよい。ねじりコイルバネ74の一端部741は、第1先端鉤状部76Aと第1突出部55Aによって上下方向の両側から挟持されてもよい。第2突出部25Aは、第2係止部771の第2先端鉤状部77Aの前側に配置されてもよい。ねじりコイルバネ74の他端部742は、第2先端鉤状部77Aと第2突出部25Aによって前後方向の両側から挟持されてもよい。ロータリーダンパー78は、蓋体50に設けられていてもよい。第2歯26Aは、第2板部72に設けられていてもよい。第2ギア266は、筐体20の受け部26に一体成型されていなくてもよい。例えば第2ギア266は、受け部26に対して着脱可能でもよい。受け部26の第2歯26Aに沿って延びる円弧の中心C2と、軸体73の中心C1とは一致しなくてもよい。受け部26は、第1凹部264のみ有してもよく、第2凹部265は有さなくてもよい。第1凹部264は、前斜め下方に湾曲しながら延びてもよい。第1凹部264に、軸体73の脱離を防止する突起が設けられていてもよい。筐体覆部27は、筐体20の代わりに蓋体50に設けられていてもよい。
【0074】
<その他>
左右方向は、本発明の「軸方向」の一例である。前後方向は、本発明の「直交方向」の一例である。後側は、本発明の「直交方向の一方側」の一例である。前側は、本発明の「直交方向の他方側」の一例である。
【符号の説明】
【0075】
1 :ガス炊飯器
2K :内釜
10 :筐体
20 :筐体
20K :収容部
25 :第2固定部
25A、25L、25R :第2突出部
26、26L、26R :受け部
26A :第2歯
27 :筐体覆部
50 :蓋体
55 :第1固定部
55A、55L、55R :第1突出部
56、56L、56R :蓋体覆部
57、57L、57R :軸支持部
70 :ヒンジ部
71 :第1板部
72 :第2板部
73 :軸体
74、74L、74R :ねじりコイルバネ
76A :第1先端鉤状部
76B :第1基端鉤状部
77A :第2先端鉤状部
77B :第2基端鉤状部
78、78L、78R :ロータリーダンパー
78A :第1歯
264 :第1凹部
265 :第2凹部
266 :第2ギア
741、741L、741R :一端部
742、742L、742R :他端部
761、761L、761R :第1係止部
762、762L、762R :第1貫通穴
771、771L、771R :第2係止部
772、772L、772R :第2貫通穴
781 :第1ギア
C1、C2 :中心