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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20230127BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F23N5/24 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019084907
(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020180755
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】光藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 晃裕
(72)【発明者】
【氏名】横山 武司
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078079(JP,A)
【文献】特開2018-128161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に設けられたコンロバーナと、前記天板において前記コンロバーナよりも前側に設けられ、前記コンロバーナを操作する為の操作部と、前記天板において前記コンロバーナよりも前側に設けられ、赤外線を上方に向けて発光する発光部、及び前記発光部が発光して異物に反射した反射光を受光する受光部を備える複数のセンサと、前記複数のセンサの夫々の前記受光部が受光した前記反射光に基づき、前記複数のセンサのうち少なくとも何れかが前記天板から所定高さ範囲内において前記異物を検出したか判断する異物判断手段とを備え、前記異物判断手段が前記複数のセンサのうち少なくとも何れかが前記所定高さ範囲内において前記異物を検出したと判断した場合、前記コンロバーナの火力を絞る制御を実行可能なコンロであって、前記複数のセンサは、前記操作部よりも前側に配列して設けられたことを特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記異物判断手段が前記複数のセンサのうち少なくとも何れかが前記異物を検出したと判断してから所定時間経過するまでの間に、前記操作部による前記コンロバーナの火力操作が行われたか判断する火力操作判断手段と、
前記火力操作判断手段が前記操作部による前記コンロバーナの前記火力操作が行われたと判断した場合、前記コンロバーナの火力を絞る制御を実行せずに、前記操作部による前記火力操作に基づき、前記コンロバーナの火力制御を実行する火力制御実行手段と
を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記コンロバーナは、
前記天板の右側に設けられた右コンロバーナと、
前記天板の左側に設けられた左コンロバーナと
を備え、
前記操作部は、
前記右コンロバーナの前側に設けられ、前記右コンロバーナの操作を行う為の右操作部と、
前記左コンロバーナの前側に設けられ、前記左コンロバーナの操作を行う為の左操作部と
を備え、
前記複数のセンサは、
前記右操作部の前側に設けられた右側センサと、
前記左操作部の前側に設けられた左側センサと、
前記右側センサ及び前記左側センサ以外の他のセンサと
を備え、
前記火力操作判断手段は、前記異物判断手段が前記右側センサ又は前記左側センサが前記異物を検出したと判断してから前記所定時間経過するまでの間に、前記操作部による前記コンロバーナの前記火力操作が行われたか判断すること
を特徴とする請求項2に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天板の前側に異物の進入を検出可能な複数の光センサを備え、当該複数の光センサのうちいずれかが異物の進入を検出した場合、コンロバーナの火力を絞ることができるガスコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。光センサは測距センサであって、送信部から送信した検出波が異物で反射した反射波を受信部で受信し、三角測距方式を応用して異物までの距離を測定する。異物までの測定距離が作動距離以下を示す光センサがある場合、ガスコンロは、コンロバーナの火力を絞ることによって、使用者の着衣着火等を防止できる。
【0003】
一方、ガラス天板の上面に加熱手段の作動を指示するための操作部を備えたコンロが知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献1に記載のガスコンロの天板の上面前側に、特許文献2に記載の操作部を付加することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-128161号公報
【文献】特開2005-308341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
天板の上面前側において、光センサよりも前側に操作部を設けた場合、光センサの位置がコンロバーナにより近づくので、コンロバーナに向けて進入する異物をいち早く検出できない可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、天板の上面の前側に操作部を備えていても、コンロバーナに向けて進入する異物をいち早く検出できるコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のコンロは、天板に設けられたコンロバーナと、前記天板において前記コンロバーナよりも前側に設けられ、前記コンロバーナを操作する為の操作部と、前記天板において前記コンロバーナよりも前側に設けられ、赤外線を上方に向けて発光する発光部、及び前記発光部が発光して異物に反射した反射光を受光する受光部を備える複数のセンサと、前記複数のセンサの夫々の前記受光部が受光した前記反射光に基づき、前記複数のセンサのうち少なくとも何れかが前記天板から所定高さ範囲内において前記異物を検出したか判断する異物判断手段とを備え、前記異物判断手段が前記複数のセンサのうち少なくとも何れかが前記所定高さ範囲内において前記異物を検出したと判断した場合、前記コンロバーナの火力を絞る制御を実行可能なコンロであって、前記複数のセンサは、前記操作部よりも前側に配列して設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2のコンロは、前記異物判断手段が前記複数のセンサのうち少なくとも何れかが前記異物を検出したと判断してから所定時間経過するまでの間に、前記操作部による前記コンロバーナの火力操作が行われたか判断する火力操作判断手段と、前記火力操作判断手段が前記操作部による前記コンロバーナの前記火力操作が行われたと判断した場合、前記コンロバーナの火力を絞る制御を実行せずに、前記操作部による前記火力操作に基づき、前記コンロバーナの火力制御を実行する火力制御実行手段とを備えるとよい。
【0009】
請求項3のコンロの前記コンロバーナは、前記天板の右側に設けられた右コンロバーナと、前記天板の左側に設けられた左コンロバーナとを備え、前記操作部は、前記右コンロバーナの前側に設けられ、前記右コンロバーナの操作を行う為の右操作部と、前記左コンロバーナの前側に設けられ、前記左コンロバーナの操作を行う為の左操作部とを備え、前記複数のセンサは、前記右操作部の前側に設けられた右側センサと、前記左操作部の前側に設けられた左側センサと、前記右側センサ及び前記左側センサ以外の他のセンサとを備え、前記火力操作判断手段は、前記異物判断手段が前記右側センサ又は前記左側センサが前記異物を検出したと判断してから前記所定時間経過するまでの間に、前記操作部による前記コンロバーナの前記火力操作が行われたか判断する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のコンロによれば、複数のセンサを操作部よりも前側に配列して設けたので、いち早く天板上に異物が進入したことを検出できる。よって、コンロは、異物を検出した場合、コンロバーナの火力を速やかに絞ることができる。
【0011】
請求項2のコンロによれば、複数のセンサのうち少なくとも何れかが異物を検出した場合であっても、異物検出から所定時間経過するまでの間に、操作部による火力調整が行われた場合、火力を絞る制御を実行せずに、操作部による火力操作に基づき火力制御を実行する。これにより、火力調整中に、火力が絞られるのを防止できるので、例えば火の大きさを目視で確認しながら火力調整が可能となる。よって、使い勝手を向上できる。
【0012】
請求項3のコンロによれば、他のセンサによって異物を検出された場合、操作部の操作の有無に関わらず、火力を絞る制御を実行するので、安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】コンロ1の平面図である。
図3】センサ30の平面図である。
図4】ガス供給機構50の構造を示す断面図である。
図5】コンロ1の電気的構成を示すブロック図である。
図6】バーナ制御処理のフローチャートである。
図7】バーナ制御処理(変形例)のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0015】
図1図2を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は筐体2と天板3を備える。天板3はガラス製である。天板3の左側には左バーナ4、右側には右バーナ5が設けられる。左バーナ4と右バーナ5はコンロバーナの一例である。天板3の後端側には、グリル用の排気口7が設けられる。天板3の全体には、非透過性の印刷が施される。
【0016】
天板3上において、左バーナ4の前側には、左バーナ4を操作する為の左操作部11が設けられる。右バーナ5の前側には、右バーナ5を操作する為の右操作部12が設けられる。左バーナ4と右バーナ5に挟まれる中央部の前側には、グリルを操作する為のグリル操作部13が設けられる。左操作部11には、静電容量方式の種々のスイッチ、表示部等が配置され、例えば、点火/消火スイッチ21、火力減スイッチ22、火力増スイッチ23が配置される。点火/消火スイッチ21は、左バーナ4の点火と消火を受け付ける。火力減スイッチ22は、指先でタッチされる度に、左バーナ4の火力を段階的に小さくする。火力増スイッチ23、指先でタッチされる度に、左バーナ4の火力を段階的に大きくする。火力減スイッチ22と火力増スイッチ23は指先のタッチを感知し、該感知信号を後述する制御回路70(図5参照)に入力する。制御回路70は感知信号に応じ、後述するガス供給機構50(図4参照)においてガス量を増減し、対応する左バーナ4へのガス供給量を調節する。なお、右操作部12にも同様のスイッチ、表示部等が配置される。
【0017】
さらに、左操作部11の前側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部15が設けられ、右操作部12の前側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部16が設けられ、グリル操作部13の前側には、平面視略矩形状のセンサ用窓部17が設けられる。センサ用窓部15~17は透過性を有する領域であり、上方から見た場合に天板3下方を透過する(図2参照)。センサ用窓部15の下方には、左から右に4つのセンサ31~34が夫々配置される。センサ用窓部16の下方には、左から右に4つのセンサ35~38が夫々配置される。センサ用窓部17の下方には、1つのセンサ39が配置される。これら9つのセンサ31~39(以下総称する場合は「センサ30」と呼ぶ)は、上方に位置する異物までの距離を測定可能な一般的な測距センサであり、例えば赤外線センサである。
【0018】
筐体2の前面の右上角部近傍には、電源スイッチ19が設けられる。筐体2の前面の中央部には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は手前側に移動可能に支持され、筐体2内部に設けられるグリル庫(図示略)の前側の開口部を開閉する。グリル庫内には、グリルバーナ(図示略)が設けられる。
【0019】
図3を参照し、センサ30の構造と機能を説明する。センサ30は、センサ筐体300を備える。センサ筐体300は上部が開口する有底筒状であり、天板3の下面に支持される。センサ筐体300は内側に発光部41と受光部42を収容する。発光部41と受光部42の間には、仕切壁302が設けられる。発光部41は上方に向けて赤外光を発光する。受光部42は、発光部41が発光した赤外光が異物に反射した反射光を受光する。センサ30は、受光部42が受光した反射光の強度に基づき、三角測距方式を応用して異物までの距離を測定する。
【0020】
センサ30は、対応するセンサ用窓部15~17の上方に異物(例えば、使用者の身体の一部等)が進入した場合、その異物で反射した反射光を、センサ用窓部15~17を介して受光部42で受信し、異物までの距離を測定する。センサ30は、測定した異物までの距離を距離信号として、後述するセンサ入力回路85(図5参照)に向けて出力する。制御回路70のCPU71は受信した距離信号に基づき、検出した異物の高さが天板3から所定高さ範囲内であると判断した場合に、異物有りと判断する。
【0021】
後述するように、本実施形態のコンロ1は、例えば、左バーナ4の燃焼中に、左バーナ4に対応するセンサ31~34、及び中央のセンサ93のうち少なくとも何れかのセンサ30が異物を検出した場合、左バーナ4の火力を絞る制御を実行する。これにより、コンロ1は、天板3上に進入する異物への着火を効果的に防止できる。そして、本実施形態は、天板3の上面の前側部において、静電容量方式の左操作部11、右操作部12、グリル操作部13を備えるが、異物を検出する為の9つのセンサ31~39は、これら左操作部11、右操作部12、グリル操作部13よりも前側に配置する。これにより、天板3上に進入する異物をいち早く検出できるので、コンロバーナの火力を速やかに絞ることができ、より安全性の高いコンロ1を提供できる。
【0022】
図4を参照し、左バーナ4のガス供給機構50の構造を説明する。なお、右バーナ5のガス供給機構は、左バーナ4のガス供給機構50と同様の構成であるので、説明を省略する。ガス供給機構50は、ガスが流れる方向の上流側から順に、ガス供給管51、バルブ機構部52、ガス調節機構53、制御モータ54、ガス供給管55、ガス調節機構56等を備える。ガス供給管51の上流側の一端部には、元ガス電磁弁511が設けられる。バルブ機構部52は、ガス供給管51の下流側の一端部に接続される。バルブ機構部52は内部にガス流路を備え、該ガス流路において、ガスが流れる方向の上流側から順に、セーフティバルブ521とメインバルブ522を備える。
【0023】
ガス調節機構53は、バルブ機構部52の下流側に接続され、ガス流路531とニードル弁532を備える。ガス流路531は、バルブ機構部52のガス流路に接続される。ニードル弁532は、ガス流路531の出口付近に移動可能に設けられ、弁の開度が連続的に調節されることで、ガス流路531を流れるガス量を連続的に調節可能である。制御モータ54は、セーフティバルブ521、メインバルブ522、ニードル弁532の駆動源であり、制御回路70のCPU71(図5参照)によって制御される。制御モータ54の出力軸には、角度検出センサ541と、原点用マイクロスイッチ542が設けられる。角度検出センサ541は、制御モータ54の出力軸の回転角度を検出する。原点用マイクロスイッチ542は、制御モータ54の原点検出用のマイクロスイッチである。ガス供給管55は、ガス流路531の出口に接続され、左バーナ4に向けて延設される。ガス供給管55の下流側の一端部には、ノズル551が設けられる。ノズル551は、左バーナ4のバーナ本体400に設けられたガス流入部401に対向配置される。
【0024】
ガス調節機構56は、ガス供給管55の途中に設けられ、バイパス管561、電磁弁562、弱用バイパスニードル563等を備える。バイパス管561の一端部は、ガス供給管55の途中に設けられた分岐部61に接続され、他端部は、分岐部61の下流側に設けられた合流部62に接続される。これにより、ガス供給管55を流れるガスの一部は、分岐部61からバイパス管561に流れ、合流部62においてガス供給管55を流れるガスと合流する。電磁弁562は、バイパス管561に設けられる。弱用バイパスニードル563は、ガス供給管55の分岐部61と合流部62の間に設けられ、ガス供給管55の流路面積を狭めることによって、ガス流量を最小流量に調節する。なお、「最小流量」とは、ガス流量の調整可能範囲において予め設定される最小の流量を意味し、例えば、左バーナ4が失火しない程度に最弱な最小火力(例えば、とろ火)となるように最小流量を設定するとよい。
【0025】
図5を参照し、コンロ1の電気的構成を説明する。コンロ1は、制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ74等を備える。CPU71は、コンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72は、例えば、バーナ制御プログラムを含む各種プログラム等を記憶する。バーナ制御プログラムは、後述するバーナ制御処理(図6参照)を実行するものである。RAM73は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ74は、バーナ火力情報を含む各種情報等を記憶する。バーナ火力情報とは、制御モータ54の出力軸の回転角度とバーナ火力とを対応づけた情報である。
【0026】
制御回路70には、電源回路81、サーミスタ入力回路82、熱電対入力回路83、イグナイタ回路84、左操作部11、右操作部12、グリル操作部13、センサ入力回路85、ブザー回路86、モータ回路87、電磁弁回路88、センサ入力回路89等が電気的に各々接続されている。電源スイッチ19が押下されると、電源回路81は、電源18から供給される交流(例えば100V)を直流(例えば5V)に降圧して整流し、各種回路に電力を供給する。コンロ1の電源はオンする。使用者によって電源スイッチ19が再押下されると、電源回路81は、各種回路への電力供給を遮断する。コンロ1の電源はオフする。
【0027】
サーミスタ入力回路82は、左バーナ4及び右バーナ5に設けられたサーミスタ25からの検出信号を、制御回路70に入力する。熱電対入力回路83は、熱電対26からの検出値(熱起電力に対応する信号)を、制御回路70に入力する。イグナイタ回路84は、CPU71からの制御信号に基づき、対応するバーナのイグナイタ27を駆動する。左操作部11、右操作部12、グリル操作部13は、使用者のタッチ操作を感知し、該感知信号を制御回路70に入力し、制御回路70からの制御信号に基づき、左操作部11及び右操作部12の表示部にタイマ時間等を表示する。
【0028】
センサ入力回路85は、センサ31~39からの距離信号を制御回路70に入力する。ブザー回路86は、CPU71の制御信号に基づき、圧電ブザー77を駆動する。モータ回路87は、CPU71からの制御信号に基づき、制御モータ54の駆動を制御する。電磁弁回路88は、CPU71からの制御信号に基づき、電磁弁562の開閉を制御する。センサ入力回路89は、角度検出センサ541からの各検出信号を、制御回路70に入力する。CPU71は、角度検出センサ541からの検出信号に基づき、制御モータ54の出力軸の回転角度を認識する。CPU71は認識した制御モータ54の出力軸の回転角度と、バーナ火力情報とに基づき、対応するバーナ火力を特定できる。
【0029】
図4図6を参照し、バーナ制御処理を説明する。本実施形態は、左バーナ4を点火して使用する場面を想定し、図4に示すガス供給機構50の動作と合わせて説明する。左バーナ4の点火前、セーフティバルブ521、メインバルブ522は、機械的に閉じられた状態である。ニードル弁532と電磁弁562は、開放側に維持された状態である。左バーナ4を点火して使用する為に、ユーザは、点火/消火スイッチ21をタッチする。CPU71は、点火/消火スイッチ21のタッチを検出すると、ROM72からバーナ制御プログラムを読み出し、本処理を実行する。
【0030】
図6に示すように、CPU71は、元ガス電磁弁511を開き(S11)、制御モータ54を駆動する(S12)。制御モータ54が駆動することで、セーフティバルブ521とメインバルブ522が押し込まれ、ガス流路が開放される。ガスは、バルブ機構部52のガス流路からガス調節機構53のガス流路531を流れ、ガス供給管55に流れる。ガスは、ガス供給管55のノズル551から噴出する。噴出されたガスは、周囲の空気を巻き込みながら、ガス流入部401からバーナ本体400内に流入し、空気と混合される。空気と混合された混合ガスは、左バーナ4の炎孔部に供給される。
【0031】
CPU71は、制御モータ54の駆動と同時にイグナイタ27を駆動する(S13)。イグナイタ27の駆動により電極にスパーク放電が生じる。これにより、左バーナ4の炎孔部から噴出されるガスに点火される。CPU71は、熱電対26により火炎を検出したか否か判断する(S14)。ここで、火炎を検出しなかった場合(S14:NO)、失火した可能性があるので、CPU71は制御モータ54を逆回転させる(S22)。これにより、バルブ機構部52のセーフティバルブ521とメインバルブ522は逆向きに駆動され、ガス流路が閉鎖される。CPU71は、元ガス電磁弁511を閉じる(S23)。これにより、左バーナ4へのガス供給が遮断されて消火される。
【0032】
一方、正常に火炎を検出した場合(S14:YES)、左バーナ4は燃焼状態になる。このとき、CPU71は、点火/消火スイッチ21に設けられたランプ(図示略)を点灯するとよい。そして、使用者による火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作に応じて、CPU71は、制御モータ54を正逆方向に回転する。制御モータ54の回転軸の動力は、ギア機構543によって、ニードル弁532の開度を調節する動力に変換される。ギア機構43は、ギアやカム等を備える動力伝達機構であって、例えば、特開2015-36593号公報に記載の機構を適用するとよい。ガス調節機構53は、制御モータ54を制御し、ニードル弁532の開度を連続的に調節することによって、左バーナ4の火力を連続的且つ緩やかに調節可能である。
【0033】
次いで、CPU71は、センサ31~39より距離信号(測定電圧値)を取得する(S15)。このとき、CPU71は、例えば所定回数(例えば4回)、各センサ31~39から距離信号を夫々取得し、所定数の距離の平均値を算出し、各センサ31~39において天板3から異物までの距離を夫々特定するとよい。CPU71は、異物の高さが判定値以下のセンサ30が有るか判断する(S16)。判定値とは、所定高さ範囲の上限値であり、閾値である。なお、S15の処理において、CPU71は、例えば、燃焼中の左バーナ4に対応するセンサ31~34、39から距離信号を取得するようにしてもよい。
【0034】
ここで、判定値以下のセンサ30が無い場合(S16:NO)、天板3上において異物が進入していないので、CPU71は、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって調節される設定火力に調整する(S20)。
【0035】
一方、判定値以下のセンサ30が有る場合(S16:YES)、センサ31~39のうち何れかのセンサ30が異物を検出している。ここで、上記の通り、天板3上面の前側部において、9つのセンサ31~39は、左操作部11、右操作部12、グリル操作部13よりも前側に配置している。この構成により、例えば使用者が左バーナ4の火力を調整しようとして、左操作部11に手を延ばした場合、センサ31~39の何れかのセンサ30が異物として検出してしまう可能性が高い。そこで、CPU71は、センサ30が異物を検出したときから1秒経過したか否か判断する(S17)。異物を検出してからまだ1秒経過していない場合(S17:NO)、CPU71は、左操作部11又は右操作部12において操作が有ったか否か判断する(S18)。
【0036】
ここで、左操作部11及び右操作部12の何れにおいても操作が無かった場合(S18:NO)、CPU71はS17に戻り、異物を検出してから1秒が経過するまで、左操作部11又は右操作部12において操作が有ったか監視する。そして、左操作部11の及び右操作部12の何れにおいても操作が無い状態で(S18:NO)、異物を検出してから1秒が経過したとき(S17:YES)、左操作部11又は右操作部12の操作以外の理由で、天板3上に異物が進入している可能性が高い。
【0037】
そこで、CPU71は、燃焼状態の左バーナ4の火力を瞬間的に絞る為に、ガス調節機構56の電磁弁562を閉じる。これにより、バイパス管561が瞬間的に遮断されるので、ガス供給管55から左バーナ4に向けて流れるガス流量は、弱用バイパスニードル563によって、最小流量に調節される。このようにして、CPU71は、燃焼状態の左バーナ4の火力を瞬間的に最小火力に調整できる(S19)。よって、コンロ1は、異物着火の危険性を回避できる。なお、異物検出によって、コンロバーナの火力を瞬間的に最小火力に調整するとき、CPU71は、圧電ブザー77を駆動して、使用者に報知するとよい。この場合、使用者は、コンロバーナの火力が突如絞られた理由を速やかに認識できる。
【0038】
これに対し、異物を検出してから1秒経過するまでに、例えば、左操作部11において操作が有った場合(S18:YES)、使用者は、左操作部11を操作する為に、左操作部11に向けて手を延ばしている可能性が高い。この場合、左バーナ4の火力を絞る必要は無いので、CPU71は、火力減スイッチ22と火力増スイッチ23のタッチ操作によって調節される設定火力に調整する(S20)。これにより、コンロ1は、コンロバーナの火力調整中に、火力が絞られてしまうのを防止できるので、使用者は、例えば、コンロバーナの火の大きさを目視で確認しながら、火力調整が可能となる。よって、コンロ1は安全性と利便性の双方を向上できる。
【0039】
次いで、CPU71は、使用者が点火/消火スイッチ21にタッチして消火操作を行ったか判断する(S21)。消火操作が行われていない場合(S21:NO)、CPU71はS15に戻り、上記処理を繰り返す。例えば、異物の検出によって、左バーナ4の火力を最小火力に調整した場合(S19)、CPU71は、S15に戻って、各センサ31~39から距離信号を再取得し、異物の高さが判定値を超えるまで、上記処理を繰り返す。そして、異物の高さが判定値を超えた場合(S16:NO)、天板3から異物が離れたので、CPU71は、ガス調節機構56の電磁弁562を開き、設定火力に調整する(S20)。
【0040】
そして、消火操作が行われた場合(S21:YES)、CPU71は上記と同様に、制御モータ54を逆回転させ(S22)、元ガス電磁弁511を閉じることにより(S23)、左バーナ4へのガス供給を遮断して消火する。CPU71は本処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、上記実施形態のコンロ1は、左バーナ4及び右バーナ5、左操作部11及び右操作部12、複数のセンサ30を備える。左バーナ4及び右バーナ5は、天板3に設けられる。左操作部11及び右操作部12は、天板3において左バーナ4及び右バーナ5よりも前側に設けられ、左バーナ4及び右バーナ5を操作する。複数のセンサ30は、天板3において左バーナ4及び右バーナ5よりも前側に設けられ、発光部41と受光部42を備える。発光部41は、赤外線を上方に向けて発光する。受光部42は、発光部41が発光して異物に反射した反射光を受光する。コンロ1のCPU71は、複数のセンサ30の夫々の受光部42が受光した反射光に基づき、複数のセンサ30のうち少なくとも何れかが天板3から所定高さ範囲内において異物を検出したか判断する。異物を検出したセンサ30が有った場合、CPU71は、燃焼中のコンロバーナの火力を絞る制御を実行する。このような機能を有するコンロ1において、天板3の上面の前側部において、複数のセンサ30は、左操作部11及び右操作部12よりも前側に配列して設けられる。これにより、コンロ1は、天板3上に異物が進入したことをいち早く検出できるので、速やかに火力を絞ることができる。
【0042】
また、CPU71は、複数のセンサ30のうち少なくとも何れかが異物を検出したと判断してから所定時間(上記実施形態では1秒)経過するまでの間に、左操作部11又は右操作部12による左バーナ4又は右バーナ5の火力操作が行われたか判断する。左バーナ4又は右バーナ5の火力操作が行われたと判断した場合、CPU71は、左バーナ4又は右バーナ5の火力を絞る制御を実行せずに、左操作部11又は右操作部12による火力操作に基づき、左バーナ4又は右バーナ5の火力制御を実行する。これにより、コンロ1は、左バーナ4又は右バーナ5の火力調整中に、火力が絞られるのを防止できるので、使用者は、例えば火の大きさを目視で確認しながら火力を調整できる。よって、コンロ1は使い勝手を向上できる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のバーナ制御処理(図6参照)では、複数のセンサ31~39の何れかが異物を検出して1秒が経過するまでの間に、左操作部11又は右操作部12において火力操作が有った場合、CPU71は燃焼中のコンロバーナの火力を絞る制御を行わずに設定火力に調整する。例えば、以下説明する変形例のように、9つのセンサ31~39のうち、左バーナ4及び右バーナ5の前側に配置されていない中央のセンサ39が異物を検出した場合は、その後に、左操作部11又は右操作部12において火力操作が有ったとしても、コンロバーナの火力を絞る制御を実行してもよい。
【0044】
図7に示すバーナ制御処理は、上記実施形態のバーナ制御処理の変形例であり、S16とS17の間にS30の判断ステップを挿入する。それ以外のステップは上記実施形態と共通なので、説明を簡略又は省略する。例えば、左バーナ4が燃焼中、CPU71は9つのセンサ31~39から距離信号を取得し(S15)、異物の高さが判定値以下のセンサ30が有った場合(S18:YES)、その異物を検出したセンサが中央部のセンサ39か否か判断する(S30)。
【0045】
ここで、中央部のセンサ39の後方には、グリル操作部13が配置されているが、グリル操作部13はグリルバーナを操作するものであって、コンロバーナを操作するものではない。従って、中央部のセンサ39において異物が検出されたとき、少なくとも使用者がコンロバーナを操作する為に、左操作部11又は右操作部12に手を延ばした状態ではなく、それ以外の理由で、異物が検出された可能性が高い。例えば、使用者の身体の一部が無意識に天板3上に進入してしまっている可能性がある。よって、CPU71は、左操作部11又は右操作部12の操作に関係なく、燃焼状態の左バーナ4の火力を瞬間的に最小火力に調整する(S19)。これにより、コンロ1は異物への着火を防止できるので、安全性をさらに向上できる。
【0046】
なお、上記変形例において、中央部のセンサ39は本発明の「他のセンサ」として機能するが、天板3の左右方向の中央部に位置していなくてもよい。
【0047】
上記実施形態のバーナ制御処理(図6参照)では、複数のセンサ31~39の何れかが異物を検出して1秒が経過するまでの間に、左操作部11又は右操作部12において火力操作が有ったか判断するが(S17、S18)、火力操作の有無の判断時間は1秒に限らず、自由に変更可能である。
【0048】
上記実施形態のバーナ制御処理(図6参照)では、S18において、CPU71は、左操作部11又は右操作部12において操作が有ったか否か判断するが、例えば、燃焼中のコンロバーナに対応するセンサ30において操作が有ったか否か判断するようにしてもよい。
【0049】
上記実施形態のコンロ1は、ビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。また、コンロバーナの数は、上記実施形態では二つであるが、一つ、又は三つ以上であってもよい。また、グリルは省略してもよい。
【0050】
天板3上における複数のセンサ30の配置、個数、場所についても、上記実施形態に限らず、自由に変更可能である。中央のセンサ39は省略してもよい。センサ30は赤外光を発光する赤外線センサであるが、異物を検出可能なセンサであればよい。
【0051】
上記実施形態では、図6に示すバーナ制御処理について、左バーナ4の燃焼中を例に説明したが、右バーナ5の燃焼中であっても同様である。
【0052】
上記実施形態では、火力の調整は、各コンロバーナに対応するガス供給機構50によって行うが、その構造については、上記実施形態以外の構造であってもよい。
【0053】
上記説明において、センサ31~34は本発明の「左側センサ」の一例であり、センサ35~38は本発明の「右側センサ」の一例であり、センサ39は本発明の「他のセンサ」の一例である。図6のS15、S16の処理を実行するCPU71は、本発明の「異物判断処理」の一例であり、S17、S18の処理を実行するCPU71は、本発明の「火力操作判断手段」の一例であり、S18:YES、S20の処理を実行するCPU71は、本発明の「火力制御実行手段」の一例である。
【符号の説明】
【0054】
1 コンロ
4 左バーナ
5 右バーナ
11 左操作部
12 右操作部
31~39 センサ
41 発光部
42 受光部
71 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7