(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】熱電性能が高いn型Mg3Sb2ベース材料を迅速に製造する方法
(51)【国際特許分類】
H10N 10/853 20230101AFI20230127BHJP
H10N 10/01 20230101ALI20230127BHJP
B22F 3/14 20060101ALI20230127BHJP
C22C 1/04 20230101ALI20230127BHJP
C22C 12/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H10N10/853
H10N10/01
B22F3/14 101B
C22C1/04 C
C22C12/00
(21)【出願番号】P 2021024045
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】202110105217.9
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520208111
【氏名又は名称】▲広▼西大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】苗 蕾
(72)【発明者】
【氏名】梁 継升
(72)【発明者】
【氏名】劉 呈燕
(72)【発明者】
【氏名】陳 俊良
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/072982(WO,A1)
【文献】特開2001-223392(JP,A)
【文献】特開2001-044520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/853
H10N 10/01
B22F 3/14
C22C 1/04
C22C 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型Mg
3Sb
2ベース熱電材料
の製造方法であって、原料組成がMg
3.2-xY
xSb
1.5Bi
0.5-ySe
yであり、x=0~0.1、y=0~0.1、x、yが原子パーセンテージを表
し、
アルゴンの雰囲気の中で、化学組成Mg
3.2-x
Y
x
Sb
1.5
Bi
0.5-y
Se
y
の化学計量比で、マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を順次計量するステップ(1)と、
アルゴンの保護下で、計量された粉末をボールミルし、ボールミル機の回転速度が300~600r/minで、ボールミル時間が3~8hで、ボールミルした後に、均一に混合され、直径が500nm~1μmの粉末サンプルを得るステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた粉末を直径が15mmのグラファイト金型に入れ、真空で放電プラズマ焼結を経て、焼結の昇温速度が50~200℃/minであり、500℃~800℃、20MPa~60MPaで、5~15min保温し、n型Mg
3
Sb
2
ベース熱電材料を得るステップ(3)と、を含む、
ことを特徴とするn型Mg
3Sb
2ベース熱電材料
の製造方法。
【請求項2】
x=0.01-0.07の時、y=0.01-0.07、
である、
請求項1に記載のn型Mg
3Sb
2ベース熱電材料
の製造方法。
【請求項3】
x=0.02、y=0.01、
である、
請求項1に記載のn型Mg
3Sb
2ベース熱電材料
の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)における原料は、純度が99.999%のアルゴンを充満したグローブボックス内で計量する、
ことを特徴とする請求項
1に記載のn型Mg
3Sb
2ベース熱電材料の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(2)は、アルゴンの保護下でボールミルし、ボール材料比が15:1であり、ボールミル機の回転速度が550r/minであり、ボールミル時間が5hであり、ボールミルの方式は、30min正回転する毎に、5min停止し、続いて30min逆回転する毎に、5min停止することである、
ことを特徴とする請求項
4に記載のn型Mg
3Sb
2ベース熱電材料の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(3)では、昇温速度が50℃/minであり、650℃、50Mpaで、10min保温する、
ことを特徴とする請求項
4に記載のn型Mg
3Sb
2ベース熱電材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいエネルギ材料の技術分野に関し、具体的には、熱電性能が高いn型Mg3Sb2ベース材料を迅速に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電材料は、材料内部のキャリア(電子又は正孔)とフォノンの輸送を利用して、電気エネルギと熱エネルギの相互変換を実現する新しい機能材料である。熱電変換技術は、汚染がなく、機械的可動部品がなく、騒音が発生せず、信頼性が高いなどという利点を有し、グリーンで環境に優しいエネルギ技術である。現在、熱電変換デバイスは、主に産業排熱、環境エネルギ回収、温度差熱電発電及び熱電冷凍などの面に応用される。例えば、温度差発電は、現在、主に航空宇宙、深海探査、工場廃熱回収及び高山極地探査などの分野に応用され、熱電冷凍は、主にいくつかのマイクロ冷凍デバイスに応用される。熱電材料の性能は、一般的には、無次元熱電性能指数(ZT)によって測定され、ZT値は式ZT=S2σT/によって表され、S、σ、T、κは、それぞれSeebeck係数、導電率、絶対温度、及び熱伝導率である。現在、従来の熱機関のエネルギ変換効率は35%であるのに対し、熱電材料のエネルギ変換効率は6~10%に過ぎないことは、熱電材料の大規模な応用を大きく制約する。1990年代、Slackらは、熱電材料に「フォノンガラス-電子結晶」という理想的な概念を提案し、優れた熱電材料はガラスと同様の低い熱伝導率と、結晶の良好な導電率とを備えるべきであることを示す。この概念の提案は、後続の充填スクッテルド鉱、かご状化合物などの特別なかご状構造を有する高性能熱電材料の発見を啓発した。21世紀の後、いくつかの熱電輸送の新しい理論及び新しいメカニズムの提案は、熱電材料の更なる発展を促進し、いくつかの熱電システムのZT値は、ひいては2を突破した。現在、主な熱電材料体系は、Bi2Te3ベース合金、酸化物熱電材料、かご状構造化合物、二次元層状熱電材料、Half-Heusler合金及びZintl相化合物などを有する。Mg3Sb2ベース熱電材料は、Zintl相化合物に属し、キャリア移動度が高く、固有格子熱伝導率が低く、「フォノンガラス-電子結晶」の輸送特性を備え、応用の将来性が高い熱電材料である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、原料組成がMg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySeyであり、x=0~0.1、y=0~0.1、x、yが原子パーセンテージを表し、選択された原料価格が低く、一段階ボールミル法により、n型Mg3Sb2ベース熱電材料を迅速かつ高効率で、省エネルギで、低コストで製造することができ、製造方法が簡単で、グリーンで環境に優しく、純相のn型Mg3Sb2ベース熱電材料を大規模に迅速に製造することができ、該材料は、再現性が高く、熱安定性に優れ、0.90Wm-1K-1の最低熱伝導率値を有し、623Kの時に2451.70μWm-1K-2の最高電力因子を有し、現在の該システムの最高値となり、最高熱電性能指数ZT=1.8であり、現在の該システムの最大値の1つとなり、従来の高温溶融と二段階高エネルギボールミル法におけるMg元素が揮発し、固相反応封管条件が複雑で、製造過程と時間が長いという問題を解決する熱電性能が高いn型Mg3Sb2ベース熱電材料及びその製造方法を提供することである。
【0004】
本発明は、以下の技術的解決手段によって実現される:
【0005】
熱電性能が高いn型Mg3Sb2ベース熱電材料であって、原料組成がMg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySeyであり、x=0~0.1、y=0~0.1、x、yが原子パーセンテージを表す。
【0006】
好ましくは、x=0.01-0.07、y=0.01-0.07の時、材料の熱電性能が向上する。
【0007】
最も好ましくは、x=0.02、y=0.01の時、得られたn型Mg3Sb2熱電材料のZT値は、723Kの時に1.8である。
【0008】
前記熱電性能が高いn型Mg3Sb2ベース熱電材料の製造方法は、
高純度アルゴンの雰囲気の中で、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySeyの化学計量比で、マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を順次計量するステップ(1)と、
高純度アルゴンの保護下で、計量された粉末をボールミルし、ボールミル機の回転速度が300~600r/minで、ボールミル時間が3~8hで、ボールミルした後に、均一に混合され、直径が500nm~1μmの粉末サンプルを得るステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた粉末を直径が15mmのグラファイト金型に入れ、真空中で放電プラズマ焼結を経て、焼結の昇温速度が50~200℃/minであり、500℃~800℃、20MPa~60MPaで、5~15min保温し、純相のn型Mg3Sb2ベース熱電材料を得るステップ(3)と、を含む。
【0009】
好ましくは、ステップ(1)における原料は、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックス内で計量する。
【0010】
好ましくは、ステップ(2)は、高純度アルゴンの保護下でボールミルし、ボール材料比が15:1であり、ボールミル機の回転速度が550r/minであり、ボールミル時間が5hであり、ボールミルの方式は、30min正回転する毎に、5min停止し、続いて30min逆回転する毎に、5min停止することである。
【0011】
好ましくは、ステップ(3)では、昇温速度が50℃/minであり、650℃、50Mpaで、10min保温する。
【0012】
本発明の有益な効果は以下のとおりである:
1)本発明で製造されたn型Mg3Sb2ベース熱電材料は、現在市販されているBi2Te3ベース材料と比較して、原料コストが低いという特徴を有し、且つ一段階ボールミル法により、n型Mg3Sb2ベース熱電材料を迅速かつ高効率で、省エネルギで、低コストで製造することができ、製造過程での操作が簡単で、省エネルギで環境に優しく、純相のn型Mg3Sb2ベース熱電材料を大規模に製造することができる。
2)本発明で製造されたn型Mg3Sb2ベース熱電材料は、高純度、高結晶度の利点を有し、再現性が高く、熱安定性と機械的強度に優れ、最高電力因子が2451.70μWm-1K-2であり、現在の該システムの最高値となり、723Kの時に、最高ZTが1.8であり、現在の該システムの最高値の1つとなる。
3)本発明で製造されたn型Mg3Sb2ベース熱電材料は、放電プラズマ焼結を採用し、純相のMg3Sb2ベース熱電材料を迅速に合成することに成功し、従来の高温溶解と二段階高エネルギボールミル法におけるMg元素が揮発し、封管条件が複雑で、不純物含有量が高く、高エネルギボールミルの価格が高いなどという欠点を回避する。
4)本発明で製造されたn型Mg3Sb2ベース熱電材料は、微細構造(ナノ結晶粒及びナノ層状構造)を導入し、723Kの時に、0.90Wm-1K-1の最低熱伝導率値を有し、現在の該システムの最低値となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】X線回折装置を採用して実施例のサンプルを物相分析して得られたXRD図であり、(a)は本発明の実施例1であり、(b)は本発明の実施例2であり、(c)は本発明の実施例3であり、(d)は本発明の実施例4であり、(e)は本発明の実施例5であり、(f)は本発明の実施例6である。図から分かるように、本発明の製造方法は、高純度、高結晶度のMg
3Sb
2ベース材料を得ることができる。
【
図2】実施例1、実施例2及び実施例3における電力因子が温度に応じて変化する比較図である。
【
図3】実施例1、実施例2及び実施例3における熱伝導率が温度に応じて変化する比較図である。
【
図4】実施例1、実施例2及び実施例3における熱電性能指数ZTが温度に応じて変化する比較図である。
【
図5】実施例4、実施例5及び実施例6における電力因子が温度に応じて変化する比較図である。
【
図6】実施例4、実施例5及び実施例6における熱伝導率が温度に応じて変化する比較図である。
【
図7】実施例4、実施例5、実施例6における熱電性能指数ZTが温度に応じて変化する比較図である。
【
図8】実施例7、実施例8及び実施例9における電力因子が温度に応じて変化する比較図である。
【
図9】実施例7、実施例8及び実施例9における熱伝導率が温度に応じて変化する比較図である。
【
図10】実施例7、実施例8及び実施例9における熱電性能指数ZTが温度に応じて変化する比較図である。
【
図11】実施例10と実施例11における電力因子が温度に応じて変化する比較図である。
【
図12】実施例10と実施例11における熱伝導率が温度に応じて変化する比較図である。
【
図13】実施例10と実施例11における熱電性能指数ZTが温度に応じて変化する比較図である。
【
図14】実施例5におけるサンプルの走査型電子顕微鏡写真である。
【
図15】実施例5におけるサンプルの透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、本発明を限定するものではなく、本発明に対する更なる説明である。
【0015】
例1:
(1)原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0、y=0.01)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1である。
【0016】
(2)ボールミルポットを遊星ボールミルに装着し、アルゴンの保護下で1hボールミルし、粒径が500nm~1μmの粉末を得て、ボールミル機の回転速度が300r/minであり、ボールミルの方式は、30min正回転する毎に、5min停止し、続いて30min逆回転する毎に、5min停止することである。
【0017】
(3)ステップ(2)で得られた粉末を直径が15mmのグラファイト金型に入れ、放電プラズマ焼結温度を550℃にし、昇温速度を100℃/minにし、圧力を20Mpaにし、5min保温する。
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1463.25μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は1.03Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=0.99である。
【0018】
例2:
実施例1を参照すると、ステップ(2)では、ボールミル機の回転速度が600r/minであり、ステップ(3)では、放電プラズマ焼結温度を750℃にし、昇温速度を150℃/minにし、圧力を40Mpaにし、5min保温するという点で異なる。
【0019】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1478.14μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は1.01Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=0.98である。
【0020】
例3:
実施例1を参照すると、ステップ(2)では、ボールミル機の回転速度が550r/minであり、ステップ(3)では、放電プラズマ焼結温度を650℃にし、昇温速度を50℃/minにし、圧力を50Mpaにし、10min保温するという点で異なる。
【0021】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1843.20μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は0.99Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.25である。
【0022】
例4:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0.01、y=0.01)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0023】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は2093.97μWm-1K-2であり、最低導電率は1.05Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.36である。
【0024】
例5:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0.02、y=0.01)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0025】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は2451.70μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は0.90Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.80である。
【0026】
例6:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0.03、y=0.01)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0027】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1989.42μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は0.93Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.50である。
【0028】
例7:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0、y=0.02)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0029】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1680.12μWm-1K-2であり、最低熱伝導率1.01Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.19である。
【0030】
例8:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0、y=0.03)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0031】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1710.58μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は1.04Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.18である。
【0032】
例9:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0、y=0.04)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0033】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1581.16μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は1.08Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.05である。
【0034】
例10:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0、y=0.07)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0035】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は1671.16μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は0.94Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.01である。
【0036】
例11:
実施例3を参照すると、ステップ(1)では、原料マグネシウム粉、アンチモン粉、ビスマス粉、イットリウム粉、セレン粉を、純度が99.999%の高純度アルゴンを充満したグローブボックスに、化学組成Mg3.2-xYxSb1.5Bi0.5-ySey(x=0.07、y=0.01)の化学計量比で順次計量し、ステンレス製ボールミルポットに入れ、ボール材料比が15:1であるという点で異なる。
【0037】
本実施例で製造されたサンプルの最高電力因子は2090.18μWm-1K-2であり、最低熱伝導率は1.07Wm-1K-1であり、熱電性能指数ZT=1.46である。